JP2008037709A - 炭素材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】射出成形などによって作製した成形体を焼成する炭素材料の製造方法において焼成時に発生する膨れや割れなどの現象を抑止することのできる炭素材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】平均粒子径が0.2〜2mmの炭素粉末100重量部、残炭率が40%以上の熱硬化性樹脂10〜40重量部、残炭率が10%以下の成形助剤0.1〜5重量部の量比からなる原料を混合し、乾燥、粉砕した成形粉を、射出成形などにより成形し、得られた成形体の表層面の一部を除去して成形体の表層面に形成される樹脂リッチ層を取り除いて、成形体の気体透過係数を1.0〜5.0×10−10mol・mm−2・s−1・MPa−1に調整した後、180〜280℃の温度で硬化処理し、次いで、非酸化性雰囲気下800℃以上の温度で焼成処理する炭素材料の製造方法。好ましくは、原料に焼成助剤を0〜10重量部添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形、射出圧縮成形あるいはトランスファ成形によって作製した成形体を焼成する炭素材料の製造方法に関し、特に、焼成時に発生する膨れや割れなどの現象を抑止した炭素材料の製造方法に関する。
更に、目標とする最終製品形状に近似した炭素材料を製造することができ、例えば、異形、複雑形状の炭素材料を製造する際にも、後処理的に機械加工する部分を極力少なくできる炭素材料の製造方法に関する。
炭素材料は、非酸化性雰囲気において優れた耐熱性や高温強度を有し、また導電性、熱伝導性および化学的安定性も高く、各種工業材料として広く使用されている。この炭素材料は、従来からコークス粉末などの炭素質粉末を骨材として、ピッチやタールなどの結合材を配合して加熱混練し、混練物を粉砕した原料粉を押出成形や冷間静水圧による等方加圧成形などにより成形し、成形体を焼成し、さらにピッチ含浸、再焼成を繰り返し、必要に応じ黒鉛化することにより製造されている。
この製造プロセスにおいて、特に焼成過程では主に結合材に由来する多量の揮発性ガスが発生し、発生したガスが成形体から円滑に揮散、排出されないと、膨れなどの変形や割れが生じ易い。そのため、焼成過程における昇温速度を極めて緩やかに加熱する必要があり、通常、焼成サイクルは1ヶ月以上もの長期間を要している。また、立体形状の最終製品を得るためにはブロック状の炭素材から所望の形状に機械加工するので、高価なものとなるなどの難点がある。
一方、黒鉛などの炭素粉末と比較的炭化率の高い熱硬化性樹脂を結合材として混合、混練した後、乾燥、粉砕して成形粉とし、この成形粉を所望形状に成形した成形体を焼成、炭化する方法がある。
そして、成形法として、比較的に複雑形状の成形体を作製することのできる射出成形法が有用されている。例えば、特許文献1には炭素微粉末と熱硬化性樹脂を混合する際に、高い機械的エネルギーを加えてメカノケミカル現象により炭素微粉末の粒子表面に樹脂が高度に結合したペースト状組成物を得、この組成物を注型成形または射出成形して、焼成する製造方法が開示されている。
しかし、成形時にペースト状組成物の流動性が重要であり、特に射出成形では流動性を高く保持する必要があるため熱硬化性樹脂量が多くならざるを得ない。例えば、上記特許文献1では、炭素粉末の平均粒径が100μm以下の微粉末であることもあって、結合材である熱硬化性樹脂量も多くなり、特に肉厚の厚い炭素製品では焼成時に膨れや割れが生じ易く、肉厚の厚い炭素製品を製造することは困難である。
そこで、特許文献2では炭素粉末100重量部にベンジリックエーテル型フェノール樹脂10〜50重量部を添加混練し、この混練物を射出成形または押出成形して成形体をつくり、これを非酸化性雰囲気下、600℃以上の温度で熱処理する炭素成形体の製造法が提案されている。
特許文献2は樹脂の添加量が少なくても流動性のよい混練物が得られるベンジリックエーテル型フェノール樹脂を使用するもので、射出成形により複雑形状の成形体を効率よく作製できるとするものであるが、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂は離形性が悪いので離形剤を添加する必要があり、更に、焼成炭化時に発生する揮発性ガスが通常のフェノール樹脂に比べて多い難点もあり、肉厚成形体を製造することが困難である。
特許文献3にはメソカーボン粉末と有機バインダーとの均一混合物を加熱し、射出成形するメソカーボン粉末成形体の製造方法が開示されている。しかし、使用するメソカーボン粉末の粒径が1〜80μmと小さく、成形時の流動性を改善するために可塑剤を配合するので、焼成過程で発生するガス量も多くなりカーボン焼結体の密度や強度が低くなる欠点がある。
また、特許文献4にはオルト位結合/パラ位結合存在比が3以上のノボラック系フェノール樹脂50〜95質量%と、炭素質材料50〜5質量%とを主成分とする樹脂組成物を射出成形した成形体を炭化焼成したアモルファスカーボン成形体が開示されているが、炭素質材料の粒径が100μm以下の微粉を用いるので、樹脂組成物の樹脂量比が高く、焼成時に発生するガス量が多くなる難点がある。
特開昭59−195515号公報 特開平01−115869号公報 特開平08−113668号公報 特開2004−131527号公報
そこで、発明者は上記の問題を解決すべく射出成形材料である樹脂組成物について種々検討を行い、炭素粉末とバインダーである熱硬化性樹脂とを混合した樹脂組成物を射出成形などした成形体は、その表層面に樹脂分がリッチな層が形成され、この樹脂リッチ層が焼成炭化時に緻密な炭素層となって、樹脂成分の分解炭化時に発生するガスの排出が阻害されることを見出した。
この傾向は、炭素粉末の平均粒子径が小さく、熱硬化性樹脂の混合量比が大きく、また成形体の肉厚が厚い場合に顕著となり、熱硬化性樹脂から発生する揮発性の分解ガスの排出が円滑に進まず、焼成炭化時に膨れや割れが発生することとなる。更に、成形体の焼成時には炭素粉末と熱硬化性樹脂の結合力が低下するので、分解ガスの圧力に耐えきれず、膨れや割れの発生が助長されることになる。
そして、本発明者は比較的大きな粒子径の炭素粉末を使用し、常法により熱硬化性樹脂を混合する際に樹脂組成物の流動性および離形性を向上させるための成形助剤を加え、更に、成形体の表層面に形成された樹脂リッチ層を除去すると成形体の焼成炭化時に膨れや割れの現象が防止され、後処理的に目的形状に機械加工が殆ど不要となる程度のニアネットシェイプの炭素材料が得られることを確認した。
すなわち、本発明はこれらの知見に基づいて完成したもので、その目的は射出成形などによって作製した成形体を焼成する炭素材料の製造方法において、焼成時に発生する膨れや割れなどの現象を抑止して焼成時間の短縮化を可能とし、更に、目的とする最終製品形状に近い炭素材料の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る炭素材料の製造方法は、平均粒子径が0.2〜2mmの炭素粉末100重量部、残炭率が40%以上の熱硬化性樹脂10〜40重量部、残炭率が10%以下の成形助剤0.1〜5重量部の量比からなる原料を混合し、乾燥、粉砕した成形粉を、射出成形、射出圧縮成形あるいはトランスファ成形により成形し、得られた成形体の表層面の一部を除去して成形体の表層面に形成される樹脂リッチ層を取り除いて、成形体の気体透過係数を1.0〜5.0×10−10mol・mm−2・s−1・MPa−1に調整した後、180〜280℃の温度で硬化処理し、次いで、非酸化性雰囲気下800℃以上の温度で焼成処理することを構成上の特徴とする。
本発明によれば、粒子径の大きな炭素粉末を用い、熱硬化性樹脂および成形助剤を特定の量比に混合した樹脂組成物からなる成形粉を射出成形、射出圧縮成形、トランスファ成形などにより成形した成形体の表層面に形成された樹脂リッチ層を除去して、成形体の気体透過係数を所定の範囲にすることにより、焼成時に発生する熱硬化性樹脂の熱分解ガスを効果的に排出、揮散除去することができる。その結果、焼成時間を短くしても膨れや割れの発生の少ない炭素材料を、効率よく、高い生産性で製造することが可能となる。
このようにして製造された炭素材料は曲げ強度が15MPa以上、固有抵抗が0.5Ω・m以下、熱伝導率が30W/mK以上の特性を備え、帯電防止材、電磁波シールド材、摺動部材、放熱基盤、遠赤外線放射体、調理器用発熱体を含む各種発熱体、金属蒸着用ルツボなどの広い用途分野で使用することができる。
原料となる炭素粉末には各種の炭素質粉末が用いられるが、黒鉛化度の高い黒鉛粉末が射出時の流動性が高く、ノズル詰まりやショートショットが少ないので、成形性の観点から人造黒鉛粉末や天然黒鉛粉末が好適である。
炭素粉末の粒度は平均粒子径が0.2〜2mm、好ましくは0.4〜2mmの粒径範囲のものが使用される。平均粒子径が0.2mmを下回ると成形粉の流動性が低下するので成形性が悪化し、成形性を維持するために相対的に樹脂量を増やすと成形体の表層面に形成される樹脂リッチ層が厚くなり、また成形体の焼成時に発生するガス量も増大し、膨れや割れ発生の原因となる。また、平均粒子径が2mmを越えると成形体の気体透過係数が大きくなるので焼成処理はし易くはなるが、炭素材料の強度が低下し、また射出成形時に詰まりが生じ易くなる。
炭素粉末のバインダーとなる熱硬化性樹脂は常用される残炭率が40%以上のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが用いられ、成形性や価格面からフェノール樹脂あるいはエポキシ樹脂が好適である。
本発明においては、原料として常用される上記の炭素粉末および熱硬化性樹脂の他に、成形時の流動性、成形性および離形性を向上させるため残炭率が10%以下の成形助剤を添加することが必須の要件である。なお、残炭率は、磁製ルツボに樹脂サンプルを入れ、135℃で1時間加熱、さらに250℃で5時間加熱後、磁製ルツボに蓋をして非酸化性雰囲気中でさらに1000℃で30分間加熱し、1000℃で30分間加熱後のサンプルの重量を、磁製ルツボに投入した樹脂サンプルの重量で除することにより測定される。
残炭率(%)=(1000℃で30分間加熱後のサンプルの重量)/(磁製ルツボに投入した樹脂サンプルの重量)×100
成形助剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸塩、オレイン酸、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、有機リン酸エステル、架橋ポリオレフィンなどの化合物、もしくは、これらの2種以上の混合物である有機物が好適に例示される。
これらの原料の混合量比は、上記の炭素粉末100重量部、熱硬化性樹脂10〜40重量部、成形助剤0.1〜5重量部の割合に設定する。熱硬化性樹脂の混合量比が10重量部未満では混合した樹脂組成物である原料の流動性が低く、成形性が悪化し、一方、40重量部を上回ると成形性は良好であるが、成形体表層面に形成される樹脂リッチ層が厚くなり、また焼成時に樹脂分解ガスの発生量も多くなり、炭素材料の膨れや割れ発生の原因となる。
また、添加する成形助剤の混合量比が0.1重量部を下回ると混合原料の流動性が低下してショートショットになり易く、離形性も悪化する。しかし、混合量比が5重量部を越えると焼成時に成形助剤から発生する分解成分が多いため発生ガス量が多くなり、焼成時に膨れや割れが発生し易くなる。
なお、これらの原料系において焼成助剤を添加することが好ましく、焼成助剤は熱硬化性樹脂を焼成して樹脂成分が分解炭化される前に、分解されて樹脂成分の炭化に伴って発生するガスの流出路を形成してガスの揮散放出を容易にするために機能する。焼成助剤としては、セルロース繊維、レーヨン繊維、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、コーンスターチ、クルミ粉などが例示される。
なお、焼成助剤の添加量は上記の混合原料、すなわち、炭素粉末100重量部、熱硬化性樹脂10〜40重量部、成形助剤0.5〜1重量部の混合量比に対して、0〜10重量部の量比で添加する。なお、焼成助剤は焼成時に膨れや割れが発生しない場合には添加不要であるが、添加量比が10重量部を越えると炭素材料の物性が不均一化し、強度も低下することとなる。
熱硬化性樹脂は適宜な有機溶剤に溶解して樹脂溶液とした後、炭素粉末、熱硬化性樹脂および成形助剤、更に必要に応じ焼成助剤を上記の重量比となるように混合する。混合はニーダー、加圧型ニーダー、2軸スクリュー混練機など適宜な混練機で十分に混練し、混練物は真空乾燥や風乾などにより乾燥して有機溶剤分を除去した後、粉砕して成形粉を調製する。
成形粉は5mm以下の粒状に粉砕することが好ましく、成形法は生産性の高い射出法が好ましく、射出成形、射出圧縮成形、トランスファ成形などの成形法が適用される。
このようにして得られた成形体には表層面に樹脂分のリッチな層が形成され、この樹脂リッチ層は焼成処理時に炭化して組織が緻密なカーボン層(ガラス状カーボン層)に転化する。したがって、成形体の表層面に形成したこのカーボン層により硬化処理および焼成処理、特に焼成処理時に樹脂成分の炭化に伴って発生する樹脂の分解ガスの透過が妨げられ、炭素材料の膨れや割れの原因となる。そこで、本発明においては成形体の表層面の一部を除去して樹脂リッチ層を取り除くことによりガスの揮散を円滑に行うものであり、成形体表面の樹脂リッチ層を除去することが必須の要件となる。
樹脂リッチ層の除去量は炭素粉末の平均粒子径や原料の成分、組成などにより異なるが、除去後の成形体の気体透過係数が1.0〜5.0×10−10mol・mm−2・s−1・MPa−1の範囲になるように除去することが必要である。気体透過係数が1.0×10−10mol・mm−2・s−1・MPa−1未満ではガスの透過、揮散が十分でなく、一方、気体透過係数が5.0×10−10mol・mm−2・s−1・MPa−1を上回る程度にまで表層面を除去してもガスの透過、揮散させる効果に顕著な差がないからである。
なお、気体透過係数の測定は下記の方法による。
JIS K7126のA法(差圧法)に準拠して、下記の方法で測定。
厚さ5mmの成形体を片面から1mm厚さになるように切削加工し、もう片面の成形面の表層面を除去して、74φ×1tサイズの試験片を用いた。透過面の直径を55mm、ガス種はヘリウムガス、低圧側容積15cm3 差圧0.2MPaの条件で、低圧側の排気バルブを閉じて60分後からさらに60分経過後の低圧側の圧力変化(室温25℃)から求めた。
樹脂リッチ層の除去量は、成形体の作製条件、成形体の大きさ、硬化処理、焼成処理などの条件にもよるが、通常、表層面を10μm以上、好適には40〜50μm程度除去すればよく、また、樹脂リッチ層の除去はサンドペーパーやサンドブラストなどによる研磨や研削による方法、あるいはバーナーなどで表面樹脂層を焼き飛ばすなどの方法で行うことができる。
成形体の表層面に形成された樹脂リッチ層を除去して、所定の気体透過係数に調整した後、常法により180〜280℃の温度に加熱して樹脂成分を硬化処理し、次いで、不活性ガスや窒素ガスなどの非酸化性雰囲気下で800℃以上の温度に加熱して樹脂成分を焼成処理して炭化し、更に、用途目的によっては3000℃程度の温度にまで加熱処理して黒鉛化することにより炭素材料が製造される。
この製造方法により、曲げ強度が15MPa以上、固有抵抗が0.5Ω・m以下、熱伝導率が30W/mK以上の特性を備えた炭素材料を効率よく、高い生産性で製造することが可能となる。
そして、これらの炭素材料は、帯電防止材、電磁波シールド材、摺動部材、放熱基盤、遠赤外線放射体、調理器用発熱体を含む各種発熱体、金属蒸着用ルツボなどの広い用途分野で使用することができる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
実施例1〜3、比較例1〜7
炭素粉末としては人造黒鉛を粉砕して粒度調整した平均粒子径の異なる人造黒鉛粉末を用い、熱硬化性樹脂には残炭率55%のフェノール樹脂(群栄化学工業 (株) 製、PSM−2222)を用い、アセトンに樹脂固形分が50wt%となるように溶解して樹脂溶液を調製した。この際、フェノール樹脂の硬化剤であるヘキサミンを樹脂固形分に対して10%加えた。また、成形助剤にはステアリン酸を用いて樹脂溶液に加え、60分間撹拌して樹脂溶液に完全相溶させた。
これらの人造黒鉛粉末、フェノール樹脂溶液およびステアリン酸の原料系において、各成分の重量比を変えて混合し、2軸ニーダーで60分間混練して混合原料を作製した。次いで、室温で風乾してアセトンおよび揮発性成分を除去した後、粒径3mm以下に粉砕して成形粉を得た。
実施例4〜5、比較例8
焼成助剤としてセルロース製の微小極細繊維を用い、上記の人造黒鉛粉末、フェノール樹脂溶液およびステアリン酸からなる原料系に混合重量部を変えて添加混合し、次いで、実施例3と同じ方法で成形粉を作製した。
これらの成形粉を、150t汎用型の射出成形機を用いて、150×150×5tmmの平板1枚取りの射出成形を行った。なお、射出条件は、シリンダ温度90℃、金型温度170℃、射出圧力および速度は成形粉の原料組成に合わせて最適条件を選択した。
得られた成形体の表層面を1000番の紙ヤスリで研削して、表層面に形成された樹脂リッチ層の一部を研削除去して気体透過係数の異なる成形体を作製した。
次いで、250℃の温度で5時間加熱して硬化処理した後、一旦常温に戻し、窒素雰囲気中で1000℃の温度で5時間加熱して焼成処理して、炭素材料を製造した。これらの製造条件を表1に示した。
Figure 2008037709
これらの炭素材料について、下記の方法で嵩比重、曲げ強度、固有抵抗および熱伝導率などを測定し、得られた結果を表2に示した。
(1)嵩比重 ;
アルキメデス法により、試料の乾燥重量および水中での重量を測定(室温25℃)し求めた。
(2)曲げ強度(MPa) ;
JIS K7203により、試験片サイズ90×10×5t(mm)、支点間距離80mm、クロスヘッドスピード0.5mm/分の条件で3点曲げ試験を行った。
(3)固有抵抗 (Ω.m);
JIS R7202の電圧降下法により、試験片サイズ90×10×5t(mm)の長手方向に直流電流0.5Aを流して、端子間距離67mmの電圧降下を測定(室温25℃)して算出した。
(4)熱伝導率(W.m−1.K−1) ;
レーザーフラッシュ法により測定した。測定装置は真空理工株式会社製TC−7000型を用い、試験片サイズ10φ×2t(mm)に所定エネルギーのレーザー光を当て、試験片の温度変化およびレーザー光と投射面の裏面の温度変化より、比熱容量および厚さ方向の熱拡散率を測定し、熱伝導率=比熱容量×熱拡散率×密度より算出した。
Figure 2008037709
実施例1〜5では、いずれの場合も成形性が良く、また表面樹脂リッチ層を除去することにより、焼成中に発生するガスの透過が良いために、焼成後のものは、膨れ又は割れが発生せず、曲げ強度も黒鉛材料として使用できるものであった。
比較例1では、黒鉛粉粒径が小さいために成形材料の流動性が悪く、射出成形時に金型に充填ができなかった。比較例2では、黒鉛粉粒径が大きいためにスプール径やゲートの構造を大きくすることにより射出成形は可能であったが、焼成後の成形体は強度が低く、黒鉛材料として使用できるものではなかった。
比較例3では、樹脂量が少ないために成形粉の流動性が悪く、成形体に顕著なウェルドラインが見られた。また、焼成中にウェルドラインのところで破壊が起こり成形体が割れてしまい、その他の部分でも曲げ強度が低くなった。比較例4では、樹脂量が多いため、成形粉の流動性が良く、成形性は良かったが、樹脂分解によるガス発生量が多く、焼成中に多数の膨れが発生した。
比較例5では、成形助剤量を増やしたことにより、成形材料の流動性は良くなったものの、成形助剤が成形体の表層に浮き出て膜を形成してしまい、成形時に発生するガスの排出ができずに射出成形体が膨れてしまった。比較例6では、成形助剤を添加しなかったために成形粉の流動性が悪く、ショート成形が多発した。また得られる成形体には顕著なウェルドラインが見られた。
比較例7では、実施例3と同条件で射出成形を行った射出成形体に、表面層の除去を行わずに焼成を行ったところ、気体透過係数が小さいため焼成中に発生したガス抜けが悪く、焼成中に多数の膨れが発生した。比較例8では、焼成助剤量を増やして成形を行った。成形は問題なく行うことができたが、焼成助剤の分散が均一にできず、焼成時に焼成助剤が分解したときにできる気孔が不均一になるために、局部的に強度が低下し、焼成時にヒビが入ってしまった。

Claims (3)

  1. 平均粒子径が0.2〜2mmの炭素粉末100重量部、残炭率が40%以上の熱硬化性樹脂10〜40重量部、残炭率が10%以下の成形助剤0.1〜5重量部の量比からなる原料を混合し、乾燥、粉砕した成形粉を、射出成形、射出圧縮成形あるいはトランスファ成形により成形し、得られた成形体の表層面の一部を除去して成形体の表層面に形成される樹脂リッチ層を取り除いて、成形体の気体透過係数を1.0〜5.0×10−10mol・mm−2・s−1・MPa−1に調整した後、180〜280℃の温度で硬化処理し、次いで、非酸化性雰囲気下800℃以上の温度で焼成処理することを特徴とする炭素材料の製造方法。
  2. 成形助剤がステアリン酸、ステアリン酸塩、オレイン酸、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、有機リン酸エステル、架橋ポリオレフィンなどの化合物、もしくは、これらの2種以上の混合物である請求項1記載の炭素材料の製造方法。
  3. 原料に、セルロース繊維、レーヨン繊維、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、コーンスターチ、クルミ粉などの焼成助剤を0〜10重量部添加する請求項1記載の炭素材料の製造方法。
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