JP2008040322A - 反射防止構造体の製造方法 - Google Patents

反射防止構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大面積に亘って、パターンずれの発生しない、高精度な反射防止構造を有する反射防止構造体を繰り返し成形することのできる反射防止構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】円錐形の反射防止構造2が形成された石英ガラス基板1の表面(プレス面)にスパッタリング法を用いて高温離型のためのBN膜を形成した上型3で、スパッタリング法を用いて高温離型のためのNi膜16が形成された成形用材料11を高温でプレスし、高温のまま離型させて反射防止構造体17を成形する。
【選択図】図4

Description

本発明は、大面積に亘って、パターンずれの発生しない、高精度な反射防止構造を有する反射防止構造体を製造する方法に関する。
近年、光学素子の表面反射を防止するために、光学素子の表面に反射防止構造を形成する方法が提案されている。提案されている反射防止構造は、サブミクロンピッチでアスペクト比が1以上の非常に微細な凹凸形状を有している。そして、このような微細な構造を形成する方法として、ドライエッチングを用いた微細加工法が提案されている。
一方、高精度な光学素子を、大量かつ安価に製造する有効な方法として、ガラスあるいは樹脂からなる光学材料(成形用素材)をプレス成形する方法が提案されている。
加熱軟化したガラスあるいは樹脂からなる光学材料を、金型を用いてプレス成形する場合には、光学材料が金型から離型し難いため、金型の表面に特殊な離型膜を形成したり、成形ショットごとに離型剤を塗布したりして、離型が容易となるように工夫されている。特に、ガラスを光学材料として用いる場合には、金型の表面にかなり特殊なコーティングが施される。例えば、特許文献1には、炭化タングステン(WC)を主成分とする超硬合金又はサーメットを金型材料として用い、当該金型材料を用いて作製した金型の表面に貴金属系保護膜をコーティングしたものが開示されている。そして、かかる構成の金型を用いることにより、プレス成形による光学素子の量産を可能とすることができる。また、特許文献2に記載の金型においては、窒化ホウ素、窒化クロム、炭化クロム、酸化クロム、炭化珪素、炭素、白金あるいは超硬合金からなる金型本体の光学機能面に10nm以下の膜厚を有する炭素膜を形成することにより、ガラスとの離型性が良好となるようにされている。
したがって、たとえば、特許文献1の方法において、WCを主成分とする超硬合金又はサーメットを金型材料にサブミクロンピッチでアスペクト比が1以上の非常に微細な凹凸形状をドライエッチング法により形成し、貴金属系保護膜をコーティングした金型を用いて、加熱軟化したガラスあるいは樹脂からなる光学材料をプレス成形すると反射防止構造体を大量生産できる可能性があると想像できる。
また、特許文献2の方法で、窒化ホウ素、窒化クロム、炭化クロム、酸化クロム、炭化珪素、炭素、白金あるいは超硬合金からなる金型本体にサブミクロンピッチでアスペクト比が1以上の非常に微細な凹凸形状をドライエッチング法により形成し、10nm以下の膜厚を有する炭素膜を形成した金型を用いて、加熱軟化したガラスあるいは樹脂からなる光学材料をプレス成形すると反射防止構造体を大量生産できる可能性があると想像できる。
特公昭62−28091号公報 特開平6−305742号公報
しかし、WCを主成分とする超硬合金又はサーメットを金型材料にサブミクロンピッチでアスペクト比が1以上の非常に微細な凹凸形状をドライエッチング法により形成し、貴金属系保護膜をコーティングした金型を用いて、加熱軟化したガラスあるいは樹脂からなる光学材料をプレス成形すると、加熱軟化した光学材料を金型と接触させた状態(プレスした状態)で冷却しないと金型と光学材料が離型しないので、金型と光学材料との熱膨張率の差に起因して熱応力が発生し、その結果、光学材料に転写されるパターンの精度が低下してしまう。時にはガラスが破損し、金型表面に残ってしまうことがある。特に、金型の中心から外周に向けて距離が長くなるほど、光学材料に転写されるパターンのずれが大きくなるため、大面積に亘って、微細な凹凸パターンを正確に転写することはできない。このため、冷却せずに金型をプレス成形した光学材料から離型させる必要がある。
また、窒化ホウ素、窒化クロム、炭化クロム、酸化クロム、炭化珪素、炭素、白金あるいは超硬合金からなる金型本体にサブミクロンピッチでアスペクト比が1以上の非常に微細な凹凸形状をドライエッチング法により形成し、10nm以下の膜厚を有する炭素膜を形成した金型を用いて、加熱軟化したガラスあるいは樹脂からなる光学材料をプレス成形すると、冷却せずに離型させることはできるが、炭素膜は酸化し易く、繰り返し成形を行うと次第に冷却しなければ離型できなくなる。したがって、結果的に大量生産は困難となる。
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、大面積に亘って、パターンずれの発生しない、高精度な反射防止構造を有する反射防止構造体を繰り返し成形することが可能な製造方法を提供することを目的とする。
上記の目標を達成するために、本発明の反射防止構造体の製造方法は、反射防止構造体成形用金型でガラス材料からなる被成形物をプレス成形するプレス成形工程を有する反射防止構造体の製造方法であって、前記反射防止構造体成形用金型が、そのプレス面に主たる結晶構造が六方晶構造からなる窒化硼素(BN)を主成分とする保護膜を形成した反射防止構造を有し、前記被成形物が、ガラス材料に低融点金属を主成分とする薄膜からなる離型膜を形成したものである。
また、本発明の反射防止構造体の製造方法は、前記プレス成形工程の後、冷却せずに離型させる冷却工程を有するものである。
また、本発明の反射防止構造体の製造方法は、前記ガラス材料に形成した低融点金属を主成分とする薄膜からなる離型膜が、スパッタリング、蒸着、CVD或いはイオンプレーティングなどの手法により形成され、Au、Pt、Cu、Ag、Ni、Cr、Alの元素のうち、1種類以上を含むものである。
上記方法により、高温での離型が可能となる。
本発明の反射防止構造体の製造方法を用いることにより、BNと金属の離型性は非常に良く、金属は塑性変形を起こして金型形状を忠実に転写するため、加熱軟化したガラスあるいは樹脂からなる光学材料をプレス成形すると、冷却しなくても離型させることができ、繰り返し成形してもガラス付着などが発生せず、大面積に亘って、パターンずれのない、高精度な反射防止構造を有する反射防止構造体を大量に安定して低コストで製造できるようになる。
また、BN保護膜が耐酸化性に優れていることから、繰り返し成形を行っても離型性にまったく変化はなく、大量生産が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態においては、本発明の反射防止構造を有する反射防止構造体の製造方法として、片面にピッチ0.15μm、深さ0.15μmの円錐型の微細構造を有する平板光学素子の製造方法を例に挙げて説明する。
図1は本発明の実施の形態1における反射防止構造を有する反射防止構造体のプレス成形用金型を示す断面図である。
図1中、1は20mm×20mm×5mmの石英ガラス基板である。石英ガラス基板1の表面(プレス面)には、ピッチ0.15μm、高さ0.15μmの円錐型の反射防止構造2が形成されており、この反射防止構造2が形成された石英ガラス基板1が反射防止構造体の成形用金型3として用いられる。
以下、反射防止構造体の成形用金型3の作製方法について、図2を参照しながら説明する。図2(a)に示すように、まず、石英ガラス基板1の表面(プレス面)を、高精密研削加工及び研磨加工によって平滑に加工した(Ra約2nm)。次いで、図2(b)に示すように、平滑に加工された石英ガラス基板1の表面(プレス面)に、スパッタリング法を用いて、Cr膜20を0.1μmの厚みで形成した。次いで、図2(c)に示すように、Cr膜20の表面に、スピンコート法を用いて、PMMAレジスト21を0.3μmの厚みで形成した。次いで、図2(d)に示すように、EB(電子ビーム)描画法を用いて、Cr膜20の表面に、PMMAレジストからなる直径0.15μmの円柱パターン22をピッチ0.15μmで形成した。次いで、図2(e)に示すように、Cr膜20をウェットエッチングすることにより、石英ガラス基板1の表面(プレス面)に、反射防止構造2に対応するCrからなる円柱パターンをマスクとして形成した(Crマスク23)。このCrマスク23は、使用波長以下のピッチでアレイ状に形成されている。次いで、図2(f)に示すように、円柱状のCrマスク23が形成された石英ガラス基板1を、RFドライエッチング装置の中に入れ、CHF3 +O2 ガスを用いて、石英ガラス基板1の表面をエッチングした。これにより、石英ガラス基板1と共にCrマスク23も僅かずつエッチングされ、幅が小さくなる。そして、Crマスク23が完全に無くなるまでエッチングすることにより、石英ガラス基板1の表面(プレス面)に、ピッチ0.15μm、高さ0.15μmの円錐型の反射防止構造2が形成された。エッチング後の表面荒れは少なく、研磨面とほぼ等しい表面粗さであった。最後に、円錐型の反射防止構造2が形成された石英ガラス基板1の表面(プレス面)に、スパッタリング法を用いて、表面保護のためのIr−Rh合金膜を0.05μmの厚みで形成した。そして、さらにその表面にスパッタリング法を用いて、高温離型のための保護膜として、主たる結晶構造が六方晶構造からなるBN膜を0.05μmの厚みで形成した。以上により、反射防止構造体の成形用金型3が得られた。
下金型4は、以下のような構造を有している。すなわち、図1に示すように、20mm×20mm×5mmのWCを主成分とする超硬合金の中央部分に、15mm×15mm×0.5mmの窪み4aが形成され、窪み4aが形成された表面には、スパッタリング法を用いて、表面保護のためのIr−Rh合金膜が0.5μmの厚みで形成されている。
以下、上記のような構成を有する反射防止構造体の成形用金型3と下金型4を用いて、反射防止構造を有する反射防止構造体を製造する方法について、図3、図4を参照しながら説明する。図3は本発明の実施の形態1における反射防止構造を有する反射防止構造体の成形プロセスを示す工程図、図4は本発明の実施の形態1における反射防止構造を有する反射防止構造体のプレス成形方法を示す工程図である。
図3(a)に示すように、まず、チャンバー15で覆われた成形機の上ヘッド5に、上記した反射防止構造体の成形用金型3を上型6として固定し、当該上型6をプレスステージ8と共に所定の温度(ここでは、590℃)まで昇温した。また、予熱ステージ7も590℃まで昇温した。そして、上記した下金型4を下型10として用い、15mm×15mm×1.0mmのクラウン系の硼珪酸ガラス(転移点(Tg):501℃、屈伏点(At):549℃)にスパッタリング法を用いて、高温離型のためのNi膜16が0.1μmの厚みで形成されている成形用材料11として下型10の上に載せ、成形用材料11が載せられた下型10を、チャンバー15の金型投入口12から成形機内に投入して、590℃に設定された予熱ステージ7で3分間加熱した。(図4(a)参照)。
次に、図3(b)に示すように、成形用材料11が載せられた下型10を、予熱ステージ7から同じく590℃に設定されたプレスステージ8に搬送した。次いで、シリンダー13を下降させて、同じく590℃に設定され、かつ、上ヘッド5に固定された上型6により、成形用材料11を1000Nの加圧力で3分間プレスした(図4(a)、(b)参照)。そして、冷却せずに(そのままの温度で)シリンダー13を上昇させることにより、上ヘッド5と共に上型6を上昇させて、上型6を、プレス成形した成形用材料11から離型させた(図4(b)、(c)参照)。ここで、冷却せずに(高温のままで)、上型6を、プレス成形した成形用材料11から離型させることができるのは、成形用材料11の表面に形成したNiと反射防止構造体の成形用金型3に形成しているBNとのぬれ性が悪いからである。上型6がプレス成形された成形用材料11から離型すると、プレス成形された成形用材料11は下型10の上に載った状態となる。
次に、図3(c)に示すように、プレス成形された成形用材料11が載せられた下型10を、プレスステージ8から300℃に設定された冷却ステージ9に搬送し、そこで3分間冷却した。
最後に、チャンバー15の金型取り出し口14から下型10と共にプレス成形された成形用材料11を外部に取り出し、プレス成形された成形用材料11を下型10から取り外した後、希硝酸に浸漬してNi膜16を除去した。これにより、反射防止構造を有する反射防止構造体17が得られた(図4(c)参照)。
なお、図3中の18は、チャンバー15内に窒素ガス等の雰囲気ガスを導入するための雰囲気ガス導入口である。
本実施の形態によれば、上記のように、冷却せずに上型6(反射防止構造体の成形用金型3)をプレス成形した成形用材料11から離型させることが可能となるので、上型6とプレス成形される成形用材料11との熱膨張率の差に起因する熱応力の発生を防止して、成形用材料11に転写されるパターンの精度を高めることができる。その結果、大面積に亘って、パターンずれの発生しない、高精度な反射防止構造を有する反射防止構造体17を、繰り返し成形することが可能となる。また、本実施の形態によれば、反射防止構造体の成形用金型3に形成したBN膜は非常に耐酸化性にすぐれているので、繰り返し成形を行っても、離型性はまったく変化せず、反射防止構造を有する反射防止構造体17を再現性良く成形することができる。その結果、量産性が飛躍的に向上するので、生産コストを著しく低下させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、成形用材料11として、ガラス材料にスパッタリング法を用いてNiの離型膜を形成する説明を行ったが、スパッタリングの他に蒸着、CVD、イオンプレーティング等の手法を用いてもよいし、また、Ni膜の他に、Au、Pt、Cu、Ag、Cr、Al等の低融点金属を主成分とする薄膜であってもよい。
本発明は、反射防止効果が要求されるレンズ素子、プリズム素子、ミラー素子などの光学素子のほかに、スクリーン、レンズ鏡筒、遮蔽部材、蛍光灯などの光学部材、及び太陽電池など広く適用可能であり、これらが光学素子あるいは光学部材が搭載される光再生記録装置の光ピックアップ光学系、デジタルスチルカメラの撮影光学形、プロジェクタの投影系および照明系、光走査光学系等に好適である。
本発明の実施の形態1における反射防止構造を有する反射防止構造体のプレス成形用金型を示す断面図 本発明の実施の形態1における反射防止構造体の成形用金型の作製プロセスを示す工程図 本発明の実施の形態1における反射防止構造を有する反射防止構造体の成形プロセスを示す工程図 本発明の実施の形態1における反射防止構造を有する反射防止構造体のプレス成形方法を示す工程図
符号の説明
1 石英ガラス基板
2 反射防止構造
3 反射防止構造体の成形用金型
4 下金型
4a 窪み
5 上ヘッド
6 上型
7 予熱ステージ
8 プレスステージ
9 冷却ステージ
10 下型
11 成形用材料
12 金型投入口
13 シリンダー
14 金型取り出し口
15 チャンバー
16 Ni膜
17 反射防止構造を有する反射防止構造体
18 雰囲気ガス導入口
20 Cr膜
21 PMMAレジスト
22 円柱パターン
23 Crマスク

Claims (3)

  1. 反射防止構造体成形用金型でガラス材料からなる被成形物をプレス成形するプレス成形工程を有する反射防止構造体の製造方法であって、
    前記反射防止構造体成形用金型が、そのプレス面に主たる結晶構造が六方晶構造からなる窒化硼素(BN)を主成分とする保護膜を形成した反射防止構造を有し、
    前記被成形物が、ガラス材料に低融点金属を主成分とする薄膜からなる離型膜を形成したことを特徴とする反射防止構造体の製造方法。
  2. 前記プレス成形工程の後、冷却せずに離型させる冷却工程を有することを特徴とする請求項1記載の反射防止構造体の製造方法。
  3. 前記ガラス材料に形成した低融点金属を主成分とする薄膜からなる離型膜が、スパッタリング、蒸着、CVD或いはイオンプレーティングなどの手法により形成され、Au、Pt、Cu、Ag、Ni、Cr、Alの元素のうち、1種類以上を含むことを特徴とする請求項1記載の反射防止構造体の製造方法。
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