上記のようなイアホンアンテナでは、音声信号とアンテナによって受信する高周波信号とは、コンデンサと高周波チョークコイルによって分離されている。
近年のデジタル回路の高速化により、CPUや、デジタル回路の動作クロック等、無線通信端末機器本体が発するノイズ(雑音)は、低周波数〜高周波数におよんでいる。具体的な周波数としては、数100kHz〜数GHzに及ぶ極めて広い帯域におよび、受信する電磁波などのノイズ源となっている。
これらの無線通信端末機器から直接放射されるノイズは、アンテナのケーブルにノイズとして影響をおよぼしたり、音声信号ケーブルから上記無線通信端末機器にノイズをおよぼしたりしていた。
上記のノイズの影響を抑えるためには、上記のようにコンデンサやチョークコイルによってノイズ成分の信号を分離するだけでは不十分である。上記従来のイアホンアンテナでは、無線通信端末機器からの電磁波ノイズの影響を大きく受けてしまい、アンテナの受信感度を劣化してしまうという問題点があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、イアホンアンテナ装置(あるいは類似構成のアンテナ装置)において、従来のようなコンデンサやチョークコイルのみを用いる構成よりも、無線通信端末機器からの電磁波ノイズの影響をより一層効果的に回避することを可能とし、アンテナの受信感度を有効に向上させることが可能な技術を提供することにある。
本発明者は上記課題に鑑み鋭意検討した結果、イアホンアンテナ装置において、従来一対のイアホンケーブルと共用されていたアンテナを、イアホンケーブルとは独立させて設けるとともに、一対のイアホンケーブルに対して1本の音声信号ケーブルを接続させ、一対のアンテナに対して、1本のアンテナ同軸ケーブルを接続させることにより、無線通信端末機器から放射される低周波数〜高周波数のノイズや、音声信号ケーブルに乗って伝播するノイズの影響を従来よりも一層受けにくくすることが可能となるだけでなく、イアホン装置の機能を有さないアンテナ装置単独の構成に対しても、適用可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のイアホンアンテナ装置は、上記課題を解決するために、無線通信機能を有する端末機器に接続して使用可能となっており、イアホン装置およびアンテナ装置が一体化されてなるイアホンアンテナ装置であって、左右一対のイアホン部にそれぞれ接続され、イアホン部に音声信号を供給するイアホンケーブルと、一方の端部が上記端末機器に接続され、他方の端部が上記2本のイアホンケーブルに接続される音声共通ケーブルとを備えており、さらに、上記各イアホンケーブルとは絶縁された状態で、かつ、当該イアホンケーブルと一体化された状態で設けられる一対の紐状のアンテナ素子と、一方の端部が上記端末機器に接続され、他方の端部が上記一対のアンテナ素子に接続され、上記音声共通ケーブルとは絶縁された状態で、かつ、当該音声共通ケーブルと一体化された状態で設けられるアンテナ同軸ケーブルとを備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、一対の紐状のアンテナ素子と左右一対のイアホン部に音声信号を供給するイアホンケーブルとが、電気的には絶縁された状態で一体に形成される。また一対のアンテナ素子に接続されるアンテナ同軸ケーブルと2本のイアホンケーブルに接続される音声共通ケーブルとが、電気的には絶縁された状態で一体に形成される。
このため、音声ケーブルとアンテナを構成する線路を別に設ける構成となるため、無線通信端末器からの電磁波ノイズの影響を抑えることができる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置は、上記課題を解決するために、無線通信機能を有する端末機器に接続して使用可能となっており、支持部の左右にイアホン部がそれぞれ接続されたイアホン装置およびアンテナ装置が一体化されてなるイアホンアンテナ装置であって、上記イアホン部にそれぞれ接続され、上記イアホン部に音声信号を供給するイアホンケーブルと、一方の端部が上記端末機器に接続され、他方の端部が上記2本のイアホンケーブルに接続される音声共通ケーブルとを備えており、さらに、上記各イアホンケーブルとは絶縁された状態で、かつ、上記支持部に沿った状態で、上記支持部の中央部から左右のイアホン部に沿って設けられる一対のアンテナ素子と、一方の端部が上記端末機器に接続され、他方の端部が上記一対のアンテナ素子に接続され、上記音声共通ケーブルとは絶縁された状態で、かつ、当該音声共通ケーブルと一体化された状態で設けられるアンテナ同軸ケーブルとを備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、左右のイアホン部に接続された支持部に沿い、上記支持部の中央部から左右のイアホン部に沿って設けられる一対のアンテナ素子を備えている。また一対のアンテナ素子に接続されるアンテナ同軸ケーブルと2本のイアホンケーブルに接続される音声共通ケーブルとが、電気的には絶縁された状態で一体に形成されている。
このため、音声ケーブルとアンテナを構成する線路を別に設ける構成となるため、無線通信端末器からの電磁波ノイズの影響を抑えることができる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、上記アンテナ素子は、紐状、または板状に形成されていることが好ましい。
これにより、アンテナ素子が上記支持部の形状にあわせて形成される。これらのアンテナ素子は、幅3mm〜20mm程度の板上導体や、直径1mm以上の太さの導体線路に形成するとアンテナとして良好な利得及び帯域幅が得られやすい。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、上記支持部が、該支持部の長さを調節する長さ調節部を備えていることが好ましい。
これにより、イアホンアンテナ装置の大きさを調節することができ、使用者の適切な位置に固定することができるようになる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、上記支持部と左右に設けられた上記イアホン部とが囲む内側であり、かつ上記支持部に沿ってスペーサが設けられていることが好ましい。
これにより、スペーサによってイアホンアンテナ装置と使用者の頭部との間に空間を形成することができ、使用者の頭部と上記アンテナ素子とが密着することがなくなる。そのため、良好な受信特性を得ることができる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、さらに電力供給手段を備えており、上記電力供給手段が、上記支持部の中央部から左右のアンテナ素子に電力を供給することが好ましい。
これにより、板状のアンテナ素子など、給電を必要とするさまざまなアンテナ素子を用いることができるようになる。つまり、人体による影響をより小さくし、高感度に受信を行うアンテナを構成することができる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、上記アンテナ同軸ケーブルは、信号線路(信号導体)および接地線路(接地導体)を含んでいるとともに、上記紐状のアンテナ素子の少なくとも一方に、これら各線路の少なくとも何れかが、直接または間接的に接続されていることが好ましい。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、上記アンテナ同軸ケーブルは、信号線路および接地線路を含んでいるとともに、上記アンテナ素子の少なくとも一方に、これら各線路の少なくとも何れかが、直接または間接的に接続されていることが好ましい。
これにより、紐状のアンテナ素子がアンテナ同軸ケーブルによって端末機器に接続されるため、ノイズを放射する無線通信端末からアンテナ素子に至る線路をノイズの影響を抑えて接続することができる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、さらに、上記一対のアンテナ素子と上記アンテナ同軸ケーブルとの間に不平衡平衡変換器(バラン)が設けられており、アンテナ同軸ケーブルの信号線路および接地線路は、不平衡平衡変換器の不平衡端子に接続される一方、一対のアンテナ素子はそれぞれ不平衡平衡変換器の平衡端子に接続されることにより、アンテナ同軸ケーブルの各線路が一対のアンテナ素子に間接的に接続されることが好ましい。
これにより、一対のアンテナ素子とアンテナ同軸ケーブルとが不平衡平衡変換器(バラン)によって接続され、アンテナ同軸ケーブルによって端末機器に接続されるため、ノイズを放射する無線通信端末からアンテナ素子に至る線路をノイズの影響を抑えて接続することができる。
さらに上記平衡不平衡変換器にはバンドパス特性があり、伝送する目的の帯域外の周波数成分は伝送が抑制されるフィルタとして機能するので、受信信号として伝送したい帯域以外の低周波成分、高周波成分のノイズ(雑音)を抑制することができる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、さらに電力供給手段と受信信号増幅手段とを備えており、上記電力供給手段が、上記受信信号増幅手段に電力を供給し、上記受信信号増幅手段が、一対のアンテナ素子から入力された受信信号を増幅して上記不平衡平衡変換器の不平衡端子に出力することが好ましい。
これにより、上記アンテナ素子から入力された受信信号を増幅してから不平衡平衡変換器の不平衡端子に出力するので、ノイズを放射する無線通信端末からアンテナ素子に至る線路をノイズの影響を抑えることができる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、上記アンテナ同軸ケーブルの信号線路が、一対のアンテナ素子の一方に直接接続され、アンテナ同軸ケーブルの接地線路が、他方のアンテナ素子に直接接続されることが好ましい。
これにより、紐状のアンテナ素子がアンテナ同軸ケーブルによって端末機器に接続されるため、ノイズを放射する無線通信端末からアンテナ素子に至る線路をノイズの影響を抑えて接続することができる。
さらに、上記一対のアンテナ素子が直接上記同軸ケーブルに接続されるため、上記平衡不平衡変換器を用いる必要がなく低コストに構成することができる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、上記イアホンケーブルには信号線路および接地線路が含まれており、当該イアホンケーブルの接地線路をアンテナ同軸ケーブルの接地線路に、高周波チョークコイルを介して接続することにより、アンテナ素子用の接地線路とイアホン部用の接地線路とを共用することが好ましい。
これにより、イアホンケーブルの接地線路が高周波信号の伝送を抑制する高周波チョークを介してアンテナ素子用の接地線路に接続され、アンテナ素子用の接地線路とイアホン部用の接地線路とを共用することができる。このように構成することによって、配線を簡略化することができ、より低コストに構成することができる。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、さらに、上記一体化された音声共通ケーブルおよびアンテナ同軸ケーブルにおける、端末機器に接続される側の端部には、接続端子が設けられていることが好ましい。なお、上記接続端子は、音声共通ケーブルおよびアンテナ同軸ケーブルそれぞれに独立して設けられる構成としてもよいし、一つの多極性コネクタとして、音声共通ケーブルおよびアンテナ同軸ケーブルの何れにも接続されて設けられる構成としてもよい。
これにより、音声共通ケーブルとアンテナ同軸ケーブルとは、接続端子によって接続されるのでさまざまな無線通信端末と組み合わせて使用することができる。上記無線通信端末は、例えば着脱可能な無線通信モジュールによって無線通信を行う装置であっても良い。
音声共通ケーブルおよびアンテナ同軸ケーブルと端末機器との接続端子を独立して設けた場合、接続端子部分での音声信号と受信信号と配線が異なるために波長帯域の分離が不要であり、とくに音声信号に含まれる上記無線通信端末からのベースバンド部のノイズが伝わり難い構成となる。
また、音声共通ケーブルおよびアンテナ同軸ケーブルと端末機器との接続端子を一つの多極性コネクタとして、音声共通ケーブルおよびアンテナ同軸ケーブルの何れにも接続されて設けられる構成とした場合、イアホンアンテナ装置と無線通信端末とを1回の抜き差しで接続、解除することができ、使い勝手が良い。
また、本発明のイアホンアンテナ装置では、上記一対の紐状のアンテナ素子は、イアホンアンテナと一体化されずに、任意の装備対象物に装備可能な外形形状を有する絶縁被覆体内に収容され、上記イアホンケーブルから独立した状態で設けられてもよく、この場合、上記絶縁被覆体が、ストラップ状の外形形状を有していてもよい。
さらに本発明のイアホンアンテナ装置では、上記一対のアンテナ素子は、イアホンアンテナと一体化されずに、任意の装備対象物に装備可能な外形形状を有する絶縁被覆体内に収容され、上記イアホンケーブルから独立した状態で設けられてもよく、この場合、上記絶縁被覆体が、ストラップ状の外形形状を有していてもよい。
これにより、上記絶縁体の形状によってイアホンアンテナ装置を任意の装備対象物に装備したり、半固定して使いやすくしたりすることができる。さらにストラップ状の外形形状であれば、装備対象物や人体の首などに掛けやすい。
本発明のダイポールアンテナ装置は、上記課題を解決するために、無線通信機能を有する端末機器に接続して使用可能なアンテナ装置であって、一対の紐状のアンテナ素子と、当該一対のアンテナ素子に接続されるアンテナ同軸ケーブルと、これら一対のアンテナ素子とアンテナ同軸ケーブルとの間に設けられる不平衡平衡変換器(バラン)とを備えており、さらに、一対の紐状のアンテナ素子は、少なくとも、可撓性を有する線路からなっていることを特徴としている。
上記の発明によれば、可撓性を有する線路からなる一対の紐状のアンテナ素子が、不平衡平衡変換器(バラン)を介してアンテナ同軸ケーブルと接続され、ダイポールアンテナを構成している。
このため、無線通信端末から平衡不平衡変換器までのケーブルがアンテナ同軸ケーブルで構成されているので、ノイズを放射する無線通信端末からアンテナ素子に至る線路をノイズの影響を抑えて接続することができる。
さらに上記平衡不平衡変換器にはバンドパス特性があり、伝送する目的の帯域外の周波数成分は伝送が抑制されるフィルタとして機能するので、受信信号として伝送したい帯域以外の低周波成分、高周波成分のノイズ(雑音)を抑制することができる。
また、一対の紐状のアンテナ素子は、可撓性を有する線路からなっているので、ダイポールアンテナの形状を必要に応じて変形させることができる。
また、本発明のダイポールアンテナ装置では、上記一対の紐状のアンテナ素子は絶縁被覆体内に収容されているとともに、当該絶縁被覆体は、任意の装備対象物に装備可能な外形形状を有していることが好ましく、さらに上記絶縁被覆体が、ストラップ状の外形形状を有していてもよい。
これにより、上記絶縁体の形状によってダイポールアンテナ装置を任意の装備対象物に装備したり、半固定して使いやすくしたりすることができる。さらにストラップ状の外形形状であれば、装備対象物や人体の首などに掛けやすい。
本発明の無線通信端末は、上記課題を解決するために、上記のイアホンアンテナ装置または上記のダイポールアンテナ装置を備えることを特徴としている。
上記の発明によれば、無線通信端末に備えられるアンテナが上記のイアホンアンテナ装置または上記のダイポールアンテナ装置であるので、無線通信端末からのノイズの影響を受けにくく受信特性の優れた無線通信端末を提供することができる。
また、本発明の無線通信端末は、携帯型であってもよい。上記のイアホンアンテナ装置または上記のダイポールアンテナ装置を備えることによって無線通信端末からのノイズの影響を受けにくく受信特性の優れた無線通信端末を携帯することができる。
本発明のイアホンアンテナ装置は、以上のように、各イアホンケーブルとは絶縁された状態で、かつ、当該イアホンケーブルと一体化された状態で設けられる一対の紐状のアンテナ素子と、一方の端部が端末機器に接続され、他方の端部が一対のアンテナ素子に接続され、音声共通ケーブルとは絶縁された状態で、かつ、当該音声共通ケーブルと一体化された状態で設けられるアンテナ同軸ケーブルとを備えている。
また、本発明のイアホンアンテナ装置は、以上のように、上記各イアホンケーブルとは絶縁された状態で、かつ、上記支持部に沿った状態で、上記支持部の中央部から左右のイアホン部に沿って設けられる一対のアンテナ素子と、一方の端部が上記端末機器に接続され、他方の端部が上記一対のアンテナ素子に接続され、上記音声共通ケーブルとは絶縁された状態で、かつ、当該音声共通ケーブルと一体化された状態で設けられるアンテナ同軸ケーブルとを備えている。
それゆえ、音声ケーブルとアンテナを構成する線路とを別に設ける構成であり、さらにアンテナを構成する線路がアンテナ同軸ケーブルで構成されているので、無線通信端末器からの電磁波ノイズの影響を抑えることができる。
即ち、無線通信端末から放射される低周波数〜高周波数のノイズや、音声信号ケーブルに乗って伝播するノイズの影響を受けにくいイアホンアンテナ装置を提供することができるという効果を奏する。
本発明のダイポールアンテナ装置は、以上のように、一対の紐状のアンテナ素子と、当該一対のアンテナ素子に接続されるアンテナ同軸ケーブルと、これら一対のアンテナ素子とアンテナ同軸ケーブルとの間に設けられる不平衡平衡変換器(バラン)とを備えており、さらに、一対の紐状のアンテナ素子は、少なくとも、可撓性を有する線路からなっている。
それゆえ、アンテナを構成する線路がアンテナ同軸ケーブルで構成されているので、無線通信端末器からの電磁波ノイズの影響を抑えることができる。また、一対の紐状のアンテナ素子は、可撓性を有する線路からなっているので、ダイポールアンテナの形状を必要に応じて変形させることができる。
即ち、無線通信端末から放射される低周波数〜高周波数のノイズや、音声信号ケーブルに乗って伝播するノイズの影響を受けにくく、アンテナの形状を必要に応じて変形させることのできるダイポールアンテナ装置を提供することができるという効果を奏する。
本発明の無線通信端末は、以上のように、上記のイアホンアンテナ装置または上記のダイポールアンテナ装置を備えている。
それゆえ、無線通信端末から放射される低周波数〜高周波数のノイズや、音声信号ケーブルに乗って伝播するノイズの影響を受けにくい無線通信端末を提供することができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図2は、本実施の形態におけるイアホンアンテナ装置100と、無線通信端末200の見取り図である。
イアホンアンテナ装置100は、イアホン部111および112と、ケーブル120とからなる。また、無線通信端末200は、たとえば携帯型のTVなどを想定している。
本実施の形態の場合では、一例として携帯型のTVについて記載するが、無線通信端末200はこれには限られない。本発明において用いられる無線通信端末は、無線通信機能を有する端末機器であればよく、TV以外の各種放送を受信する端末機器等を好適に用いることができる。また、無線通信端末200は携帯型に限定されるものではなく、いわゆる据置型の各種端末機器(例えば据置型のTV等)であっても使用可能であることはいうまでもない。
上記無線通信端末200は、ディスプレイ201と、TVチューナー202とを備えている。
また図3に示すように、着脱可能な無線通信モジュール203によって無線通信を行う装置であっても良い。上記無線通信モジュール203は、TVチューナー202などの無線通信機能を内蔵し、ディスプレイ201などの表示装置を備える端末機器200’に着脱可能であるように構成されている。このように構成することによって、例えば無線通信機能を備えていない端末機器200’に上記無線通信モジュール203を装着することで、端末機器200’が無線通信を行うことができる。上記無線通信モジュール203と端末機器200’との接続は、例えばUSB接続のように周知の接続方法によって接続しても良いし、機器専用の接続バス、例えば携帯端末の拡張スロットなどに接続する構成としても良い。
そして、上記イアホンアンテナ装置100は、ケーブル120の先端にアンテナ端子331aとイアホン端子332aとを備えている。無線通信端末200はプラグ端子331bと332bとを備えており、上記イアホンアンテナ装置100のアンテナ(RF)端子331aとイアホン端子332aとが、上記無線通信端末200のプラグ端子331bと332bとに接続される。
本実施の形態では、上記のアンテナ端子331aとイアホン端子332aとはそれぞれ独立に構成されている。
次に、上記イアホンアンテナ装置100の構成について、図1を参照しながら説明する。
左右のイアホン部111,112は、音声信号を伝送する音声ケーブル121,122によってイアホン端子332aに電気的に接続されている。また、上記音声ケーブル121,122に沿って伸びる第1のアンテナ素子113と第2のアンテナ素子114(以下、説明の便宜上、単に「アンテナ素子113」または「アンテナ素子114」と記載する場合がある)とが設けられている。
例えば、これらのアンテナ素子は、直径1mm以上の太さの導体線路であれば、アンテナとして良好な利得及び帯域幅が得られやすい。
上記アンテナ素子113および114の先端部は、上記音声ケーブル121,122に沿って配置され、また上記アンテナ素子113および114の他端は、平衡・不平衡変換器115の平衡側の端子に接続されている。
上記平衡・不平衡変換器115の不平衡側の端子では、信号出力が同軸ケーブル126の信号線路124に、接地出力が同軸ケーブル126の接地線路125にそれぞれ接続されている。
アンテナ素子113および114で受信した受信信号は、平衡・不平衡変換器115によって不平衡モードに変換される。上記受信信号は、平衡・不平衡変換器115からアンテナ端子331aまでは同軸線路として伝送される。
一方、音声ケーブル121,122では、上記平衡・不平衡変換器115の部分で右音声ケーブル121および左音声ケーブル122の接地線路部分が電気的に接続されて共通の接地線路となり、イアホン端子332aに接続される。音声ケーブル123では、右音声信号線路と、左音声信号線路と、共通の接地線路との3本のケーブルで構成されている。
また、アンテナ素子113,114や、音声ケーブル121,122は、絶縁体でそれぞれ被覆されており、さらに上記アンテナ素子113と上記音声ケーブル121、および上記アンテナ素子114と上記音声ケーブル122は絶縁体でそれぞれ被覆されて一体化されている。
さらに、上記平衡・不平衡変換器115を含む同軸ケーブル126と音声信号を伝送する音声ケーブル123とは、それぞれ絶縁体で被覆されたのち、さらに上記絶縁体で被覆される。これらのケーブルは上記のように一体化され、見かけ上、1本のケーブル120として一体構成されている。
ここで、上記アンテナ素子113,114の長さは、アンテナの動作領域によって決められる長さである。
この長さは、例えば、使用する電波帯域の中心周波数等によって適宜決定することができる。
例えば、アンテナの動作領域がUHF帯の電波であり、具体的には470MHz〜600MHz付近のTV放送であれば、アンテナ素子113,114のそれぞれの長さL1、L2は、波長の1/4の長さ程度、即ち約15cm程度となる。このときには、アンテナ素子113,114は音声ケーブル121,122が分岐した先のイアホン部へ向かう途中までに、上記の長さの導体線路で構成されることになる。
また、アンテナの動作帯域がVHF帯の電波であり、具体的には250MHz付近の電波であれば、アンテナ素子113,114のそれぞれの長さL1、L2は、波長の1/4の長さ程度の約30cm程度となる。このときにも、アンテナ素子113,114は音声ケーブル121,122が分岐した先のイアホン部111,112へ向かう途中までに、上記の長さの導体線路で構成されることになる。
また、アンテナの動作帯域がFM放送帯域であれば、アンテナ素子113,114のそれぞれの長さL1、L2は、波長の1/4の長さ程度の約80cm程度となる。このときにも、アンテナ素子113,114は音声ケーブル121,122が分岐した先のイアホン部111,112へ向かう途中までに、上記の長さの導体線路で構成されることになる。
この場合、イアホン部111または112をアルミ金属板等の導体で構成し、イアホン部111または112を含めて、アンテナ素子113,114を構成してもよい。
また図4に示すように、イアホン部に、スパイラル状に形成されたアンテナ素子からなる線路を構成し、アンテナ素子のそれぞれの長さL1、L2を長くしてもよい。図4では、イアホン部112aにスパイラル状に形成されたアンテナ素子114aを設けた構成について示している。この場合、たとえばイアホン部112aに形成されるスパイラル状のアンテナ素子114aを、金属の線路によってパターニングして形成することにより、精度よく、再現性よく形成することができる。
上記の実施の形態では、イアホンアンテナ装置100のアンテナ(RF)接続用のアンテナ端子331aと、音声信号出力用のイアホン端子332aとはそれぞれ独立に構成されている。
次に、図1を用いて本実施例でのイアホンアンテナ装置100の動作について説明する。
上記イアホンアンテナ装置100では、アンテナ素子113およびアンテナ素子114によってダイポールアンテナを構成している。上記アンテナ素子113およびアンテナ素子114によって受信された受信信号は平衡信号であり、上記の平衡・不平衡変換器115によって同軸モード(不平衡信号)のRF信号に変換される。変換されたRF信号は、同軸ケーブル126を伝送し、アンテナ端子331aとプラグ端子331bとが接続されるコネクタ331を経由して、無線通信端末200のTVチューナー202に入力される。
また、上記平衡・不平衡変換器115にはバンドパス特性があり、伝送する目的の帯域外の周波数成分は伝送が抑制されるフィルタとして機能する。
具体的には、上記平衡・不平衡変換器115はLC回路で構成されるブリッジ型やはしご型、またはフェライトコアに巻きつけたコイルでトランスを構成することによって形成されているものが知られている。
LC回路で構成されるブリッジ型やはしご型の上記平衡・不平衡変換器では、一例として450MHz〜700MHz程度の狭い帯域特性を持つバンドパス特性をもつものが知られている。また、フェライトコアに巻きつけたコイルでトランスを構成することによって成る上記平衡・不平衡変換器では、通過特性として100MHz〜1GHz程度のものが知られている。
たとえば、無線通信端末200から発生するノイズの成分としては、デジタル回路からのクロック成分などによるノイズが考えられるが、これらのノイズは数10MHzであるので、上記何れの平衡・不平衡変換器を用いても、上記のノイズは減衰させることできる。
また、これらの数10MHzのノイズを抑えることによって、無線通信端末200と再結合する受信帯域外成分でのノイズを小さくすることができる。つまり、無線通信端末200のデジタル回路から発生するノイズの基本波および非線形作用によるの高調波成分を低減することができる。その結果、アンテナ動作帯域の雑音も抑圧することができるという効果がある。
また、無線通信端末200から発生するノイズでは、コモンモード性のノイズの成分が卓越していることが知られている。このため、上記平衡・不平衡変換器を用いると、不平衡回路(無線通信端末200側のアンテナの回路)から伝送されてくる信号線路と接地線路には同相のノイズの成分が結合しやすいのであるが、平衡回路側(アンテナ給電部)では逆位相分配をおこなっているため、位相のキャンセル効果によって結合したノイズを抑制することができる。
よって、本実施の形態における平衡・不平衡変換器115では、受信信号として伝送したい帯域以外の低周波成分、高周波成分のノイズ(雑音)は抑制することができる。
TVチューナー202では、例えば周知のTV受信機と同じように、ユーザによって選択されたチャンネルによって入力された受信信号を選択し、復調し、ベースバンド信号を生成する。上記ベースバンド信号は、例えばデジタル信号処理によって、TV受像信号や音声信号が取り出され、上記無線通信端末200に設けられたディスプレイ201や、スピーカなどから出力される。
また、上記TV受像信号は上記無線通信端末200から取り出されて、外部の表示装置によって表示されてもよいし、上記音声信号も上記無線通信端末200から取り出されて再生されてもよい。
上記音声信号は、上記無線通信端末200に設けられたプラグ端子332bからコネクタ332を経由して取り出すことができ、音声ケーブル121,122を伝送して左右のイアホン部111,112から出力される。
従来のイアホンアンテナ装置では、音声ケーブルとアンテナを構成する電線が同一の線路であった。このため、無線通信端末機器の音声出力に混入する無線通信端末機器自身のノイズ、例えばデジタル回路によるノイズが上記音声ケーブルに伝播し、アンテナを構成するアンテナ素子に対してノイズをおよぼしていた。
また、従来のイアホンアンテナ装置では、ノイズの影響を抑えるために、コンデンサやチョークコイルによってノイズ成分の信号を分離する機構が設けられているものもあったが、これらの機構だけでは上記ノイズを分離することは不十分であった。即ち、上記従来のイアホンアンテナでは、無線通信端末機器からの電磁波ノイズの影響を大きく受けてしまい、アンテナの受信感度を劣化してしまうという問題点があった。
本実施の形態によるイアホンアンテナ装置100では、接地端子を含めて、受信信号を伝送するアンテナ素子113,114および同軸ケーブル126と、音声信号を伝送する音声ケーブル123とは絶縁体によって分離されており、電気回路として独立の線路を用いて動作をおこなう。
このため、無線通信端末200のプラグ端子332bを通して伝わってくる無線通信端末200による低周波〜高周波のノイズは、アンテナを構成する同軸ケーブル126に結合し難くなる。
また、アンテナを構成する電線は、上記無線通信端末200から上記平衡・不平衡変換器115までのケーブルが同軸ケーブル126で構成されているので、上記のようにノイズを放射する無線通信端末200からアンテナの回路をノイズの影響を抑えて遠ざけることができる。無線通信端末200から放射されるノイズは、その周波数成分(〜3GHz)から近傍界の電磁波であるので、そのノイズの大きさは、無線通信端末200からの距離の2乗と3乗に反比例する成分をもつため、アンテナの回路を無線通信端末200から遠ざけることはノイズを減らすためには有効である。
本実施の形態では、イアホンアンテナ装置100は、アンテナ部が首にかけるあたりに保持され、無線通信端末200は、腹部近くやひざの上で、手などによって保持する構成とすることができる。上記のような構成をとることにより、上記無線通信端末200とアンテナ素子113および114との距離が、同軸線路を介して数10cm以上確保することが可能となる。
このため、上記のように無線通信端末200からアンテナの回路を遠ざけることによって、ノイズの影響を軽減することができる。
加えて、手で保持することや、無線通信端末200と上記アンテナ素子113および114との近くに人体が存在するため、手や人体によって無線通信端末200の発するノイズを吸収することができる。
尚、上記無線通信端末200の音声信号を出力するプラグ端子332bの手前に、例えばTV放送波の周波数帯である100MHz以上の高周波信号をカットするローパスフィルタ手段を設けることが望ましい。上記ローパスフィルタ手段によって、上記無線通信端末200によって発生したノイズが音声ケーブル123に伝わることが抑制され、上記音声ケーブル123からアンテナ素子113、114または同軸ケーブル126に結合するノイズを抑制する効果をより大きくすることができる。
尚、本実施の形態での無線通信端末200では、音声信号の接地線路とアンテナの接地線路が独立に構成されていることが好ましい。
また、上記イアホンアンテナ装置100のアンテナ端子331aとイアホン端子332aとを図5に示すイアホンアンテナ装置100aのように多ピンコネクタ333で一体に構成し、上記無線通信端末200のプラグ端子331bと312bとを上記多ピンコネクタ333と対応する形状の多ピンコネクタ(図示せず)のように構成することもできる。
上記イアホンアンテナ装置100aのように接続端子を多ピンコネクタで一体に構成すれば、アンテナ端子331aとイアホン端子332aとを別々に設ける必要がなく、かつ、ユーザによる上記イアホンアンテナ装置100aと上記無線通信端末200との接続も1回のコネクタの抜き差しでおこなえるため、より利便性の高い構成とすることができる。
また、左右の音声を伝送するケーブル121,122の絶縁体が分岐されて、図6に示すイアホンアンテナ装置100bのように、絶縁部140がループ状に構成されていてもよい。また図7に示すイアホンアンテナ装置100b’のように、絶縁部141を紐状に構成してもよい。
上記のように絶縁部140や絶縁部141を構成することによって、本実施の形態のイアホンアンテナ装置100bまたはイアホンアンテナ装置100b’を首に掛けやすくしたり、半固定して使いやすくしたりすることも可能である。
このような例であっても、本実施の形態のイアホンアンテナ装置100bまたはイアホンアンテナ装置100b’は、アンテナ素子113とアンテナ素子114が独立して構成されている。
尚、上記イアホンアンテナ装置100bまたはイアホンアンテナ装置100b’では、絶縁部140や絶縁部141がループ状、若しくは紐状に構成されているので、アンテナ素子113および114をループ状に形成し、上記絶縁部140の中に構成してもよい。
このように、本実施の形態では、アンテナ素子113およびアンテナ素子114は、それぞれ音声ケーブル121および音声ケーブル122と一体化されてもよいし、音声ケーブル121および音声ケーブル122とは独立した状態で設けられてもよい。この場合、アンテナ素子113およびアンテナ素子114を被覆する絶縁部140や絶縁部141の具体的な形状は特に限定されるものではなく、イアホンアンテナ装置100bおよび100b’等の用途に応じて適切な形状を選択すればよい。
特に、本実施の形態のように、無線通信端末200として携帯型の端末機器を用いる場合には、イアホンアンテナ装置100bを使用者が装着しやすくするために、例えば、首に掛けやすいループ状等のストラップ状の外形形状とすることができる。さらに、首以外の箇所に装備しやすくするように、公知の他の形状を採用することもできるし、使用者が装着するだけでなく、任意の物体に装備可能とするための外形形状を採用することもできる。
このように本発明では、アンテナ素子113およびアンテナ素子114は、任意の装備対象物(使用者であってもよいしそれ以外であってもよい)に装備可能な外形形状を有する絶縁被覆体内に収容され、上記イアホンケーブルから独立した状態で設けられてもよい。
また上記の構成から、平衡・不平衡変換器115を用いずにアンテナ素子113または114の一方を上記同軸ケーブル126の信号線路124に接続し、他方を上記同軸ケーブル126の接地線路125に接続する構成としてもよい。
図8では、イアホンアンテナ装置100から上記平衡・不平衡変換器115を取り除き、第1のアンテナ素子113を上記接地線路125に接続し、第2のアンテナ素子114を上記信号線路124に接続するイアホンアンテナ装置100cについて記載した。
尚、アンテナの構成は図8に示すとおり略対称構造であるため、第1のアンテナ素子113と第2のアンテナ素子114とがそれぞれ上記信号線路124と上記接地線路125とに接続されていてもよい。
さらに図5に示すような多ピンコネクタ333を備えていてもよいし、図6に示すようなループ状、若しくは図7に示すような紐状の絶縁部140または絶縁部141を備えていてもよい。
上記のように構成したイアホンアンテナ装置100cでも、アンテナとしての動作は可能である。また、平衡・不平衡変換器115が不要となるため、より簡易に低コストな構成とすることができる。
言い換えれば、本発明にかかるイアホンアンテナ装置では、第1のアンテナ素子113および第2のアンテナ素子114の少なくとも一方に、同軸ケーブル126の信号線路124および接地線路125の少なくとも何れかを接続することにより、アンテナとしての動作を可能とするようになっておれば、平衡・不平衡変換器115は必須の構成ではない。
したがって、本発明では、図1等に示すように、平衡・不平衡変換器115を備えるイアホンアンテナ装置100の場合では、同軸ケーブル126の信号線路124および接地線路125が、平衡・不平衡変換器115を介して第1のアンテナ素子113および第2のアンテナ素子114に間接的に接続されてもよいし、図8に示すように、同軸ケーブル126の信号線路124が、第1のアンテナ素子113および第2のアンテナ素子114の何れか一方に直接接続され、接地線路125が、他方に直接接続される構成であってもよい。
以上、本実施の形態では、イアホンとアンテナが共用したイアホンアンテナ装置について記載してきたが、図9に示すようにイアホン部111および112と音声を伝送する音声ケーブル121および122を取り除き、首に掛けて使用する紐状のアンテナ装置101として構成しても構わない。
〔実施の形態2〕
本発明の別の一実施形態について、図10〜図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、上記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、上記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態のヘッドホンアンテナ装置400は、イアホンアンテナ装置の左右のイアホンが支持部によって固定される形状をしており、イアホンアンテナ装置の一つの変形例である。即ち、本実施の形態のヘッドホンアンテナ装置400は、左イアホン部411が左イアホン支持部441に接続し、右イアホン部412が右イアホン支持部442に接続するとともに左イアホン支持部441と右イアホン支持部442とがそれぞれ接続することによってヘッドホンアンテナ装置400のヘッドホン部を形成している。イアホン部411,412は耳の穴に挿入する形状であっても良いし、上記イアホン支持部441,442によって使用者の耳の左右から耳を押さえつけて固定する形状であっても良い。
上記左イアホン支持部441と右イアホン支持部442とは、左イアホン部411及び右イアホン部412を耳の位置に固定することができる部材であれば材質は問わないが、例えばプラスチック樹脂や、金属で形成しても良い。また、本実施の形態のヘッドホンアンテナ装置400は、左イアホン支持部441と右イアホン支持部442との接合部またはそれぞれのイアホン支持部441,442と対応するイアホン部411、412との間などに、周知の方法で設けられる支持部の長さ調節部444を備えていても良い。本長さ調節部444によってヘッドホンアンテナ装置400の大きさを調節することができ、使用者の適切な位置に固定することができるようになる。
また、本実施の形態のヘッドホンアンテナ装置400は、実施の形態1と同様に、無線通信端末200に接続して使用される。本実施の形態でも無線通信端末200は携帯型のTVである例について記載するが、実施の形態1と同様に無線通信端末200はこれには限られず、無線通信機能を有する端末機器であればよい。
また、本実施の形態のヘッドホンアンテナ装置400は、ケーブル420の先端にアンテナ端子431aとイアホン端子432aとを備えているが、これらは実施の形態1のアンテナ端子331aとイアホン端子332aとに対応し、無線通信端末200のプラグ端子331bと332bとに接続される。
本実施の形態では、上記のアンテナ端子431aとイアホン端子432aとはそれぞれ独立に構成されているが、図5に示すイアホンアンテナ装置100aのように多ピンコネクタ333で一体に構成し、上記無線通信端末200のプラグ端子331bと312bとを上記多ピンコネクタ333と対応する形状の多ピンコネクタ(図示せず)のように構成してもよい。
また、本実施の形態のヘッドホンアンテナ装置400では、左イアホン部411および右イアホン部412が音声信号を伝送する音声ケーブル421,422によってイアホン端子432aに電気的に接続されている。本実施の形態のヘッドホンアンテナ装置400では、音声ケーブル421,422はケーブル420からそれぞれ分かれて左イアホン部411と右イアホン部412とに接続されているが、図11に示すように左イアホン部411aと右イアホン部412aとの何れかのイアホン部を経由して他方のイアホン部に接続される構成であっても良い。尚、図11では、音声ケーブル421,422が左イアホン部411を経由する構成を示しており、右音声ケーブル422は左イアホン部411、左イアホン支持部441,右イアホン支持部442を経由して右イアホン部412に接続している。
また、第1のアンテナ素子413と第2のアンテナ素子414(以下、説明の便宜上、単に「アンテナ素子413」または「アンテナ素子414」と記載する場合がある)とがそれぞれ左イアホン支持部441と右イアホン支持部442とに設けられている。上記アンテナ素子413及びアンテナ素子414は、導体線路、または導体板によって形成される。例えば、これらのアンテナ素子は、幅3mm〜20mm程度の板上導体や、直径1mm以上の太さの導体線路であれば、アンテナとして良好な利得及び帯域幅が得られやすい。また、左右のイアホン支持部441,442の形状にあわせて形成することができる。また、上記左右のイアホン支持部441,442自体が、それぞれ左右のアンテナ素子413,414を構成していても良い。この場合には、上記左右のイアホン支持部441,442の接合部では、左右のアンテナ素子413,414を電気的に絶縁するように構成されていれば良い。
上記アンテナ素子413の先端部は、左イアホン支持部441に沿って配置され、上記アンテナ素子414の先端部は、右イアホン支持部442に沿って配置される。また上記アンテナ素子413および414の他端は、平衡・不平衡変換器415の平衡側の端子に接続されている。平衡・不平衡変換器415は、図10に記載するように左イアホン支持部441と右イアホン支持部442との接続部の近くに設けられていても良い。また左右のイアホン支持部441,442、左右のイアホン部411,412、長さ調節部444などに設けられていても良い。
上記平衡・不平衡変換器415の不平衡側の端子では、信号出力が同軸ケーブル426の信号線路424に、接地出力が同軸ケーブル426の接地線路425にそれぞれ接続されている。図10では、平衡・不平衡変換器415が左イアホン支持部441と右イアホン支持部442との接続部の近くに設けられているので、同軸ケーブル426は左イアホン支持部441、左イアホン部411を経由して音声ケーブル421,422と集合し、ケーブル420を構成する様子を示しているが、右イアホン支持部442などを経由する構成とするなどの周知の配線の取り回しの変更は適宜行っても良い。
アンテナ素子413および414で受信した受信信号は、平衡・不平衡変換器415によって不平衡モードに変換される。上記受信信号は、平衡・不平衡変換器415からアンテナ端子431aまでは同軸線路として伝送される。
一方、音声ケーブル421,422では、上記平衡・不平衡変換器415の部分で左音声ケーブル421および右音声ケーブル422の接地線路部分が電気的に接続されて共通の接地線路となり、イアホン端子432aに接続される。音声ケーブル423では、右音声信号線路と、左音声信号線路と、共通の接地線路との3本のケーブルで構成されている。
また、アンテナ素子413,414や、音声ケーブル421,422は、絶縁体でそれぞれ被覆されており、さらに上記アンテナ素子413と上記左音声ケーブル421、および上記アンテナ素子414と上記右音声ケーブル422は絶縁体でそれぞれ被覆されて一体化されている。
さらに、上記平衡・不平衡変換器415を含む同軸ケーブル426と音声信号を伝送する音声ケーブル423とは、それぞれ絶縁体で被覆されたのち、さらに上記絶縁体で被覆される。これらのケーブルは上記のように一体化され、見かけ上、1本のケーブル420として一体構成されている。
ここで、上記アンテナ素子413,414の長さは、実施の形態1と同様に、アンテナの動作領域によって決められる長さである。例えば、アンテナの動作領域がUHF帯の電波であれば、アンテナ素子413,414のそれぞれの長さL1、L2は、約15cm程度であるし、アンテナの動作領域がVHF帯の電波であれば、アンテナ素子413,414のそれぞれの長さL1、L2は、約30cm程度であるし、アンテナの動作領域がFM放送帯域であれば、アンテナ素子413,414のそれぞれの長さL1、L2は、約80cm程度である。また、実施の形態1のように、左イアホン部411または右イアホン部412をアルミ金属板等の導体で構成し、左イアホン部411または右イアホン部412を含めて、アンテナ素子413,414を構成してもよいし、図4に示すように、左イアホン部411または右イアホン部412に、スパイラル状に形成されたアンテナ素子からなる線路を構成してもよい。
本実施の形態のヘッドホンアンテナ装置400では、実施の形態1のイアホンアンテナ装置100と同様にアンテナ素子413およびアンテナ素子414によってダイポールアンテナを構成している。上記アンテナ素子413およびアンテナ素子414によって受信された受信信号は平衡信号であり、上記の平衡・不平衡変換器415によって同軸モード(不平衡信号)のRF信号に変換される。変換されたRF信号は、同軸ケーブル426を伝送し、アンテナ端子431aとプラグ端子431bとが接続されるコネクタ331を経由して、無線通信端末200のTVチューナー202に入力される。
即ち、本実施の形態によるヘッドホンアンテナ装置400では、実施の形態1のイアホンアンテナ装置100と同様に、接地端子を含めて、受信信号を伝送するアンテナ素子413,414および同軸ケーブル426と、音声信号を伝送する音声ケーブル423とは絶縁体によって分離されており、電気回路として独立の線路を用いて動作をおこなう。
このため、無線通信端末200のプラグ端子332bを通して伝わってくる無線通信端末200による低周波〜高周波のノイズは、アンテナを構成する同軸ケーブル426に結合し難くなる。
尚、図11に示すヘッドホンアンテナ装置401のように、左イアホン支持部441または右イアホン支持部442に給電回路417を設け、左イアホン支持部441と右イアホン支持部442との接合部付近からアンテナ素子413,414に給電を行い、受信する構成としても良い。図11では、右イアホン支持部442に給電回路417を設けている。このように構成することによって、直径1mm以上の太さの導体線路や、幅3mm〜20mm程度の板上導体などのアンテナ素子のみならず、さまざまなアンテナ素子を用いることができるようになる。つまり、人体による影響をより小さくし、高感度に受信を行うアンテナを構成することができる。
さらに給電回路417は、平衡・不平衡変換器415に、ダイオードによる可変容量機能を付加し受信帯域幅を切り替えるために、電力を供給するようにしても良い。このように構成することによって、帯域幅拡張ができるのみならず、平衡・不平衡変換器415を動作させる電源がボタン電池等の電池で供給されるので、同軸ケーブル426から電力を供給する必要がなくなる。このため、無線通信端末200のプラグ端子332bを通して伝わってくる無線通信端末200による低周波〜高周波のノイズや電源のノイズが、アンテナを構成する平衡・不平衡変換器415、アンテナ素子413,414に結合し難くなる。
さらに、受信電波信号を増幅する受信信号増幅回路418を有していても良い。上記受信信号増幅回路418は、給電回路417から給電される。このように構成することによって、無線通信端末200から離れた位置で受信信号を増幅し、無線通信端末200に受信信号を送信する構成とすることができるので、無線通信端末200で生じる低周波〜高周波のノイズや、電源のノイズの影響を低減することができる、つまり、端末の雑音源から離れた位置で増幅できるため、本体端末200から空間へ放射されている雑音を増幅することなくかつ該同軸ケーブル426の高周波損失を補償することができる。そのため、受信信号の伝送品質(受信感度)と伝送効率が向上するのみなならず、送信用の同軸ケーブル426などを細く構成することができる。同軸ケーブル426などを細く構成すれば、ヘッドホンアンテナ装置400に用いるケーブル420を細く構成することができ、ヘッドホンアンテナ装置400の取り回しや持ち運びの利便性が向上する。
また、図11に示すヘッドホンアンテナ装置401のように、左イアホン支持部441及び右イアホン支持部442と使用者の頭部との間、即ち左イアホン支持部441及び右イアホン支持部442の下方に絶縁素材で形成されるスペーサ443が形成されていても良い。
スペーサ443が左イアホン支持部441及び右イアホン支持部442と使用者の頭部との間に形成されると、使用者の頭部とヘッドホンアンテナ装置401のアンテナ素子413,414とが密着することがなくなる。上記スペーサ443は、使用者の頭部と左右のアンテナ素子413,414とが直接触れないように形成されるのであれば任意の形状に形成することができる。例えばその厚みが1cm以上であってもよい。上記スペーサ443に十分な厚さを持たせることによって、使用者の装着感を高めることができるとともに、上記スペーサ443の中に音声ケーブル421,422、同軸ケーブル426などのケーブル類を通すことができ、配線をまとめることができる。
また、スペーサ443は絶縁素材で形成されるので、アンテナ素子413,414を人体などの電波障害となる構成から遠ざけることができる。そのため、良好な受信特性を得ることができる。例えばスペーサ443は電波を通す誘電体で形成されることが好ましく、例えばビニール、スチロール系の樹脂などで形成されても良い。
例えば、スペーサ443を約2cmの厚さで上記のように構成したところ、アンテナ素子413,414での受信感度が2dB向上した。
尚、ヘッドホンアンテナ装置400を使用者が装着しやすくするために、例えば、図12に示すように、使用者の両方の耳から首後部/後頭部にアーチ状に掛ける構造であってもよい。本実施の形態のように、無線通信端末200として携帯型のTV等の端末機器を用いる場合には、使用者は無線通信端末200のディスプレイ201を見るために、首を前に倒す姿勢となることが多い。このような姿勢をとる場合には、ヘッドホンアンテナ装置400の重さでヘッドホンアンテナ装置400が耳から落ちやすくなるため、耳にとめるフックが形成されていても良い。
このように構成すると、ヘッドホンアンテナ装置400の後方部分460(空間部)には、ヘッドホンアンテナ装置400の周囲に空間を確保することができる。
つまり、左右のイアホン支持部441,442と支持部の長さ調節部444との間に空間を形成する空間部が構成されることになる。
また、このように構成すると、ヘッドホンアンテナ装置400が使用者に触れる部位が少なくすることができるので、アンテナ素子413,414を人体などの電波障害となる構成から遠ざけることができる。そのため、良好な受信特性を得ることができる。
さらに、図12に示す構成では、無線通信端末200とヘッドホンアンテナ装置400との間に使用者が入る構成であるため、無線通信端末200で生じたノイズは使用者の体によって吸収される。従って、ヘッドホンアンテナ装置400は無線通信端末200からのノイズの影響をさらに受け難い構成となる。
尚、使いやすさを優先して、図13に示すように両方の耳から首前部・顎部にアーチ状に掛ける構造としてもよい。
〔実施の形態3〕
本発明の別の一実施形態について、図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、上記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、上記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、実施の形態1に記載した音声ケーブル121および122の接地線路が共通の接地線路を形成したのち、高周波信号の伝送を抑制するインダクタ(高周波チョーク)516を介して同軸ケーブル126の接地線路125に接続する構成である。
上記のように構成したイアホンアンテナ装置500では、接地線路は、音声信号を伝送する回路と受信信号を伝送する回路とで共用する構成となっている。このため、上記のようにインダクタ516を用いて高周波の回路(受信回路)と、低周波の回路(音声信号)とを分離する必要がある。
しかしながら、本実施の形態の構成においては、音声ケーブル121,122および523が高々数十kHzまでの音声信号を伝送し、アンテナを構成するアンテナ素子113,114および同軸ケーブル126を伝送する周波数は100MHz以上の高周波の信号を伝送する。したがって、上記インダクタ516によって比較的容易に、音声ケーブル121,122および523を伝わって伝送し、アンテナを構成する回路にノイズをおよぼす高周波のノイズを除去することが可能である。
また、一般的に無線通信端末200の回路として、音声ケーブルの接地線路とアンテナの接地線路が共用されていることが多い。上記のようにイアホンアンテナ装置500を構成することにより、上記無線通信端末200の接地線路を従来どおり音声ケーブルとアンテナで共用することができるため、上記無線通信端末200の回路基板の配線が著しく容易となる。
尚、本実施の形態の構成でのイアホンアンテナ装置500のプラグ端子は、従来から広く用いられているステレオイアホン用の3極性プラグに、さらに上記3極性プラグを同軸状に包み込む接地端子551を設けた4極端子550のような構成とすることができる。
上記のように構成することにより、音声の左・右の信号線路として用いる552,553の端子と、アンテナ信号の信号経路として用いる554の端子とによって上記の3極の端子を構成し、接地端子551には、音声信号の接地線路とアンテナの接地線路とを共用する接地線路を接続することができる。また上記のように構成することによって、音声信号の接地線路とアンテナの接地線路を共用するイアホンアンテナ装置500と、無線通信端末200とを4極端子550を用いて接続することができる。
尚、4極端子550のピンの極性は上記接続に限られるものではなく、例えば従来のステレオイアホンに用いられている極性によって3極の端子を構成し、アンテナの信号経路を上記接地端子551に接続してもよい。
さらに接続端子としては、図5に記載するような多ピンコネクタ333を用いてもよいし、図1に記載するようにアンテナ端子331aと、イアホン端子332aとを別に構成してもよい。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。