JP2008038310A - 記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット印刷適性、電子写真印刷適性に同時に優れ、紙質強度が高く、品質安定性に優れた記録用紙を提供すること。
【解決手段】パルプと填料とを主原料とし、古紙パルプ製造工程の脱墨処理工程において排出される脱墨フロスを脱水、乾燥、焼成及び粉砕工程に供し、焼成工程で焼成凝集させた再生粒子凝集体が内添用填料として少なくとも配合され、再生粒子凝集体が、粒子構成成分としてCa、Si及びAlを酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35で含有し、Ca、Si及びAlの合計含有割合が酸化物換算で90質量%以上で、表面での再生粒子凝集体の存在部分の検出面積が、全検出面積の10〜100%である、記録用紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、記録用紙に関する。さらに詳しくは、例えばインク乾燥性が高くインクジェット印刷適性に優れると同時に、トナー定着性が高く電子写真印刷適性に優れ、紙質強度が高く、高品質で品質安定性にも優れ、しかも資源が有効活用されて低コスト化が図られた記録用紙に関する。
通常のインクジェット印刷において、非塗工紙タイプの記録用紙は、インク受容層を有する塗工紙タイプの記録用紙と比較して、見栄えが劣るという点から、インクジェット記録適性が低いものが多い。また古紙パルプを高配合したものは、パルプ繊維の劣化に起因してインクジェットインクの乾燥性が悪く、一般に、インクジェット記録適性に劣る。
また、非塗工紙タイプの記録用紙は、紙表面にインク受容層が塗工されておらず、紙表面の繊維が露出しているため、該繊維に沿ってインクの滲みが生じる現象、いわゆるフェザリングが発生しやすいという欠点も有している。かかるフェザリング発生の防止対策としては、例えば填料を高配合して紙表面の平滑性を向上させる方法が考えられる。しかしながら、過度に填料を配合すると、粉落ちが生じ易くなり、また平滑化に伴って搬送性も低下するため、記録用紙においては、通常、填料の配合量を多くするだけでは有効な解決策とはならない。
そこで、例えば特許文献1には、灰分が特定範囲量となるように、炭酸カルシウムを主成分とする填料を配合し、かつステキヒトサイズ度を特定範囲値に調整した非塗工紙タイプのインクジェット記録用紙が提案されている。該特許文献1に開示のインクジェット記録用紙では、このように灰分及びステキヒトサイズ度が各々特定範囲内となるように調整されているので、インクジェットインクの吸収性が向上してインクが乾燥し易くなり、ドット径が必要以上に大きくなることがなくなり、インクの滲みが略解消されている。
一方、電子写真印刷において、複写用紙として多用されている電子写真用転写紙では、年々古紙パルプを使用した再生紙の利用が増加するとともに、古紙パルプの配合率が増加している。しかしながら、再生紙の普及に伴い、近年は再生紙である古紙をさらに再利用している状況、すなわちパルプ繊維を何度も繰り返して再利用している状況にあることから、得られる古紙パルプは微細繊維が多く、目的とする転写紙の紙質強度等の品質が低下する傾向にある。また、電子写真印刷においては、トナーの脱落やトナー汚れ、印刷後の転写紙間でのトナーによる接着等の問題が充分に解決されておらず、これらの問題を解決することも従来からの課題の1つである。
さらに最近では、1つの記録用紙をそれ専用の1つの印刷方式のみに適用するのではなく、必要に応じて複数の印刷方式に適用することが望まれており、例えば前記インクジェット印刷と電子写真印刷との双方において優れた印刷適性を呈する記録用紙が求められている。
例えば前記特許文献1に開示のインクジェット記録用紙は、インクジェット印刷において、前記したように、インクの乾燥性が良好で、インク滲みの問題も略解消されている。しかしながら、かかるインクジェット記録用紙を、例えば電子写真印刷に用いた場合には、このインクジェット記録用紙には炭酸カルシウムを主成分とした填料が配合されているだけなので、トナー中の熱溶融成分が癒着し難く、トナー定着性がわるく、その結果、トナーの脱落やトナー汚れ、印刷後の記録用紙間でのトナーによる接着等の問題が生じてしまう。したがって、特許文献1に開示のインクジェット記録用紙を、インクジェット印刷以外の、例えば電子写真印刷に適用することは困難である。
そこで、例えばインクジェット印刷と電子写真印刷といった複数の印刷方式において優れた印刷適性を呈する記録用紙を開発するに際して、例えば前記炭酸カルシウムの替わりにパルプ原料に配合する填料に着目し、種々の技術が提案されている。
例えば特許文献2には、製紙スラッジを所定の形状及び大きさに成形し、得られた成形物を炭化した後に燃焼し、次いで得られた燃焼灰を0.1〜10μmといった特定範囲の平均粒子径となるように粉砕して得られた顔料を、内添用の填料として紙を製造する方法が開示されている。
特許文献2に開示の顔料は、前記のごとき特定範囲の平均粒子径を有する粒子であるので、該特許文献1に開示のインクジェット記録用紙のように、炭酸カルシウムを填料として原料パルプに配合した場合と比較して、トナー中の熱溶融成分を癒着させる効果が発現され易い。したがって、特許文献2に開示の顔料を内添用の填料として製造した紙を電子写真印刷に用いた場合には、前記トナー定着性の問題はある程度解消される。
しかしながら、特許文献2に開示の顔料は、製紙スラッジを原料としており、該製紙スラッジには、例えば抄紙工程でワイヤーを通過して流出したもの、パルプ化工程での洗浄過程で発生した固形分を含む排水から回収したもの、排水処理工程において、沈殿や浮上を利用した固形分分離装置によりその固形分を分離・回収したもの、古紙処理工程での混入異物を除去したもの等、各種スラッジが混在しているため、内添用の填料とすることができない種々の物質が混入している。したがって、このように無線別な製紙スラッジを原料とした顔料を原料パルプに内添して得られる、特許文献2に開示の紙は、品質の変動が著しく、例えばインクジェット印刷や電子写真印刷用の記録用紙として安定して好適に使用することができるものではない。
このように、例えばインクジェット印刷適性に優れると同時に電子写真印刷適性にも優れ、紙質強度が高く、高品質で品質安定性に優れた記録用紙は未だ得られておらず、かかる特性を兼備した記録用紙の開発が待ち望まれている。
特開2002−113940号公報 特開2002−275785号公報
本発明は前記背景技術に鑑みてなされたものであり、例えばインク乾燥性が高くインクジェット印刷適性に優れると同時に、トナー定着性が高く電子写真印刷適性に優れ、紙質強度が高く、高品質で品質安定性にも優れ、しかも資源が有効活用されて低コスト化が図られた記録用紙を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、
パルプと填料とを主原料とし、該填料が内添されてなる記録用紙であって、
前記填料のうち、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料が脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることで得られる再生粒子凝集体が、内添用填料として少なくとも配合され、
前記再生粒子凝集体が、その粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有し、該カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)が、X線マイクロアナライザーを用いた元素分析にて、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35であり、かつ該粒子構成成分中の、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合が、酸化物換算で90質量%以上であり、
その表面において、X線マイクロアナライザーを用いた面分析によるX線像で検出される、前記再生粒子凝集体の存在部分の面積が、前記X線像で検出される全面積の10〜100%である、記録用紙
に関する。
また本発明は、
パルプと填料とを主原料とし、該填料が内添されてなる記録用紙であって、
前記填料のうち、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料が脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることで得られる再生粒子凝集体が、内添用填料として少なくとも配合され、
前記再生粒子凝集体が、その表面にさらにシリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体であり、その粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有し、該カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)が、X線マイクロアナライザーを用いた元素分析にて、酸化物換算で30〜62:29〜55:9〜35であり、かつ該粒子構成成分中の、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合が、酸化物換算で90質量%以上であり、
その表面において、X線マイクロアナライザーを用いた面分析によるX線像で検出される、前記再生粒子凝集体の存在部分の面積が、前記X線像で検出される全面積の10〜100%である、記録用紙
に関する。
本発明の記録用紙は、例えばインク乾燥性が高くインクジェット印刷適性に優れると同時に、トナー定着性が高く電子写真印刷適性に優れ、紙質強度が高く、高品質で品質安定性にも優れ、しかも資源が有効活用されて低コスト化が図られたものである。
(実施の形態)
本発明の記録用紙は、パルプと填料とを主原料としており、該填料が内添されている。
まず、本発明に用いるパルプについて説明する。該パルプの種類には特に限定がないが、例えば、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙、オフィス古紙、液体容器古紙、乗車券古紙、クラフト古紙等の古紙パルプ;針葉樹材、広葉樹材からのバージンパルプ等があげられ、これらの中から1種以上を適宜選択して用いることができる。また木材のパルプ化法にも特に限定がなく、クラフトパルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)といった、蒸解液によって脱リグニンされる化学的パルプ化法によるパルプや、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)といった、機械的パルプ化法によるパルプ等を適宜用いることができる。
本発明において、例えば前記古紙パルプ100質量%からなるパルプを原料としても、バージンパルプを適宜配合しても、インクジェット印刷適性や電子写真印刷適性といった印刷適性及び搬送性に優れた記録用紙を得ることができるが、資源の有効活用と環境保護にも貢献することができ、低コスト化が達成されるという点から、古紙パルプを多く用いることが望ましい。
特に、古紙パルプを50質量%以上、好ましくは70質量%以上配合したパルプに、後述する再生粒子凝集体を填料として内添した記録用紙の場合は、該再生粒子凝集体が多孔質で、パルプ繊維との親和性が高いことから、古紙パルプに由来した、嵩高になり難く、クッション性が低いという特性にも対応が可能で、クッション性が維持され、同一坪量で比較した際により高い嵩高性が発現されるという利点がある。
前記パルプには、填料が内添される。本発明においては、該填料のうち、特定の再生粒子凝集体が内添用填料として少なくとも配合されることが大きな特徴の1つである。該特定の再生粒子凝集体は、多孔性の凝集体で、原料パルプ繊維との親和性も高いことから、特に、インク乾燥性の向上による優れたインクジェット印刷適性と、トナー定着性の向上による優れた電子写真印刷適性とが同時に発現され得る。
前記再生粒子凝集体は、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料が脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることで得られる凝集体であり、その粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有し、該カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)が、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35であり、かつ該粒子構成成分中の、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合が、酸化物換算で90質量%以上のものである。
前記したように、本発明に用いられる再生粒子凝集体は、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料が脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることで得られるものである。なおこれら4工程の他にも、後述するように、凝集工程、造粒工程、各工程間に設けられる分級工程等が設けられていてもよい。また該再生粒子凝集体の製造設備には、各種センサーを設け、被処理物や設備の状態、処理速度のコントロール等を行うことが望ましい。以下の具体的説明で示す移送流路、給送流路、排送流路、循環流路、返送流路等の各種流路は、例えば管、ダクト等で構成することができる。
以下に、古紙処理工程(古紙パルプの製造工程)から排出される脱墨フロスを原料とした、本発明に用いられる再生粒子凝集体の製造方法を例示する。該脱墨フロスは再生粒子凝集体の原料として最適な例であるが、該脱墨フロスを主原料に、抄紙工程における製紙スラッジ等の他製紙スラッジを適宜併用することもできる。また、以下の方法は再生粒子凝集体の製造方法の一例であり、該方法のみに限定されるものではなく、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜変更することが可能である。
(1)原料
古紙パルプの製造工程では、安定した品質の古紙パルプを連続的に生産するために、使用する古紙の選定、選別が行われ、一定品質の古紙が使用されるので、存在する無機物の種類やその比率、量が基本的に一定になる。しかも、再生粒子凝集体の製造過程において未燃物の変動要因となるフィルム、シート等のプラスチック類が異物として古紙中に含まれていた場合でも、これらの異物は脱墨フロスを得る脱墨工程に至る前段階で除去することができる。したがって、古紙パルプの製造工程から排出される脱墨フロスを原料とした場合、工場排水工程や製紙原料調整工程等、他の工程で発生するスラッジを原料とした場合と比べ、極めて安定した品質の再生粒子凝集体を製造することができる。
なお本明細書でいう脱墨フロスとは、古紙パルプを製造する古紙処理工程において、主に、古紙に付着したインクを取り除く脱墨工程でパルプ繊維から分離されるものをいう。
(2)脱水工程
前記脱墨フロスの脱水は、例えばロータリースクリーン等の公知の脱水手段を適宜使用して行うことができる。該ロータリースクリーンにおいて、例えば水分率95〜98質量%に脱水した脱墨フロスは、例えばスクリュープレスにて、さらに水分率40〜70質量%に脱水することが好ましい。このように、脱墨フロスの脱水を多段工程で行って急激な脱水を避けると、無機物の流出を抑制することができ、脱墨フロスのフロックが硬くなりすぎる恐れがない。
脱水処理の際には、脱墨フロスを凝集させる凝集剤等の、脱水効率を向上させる助剤を添加してもよいが、この場合、凝集剤としては鉄分を含まないものを使用することが好ましい。鉄分が含有されると、鉄分の酸化により再生粒子凝集体の白色度が低下する恐れがある。
脱墨フロスの脱水工程設備は、再生粒子凝集体の製造工程設備の一部として設けられることが、生産効率の面で好ましいが、あらかじめ古紙パルプの製造工程設備に隣接して設け、脱水処理を行った脱墨フロスを搬送することも可能である。
(3)乾燥工程
脱墨フロスを脱水して得た脱水物は、例えばトラックやベルトコンベア等の搬送手段によって定量供給機まで搬送され、該定量供給機から乾燥手段に供給される。
前記乾燥手段は、例えば主に、脱水物が供給される乾燥容器と、該乾燥容器の底部に備えられ、供給された脱水物をかきあげる一対のロールと、該一対のロール相互間から上方に熱風を吹き上げる熱風吹上手段とからなる。また、熱風吹上手段は、乾燥容器の底部に給送流路が接続され、該給送流路を通して乾燥容器内に熱風が吹き込まれる構成となっている。
このように、本乾燥手段は、脱水物を、一対のロールという有形的な手段によって、強くかつ大まかにほぐし、これに加えて熱風という無形的な手段によって、弱くかつ精細にほぐすことにより、大きい・小さい、硬い・柔らかい等の様々な性質を有する脱水物の水分率の制御と粒揃えを安定的に行うことができる。
特に、乾燥容器内に供給する脱水物を、水分率40〜70質量%に脱水している場合は、熱風の温度を100〜200℃とすることが好ましく、120〜180℃とすることがより好ましく、130〜170℃とすることが特に好ましい。このように脱水物の水分率が40〜70質量%の場合には、100℃の熱風でも充分に乾燥することができる。他方、大きい・小さい、硬い・柔らかい等の様々な性質を有する脱水物の粒揃えが進行するよりも早く乾燥が進み、粒子表面の水分率と内部の水分率との差を小さく均一にすることが困難になるので、熱風の温度は200℃以下とすることが好ましい。
脱水物の乾燥は、焼成工程前(焼成工程入口)の乾燥物の水分率が2〜20質量%となるようにすることが好ましく、3〜15質量%となるようにすることがより好ましく、3〜10質量%となるようにすることが特に好ましい。脱水物を水分率が2質量%を下回る範囲まで乾燥すると、後の焼成工程において、過焼する恐れがある。他方、脱水物を水分率が20質量%を上回る範囲までしか乾燥しなければ、焼成を確実に行うことが困難になる恐れがある。
前記乾燥物の平均粒子径は400〜2000μmであることが好ましく、450〜1900μmであることがより好ましい。焼成工程前(焼成工程入口)の乾燥物の平均粒子径があまりにも小さい場合には、焼成時に焼成が進みすぎるため、焼成物が極めて硬くなる恐れがあり、逆にあまりにも大きい場合には、焼成物の芯の部分まで焼成が行き届きにくくなり、焼成物中に炭化物が残存しやすく、焼成物の白色度が高くならない恐れがある。
また前記乾燥物の粒揃えは、粒子径が355〜2000μmのものが70質量%以上となるように調整することが好ましく、75質量%以上となるように調整することがより好ましく、80質量%以上となるように調整することが特に好ましい。乾燥物を、粒子径が355〜2000μmのものが70質量%以上となるように製造すると、すなわち小径な粒子の乾燥物を除去すると、部分的な過焼が防止され、焼成がより均一になる。したがって、得られる再生粒子凝集体の品質を均一にするという観点における実用化の可能性高めることができる。さらに、このように乾燥後に分級すると、小径な粒子の乾燥物を確実に除去することができ、処理効率も向上する。
(4)焼成工程
サイクロン内を底部まで落下した乾燥物は、移送流路を通して、かつこの移送流路の途中に備わる排風ファンで勢いを増して、サイクロン式の第1焼成段階を構成する第1燃焼焼成炉に送られる。該第1燃焼焼成炉では、乾燥物を旋回落下させることで粒子の微細化を抑制し、また、この過程で焼成して未燃率を調整する(第1焼成工程)。
第1焼成工程での焼成は、未燃率が5〜30質量%となるように行うことが好ましく、8〜25質量%となるように行うことがより好ましく、10〜20質量%となるように行うことが特に好ましい。第1焼成工程での未燃率が5質量%未満では、焼成における粒子表面の過焼が生じて表面が硬くなると共に、内部の酸素不足が生じ、再生粒子凝集体の白色度が低下する恐れがある。他方、第1焼成工程での未燃率が30質量%を超えると、後の第2焼成工程での焼成後も未燃物が残る場合があり、さらには該未燃物が残るのを防止するために粒子表面が過焼するまで燃焼焼成してしまい、再生粒子凝集体の表面が硬くなる恐れがある。
第1燃焼焼成炉の形態には特に限定がないが、例えばサイクロン式であることが好ましい。該サイクロン式によると、前記のとおり、粒子の微細化を抑制することで未燃率をより均一かつ確実に調節することができる。
第1焼成工程で得た焼成物は、第2燃焼焼成炉に送られ、燃焼焼成される(第2焼成工程)。第2燃焼焼成炉としては、例えばロータリーキルン炉、流動床炉、ストーカー炉、サイクロン炉、半乾留・負圧燃焼式炉等、公知の装置を用いることができるが、本発明においては、温度変化が少ない環境下で、過大な物理的圧力を掛けることなく攪拌しながら満遍なく燃焼させることができるロータリーキルン炉が好ましい。
焼成温度は、510〜750℃の範囲であることが好ましい。第1焼成工程及び第2焼成工程での焼成は、第1燃焼焼成炉上端部の温度を510〜750℃とし、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも低い500〜700℃とすることが好ましく、第1燃焼焼成炉上端部の温度を550〜730℃とし、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも低い510〜680℃とすることがより好ましく、第1燃焼焼成炉上端部の温度を580〜700℃とし、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも低い550〜660℃とすることが特に好ましい。なお、第1燃焼焼成炉上端部の温度を600〜680℃とし、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも低い580〜650℃とすると、得られる再生粒子凝集体が填料としてより好適なものとなる。このように、第2燃焼焼成炉内の温度を第1燃焼焼成炉上端部の温度よりも10〜50℃低くすることで、粒子表面の過焼を防止しながら、未燃物を燃焼させることができる。
(5)粉砕工程
前記焼成後の粒子は、粉砕工程にて適宜必要な粒径に微細粒化することで、填料として使用可能な再生粒子凝集体とすることができる。
例えば、焼成して得られた粒子を、ジェットミルや高速回転式ミル等の乾式粉砕機、又はアトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機を用いて粉砕し、目的とする再生粒子凝集体とすることができる。填料としては、粒径が均一化、微細化されていることが好ましく、例えば一次粒子の平均粒子径は0.01〜0.1μmであることが、該一次粒子が凝集した二次粒子(再生粒子凝集体)の平均粒子径は、後述するように、0.05〜15μmであることが好ましい。
(6)付帯工程
再生粒子凝集体について、さらなる品質の安定化を求める場合には、再生粒子の粒度を各工程で均一に揃えるための分級を行うことが好ましく、粗大粒子や微小粒子を前工程にフィードバックすることが望ましい。
また、乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロスを造粒することが好ましく、さらには造粒物の粒度を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大造粒粒子や微小造粒粒子を前工程にフィードバックすることで、より品質の安定化を図ることができる。なお造粒には、公知の造粒設備を使用することができ、例えば回転式、攪拌式、押出式等の設備が好適である。
さらに、再生粒子以外の異物を除去することが好ましく、例えば古紙パルプの製造工程において、脱墨工程の前段階のパルパーやスクリーン、クリーナー等で、砂、プラスチック異物、金属等を除去することが、除去効率の面で好ましい。特に鉄分は、酸化することによって再生粒子の白色度を低下させる恐れがあるので、鉄分の混入を避け、選択的に取り除くことが好ましい。各工程における設備を鉄以外の素材で設計又はライニングし、磨滅等により鉄分が系内に混入することを防止すると共に、乾燥・分級設備内等に磁石等の高磁性体を設置し選択的に鉄分を除去することが好ましい。
なお、前記乾燥工程や焼成工程、及び必要に応じて分級工程において、粉砕工程前にあらかじめ、粒子径が40μm以下の粒子が90質量%以上となるように処理しておくことが好ましい。これにより、通常行われている乾式粉砕による粗大粒子の粉砕及び湿式粉砕による微粒子化といった複数段の粉砕処理を行うことなく、湿式粉砕による一段粉砕処理も可能となる。またこれにより、コールターカウンター法による粒度分布の微分曲線における平均粒子径のピーク高さを30%以上とすることができる。さらには主原料である脱墨フロス中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、あらかじめ、例えば後述する質量割合に調整することで、再生粒子凝集体の細孔容積を0.15〜0.60mL/g、細孔表面積を10〜25m2/g、細孔半径を30〜100nmとすることもできる。
このように、古紙パルプの製造工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料を脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程に供することにより再生粒子凝集体が得られるが、本発明においては、該再生粒子凝集体として、前記のごとき工程を経て得られた粒子の表面をさらにシリカで被覆した、シリカ被覆再生粒子凝集体を特に好適に用いることができる。
前記再生粒子凝集体の表面にさらにシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子凝集体とすることで、循環使用における古紙処理工程において、水酸化ナトリウムと反応させて、緩衝剤や漂白助剤として製紙用原料、無機粒子の循環使用に寄与させることができる。またかかるシリカ被覆再生粒子凝集体を填料としてパルプに内添した場合には、シリカで被覆していない再生粒子凝集体を用いた場合よりもさらに、記録用紙の表面強度、インク乾燥性、トナー定着性といった各効果を向上させることができる。
なお、本発明に用いられる、古紙処理工程から排出される脱墨フロスは、近年の中性抄紙化に伴い、炭酸カルシウムの含有量が増加傾向にあり、得られる再生粒子凝集体中のカルシウムの割合も高くなる傾向がある。このようにカルシウムの割合が高い再生粒子凝集体をパルプに内添すると、紙の不透明度がやや低下する場合があるが、表面にシリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体は、製紙用途の再生粒子凝集体としての機能が非常に高く、該シリカ被覆再生粒子凝集体をパルプに内添して得られる記録用紙の不透明度は向上する。
再生粒子凝集体の表面を被覆するシリカについては、天然に産出するシリカではなく、何らかの化学反応による合成シリカであれば特に制限なく使用することが可能である。具体的には、例えばコロイダルシリカ、シリカゲル、無水シリカ等があげられる。これらの合成シリカは、高比表面積、ガス吸着能の高さ、微細性、細孔への浸透力や吸着力の大きさ、付着性の高さ、高吸油性等の優れた特性を活かして、幅広い分野で利用されているものである。これらのうち、コロイダルシリカは、ケイ酸化合物から不純分を除去して無水ケイ酸ゾルとし、pH及び濃度を調整してゾルを安定化させた、球状、連鎖状、不定形等の形状を有する非晶質シリカである。シリカゲルは、ケイ酸ナトリウムを無機酸で分解することによって得られる含水ケイ酸である。また無水シリカは、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるものである。
再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させ、シリカ被覆再生粒子凝集体を得る方法には特に限定がないが、例えば以下の方法を好適に採用することができる。まず、再生粒子凝集体をケイ酸アルカリ溶液に添加、分散させ、スラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温を70〜100℃程度に保持して酸を添加し、シリカゾルを生成させる。次いで最終反応液のpHを8〜11の範囲に調整することにより、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることができる。このようにして再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカは、ケイ酸アルカリ(例えばケイ酸ナトリウム:水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸の希釈液と高温下で反応し、加水分解反応とケイ酸の重合化により得られる、粒子径が10〜20nm程度のシリカゾル粒子である。
また、ケイ酸ナトリウム溶液等のケイ酸アルカリ溶液に希硫酸等の酸を添加することによって生成する、粒子径が数nm程度のシリカゾル微粒子を、再生粒子凝集体の多孔性を有する表面全体を被覆するように付着させ、このシリカゾル微粒子の結晶成長に伴う、無機微粒子表面上のシリカゾル微粒子と再生粒子凝集体に包含されるケイ素やカルシウム、アルミニウムとの間で生じる結合により、再生粒子凝集体の表面にシリカを析出させることもできる。この場合、ケイ酸アルカリ溶液に酸を添加する際のpHは、中性〜弱アルカリ性の範囲とし、好ましくはpHを8〜11の範囲に調整する。これは、pHが7未満の酸性条件になるまで酸を添加してしまうと、シリカゾル粒子ではなくホワイトカーボンが生成する恐れが生じるからである。
なお、前記ケイ酸アルカリ溶液の種類には特に限定がないが、入手が容易である点からケイ酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が特に望ましい。このケイ酸アルカリ溶液の濃度としては、再生粒子凝集体中のシリカ成分が低下し、再生粒子凝集体の表面にシリカが析出し難くならないようにするには、溶液中のケイ酸分(SiO2換算)が3質量%以上であることが好ましく、再生粒子凝集体の表面に析出されるシリカが、シリカゾルの形態からホワイトカーボンになり、再生粒子凝集体の多孔性が阻害され、不透明度やトナー定着性の向上効果が不充分になる恐れをなくすには、該ケイ酸分(SiO2換算)が10質量%以下であることが好ましい。元来シリカは滑り止め効果を有するものであるので、本発明の記録用紙に、さらにその効果を付与することもできる。
かくして得られる再生粒子凝集体は、その粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有しており、粒子中でこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムが複合体を形成している。再生粒子凝集体中のこれらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)を用いた元素分析にて、酸化物換算で、30〜82:9〜35:9〜35、好ましくは40〜82:9〜30:9〜30、特に好ましくは60〜82:9〜20:9〜20である。なお、特に再生粒子凝集体がシリカ被覆再生粒子凝集体である場合には、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)は、酸化物換算で、30〜62:29〜55:9〜35、好ましくは30〜50:35〜55:15〜30である。また同時に、前記粒子構成成分中の、これらカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合は、前記と同様の元素分析にて、酸化物換算で、90質量%以上、好ましくは94質量%以上である。
このように、再生粒子凝集体がその粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で、前記質量割合で含有しているので、その比重が軽く、過度の水溶液吸収が抑制され、脱水工程における脱水性が良好であり、乾燥工程における水分調整が容易であるだけでなく、焼成工程における未燃物の割合が減少し、焼結による過度の硬さを生じる恐れを低減することができる。
また、カルシウムが酸化物換算で30質量割合以上含有された再生粒子凝集体を填料としてパルプに内添するので、特に得られる記録用紙の白色度を向上させることができる。
再生粒子凝集体中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合を、酸化物換算で例えば前記範囲内に調整するには、本来、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが好ましいが、乾燥工程や焼成工程、さらには必要に応じて分級工程において、由来が明確な塗工フロスや調整工程フロスをスプレー等で含有させる方法や、焼却炉スクラバー石灰を含有させる方法を採用することも可能である。
例えば、再生粒子凝集体中のカルシウムの含有割合を調整するには、中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを、ケイ素の含有割合を調整するには、不透明度向上剤として多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの含有割合を調整するには、酸性抄紙系等の硫酸バンドが使用された抄紙系の排水スラッジや、クレーの使用量が多い上質紙抄造工程の排水スラッジを、各々適宜用いることができる。
またカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合を、酸化物換算で90質量%以上に調整するには、例えば排水スラッジの凝集処理に鉄分を含有しない凝集剤を使用する手段や、前記したように、製造設備工程を鉄以外の素材で設計又はライニングし、摩滅等により鉄分が系内に混入するのを防止したり、さらには乾燥・分級設備内に磁石等の高い磁性体を設置して鉄分を除去する手段等を採用することが可能である。特に鉄分は、酸化により白色度を低下させる起因物質になるため、選択的に除去することが好ましい。
ところで、炭酸カルシウムには、六方結晶系のカルサイト結晶(方解石)や、斜方結晶系のアラゴナイト結晶(あられ石)などの同質異像が存在する。天然に産する石灰石はそのほとんどがカルサイト結晶であり、貝殻類にはカルサイト結晶のほか、アラゴナイト結晶も存在する。さらに炭酸カルシウムには、天然ではないが、バテライト結晶も存在する。前記脱墨フロスから得られるカルシウムは多種多様であるが、焼成凝集化することでほぼ均一の炭酸カルシウム性状となる。したがって、該カルシウムは再生粒子凝集体そのものの品質安定性に寄与し、該再生粒子凝集体は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムといった異なる成分が複合体となった粒子で構成される凝集体でありながら、安定した性状を示す。
また再生粒子凝集体は、その粒子構成成分としてケイ素を含むが、該ケイ素からなるシリカの一次粒子は微細であるので、光学的屈折率が高い。このようなケイ素が酸化物換算で9質量割合以上含有された再生粒子凝集体を填料としてパルプに内添するので、得られる記録用紙の不透明度が向上する。
さらに再生粒子凝集体は、微細な粒子が二次凝集した柔軟かつポーラスな性状を有するので、嵩高な紙層形成に寄与し、該再生粒子凝集体を填料としてパルプに内添して得られる記録用紙は、密度が低く、取りまわしが良好な剛度を有する。
本発明に用いられる再生粒子凝集体の粒子径は、例えば一次粒子が凝集した二次粒子として、パルプ中への歩留まりが低下し、コスト高とならないようにするには、そのメタノール分散溶液をコールターカウンター粒度分布測定装置(TA−II型、COULTER ELECTRONICS社製)にて測定して、平均粒子径が0.05μm以上、さらには0.1μm以上であることが好ましく、またフェザリングが充分に抑制されるようにするには、平均粒子径が15μm以下、さらには14μm以下であることが好ましい。
本発明において、填料としては、前記再生粒子凝集体を単独で使用することができるが、該再生粒子凝集体と同時に、通常填料として用いられる、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、カオリンクレー、デラミネーテッドクレー等のクレー、二酸化チタン、合成シリカ、水酸化アルミニウム等の無機填料、ポリスチレン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の合成高分子微粒子等から選ばれた少なくとも1種を用いることもできる。
本発明において、得られる記録用紙中の、内添用填料として前記再生粒子凝集体を少なくとも含む填料の含有量は、パルプ100質量部(絶乾パルプ質量)に対して、JIS P 8251「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に記載の方法に準拠して測定した灰分で1質量部以上、さらには2質量部以上となるように調整することが好ましく、また30質量部以下、さらには25質量部以下となるように調整することが好ましい。
特に、再生粒子凝集体を内添用填料中に50質量%以上の割合で含有させることが、その効果を遺憾なく発揮させることができる点から好ましい。内添用填料中の再生粒子凝集体の割合は、前記JIS P 8251「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に記載の方法にて灰化した後では含有量が曖昧になるため、JIS P 8220「パルプ−離解方法」に記載の方法に準拠して離解したパルプから繊維分を取り除き、残留無機粒子を凍結真空乾燥した後、X線マイクロアナライザー(型番:EMAX2770、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)の加速電圧を15kV、倍率を50倍とし、白黒ポロライドフィルム(ポラロイド社製、8.5cm×10.8cm)にて、X線マイクロアナライザーディスプレーのX線像を撮影して、再生粒子凝集体由来のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの存在部分が重なって示される白色部分の面積と他の無機成分の面積との面分析を行うことで概算算出することができる。
填料の含有量が、パルプ100質量部に対して灰分で前記下限値未満であると、フェザリングが発生し易くなったり、抄紙機におけるカレンダー処理において、平滑化の効果が発現され難くなって記録用紙の不透明度が低下し、プリントスルーが発生する恐れがあるほか、記録用紙の剛度が高くなり過ぎ、電子写真印刷機上での走行性が低下したり、トナー定着性の効果が充分に発現されない恐れがある。逆に、填料の含有量が、パルプ100質量部に対して灰分で前記上限値を超えると、紙粉が落ち易くなると共に抄紙が困難になったり、紙力が低下するほか、表面性や剛度の点では望ましいものの、所望のサイズ効果が発現され難くなると共に、電子写真印刷機内での搬送に伴って灰分が脱落し易くなり、ハイバックグランド(転写工程で感光体に付着した紙粉中の填料が現像部で現像剤に混入すると、トナーと填料が逆極性の場合、凝集体が形成され、この凝集体が非画線部に現像される現象)や、ディリーション(感光体の暗所での電気抵抗の低下により、正常な静電潜像が得られなくなる現象)が発生する恐れがある。
また本発明の記録用紙においては、前記JIS P 8251に準拠して測定した灰分中の、酸化マグネシウムの含有量は7.5質量%以下であることが好ましい。
灰分中の酸化マグネシウムは、通常、そのほとんどがいわゆるタルク(Mg2SiO3の含水物)由来の無機物質であり、古紙パルプを原料として使用する際に、市中回収古紙に紛れて処理されるチラシや上質紙に含まれるものである。該酸化マグネシウムは、インクジェット印刷において、インクジェットインクの吸収乾燥性を阻害し、部分的なインクの滲みを発生させたり、電子写真印刷において、その混入物を滑り易くする性質から、印刷機内で搬送トラブルや重送を起こしたり、紙粉を発生させる原因物質であると考えられている。
したがって、灰分中の酸化マグネシウムの含有量が、好ましくは7.5質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下、特に好ましくは4質量%以下となるように調整することで、得られる記録用紙に、さらに優れたインクジェット印刷適性及び電子写真印刷適性を同時に付与することができる。
なお、灰分中の酸化マグネシウムの含有量は0質量%に近いほど好ましく、該酸化マグネシウムは、フローテーション処理等の脱墨処理での脱墨フロスの抜き出し量の加減や、比較的粒度が大きいことを利用した比重差による精選処理等で除去する方法が提案されているが、実際のところ実用的ではない。酸化マグネシウムが、多くは市中回収古紙に含まれるチラシや上質紙から混入されることを考慮すると、脱墨古紙の選別が、好適な酸化マグネシウムの含有量の調整に最も効率的かつ効果的である。
本発明において、パルプ及び填料を主原料とし、該填料のうち、前記再生粒子凝集体を少なくとも内添用填料として配合して得られる紙料スラリーには、通常紙に配合される種々の添加剤も配合することができる。かかる添加剤としては、例えばサイズ剤;澱粉類、植物性ガム、水性セルロース誘導体、ケイ酸ソーダ等の紙力増強剤;ポリアクリルアミドやその共重合体、ケイ酸ナトリウム等の歩留向上剤等があげられ、これらはその種類及び配合量を適宜調整して用いることができる。
前記のごとき紙料スラリーを抄紙機にて抄紙し、目的とする記録用紙を得ることができる。抄紙機としては、例えば長網式抄紙機、オントップ式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の通常の湿式抄紙機を使用することが可能である。
かくして得られる本発明の記録用紙は、その表面において、X線マイクロアナライザーを用いた面分析によるX線像で検出される、前記再生粒子凝集体の存在部分の面積が、前記X線像で検出される全面積の10〜100%である。
このように、用紙表面において、X線像で検出される、再生粒子凝集体の存在部分の面積、すなわち該再生粒子凝集体由来のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの存在部分が重なって示される白色部分の面積が、全面積の10〜100%、好ましくは50〜100%であるので、記録用紙の表面において再生粒子凝集体が満遍なく存在し、より優れたインクジェット印刷適性及び電子写真印刷適性を同時に満足させることができる。
すなわち、前記再生粒子凝集体が、表面上では満遍なく存在し、好ましくは表面と内部とを比較すると表面側に偏って存在することにより、インクジェット印刷においては、インクが極めて早く用紙に吸収され、インク乾燥性が向上し、それによって印刷時のドット径が必要以上に大きくならず、インクが重なって滲むことがない。したがって、より優れたインクジェット印刷適性が記録用紙に付与され、鮮明なインクジェット印刷を行うことが可能となる。
さらに、前記再生粒子凝集体が、表面上では満遍なく存在し、好ましくは表面と内部とを比較すると表面側に偏って存在することにより、電子写真印刷においては、該再生粒子凝集体による断熱効果と、その多孔性とによって、トナー中の熱溶融成分の癒着が容易になり、トナー定着性が向上し、トナーの脱落やトナー汚れ、印刷後の記録用紙間でのトナーによる接着が生じ難くなる。したがって、優れた電子写真印刷適性が記録用紙に付与され、鮮明な電子写真印刷を行うことが可能となる。
X線マイクロアナライザーを用いた面分析は、元素の分布状態の分析に用いられる方法であり、目的とする元素のエネルギーレベルを選定し、電子線を試料面に走査しながら、目的とする元素の分布状態をX線像として写真等に記録する方法である。本発明においては、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムが目的とする元素であり、その存在部分が写真中に白色部分となって記録される。該面分析には既知のX線マイクロアナライザーを使用することができ、測定も通常の測定技術に基づいて行えばよい。本発明においては、X線マイクロアナライザー(型番:EMAX2770、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)の加速電圧を15kV、倍率を50倍とし、白黒ポロライドフィルム(ポラロイド社製、8.5cm×10.8cm)にて、X線マイクロアナライザーディスプレーのX線像を撮影して面分析を行う。
得られたX線像写真中の、再生粒子凝集体の存在部分の面積、すなわちカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの存在部分の重なりである白色部分の面積は、前記ポロライドフィルムに撮影したX線像写真を用い、画像処理装置(型番:ルーゼックス FS、(株)ニレコ製)にて測定する。該画像処理装置とは、写真、印刷物等の色分布を、それぞれ面積率で算出する装置である。
かくして得られる記録用紙は、JAPAN TAPPI No.51−87「紙及び板紙−液体吸収性試験方法」に規定のブリストー法にて測定した吸収量が、0.4秒で7.5mL/m2以下、さらには7.2mL/m2以下であることが好ましく、かつ2秒で14mL/m2以下、さらには13.8mL/m2以下であることが好ましい。0.4秒での吸収量及び2秒での吸収量を各々このように調整することによって、特に、インクジェット印刷における用紙表面でのインク吸収性をさらに向上させることができる。なお、これら吸収量とは、測定用試料である記録用紙の印刷面(インク受容面)から試料全体への液体(水)の吸収量である。
例えばインクジェット印刷に本発明の記録用紙を用いる場合、0.4秒での吸収量及び2秒での吸収量の少なくともいずれか一方が前記上限値を超えていると、インクジェットインクの吸収性が高いため、インクジェットインク中の染料や顔料が溶媒と共に用紙中に含浸され、発色濃度や鮮明さが低下する恐れがある。0.4秒を指標とした短時間での吸液速度や吸液量のインクジェット印刷特性との関連性という観点からすると、吸収量が7.5mL/m2以下であると、微小なインクジェットインク液滴が容易に定位置へ保持され、2秒を指標とした長時間での吸液速度や吸液量のインクジェット印刷特性との関連性という観点からすると、吸収量が14mL/m2以下であると、高速印刷において必要なプリンターでの乾燥性がより向上する。
なお、高速印刷におけるインクの裏移りや、印刷時の擦れ等による汚れの問題を回避するという点を考慮すると、前記吸収量は0.4秒で5.9mL/m2以上であることが好ましく、かつ2秒で11.2mL/m2以上であることが好ましい。
なお、ブリストー法による吸収量の調整は、その試験方法が液体の動的吸収の度合いを測定する手段によるところから、サイズ剤の内添又は外添による方法が主として採用されるが、ブリストー法による吸収量は、用紙表面の平坦性(表面粗さ)やうねりによる変動、用紙中に残留する古紙由来の界面活性剤等の影響も考慮に入れることが好ましく、これらを総合的に勘案して調整することが望ましい。
また本発明の記録用紙は、迅速熱伝導率計(型番:QTM−500、京都電子工業(株)製)にてボックス式プローブを用いて測定した熱伝導率が、0.2kcal/m・h・℃以上、さらには0.25kcal/m・h・℃以上であることが好ましく、0.5kcal/m・h・℃以下、さらには0.48kcal/m・h・℃以下であることが好ましい。熱伝導率をこのように調整することによって、特に、電子写真印刷におけるトナー定着用熱溶融性樹脂の溶融がより迅速になり、近年の高速電子写真印刷にも充分に適合した記録用紙が実現される。なお、該熱伝導率とは、JIS P 8119−1998「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠した、20℃の条件下で湿度を65%に調湿した記録用紙についての測定値である。
熱伝導率が前記下限値未満では、トナーを用紙に固着するための、熱溶融性樹脂が記録用紙に転着し難くなり、トナー中のカーボンブラックのみが記録用紙に付着し、トナーの定着不良や記録用紙の汚れが生じる恐れがある。また逆に熱伝導率が前記上限値を超えると、用紙から熱が離散し、熱溶融性樹脂の溶融が不充分になり、やはりトナーの定着不良が生じる恐れがある。特に、近年の高速電子写真印刷においては、トナーへの加熱条件が極めて短時間になるため、用紙の熱伝導率が高過ぎると、トナーの定着不良が生じたり、印刷画像が不鮮明になる恐れが高まる。
なお、用紙の熱伝導率は、密度と密接な関係を有するところ、例えばカレンダー加工による平坦化処理条件を制御することによって細かく調整することができるが、先に述べたブリストー法による吸収量と相待って調整することが好ましい。より好ましくは、弾性ロールと金属ロールとの組合せからなる、所謂ソフトカレンダーにて200℃以上の高温で、抄速1500m/分以上で表面処理を行うことが、密度を低下させずに用紙表面を平坦化し、さらに用紙表面に偏って存在する、多孔性でクッション性を有する再生粒子凝集体との相乗効果で、紙質品質をさらに向上させることができる。
また本発明の記録用紙の坪量には特に限定がないが、少なくとも再生粒子凝集体を填料として内添することによる、重送、カール等を発生させないような搬送性、トナー定着性、フェザリング、滲み等を発生させないような印刷適性といった特性の向上効果が遺憾なく発揮されるには、50〜150g/m2程度、さらには60〜90g/m2程度であることが好ましい。
本発明において、内添用填料として用いられる再生粒子凝集体は、多孔性でクッション性を有する凝集体であり、その多孔性がゆえに、カレンダー加工等による平坦化処理において、過度の平坦化による重送の発生を抑制することが可能であるとともに、多孔構造による吸放湿性を有し、環境の温湿度変化に伴う用紙変化に対して緩衝剤的な効果を発現する。特に、再生粒子凝集体を、記録用紙の内部よりも表層部に偏在させることで、より緩衝剤的な効果が醸し出されるので、従来の一般的な填料を配合した場合とは異なり、電子写真印刷においては、重送、カール等の問題やトナー定着性を改善することができ、インクジェット印刷においては、染料系、顔料系といったインクの種類に関係なく、インク吸収乾燥性を向上させ、フェザリングや滲みの問題を改善することができる。
さらに、本発明に用いられる再生粒子凝集体は、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを構成元素とする凝集体であるので、従来の一般的な填料とは異なり、紙中への歩留り率が高く、ウエットエンドにおける歩留り向上剤効果が発現され易く、J/W比、サクション圧の調整により容易に用紙の表層部に偏在させて抄紙することが可能であり、本発明の効果を充分に発揮させることができる。
本発明の記録用紙は、パルプに、特定の粒子構成成分を有する再生粒子凝集体が内添用の填料として配合されており、該再生粒子凝集体が、表面上では満遍なく存在し、一方、表面と内部とを比較すると好ましくは表面に偏って存在し、しかも好ましくは灰分中の酸化マグネシウムの含有量が少ないので、インクジェット印刷適性に優れると同時に電子写真印刷適性に優れ、紙質強度が高く、高品質で品質安定性にも優れたものである。
次に、本発明の記録用紙を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
製造例1〜22及び比較製造例1〜4(再生粒子凝集体の製造)
原料として、表1〜2に示すように、脱墨フロス(古紙パルプを製造する古紙処理工程より得られた脱墨フロス、製造例1〜22)又は製紙スラッジ(主に製紙工程から排出される排水・脱水スラッジ、比較製造例1〜4)を用い、表1〜2に示す条件にて脱水工程、乾燥工程及び焼成工程を経て、湿式粉砕処理を施して再生粒子凝集体を得た。
なお、製造例15〜17においては、再生粒子をケイ酸ナトリウム溶液(水ガラス)に添加、分散させてスラリーを調製した後、加熱攪拌しながら、液温を約85℃に保持して希硫酸を添加し、シリカゾルを生成させ、次いで反応液のpHを8〜11に調整し、再生粒子の表面にシリカを析出させてシリカ被覆再生粒子凝集体とした。
得られた再生粒子凝集体について、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの含有量をそれぞれ酸化物換算で求め、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合を算出した。その結果を表3〜4に示す。また平均粒子径も併せて表3〜4に示す。さらにワイヤー磨耗度、生産性、品質安定性及び外観についても調べた。これらの結果も併せて表3〜4に示す。
なお、表1〜4に示す各種測定値は、以下の方法にて測定した。
(ア)乾燥工程後(焼成工程入口)の乾燥物の平均粒子径
X線マイクロアナライザー(型番:EMAX2770、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)を加速電圧15kVで用い、白黒ポラロイドフィルム(ポラロイド社製、8.5cm×10.8cm)にて、X線マイクロアナライザーディスプレーのX線像を20枚撮影して実測した。
(イ)乾燥工程後(焼成工程入口)の粒子径355〜2000μmの粒子の割合
4.7メッシュの篩にて、粒子径が2000μmを超える乾燥物粒子の質量割合を、42メッシュの篩にて、粒子径が355μm未満の乾燥物粒子の質量割合を想定し、質量割合を測定した。
(ウ)再生粒子凝集体中のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの含有量(酸化物換算)
X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて元素分析を行った。
(エ)再生粒子凝集体の平均粒子径
再生粒子凝集体サンプル10mgをメタノール溶液8mLに添加し、超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた。この溶液をコールターカウンター粒度分布測定装置(TA−II型、COULTER ELECTRONICS社製)にて、50μmのアパチャーを用いて測定した。ただし、50μmのアパチャーで測定不可能なものについては、200μmのアパチャーを使用した。また電解液として、ISOTON II(商品名、COULTER ELECTRONICS社製、0.7%の高純度NaCl水溶液)を用いた。
(オ)ワイヤー磨耗度
磨耗度試験装置(日本フィルコン(株)製)を用い、スラリー濃度2質量%にて3時間、プラスチックワイヤー磨耗度を測定した。
(カ)生産性
原料の脱水効率、生産性及び粉砕に必要な電力を各々4段階評価し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:いずれも高い評価でバランスが最もよかった。
○:平均してよい評価であった。
△:脱水効率、生産性及び粉砕に必要な電力のいずれかに問題があった。
×:実操業が困難であった。
(キ)品質安定性
白色度、粒子径、一定時間間隔における生産量の各項目について、変動程度を測定し、変動が少ない順にランク付けを行い、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:上位10位まで
○:11〜22位
△:23〜25位
×:26位以下
(ク)外観
目視にて再生粒子凝集体の色を観察し、白色と灰色とに区分した。
Figure 2008038310
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Figure 2008038310
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実施例1〜22及び比較例1〜4(記録用紙の製造)
表5に示す割合のパルプをダブルディスクリファイナーで叩解処理して混合し、このパルプ(絶乾パルプ質量)100質量部に対して、表5に示す種類の填料(再生粒子凝集体)を、灰分で表5に示す含有量となるように添加し、さらにカチオン澱粉(商品名:ケイト304、日本エヌエスシー(株)製)1.0質量部を添加してパルプスラリーを得た。なお、灰分はJIS P 8251「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に記載の方法に準拠して測定した。
次いでこのパルプスラリーを用い、オントップ多筒型抄紙機(デュオフォーマーD型、石川島プラント建設(株)製)にて抄紙速度650m/分で抄造し、記録用紙を得た。
Figure 2008038310
得られた記録用紙について、各種物性及び特性を以下の方法にしたがって調べた。これらの結果を表6〜11に示す。また、市販の記録用紙を準備し、実施例1〜22及び比較例1〜4の記録用紙と同様に各種物性を調べた。その結果を、比較例5〜7として併せて表7、9、11に示す。なお、比較例5〜7における記録用紙の灰分の含有量は、各々13質量%(比較例5)、14質量%(比較例6)及び9質量%(比較例7)である。
(1)表面上の再生粒子凝集体の存在割合
記録用紙の表面について、X線マイクロアナライザー(型番:EMAX2770、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)の加速電圧を15kV、倍率を50倍とし、白黒ポロライドフィルム(ポラロイド社製、8.5cm×10.8cm)にて、X線マイクロアナライザーディスプレーのX線像を撮影して面分析を行った。このX線像で検出される全面積に対する、再生粒子凝集体の存在部分(カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの存在部分の重なりである白色部分)の面積の割合(%)を算出した。
なお、X線像写真中の再生粒子凝集体の存在部分の面積は、前記ポロライドフィルムに撮影したX線像写真を用い、画像処理装置(型番:ルーゼックス FS、(株)ニレコ製)にて測定して求めた。
(2)灰分中の酸化マグネシウムの含有量
JIS P 8251「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に記載の方法に準拠して測定した灰分について、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて元素分析を行い、酸化物換算の成分分析によって酸化マグネシウムの量を求めた。
(3)吸収量
JAPAN TAPPI No.51−87「紙及び板紙−液体吸収性試験方法」に規定のブリストー法にて、0.4秒及び2秒で測定した。
(4)熱伝導率
JIS P 8119−1998「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠した、20℃の条件下で湿度を65%に調湿した記録用紙について、迅速熱伝導率計(型番:QTM−500、京都電子工業(株)製)にてボックス式プローブを用いて測定した。
(5)坪量
JIS P 8124「紙及び板紙−坪量測定方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(6)密度
JIS P 8118「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(7)熱水抽出pH
JIS P 8133(1976)「紙、板紙及びパルプ−水抽出液pHの試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(8)白色度
JIS P 8148「紙及びパルプのハンター白色度試験方法」に記載の方法に準拠してハンター白色度を測定した。
(9)白紙不透明度
JIS P 8149「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に記載の方法に準拠してハンター白紙不透明度を測定した。
(10)10点平均粗さ
触針式三次元表面粗さ計(小坂研究所製)を使用し、基準長さ2.5mm、評価長さ12.5mmの条件にて測定した。なお、評価結果として、8ヶ所の測定値の平均値を示す。
(11)重送
A4判の記録用紙を、抄紙と直角方向(CD方向)に、フルカラー電子写真印刷機(型番:DocuColor1250CP、富士ゼロックス(株)製)に2500枚片面通紙した際の重送の発生枚数を調べた。なお電子写真用転写紙としては、通常、7枚以下であることが必要とされる。
(12)カール
A4判の記録用紙を、CD方向に、フルカラー電子写真印刷機(型番:DocuColor1250CP、富士ゼロックス(株)製)に通紙して片面複写をした後、カール面を上にして平台上に置いた。記録用紙の4角のうち、最も高い角(台の面よりも最も離れた角)の台からの高さを測定し、10枚の平均値を求めた。なお電子写真用転写紙としては、通常、3mm以下であることが望ましい。
(13)製造安定性
抄紙機による記録用紙の製造時の操業安定性について、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、評価が2以下の場合には、商業上の実用レベルではなく、記録用紙の品質を一定以上に維持しつつ安定に製造を続けることが困難である。
(評価基準)
5:抄紙機上の紙匹の状態が安定で、通常の製造条件で問題なく安定に製造が行える。
4:抄紙機上の紙匹は概ね安定であり、操業条件の調整によって安定に製造が行える。
3:抄紙機上の紙匹は多少不安定であるが、操業条件の調整によって製造が可能である。
2:抄紙機上の紙匹の状態が不安定で、操業条件を調整してもしばしば断紙が発生する。
1:抄紙機上の紙匹の強度が低く、操業条件の調整による対応が困難で、頻繁に断紙が発 生する。
(14)トナー定着性
記録用紙にPPC複写機(型番:5055、富士ゼロックス(株)製)で複写した、画像濃度が約1.4の画像部に、セロハンテープ(幅:18mm、ニチバン(株)製)を、平坦な金属板上で、金属製の直径102mm、面長250mm、7500gのロールにて、300g/cmの線圧で貼付した。
次いでこのセロハンテープを1cm/秒の速度で剥離し、剥離後の画像濃度を測定して、剥離前の画像濃度に対する剥離後の画像濃度の比:
画像濃度の比=剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度
を求めた。これら画像濃度の測定には、マクベス反射型濃度計(型番:RD−918、Macbeth社製)を使用した。なお電子写真用転写紙としては、通常、剥離前の画像濃度に対する剥離後の画像濃度の比で0.7以上が必要とされる。
(15)静摩擦係数
JIS P 8147「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」に記載の方法に準拠し、記録用紙の表面と裏面とを横方向(CD方向)同士で擦った際の静摩擦係数を測定した。なお電子写真用転写紙としては、通常、0.45〜0.75であることが望ましい。
(16)動摩擦係数
JIS P 8147「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(17)フェザリング
インクジェットプリンタ(型番:PM800C、セイコーエプソン(株)製)を用い、記録用紙に0.5ポイントの実線(4色:イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)を10cm記録した。記録された実線の任意の3箇所において、1cmの間に生じているヒゲ状の滲み数を計測した後、3箇所の平均値を算出し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:滲み数の平均値が10未満であり、フェザリングが非常に生じ難い。
○:滲み数の平均値が10以上、20未満であり、フェザリングが生じ難い。
△:滲み数の平均値が20以上、30未満であり、フェザリングが生じ易い。
×:滲み数の平均値が30以上であり、フェザリングが非常に生じやすい。
(18)滲み
インクジェットプリンタ(型番:PM800C、セイコーエプソン(株)製)を、温度23℃、相対湿度50%の条件下で使用し、3原色(シアン、マゼンタ、イエローの各インク)の重ね色で構成される赤、緑、紫を、それぞれ交互に記録用紙にベタ印字(大きさ:3.0cm×3.0cm)した。印字から30分間経過後のインク浸透が安定した状態で、隣接するインクジェットの、互いに又は片側に滲み出した状態を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:滲みが全くない。
○:滲みが僅かに認められるが実用上問題がない範囲である。
△:滲みが認められる。
×:滲みがはっきりと認められ、実用上問題がある。
(19)搬送性
(a)インクジェット印刷
インクジェットプリンタ(型番:PM800C、セイコーエプソン(株)製)に、A4サイズの記録用紙を、温度23℃、相対湿度50%の条件下で100枚連続して給紙し、紙送りの状態及び紙詰まりの有無を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:紙詰まりが全く生じず、紙送りがスムーズであった。
○:紙送りのスピードに一部変化が見られたが、紙詰まりは生じなかった。
△:紙送りがわるく、紙詰まりが生じた。
×:紙詰まりが著しかった。
(b)電子写真印刷
電子写真印刷機(型番:DocuColor 1250、富士ゼロックス(株)製)を用い、記録用紙500枚に連続して、高精細カラーデジタル標準画像データ(ISO/JIS−SCID、日本規格協会発行)N1からN4を出力し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:搬送不良が全く生じなかった。
○:搬送不良が1回のみ生じた。
△:搬送不良が2〜5回生じた。
×:搬送不良が6回以上生じた。
(20)表面電気抵抗
JIS K 6911「表面抵抗率の測定法−三端子法」に記載の方法に準拠して測定した。
(21)平滑度
JIS P 8119「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に記載の方法に準拠してベック平滑度を測定した。
(22)Z軸強度
JAPAN TAPPI No.18−2「紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法」に規定のインターナルボンドテスタ法にて測定した。
(23)剛度
JIS P 8143「紙のクラークこわさ試験機によるこわさ試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
Figure 2008038310
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表6〜11に示された結果から、実施例1〜22の記録用紙は、CaOとSiO2とAl23とが特定の割合で、かつこれらの合計含有割合が90質量%以上である粒子構成成分を有する再生粒子凝集体が、内添用の填料としてパルプに配合されており、該再生粒子凝集体が、表面上では満遍なく20%以上も存在し、しかも灰分中の酸化マグネシウムの含有量が少ないので、特にインクジェット印刷適性に優れると同時に電子写真印刷適性に優れ、紙質強度が高く、高品質で品質安定性にも優れた、各種特性を兼備したものであることがわかる。
これに対して、表7、9、11に示された結果から、比較例1〜4の記録用紙は、前記特定の再生粒子凝集体が用いられていないため、各種特性を兼備したものではなく、インクジェット印刷適性及び電子写真印刷適性の双方に劣るものであることがわかる。
また比較例5〜7の市販の記録用紙も、比較例1〜4と同様に、各種特性を兼備したものではなく、良好なインクジェット印刷適性及び電子写真印刷適性を同時に満足するものではないことがわかる。
本発明の記録用紙は、インクジェット印刷適性に優れると同時に電子写真印刷適性に優れ、紙質強度が高く、高品質で品質安定性にも優れるので、例えばインクジェット印刷や電子写真印刷等、複数の印刷方式に好適に利用することができる。


Claims (4)

  1. パルプと填料とを主原料とし、該填料が内添されてなる記録用紙であって、
    前記填料のうち、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料が脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることで得られる再生粒子凝集体が、内添用填料として少なくとも配合され、
    前記再生粒子凝集体が、その粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有し、該カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)が、X線マイクロアナライザーを用いた元素分析にて、酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35であり、かつ該粒子構成成分中の、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合が、酸化物換算で90質量%以上であり、
    その表面において、X線マイクロアナライザーを用いた面分析によるX線像で検出される、前記再生粒子凝集体の存在部分の面積が、前記X線像で検出される全面積の10〜100%である、記録用紙。
  2. JIS P 8251に準拠して測定した灰分中の、酸化マグネシウムの含有量が7.5質量%以下である、請求項1に記載の記録用紙。
  3. 前記填料の含有量が、パルプ100質量部(絶乾パルプ質量)に対して、JIS P 8251に準拠して測定した灰分で1〜30質量部であり、
    JAPAN TAPPI No.51−87に規定のブリストー法にて測定した吸収量が、0.4秒で7.5mL/m2以下、2秒で14mL/m2以下であり、
    熱伝導率が0.2〜0.5kcal/m・h・℃である、請求項1に記載の記録用紙。
  4. パルプと填料とを主原料とし、該填料が内添されてなる記録用紙であって、
    前記填料のうち、古紙処理工程から排出される脱墨フロスを主原料とし、該主原料が脱水工程、乾燥工程、焼成工程及び粉砕工程を経ることで得られる再生粒子凝集体が、内添用填料として少なくとも配合され、
    前記再生粒子凝集体が、その表面にさらにシリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体であり、その粒子構成成分として、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含有し、該カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの質量割合(カルシウム:ケイ素:アルミニウム)が、X線マイクロアナライザーを用いた元素分析にて、酸化物換算で30〜62:29〜55:9〜35であり、かつ該粒子構成成分中の、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムの合計含有割合が、酸化物換算で90質量%以上であり、
    その表面において、X線マイクロアナライザーを用いた面分析によるX線像で検出される、前記再生粒子凝集体の存在部分の面積が、前記X線像で検出される全面積の10〜100%である、記録用紙。


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