JP2008036950A - 熱転写受像シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、基材と、上記基材上に形成された受容層と、を有する熱転写受像シートであって、上記受容層が、水酸基を含有する水酸基含有樹脂をブロックイソシアネートで硬化させてなるバインダー樹脂と、キレート化可能な熱拡散性染料と反応し得る金属イオン含有化合物と、を含有することを特徴とする熱転写受像シートを提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1
Description
架橋剤と反応することによりゲル化し、塗工液の保存性(ポットライフ)を悪化させるという問題があった。
以下、本発明の熱転写受像シートについて、各構成ごとに説明する。
まず、本発明に用いられる受容層について説明する。本発明に用いられる受容層は、水酸基を含有する水酸基含有樹脂をブロックイソシアネートで硬化させてなるバインダー樹脂と、キレート化可能な熱拡散性染料と反応し得る金属イオン含有化合物と、を含有するものである。そこで、まず金属イオン含有化合物について説明し、次いでバインダー樹脂について説明する。
本発明に用いられる金属イオン含有化合物は、後述する熱拡散性染料と反応し、受容層中で熱拡散性染料−金属イオン含有化合物複合体を形成する。
上記金属イオン含有化合物の受容層における含有量としては、特に限定されるものではないが、後述する水酸基含有樹脂に対して5〜80重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましい。
上記染料層のバインダー樹脂としては、色素が熱拡散しやすく、かつ、保存時色素がブリードする、熱転写受像シートと熱融着する、等の不具合が発生するものでなければ、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、アクリル系樹脂及びその誘導体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース及びその誘導体が挙げられる。
R15、R16、R17及びR18が表すアルキル基及びアリール基は、上記R11で表される置換基と同様の置換基によって置換されていてもよい。R15、R16、R17及びR18としては、水素原子が好ましい。
このような複素環の具体例として、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、チアゾール環、オキサゾール環、キノリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等の各環を挙げることができる。好ましくは、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環であり、特に好ましくは、ピリジン環である。これらの環は置換基を有していてもよく、置換基としては、上記R11で表される置換基と同様の基を挙げることができる。
次に、本発明に用いられるバインダー樹脂について説明する。本発明に用いられるバインダー樹脂は、水酸基を含有する水酸基含有樹脂をブロックイソシアネートで硬化させてなるものである。以下、水酸基含有樹脂およびブロックイソシアネートについて説明する。
本発明に用いられる水酸基含有樹脂は、水酸基を有するものであれば特に限定されるものではない。また、水酸基含有樹脂は、良好な保存性を有する受容層形成用塗工液を得ることができるものであることが好ましい。このような水酸基含有樹脂としては、ポリビニルアセタール系樹脂、水酸基を有するポリ塩化ビニル系樹脂等を挙げることができる。なかでも本発明においては、ポリビニルアセタール系樹脂を使用することが好ましい。
ここで、上記ポリビニルアセタール系樹脂とは、ポリビニルアルコールの水酸基部分に各種アルデヒドを反応させて得られる樹脂の総称である。
次に、本発明に用いられるブロックイソシアネートについて説明する。本発明に用いられるブロックイソシアネートは、加熱により所定の温度以上になった時点で反応性を発揮するものである。このようなブロックイソシアネートは通常、常温付近で反応性を発揮しないため、ブロックイソシアネートを用いることにより、受容層形成用塗工液のゲル化等を抑制することができる。
このような、低温反応型の活性メチレン系ブロックイソシアネートとしては、特開昭52−116420、特開昭57−121065、特開平8−225630等に記載されているアセト酢酸エステル、マロン酸ジエステル等の活性メチレン化合物を用いたブロックポリイソシアネート等が挙げることができる。
本発明に用いられる受容層は、離型性を向上させるために、離型剤を含有していることが好ましい。このような離型剤としては、ポリシロキサン、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、弗素系界面活性剤、シリコーン系ブロック・コポリマー等を挙げることができる。なかでも本発明においては、シリコーンオイル、または、シリコーン系ブロック・コポリマーを好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる受容層は、必要に応じて、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等を含有していても良い。本発明に用いられる滑剤は、熱転写を行う際に、熱転写リボン等の走行性を良好に保つために用いられるものである。上記滑剤としては、受容層の色材受容性を阻害せず、熱転写リボン等の走行性を良好に保つことができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には炭酸カルシウム、シリカ、および硫酸バリウム等の無機系滑剤、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ワックス類(脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アマイド等)、および高級脂肪酸の金属塩(ステアリン酸亜鉛)等の有機系滑剤、が挙げられる。中でもシリカおよび脂肪酸アマイドを使用することが好ましい。
本発明に用いられる受容層は、上述したバインダー樹脂と、金属イオン含有化合物と、を少なくとも有するものである。本発明に用いられる受容層は、通常、上記バインダー樹脂を構成する水酸基含有樹脂およびブロックイソシアネートと、金属イオン含有化合物とを少なくとも含有する受容層形成用塗工液を、基材等に塗布し、その後硬化させることによって得ることができる。
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明の熱転写受像シートに用いられる基材については、一般的な熱転写受像シートに使用するものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、上質紙(酸性紙、中性紙)、合成紙、コート紙、含浸紙、紙間強化紙等の紙、透明、半透明、または着色フィルム、およびプラスチック等を挙げることができる。
本発明の熱転写受像シートは、上記受容層以外に、易接着プライマー層を有していても良い。易接着プライマー層は、基材と受容層との間に設けられて、これらの密着性を向上させる役割を果たすものである。このような易接着プライマー層の原料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレンイミン、アルキルチタネート等を使用することができる。また、必要に応じて着色剤、白色顔料、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル補足剤等を含有させることもできる。
基材シートとして厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、一方の面に耐熱性背面層を設け、他方の面に下記組成の染料層塗工液1〜3を乾燥時の塗布量が0.5g/m2となるようにワイヤーバーにより塗布および乾燥(80℃、5分)させて、3種類の熱転写シート1〜3を得た。
セルロースアセテートブチレート樹脂
(CAB381−0.1、イーストマンケミカル(株)製) 3.0重量部
下記構造式(i)で表される染料化合物 3.0重量部
ポリエーテル変性シリコーン(FZ2101、日本ユニカー(株)製) 0.1重量部
メチルエチルケトン 45重量部
トルエン 45重量部
セルロースアセテートブチレート樹脂
(CAB381−0.1、イーストマンケミカル(株)製) 3.0重量部
下記構造式(ii)で表される染料化合物 3.0重量部
ポリエーテル変性シリコーン(FZ2101、日本ユニカー(株)製) 0.1重量部
メチルエチルケトン 45重量部
トルエン 45重量部
セルロースアセテートブチレート樹脂
(CAB381−0.1、イーストマンケミカル(株)製) 3.0重量部
下記構造式(iii)で表される染料化合物 4.5重量部
ポリエーテル変性シリコーン(FZ2101、日本ユニカー(株)製) 0.1重量部
メチルエチルケトン 45重量部
トルエン 45重量部
基材として、コート紙(王子製紙(株)製OKトップコート;127.9g/m2)の表裏に厚さ50μmの白色PET(東レ(株)製ルミラーE63S)をウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製タケラックA−969V/タケネートA−5=3/1、塗布量:4g/m2(乾燥後))で貼合した基材を用いた。該基材の一方の面に下記組成の受容層塗工液を乾燥時4.0g/m2となるようにワイヤーバーにより塗布および乾燥(120℃、3分)させて本発明の熱転写受像シートを得た。なお、本実施例においては、上記の熱転写シート1を用いて離型性評価等を行った。
ポリビニルブチラール樹脂
(BM−1、水酸基量34mol%、積水化学工業(株)製) 10重量部
活性メチレン系ブロックイソシアネート
(デュラネートMF−K60X、旭化成工業(株)製) 1.0重量部
アクリル変性シリコーン(FS730、日本油脂(株)製) 0.1重量部
金属イオン含有化合物(l) 7重量部
メチルエチルケトン 45重量部
トルエン 45重量部
実施例1に記載の上記受容層塗工液(実施例1)の代わりに、下記組成の受容層塗工液(実施例2)を使用した以外は実施例1と同様にして本発明の熱転写受像シートを得た。なお、本実施例においては、上記の熱転写シート1を用いて離型性評価等を行った。
ポリビニルブチラール樹脂
(BM−1、水酸基量34mol%、積水化学工業(株)製) 10重量部
活性メチレン系ブロックイソシアネート
(デュラネートMF−K60X、旭化成工業(株)製) 1.5重量部
アクリル変性シリコーン(FS730、日本油脂(株)製) 0.1重量部
金属イオン含有化合物(l) 7重量部
メチルエチルケトン 45重量部
トルエン 45重量部
実施例1に記載の受容層塗工液(実施例1)のポリビニルブチラール樹脂の代わりに、ポリビニルブチラール樹脂(BH−A、水酸基量31mol%、積水化学工業(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にして本発明の熱転写受像シートを得た。なお、本実施例においては、上記の熱転写シート1を用いて離型性評価等を行った。
実施例1に記載の受容層塗工液(実施例1)のポリビニルブチラール樹脂の代わりに、ポリビニルアセタール樹脂(BX−1、水酸基量33mol%、積水化学工業(株)製)を使用した以外は実施例1と同様にして本発明の熱転写受像シートを得た。なお、本実施例においては、上記の熱転写シート1を用いて離型性評価等を行った。
実施例1に記載の受容層塗工液(実施例1)の代わりに、下記組成の受容層塗工液(実施例5)を使用した以外は実施例1と同様にして本発明の熱転写受像シートを得た。なお、本実施例においては、上記の熱転写シート1を用いて離型性評価等を行った。
ポリビニルブチラール樹脂
(BM−1、水酸基量34mol%、積水化学工業(株)製) 10重量部
活性メチレン系ブロックイソシアネート
(デュラネートMF−K60X、旭化成工業(株)製) 1.0重量部
ポリエーテル変性シリコーン
(KF−615A、信越化学工業(株)製) 0.2重量部
金属イオン含有化合物(l) 7重量部
メチルエチルケトン 45重量部
トルエン 45重量部
実施例1と同様にして本発明の熱転写受像シートを得た。本実施例においては、上記の熱転写シート2を用いて離型性評価等を行った。
実施例1と同様にして本発明の熱転写受像シートを得た。本実施例においては、上記の熱転写シート3を用いて離型性評価等を行った。
実施例1に記載の受容層塗工液(実施例1)の代わりに、下記組成の受容層塗工液(比較例1)を使用した以外は実施例4と同様にして比較の熱転写受像シートを得た。なお、本比較例においては、上記の熱転写シート1を用いて離型性評価等を行った。
ポリビニルブチラール樹脂
(BM−1、水酸基量34mol%、積水化学工業(株)製) 10重量部
アクリル変性シリコーン(FS730、日本油脂(株)製) 0.1重量部
金属イオン含有化合物(l) 7重量部
メチルエチルケトン 45重量部
トルエン 45重量部
実施例1に記載の受容層塗工液(実施例1)の代わりに、下記組成の受容層塗工液(比較例2)を使用した以外は実施例1と同様にして比較の熱転写受像シートを得た。なお、本比較例においては、上記の熱転写シート1を用いて離型性評価等を行った。
ポリビニルブチラール樹脂
(BM−1、水酸基量34mol%、積水化学工業(株)製) 10重量部
ヘキサメチレンジイソシアネート(A−65、三井武田ケミカル(株)製) 1重量部
硬化触媒(SCAT−52A、三井武田ケミカル(株)製) 0.01重量部
アクリル変性シリコーン(FS730、日本油脂(株)製) 0.1重量部
金属イオン含有化合物(l) 7重量部
メチルエチルケトン 45重量部
トルエン 45重量部
実施例1において、乾燥温度を80℃3分とした以外は実施例1と同様にして比較の熱転写受像シートを得た。なお、本参考例においては、上記の熱転写シート1を用いて離型性評価等を行った。
実施例1記載の受容層塗工液(実施例1)の代わりに、下記組成の受容層塗工液(参考例2)を使用した以外は実施例1と同様にして比較の熱転写受像シートを得た。
ポリビニルブチラール樹脂
(BM−1、水酸基量34mol%、積水化学工業(株)製) 10重量部
活性メチレン系ブロックイソシアネート
(デュラネートMF−K60X、旭化成工業(株)製) 0.1重量部
アクリル変性シリコーン(FS730、日本油脂(株)製) 0.1重量部
金属イオン含有化合物(l) 7重量部
メチルエチルケトン 45重量部
トルエン 45重量部
実施例、比較例および参考例に用いられている受容層塗工液について、塗工液作成後3時間、24時間経過したときの塗工液の状態を評価した。
(評価基準)
○:塗工液作成時から変化なし
△:塗工液作成時より増粘
×:塗工液が硬化(ゲル化)
実施例、比較例および参考例に記載した、熱転写シートと熱転写受像シートとを組み合わせて、下記に示す評価を行った。
まず、熱転写シートおよび熱転写受像シートについて、熱転写受像シートの受容層と熱転写シートの染料層とを重ね合わせ、解像度300dot/inch、平均抵抗値5300Ωのサーマルヘッドとプラテンロールで圧接し、0.09W/dotの印加エネルギーでベタパターンを、送り速度2.0ms/lineで染料部の背面から該サーマルヘッドで加熱して受容層上に画像を形成し、印画物を得た。
次に、上記の手順で印画後、熱転写シートおよび熱転写受像シートを手で剥がす際、受容層と染料層間で熱融着が無いか下記評価基準にて評価した。
(評価基準)
○:剥がす際にほとんど抵抗が感じられない。
△:剥がす際に抵抗が感じられる。
×:熱融着しており、剥がしづらい。
上記印画条件にて得られた印画物について、Gretag Macbeth社製 Spectrolino(D65光源、ANSI StatusA フィルター使用)を用い濃度特性を評価した。その結果、実施例は、いずれもOD>2.0であり十分な濃度特性を示した。
上記評価より、受容層塗工液の状態および印画物の濃度特性及び離型性について、総合的に示した。
○:性能が良好である。
△:性能が若干劣る。
×:性能が著しく劣る。
2 … 受容層
Claims (2)
- 基材と、前記基材上に形成された受容層と、を有する熱転写受像シートであって、
前記受容層が、水酸基を含有する水酸基含有樹脂をブロックイソシアネートで硬化させてなるバインダー樹脂と、キレート化可能な熱拡散性染料と反応し得る金属イオン含有化合物と、を含有することを特徴とする熱転写受像シート。 - 前記水酸基含有樹脂がポリビニルアセタール系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
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