JP2008038839A - ドライサンプ式エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライサンプ式エンジンにおけるオイルタンクからのブローバイガス排出路にPCVバルブを組み込んだ場合において、PCVバルブの凍結を抑制できるような新規な手段を提供する。
【解決手段】ブローバイガス還流導管14を開閉するためのPCVバルブ15を、クランク室5aからの油路の一部であるオイル溜り部22と熱交換可能に配置する。油路を通じてクランク室5aから排出される潤滑油11の熱が、PCVバルブ15に作用するので、オイルタンク3からのブローバイガス排出路(還流導管14)を開閉するPCVバルブ15の凍結を抑制できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、クランク室とオイルタンクとの間を連結し、両者の間でオイルを移動させるようにしたドライサンプ式エンジンに関する。
エンジンのクランク室と、エンジン外のオイルタンクとの間を連結してなるドライサンプ式エンジンが種々提案されている。例えば特許文献1は、クランク室からオイルタンクに潤滑油を排出する油路と、オイルタンクからブローバイガスを排出するブローバイガス排出路と、を備えたドライサンプ式エンジンを開示している。このエンジンでは、クランク室内のオイルとブローバイガスはオイルタンクに導かれ、気液分離されたブローバイガスは、オイルタンク上部に接続されたブローバイガス排出路から、エンジンの吸気経路に還流される。この場合には、ブローバイガス中のオイルミストがオイルタンク内で沈降させられるので、ブローバイガス排出路の入口端部をクランクケースに接続した場合に比べ、エンジンの姿勢変化時にもオイルミストの吸気系への噴出を抑制できる利点がある。
ところで、広く用いられているウェットサンプ式エンジンでは、ブローバイガス排出路はエンジンのクランク室に接続され、かつ多くの場合、ブローバイガスの流量を制御するためのPCVバルブ(Positive Crankcase Ventilation valve)が設けられている。このPCVバルブがクランクケースに固定されている場合には、PCVバルブはクランクケースからの伝熱によって良く昇温されるので、PCVバルブの弁体に付着したブローバイガス中の水分が寒冷時に凍結しても、これを迅速に解消することができる。PCVバルブの凍結防止を課題とした技術は、特許文献2ないし4にも開示されている。
特開2004−108282号公報 実開昭64−15710号公報 特開平10−89039号公報 特開平10−103040号公報
しかし、上述した特許文献1のようなドライサンプ式エンジンにおけるオイルタンクからのブローバイガス排出路に、このPCVバルブ(PCVバルブ)を組み込もうとすると、エンジンからの伝熱が得られないために、PCVバルブが凍結し易く、且つ凍結した場合にその解消が遅れるという新たな問題が生じる。ドライサンプ式エンジンは主としてスポーツ車に採用されるため、PCVバルブの凍結が問題になるような極寒環境での使用は基本的に想定されておらず、この問題についての研究は進んでいない。
そこで本発明の目的は、ドライサンプ式エンジンにおけるオイルタンクからのブローバイガス排出路にPCVバルブを組み込んだ場合において、PCVバルブの凍結を抑制できるような新規な手段を提供することにある。
本発明のドライサンプ式エンジンは、潤滑油を貯留するオイルタンクと、エンジン本体のクランク室からスカベンジポンプによって前記オイルタンクに潤滑油を排出する油路と、前記オイルタンクからブローバイガスを排出するブローバイガス排出路と、を備えたドライサンプ式エンジンであって、前記ブローバイガス排出路を開閉するためのPCVバルブを更に備え、該PCVバルブは前記油路と熱交換可能に配置されていることを特徴とする。
本発明では、ブローバイガス排出路を開閉するためのPCVバルブが、クランク室からの油路と熱交換可能に配置されているので、油路を通じてクランク室から排出される潤滑油の熱がPCVバルブに作用する。したがって、ドライサンプ式エンジンにおけるオイルタンクからのブローバイガス排出路にPCVバルブを組み込んだ場合において、PCVバルブの凍結を抑制することができる。
前記油路におけるPCVバルブの近傍には、所定量の潤滑油を保持可能なオイル溜り部を設けるのが好適である。この場合には、オイル溜り部に保持された潤滑油の熱容量により、エンジン停止後におけるPCVバルブの温度の低下を遅延させることができる。
本発明におけるPCVバルブは、オイルタンクに固定するのが好適である。
本発明の別の一態様では、オイルタンクからブローバイガスを排出するブローバイガス排出路を開閉するためのPCVバルブが、エンジン本体と熱交換可能に配置されている。この場合には、エンジン本体からの伝熱により、PCVバルブの凍結を抑制することができる。
PCVバルブをエンジン本体と熱交換可能に配置する場合には、PCVバルブはエンジン本体のシリンダブロックに固定するのが特に好適である。
本発明の実施形態について、以下に図面に従って説明する。図1において、本発明の実施形態に係るドライサンプ式エンジン1は、エンジン本体2と、オイルタンク3とを有する。エンジン本体2は、不図示の燃料噴射弁を有する4サイクルガソリン内燃機関であり、シリンダブロック4に形成されたシリンダ4a、およびクランクケース5に形成されたクランク室5aを有する。シリンダ4aに上下動自在に配置されたピストン6aは、コンロッド6bによってクランク軸6cに連結されている。エンジン本体2の図示しない吸気ポートには吸気管8が接続され、吸気管8にはスロットル弁9およびエアクリーナ10が設置されている。なお、図1は1つのシリンダ4aのみを図示しているが、エンジン本体2は4つのシリンダ4aを有する。
オイルタンク3は、エンジン本体2から離れて配置された密閉容器であり、潤滑油11を貯留可能である。オイルタンク3は、オイル排出導管12およびオイル供給導管13によってクランク室5aと連結されている。
オイルタンク3には更に、オイルタンク3からブローバイガスを排出するための還流導管14が接続されている。還流導管14の一端は、オイルタンク3に固定されたPCVバルブ15に接続されている。ブローバイガス還流導管14の他端は、吸気管8のスロットル弁9よりも上流側に接続されている。還流導管14およびPCVバルブ15によって、本発明におけるブローバイガス排出路が構成される。
図2に示されるように、PCVバルブ15は、金属製のバルブケース16の内部に、弁体17を有している。弁体17は、ポート18から弁室19内に与えられる吸気管負圧と、圧縮コイルバネ20の反発力との平衡関係に応じて上下動し、ブローバイガス流量を制御するように構成されている。また弁室19内にはダンパ用の圧縮コイルバネ21が配置されている。
バルブケース16の下方部分を囲んで、ほぼ円筒形のオイル溜り部22が設けられている。バルブケース16はオイル溜り部22の内周面である通孔23に密接して嵌合されている。オイル溜り部22の上面には、入口管24および出口管25がそれぞれ上向きに接続されている。したがってオイル溜り部22は、所定量の潤滑油を保持可能である。出口管25はU字状に湾曲しており、その下向きの末端部はオイルタンク3内に開口している。
再び図1において、オイル排出導管12は、クランク室5a内に設置されたスカベンジポンプ26と、クランク室5aの底部のオイルパンの近傍に開口している取入口27を有する。オイル排出導管12は、このスカベンジポンプ26によって、クランク室5aからの潤滑油11をオイルタンク3内に排出することができる。オイル排出導管12の他端は、入口管24に接続されている。オイル供給導管13は、クランク室5a内に設置されたフィードポンプ28を有し、フィードポンプ28の吐出側は、シリンダヘッド29などのエンジン各部の潤滑ポイントに接続されている。スカベンジポンプ26およびフィードポンプ28は、エンジン本体2によって機械的に駆動されるが、電動式であってもよい。
以上のとおり構成された本実施形態のドライサンプ式エンジン1では、クランク室5aの底部のオイルパンに溜まった潤滑油11とブローバイガスは、スカベンジポンプ26によって取入口27から吸引され、オイル排出導管12、入口管24、オイル溜り部22および出口管25を順次経由して(矢印A)、オイルタンク3内に排出される。オイルタンク3内では、潤滑油11とブローバイガスとが分離され、ブローバイガスはPCVバルブ15および還流導管14を経由して、吸気管8に還元される(矢印B)。オイルタンク3内の潤滑油11は、フィードポンプ28によって吸引され(矢印C)、エンジン本体2の各部の潤滑ポイントに供給される(矢印D)。
ここで本実施形態では、スカベンジポンプ26によってオイル排出導管12を通じて流れる潤滑油は、オイル溜り部22を通る際に、PCVバルブ15の下方部分および弁体17を昇温させる。また、エンジン本体2およびスカベンジポンプ26が停止している場合には、オイル排出導管12を通じた潤滑油の排出が停止されるが、その際にはオイル溜り22の容積に対応した所定量の潤滑油が、オイル溜り22の内部に収容されて保持される。
以上のとおり、本実施形態では、還流導管14を開閉するためのPCVバルブ15が、クランク室5aからの油路の一部であるオイル溜り部22と熱交換可能に配置されているので、油路を通じてクランク室5aから排出される潤滑油11の熱が、PCVバルブ15に作用する。したがって、ドライサンプ式エンジン1におけるオイルタンク3からのブローバイガス排出路(還流導管14)にPCVバルブ15を組み込んだ場合において、PCVバルブ15の凍結を抑制することができる。
また本実施形態では、クランク室5aからの油路におけるPCVバルブ15の近傍に、所定量の潤滑油を保持可能なオイル溜り部22を設けたので、オイル溜り部22に保持された潤滑油11(図2参照)の熱容量により、エンジン1の停止後におけるPCVバルブの温度の低下を遅延させることができる。
なお、PCVバルブ15はオイルタンク3に固定するのが好適であるが、クランク室5aからの油路と熱交換可能な構造であれば、ブローバイガス排出路中のどの位置に設けてもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図3において、本発明の第2実施形態のドライサンプ式エンジン101は、オイルタンク3からブローバイガスを排出する還流導管114を開閉するためのPCVバルブ115を、エンジン本体2と熱交換可能に配置したものである。
PCVバルブ115は、シリンダブロック4の外側に形成された伝熱筐体122を介して、シリンダブロック4に固定されている。オイルタンク3には、ブローバイガスを排出する還流導管114の一端が固定されており、還流導管114の他端は伝熱筐体122に接続されている。伝熱筐体122はシリンダブロック4に固定または一体的に形成されており、シリンダブロック4の熱をPCVバルブ115に伝導可能である。伝熱筐体122はその内部に密閉された空室を画成している。第2実施形態の残余の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同一符号を付してその詳細の説明は省略する。
以上のとおり構成された第2実施形態では、還流導管114を開閉するためのPCVバルブ115が、エンジン本体2と熱交換可能に配置されているので、エンジン本体2からの熱がPCVバルブ115に作用する。したがって、ドライサンプ式エンジン1におけるオイルタンク3からのブローバイガス排出路(還流導管114)にPCVバルブ115を組み込んだ場合において、PCVバルブ115の凍結を抑制することができる。
また本実施形態では、PCVバルブ115をエンジン本体2のシリンダブロック4に固定したので、シリンダブロック4の高温を利用でき、本発明の目的を特に好適に実現できる。
なお、PCVバルブ115は、エンジン本体2におけるシリンダブロック4以外の箇所に固定してもよい。また、PCVバルブ115の周囲に、スカベンジポンプ26からの油路を導入し、この油路とPCVバルブ115を熱交換可能としてもよい。さらに、PCVバルブ115の周囲に、上記第1実施形態におけるオイル溜り部22と同様のオイル溜り部を設けてもよい。
なお、上記各実施形態では、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。例えば、上記第1実施形態では、オイル溜り部22は潤滑油11をその自重によって保持可能としたが、本発明におけるオイル溜り部は入口側および/または出口側にバルブを設け、これを開閉制御することで潤滑油を保持することとしてもよい。
また、上記各実施形態では本発明をガソリンエンジンに適用した例について説明したが、本発明は自然着火式のディーゼルエンジンなど各種の内燃機関に適用することが可能であり、そのような変形はいずれも本発明の範疇に属するものである。
本発明の第1実施形態に係るドライサンプ式エンジンの概略構成図である。 第1実施形態におけるPCVバルブ近傍の構造を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係るドライサンプ式エンジンの概略構成図である。
符号の説明
1,101 ドライサンプ式エンジン
2 エンジン本体
3 オイルタンク
4 シリンダブロック
5a クランク室
8 吸気管
11 潤滑油
12 オイル排出導管
13 オイル供給導管
14,114 ブローバイガス還流導管
15,115 PCVバルブ
22 オイル溜り部
26 スカベンジポンプ
122 伝熱筐体

Claims (5)

  1. 潤滑油を貯留するオイルタンクと、エンジン本体のクランク室からスカベンジポンプによって前記オイルタンクに潤滑油を排出する油路と、前記オイルタンクからブローバイガスを排出するブローバイガス排出路と、を備えたドライサンプ式エンジンであって、
    前記ブローバイガス排出路を開閉するためのPCVバルブを更に備え、該PCVバルブは前記油路と熱交換可能に配置されていることを特徴とするドライサンプ式エンジン。
  2. 請求項1に記載のドライサンプ式エンジンであって、
    前記油路における前記PCVバルブの近傍には、所定量の潤滑油を保持可能なオイル溜り部が設けられていることを特徴とするドライサンプ式エンジン。
  3. 請求項1または2に記載のドライサンプ式エンジンであって、
    前記PCVバルブは前記オイルタンクに固定されていることを特徴とするドライサンプ式エンジン。
  4. 潤滑油を貯留するオイルタンクと、エンジン本体のクランク室からスカベンジポンプによって前記オイルタンクに潤滑油を排出する油路と、前記オイルタンクからブローバイガスを排出するブローバイガス排出路と、を備えたドライサンプ式エンジンであって、
    前記ブローバイガス排出路を開閉するためのPCVバルブを更に備え、該PCVバルブは前記エンジン本体と熱交換可能に配置されていることを特徴とするドライサンプ式エンジン。
  5. 請求項4に記載のドライサンプ式エンジンであって、
    前記PCVバルブは、前記エンジン本体のシリンダブロックに固定されていることを特徴とするドライサンプ式エンジン。
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