JP2008037665A - 窒化ガリウムの結晶成長方法 - Google Patents

窒化ガリウムの結晶成長方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 下地基板の上にドットマスクやストライプマスクを付けて窒化ガリウム結晶をエピタキシャル成長させる際に、露呈部で成長が始まりマスクの上の成長が始まらないので、マスク端から立ち上がるファセットができる。マスクの上は結晶欠陥集合領域Hができるが、これはc軸方位が反転した単結晶である反転領域Jであることが望ましい。マスク上に必ず反転領域Jを生成するようにすること。
【解決手段】 反転領域Jができるためにはファセットに方位の反転した極性反転結晶が発生することが必要である。成長温度や成長速度を適切な範囲とすることで、ファセットを埋め込まないようにして気相法で窒化ガリウムを成長させる。
【選択図】図7

Description

次世代大容量光ディスクには窒化ガリウム系の青紫色レーザが使用される。青紫色レーザを実用化するためには高品質な窒化ガリウム基板が必要である。この発明は青紫色レーザに加え、発光素子(発光ダイオード、レーザーダイオード)、電子素子(整流器、バイポーラトランジスター、電界効果トランジスター、HEMT)、半導体センサー(温度センサー、圧力センサー、放射線センサー、可視−紫外光検出器)、SAWデバイス、加速度センサー、MEMS部品、圧電振動子、共振器、圧電アクチュエータ等にも利用が見込まれる、高品質な窒化ガリウム基板を製造するための窒化ガリウム結晶成長方法に関する。
高密度光ディスクのデータ記録再生に用いられる青紫色レーザは、波長405nmの窒化ガリウム(GaN)系の半導体レーザが使われる。青紫色発光ダイオード(LED)はサファイヤ(Al)基板の上にGaN、InGaNなどの薄膜を形成して作られる。サファイヤと窒化ガリウムは格子定数がかなり違うので、高密度の転位欠陥が発生する。電流密度が低いLEDの場合は欠陥が増殖せず長寿命であり異種基板のサファイヤ基板でよかったのである。しかし注入電流密度が高い半導体レーザ(LD)の場合はサファイヤ基板は不適であることが分かった。電流密度が高くて欠陥が増大し急速に劣化する。LEDと異なりサファイヤを基板とする青紫色レーザは実用化されていない。
窒化ガリウムと格子定数が十分に近い物質は存在しない。窒化ガリウム薄膜をその上に形成する基板は窒化ガリウム自体でなければならないということが分かってきた。青紫色半導体レーザを実現するためには低転位密度の高品質の窒化ガリウム基板が強く要望される。
しかし窒化ガリウムの結晶成長は非常に困難である。窒化ガリウム(GaN)は加熱しても容易に融液にならず、液相から固相への結晶成長法はフラックス法など溶液からの結晶成長法が研究段階にあるが、2インチ径以上の実用レベルのサイズを持つ窒化ガリウム結晶は未だ作製されていない。ガスを原料とする気相からの成長法によって窒化ガリウム結晶の成長が試みられた。実用レベルのサイズを持つ大口径で高品質の窒化ガリウム基板の結晶成長のため様々な開発が行われてきた。
本発明者は、異種の下地基板の上にマスクを付け窒化ガリウム結晶を厚く成長させその後、異種の下地基板を除去することによって厚い窒化ガリウム自立結晶を得るようにした手法を開発提案した。
本発明者による特許文献1は、GaAs下地基板の上に、ストライプ(平行直線状)穴や円形穴を有するマスクを形成し、その上に窒化ガリウムを厚く成長させ、GaAs下地基板を除去することによって窒化ガリウム単独自立結晶(基板)を得る方法を提案している。このマスクは被覆部が広く穴(露呈部)が狭いような被覆部優勢のマスクである。穴だけに結晶核ができて厚みを増すと被覆部へ乗り上げるが横方向に伸び転位も横方向に伸びる。隣接穴から横方向に伸びた結晶が衝突し上向き成長に方向転換する。そのため転位がかなり減る。そのまま上向きに平坦面(C面)を維持して結晶成長させる。
これはマスク上を横方向に成長させて転位を減らすのでELO法(Epitaxial Lateral Overgrowth)の一種とも考えられなくないが、通常のELO法は予めサファイヤ等の下地基板上に先ずGaNの薄膜を形成し、その上にSiO等のマスクを形成し、マスクに線状やドット状の微細な穴を空け、再度GaNを成長させる際に、同種材料であるGaNが露呈している穴部からマスク上を横方向に成長させるものである。これに対して、特許文献1は、異種基板であるGaAs基板上に直接マスクを形成し、ストライプ状やドット状のマスクの開口部から直接、GaNを成長することをも可能にした点に特徴があり、HELO法(Hetero−Epitaxial Lateral Overgrowth)と呼ばれる手法をも含んでいる。そのようにしてできた窒化ガリウム(GaN)自立膜はかなり転位が減少している。そのGaN結晶を新たな基板としてその上にさらにGaN結晶を気相成長させ厚いGaN結晶インゴットを成長させて、成長方向と直角に切り出すことによって複数枚のGaN基板(ウエハー)を製造するという方法も提案している。窒化ガリウムの気相成長法としては、MOCVD法、MOC法、HVPE法、昇華法などがある。本発明者による特許文献1はこの内HVPE法(Hydride Vapor Phase Epitaxy)が最も結晶成長速度が速く、利点が大きいということを述べている。
しかし上の方法によって作られた窒化ガリウム結晶もかなり高密度の転位を有する。高密度転位があって低品質である。デバイスを作製する場合その基板となる窒化ガリウム基板自体が高品質なものでなければ、よいデバイスを作ることができない。特に量産用の基板としては、広い領域に渡って転位密度が低い良質の基板が求められる。高品質の窒化ガリウム基板を得るため基板自体の転位密度を低減する方法について本発明者らは次のような手法を提案した(特許文献2)。
その転位低減法は、厚くGaN結晶を成長させながら、発生する転位欠陥を特定の箇所に集め、特定箇所以外の領域の転位欠陥を低減する方法である。
三次元的なファセット構造、例えばファセット面からなる逆六角錐形状のピット(穴)を形成し、これらのファセット形状を常に維持しながらピットを埋め込まないようにして結晶成長させる。図1(a)、(b)に逆六角形ピット5を形成した結晶4の一部を示す。結晶4の上面は完全に平坦でなくところどころにピット5がある。平坦上面7はC面である。ピット5は逆六角錐のこともあり逆十二角錐のこともある。ピット5はファセット6が互いに120度の角度をなすように隣接して並ぶ。隣接ファセット6、6は稜線8で接合する。稜線8が集結するピット底9はファセットの先が集合する部分である。
結晶成長は面の法線(面に直角な半直線のこと)方向に起こる。平均的な成長方向は上向きである。上面(C面)7では上方向(c軸方向)に成長が起こる。ファセット6では斜め方向に成長する。ファセット6のC面に対する角度をΘとする。ファセット6を埋め込まないということは、上面(C面)7での成長速度uと、ファセット6での成長速度vは同一でなく、v=ucosΘのような異方性を持たせるということである。
転位Dは成長方向と平行に伸びる。ファセットの上にあった転位Dは成長が進行するとともに稜線8へと移動する。v<uでありファセットでの成長速度がC面成長より遅いので稜線8に至った転位Dは稜線8に固定され相対的に稜線8の下におりピット底9に集結していく。図1(b)に示すように、稜線8に続いて面状転位集合部10が形成される。稜線8を辿っておりた転位Dはピット底9に続いて線状転位集合部11を形成する。
もともとファセット6の上にあった転位Dが面状転位集合部10や線状転位集合部11に集められるからファセット6から転位Dはなくなっていくのである。それでファセット6の部分の低転位化がなされる。C面7の部分にあった転位Dもファセット6へ引き寄せられる。ピット5が高密度に存在すれば転位Dはピット底9や稜線8の下へ掃き寄せられ、その他の部分の転位Dが減少する訳である。成長の終わりまでピット5を埋め込まないようにすれば転位低減作用が一貫して持続する。
図2はそのようなファセット成長による転位低減作用をピット平面図で示したものである。ファセット6を維持すると成長方向は法線方向であり、転位Dも法線方向に伸びる。図2では転位Dの向きと成長方向が同じであることを示す。平面図でファセット6に投影すると転位Dの伸びる方向はファセット6の傾きの方向となる。やがて稜線8に至る。稜線8に至ると転位Dは稜線8に沿って内側へ移動する。内側へ移動するというのは稜線8を相対的に下降することである。実際に転位Dは横向き、或いはやや上向きにしか伸びないのであるが、v<uであるから結晶成長している表面を基準とすると相対的に下がることになる。転位Dは稜線8に沿って面状欠陥10を作る。その他の転位Dは集結点9(ピット底)に集合する。ピット底9に続く線状転位集合束11となる。
しかしながらファセット成長を利用するこの方法には次のような問題のあることが分かった。
(1)より厚く結晶成長し、より多くの転位Dを集合させるにしたがって、ファセット面からなるピット中央の転位集合部から転位Dがモヤ状に再離散し、広がる傾向が見られる。図3によって説明する。図3(1)はファセットピットの縦断面図であり、ピット底9へ転位Dが集合し線状転位集合束11(線状欠陥)を形成していることを示す。図3(2)は一旦集合した転位Dが再び離散しモヤ状13に広がる有り様を示す。モヤ状広がり13はピット底9に続く転位集合束11が転位Dを閉じ込める作用に乏しいことを意味する。
(2)ファセット面からなるピット5中央の転位集合束11の位置は偶然的に決まる。それはランダムに分布し予め決められない。つまり転位集合束11の位置を制御することができない。
問題点(2)に関してはファセットピット5は偶然にできどこにできるのか決められないことからくる。ピット5のできる位置を予め決めることができるというのが望ましい。問題点(1)に関しては一旦集合した転位Dを再び放つことがないようなしっかりした障壁のようなものを形成することが望まれる。
そのような二つの問題を解決するための本発明者は次のような工夫をした。
本発明者らは図3(2)示すような転位Dのモヤ状の広がり13が発生するのは、逆六角錐形状のピット5中央底9に転位Dが集合した際、転位Dが消滅せず、滞留するだけのためであると考えた。
そこで転位Dの集合部に転位Dの消滅機構・蓄積機構を付加すればよい、と思いついた。図4(1)、(2)にそれを示す。下地基板21の上にエピタキシャル成長を阻害する作用のある孤立点状のマスク23を規則正しく分布させて付けておく。露呈部で成長が起こる。露呈部の中央ではC面を上面27とする成長が起こりそれが先行する。露呈部に結晶24が主に成長する。
しかし幅の広いマスクであるマスク23の上にはなかなか成長が起こらない。露呈部では成長が進むので、マスク端を底とするファセット26とその集合であるファセットピット25ができる。ファセットピット25を埋め込まないように成長を最後まで持続する。ファセット26に沿って転位Dが掃引されてピット底29に至る。ピット底29がマスク23の位置に合致する。マスク23の上の部分に転位Dが集結する。転位が集結した部分が結晶欠陥集合領域Hとなる。結晶欠陥集合領域Hは結晶粒界Kと芯Sよりなる。H=S+K。
下地基板21にマスク23を付けることによって、転位Dの消滅機構・蓄積機構として結晶粒界Kで囲まれた結晶欠陥集合領域Hを作りだした。つまり、マスク23、結晶欠陥集合領域H、ピット底29は上下方向に一直線に並ぶ。マスク23が結晶欠陥集合領域H、ピット25の位置を決定する。露呈部の上ファセット26の下の部分は低欠陥単結晶領域Zとなる。露呈部の上でC面を維持して成長した部分はC面成長領域Yと呼ぶ。
転位Dは結晶欠陥集合領域Hに集結する。結晶欠陥集合領域Hは有限の幅を持ちしかも結晶粒界Kで囲まれている。転位Dは結晶欠陥集合領域Hから再離散しない。結晶粒界Kは転位Dを消滅させる作用がある。結晶粒界Kの内部が芯Sである。芯Sは転位Dを蓄積・消滅する作用がある。結晶粒界Kと芯Sからなり転位Dを集結させた領域をマスク23によって積極的に生成したというところが重要である。成長とともに図4(1)から図4(2)のようになるが転位Dは結晶欠陥集合領域Hに閉じ込められているので再拡散が起こらない。同じ状態をいつまでも保持する。これによって転位Dの閉じ込めがより完全になりモヤ状の再広がりの問題は解決された。
結晶欠陥集合領域Hがどのようなものであるのか初めは良く分からなかった。また結晶欠陥集合領域Hは一該には決まらず、ある場合は多結晶Pである。ある場合は結晶軸がすこし傾いた単結晶Aである。このような場合は転位Dの消滅機構・蓄積機構として十分に機能しなくなる。また全く結晶欠陥集合領域Hが存在せず、マスク23上に徐々にではあるがファセット26が成長し、単なる窪みとなることもある。このような場合にも転位Dの消滅機構・蓄積機構として機能しなくなる。またある場合はc軸方向が周囲とは反転した単結晶Jのこともある。そのような多様性は成長の条件に依存するらしい。
最も良いのは結晶欠陥集合領域Hが周囲の領域Z、Yと[0001]方向(c軸)が反転した単結晶Jとなるようにマスク23上の全面で形成されることである。その場合、Hは周囲結晶Zと方位が反転するから周りに明確な結晶粒界Kができる。結晶粒界Kが強い転位Dを消滅・蓄積する作用を持つ。結晶欠陥集合領域Hが多結晶Pになったり、少し方位の異なる単結晶Aとなったり、単なる窪みとなる場合、結晶粒界Kが明確にできず転位Dを消滅蓄積する作用が弱い。
周囲の単結晶領域にも2種類あって、ファセット面の下に成長した部分は低欠陥単結晶領域Zと呼ぶ。C面成長した部分はC面成長領域Yと呼ぶ。何れも同じ方位を持つ単結晶であり低転位である。しかし電気的性質が違う。C面成長領域Yは高抵抗、低欠陥単結晶領域Zは低抵抗である。
低欠陥単結晶領域Z、C面成長領域Yは[0001](c軸)が上向きである単結晶であるが、結晶欠陥集合領域Hは[000−1](−c軸)が上向きの単結晶である。方位が反対なのでHとZの境界には結晶粒界Kが安定して発生する。結晶粒界Kは転位Dを消滅させる作用があり閉じ込める作用があるのでHとZの間にKができるというのは有用な性質である。結晶粒界Kを境として内外の領域が判然と区別される。
そのように結晶欠陥集合領域Hとして、結晶のc軸方向([0001])が反転した領域(極性反転領域という)を形成することは転位密度を低減する上で最も有効である。
極性の反転した領域Hの結晶成長速度が遅いのでHは窪みとなる。ピット底や谷底に位置することができる。そのため結晶欠陥集合領域Hは、転位Dの集合する逆六角錐形状のピット底に安定して存在することができる。
結晶欠陥集合領域Hの周りの結晶粒界Kにおいて、効率的に転位Dが消滅し、転位のモヤ状広がりが発生しない。その欠陥転位を、結晶欠陥集合領域Hとそのごく近くに閉じ込めた、低欠陥窒化ガリウム結晶を得ることができる。
またこれら結晶欠陥集合領域Hの発生する領域は任意の位置に固定することができる。この結晶欠陥集合領域Hはランダムに偶然に発生し存在するのではなくて、予め決めた位置に形成することができる。それによって例えば規則的に結晶欠陥集合領域Hの並んだ良質の窒化ガリウム結晶を作ることができる。
結晶欠陥集合領域Hの形状についても色々な種類がありうる。例えばドット状の孤立した閉じた領域とすることもできる。特許文献3はそのような結晶欠陥集合領域Hの配置を持つ窒化ガリウム結晶を提案している。
図10(1)はドットマスクの一例を示す平面図である。下地基板Uの上に規則正しく分布する孤立点のマスクMが形成される。露呈部の上に低欠陥の結晶ができる。ドットマスクMの上の部分が結晶欠陥集合領域Hになりそれを底とするファセットピットができる。ファセットの下が低欠陥単結晶領域Zとなり、ファセットの外のC面の下にはC面成長領域Yができる。
図6(2)はドットマスクを設けた下地基板Uの上にGaNを成長させた結晶の斜視図である。C面成長部Yが広いが、ファセットFよりなる角錐形のピットが多数ある。ドットマスク上にピットができている。
図10(2)はドットマスクの上に成長したGaN結晶から下地基板Uをとり、研磨研削して平坦な基板(ウエハー)にしたときの平面構造を示す。マスク上は結晶欠陥集合領域Hとなり、それを中心として低欠陥単結晶領域Z、C面成長領域Yが囲む同心構造(YZH)となっている。
或いは結晶欠陥集合領域Hを平行な縞状(ストライプ)に形成することもできる。特許文献4はそのようなストライプタイプの結晶欠陥集合領域Hを持つ窒化ガリウム結晶を提案する。ストライプマスクは図8(1)に示す。下地基板Uの上に平行で直線状のマスク(幅s)を規則正しく(ピッチp)多数形成している。
その上に窒化ガリウムを成長させたものを図6(1)に示す。露呈部の上には低欠陥単結晶領域Zからなる山脈ができる。山脈の斜面はファセットFである。マスクMの上には結晶欠陥集合領域HからなるV溝ができる。図8(2)はストライプマスクを形成した下地基板Uの上に成長した窒化ガリウム結晶を下地基板Uから分離し研削研磨したウエハーの平面構造を示す。平行なHZYZHZYH…という構造を持つ。
図5はストライプマスクを使ったファセット成長法を説明するための図である。
下地基板Uの上に平行に伸びるマスクM(ストライプマスク)を付ける(図5(1))。マスクMは紙面に垂直に伸びている。下地基板U、マスクMの上にGaNを気相成長させる。下地基板Uの上には結晶核ができて成長するがマスクMの上は結晶核ができないので結晶成長が起こらない。マスクM以外の部分(露呈部)にGaN結晶がc軸方向に成長する(図5(2))。結晶の上面はC面である。マスクMの上には初め結晶ができないので空間となる。
両側から結晶がマスクの縁に迫ってくる。マスク端から上向きに伸びる結晶の傾斜面がファセットFである。さらに成長が進むとマスクMの上方にも結晶が成長する。他の部分よりも成長が遅延するので窪みになっている。マスクMの上の結晶はc軸が反転した結晶欠陥集合領域Hである。その上により傾斜の小さい別のファセットF’、F’が存在する。それは図7(3)、(4)に現れる微小な極性反転結晶Qの上面の傾斜と同一である。露呈部の上でファセットFの下に成長するのが低欠陥単結晶領域Zである。露呈部の上でC面(上面)の下に続いて成長するのがC面成長領域Yである。結晶欠陥集合領域Hと低欠陥単結晶領域Zの境が結晶粒界Kである。傾斜の異なるファセットF、F’の境は結晶粒界Kに一致している。
マスクMが平行で複数本あるので結晶欠陥集合領域Hは平行な谷を作る。マスクMの間の部分は低欠陥単結晶領域ZかC面成長領域Yとなる。ZとYは平行な山になる。つまりストライプマスクを用いた場合、結晶は、平行な山・谷が繰り返す構造となる。C面成長領域Yがない場合は鋭い山となり、C面成長領域Yがあるとその部分は平坦な山となる。
マスクMが孤立したドットマスクの場合でもほぼ同様である。その場合はマスクMを中心としてファセットFよりなる孤立したピットができる。露呈部上でファセットFの下は低欠陥単結晶領域Zとなり、露呈部上でC面の下はC面成長領域Yとなる。ZとYは同じ方位を持つ低転位の単結晶である。
マスクMの上は結晶欠陥集合領域Hとなる。結晶欠陥集合領域Hは多結晶P、方位がずれた単結晶Aあるいは、c軸方向が反転した方位反転単結晶領域Jである。欠陥集合領域HがマスクM上にできない場合もある(O)。だからマスクM上の部分は,O、A、P、Jの4通りの場合がある。
反転領域Jができた場合、欠陥集合領域HはGa面とN面が反対になる。c軸方向が反転する。c軸方向が反転した方位反転単結晶領域Jを、「極性反転領域」と本発明者等は習慣でそう呼んでいる。一般に化合物半導体は極性結晶であり、ウルツ鉱型の結晶構造を持つGaNはc軸方向にGa原子層、N原子層がそれぞれ異なる間隔で交互に重なっていくので、c軸方向に極性のある結晶である。そしてそのc軸方向の極性が180°反転しているため、この様に呼んでいるのである。
HとZの境界が結晶粒界Kである。結晶欠陥集合領域Hの上はより緩やかな傾斜のファセットF’となる。結晶は、C面の中にいくつもの孤立したピットが多数並ぶというような構造となる。断面図を見ている限りでは似たようなものであるが、ドットマスクの場合、結晶欠陥集合領域Hは孤立した閉領域となる。ファセットFは{11−22}や、{1−101}面などが多い。マスクMは結晶欠陥集合領域Hの種ということができる。
種(マスク)を初めに下地基板の上に形成することによって結晶欠陥集合領域Hができる位置が決まる。それに応じて低欠陥単結晶領域ZやC面成長領域Yのできる位置も決まる。それは先程述べたような結晶欠陥集合領域Hの位置が定まらないという欠点を克服したということである。
さらに極性が反転した結晶欠陥集合領域Hは周囲に明確な結晶粒界Kを持つので一旦集結した転位がモヤ状になって再離散するということがない。そのようにマスクを予め下地基板の上に形成することによって欠陥集合領域Hのできる位置を制御可能にした。
マスク位置によってH、Z、Y構造の位置制御を明確にすることができるが、結晶欠陥集合領域Hが、ハッキリした結晶粒界Kを形成できる場合とできない場合があることが分かってきた。マスクの上に結晶欠陥集合領域Hができるがそれは必ずしもc軸が180度回転した極性反転領域Jにはならない。そうでなくて多結晶Pとなることもある。結晶方位が周りの単結晶(Z、Y)と異なる単結晶Aとなることもある。欠陥集合領域Hができない(O)こともある。マスク上はO、A、P、Jの4通りの場合がある。
マスク上の結晶欠陥集合領域Hが多結晶Pであると、周りの単結晶Zと近似する方位の部分結晶もあるからその間には結晶構造の齟齬がなく結晶粒界Kがハッキリと出現しない。結晶欠陥集合領域Hがc軸方位の少し傾いた単結晶Aである場合も一部結晶構造が近似する部分があって結晶粒界Kがハッキリしない。結晶粒界Kが明確に現れるのはc軸が180度逆転した極性反転領域Jになる場合である。反転領域Jができると、結晶欠陥集合領域Hと周囲のZとはどの部分をとっても大きく格子構造が異なるので境界は結晶粒界Kとなる。
結晶粒界Kがないと転位を捕獲し消滅させ蓄積させる作用が弱い。だからマスク上には常に方位反転した結晶欠陥集合領域Hを生成することが強く望まれる。
本発明の目的は、マスクの上にできる結晶欠陥集合領域Hを、c軸が180度反転した極性反転領域Jにする確かな方法を提供することである。
再公表特許WO99/23693(HVPE) 特開2001−102307(ランダム型) 特開2003−165799(ドット型) 特開2003−183100(ストライプ型) 特開2006−066496(極性反転領域形成)
結晶欠陥集合領域Hとして反転領域JがマスクM上の全面でできるのが最も良い。反転領域Jが少ない結晶が作製されると、他の結晶形態になった箇所からは転位が再度放出される。その様な結晶から作製されたGaN基板上に、例えば青紫色レーザを作製した場合、レーザの歩留が著しく悪くなり有用なGaN基板ではなくなる。本発明の課題はマスク上に反転領域Jを確実に形成することである。
c軸が180度反転した極性反転領域Jがマスク上にできる場合の結晶成長の有り様を細かく観察した。次のような過程を経てマスク上にc軸が反転した結晶Jができるということが分かってきた。図7にその過程を示す。
1)下地基板Uの上の、結晶欠陥集合領域Hを形成すべき場所に、エピタキシャル成長を阻害する材料を用いた種(マスク)Mを形成する。種というのは結晶欠陥集合領域Hの種という意味でありマスクMと同義語に使う。図7(1)はその状態を示す。一つだけのストライプマスクMを図示するが実際には平行に多数条のマスクMを形成しているのである。
2)下地基板Uの上に、窒化ガリウムを気相成長させる。下地基板Uの上(露呈部)に結晶核ができやすくマスク(被覆部)上には結晶核ができにくいので、露呈部から結晶成長が始まる。C面が上面になる結晶方位となる。窒化ガリウムの結晶成長の進行が、種(マスクパターン)の端部(縁)で止められる。結晶は初め種Mの上に乗り上げない。種Mの上に乗り上げず横方向成長しない。種の縁から露呈部側に斜め上に伸びる斜面が発生する(図7(2))。これはC面でないファセットFの何れかである。このファセットFは{11−22}面であることが多い。ストライプマスクを種Mとした場合ファセットFは紙面直角方向に伸びる。ドットマスク(孤立点)の場合はこれが穴(ピット)になる。ストライプでもドットでもよく似たようなものであるからストライプマスクの場合を説明している。
3)種(マスクパターン)端部で成長を止められた窒化ガリウムのファセット面の斜面の端部から、c軸の方位が180度反転した、微小な極性反転結晶Qが発生し水平方向に伸びる。図7(3)に示す。極性反転結晶QはファセットFより緩やかな傾斜面とその下にも傾斜面を持つ。極性反転結晶Qの結晶方位は隣接部分の結晶と方位が180度違うことが分かった。つまり極性反転結晶Qが肥大すると極性反転領域が形成される。
4)結晶成長とともに、ファセットF上にできた方位反転した極性反転結晶Qの数が増え、それぞれが肥大化し溝の両側でそれぞれが一つの長い列になる。両側から極性反転結晶QはマスクMを覆うように伸びる。
5)方位反転した極性反転結晶Qは、ファセットFよりも角度の浅いファセットF´を上側に持つ。上側ファセットF´は{11−2−6}、{11−2−5}などの低傾斜角のファセットである。下側のファセットはより強い傾斜面である。
6)極性反転結晶Qが垂直方向、水平方向に拡大し、マスクMの上で極性反転結晶Qの先端が衝突接触する。極性反転結晶Qが合体する。図7(4)に示す通り架橋部ができる。架橋部ができると極性反転結晶Q、Qの上に同じ反転方位の結晶が成長していく。下の隙間にも結晶が成長するこれも方位反転である。マスクM直上のこの部分はマスクMに乗り上げた結晶が横に伸びるのではなく、極性反転結晶Qが合体した架橋部から下向きに成長したものである。成長の方向が周囲の結晶方位と反対である。
7)ぶつかった部分は間に格子不整合な境界K’を有したまま厚く成長する。この境界K’は極性反転結晶Qの部分と両側の低欠陥単結晶領域Zとの境界の結晶粒界Kとは違う。極性反転結晶Qは結晶欠陥集合領域Hとなる。
8)結晶を厚く成長することにより(図7(5))、窒化ガリウムの中の転位は、ファセット面斜面の成長によってマスクM上の結晶欠陥集合領域Hへ集められる。集められた転位は、結晶欠陥集合領域H(極性反転結晶Q)と、低欠陥単結晶領域Zの境界である結晶粒界Kあるいは芯Sで一部消滅し減少する。極性反転結晶Qが上方に伸びることによって結晶欠陥集合領域Hができる。消滅しなかった転位は、結晶粒界K、芯Sの内部に捕獲され蓄積される。ファセット面の下は転位が減少し低欠陥単結晶領域Zとなる。
そのような過程を経て、方位反転領域Jとしての結晶欠陥集合領域Hが形成されるのであるから、マスクM上の部分をc軸が反転したものとするには、図7(3)のような極性反転結晶Qをファセット面(例えば{11−22})の全面に形成するということが最良である。また安定的に形成するということが必要である。極性反転結晶QがファセットFに安定して形成できなければ、マスクM上の結晶欠陥集合領域Hが、所望の方位反転領域にならない。その場合は周囲の領域の転位を引き込んで消滅させるということができない。転位は広がってしまい、低欠陥単結晶領域Zが形成されないようになってしまう。
単にマスクMを下地基板Uの上に形成して気相成長したというだけでは、マスクM上の部分がうまく方位反転領域Jとならない。マスク縁から斜めに伸びるファセットFに、方位反転した極性反転結晶Qを安定して作るのは簡単ではない。狙った位置の結晶方位を反転させられる結晶成長条件は、GaNに限らず、また化合物半導体の結晶成長に限らず、あらゆる結晶成長の歴史上、開示されたことは只の一度も無かったのである。
本発明は、ファセット成長によって転位を低減するものでありファセット成長法とでも呼ぶべきものである。マスクMを用いて転位を低減する手法として既に知られているエピタキシャルオーバーグロース法(Epitaxial Lateral Overgrowth)とは截然と違う。截然と違うにも拘らずマスクMを使って転位を低減する手法なので混同されることがある。ELOと混同されないようにここで相違点をいくつか説明する。
(a)被覆部端部における結晶の方位反転(極性反転)の有無において截然と異なる。ELO法では露呈部で生じた結晶がそのままの方位を維持してマスクの上へ乗り上げる。結晶方位は保たれる。同じ結晶方位のままである。例えばマスク端で{11−22}ファセットが存在する場合、その面と傾斜を維持したまま被覆部へ乗り上げる。マスク上でも{11−22}面を維持したまま成長を続ける。だからマスクの境界での方位反転(極性反転)は起こらない。本発明は露呈部でできた結晶がそのまま被覆部へ乗り上げるのではない。被覆部と離れたファセットの途中から極性反転結晶Qが発生するので露呈部結晶と非連続になるのである。
(b)転位低減のための結晶成長方向は、ELOに関しては、横方向である。マスクに対して水平に横方向に成長することによって、横方向に成長した部分の貫通転位を低減する。しかし本発明が改良を目指すファセット成長法では結晶成長の方向は、厚さ方向である。厚さ方向に成長することによって、結晶欠陥集合領域Hに転位を集合させ、転位を低減する。両者は結晶成長方向において異なる。
(c)転位低減のプロセスに関し、ELOの場合、低転位になるのはマスクの上である。露呈部に転位密度の高い欠陥領域ができる。それに対しファセット成長法では、露呈部に低転位密度の良質の単結晶ができる。マスクの上には転位密度の高い欠陥の多い領域が形成される。低欠陥領域、高転位密度領域が被覆部、露呈部のいずれにできるかに関しELOとファセット成長では正反対である。
本発明は、窒化ガリウムのエピタキシャル結晶成長において、下地基板の上に、エピタキシャル成長を阻害するマスクを部分的に形成し、露呈部と被覆部が混在する下地基板表面を作り、その上へ窒化ガリウムを気相成長させるのであるが、マスクの上に反転領域Jを生成する過程を追加するものである。窒化ガリウムの気相成長はバッファ層形成+エピタキシャル成長であったが、本発明はその間に反転領域形成用の過程を付け加える。つまりバッファ層形成+反転領域形成+エピタキシャル成長の3段階の成長になる。
下地基板は、サファイヤ(0001)単結晶基板、Si(111)単結晶基板、SiC(0001)単結晶基板、GaN単結晶基板、GaAs(111)単結晶基板などを用いることができる。サファイヤ基板の上にGaN薄膜を成長させた複合基板(テンプレートと呼ぶ)をも下地基板とすることができる。
マスク材料はSiO、Pt、W、SiON,SiNなどである。これ以外の物質もマスク材料となりうる可能性がある。気相法の成長条件下での熱化学的安定性があり、窒化ガリウムのエピタキシャル成長を妨げられるものなら良い。厚みは30nm〜300nm程度である。マスクパターンは孤立点を規則正しく分散させたドット型(M2)とすることができる。或いは複数平行辺を一定ピッチで並べたストライプ型(M1)とすることもできる。マスクを付けることにより下地基板面に被覆部と露呈部ができる。被覆部は狭く露呈部の方が広い。
また、露呈部に従来技術であるELO法、HELO法を利用して、数μm幅、数μmピッチで線状や格子状等の微細なマスクを形成することも出来る。この微細マスクを形成した露呈部では、結晶は横方向にそのままの方位でマスク上に乗り上げるので、極性反転は起こらない。この部分の貫通転位は若干減少するが、方位が元のままであるので、本発明においてはこれも露呈部と扱うことが出来る。
マスク付きの下地基板の上に、低温で窒化ガリウムを成長させ30nm〜200nm程度の薄いバッファ層を形成する。バッファ層形成温度はTbと書く。これはTb=400℃〜600℃の低温である。バッファ層は下地基板と窒化ガリウムの応力を緩和する作用がある。
本発明の骨子はそれに続く反転領域生成のための第1成長にある。第1成長において、露呈部から結晶成長が進み被覆部(マスク)に接する部分はファセットFとなる。被覆部端から立ち上がるファセットFの途中に微小な極性反転結晶Qができる。極性反転結晶Qは周囲の単結晶と方位が180度反転した方位を持つ。極性反転結晶Qが両側から伸びて合体する。極性反転結晶Qの上にさらに結晶成長して極性反転結晶Qが肥大する。これが積もって被覆部の上にも結晶ができるようになる。被覆部の上は極性反転結晶Qの上にできるからc軸の方位が周りとは180度異なる。この領域を反転領域Jという。反転領域Jは被覆部の上に被覆部の断面積を大体維持しながら(被覆部よりすこし狭い)上に伸びていく。これが周囲の結晶から転位を引きつけ転位を集結させる。
転位が集結するのでマスク上のこの部分を結晶欠陥集合領域Hという。結晶欠陥集合領域Hは、結晶軸が傾いた単結晶(c軸は上向き)A、多結晶P、c軸が反転した単結晶(反転領域)Jの3つの何れかになる。また結晶欠陥集合領域Hができない場合もある(O)。
特にマスク上の部分を反転領域Jにするようにしたのが本発明である。結晶欠陥集合領域Hは隣接する露呈部の上ファセットの下に成長した周囲の結晶から転位を引き抜き結晶欠陥集合領域Hに閉じ込める。露呈部の上ファセットの下に成長した結晶は低転位の単結晶Zとなる。そのような作用は反転領域Jが最も強く、他の場合は弱い。
本発明は結晶欠陥集合領域Hを確実に反転領域Jにするための条件を探しそれを求めた。常にマスクの上に反転領域Jを生成することが本発明によって可能となった。
マスク上の反転領域Jが生成しているか否かはカソードルミネセンス(CL)によって分かる。蛍光顕微鏡観察によっても分かる。GaN結晶は一様にほぼ透明なので肉眼では分からない。
c軸の反転した反転領域Jである結晶欠陥集合領域Hを安定的に形成するには、結晶欠陥集合領域Hの形成初期の結晶成長条件が重要だということが分かってきた。初期の条件がうまく揃わないと、マスク上の結晶欠陥集合領域Hが反転領域Jにならず、多結晶Pや軸が傾いた単結晶(c軸上向き)Aとなってしまう。或いはマスク上をファセットFが徐々に覆うこととなる。これは単なる窪みになる。多結晶Pや軸の傾いた単結晶Aや窪みでは、隣接領域から転位を引きつけて隣接領域の転位を減らし、かつ転位を消滅させ、消滅しない転位を持続的に閉じ込めるという作用が不十分である。マスク上の結晶欠陥集合領域Hをぜひとも反転領域Jにしたい。
先述のプロセスにおいて、3)、4)、5)、6)の過程が、反転領域(微小な極性反転結晶Q)形成の初期段階にあたる。極性反転結晶Qの発生が重要である。極性反転結晶Qとそれに続く反転領域Jの発生の条件を本発明は明らかにする。成長温度、成長速度、下地基板、マスクなどがどのようなものであればよいのか?これを明確にする。
ここで極性反転結晶Qと反転領域Jを発生させるための成長を「第1成長」と呼ぶ。反転領域Jを生成するための成長温度を「第1成長温度」Tj(℃)と呼ぶことにする。微小な極性反転結晶Qと反転領域Jが一旦発生するとそれ以後は通常のエピタキシャル成長をさせて厚い結晶を作る。反転領域Jを生成するための成長時間はその成長速度にもよるが、0.25〜2時間程度の短いものであってよい。
本発明者は多くの実験を行った結果、Tj=900℃〜990℃とした場合は、反転領域JをマスクM上の全面に発生させられることが可能となり、結晶全体に低欠陥単結晶領域Zを作製可能となることを見出した。この温度領域は従来、窒化ガリウムの気相成長には不適切な温度領域と考えられていた。一般には、高温で成長する方が高品質の結晶が作製されると考えられており、1000℃以上で窒化ガリウムの気相成長が為されることが常識であった。ところが、本発明の骨子である反転領域Jを確実に、マスク上の全面で生成するには、900〜990℃の比較的低温の成長条件が適切であることを、初めて見出した。
また、本発明者は第1成長温度Tj=920℃〜960℃とした場合は、それぞれの成長温度に対して、異なる成長速度Vjに対しても反転領域JがマスクM上の全面に発生させられることが可能となることも見出した。この場合、より安定的に反転領域Jおよび低欠陥単結晶領域Zを発生させられ、窒化ガリウム結晶を工業的に生産するには一層望ましくなる。
更に、本発明者は上記の温度範囲を含み、および上記の温度範囲を超えた、それぞれの成長温度に対して、成長速度を変化させる多数の実験をも、系統立てて行った。その結果、反転領域Jを発生させられる第1成長の条件は、それぞれの第1成長温度Tj(℃)に対する、成長速度Vj(μm/h)にも強く依存する事を見出した。成長温度Tjと成長速度Vjが相互に関連するのである。そして反転領域Jを発生させるのに適切な成長条件は、TjとVjによって下記の数式で表される条件領域であることを見出した。
−439×{1000/(Tj+273.15)}+387<Vj<−736×{1000/(Tj+273.15)}+737
の成長条件では、反転領域Jを非常に発生させやすい。
またTj(℃)を絶対温度T(K)で表記すると、下記の数式となる。

−4.39×10/T+3.87×10<Vj<

−7.36×10/T+7.37×10
この不等式は図11の2本の実線に囲まれる範囲内の成長条件である。
900℃〜990℃の範囲を超えた成長温度であっても、上記の不等式で示される成長条件範囲内であれば、マスクM上に反転領域Jを非常に発生させやすい。この様に、成長温度と成長速度が相互に関連し、反転領域Jが発生させやすくなることは、本発明者が初めて見出したものである。
反転領域Jは上記の第1成長の条件内で、マスクM上の全体に形成されることが最も望ましい。おのおのの反転領域Jの周囲に存在する低欠陥単結晶領域Zが確実に低転位となるためである。
但し、結晶の全領域でマスクM上に反転領域Jが存在せず、部分的に途切れているか、部分的に発生していない場合でも、有用なGaN結晶を作製し得る。なぜならば、大部分のマスクM上に反転領域Jが発生している場合は、発生している反転領域Jに転位が集合し、その転位を閉じ込め、消滅させる作用を持つので、やはり低欠陥単結晶領域Zが結晶の大部分で形成され、転位密度が大幅に低減されるためである。
第1成長におけるNH分圧PNH3をHCl分圧PHClで割った比の値は、PNH3/PHCl=3〜50が適当である。また0.05atm(5kPa)≦PNH3≦0.3atm(30kPa)が適当である。
第1成長は0.25〜2時間ほどであるが、マスク上には反転領域Jの結晶欠陥集合領域Hができ、露呈部の上には低欠陥単結晶領域Zができている。露呈部の中央部にはC面成長領域Yができていることもある。これが存在しない場合もある。
その後の厚膜生成のためのエピタキシャル成長を行う。厚膜を作るための成長を「第2成長」と呼ぶ。これの成長時間は目的結晶の膜厚によって数十時間から、数百時間、数千時間になることもある。厚膜生成エピタキシャル成長温度を第2成長温度Teとして区別することにする。厚膜生成のためのエピタキシャル成長温度Teは990℃以上である。とくにTe=1000℃〜1200℃とするのが良い。
結晶欠陥の少ない良好な窒化ガリウム基板が強く求められている。マスクMを下地基板Uに形成してファセットFを維持しながら結晶成長しマスク上に反転領域Jを形成し反転領域Jに欠陥を集めることによって露呈部の結晶の転位を低減するファセット成長法において、マスク上に反転領域Jができる条件を本発明は明らかにしている。本発明によって反転領域生成条件が明確になり、マスク上に堅固な反転領域Jを作り露呈部の単結晶部分の転位をさらに減らし高品質の窒化ガリウム結晶を成長させることができる。
窒化ガリウム結晶の気相成長方法としては、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、有機金属気相成長法(MOCVD法)、有機金属クロライド気相成長法(MOC法)、昇華法を用いることができる。最近ではMOCVD法においても成長速度が50μm/hを超える成長が可能になったことから、MOCVD法等、他の気相成長法でも同様の結晶成長を行うことは可能である。但しこの中で最も成長速度を速くでき、原料収率も良く、現時点で低コストでGaNが成長可能なのはHVPE法であるから、反転領域ができる条件をHVPE法で探した。
また、フラックス法など液相成長法でGaNを作製する方法も、最近では小径ながら40μm/hの成長速度が報告されている。しかし液相成長法は熱化学的に平衡状態に近い状態からの成長であり、成長の原理そのものが気相法と異なる。よって条件が大きく変わってくる可能性があり、液相成長法は本発明の適応範囲外となる。
そこでHVPE法(Hydride Vapor Phase Epitaxy)で成長したものだけを述べる。横長のホットウオール型の反応炉(HVPE炉)を用いる。周囲に横方向に分割されたヒータを持っており横方向に自在に温度分布を形成することができる。炉内空間の上流側にGa金属を入れたGaメタルボートを持つ。その下流側に試料を置くべきサセプタを有する。HVPE炉で結晶成長は通常、常圧(1atm=100kPa)で行われる。Gaメタルボートを800℃以上に加熱しGaを融液とする。炉の上流側にガス導入管がある。ガス導入管からH+HClガスがGa融液に吹き込まれる。それによってGaClが合成される。GaClはガス状であり下流側へ移動し加熱されたサセプタ、試料の近傍に至る。サセプタの近傍にはH+NHガスが吹き込まれる。GaClとNHの反応でGaNができる。それが試料の上に積層される。
下地基板の上に形成するマスクパターンはエピタキシャル成長を阻害するような素材であればよい。SiO、SiON、SiN、Pt、Wなどを用いることができる。
マスクは結晶欠陥集合領域Hの種となる。GaNの方位は下地基板で決まる。マスクの方向でマスクに沿ったファセットの方位が決まる。だから下地基板の結晶方位に対し一定関係にあるマスクを形成する必要がある。
[実施例1(第1成長温度Teによる反転領域Jのでき具合)]
[1.下地基板(U)]
下地基板として、2インチ径のサファイヤ基板(U1)、GaAs基板(U2)、MOCVD法により1.5μm厚さのGaNエピタキシャル層を形成したサファイヤ基板(U3)を準備した。
サファイヤ基板(U1)は、C面((0001)面)を主面(表面)としたものである。
GaAs基板(U2)は(111)A面(Ga面のこと)を主面(表面)としたものである。
GaN/サファイヤ基板(U3)は、エピ層のGaNはC面配向((0001)面)した鏡面状の基板である。これはテンプレートと呼ぶこともある。
[2.マスクパターン(M)]
これら3種類の下地基板U1、U2、U3の上にプラズマCVD法によって、厚さ0.1μmのSiO薄膜を成膜した。フォトリソグラフィとエッチングによってマスクパターンを形成した。マスクパターンはストライプ形状(M1)とドット形状(M2)の2種類とした。
(M1:ストライプ型マスクパターン:図8(1))
下地基板Uの上に設けた幅を持った平行直線状のストライプ形状のマスクパターンMである。図8(1)に示す。ストライプの延長方向が、GaNエピ層の<1−100>方向となるように方向を決めた。GaNエピ層はマスク形成後に成膜するものである。しかし下地基板Uの方位とその上に成膜したGaNの方位には一定の関係があるので下地基板Uの方位に対する関係に置き直すことができる。C面サファイヤ基板の上にGaN膜を成長させるとc軸回りに方位が90度捻れる。GaAs(111)の上にできるGaNについては立方晶の3回対称面に六方晶の結晶を成長するため、面方位の対応には注意を要する。GaNの上にできるGaNは同じ方位で成長する。だから下地基板Uの方位に関連づけてマスクの長手方向の方位を決めることによってその後で成長するGaNエピ層の<1−100>方位にマスクMが伸びるようにすることができる。
GaN/サファイヤ基板(U3)の場合はGaNの<1−100>方向に平行に伸びるように決める。(111)面GaAs基板(U2)の場合はGaAs<11−2>方向に平行になるようにマスク延長方向の方位を決める。サファイヤ基板(U1)の場合は、サファイヤ<11−20>方向に平行になるようにマスク延長方向の方位を決める。
ストライプマスクパターンは、平行の被覆部(SiO)の幅sがs=30μmで、平行の被覆部・露呈部の繰り返しピッチpがp=300μmとした。露呈部も平行に伸びその幅eはe=270μmである。p=e+s。ピッチとは被覆部中心から隣接被覆部中心までの距離を意味する。露呈部:被覆部の面積比は9:1である。
(M2:ドット型マスクパターン:図10(1))
一定の直径を持つドットが所定の間隔を持って一列に並んだものを一単位としそれが平行に多数並べる。隣接する行は半ピッチずれた位置にドットが存在するようにする。正三角形が隙間なく並ぶ図形の頂点の位置にドットが位置するようなパターンとなる。図10(1)に示す。6回対称性のある模様である。ドットが並ぶ方向はGaNの<1−100>方向に平行と決める。これもGaNは後で成長するのであるが、下地基板Uの方位とGaNの方位は一定の関係があるから下地基板Uの方位に関連づけてマスク方位を決めて、ドットの並びがGaN<1−100>方位に平行になるようにできる。サファイヤ基板(U1)の場合は<11−20>方向に平行になるようにドットを並べる。GaAs(111)基板(U2)の場合は<11−2>方向に平行になるように並べる。
ドット(被覆部)は円形であり、ドット直径tがt=50μmとした。ドットのピッチpは300μmとした。これは最近接ドットの中心間の距離である。ドットを結ぶ線上での露呈部の長さfはf=250μmである。3つのドットを頂点とする単位正三角形の面積は38971μmである。1つのドット(被覆部)面積は1963μmである。露呈部:被覆部の面積比は19:1である。
[3.反転領域成長温度Tj]
反転領域Jを成長させるための成長温度をTjとする。本実施例ではTjとして、Tj1=850℃、Tj2=900℃、Tj3=920℃、Tj4=950℃、Tj5=970℃、Tj6=990℃、Tj7=1150℃の7種類の温度を試みた。
[4.その他の結晶成長条件]
HVPE炉内に、上記のマスク付き基板(U1,U2,U3;M1,M2)を装入した。
初めに、約500℃の低温(Tb=500℃)で、NH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)、HCl分圧をPHCl2×10−3atm(0.2kPa)とし成長時間15分で、GaNからなるバッファ層を形成した。バッファ層厚みは60nmであった。
その後それぞれの実験において、上記のそれぞれの成長温度Tj1〜Tj7に基板を昇温し、マスクの上に反転層、露呈部の上にエピ層を成長させた。NH分圧はPNH3=0.2atm(20kPa)とし、HCl分圧(PHCl)はPHCl=2×10−2atm(2kPa)とした。成長時間は60分間とした。この時の成長した結晶の平均の厚さは、約70μm程度であり、U1〜U3の基板による差は見られなかった。
[5.反転領域ができるための結晶成長]
これまで得られた知見から、c軸の180度回転した反転領域Jを得るための結晶成長においては次のような状況となることが分かっている。
図7によって説明する。図7(1)は下地基板Uにマスクを形成した状態である。これはストライプマスクM1でもドットマスクM2でも似たようなものである。ストライプマスクM1の場合を説明する。マスクは平行にたくさんあるが1つだけを図示した。
ストライプマスクM1の場合、窒化ガリウムの結晶層は、マスクMの存在しない露呈部から成長を開始する。マスクに乗り上げることなく露呈部の全体に結晶が薄膜状にできる。さらに結晶成長が進むとマスク縁を下端とした傾斜面が形成される。マスクに乗り上げることなくこの傾斜面はさらに成長して明確なファセットFとなる(図7(2))。そのファセットFはマスクMの方位によるが例えば、{11−22}面を持つファセットFである。マスクの上には結晶は存在せず、マスクMの両側にファセットF、Fが対向するようになる。ファセット下の部分は低欠陥単結晶領域Zである。C面成長領域Yも存在する。
c軸が180度反転した反転領域が形成される場合予兆として、ファセットFの傾斜面の途中に、ゴツゴツとした突起が発生する。これを極性反転結晶Qと呼んでいる(図7(3))。ファセットFは対向しているので極性反転結晶Q、Qも対向してできる。極性反転結晶Qが反転領域の種となる。極性反転結晶Qができないと後に反転領域Jはできない。この突起(極性反転結晶Q)の上面は、水平面(C面)に対して25度〜35度ぐらいの傾斜角をなしている。ファセットFの途中にできた極性反転結晶Q(突起)は隣接するファセットFとはc軸が180度反転した結晶である。方位が反転しているからこれが反転領域Jの種となる。極性反転結晶Qも成長していきゴツゴツした突起が大きくなる。やがて両側のファセットFから伸びてきた極性反転結晶Qが合体する。図7(4)のように合体することによってマスクMの上がふさがれる。極性反転結晶QはマスクMに非接触であり中間から横に伸びて合体するのである。
合体後はそれを種として同じ方位の結晶が縦方向に成長していく。だからマスクMの上方には極性反転結晶Qと同じ方位の結晶ができる。極性反転結晶Qはc軸が反転した結晶だからその上にできる結晶欠陥集合領域Hは反転結晶Jとなる。マスクMの上はそのようにして反転領域Jとなるのである。両側の露呈部の上にはより背の高い結晶が既に存在する(図7(5))。その平坦表面はC面で傾斜面はファセットFである。露呈部の結晶は下地基板Uとの境界で発生した大量の転位を持っている。転位は成長とともに上方へ伸びている。ファセット面を埋め込まずにファセットFを保持しながら成長を持続する。ファセット面の結晶の成長方向が法線方向なので成長とともに転位も法線方向に伸びる。だから転位の伸びる方向が斜め外向きになる。
それは丁度マスク上の結晶欠陥集合領域Hに向かって伸びる。結晶欠陥集合領域Hに至って転位はそれに吸収される。再び転位がファセットに戻らない。戻らないからファセットの直下にある部分の転位は減少する。露呈部の上でファセットの下に成長した部分を低欠陥単結晶領域Zという。この部分は初めは下地基板との間に多数の転位を持つがファセット成長によって転位が外側へ排除され結晶欠陥集合領域Hに蓄積されるので次第に低転位となる。下地基板との関係で結晶方位が決まるのでこの隣接部分は単結晶となる。低転位であり単結晶なので低欠陥単結晶領域Zと呼ぶのである。そのようなファセット成長が最後まで持続する。そうすると露呈部の上から転位の排除が効率的に行われるので低欠陥単結晶領域Zが一層高品質の低転位結晶となる。低欠陥単結晶領域Z以外にC面成長領域Yが残る場合もある。
これに対して、反転領域である結晶欠陥集合領域Hがうまく形成されないこともある。反転領域Jの生成不生成には温度や成長速度、ガス流量、下地基板、マスク材料などが影響することが予想される。
[(1) Tj1=850℃の場合]
下地基板=サファイヤ基板(U1)、GaAs基板(U2)、GaN/サファイヤ基板(U3)
マスクパターン=ストライプマスク(M1)、ドットマスク(M2)
観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が破線状に途切れて存在する。
M2:ドットマスクの場合:大部分のドットの上で反転領域がある。
[(2) Tj2=900℃の場合]
下地基板=サファイヤ基板(U1)、GaAs基板(U2)、GaN/サファイヤ基板(U3)
マスクパターン=ストライプマスク(M1)、ドットマスク(M2)観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在する。
M2:ドットマスクの場合:総てのドットの上で反転領域がある。
[(3) Tj3=920℃の場合]
下地基板=サファイヤ基板(U1)、GaAs基板(U2)、GaN/サファイヤ基板(U3)
マスクパターン=ストライプマスク(M1)、ドットマスク(M2)観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在する。
M2:ドットマスクの場合:総てのドットの上で反転領域がある。
[(4) Tj4=950℃の場合]
下地基板=サファイヤ基板(U1)、GaAs基板(U2)、GaN/サファイヤ基板(U3)
マスクパターン=ストライプマスク(M1)、ドットマスク(M2)観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在する。
M2:ドットマスクの場合:総てのドットの上で反転領域がある。
[(5) Tj5=970℃の場合]
下地基板=サファイヤ基板(U1)、GaAs基板(U2)、GaN/サファイヤ基板(U3)
マスクパターン=ストライプマスク(M1)、ドットマスク(M2)、観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在する。
M2:ドットマスクの場合:総てのドットの上で反転領域がある。
[(6)Tj6=990℃の場合]
下地基板=サファイヤ基板(U1)、GaAs基板(U2)、GaN/サファイヤ基板(U3)
マスクパターン=ストライプマスク(M1)、ドットマスク(M2)観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在する。
M2:ドットマスクの場合:総てのドットの上で反転領域がある。
[(7)Tj7=1150℃の場合]
下地基板=サファイヤ基板(U1)、GaAs基板(U2)、GaN/サファイヤ基板(U3)
マスクパターン=ストライプマスク(M1)、ドットマスク(M2)
観察結果
M1:ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
M2:ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
というようになった。第1成長温度Tjによって、c軸が反転した反転領域Jが発生したりごく一部しか発生しなかったりする。温度以外にも条件を変えて反転領域Jの発生を調べたが、成長速度を固定した場合、第1成長温度Tjが反転領域Jの発生非発生に大きく影響することが分かった。
Tj7(1150℃)ではM1、M2のマスクパターンを持つU1〜U3の下地基板の何れでも反転領域Jが生じにくかったのであるから、この成長速度における反転領域生成温度として適切であるとは言い難い。Tj1(850℃)、Tj6(990℃)では大部分或いは全てのマスクパターン上に反転領域Jが発生した。だから本成長速度においては、反転領域生成温度としては850℃〜990℃の140℃の範囲は少なくとも適切であると言うことが分かる。
Tj2(900℃)、Tj6(990℃)では全ての範囲で反転領域Jができる。だから反転領域発生温度として900℃〜990℃がより適した成長温度であることが明らかになった。
[実施例2(成長速度Vjによる違い)]
実施例1と同じ成長炉を用い成長速度を変えて、実施例1と同じSiOによるストライプマスク(M1)とドットマスク(M2)を形成したGaAs(111)基板(U2)の上に、窒化ガリウム結晶を成長させた。窒化ガリウムの結晶成長速度Vjと反転領域Jの形成の容易さの関係を調べた。
HVPE炉内に、上のマスク付き基板(U2;M1,M2)を装入した。
初めに、約500℃の低温(Tb=500℃)で、NH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)、HCl分圧をPHCl2×10−3atm(0.2kPa)とし成長時間15分で、GaNからなるバッファ層を形成した。バッファ層厚みは60nmであった。
その後昇温して、反転領域形成温度Tj=940℃として、マスクの上に反転層、露呈部の上にエピ層を成長させた。NH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)とし、HCl分圧(PHCl)を様々に変化させた。HCl分圧を変えることによってどのように反転領域生成の状況が変わるのかを調べた。
HCl分圧: PHCl1=7×10−3atm(0.7kPa)
HCl2=1×10−2atm(1kPa)
HCl3=1.5×10−2atm(1.5kPa)
HCl4=2×10−2atm(2kPa)
HCl5=3×10−2atm(3kPa)
HCl6=4×10−2atm(4kPa)
NH分圧は0.2atmで一定であるが、HCl分圧を変えると成長速度が変わる。HCl分圧を上げると成長速度Vjが上昇する。成長速度の変化によって反転領域Jの生成非生成の様子がどのように変わるのかを調べた。
(1)PHCl1=7×10−3atm(0.7kPa)の場合
成長速度Vj1=18μm/h
観察結果
M1:ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
M2:ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
(2)PHCl2=1×10−2atm(1kPa)の場合
成長速度Vj2=32μm/h
観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が破線状に途切れて存在する。
M2:ドットマスクの場合:大部分のドットの上に反転領域がある。
(3)PHCl3=1.5×10−2atm(1.5kPa)の場合
成長速度Vj3=48μm/h
観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在した。
M2:ドットマスクの場合:すべてのドットの上に反転領域が存在した。
(4)PHCl4=2×10−2atm(2kPa)の場合
成長速度Vj4=70μm/h
観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在した。
M2:ドットマスクの場合:すべてのドットの上に反転領域が存在した。
(5)PHCl5=3×10−2atm(3kPa)の場合
成長速度Vj5=102μm/h
観察結果
M1:ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在した。
M2:ドットマスクの場合:すべてのドットの上に反転領域が存在した。
(6)PHCl6=4×10−2atm(4kPa)の場合
成長速度Vj6=138μm/h
観察結果
M1:ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
M2:ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
以上のような結果となった。成長速度Vjを変化させることによって、c軸が180度反転した反転領域Jの発生の状況が変わるということが判明した。成長速度Vjが18μm/hより遅い場合はマスク上(M1、M2)に反転領域Jが発生しにくい。成長速度Vjが138μm/hより速い場合もマスク上に反転領域Jが発生しにくい。
マスク上に反転領域Jが発生するためには成長速度Vjは25μm/h〜120μm/hであることが適切である。下限値と上限値は反転領域が多く生成された成長速度と反転領域が発生しにくくその量が少ない成長速度の中間値を取って決めた。
[実施例3(異なる成長温度における、成長速度Vjによる違い)]
発明者らは上記の実施例1,2の様な試行を繰り返し、反転領域の出来易さは、第一には温度に強く依存するが、第二には、それぞれの温度に対する成長速度にも依存するとの発見に至った。本実施例3以降では、実施例2と異なる成長温度における、成長速度Vjによる反転領域Jの形成の容易さを調べている。
実施例1と同じ成長炉を用い、実施例2と異なる成長温度で成長速度を変えて、実施例1、実施例2と同じSiOによるストライプマスク(M1)とドットマスク(M2)を形成したGaAs(111)基板(U2)の上に、窒化ガリウム結晶を成長させた。窒化ガリウムの結晶成長速度Vjと反転領域Jの形成の容易さの関係を調べた。
HVPE炉内に、上のマスク付き基板(U2;M1,M2)を装入した。
初めに、約500℃の低温(Tb=500℃)で、NH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)、HCl分圧をPHCl=2×10−3atm(0.2kPa)とし成長時間15分で、GaNからなるバッファ層を形成した。バッファ層厚みは60nmであった。
その後昇温して、反転領域形成温度Tj=1030℃として、マスクの上に反転層、露呈部の上にエピ層を成長させた。NH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)とし、HCl分圧(PHCl)を様々に変化させた。HCl分圧を変えることによってどのように反転領域生成の状況が変わるのかを調べた。
HCl分圧: PHCl1=7×10−3atm(0.7kPa)
HCl2=1×10−2atm(1kPa)
HCl3=1.5×10−2atm(1.5kPa)
HCl4=2×10−2atm(2kPa)
HCl5=4×10−2atm(4kPa)
HCl6=6×10−2atm(6kPa)
HCl7=8×10−2atm(8kPa)
NH分圧は0.2atmで一定であるが、HCl分圧を変えると成長速度が変わる。HCl分圧を上げると成長速度Vjが上昇する。成長速度の変化によって反転領域Jの生成非生成の様子がどのように変わるのかを調べた。
(1)PHCl1=7×10−3atm(0.7kPa)の場合
成長速度Vj1=22μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
(M2):ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
(2)PHCl2=1×10−2atm(1kPa)の場合
成長速度Vj2=38μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
(M2):ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
(3)PHCl3=1.5×10−2atm(1.5kPa)の場合
成長速度Vj3=62μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が破線状に途切れて存在する。
(M2):ドットマスクの場合:大部分のドットの上で反転領域がある。
(4)PHCl4=2×10−2atm(2kPa)の場合
成長速度Vj4=85μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が破線状に途切れて存在する。
(M2):ドットマスクの場合:大部分のドットの上で反転領域がある。
(5)PHCl5=4×10−2atm(4kPa)の場合
成長速度Vj5=132μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が破線状に途切れて存在する。
(M2):ドットマスクの場合:大部分のドットの上で反転領域がある。
(6)PHCl6=6×10−2atm(6kPa)の場合
成長速度Vj6=158μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が破線状に途切れて存在する。
(M2):ドットマスクの場合:大部分のドットの上で反転領域がある。
(7)PHCl7=8×10−2atm(8kPa)の場合
成長速度Vj7=236μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
(M2):ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
以上のような結果となった。成長速度Vjを変化させることによって、c軸が180度反転した反転領域Jの発生の状況が変わるということが再度判明した。然しながら、成長速度に対する反転領域Jの発生の状況は、成長温度が940℃の場合と異なることを見出した。成長温度が高い本実施例では、成長速度Vjが38μm/hより遅い場合にマスク上(M1、M2)に反転領域Jが発生しにくい。逆に成長速度Vjが速い場合においては、158μm/hであってもマスク上に反転領域Jが多量に発生する。そして236μm/hで初めて反転領域Jの発生が少なくなる。
即ち反転領域を発生させるのに適切な成長速度は、結晶温度が1030℃の場合は、50μm/h〜197μm/hの間であると見積もれる。この成長速度範囲は、成長温度が940℃の場合よりも全体に高速側にシフトしていることが確認できた。
[実施例4(異なる成長温度における、成長速度Vjによる違い)]
実施例3において、1030℃という高温領域において、反転領域Jが大部分で発生する効果的な成長速度範囲が確認されたが、マスクM上の全領域で反転領域Jが発生したのは実施例1、2の結果から、より低温側に見出された。そこで実施例2に近い940℃近辺の成長温度Tjに対して、成長速度Vjによる反転領域Jの形成の容易さを詳細に調査した。
実施例1と同じ成長炉を用い、実施例2と異なる成長温度で成長速度を変えて、実施例1、実施例2と同じSiOによるストライプマスク(M1)とドットマスク(M2)を形成したGaAs(111)基板(U2)の上に、窒化ガリウム結晶を成長させた。窒化ガリウムの結晶成長速度Vjと反転領域Jの形成の容易さの関係を調べた。
HVPE炉内に、上のマスク付き基板(U2;M1,M2)を装入した。
初めに、約500℃の低温(Tb=500℃)で、NH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)、HCl分圧をPHCl=2×10−3atm(0.2kPa)とし成長時間15分で、GaNからなるバッファ層を形成した。バッファ層厚みは60nmであった。
その後昇温して、反転領域形成温度Tj=960℃として、マスクの上に反転層、露呈部の上にエピ層を成長させた。NH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)とし、HCl分圧(PHCl)を様々に変化させた。HCl分圧を変えることによってどのように反転領域生成の状況が変わるのかを調べた。
HCl分圧: PHCl1=7×10−3atm(0.7kPa)
HCl2=1×10−2atm(1kPa)
HCl3=1.5×10−2atm(1.5kPa)
HCl4=2×10−2atm(2kPa)
HCl5=2.5×10−2atm(2.5kPa)
HCl6=3×10−2atm(3kPa)

HCl7=4×10−2atm(4kPa)
NH分圧は0.2atmで一定であるが、HCl分圧を変えると成長速度が変わる。HCl分圧を上げると成長速度Vjが上昇する。即ち、成長速度の変化によって反転領域Jの生成非生成の様子がどのように変わるのかを調べた。
(1)PHCl1=7×10−3atm(0.7kPa)の場合
成長速度Vj1=20μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
(M2):ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
(2)PHCl2=1×10−2atm(1kPa)の場合
成長速度Vj2=28μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
(M2):ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
(3)PHCl3=1.5×10−2atm(1.5kPa)の場合
成長速度Vj3=42μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が破線状に途切れて存在する。
(M2):ドットマスクの場合:大部分のドットの上で反転領域がある。
(4)PHCl4=2×10−2atm(2kPa)の場合
成長速度Vj4=65μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在した。
(M2):ドットマスクの場合:すべてのドットの上に反転領域が存在した。
(5)PHCl5=2.5×10−2atm(2.5kPa)
成長速度Vj5=110μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在した
(M2):ドットマスクの場合:すべてのドットの上に反転領域が存在した。
(6)PHCl6=3×10−2atm(3kPa)
成長速度Vj6=130μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が破線状に途切れて存在する。
(M2):ドットマスクの場合:大部分のドットの上で反転領域がある。
(7)PHCl7=4×10−2atm(4kPa)の場合
成長速度Vj7=150μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
(M2):ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
以上のような結果となった。成長速度Vjを変化させることによって、c軸が180度反転した反転領域Jの発生の状況が変わるということが再度判明した。
然しながら、成長速度Vjに対する反転領域Jの発生の状況は、成長温度Tjが940℃の場合と異なることを見出した。成長温度Tjが実施例2に比べて20℃高い本実施例では、成長速度Vjが42μm/hでは大部分で反転領域が発生するが、28μm/hより遅い場合にはマスク上(M1、M2)に反転領域Jが発生しにくい。逆に成長速度Vjが速い場合においては、成長速度Vj6=130μm/hであってもマスク上に反転領域Jが多量に発生し、Vj7=150μm/hで初めて反転領域Jの発生が少なくなる。
即ち反転領域を発生させるのに適切な成長速度は、成長温度Tjが960℃の場合は、35μm/h〜140μm/hの間であると言える。この成長速度範囲は、マスクM上の大部分で反転領域が発生する速度と、マスクM上の大部分で反転領域が大部分で発生しにくくなる速度との中間を取った。そしてそれは成長温度が940℃の場合よりも全体にやや高速側にシフトしていることが確認できた。
更に、成長速度Vj4=65μm/h、およびVj5=110μm/hでは全面に反転領域が発生したことから、Tj=1030℃の場合よりもより反転領域を発生させやすいことを確認できた。
[実施例5(異なる成長温度における、成長速度Vjによる違い)] 実施例4と同じ目的で、成長速度Tjを920℃として成長速度Vjによる反転領域Jの形成の容易さを詳細に調査した。
実施例1と同じ成長炉を用い、実施例2と異なる成長温度で成長速度を変えて、実施例1、実施例2と同じSiOによるストライプマスク(M1)とドットマスク(M2)を形成したGaAs(111)基板(U2)上に、窒化ガリウム結晶を成長させた。窒化ガリウムの結晶成長速度Vjと反転領域Jの形成の容易さの関係を調べた。
HVPE炉内に、上のマスク付き基板(U2;M1,M2)を装入した。
初めに、約500℃の低温(Tb=500℃)で、NH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)、HCl分圧をPHCl=2×10−3atm(0.2kPa)とし成長時間15分で、GaNからなるバッファ層を形成した。バッファ層厚みは60nmであった。
その後昇温して、反転領域形成温度Tj=920℃として、マスクの上に反転層、露呈部の上にエピ層を成長させた。NH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)とし、HCl分圧(PHCl)を様々に変化させた。HCl分圧を変えることによってどのように反転領域生成の状況が変わるのかを調べた。
HCl分圧: PHCl1=7×10−3atm(0.7kPa)
HCl2=1×10−2atm(1kPa)
HCl3=1.5×10−2atm(1.5kPa)
HCl4=2×10−2atm(2kPa)
HCl5=4×10−2atm(4kPa)
HCl6=5×10−2atm(5kPa)
NH分圧は0.2atmで一定であるが、HCl分圧を変えると成長速度が変わる。HCl分圧を上げると成長速度Vjが上昇する。即ち、成長速度の変化によって反転領域Jの生成非生成の様子がどのように変わるのかを調べた。
(1)PHCl1=7×10−3atm(0.7kPa)の場合
成長速度Vj1=14μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
(M2):ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
(2)PHCl2=1×10−2atm(1kPa)の場合
成長速度Vj2=36μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在した。(M2):ドットマスクの場合:すべてのドットの上に反転領域が存在した。
(3)PHCl3=1.5×10−2atm(1.5kPa)の場合
成長速度Vj3=55μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在した。(M2):ドットマスクの場合:すべてのドットの上に反転領域が存在した。
(4)PHCl4=2×10−2atm(2kPa)の場合
成長速度Vj4=75μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1): ストライプマスクの場合:反転領域が連続的に存在した。
(M2):ドットマスクの場合:すべてのドットの上に反転領域が存在した。
(5)PHCl5=4×10−2atm(4kPa)の場合
成長速度Vj5=110μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)
観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:反転領域が破線状に途切れて存在する。
(M2):ドットマスクの場合:大部分のドットの上で反転領域がある。
(6)PHCl6=5×10−2atm(5kPa)の場合
成長速度Vj6=130μm/h
下地基板=GaAs基板(U2)、GaN/サファイヤ基板(U3) 観察結果
(M1):ストライプマスクの場合:ごく一部に反転領域の発生が見られる。
(M2):ドットマスクの場合:反転領域のあるドットがごく一部にある。
以上のような結果となった。成長速度Vjを変化させることによって、c軸が180度反転した反転領域Jの発生の状況が変わるということが再度判明した。また、成長速度に対する反転領域Jの発生の状況は、成長温度が940℃の場合と異なることを見出した。成長温度Tjが実施例2に比べて20℃低い本実施例では、成長速度Vjが36μm/hでは全面に反転領域が発生するが、14μm/hではマスク上(M1、M2)に反転領域Jが発生しにくい。また成長速度Vjが速い場合においては、110μm/hまではマスク上に反転領域Jが多量に発生するが、130μm/hで反転領域Jの発生が少なくなる。
即ち結晶温度Tjが920℃の場合は、反転領域を発生させるのに適切な成長速度Vjは、25μm/h〜120μm/hの間であると見積もれる。この成長速度範囲は、マスクM上の大部分で反転領域が発生する速度と、マスクM上の大部分で反転領域が大部分で発生しにくくなる速度との中間を取った。そしてそれは成長温度が940℃の場合と同様であったが、成長速度Vjが36μm/hという低速成長においても、全面に反転領域が形成されていることから、反転領域を発生させるのに好適な成長速度がやや低温側にシフトしていることが確認できた。
更に、成長速度Vjが36,55,75μm/hという3例について、全面に反転領域が発生したことから、Tj=1030℃の場合よりもより反転領域を発生させやすいことを確認した。
[実施例6(反転領域形成後厚膜成長)]
実施例1のように第1成長させ反転領域を形成した後、第2成長(GaNの厚膜成長)をして厚いGaN膜を成長させた。
実施例1と同じHVPE炉を用いた。
下地基板としてサファイヤ(0001)単結晶基板を用いた。
マスクはM2(ドットマスク:図10(1))のものと、M1(ストライプマスク:図8(1))のものを作製した。この様に2種類のマスク・下地基板を準備して、これにバッファ層成長、第1成長を行った。
HVPE炉の中に、上のような試料をセットして、まず約500℃(Tb)の低温でNH分圧をPNH3=0.2atm(20kPa)、HCl分圧をPHCl=2×10−3atm(0.2kPa)として、成長時間15分で、GaNバッファ層を形成した。PNH3/PHCl=100倍である。バッファ層の厚みは60nmであった。
その後昇温して、反転領域を生成した。第1成長温度はTj=950℃とした。NH分圧がPNH3=0.2atm(20kPa)、HCl分圧がPHCl=2×10−2atm(2kPa)とした。PNH3/PHCl=10倍である。第1成長の時間は45分である。
反転領域生成のための成長の後、引き続きGaNを通常の条件でエピタキシャル成長した。第2成長である。第2成長温度はTe=1050℃とした。NH分圧がPNH3=0.2atm(20kPa)、HCl分圧がPHCl=3×10−2atm(3kPa)とした。PNH3/PHCl=6.7倍である。第2成長の時間は15時間である。冷却して炉外へ試料を取りだした。厚さ1.5mmのGaN結晶が得られた。
実体顕微鏡や、SEMによる観察を行った。ドットマスクの場合はドットの部分が窪みになっており、ストライプマスクの場合はマスク部分が窪んでいた。マスクパターンと窪みの位置が正しく対応する。窪みはファセット面で構成されていた。窪みの底には上部のファセットより傾斜角の小さいファセットが存在した。
さらにサファイヤ基板を研削加工によって除去した。GaN結晶だけになった。表面を研削加工しさらに研磨加工した。平坦な両面を有するGaN基板となった(図9(4))。
研磨後の平坦なGaN基板の表面を光学顕微鏡およびカソードルミネセンス(CL)によって評価した。
ストライプ型マスク(M1)を用いた試料については、幅20μmで、規則正しく300μmピッチで並ぶ平行直線状の窪みが存在することが分かった。窪みがあるのは{11−2−6}面の生成のためであり、それは反転領域Jだということを確認する。図8の(2)のようなHZYZHZYZ…繰り返し構造を持つ。ストライプマスクの上に結晶欠陥集合領域Hが生成しているということ、その結晶欠陥集合領域Hが反転領域Jだということを意味する。
ドットマスク(M2)を用いた試料でも、直径が30μm〜40μm程度の窪みがピッチが300μmピッチで6回対称位置にできた。それは丁度マスク位置に対応している。図10(2)に示すように、結晶欠陥集合領域H、低欠陥単結晶領域Z、C面成長領域Yの同心構造となっている。
CL像の観察によると、基板表面に露出した貫通転位が暗い点として観察される。CL観察によって貫通転位密度を計数することができる。貫通転位密度は結晶欠陥集合領域Hにおいて高く10cm−2〜10cm−2程度であった。結晶欠陥集合領域H、Hによって挟まれた低欠陥単結晶領域Zでは貫通転位密度は低くて1×10cm−2の程度であった。そのように隣接する結晶欠陥集合領域H、Hの中間には十分低転位の低欠陥単結晶領域Zが形成される。不均一組成の基板である。
低欠陥単結晶領域Zの部分にレーザデバイスを作製することができる。こうして高品質レーザデバイスを作製することができる低欠陥の窒化ガリウム基板を製造することができた。それは転位密度が均一に低いというのではなく一部では転位密度が高い(結晶欠陥集合領域H)のであるが面積の広い低欠陥単結晶領域Zがありデバイス作製のための優れた基板となりうる。
本発明者が特許文献1において提案したファセット成長法において、ファセット面よりなる六角錐ピットを埋め込むことなく成長させると転位はファセット法線方向に伸び成長とともに境界線に集まりさらに境界線に沿ってピットの底に集結することを示すためのピット部分の斜視図。図1(a)は成長の初期を示し、図2(b)は成長が進行した状態を示す。
本発明者が特許文献1において提案したファセット成長法において、ファセット面よりなる六角錐ピットを埋め込むことなく成長させると転位はファセット法線方向に伸び成長とともに境界線に集まりさらに境界線に沿ってピットの底に集結することを示すためのピット部分の平面図。ファセットで法線方向に成長が進むので転位もその方向に進む。
本発明者が特許文献1で提案したファセット成長法において、ピット底へ一旦集合した転位の束が再び広がってモヤ状の広がりができることを示すためのファセットピットの部分の断面図。図3(1)は転位が一旦ピット底へ集められて転位集合束を形成した状態を示す。図3(2)はピット底から転位がばらけだしてもや状に広がっていく有り様を示す。
本発明者が特許文献2、3で提案したマスクを用いたファセット成長法において、マスク上には転位を閉じ込める作用がある結晶欠陥集合領域Hを生成し、一旦捕獲した転位が再び分散することがなくそのまま成長するということを示すピット、V溝の部分の縦断面図。図4(1)はファセット成長によって転位がマスク上の欠陥集合領域Hに集結する様子を示す。図4(2)はファセット成長が更に進んでもそのまま転位は欠陥集合領域Hに閉じ込められている様子を示す。
マスクを下地基板の上に付けてその上に窒化ガリウムを成長させるファセット成長法を示す縦断面図。図5(1)は下地基板の上にマスクを形成した縦断面図、図5(2)は窒化ガリウムを結晶成長させると露呈部だけに結晶が成長しマスク上には結晶成長が起こらないので、マスク端から斜めに伸びるファセットが発生することを説明するための縦断面図。図5(3)はさらに結晶成長が進行するとマスクの上にも結晶が成長して2段階のファセットができることを示す縦断面図。
ファセット成長法で成長させた窒化ガリウム結晶の斜視図。図6(1)はストライプマスクを下地基板に付けておきその上に窒化ガリウムをファセット成長したものの斜視図。図6(2)はドットマスクを下地基板に付けておきその上に窒化ガリウムをファセット成長したものの斜視図。
結晶欠陥集合領域Hが成長の初期にマスク状に形成される場合それが反転領域になる場合の条件を説明するための縦断面図。図7(1)は下地基板の上にマスクを設けた図。図7(2)は窒化ガリウムを気相成長した場合露呈部で成長が起こりマスク上で成長が起こらないのでマスクを端とするファセットFが生ずることを説明する図。図7(3)はファセット面に極性反転結晶Qが発生した状態を示す図。図7(4)は極性反転結晶Qがマスクの上で合体した状態を示す図。図7(5)は極性反転結晶Qの上に極性反転結晶Qと同じ方位の結晶が成長していく有り様を示す図。
ストライプマスクを下地基板の上に形成してファセット成長する方法におけるマスクと成長した結晶の関係を示す平面図。図8(1)は下地基板の上に平行なマスクを等しいピッチpで形成したものの平面図。図8(2)はファセット成長後、下地基板から結晶部分を分離して研磨、研削し平板にしたウエハのCL像を示す。
マスクを下地基板の上に形成してファセット成長する方法におけるマスクと成長した結晶の関係を示す縦断面図。図9(1)は下地基板。図9(2)はマスクを形成した状態。図9(3)はマスク付き下地基板の上に窒化ガリウム結晶を厚く成長させた縦断面図。露呈部の上にはファセットを上面に持つ低欠陥単結晶領域ZとC面成長領域Yが、マスクの上には結晶欠陥集合領域Hが、成長していく様子を示す縦断面図。図9(4)は成長した結晶から下地基板を除去して研削、研磨した結晶のCL像でHZYZHZYZH構造を持つ。図9(5)はC面成長領域YがなくてHZHZ構造を持つものを示す。
ドットマスクを下地基板の上に形成してファセット成長する方法におけるマスクと成長した結晶の関係を示す平面図。図10(1)は下地基板の上に孤立点状のマスクを6回対称性を持つように等しいピッチpで形成したものの平面図。図10(2)はファセット成長後、下地基板から結晶部分を分離して研磨、研削し平板にしたウエハーのCL像を示す。
第1成長における、反転領域Jの発生状況をグラフ化して示した図。縦軸は成長速度であり、横軸は成長温度を絶対温度に直し、その逆数に1000を乗じたもの。グラフ内の点は、黒色の丸印は反転領域JがマスクMの全面に発生したことを、白抜きの丸印は大半で発生したことを、三角印は僅かに発生したことをそれぞれ示す。 グラフ内の2本の実線は、実施例1〜実施例5の結果に基づいて、この2本の実線の間の領域で、特に反転領域Jが出来やすいことを示す。下側の実線は実施例2および実施例3における反転領域Jが出来やすい成長速度の下限値を直線で結んだ。上側の実線は実施例4および実施例5における反転領域Jが出来やすい成長速度の上限値を直線で結んだ。
符号の説明
H結晶欠陥集合領域
Z低欠陥単結晶領域
YC面成長領域
J反転領域
Mマスク
U下地基板
Fファセット
K結晶粒界
D転位
Q極性反転結晶
P多結晶
S芯
A単結晶
4結晶
5ファセットピット
6ファセット
7C面
8稜線
9ピット底
10面状欠陥
11転位集合束(線状欠陥)
13モヤ状広がり
21下地基板
23マスク
24結晶
25ファセットピット
26ファセット
27上面(C面)
29ピット底

Claims (9)

  1. 窒化ガリウムのエピタキシャル成長において、下地基板の上に下地基板を部分的に覆うようにエピタキシャル成長を妨げるマスクを形成し、マスクに覆われた狭い被覆部とマスクに覆われない広い露呈部を設け、その上から気相法によって窒化ガリウムを900℃〜990℃の第1成長条件においてエピタキシャル成長させ、露呈部の上には成長が起こり被覆部では成長が起こらないことによってマスク端を下端部とするファセットを露呈部に発生させ、ファセットを維持しながら結晶成長させ、マスクを隔てて対向するファセットの途中に周囲の結晶とc軸の方位が反対である極性反転結晶を発生させ、露呈部上にはファセットで覆われた低欠陥単結晶領域Zを形成し、両側から伸びる極性反転結晶を合体させ、合体した極性反転結晶Qの上にさらに結晶成長させて、マスクの上には周囲の結晶とc軸の方位が逆転した反転領域Jである結晶欠陥集合領域Hを生成するようにしたことを特徴とする窒化ガリウムの結晶成長方法。
  2. 第1成長条件が920℃〜960℃であることを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
  3. 窒化ガリウムのエピタキシャル成長において、下地基板の上に下地基板を部分的に覆うようにエピタキシャル成長を妨げるマスクを形成し、マスクに覆われた狭い被覆部と、マスクに覆われない広い露呈部を設け、その上から気相法によって窒化ガリウムを、Vを成長速度(μm/h)、Tを絶対温度で表される成長温度(K)、a、b、a、bをそれぞれ、a=−4.39×10,b=3.87×10,a=−7.36×10,b=7.37×10の係数として、a/T+b<V<a/T+bで表される第1成長条件で、エピタキシャル成長させ、露呈部の上には成長が起こり被覆部では成長が起こらないことによって被覆部のマスク端を下端部とするファセットを露呈部に発生させ、ファセットを維持しながら結晶成長させ、被覆部のマスクを隔てて対向するファセットの途中に周囲の結晶とc軸の方位が反対である極性反転結晶を発生させ、露呈部上にはファセットで覆われた低欠陥単結晶領域Zを形成し、両側から伸びる極性反転結晶Qを合体させ、合体した極性反転結晶Qの上にさらに結晶成長させて、被覆部のマスクの上には周囲の結晶とc軸の方位が逆転した反転領域Jである結晶欠陥集合領域Hを生成するようにしたことを特徴とする窒化ガリウムの結晶成長方法。
  4. エピタキシャル成長の前に、400℃〜600℃の低温で下地基板の露呈部の上に、30nm〜200nmの厚みのバッファ層を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
  5. 下地基板は、サファイヤ単結晶、Si単結晶、SiC単結晶、GaN単結晶、GaAs単結晶、GaN薄膜が形成されたサファイヤ単結晶の何れかであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
  6. 窒化ガリウムのエピタキシャル成長をハイドライド気相成長法で行うことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
  7. 窒化ガリウムのエピタキシャル成長において、下地基板の上に下地基板を部分的に覆うようにエピタキシャル成長を妨げるマスクを形成し、マスクに覆われた狭い被覆部とマスクに覆われない広い露呈部を設け、その上から気相法によって窒化ガリウムを900℃〜990℃の第1成長条件においてエピタキシャル成長させ、露呈部の上には成長が起こり被覆部では成長が起こらないことによってマスク端を下端部とするファセットを露呈部に発生させ、ファセットを維持しながら結晶成長させ、マスクを隔てて対向するファセットの途中に周囲の結晶とc軸の方位が反対である極性反転結晶を発生させ、露呈部上にはファセットで覆われた低欠陥単結晶領域Zを形成し、両側から伸びる極性反転結晶を合体させ、合体した極性反転結晶Qの上にさらに結晶成長させて、マスクの上には周囲の結晶とc軸の方位が逆転した反転領域Jである結晶欠陥集合領域Hを生成し、990℃以上の第2成長条件でファセットを維持した成長をし、露呈部の上には転位が減少していく低欠陥単結晶領域Zを成長させ、被覆部のマスクの上には窪みを持ち転位が上昇していく反転領域Jを成長させるようにしたことを特徴とする窒化ガリウムの結晶成長方法。
  8. 窒化ガリウムのエピタキシャル成長において、下地基板の上に下地基板を部分的に覆うマスクを形成し、マスクに覆われた狭い被覆部と、マスクに覆われない広い露呈部とを設け、その上から気相法によって窒化ガリウムを、Vを成長速度(μm/h)、Tを絶対温度で表される成長温度(K)、a、b、a、bをそれぞれ、a=−4.39×10,b=3.87×10,a=−7.36×10,b=7.37×10の係数として、a/T+b<V<a/T+bで表される第1成長条件で、エピタキシャル成長させ、露呈部の上には成長が起こり被覆部では成長が起こらないことによって被覆部のマスク端を下端部とするファセットを露呈部に発生させ、ファセットを維持しながら結晶成長させ、被覆部のマスクを隔てて対向するファセットの途中に周囲の結晶とc軸の方位が反対である極性反転結晶Qを発生させ、露呈部上にはファセットで覆われた低欠陥単結晶領域Zを形成し、両側から伸びる極性反転結晶Qを合体させ、合体した極性反転結晶Qの上にさらに結晶成長させて、被覆部のマスクの上には周囲の結晶とc軸の方位が逆転した反転領域Jである結晶欠陥集合領域Hを生成し、990℃以上の第2成長条件でファセットを維持した成長をし、露呈部の上には転位が減少していく低欠陥単結晶領域Zを成長させ、被覆部のマスクの上には窪みを持ち転位が上昇していく反転領域Jを成長させるようにしたことを特徴とする窒化ガリウムの結晶成長方法。
  9. 第2成長条件の成長温度が1000℃〜1200℃とすることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。



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