JP2008038232A - スラグフォーミングを抑制できる溶鋼処理方法 - Google Patents

スラグフォーミングを抑制できる溶鋼処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶鋼処理中におけるスラグフォーミングを抑制できる溶鋼処理方法を提供する。
【解決手段】転炉内において吹き下げられた溶鋼に対して、取鍋内において炭素を投入することにより、この溶鋼の炭素含有量を上昇せしめる溶鋼処理方法において、前記投入の一部又は全部は、炭素含有量C[wt%]が70を超える物質によるものとする。この物質の投入により添加される炭素の重量としての炭素添加重量Wc[kg/tonSteel]と、溶鋼処理の終了時点におけるスラグ中のCaO含有量[wt%]を同じくAl2O3含有量[wt%]で除した比としての溶鋼処理終了時比C/Aと、が下記式の何れかを満足するように溶鋼処理終了時比C/Aを制御する。
Wc<0.4のとき、Wc×1.7+0.6≦C/A≦2.0…(1)
0.4≦Wc<1.5のとき、Wc×0.2+1.2≦C/A≦2.0…(2)
1.5≦Wcのとき、1.5≦C/A≦2.0…(3)
【選択図】図1

Description

本発明は、溶鋼処理方法に係り、より詳しくは、溶鋼処理中に発生するスラグフォーミングを抑制する技術に関する。
<用語の説明>
「溶鋼処理」:転炉から取鍋へ出鋼された溶鋼に対して実施される成分調整処理、及びそれに付随して実施される溶鋼攪拌処理あるいは真空脱ガス処理の総称を意味する。
「溶鋼処理の終了時点」:上記の溶鋼処理が終了した時点を意味する。
『高炉から出銑された溶銑を、例えばトーピードカー(溶銑搬送容器)内で脱P処理することなくそのまま転炉に装入し、この転炉内で溶銑に対し適宜に脱C処理及び脱P処理を実施し、取鍋内で溶鋼に対し炭素源を投入して(溶鋼処理)、炭素含有量C[wt%]を0.1以上とする鋼を溶製する』場合、一般的に、転炉内において溶銑を炭素含有量C[wt%]が少なくとも0.1以下となるまで吹き下げて溶鋼とし、取鍋内において適宜に炭素を投入して、この溶鋼の炭素含有量C[wt%]を上昇せしめて所望の炭素含有量C[wt%]となるようにしている。なぜなら、このように転炉内において溶銑(溶鋼)の炭素含有量C[wt%]を大幅に吹き下げると、例えば上記のトーピードカー内などにおいて事前に溶銑を脱P処理しなくとも、その溶銑のP濃度を所望のP濃度とせしめる脱P処理を転炉内において容易に実施可能となるからである。
一方、上記の如く炭素含有量C[wt%]が大幅に吹き下げられると、溶鋼中の炭素含有量C[wt%]が極めて低いため、転炉から出鋼される溶鋼は、所謂フリー酸素(何れとも結合されていない酸素原子)を多く含有している。同様に、スラグ中の酸素濃度(O2-)は比して高くなっている。
このように酸素の豊かな溶鋼に対して、取鍋内において上述の如く炭素を添加すると、添加された炭素が溶鋼中のフリー酸素及びスラグ中の酸素と化学反応してCOガスが発生し、この発生したCOガスの気泡がスラグ中へ滞留して蓄積されることによりスラグが泡立って見かけ上の体積が増大する所謂スラグフォーミングが発生してしまう。
一般的には、多少のスラグフォーミングが発生してもスラグが取鍋の上端縁から溢れ出ないよう、スラグフォーミング発生前のスラグの表面から前記上端縁までの距離(マージン、所謂フリーボード)はある程度は確保されている。しかし、溶製の生産性の確保という観点との兼ね合いで、この距離を十分には確保できないのが現状である。
一般に、この距離は300mm確保されているに過ぎず、従って、前記のスラグが鉛直方向に300mm以上泡立ってしまう(以下、スラグの鉛直方向への泡立ちの距離[mm]をスラグフォーミング量と称する。)
と、泡立ったスラグが前記の上端縁から溢れ出てしまうと懸念される。なお、スラグが当該上端縁から取鍋の外部へ溢れ出てしまうと、溶鋼処理を中断せざるを得ないケースもあり生産性が低下してしまうし、設備の損傷をも招いてしまう。
以上の技術背景を踏まえ、スラグフォーミングを抑制できる溶鋼処理方法の開発が渇望されていた。
これに対して、従来より、スラグのC/S(CaO[wt%]/SiO2[wt%])を高めるとスラグフォーミングを抑制するのに効果的であることが公知となっている。必要であれば、特開2004−323959・特告平7−2963・特開平9−256020を参照されたい。
また、従来より、溶鋼処理でC/Aを適宜に制御しようとする思想も公知となっている。必要であれば、特開平9−157732・特開平7−41820を参照されたい。
しかし、前者の技術(C/Sに関するもの)はスラグのSiO2濃度[wt%]が高く、Al2O3濃度[wt%]が低い溶銑処理あるいは転炉(具体的にはSiO2濃度=10〜30%、Al2O3濃度〜10%)に関するものであり、スラグフォーミングがSiO2濃度に大きな影響を受ける場合に適応できる技術である。一方、本願発明が対象とする処理工程は先程とは逆にSiO2[wt%]濃度が低く、Al2O3[wt%]が高い(具体的にはSiO2濃度〜10%、Al2O3濃度10〜40%)ものであるため、スラグフォーミングに及ぼす影響はSiO2よりもAl2O3によって影響を受ける。このため、溶鋼処理の工程では前者の技術ではスラグフォーミングを抑制できるはずの高C/S(具体的には4〜9程度)であってもAl2O3濃度が高いためスラグフォーミングが発生する。このため、溶鋼処理中に発生するスラグフォーミングを抑制するためにはC/Sでは無くC/Aを制御する技術が必要になる。
また、後者の思想(C/Aの制御に関するもの)も一応は公知となってはいるが、スラグフォーミングとは添加される炭素の添加量がものを言うものであるから(後述する図1参照)、C/Aを単独でいくら制御したとしてもスラグフォーミングを適切に抑制できるわけがない。
課題を解決するための手段及び効果
そこで、本願発明の発明者らは、スラグフォーミングを抑制できる溶鋼処理方法に関して鋭意試験研究を重ねた結果、取鍋内における上記のスラグフォーミングは、図1に示す如く溶鋼処理終了時比C/A(溶鋼処理の終了時点における、取鍋内の溶鋼上に浮設されているスラグ中の、CaO含有量[wt%]を、同じくAl2O3含有量[wt%]で除した比)と、炭素添加重量Wc(溶鋼の炭素含有量[wt%]を上昇せしめて所望の炭素含有量[wt%]とするために添加される炭素の重量のうち、炭素含有量C[wt%]が70を超える物質の投入による重量)と、と密接な関係のあることが判った。
なお、図1において◆「黒塗りつぶし丸印」は「溶鋼処理中におけるスラグフォーミングは好適に抑制されていた(具体的にはスラグフォーミング量が常に300mm未満であった)ものの、スラグが固化してしまっていた」という結果を示し、◆「白抜き丸印」は「溶鋼処理中におけるスラグフォーミングが好適に抑制されていた(具体的にはスラグフォーミング量が常に300mm未満であった)」という結果を示し、◆「半月丸印」は「溶鋼処理中におけるスラグフォーミングは好適には抑制されていなかった(具体的にはスラグフォーミング量が常には300mm未満ではなかった)」という結果を示す。
即ち、図1によれば、比して炭素添加重量Wcが大きい程、及び、比して溶鋼処理終了時比C/Aが小さい程、溶鋼処理中においてスラグフォーミング量が300mm以上であるスラグフォーミングが発生し易いことが判る。
比して炭素添加重量Wcが大きい程、溶鋼処理中においてスラグフォーミング量が300mm以上であるスラグフォーミングが発生し易くなるのは、以下の理由によるものと考えられる。
即ち、炭素含有量C[wt%]が70を超える物質である例えばコークスや炭素塊などは、一般的に、塊状のまま取鍋内に投入される。このため、これらの物質は溶鋼中にスムーズには溶け込まれ難く、溶け残った物質が溶鋼中を浮上してスラグに至り、その物質がスラグ中の酸素と急激に反応することにより大量のCOを発生させてしまうからだと考えられる。
なお、溶鋼中のSi含有量やMn含有量などを調整することを目的として溶鋼中へ添加される合金にも、上記炭素は、最大10%程度含有されている。しかし、この合金中の炭素は、スラグフォーミングの原因とは成り難いと考えられる。なぜなら、合金中に含まれる炭素成分は溶鋼に対して極めて溶け込みやすいので、殆ど溶け残ることがないからである。
また、比して溶鋼処理終了時比C/Aが小さい程、溶鋼処理中においてスラグフォーミング量が300mm以上であるスラグフォーミングが発生し易くなるのは、以下の理由によるものと考えられる。
即ち、比して溶鋼処理終了時比C/Aが小さいと、溶鋼処理中に発生するCO気泡がスラグ中において安定的に存在でき、CO気泡が互いに凝集・合体することなく個別単独でスラグ中に留まれるからだと考えられる。
裏を返せば、比して溶鋼処理終了時比C/Aが大きいと、溶鋼処理中に発生するCO気泡がスラグ中において安定的には存在できないので、CO気泡が互いに凝集・合体しようとする(具体的には気泡の表面積を小さくしようとする)。これにより、CO気泡の夫々の体積が増大されるから、その強力な浮力によってスラグ中から大気中へ脱出しやすくなると考えられる。
また、本図によれば、溶鋼処理終了時比C/Aが2.0を超えると、溶鋼処理中においてスラグフォーミング量が300mm以上であるスラグフォーミングは発生しなかったものの、スラグが固化してしまったことが判る。なお、スラグが固化してしまうと、以下の問題が生じる。即ち、溶鋼処理の終了後に取鍋内に収容されている溶鋼を連続鋳造機が備えるタンディッシュへ注湯し、その後、取鍋内に残っているスラグを排滓しようとしてもスムーズには排滓できない。
上記の鋭意試験研究の成果を踏まえ、次に、課題を解決するための手段及びその効果を説明する。
本発明の観点によれば、『転炉内において炭素含有量C[wt%]が少なくとも0.1以下となるまで吹き下げられた溶鋼に対して、取鍋内において炭素を投入することにより、この溶鋼の炭素含有量C[wt%]を上昇せしめて所望の炭素含有量C[wt%]とする、溶鋼処理』は、以下のような方法で行われる。
即ち、取鍋内における炭素の前記投入の一部又は全部は、炭素含有量C[wt%]が70を超える物質の投入によるものとする。
この物質の投入により添加される炭素の重量としての炭素添加重量Wc[kg/tonSteel]と、溶鋼処理の終了時点における、取鍋内の溶鋼上に浮設されているスラグ中の、CaO含有量[wt%]を、同じくAl2O3含有量[wt%]で除した比としての溶鋼処理終了時比C/Aと、が下記式(1)〜(3)の何れか一を満足するように前記溶鋼処理終了時比C/Aを制御する。
Wc<0.4のとき、Wc×1.7+0.6≦C/A≦2.0・・・(1)
0.4≦Wc<1.5のとき、Wc×0.2+1.2≦C/A≦2.0・・・(2)
1.5≦Wcのとき、1.5≦C/A≦2.0・・・(3)
これによれば、溶鋼処理中に発生するスラグフォーミングを効果的に抑制できる。また、スラグの固化が回避されるので、排滓作業をスムーズに行える。
<溶鋼処理の終了時点における前記比C/Aを制御対象とする理由>
本発明の実施の形態を説明する前に、上述の如く本願発明において制御対象としての前記比C/Aを、溶鋼処理の開始時点におけるものではなく、溶鋼処理の終了時点におけるものとした理由を以下に説明する。端的に言えば、溶鋼処理中のスラグフォーミングを抑制するには該溶鋼処理中における比C/Aを所定の値以上とすることが肝要であり(図1参照)、また、この比C/Aは該溶鋼処理中においてAl2O3の生成に伴って漸減せんとするものだからである(図2参照)。
一般に、上記溶鋼処理の終了時点における溶鋼の温度を所望の値とするため(温度補償のため)に、溶鋼処理中、溶鋼に対してAlを添加し酸素を吹き込むことによって熱を発生させるテルミット反応を利用している。このテルミット反応とは、例えば下記の化学式の如くAlとO2とからAl2O3を生成する反応である。
4Al+3O2→2Al2O3
そして、上記溶鋼処理の開始時〜終了時においては、原則として、スラグのCaO含有量は変動しない一方で、上記のテルミット反応によりAl2O3は生成され続ける。従って、図2に示す如く溶鋼処理の前後における前記比C/Aが一致することは稀であり、通常、溶鋼処理の終了時点における比C/Aが同じく開始時点における比C/Aを下回る。
一方、図1に示した如く、溶鋼処理中のスラグフォーミングを好適に抑制するためには、該溶鋼処理中における比C/Aを常に所定の値以上とすることが肝要である。
以上の理由を総合的に判断すると、溶鋼処理中に発生するスラグフォーミングを効果的に抑制するためには、溶鋼処理の終了時点における前記比C/Aを適宜に制御することが合理的と言えるからである。
<実施形態>
それでは、本実施形態における溶鋼製造の概略を説明する。
(溶鋼製造の概略)
1.高炉で生成した溶銑をトーピードカーに出銑する。
2.このトーピードカーを用いて溶銑を転炉へ搬送し、この溶銑を転炉内へ装入する。
3.転炉に装入した溶銑に対して酸素を吹き込み、該溶銑に対する脱C処理及び脱P処理を実施する。なお、溶銑の炭素含有量C[wt%]は、製品目標C(炭素濃度)を考慮することなく、少なくとも0.1以下となるまで吹き下げるものとする。
4.3.の処理が終了したら、この転炉を傾け、取鍋に対して溶鋼を出鋼する。なお、この出鋼の時点における溶鋼の炭素含有量C[wt%]を念のため測定しておくことが好ましい(後述する表1を併せて参照、「転炉吹止C」)。
5.4.で溶鋼が注湯された取鍋を、溶鋼を処理するための設備(以下、溶鋼処理設備とも称する。)へ搬送する。
6.取鍋内の溶鋼上に浮設されているスラグの前記溶鋼処理終了時比C/Aを制御するために、必要に応じて、例えば、適量の生石灰及びAl灰を取鍋内へ投入する。詳しくは後述する。
7.溶鋼処理を実施する。
(8.取鍋を連続鋳造設備が備える連続鋳造機へ搬送し、該連続鋳造機が備えるタンディッシュへ取鍋内に収容されている溶鋼を注湯する。)
次に、上記6.で示したスラグの前記溶鋼処理終了時比C/Aの制御の方法を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。換言すれば、前記溶鋼処理終了時比C/Aを制御するために、溶鋼処理を開始する前に取鍋内に予め投入すべきCaO及びAl2O3の重量を決定する方法に関して説明する。なお、下記の工程(工程1〜8)は、後述する表1と対応するものであるから、適宜に表1を参照されたい。図3は、溶鋼処理を開始する前に取鍋内に予め投入すべきCaO及びAl2O3の重量を決定する為のフローチャートを示す図である。
(工程1:S301)
本工程では、溶鋼処理設備に搬送されてきた取鍋内に収容されている溶鋼及びスラグの成分などを調査する。具体的には、溶鋼処理を開始する前における下記項目を適宜の方法により調査する。
・溶鋼のC含有量
・溶鋼のMn含有量
・溶鋼のSi含有量
・溶鋼のAl含有量
・溶鋼の温度
・スラグのAl2O3含有量
・スラグのCaO含有量
・スラグの厚み
(工程2:S302)
製造する鉄鋼の鋼種に応じて定まる所望の炭素含有量C[wt%](表1中、製品目標C)と、上記工程1において測定した溶鋼処理を開始する前における溶鋼の炭素含有量C[wt%]と、取鍋内に収容されている溶鋼の体積と、に基づいて、溶鋼処理中に取鍋内に投入すべき炭素の重量[kg/tonSteel]を算出する。
(工程3:S303)
上記工程2と略同様に、製造する鉄鋼の鋼種に応じて定まる所望の各成分含有量(表1中、製品目標Mn及び製品目標Si)と、上記工程1において測定した溶鋼処理を開始する前における溶鋼の各成分含有量と、取鍋内に収容されている溶鋼の体積と、に基づいて、溶鋼処理中に取鍋内に投入すべき各成分の重量[kg/tonSteel]を算出する。
なお、上記各成分とは具体的には例えばMnやSiであって、本実施形態ではMnを含有するFeMn合金を、及びSiを含有するFeSi合金を取鍋内に適宜に投入することとしている。従って、先ず、上記において投入すべきMn及びSiの重量を算出し、次いで、これらMn及びSiを投入するために必要なFeMn合金及びFeSi合金の重量を算出する。
(工程4:S304)
上記工程3で投入すべき重量が算出されたFeMn合金及びFeSi合金に含まれる炭素の重量を算出する。
上記工程2で算出した、溶鋼処理中に取鍋内に投入すべき炭素の重量の一部が上記で算出した各合金内に含まれる炭素によって賄われるので、残りの炭素の重量(炭素添加重量Wc)を求める。
なお、この際、当該残りの炭素の重量を確保するために必要となるコークス(又は炭素塊)の重量を求めておくと良い。
(工程5:S305)
上記工程4で算出される炭素添加重量Wcに基づいて選択される下記式(1)〜(3)の何れか一の式によって、制御すべき前記溶鋼処理終了時比C/Aの上限及び下限を決定する(図4を併せて参照)。
Wc<0.4のとき、Wc×1.7+0.6≦C/A≦2.0・・・(1)
0.4≦Wc<1.5のとき、Wc×0.2+1.2≦C/A≦2.0・・・(2)
1.5≦Wcのとき、1.5≦C/A≦2.0・・・(3)
(工程6:S306)
上記工程1で測定した溶鋼処理を開始する前における溶鋼の温度と、溶鋼処理の終了時における溶鋼の温度の目標値と、の差異に基づいて溶鋼処理中に昇温すべき溶鋼の温度幅を算出する。なお、「昇温すべき溶鋼の温度幅」は、取鍋内に収容されている溶鋼の体積と、上記工程3で算出した各合金の重量と、上記工程4で算出したコークスの重量と、を総合的に考慮して算出するものとする。
次いで、上記「昇温すべき溶鋼の温度幅」を確保するために溶鋼処理中に取鍋に投入すべきAlの重量を算出する。
(工程7:S307)
上記工程1で測定した「溶鋼処理を開始する前における溶鋼のAl含有量」と、溶鋼処理の終了時における溶鋼のAl含有量の目標値(表1中、製品目標Al)と、上記工程6で算出した投入すべき(投入する)Alの重量と、を総合的に考慮して、溶鋼処理中に生成されるAl2O3の重量を算出する。より具体的には以下の如くである。
即ち、上記工程1で測定した溶鋼処理を開始する前における溶鋼が含有するAlと、溶鋼処理中に溶鋼を昇温せしめるために投入するAlと、の和のうち、溶鋼処理の終了時における溶鋼のAl含有量の目標値を満足するために要するAlを除いた残りのAlはすべて溶鋼処理中にAl2O3となってスラグに移行するとして、溶鋼処理中に生成されるAl2O3の重量を算出する。
(工程8:S308)
上記工程1で測定したスラグ厚みと、既知の取鍋形状と、に基づいて、溶鋼処理の開始時におけるスラグの体積を算出する。
また、上記工程1で測定したスラグのAl2O3含有量及びCaO含有量などに基づいて、溶鋼処理の終了時点におけるスラグの前記比C/A(表1中、「成分調整を伴わない場合の溶鋼処理終了時比C/A」)を算出する。
そして、この比C/Aを、上記工程5において決定した上限及び下限によって定められる範囲内とするために溶鋼を処理する前に取鍋内に投入すべきCaOの重量及びAl2O3の重量を算出する。このとき、溶鋼処理中に生成されるAl2O3の重量(上記工程7参照)と、本工程で算出したスラグの上記体積と、を十分に考慮する。
本実施形態では上述したように、溶鋼を処理する前に投入するCaO及びAl2O3は、生石灰(CaOを約90〜95%(例えば93%)含む。)及びAl灰(Al2O3を約80〜90%(例えば85%)含む。)により供給することとしているので、前記のCaOの重量及びAl2O3の重量を夫々、溶鋼処理の前に投入すべき生石灰の重量及びAl灰の重量に換算する。
なお、Al灰は生石灰と比較して若干高価と言えるので、可能であれば、前記溶鋼処理終了時比C/Aは、生石灰のみの投入により調整することが好ましい。
次に、本実施形態に係る溶鋼処理方法の技術的効果を確認するための試験に関して適宜に図面を参照しつつ説明する。
本試験においては、前述の図3に記載されているフローチャートに従って溶鋼処理を開始する前に投入すべき生石灰及びAl灰の重量を決定して実際にこれらを投入し、溶鋼処理の終了時点における炭素含有量C[wt%]が0.1〜0.5となるように溶鋼処理を実施した。そして、溶鋼処理中に発生したスラグフォーミングのスラグフォーミング量を測定し記録した。その試験の結果を図5に示す。
図中において実施例・比較例に対応するプロットは、太線によって区分けすることにより区別できるようにしておいた。本図において「黒塗りつぶし丸印」・「白抜き丸印」・「半月丸印」が示すところは、図1についての説明文を参照されたい。
本試験の他の試験条件は以下の通りである。
即ち、転炉及び取鍋は一度に250tの溶銑(又は溶鋼)を処理可能なサイズのものを用い、転炉内において実施される吹錬の終了時点(所謂吹止時点)における溶鋼の炭素含有量C[wt%]を0.02〜0.06%とし、同終了時点における溶鋼の温度(所謂吹止温度)[℃]を1630〜1720とした。なお、本試験における製品目標P[wt%]は、0.010〜0.025とした。
また、本試験において前記の生石灰やAl灰の重量を決定した際に作成したテーブルを下記の表1に示す。下記表1は、前述の通り、図3に記載されているフローチャートに従ってなされたものであって、本表における「Ch1」〜「Ch3」(Chはチャージを意味する。)は、図5に記載のグラフ上になされた実施例のプロットの一に明示的に夫々対応している。
Figure 2008038232
図5によれば、本発明の一実施形態として上述した方法によると溶鋼処理中に発生するスラグフォーミングのスラグフォーミング量を常に300mm未満と抑制できることが判る。
一方、前記溶鋼処理終了時比C/Aが過小となっていた場合は、溶鋼処理中に発生するスラグフォーミングのスラグフォーミング量を常には300mm未満と抑制することができなかったことが判る。なお、この場合、より具体的には約32%の確率で前記好ましくない結果となった。
また、前記溶鋼処理終了時比C/Aが過大となっていた場合は、溶鋼処理中に発生するスラグフォーミングのスラグフォーミング量を一応は常に300mm未満と抑制できたものの、スラグが固化してしまっていたことが判る。
以上説明したように上記の実施形態において『転炉内において炭素含有量C[wt%]が少なくとも0.1以下となるまで吹き下げられた溶鋼に対して、取鍋内において炭素を投入することにより、この溶鋼の炭素含有量C[wt%]を上昇せしめて所望の炭素含有量C[wt%]とする、溶鋼処理』は、以下のような方法で行われている。
即ち、取鍋内における炭素の前記投入の一部又は全部は、炭素含有量C[wt%]が70を超える物質の投入によるものとする。
この物質の投入により添加される炭素の重量としての炭素添加重量Wc[kg/tonSteel]と、
溶鋼処理の終了時点における、取鍋内の溶鋼上に浮設されているスラグ中の、CaO含有量[wt%]を、同じくAl2O3含有量[wt%]で除した比としての溶鋼処理終了時比C/Aと、が下記式(1)〜(3)の何れか一を満足するように前記溶鋼処理終了時比C/Aを制御する。
Wc<0.4のとき、Wc×1.7+0.6≦C/A≦2.0・・・(1)
0.4≦Wc<1.5のとき、Wc×0.2+1.2≦C/A≦2.0・・・(2)
1.5≦Wcのとき、1.5≦C/A≦2.0・・・(3)
これによれば、溶鋼処理中に発生するスラグフォーミングを効果的に抑制できる。また、スラグの固化が回避されるので、排滓作業をスムーズに行える。
溶鋼処理終了時比C/A及び炭素添加重量Wcと、スラグフォーミング量と、の関係を表す説明図。 溶鋼処理の前後における比C/Aの変化の態様を示す説明図。 溶鋼処理を開始する前に投入すべきCaO及びAl2O3の重量を決定する為のフローチャート。 本発明の一実施形態を実施するに際し、炭素添加重量Wcと溶鋼処理終了時比C/Aとの関連を示す説明図。 図1に類似する図であって、本発明の技術的効果を確認するための試験の結果を示す図。

Claims (1)

  1. 転炉内において炭素含有量C[wt%]が少なくとも0.1以下となるまで吹き下げられた溶鋼に対して、取鍋内において炭素を投入することにより、この溶鋼の炭素含有量C[wt%]を上昇せしめて所望の炭素含有量C[wt%]とする、溶鋼処理方法において、
    取鍋内における炭素の前記投入の一部又は全部は、炭素含有量C[wt%]が70を超える物質の投入によるものとし、
    この物質の投入により添加される炭素の重量としての炭素添加重量Wc[kg/tonSteel]と、
    溶鋼処理の終了時点における、取鍋内の溶鋼上に浮設されているスラグ中の、CaO含有量[wt%]を、同じくAl2O3含有量[wt%]で除した比としての溶鋼処理終了時比C/Aと、
    が下記式(1)〜(3)の何れか一を満足するように前記溶鋼処理終了時比C/Aを制御する、ことを特徴とする溶鋼処理方法
    Wc<0.4のとき、Wc×1.7+0.6≦C/A≦2.0・・・(1)
    0.4≦Wc<1.5のとき、Wc×0.2+1.2≦C/A≦2.0・・・(2)
    1.5≦Wcのとき、1.5≦C/A≦2.0・・・(3)
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JP2001152234A (ja) * 1999-11-19 2001-06-05 Kobe Steel Ltd 取鍋内溶鋼への炭材添加方法

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