JP2008038601A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008038601A
JP2008038601A JP2006209521A JP2006209521A JP2008038601A JP 2008038601 A JP2008038601 A JP 2008038601A JP 2006209521 A JP2006209521 A JP 2006209521A JP 2006209521 A JP2006209521 A JP 2006209521A JP 2008038601 A JP2008038601 A JP 2008038601A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
injection
fuel
small
nozzle hole
injection hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006209521A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinobu Ishiyama
忍 石山
Akitoshi Tomota
晃利 友田
Michio Furuhashi
道雄 古橋
Koichiro Nakatani
好一郎 中谷
Hisafumi Magata
尚史 曲田
Tomoyoshi Ogo
知由 小郷
Eiji Hashimoto
英次 橋本
Koji Karita
孝司 苅田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2006209521A priority Critical patent/JP2008038601A/ja
Publication of JP2008038601A publication Critical patent/JP2008038601A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】この発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、燃料を噴射する噴孔を小噴孔から大噴孔へ切り替えた際に、燃焼騒音を増大させることなく、スモークの増加を抑制することを目的とする。
【解決手段】比較的低速側の運転領域を小噴孔使用域とし、比較的高速側の運転領域を大噴孔使用域とする。大噴孔使用域のうち、少なくとも小噴孔使用域との境界に近い所定の範囲においては、スワール比が小噴孔使用域のスワール比より高くなるように、スワール比をアップする。小噴孔から大噴孔へ切り替えたとき、噴霧の粒径が大きくなるが、スワール比のアップが同時に実施されるので、スモークの生成を有効に抑制することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
実開平5−36068号公報には、一つの気筒の燃焼室に、互いに噴孔径の異なる第1噴射ノズルおよび第2噴射ノズルを設け、低負荷側の運転域では噴孔径が小さい方のノズルから燃料を噴射し、高負荷側の運転域では噴孔径が大きい方のノズルから燃料を噴射するようにしたディーゼル機関の燃料噴射装置が開示されている。
一般に、噴孔径が小さいほど、噴霧を微粒化することができるので、空気と燃料との混合を促進することができる。一方、噴孔径が大きいほど、燃料を短時間に噴射することができるとともに、噴射された燃料の貫徹力を強くすることができる。上記公報に開示されたような、噴孔径が小さいノズルと大きいノズルとを切り替えて使用可能なディーゼル機関においては、運転状態に応じて、小噴孔および大噴孔のうち、有利な方を選択して使用することができる。
実開平5−36068号公報 特開平5−296124号公報
しかしながら、上記のようなディーゼル機関においては、小噴孔から大噴孔へ切り替えた際には、噴霧の微粒化が悪くなる(粒径が大きくなる)。このため、小噴孔から大噴孔へ切り替えたときに、スモークが増加し易いという問題がある。レール圧(燃料噴射圧力)をアップすれば、そのときのスモークの増加を抑制することはできるが、レール圧をアップすると燃焼騒音が増大するので、レール圧はアップしたくないという事情がある。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、燃料を噴射する噴孔を小噴孔から大噴孔へ切り替えた際に、燃焼騒音を増大させることなく、スモークの増加を有効に抑制することのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の燃料噴射制御装置であって、
大噴孔と、前記大噴孔より開口面積が小さい小噴孔とを有し、前記大噴孔と前記小噴孔との何れか一方から内燃機関の筒内に燃料を噴射可能な燃料噴射手段と、
前記内燃機関の運転領域を比較的低速側の小噴孔使用域とそれより高速側の大噴孔使用域とに分けて、前記小噴孔使用域では前記小噴孔から燃料が噴射され、前記大噴孔使用域では前記大噴孔から燃料が噴射されるように、前記燃料噴射手段を制御する噴孔切替手段と、
スワール比を可変とするスワール比可変手段と、
前記大噴孔使用域のうち、少なくとも前記小噴孔使用域との境界に近い所定の範囲においては、スワール比が前記小噴孔使用域のスワール比より高くなるように前記スワール比可変手段を制御するスワール制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記小噴孔の数が前記大噴孔の数がより多いことを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記小噴孔使用域と前記大噴孔使用域との境界より高速側の所定の範囲においては、燃料噴射圧力が、前記小噴孔から前記大噴孔に切り替わる直前の燃料噴射圧力以下となるように制御し、それ以外の範囲においては、機関回転速度が高くなるほど燃料噴射圧力が高くなるように制御する噴射圧制御手段を更に備えることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
1サイクル中に、メイン噴射に先立ってパイロット噴射を1回または複数回実施可能なパイロット噴射手段と、
前記内燃機関の運転領域を比較的低速側の第1領域とそれより高速側の第2領域とに分けて、前記第2領域でのパイロット噴射の回数を前記第1領域でのパイロット噴射の回数より少なくするパイロット噴射回数切替手段と、
機関負荷の増大を伴って機関回転速度が上昇する場合には、パイロット噴射の回数を切り替える境界の機関回転速度を、定常状態のときと比べて高速側にシフトするシフト手段と、
を更に備えることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記スワール比可変手段は、吸気弁のバルブタイミングを変化させることでスワール比を変化させるものであることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、
前記内燃機関は、ディーゼル機関であることを特徴とする。
第1の発明によれば、燃料を噴射する噴孔を大噴孔と小噴孔とに切り替え可能な内燃機関において、比較的低速側の運転領域を小噴孔使用域とし、それより高速側の運転領域を大噴孔使用域とすることができる。そして、大噴孔使用域のうち、少なくとも小噴孔使用域との境界に近い所定の範囲においては、スワール比が小噴孔使用域のスワール比より高くなるように、スワール比を変化させることができる。これにより、小噴孔から大噴孔への切り替えが実施された場合には、スワール比をアップすることができる。このため、大噴孔へ切り替えによって噴霧の粒径が大きくなっても、スワール比のアップが同時に実施されるので、スモークの生成を有効に抑制することができる。つまり、小噴孔から大噴孔へ切り替えたときにスモークが排出されることを有効に防止することができる。また、燃料噴射圧力を高くすることなしにスモークを抑制することができるので、燃焼騒音が大きくなるという問題が生ずることもない。
第2の発明によれば、小噴孔の数が大噴孔の数がより多くなっているので、小噴孔使用域であっても、必要に応じて十分な量の燃料を噴射することができる。
第3の発明によれば、小噴孔使用域と大噴孔使用域との境界より高速側の所定の範囲においては、燃料噴射圧力が、小噴孔から大噴孔に切り替わる直前の燃料噴射圧力以下となるように制御し、それ以外の範囲においては、機関回転速度が高くなるほど燃料噴射圧力が高くなるように制御することができる。このため、第3の発明によれば、小噴孔から大噴孔へ切り替わった後、燃料噴射圧力を比較的低く抑えることができる。よって、燃焼騒音が大きくなり易い大噴孔への切り替えが実施されたときに、燃焼騒音が増加することをより確実に防止することができる。なお、本発明では、小噴孔から大噴孔へ切り替わった後には、スワール比のアップが実施されているので、燃料噴射圧力を比較的低く抑えても、スモークが増加することはない。
第4の発明によれば、比較的高速側の領域でのパイロット噴射の回数をそれより低速側の領域でのパイロット噴射の回数より少なくする内燃機関において、機関負荷の増大を伴って機関回転速度が上昇する場合には、パイロット噴射の回数を切り替える境界の機関回転速度を、定常状態のときと比べて高速側にシフトすることができる。パイロット噴射の回数が少なくなる方向に噴射パターンを切り替えると、燃焼騒音が増大するが、その切り替わる機関回転速度を高速側にシフトすると、燃焼騒音の増加を運転者が感じにくくすることができる。これは、機関回転速度が高速であるほど、機械騒音や、車両の風切り音、ロードノイズなどの他の騒音が大きく、燃焼騒音が相対的に小さくなるからである。よって、第4の発明によれば、パイロット噴射の回数が少なくなる方向に噴射パターンを切り替える際に、運転者が燃焼騒音の増加を感ずることを確実に抑制することができる。
第5の発明によれば、吸気弁のバルブタイミングを変化させることでスワール比を変化させるものであることができる。このため、スワール比を、高い自由度で、かつ精度良く変化させることができる。
第6の発明によれば、ディーゼル機関において、上記効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、4サイクルのディーゼル機関10を備えている。ディーゼル機関10は、車両に搭載され、その動力源とされているものとする。本実施形態のディーゼル機関10は、直列4気筒型であるが、本発明におけるディーゼル機関の気筒数および気筒配置はこれに限定されるものではない。
ディーゼル機関10の各気筒には、燃料を筒内に直接噴射するインジェクタ12が設置されている。各気筒のインジェクタ12は、共通のコモンレール14に接続されている。コモンレール14内には、サプライポンプ16によって加圧された高圧の燃料が貯留されている。そして、コモンレール14内から、各インジェクタ12へ、燃料が供給される。本実施形態のディーゼル機関10では、コモンレール14内の燃料の圧力(以下、「レール圧」と称する)が、インジェクタ12からの燃料噴射圧力に相当する。
インジェクタ12は、1サイクル中に複数回、任意のタイミングで燃料を筒内に噴射可能になっている。すなわち、本実施形態のディーゼル機関10では、1サイクル中に、主たる燃料噴射であるメイン噴射に先立って、パイロット噴射を1回または2回実施可能になっている。また、メイン噴射の直後に行われるアフター噴射や、より後のタイミングで行われる、出力に寄与しないポスト噴射などを更に実施可能になっていてもよい。
ディーゼル機関10の排気通路18は、排気マニホールド20により枝分かれして、各気筒の排気ポート22(図2参照)に接続されている。本実施形態のディーゼル機関10は、ターボ過給機24を備えている。排気通路18は、ターボ過給機24の排気タービンに接続されている。
排気通路18の、ターボ過給機24より下流側には、排気ガスを浄化する排気浄化装置26が設けられている。排気浄化装置26としては、例えば、酸化触媒、吸蔵還元型または選択還元型のNOx触媒、DPF(Diesel Particulate Filter)、DPNR(Diesel Particulate-NOx-Reduction system)のうちの一つ、またはこれらの組み合わせなどを用いることができる。
ディーゼル機関10の吸気通路28の入口付近には、エアクリーナ30が設けられている。エアクリーナ30を通って吸入された空気は、ターボ過給機24の吸気圧縮機で圧縮された後、インタークーラ32で冷却される。インタークーラ32を通過した吸入空気は、吸気マニホールド34により、各気筒の吸気ポート35(図2参照)に分配される。
吸気通路28の、インタークーラ32と吸気マニホールド34との間には、吸気絞り弁36が設置されている。また、吸気通路28の、エアクリーナ30の下流近傍には、吸入空気量を検出するエアフローメータ38が設置されている。
吸気通路28の吸気マニホールド34の近傍には、外部EGR通路40の一端が接続されている。外部EGR通路40の他端は、排気通路18の排気マニホールド20近傍に接続されている。本システムでは、この外部EGR通路40を通して、排気ガス(既燃ガス)の一部を吸気通路28に還流させること、つまり外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)を行うことができる。
外部EGR通路40の途中には、外部EGRガスを冷却するためのEGRクーラ42が設けられている。外部EGR通路40におけるEGRクーラ42の下流には、EGR弁44が設けられている。このEGR弁44の開度を変えることにより、外部EGR通路40を通る排気ガス量、すなわち外部EGR量を調整することができる。
また、本システムにおいて、外部EGR量は、EGR弁44の開度だけでなく、吸気絞り弁36の開度によっても調整することができる。吸気絞り弁36の開度を小さくして吸気を絞ると、吸気圧が小さくなるので、背圧(排気圧)との差圧が大きくなる。つまり、外部EGR通路40の前後の差圧が大きくなる。このため、外部EGR量を多くすることができる。
そして、本実施形態のシステムは、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ48と、ECU(Electronic Control Unit)50とを更に備えている。ECU50には、上述した各種のセンサおよびアクチュエータが接続されている。ECU50は、各センサの出力に基づき、所定のプログラムに従って各アクチュエータを作動させることにより、ディーゼル機関10の運転状態を制御する。
図2は、図1に示すシステムにおけるディーゼル機関10の一つの気筒の断面を示す図である。以下、ディーゼル機関10について更に説明する。図2に示すように、ディーゼル機関10のクランク軸60の近傍には、クランク軸60の回転角度を検出するクランク角センサ62が取り付けられている。このクランク角センサ62は、ECU50に接続されている。クランク角センサ62によれば、機関回転速度を検出することができる。
また、ディーゼル機関10には、吸気弁52のバルブタイミング(開閉時期)を連続的に可変とする吸気可変動弁機構54と、排気弁56のバルブタイミングを連続的に可変とする排気可変動弁機構58とが備えられている。吸気可変動弁機構54および排気可変動弁機構58は、それぞれ、ECU50に接続されている。
吸気可変動弁機構54および排気可変動弁機構58の具体的な構造は、特に限定されず、カム機構などの機械的な機構を利用するものであっても、任意の時期に開閉可能な電磁駆動弁あるいは油圧駆動弁などを利用するものであってもよい。
なお、本実施形態では、排気可変動弁機構58は、なくてもよい。すなわち、排気弁56のバルブタイミングは、固定されていてもよい。
(可変噴孔インジェクタ)
図3は、ディーゼル機関10が備えるインジェクタ12のノズル先端部を示す断面図である。以下に説明するように、本実施形態では、インジェクタ12は、開口面積の異なる2種の噴孔を備えた可変噴孔インジェクタで構成されている。図面の枚数を節約するための便宜上、図3では、大噴孔72から燃料を噴射しているときの状態を中心線の右側に表し、小噴孔74から燃料を噴射しているときの状態を中心線の左側に表している。
図3に示すように、インジェクタ12のノズルボディー70の先端付近には、複数の大噴孔72が形成されている。更に、ノズルボディー70の、大噴孔72より基端側の部位には、複数の小噴孔74が形成されている。小噴孔74の孔径は、大噴孔72の孔径より小さくなっている。すなわち、小噴孔74の開口面積は、大噴孔72の開口面積より小さくなっている。また、小噴孔74の数は、大噴孔72の数より多くされていることが好ましい。
ノズルボディー70の先端部内面には、バルブシートが形成されている。そして、ノズルボディー70の内部には、アウターニードル76とインナーニードル78とが配置されている。アウターニードル76は、中空(筒状)になっている。このアウターニードル76の内側に、インナーニードル78が挿通されている。アウターニードル76がバルブシートに着座すると、小噴孔74が封鎖される。インナーニードル78がバルブシートに着座すると、大噴孔72が封鎖される。
アウターニードル76と、インナーニードル78とは、別々にリフト可能になっている。インナーニードル78を着座させたままアウターニードル76をリフトさせると、小噴孔74が開通する。これにより、燃料溜まり80に溜まっていた燃料が小噴孔74を通って噴射される(図3の中心線の左側参照)。一方、アウターニードル76を着座させたままインナーニードル78をリフトさせると、大噴孔72が開通する。これにより、燃料溜まり82に溜まっていた燃料が大噴孔72を通って噴射される(図3の中心線の右側参照)。なお、アウターニードル76がバルブシートに着座している状態であっても、図3中に現れていない通路を通って、燃料溜まり82へ燃料が供給されるようになっている。
ディーゼル機関10では、上述したような可変噴孔式のインジェクタ12を用いることにより、開口面積が比較的大きい大噴孔72と、開口面積が比較的小さい小噴孔74との一方を選択して、燃料を噴射することができる。
(可変スワール比)
図4は、ディーゼル機関10の一つの気筒の模式的な平面図である。同図に示すように、ディーゼル機関10には、1気筒当たり、ヘリカルポート35aとタンジェンシャルポート35bとの二つの吸気ポート35が設けられている。ヘリカルポート35aおよびタンジェンシャルポート35bは、別々の吸気弁52により開閉される。ヘリカルポート35aは、空気を螺旋状に旋回させながら、筒内へ流入させる。つまり、ヘリカルポート35aは、スワール比の大きい吸気ポート35である。一方、タンジェンシャルポート35bは、シリンダボアの接線方向に向けて空気を流入させる。このタンジェンシャルポート35bは、ヘリカルポート35aと比べ、スワール比は小さいが、より多くの空気を筒内に流入させることのできる吸気ポート35である。
吸気可変動弁機構54は、タンジェンシャルポート35b側の吸気弁52をヘリカルポート35a側の吸気弁52よりも早く閉じる動作(以下、「吸気弁52の片弁早閉じ」と称する)を行うことができるようになっている。
ヘリカルポート35a側の吸気弁52とタンジェンシャルポート35b側の吸気弁52とが共に開いている状態では、ヘリカルポート35aから流入する空気が作る強いスワールが、タンジェンシャルポート35bからの流れによって弱められてしまう。これに対し、タンジェンシャルポート35b側の吸気弁52を早く閉じると、その後はヘリカルポート35aのみから空気が流入するので、強いスワールを発生させることができる。よって、タンジェンシャルポート35b側の吸気弁52の閉じ時期を早くするほど、スワール比を大きくすることができる。ディーゼル機関10では、吸気可変動弁機構54により、吸気弁52の片弁早閉じを行う場合において、タンジェンシャルポート35b側の吸気弁52の閉じ時期を連続的に変化させることにより、スワール比を自由に調整することができる。
本実施形態のディーゼル機関10では、上述した方法以外に、吸気弁52の開き時期を変化させることによっても、スワール比を変化させることができる。図5は、吸気弁52のリフト特性を示す図である。図5中の実線は、通常時の吸気弁52のリフトカーブである。このリフトカーブから分かるように、通常時は、吸気上死点(TDC)での吸気弁52のリフト量は比較的小さい。このため、吸気行程の初期には吸気ポート35内の流速が比較的遅い。
これに対し、図5中の破線は、吸気弁52の開き時期を通常時よりも進角させた場合のリフトカーブである。このリフトカーブに示すように、吸気弁52の開き時期を進角させると、吸気上死点での吸気弁52のリフト量を比較的大きくすることができる。このため、吸気行程の初期から吸気ポート35内の流速を比較的速くすることができる。その結果、筒内に強いスワールを形成させることができ、スワール比を高くすることができる。
なお、本実施形態では、上記の何れかの手法によってスワール比を変化させるものとして説明するが、本発明では、スワール比を変化させる手法は上記の手法に限定されるものではない。例えば、吸気ポート35に設けたスワール制御弁の開度を調整することでスワール比を変化させるようにしてもよい。
[実施の形態1の特徴]
(小噴孔74から大噴孔72への切り替えに伴うスワール比の制御)
図6は、ディーゼル機関10の運転領域を示す図である。図6に示すように、可変噴孔式のインジェクタ12を備えた本実施形態のシステムでは、比較的低速側の領域(以下、「小噴孔使用域」と称する)では小噴孔74から燃料を噴射して運転し、比較的高速側の領域(以下、「大噴孔使用域」と称する)では大噴孔72から燃料を噴射して運転することとしている。
一般に、低速域では、高速域と比べ、空気流動が小さい(遅い)ために空気と燃料とが混合しにくく、スモークが生成し易くなる。これに対し、本実施形態では、低速域で小噴孔74から燃料を噴射するので、燃料の微粒化が促進され、噴霧の粒径を小さくすることができる。よって、低速域でのスモークを少ないレベルに抑えることができる。
一方、高速域では、ターボ過給機24の回転が上昇し、過給圧が高くなる。このため、圧縮上死点近傍における筒内の空気の密度が大きくなる。このような状況下では、噴孔径が小さいと、噴霧の貫徹力が弱いので、噴霧の到達距離が短くなり易い。噴霧の到達距離が短いと、インジェクタ12のノズルから遠い位置にある空気を有効に活用しにくくなる。これに対し、本実施形態では、高速域で大噴孔72から燃料を噴射するので、噴霧の貫徹力を強くすることができ、密度の大きい空気中であっても噴霧を十分に飛ばすことができる。
また、機関回転速度が高速になるほど、1サイクルの時間が短くなるので、短時間のうちに燃料噴射を完了することが要求される。本実施形態では、高速域で大噴孔72から燃料を噴射するので、短時間に燃料噴射を完了することができ、熱効率を改善することができる。
なお、図6に示す例では、小噴孔使用域と大噴孔使用域との境界90の機関回転速度が機関負荷(燃料噴射量)にかかわらず一定となっているが、この境界90の機関回転速度は、機関負荷に応じて変化するようになっていてもよい。すなわち、図6中で、境界90は、横軸に対し垂直になっていなくてもよい。
ところで、高速域では、空気流動が大きい(速い)ため、低速域よりは空気と燃料とが混合し易い。このため、噴霧の微粒化状態(粒径)が同じであれば、低速域よりもスモークは生成しにくい。しかしながら、本実施形態の場合、ディーゼル機関10の運転状態が小噴孔使用域から大噴孔使用域へ移行した際には、小噴孔74から大噴孔72への切り替えが実施されるので、噴霧の微粒化が悪くなる(粒径が大きくなる)。このため、小噴孔使用域から大噴孔使用域へ移行したとき、スモークが増加するおそれがある。
このスモークの増加を回避する方法としては、燃料噴射圧力を高くすることも考えられる。燃料噴射圧力を高くすれば、噴霧をより微粒化することができるので、スモークの増加を回避することができる。しかしながら、燃料噴射圧力を高くすると、燃焼騒音が大きくなる。このため、燃料噴射圧力は高くしたくないという事情がある。
本実施形態のディーゼル機関10は、前述したように、スワール比を変化させることが可能である。小噴孔使用域から大噴孔使用域へ移行したときのスモークの増加を回避するための他の方法として、スワール比をアップする方法が考えられる。スワール比をアップすれば、空気と燃料との混合を促進することができるので、スモークの生成を有効に抑制することができる。また、スワール比をアップしても、燃焼騒音が大きくなるなどの弊害が生ずることもない。
そこで、本実施形態では、小噴孔74から大噴孔72へ切り替える際には、スワール比をアップする制御を併せて実施することとした。具体的には、大噴孔使用域のうち、図6中でハッチングを付した領域(以下、「スワールアップ領域」と称する)では、スワール比が小噴孔使用域のスワール比より大きくなるように、吸気可変動弁機構54を制御することとした。
なお、大噴孔使用域のうち、図6中にAで示す高速高負荷の領域はスワールアップ領域とされていない。すなわち、この領域Aでは、スワール比のアップは実施されず、基本のスワール比となるように制御されるものとする。これにより、特に多量の空気を必要とする高速高負荷の領域Aにおいて、筒内の空気量を十分に確保することができる。
一般に、機関回転速度が高速になるほど、空気流動が大きくなり、空気と燃料との混合が促進されるので、スモークは生成しにくくなる。このため、上記領域Aにおいては、スワール比のアップを実施しなくても、スモークが増加するおそれはない。
ところで、スワール比可変機構を備えた従来のディーゼル機関では、空気流動の小さい低速域において、空気と燃料との混合を助けるために、スワール比をアップさせることが普通である。本実施形態では、これとは逆に、低速域(小噴孔使用域)よりも高速域(大噴孔使用域)のスワール比が高くなるように制御している。このように、小噴孔74と大噴孔72とを切り替えるディーゼル機関10においては、低速域と高速域とのスワール比の関係を従来と逆にすることにより、エミッション性能等の最適化を図ることができる。
(小噴孔74から大噴孔72への切り替えに伴う燃料噴射圧力の制御)
小噴孔74から大噴孔72へ切り替わると、噴射率(時間当たりの噴射量)が大きくなるため、着火遅れ期間中に筒内に溜まる燃料量(可燃混合気量)も多くなる。よって、自己着火が生じたとき、その多量の燃料が一気に燃焼して筒内圧が急上昇する。燃焼騒音は、筒内圧が急上昇する場合ほど、大きくなり易い。このため、小噴孔74から大噴孔72へ切り替わった際には、燃焼騒音が大きくなり易い。
そこで、本実施形態では、小噴孔74から大噴孔72へ切り替わった後の燃料噴射圧力を抑制することにより、燃焼騒音の増大を抑えることとした。以下、図7を参照して、より具体的に説明する。
図7は、図6中のラインB上におけるレール圧(燃料噴射圧力)を示す図である。ディーゼル機関10では、通常、機関回転速度が高くなるほど、レール圧が高くなるように制御される。これは、機関回転速度が高いほど、燃料噴射を短時間に完了する必要があるからである。よって、図7中の点Cにおいて小噴孔74から大噴孔72への切り替えが実施された後は、機関回転速度の上昇に伴い、破線Dのようにレール圧が徐々に高くなるように制御することが一般的である。
これに対し、本実施形態では、小噴孔使用域と大噴孔使用域との境界(図7中では点C)より高速側の所定の範囲(図7中のEで示す範囲)においては、レール圧が、小噴孔74から大噴孔72へ切り替わる直前のレール圧(点Cのレール圧)以下となるように制御することとした。すなわち、図7中のEの範囲のレール圧が、図7中のFで示すように、点Cのレール圧と同じに維持されるか、あるいは、図7中のGで示すように、点Cのレール圧より低くなるように制御することとした。
これにより、小噴孔74から大噴孔72へ切り替わった後、燃料噴射圧力が比較的低く抑えられるので、燃焼騒音の増加を有効に抑制することができる。また、前述したように、小噴孔74から大噴孔72へ切り替わった後には、スワール比のアップが実施されている。このため、小噴孔74から大噴孔72へ切り替わった後に燃料噴射圧力を比較的低く抑えても、スモークが増加することを回避することができる。
なお、運転者にとって、燃焼騒音は、機関回転速度が高くなるほど、聞こえにくくなる。これは、機関回転速度が高いほど、ディーゼル機関10の機械騒音や、車両の風切り音、ロードノイズなどの他の騒音が大きくなるので、燃焼騒音が相対的に小さくなるからである。よって、図7中のEの範囲より高速側においては、燃料噴射圧力を通常のように制御しても、燃焼騒音が問題となることはない。
[実施の形態1における具体的処理]
図8は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。なお、本ルーチンは、所定時間毎に、あるいはクランク角に同期してサイクル毎に、繰り返し実行されるものとする。図8に示すルーチンによれば、まず、現在の機関回転速度、アクセル開度等の情報が読み込まれる(ステップ100)。
続いて、上記ステップ100で読み込まれた情報に基づいて、現在の運転状態が、大噴孔使用域内のスワールアップ領域にあるか否かが判別される(ステップ102)。ECU50には、図6に相当するマップが予め記憶されており、このステップ102では、そのマップに基づいて、スワールアップ領域にあるか否かが判別される。
そして、現在の運転状態がスワールアップ領域にあると判別された場合には、スワール比が小噴孔使用域のスワール比よりも高くなるように、吸気可変動弁機構54が制御される。具体的には、タンジェンシャルポート35b側の吸気弁52の閉じ時期を早くするか、あるいは吸気弁52の開き時期を早くするように、吸気可変動弁機構54が制御される。
一方、上記ステップ104で、現在の運転状態がスワールアップ領域にないと判別された場合には、今回の処理サイクルがそのまま終了される。
以上説明した図8に示すルーチンの処理によれば、小噴孔74から大噴孔72への切り替えが実施された場合には、スワール比をアップすることができる。このため、噴霧の微粒化が悪くなることに起因するスモークの増加を相殺することができ、スモークの排出を有効に抑制することができる。また、燃料噴射圧力を高くすることなしにスモークを抑制することができるので、燃焼騒音が増大することを防止することができる。
更に、本実施形態では、レール圧が、前述した図7に示すようにして制御される。これにより、小噴孔74から大噴孔72へ切り替わった後の燃料噴射圧力を比較的低く抑えることができるので、燃焼騒音の増大をより確実に防止することができる。
なお、図7では、図6中のラインB上のレール圧のみを示しているが、燃料噴射量がラインBと異なるときも、同様にしてレール圧が制御されるものとする。この場合、通常、燃料噴射量が多くなるほど、すなわち機関負荷が大きくなるほど、レール圧が高くなるように制御される。
また、本発明では、ワールアップ領域は、図6に示すような範囲でなくてもよい。例えば、スワールアップ領域は、図9中でハッチングを付して示す範囲に設定されていてもよい。つまり、本発明では、大噴孔使用域のうち、小噴孔使用域との境界に近い所定の範囲にスワールアップ領域が設定されていればよい。逆に、大噴孔使用域のすべてがスワールアップ領域に設定されていてもよい。
また、本発明では、可変噴孔式のインジェクタの具体的な構造は、前述した図3に示す構造に限定されるものではなく、大噴孔と小噴孔とを切り替えて使用することができるものであれば、いかなる構造であっても良い。更に、本発明では、大噴孔のインジェクタと小噴孔のインジェクタとが別々になっていてもよい。すなわち、一気筒当たりに、噴孔径の異なる二つのインジェクタが設置された構造であってもよい。
また、上述した実施の形態1では、ディーゼル機関を対象とする制御について説明したが、本発明は、火花点火内燃機関(特に、直噴ガソリン機関)などの他種の内燃機関を対象とする制御に適用することも可能である。
また、上述した実施の形態1では、小噴孔74から大噴孔72へ切り替わった際にスワール比をアップする制御を定常運転状態であるか過渡運転状態(加速状態)であるかにかかわらず実施するものとして説明したが、本発明では、上記制御を過渡運転状態でのみ実施することにしてもよい。すなわち、機関負荷の増大を伴う加速時に、機関回転速度の上昇に従って小噴孔使用域から大噴孔使用域へ移行した際に、一時的に(例えば数秒間)スワール比をアップし、その後、スワール比を元の値に戻すようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、インジェクタ12が前記第1の発明における「燃料噴射手段」に、吸気可変動弁機構54が前記第1の発明における「スワール比可変手段」に、それぞれ相当している。また、ECU50が、図6に示すマップに従って大噴孔72と小噴孔74との切り替えを実施することにより前記第1の発明における「噴孔切替手段」が、図8に示すルーチンの処理を実行することにより前記第1の発明における「スワール制御手段」が、図7に示すようなマップに従ってレール圧を制御することにより前記第3の発明における「噴射圧制御手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図10乃至図12を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。本実施形態のシステムは、図1および図2に示すハードウェア構成を用いて、ECU50に、後述する図12に示すルーチンを追加的に実行させることにより実現することができる。
[実施の形態2の特徴]
(パイロット噴射回数の切り替え)
図10は、本実施形態のディーゼル機関10において実施されるパイロット噴射を説明するための図である。ディーゼル機関10では、メイン噴射の前に、1回または2回のパイロット噴射を実施することができる。図10中の上側は、パイロット噴射を2回実施する場合(以下、「マルチパイロット噴射」と言う)のインジェクタ12への駆動信号を示す図である。この図に示す例では、1回目のパイロット噴射と2回目のパイロット噴射との間は、比較的離れており、2回目のパイロット噴射とメイン噴射との間は比較的近くされている。
これに対し、図10中の下側は、パイロット噴射を1回実施する場合(以下、「シングルパイロット噴射」と言う)のインジェクタ12への駆動信号を示す図である。この図に示すように、シングルパイロット噴射の場合には、マルチパイロット噴射における2回目のパイロット噴射が省略されたような噴射パターンとされる。
一般に、ディーゼル機関10の燃焼騒音は、着火遅れ期間が長いほど、大きくなり易い。着火遅れ期間が長いと、その間に筒内に溜まる可燃混合気の量が多くなるので、着火後にその多量の可燃混合気が一気に燃焼することになる。その結果、筒内圧が急激に上昇するので、燃焼騒音が大きくなる。
燃焼騒音は、パイロット噴射を行うことで、低減することができる。パイロット噴射を行うと、そのパイロット噴射で噴射された少量の燃料が燃焼することで火種が作られ、筒内の温度が高くなったところに、メイン噴射が行われることになる。このため、メイン噴射で噴射された燃料の着火遅れ期間を短くすることができる。よって、燃焼騒音を低減することができる。
そして、マルチパイロット噴射を実施した場合には、シングルパイロット噴射の場合と比べて、着火遅れ期間を更に短くすることができ、筒内圧の上昇をよりなだらかにすることができる。このため、燃焼騒音を更に低減することができる。逆に言えば、シングルパイロット噴射の場合には、マルチパイロット噴射の場合と比べると、燃焼騒音が大きくなる。よって、燃焼騒音を抑える観点からは、すべての運転領域においてマルチパイロット噴射を実施することが好ましい。
しかしながら、インジェクタ12等の噴射系の制約により、噴射と噴射との時間間隔を短くすることには限界がある。このため、2回目のパイロット噴射とメイン噴射との時間間隔が極めて短くなる高速域では、マルチパイロット噴射を実施することが困難となる。この場合に、2回目のパイロット噴射を敢えて実施したとすると、その噴射によって低下したレール圧が回復し切れないうちにメイン噴射が実施されることになる。その結果、メイン噴射の噴射圧力が低くなり、スモークが増加し易くなる。つまり、高速域では、スモークが制約となって、マルチパイロット噴射が困難となる。
このようなことから、本システムでは、機関回転速度がある速度より高い領域では、マルチパイロット噴射を行わず、シングルパイロット噴射を実施することとしている。図11は、マルチパイロット噴射が実施される運転領域(以下、「マルチパイロット領域」と称する)と、シングルパイロット噴射が実施される運転領域(以下、「シングルパイロット領域」と称する)とを示す図である。ディーゼル機関10が定常運転状態にある場合には、図11中の破線より低速側のマルチパイロット領域ではマルチパイロット噴射が実施され、その破線より高速側のシングルパイロット領域ではシングルパイロット噴射が実施される。
なお、図11では、マルチパイロット領域とシングルパイロット領域との境界が機関負荷(噴射量)にかかわらず一定の機関回転速度になっているが、両領域の境界とする機関回転速度が機関負荷に応じて変化するようになっていてもよい。
ディーゼル機関10の運転状態がマルチパイロット領域からシングルパイロット領域へ移行した場合には、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射への切り替えが実施されるので、燃焼騒音が増加する。特に、レール圧の上昇を伴う加速時には、燃料噴射圧力の上昇に起因する燃焼騒音の増加と、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射へ切り替えに起因する燃焼騒音の増加とが合わさるので、燃焼騒音の増加が顕著に現れ易い。
そこで、本実施形態では、加速時においては、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射への噴射パターンの切り替えを実施する機関回転速度を定常時よりも高速側にシフトさせることとした。すなわち、加速時には、図11中の実線の位置でマルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射への切り替えを実施することとした。
マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射へ切り替わる機関回転速度を高速側にシフトすると、燃焼騒音の増加を運転者が感じにくくすることができる。これは、機関回転速度が高速であるほど、ディーゼル機関10の機械騒音や、車両の風切り音、ロードノイズなどの他の騒音が大きく、燃焼騒音が相対的に小さくなるからである。よって、本実施形態によれば、加速時に、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射へ切り替わる機関回転速度を高速側にシフトすることにより、運転者が燃焼騒音の増加を感ずることを有効に抑制することができる。
なお、本実施形態では、前述した実施の形態1と同様に、小噴孔74から大噴孔72へ切り替わった際にスワール比のアップを実施するようにしている。前述したように、機関回転速度が高いときにマルチパイロット噴射を実施すると、スモークが増加し易くなるが、本実施形態では、スワール比のアップが併せて実施されているので、スモークの増加を抑制することが可能である。このため、本実施形態では、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射へ切り替わる機関回転速度を高速側にシフトさせたとしても、スモークが増加することはない。
なお、本実施形態では、定常時および加速時の、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射への切り替わりの機関回転速度(図11中の破線および実線)は、図6あるいは図9に示すスワールアップ領域内に入っていることが好ましい。
[実施の形態2における具体的処理]
図12は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図12に示すルーチンによれば、まず、現在の機関回転速度が低速域にあるか否かが判別される(ステップ106)。具体的には、機関回転速度が図11中の破線以下であるか否かが判別される。
機関回転速度が低速域にあると判別された場合には、次に、加速状態にあるか否かが判別される(ステップ108)。すなわち、アクセル開度が検出され、アクセルペダルが踏み増しされている場合には、加速状態にあると判別される。そして、加速状態にあると判別された場合には、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射への噴射パターンの切り替えを実施する機関回転数が、図11中の破線の位置から実線の位置へと高速側にシフトされる(ステップ110)。
上記ステップ110の処理が実施された場合には、機関回転速度が図11中の実線の位置まで上昇したときに、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射への切り替えが実施される。
なお、上記ステップ106で機関回転速度が低速域にないと判別された場合、あるいは上記ステップ108で加速状態にないと判別された場合には、本ルーチンの制御を行う必要がないと判断できるので、今回の処理サイクルがそのまま終了される。
以上説明した図12に示すルーチンの処理によれば、燃焼騒音が大きくなり易い加速時には、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射への切り替えを実施する機関回転速度を高速側にシフトすることができるので、運転者が燃焼騒音の増加を感ずることを有効に抑制することができる。また、前述した図8に示すルーチンのステップ104の処理によってスワール比がアップされているので、マルチパイロット噴射からシングルパイロット噴射へ切り替える機関回転速度を高速側にシフトしたとしても、スモークが増加することもない。
上述した実施の形態2では、ECU50が、図11に示すマップに従ってマルチパイロット噴射とシングルパイロット噴射との切り替えを実施することにより前記第4の発明における「パイロット噴射回数切替手段」が、図12に示すルーチンの処理を実行することにより前記第4の発明における「シフト手段」が、それぞれ実現されている。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 図1に示すシステムにおけるディーゼル機関の一つの気筒の断面を示す図である。 図1に示すシステムにおけるディーゼル機関が備えるインジェクタのノズル先端部を示す断面図である。 図1に示すシステムにおけるディーゼル機関の一つの気筒の模式的な平面図である。 吸気弁のリフト特性を示す図である。 図1に示すシステムにおけるディーゼル機関の運転領域を示す図である。 図6中のラインB上におけるレール圧(燃料噴射圧力)を示す図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 図1に示すシステムにおけるディーゼル機関の運転領域を示す図である。 本発明の実施の形態2において実施されるパイロット噴射を説明するための図である。 マルチパイロット領域と、シングルパイロット領域とを示す図である。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 ディーゼル機関
12 インジェクタ
14 コモンレール
18 排気通路
20 排気マニホールド
22 排気ポート
24 ターボ過給機
26 排気浄化装置
28 吸気通路
34 吸気マニホールド
35 吸気ポート
36 吸気絞り弁
38 エアフローメータ
40 外部EGR通路
44 EGR弁
48 アクセル開度センサ
50 ECU
52 吸気弁
54 吸気可変動弁機構
56 排気弁
58 排気可変動弁機構
62 クランク角センサ
64 ピストン
70 ノズルボディー
72 大噴孔
74 小噴孔
76 アウターニードル
78 インナーニードル
80,82 燃料溜まり
90 境界

Claims (6)

  1. 大噴孔と、前記大噴孔より開口面積が小さい小噴孔とを有し、前記大噴孔と前記小噴孔との何れか一方から内燃機関の筒内に燃料を噴射可能な燃料噴射手段と、
    前記内燃機関の運転領域を比較的低速側の小噴孔使用域とそれより高速側の大噴孔使用域とに分けて、前記小噴孔使用域では前記小噴孔から燃料が噴射され、前記大噴孔使用域では前記大噴孔から燃料が噴射されるように、前記燃料噴射手段を制御する噴孔切替手段と、
    スワール比を可変とするスワール比可変手段と、
    前記大噴孔使用域のうち、少なくとも前記小噴孔使用域との境界に近い所定の範囲においては、スワール比が前記小噴孔使用域のスワール比より高くなるように前記スワール比可変手段を制御するスワール制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記小噴孔の数が前記大噴孔の数がより多いことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記小噴孔使用域と前記大噴孔使用域との境界より高速側の所定の範囲においては、燃料噴射圧力が、前記小噴孔から前記大噴孔に切り替わる直前の燃料噴射圧力以下となるように制御し、それ以外の範囲においては、機関回転速度が高くなるほど燃料噴射圧力が高くなるように制御する噴射圧制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 1サイクル中に、メイン噴射に先立ってパイロット噴射を1回または複数回実施可能なパイロット噴射手段と、
    前記内燃機関の運転領域を比較的低速側の第1領域とそれより高速側の第2領域とに分けて、前記第2領域でのパイロット噴射の回数を前記第1領域でのパイロット噴射の回数より少なくするパイロット噴射回数切替手段と、
    機関負荷の増大を伴って機関回転速度が上昇する場合には、パイロット噴射の回数を切り替える境界の機関回転速度を、定常状態のときと比べて高速側にシフトするシフト手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記スワール比可変手段は、吸気弁のバルブタイミングを変化させることでスワール比を変化させるものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 前記内燃機関は、ディーゼル機関であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
JP2006209521A 2006-08-01 2006-08-01 内燃機関の燃料噴射制御装置 Pending JP2008038601A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006209521A JP2008038601A (ja) 2006-08-01 2006-08-01 内燃機関の燃料噴射制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006209521A JP2008038601A (ja) 2006-08-01 2006-08-01 内燃機関の燃料噴射制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008038601A true JP2008038601A (ja) 2008-02-21

Family

ID=39173946

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006209521A Pending JP2008038601A (ja) 2006-08-01 2006-08-01 内燃機関の燃料噴射制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008038601A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011089445A (ja) * 2009-10-21 2011-05-06 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃焼制御装置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62210217A (ja) * 1986-03-12 1987-09-16 Toyota Motor Corp 2噴射弁式直接噴射式デイ−ゼル機関
JPS6387268A (ja) * 1986-09-30 1988-04-18 Mita Ind Co Ltd カラ−サ−マルプリンタ
JPS63179147A (ja) * 1987-01-20 1988-07-23 Mazda Motor Corp 燃料噴射式エンジンの燃料制御装置
JPH0942036A (ja) * 1995-08-01 1997-02-10 Denso Corp ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置
JP2005226487A (ja) * 2004-02-10 2005-08-25 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃料噴射制御方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62210217A (ja) * 1986-03-12 1987-09-16 Toyota Motor Corp 2噴射弁式直接噴射式デイ−ゼル機関
JPS6387268A (ja) * 1986-09-30 1988-04-18 Mita Ind Co Ltd カラ−サ−マルプリンタ
JPS63179147A (ja) * 1987-01-20 1988-07-23 Mazda Motor Corp 燃料噴射式エンジンの燃料制御装置
JPH0942036A (ja) * 1995-08-01 1997-02-10 Denso Corp ディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置
JP2005226487A (ja) * 2004-02-10 2005-08-25 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃料噴射制御方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011089445A (ja) * 2009-10-21 2011-05-06 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃焼制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9371795B2 (en) Combustion control apparatus of internal combustion engine
JP5482716B2 (ja) ディーゼルエンジンの制御装置及びディーゼルエンジンの制御方法
US8667952B2 (en) Method and device for controlling diesel engine with forced induction system
US9376980B2 (en) Fuel injection device
JP5494205B2 (ja) 自動車搭載用ディーゼルエンジン
JP4161974B2 (ja) ディーゼル式内燃機関の制御装置
US20120004826A1 (en) Diesel engine and method of controlling the diesel engine
JP2005248748A (ja) ディーゼルエンジン
JP2008025445A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2009041488A (ja) 内燃機関の制御装置
JP4715644B2 (ja) 内燃機関の制御装置
WO2007069410A1 (ja) ディーゼルエンジンの制御装置
JP4635974B2 (ja) ディーゼル機関の制御装置
JP5516144B2 (ja) 自動車搭載用ディーゼルエンジン
JP4736969B2 (ja) ディーゼルエンジンの制御装置
JP2008196377A (ja) 内燃機関の制御装置
EP2405120B1 (en) Combustion controller for internal combustion engine
JP4924280B2 (ja) ディーゼルエンジンの制御装置。
JP2008038601A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2012026412A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2008038600A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2003113730A (ja) NOx吸蔵触媒を備えた内燃機関及びその燃焼制御方法
JP2008031874A (ja) エンジンの排気浄化装置
EP2397678A2 (en) Internal Combustion Engine
JP2008064073A (ja) 燃料噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090715

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110329