JP2008034926A - Pll回路を備えた半導体集積回路 - Google Patents

Pll回路を備えた半導体集積回路 Download PDF

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  • Stabilization Of Oscillater, Synchronisation, Frequency Synthesizers (AREA)

Abstract

【課題】製造条件によるデバイス特性のバラツキや使用温度、電源電圧などの使用環境によるデバイス特性のバラツキがある場合でも、未然にVCO6の発振停止を防止すると共に、安定的に起動を行うことができるPLL回路を備えた半導体集積回路を提供する。
【解決手段】PLL回路2の過渡応答時間とデバイス及び使用環境に応じたチャージポンプ4の電流値を、事前にメモリ10に保存しておき、マイコン9からの制御信号ICPctlに基き、チャージポンプ4は、PLL回路2起動時から発振安定時までの過渡応答期間中は、電流値をメモリ10の設定情報に従って低減させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、位相同期型回路(PLL、Phased Locked Loop、以下、「PLL回路」という)、特にPLL回路起動時に電圧制御発振回路(VCO、Voltage Controlled Oscillator、以下「VCO」という)の発振を停止させないようにするためのPLL回路を制御する半導体集積回路に関する。
一般に、PLL回路は、自動制御、通信、映像など多分野にわたって幅広く利用され、しばしば低コストおよび低電力動作を提供するために、CMOS技術で実現される。
PLL回路は、基準信号の位相または周波数を追従して所定の位相または周波数を有する発振信号を生成することができる。すなわち、基準信号に同期した発振信号を発生させることができる。
例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)などから出力される映像信号を表示する装置、モニターなどにおいて、水平同期信号からピクセルクロック信号を再生するPLL回路が使用されている。
PCからは、RGBの映像信号と水平同期信号(Hsync)、垂直同期信号(Vsync)が出力されるが、データクロックは出力されないため、モニター側で、RGBのデータをサンプリングするため、PLL回路によりHsync周波数から所定の逓倍したピクセルクロックを生成している。
図2の表は、VGA(Video Graphics Array)、SVGA(Super Video Graphics Array)、XGA(eXtended Graphics Array)などの主なPCのディスプレイフォーマットの一覧表例で、フォーマットの種別(name),有効表示エリアの画素数(Resolution)、垂直周波数(Refresh Rate)、水平周波数(Horizontal Frequency)、ピクセル周波数(Pixel Frequency)を記載している。逓倍率は、以下の式により決定される。
逓倍率(Fdiv)=ピクセルクロック(周波数)/水平周波数(Hsync)・・(1)
例えば、図2の表のフォーマットでの逓倍率は約600〜1,500倍になっている。特にPCにPLL回路が利用された場合、VCO周波数は表を満足するような複数のフォーマットに対応するため、広範囲な発振周波数をカバーする必要があり、VCOの制御として周波数範囲の切替え設定を持つのが普通である。
図11は、一般に使用されているPLL回路の一例を示す回路図である。
図示のように、PLL回路2は、位相周波数比較回路(位相周波数比較器、PFD、Phase−Frequency Detector、以下、「PFD」という)3、電流発生回路(チャージポンプ、CP、Charge Pump)4、制御回路(ループフィルタ、LPF、Loop Filter)5、電圧制御発振回路(VCO、Voltage Controlled Oscillator)6、デバイダ回路(Divider)7で構成され、VCO6からの発振信号はデバイダ回路7に入力され、所定の分周比で分周されてPFD3に供給される。
PFD3は、デバイダ回路7からの分周した信号である位相比較信号Scompと基準信号Srefの周波数および位相を比較し、これらの信号の周波数および位相差を示すアップ信号PFDupおよびダウン信号PFDdwを出力する。CP4は、PFD3からのアップ信号PFDupおよびダウン信号PFDdwに応じて、チャージ電流またはディスチャージ電流を発生し、ループフィルタ5に出力する。ループフィルタ5の代表的なものとしてラグリードファイルタがあるが、チャージ電流を一定電圧(FILT電圧)に平滑して、VCO6はそのFILT電圧に基づき発振周波数を制御する。
PLL回路2を制御するために、システム設計者は、希望の発振周波数、起動特性、PLLループ利得、ジッタ(遅延時間の揺らぎ)特性を得るため、チャージポンプ電流、ループフィルタ構成、ループフィルタ係数、VCO発振周波数範囲の選択、デバイダ7の分周比の設定を行う一方、PLL回路2の動作に影響を及ぼす温度や製造プロセスの変動の問題を処理しなければならない。PLL回路2の構成要素の中で、特に、CP4、VCO6は、温度とLSIの製造(プロセス)に影響されやすく、PLL回路2の動作に影響を及ぼす。その結果、広い発振範囲を確保しなければ製品としては使えない、また、出力信号上のジッタが大きい等の問題があった。
PLL回路2はCMOS技術で製造される場合、消費電力面で優位である反面、製造プロセスにより、CP4やVCO6は、構成素子であるPチャネルトランジスタ及びNチャネルトランジスタ等(以下、「デバイス」という)のしきい値やゲート長、ゲート酸化膜厚さ、gm(Gain Margin)等の特性が変化するため、制御利得等の特性が大幅に変化し、制御電圧に対する発振周波数の変化すなわち制御特性が大きく変化する。
例えば、奇数個のインバータをループ状に接続したリングオシレータなどのVCO6は、一般的に温度と製造プロセスに対して、ゲートの遅延量が変化すると、制御電圧に対する発振周波数変化量(周波数利得)も大きく変動する。また、使用温度及び周囲の供給される電源電圧のバラツキなどの影響もある。
VCO6の制御特性の一例を図12のグラフで示す。
図12は、電源電圧及び周囲温度を一定とした時の3種類の製造条件におけるデバイスの特性a、b、cに対応する制御電圧信号FILT対発振周波数Fvco特性(FILT−Fvco)のバラツキを示している。この図に示すように、aのデバイス特性では、VCO6としての利得が高く制御電圧信号FILTのレベルが低く、Fvco特性が急峻となることを示している。bのデバイス特性では、VCO6の利得が標準的で制御電圧信号FILTのレベルも標準であり、Fvco特性は標準的であることを示している。cのデバイス特性では、VCO6の利得が低く制御電圧信号FILTのレベルが高く、Fvco特性が緩勾配となることを示している。
また、目標とするターゲット周波数Ftはどの製造条件においても同一であるが、制御電圧信号FILTのレベルおよびFvco特性の傾きはa、b、cのデバイス特性により異なることがわかる。ここで、ターゲット周波数Ftとは、PLL回路2がロックする状態にあるときのFvcoである。なお、説明の便宜上、この図の制御電圧信号FILTのレベル差は誇張して示している。
CP4の制御特性の一例を図13のグラフで示す。
図13において横軸のICPctlはチャージ電流の制御レジスタ値、縦軸のICPはチャージ電流を表し、電源電圧及び周囲温度を一定とした時の3種類の製造条件におけるデバイスの特性a、b、cに対応するバラツキを示している。希望のチャージ電流がIgであった場合、特性bでは、ICPctl=Ibが適切であるが、特性cでは、ICPctl=Icが適切であることがわかる。
図5(a)は、4段の差動アンプからなる遅延素子で差動リングオシレータ12を含む、CMOSのVCO回路6である。
差動アンプを遅延素子とした場合の遅延素子1段当たりの遅延時間Tuは、テイルカレントをIo、出力端子の負荷容量をCL、出力端子の振幅をVsとすると、以下の式により示される数値に比例する。
CL×Vs/Io・・(2)
そこで、テイルカレントIoを制御して発振周波数を調節するというのが、基本的な発振周波数制御方法である。差動リングオシレータ12では、小振幅動作と雑音除去という2つのメリットがあるが、発振周波数を制御するための制御電圧に対して、線形性の良い発振特性(制御電圧対発振周波数)を得るためには、テイルカレントIoを線形に変化させる他に、振幅Vsを一定に保つ必要があることが、式(2)よりわかる。
一方、制御電圧FILTが小さい場合、内部のトランジスタの非線形に起因して、遅延素子の出力が予定される値より小さい振幅で発振したり、遅延素子の出力の振幅VsがテイルカレントIoに依存する場合がある。振幅VsがテイルカレントIoに依存することとなった場合は、式(2)からわかるように、テイルカレントIoによって遅延を制御する電圧制御発振器の発振特性の線形性を劣化させることになる。
また、振幅が小さくなる場合には遅延素子1段当たりのゲインが下がるため、発振できなくなるという事態を招く。
また、VCO6の制御電圧FILTが電源電圧に近付くと発振機能が停止したり、VCO6の制御電圧FILTに予想を越えた電圧が与えられた場合、VCO6の発振が高くなり、分周器の周波数検出限界を超えることにより、誤った位相比較信号をPFD3の入力信号として送り不安定になる場合がある。
PLL回路2起動時に、VCO制御電圧のFILT電圧は大きく変動している。PLL回路2起動時や各回路の特性が大きく変動する場合においても、起動の確実性、精度、安定性、低ジッタ、広い同調範囲を確保することが必要になる。
ここで仮に、VCO6が発振停止になった場合、図11に示すPFD3には、基準信号のみが入力され、PFD3からアップ信号PFDupのみが出力されることとなる。このアップ信号PFDupによって、さらにVCO6の発振周波数を上げる方向にCP4およびLPF5が働き、VCO6は停止したままに保たれ、デッドロック状態となる。PLL回路2がデッドロック状態に入ると、外部から何らかの手段でリセットしない限り正常な動作に戻れないことになる。
そこで、デッドロック状態を検出して再起動させることにより、PLL回路2を正常な動作状態に復帰させることを可能とするPLL回路2が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、VCO6の発振周波数を制御する制御信号の電圧が一定以上にならないようにリミッタを設けることで、VCO6の発振周波数が高くなりすぎ、VCO6からの発振出力を分周する分周回路が動作限界を超えないように制限する構成を有しているPLL回路2も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−317663号公報 特開平10−247820号公報
しかしながら、発振停止が起きてからリセットをかけるより、PLL回路2に負担をかけないため、発振停止を未然に防止した方がよい。また、リミッタ回路を追加する場合、回路が複雑で大きくなり、またVCO6の発振周波数範囲が狭くなるという問題点がある。
また、近年、CMOS技術で製造された1チップ上のLSIに、PLL回路などを使ったアナログ回路とロジック回路が搭載されることが多い。現在のLSIでは、大規模に集積され、プロセス配線ルールは90nm〜180nmが主流になっている。LSI製造にはおおよそ30〜40枚前後のマスクが必要である。
ここで、既に一度製造されたLSIの回路修正を行うに際し、メタル層(配線層)の修正の場合は、数枚のメタルマスクの入れ換えで配線変更が可能である。しかし、トランジスタの特性改善の場合は全層修正となり全マスクを作り直す必要がある。マスクは高価なものであり、微細化とともに費用は格段に上昇しており、90nm〜180nmのプロセスでは、一概には言えないが、回路修正のための製造工程の変更に数千万〜1億円近い費用が発生する。
ところが、LSI設計時には、性能向上などにより回路修正が発生するのは避けられない場合もある。回路修正が必要となった場合、ロジック回路では、メタル(配線)修正で対応できる場合もあるが、アナログ回路は、トランジスタの特性等の特性変更を伴う場合が多い。
ここで、例えば、LSI設計終盤時に修正が必要となった場合、ロジック部はメタル修正だけで対応し、費用面や日程面での損失を少なくするために、アナログ部(例えば、PLL回路)について、性能上の問題があるが全層修正をせずに済ませるとすると、アナログ部に性能上の問題が残ることになる。これを解決するために、システム設計上で使用方法や制御シーケンス方法を検討して、アナログ部の性能をカバーする方策を模索することが必要となってくる。
本発明の目的は、上記課題であるアナログ回路の性能に満足できない場合、マスク変更をした後でも性能向上が確保できない場合、デバイス特性のバラツキを抑えられない場合などに対して、システム設計上で性能カバーするための回路および手段であり、製造条件によるデバイス特性のバラツキや使用環境(使用温度、電源電圧)によるデバイス特性のバラツキがある条件下でも、PLL回路の過渡応答時間とデバイス及び使用環境に応じたチャージポンプの電流値を、事前にメモリに保存しておき、PLL起動時から発振安定時までの過渡応答期間中に、チャージポンプの電流値をメモリの設定情報に従って低減させ、未然にVCOの発振停止を防止するためのPLL回路を備えた半導体集積回路を提供するものである。
斯かる実情に鑑み、第1の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、基準信号と位相比較信号の周波数及び位相差を比較し、該比較結果に応じた位相差信号を出力する位相周波数比較回路と、前記位相差信号に応じて、所定のチャージ電流を発生する電流発生回路と、前記電流発生回路からの前記チャージ電流に応じた出力電圧を発生する制御回路と、前記制御回路からの出力電圧に応じた発振周波数の信号を出力する電圧制御発振回路と、該発振信号を分周して前記位相周波数比較回路に供給するデバイダ回路とを備え、基準信号と位相比較信号の位相差が一定となるようにフィードバック制御を行うPLL回路を備えた半導体集積回路であって、
前記基準信号と前記位相比較信号の周波数を算出する周波数カウント回路と、基準信号の種別ごとに、前記PLL回路の起動時から前記基準信号と前記位相比較信号の位相差が一定となるまでの収束時間に前記電流発生回路に設定するチャージ電流の設定値及び該収束時間経過後に前記電流発生回路に設定するチャージ電流の設定値を記憶するメモリ回路と、前記PLL回路を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記周波数カウント回路が出力するカウント値を基に、前記基準信号の種別が判別され、前記メモリ回路から該基準信号の種別のチャージ電流の設定値を読み出して、前記電流発生回路にチャージ電流の設定値の情報を含む制御信号を出力し、前記電流発生回路は、前記制御部からの前記制御信号に基き、PLL回路の起動時から前記収束時間の間、前記収束時間用のチャージ電流値で動作し、前記収束時間経過後は、前記収束時間経過後用のチャージ電流値を設定することを特徴とする。
また、第2の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、前記制御部が、前記メモリ回路から前記収束時間に前記電圧制御発振回路に設定する周波数レンジの情報を読み出し、前記電圧制御発振回路に、前記周波数レンジの情報を含む制御信号を出力することを特徴とする。
また、第3の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、前記制御部が、前記収束時間用のチャージ電流値を、PLL回路が通常動作時に安定する電流値よりデバイス特性に応じて低く設定し、使用環境に応じてメモリ回路に設定している補正値を該電流値から減算して算出することを特徴とする。
また、第4の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、前記制御部が、モニター手段を備え、モニター手段は、前記電流発生回路又は前記電圧制御発振回路の構成素子のデバイス特性の変化、使用環境の変化に対するチャージ電流値、前記収束時間時のデッドロックの比率、PLL回路のロック時のジッタ量をモニターし、モニター結果により前記収束時間用のチャージ電流値を算出することを特徴とする。
また、第5の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、前記制御部が、システムクロック周波数を基準信号周波数で除算した数値を目標カウント値と設定し、前記収束時間を、PLL回路起動時から、該目標カウント値に前記PLL回路の前記位相比較信号のカウント値が所定回数達した時までの時間とすることを特徴とする。
また、第6の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、前記制御部が、前記基準信号と前記位相比較信号とのスキューの目標カウント値を設定し、前記収束時間を、PLL回路起動時から、該目標カウント値に基準信号と位相比較信号のスキューのカウント値が所定回数達した時までの時間とすることを特徴とする。
また、第7の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、前記制御部が、算出した前記収束時間を前記メモリ回路に格納し、前記電流発生回路への制御に使用することを特徴とする。
また、第8の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、前記制御部が、前記目標カウント値に達したか否かの判定を行い、所定回数達したと判定した時に、前記電流発生回路に、収束時間経過後用のチャージ電流値を含む制御信号を出力することを特徴とする。
また、第9の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、離散的な設定により動作する電流発生回路を備え、前記制御部は、前記収束時間用のチャージ電流値から前記収束時間経過後用のチャージ電流値の間の値を含む制御信号を順次、電流発生回路に出力することを特徴とする。
また、第10の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、前記制御部及び前記周波数カウント回路を別回路とし、メモリ回路に設定値を格納した後は、前記別回路を切り離すことを特徴とする。
また、第11の発明によるPLL回路を備えた半導体集積回路は、前記基準信号が水平同期信号であり、前記水平同期信号の一部に周波数の異なる信号が定期的に重畳している間、前記制御部が、前記電流発生回路に、前記収束時間用のチャージ電流値を含む制御信号を出力し、映像信号がブランキング中に、前記電流発生回路に、前記収束時間経過後用のチャージ電流値を含む制御信号を出力することを特徴とする。
本発明によれば、製造条件によるデバイス特性のバラツキや使用環境すなわち使用温度、電源電圧などによるデバイス特性のバラツキがある場合でも、PLL回路の過渡応答時間とデバイス及び使用環境に応じたチャージポンプの電流値を、事前にメモリに保存しておき、PLL起動時から発振安定時までの過渡応答期間中は、チャージポンプの電流値をメモリの設定情報に従って低減させ、未然にVCOの発振停止を防止すると共に、安定的に起動を行うことができる。
また、デバイスごとに計測結果をもとに調整値を変更したり、使用環境に応じて調整値を変化させることで、デバイスの歩留まりを高めることに寄与する。
また、マスク変更を伴わずに、システム設計で対応することで、開発日程やマスク費用を低減できるメリットがある。
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は従来のものと同様である。
[第1の実施形態]
図1は、本発明におけるPLL回路を備えた半導体集積回路1のブロック図である。
本実施例における半導体集積回路1は、パソコンの映像信号を入力信号と想定して説明することとし、入力の基準信号は図2の表に示すいずれかの水平同期信号となる。また、映像信号は、R、G、Bの画像信号と水平同期信号と垂直同期信号から構成されている。
図1のPLL回路2は、従来例の図11のPLL回路2と同様に、基準信号Srefと発振信号を分周した分周信号Scompの周波数と位相の比較を行い、位相誤差に応じてアップ/ダウン誤差信号UP/DNを出力する位相周波数比較器(PFD)3と、アップ/ダウン誤差信号UP/DNに応じてCP電流信号ICPを生成するチャージポンプ(CP)4と、CP電流信号ICPを平滑化して不要高周波成分を除去し制御電圧信号FILTを生成するローパスフィルタ(LPF)5と、ローパスフィルタ5からのFILT電圧に応じて位相差を相殺する方向に周波数を変化させて発振する、可変周波数の電圧制御発振回路(VCO)6、VCO6からの発振信号FOをn(Fdiv)分周して分周信号Scompを出力する分周回路(Divider)7により構成されている。これに加え、本発明は、周波数カウント回路(Fcounter)8、制御部(マイコン、Micom)9及び不揮発性RAM(EEPROM)10を備えている。図1では、EEPROM10としているが、不揮発性を有するメモリであればよく、これに限定されるものではない。
このPLL回路2には、イネーブル端子が設けられており、ON/OFFの制御が可能である。
図1の半導体集積回路1に詳細を記載していないが、マイコン9は、システム全体を制御しており、システムクロックCKsysで動作している。システムクロックCKsysは、VCO6の発振周波数FOより数倍高く、既知の固定周波数のクロックである。
周波数カウント回路8には、システムクロックCKsysが周波数観測用パルスとして入力され、基準信号SrefをシステムクロックCKsysでカウントすることで、基準信号の周波数を検出する。
図3(a)は、チャージポンプ4の構成を示す回路図である。
チャージ電流はPFDからのアップダウン誤差信号PFDup/PFDdnに基づき、それぞれPMOSトランジスタ(P)とNMOSトランジスタ(N)を介してチャージ電流またはデスチャージ電流がICP端子へ流れる。ICPctlは、マイコンから出力されるチャージ電流源を制御する制御信号で、4ビット(bit)で構成され、デコーダー回路(DEC)11で、図3(b)のように16bitにデコードされ、a1〜a16、b1〜b16の定電流源をON/OFFして、図3(c)のように250μAから730μAステップで16通りのチャージ電流値を設定できる。
図4は、LPF5の構成を示すブロック図である。ラグリード型のローパスフィルタで構成されている。
図5(a)は、VCO6の構成を示す回路図である。
線Cの右側部分の差動増幅器4段のリングオシレータ12と、線Cの左側部分の発振制御回路で構成されている。差動増幅器は、左側の点線四角枠13のブロックと同等の構成になっている。発振制御回路の内部制御電圧Vcは、電圧制御抵抗Rc14の制御端子に入力され、Vcの電位が高いとRc14に流れる電流が増加され、即ちRc14の抵抗値が小さくなることで、参照電圧VrefとVcが同電圧になるようにオペアンプで制御される。差動増幅器は、左側の点線四角枠のブロック13と同等の構成になっており、内部制御電圧Vcは、差動増幅器のVc端子に接続されている。リングオシレータ12では、テイルカレントの部分が図5(b)のように、パラレルに6段のPMOSトランジスタで構成され、発振周波数帯域設定VCOselにより、PMOSトランジスタの段数を設定して、図5(c)のように、6帯域の発振周波数範囲を得ることで、広帯域な発振周波数帯をカバーしている。
本発明は、製造上のデバイス特性のバラツキや使用温度、電源電圧などによる特性のバラツキがある条件下でも、未然にVCO4の発振停止を防止するために、図1に示すように、周波数カウント回路8が入力信号をカウントして出力する信号に基き、マイコン9が信号のフォーマットを判定する。マイコン9は、該フォーマット種別に従い、メモリ(EEPROM)10より、PLL回路2の起動から発振安定までの過渡応答期間の時間情報Tss、過渡応答期間中のCP4の電流値ICPss及び該期間終了後のCP4の電流値ICPnの情報を読み出して、Tss及びICPssを含む制御信号ICPctlとしてCP4に出力し、VOC6にも、メモリ10から対応するVCO周波数レンジの情報を読み出して制御信号VCOctlとして出力して、該過渡応答期間中にCP4及びVCO6を制御する。
CP4は、ICPctlの情報に従い、PLL回路2の起動から所定時間Tssの間、ICPssにて動作を行う。Tssが経過すると、マイコン9は、ICPnを含むICPctlをCP4に出力し、CP4は、電流値をICPssから、ICPnに変更する。
上記に述べたように、メモリ10から設定情報を読み出すには、入力信号から、図2のどのフォーマットに該当するか判定を行う必要がある。以下に、フォーマットの判定について説明を行う。
[信号のフォーマット判定]
図6は、PCの映像信号が入力された場合、映像信号が図2の表のどのフォーマットに該当するかを判定するフローチャートを示す。
PLL回路2がOFFの状態の時、S1において、周波数カウント回路8は、定期的に水平同期信号が入力されたか否かの検出を行う。水平同期信号が入力されると、S2で、周波数カウント回路8は、水平同期信号と垂直同期信号のカウントを開始する。
S3で、マイコン9は、周波数カウント回路8から出力されるカウント値を基に、図2のような情報が設定されているメモリ10のテーブルを参照して、入力フォーマットの判定を行う。例えば、入力がXGAでリフレッシュレート60Hzの場合、システムクロックCKsysが150MHzとして、基準信号は3,099カウント(CKsys比)、水平同期信号は650,173カウント(基準信号比)、垂直同期信号は806カウント(基準信号比)と検出されるので、これらのカウント値から入力信号を判別できる。
次に、S4において、マイコン9は、メモリ10から該当するフォーマットのFdiv=1343(65MHz/48.4kHz)と、VCO周波数レンジ(VCOctl=0x1)及びCP4の通常動作時用の設定値である電流値ICPn及び起動時のCP4の電流値ICPssの所定の設定値をリードすることができる。
ところで、PLL回路2の起動に先立って、起動パラメータを算出してメモリ10に設定する必要がある。メモリ10に格納する起動パラメータの算出と設定について、以下に説明を行う。
[ICPssの算出]
まず、起動時のCP4の電流ICPssの算出について説明する。
ICPssは、CP4の通常動作時用の設定値である電流値ICPnより低減した値になる傾向がある。図7は、チャージ電流(ICP)vs起動時のデッドロックの比率(DLrate)(グラフa、b、c)及び、チャージ電流(ICP)vsPLLロック時のジッタ量(グラフj)を、分かりやすいように模式的に示したものである。
ICPnは、PLL回路2が起動後に安定するまでの時間Tss経過後に、CP4に設定を行うための電流値であるが、PLL回路2を安定的に動作させることのできる値とする必要がある。ICPnを図のjのグラフより求めるが、ICPが大きいとジッタが小さくなり、ICPが増加するとデットロックの可能性が高くなり、基準入力にのるスキューに対して過剰な反応を示すので、図7では、ICPn=Inを選択している。
マイコン9は、モニター手段を備え、図7のa、b、cは、製造バラツキ(プロセスのターゲット[Vth(しきい値)、gm(ゲイン・マージン)]を適用したとき)に対して、チャージ電流と起動時にデットロックが発生するデバイスの数量(比率)をモニターしたものを示したものである。デバイスがグラフcの場合、チャージ電流(ICP=In)で起動時にデットロックを起こすデバイスは低く、反対にグラフaの場合多い。いずれにしても品質上、不良率をppmオーダー(百万分の1)とすることが適切であるので、起動時にはICPを下げる方向に設定することになる。
例えば、マイコン9は、ICPs=In−2に設定するとデットロックの発生率はほぼゼロになるが、マージンをとりICPs=In−3を選択するものとする。マイコン9へのこの設定条件については、任意に設定できるものとする。更に、マイコン9は、使用温度又は電源電圧などの使用環境の条件を適用して図7と同様にモニターし、使用環境に対するチャージ電流の補正値ICPdifを、デバイスの製造バラツキを考慮して設定したICPsと同様な方法で求める。例えば、ICPdifがチャージ電流の1ステップ分(即ち30uA)となったとすると、起動時のチャージ電流ICPssは、ICPs−ICPdif=I(n−4)になる。今仮にn=13とすると、ICPss=I9となり、図3(c)よりICPctl=0x9となり、ICPss=520uAに設定されることとなる。
上記のように、マイコン9は、ICPn、ICPs、ICPdif、ICPssを求めた後、メモリ10にこれらの値を格納する。
[VCOの起動から発振安定までの時間、Tssの算出]
以下は、Fdiv、ICPn、ICPs、ICPdifが既に決定されたとして説明する。
図8のフローチャートは、PLL回路2を起動させる時、VCO6が安定発振するまでの時間Tssの算出方法である。
まず、現時点ではTssが未定なので、ICPnは所定の値ではなく起動時のチャージ電流ICPssを用いることにする。S5において、マイコン9は、ICPsとICPdifからICPssを求めて、設定する。次に、周波数カウント回路8において位相比較信号をモニターし、PLL回路2起動から目標カウント値Fgまでの時間を求める。
まず、S6でマイコン9は、位相比較信号の周波数の目標カウント値Fgの範囲を設定する。
Fgのセンター値をFgcとすると、Fgcは、以下の式によって求められる。
Fgc=CKsysf/Sreff・・(3)
(CKsysfはシステムクロックの周波数、Sreffは、基準信号の周波数を表す。)
例えば、CKsysfを150MHz、Sreffを48.4KHzとすると、Fgc=150MHz/48.4kHz=3099.2となる。
Fgの範囲をFdiv±1まで認めるとすると、Fdiv=1,343から、Fgの目標範囲は、以下の式によって求められる。
Fgc×((Fdiv±1)/Fdiv)・・(4)
本例では、Fgの目標範囲は、3,097<Fg<3,102となる。マイコン9において、この数値が目標カウント値Fgとして設定される。
S7で、PLL回路2が起動され、S8で、位相比較信号が、上記範囲を、例えば、3回連続カウントしたときに、目標の周波数に達したと判定して、S9で、起動からその時点までの期間をTssとして算出し、この値をメモリ10に格納する。
本例では、3回連続としたが、この設定は目標周波数への収束状態に合わせてデバイスごとに任意に設定することができる。
マイコン9は、S8の判定で、Fg=0又は一定時間内に、Fgが3回連続目標値に達することがなかった場合は、S10で、PLL回路2を停止し、S11においてICPs設定の処理を再度行う。
ICPをICPssからICPnにアップさせるタイミングは、毎回PLL回路2を起動して、マイコン9で算出したTssを用いるか、あるいは一度測定してメモリ10へ格納されたTssを用いるか、いずれでもかまわない。また、複数のデバイスのTss値から、全デバイスに適合するために、最大値に近い値を用いても良い。
本発明によれば、製造上のデバイス特性のバラツキや使用環境(使用温度、電源電圧)のバラツキがある場合でも、PLL回路2の過渡応答時間とデバイス及び使用環境に応じたCP4の電流値を、事前にメモリに保存しておき、PLL回路2起動時から発振安定時までの過渡応答期間中は、CP4の電流値をメモリの設定情報に従って低減させ、未然にVCO6の発振停止を防止すると共に、安定的に起動を行うことができる。
また、デバイスごとに計測結果をもとに調整値を変更したり、使用環境に応じてダイナミックに調整値を変化させることで、デバイスの歩留まりを高めることに寄与する。
また、マスク変更を伴わずに、システム設計で対応することで、開発日程やマスク費用を低減できるメリットがある。
次に、起動パラメータがメモリに設定されたとして、Tssの設定に関する別の実施形態におけるPLL回路2制御の処理の流れについて説明する。
[第2の実施形態]
本実施形態では、マイコン9のタイマー回路にてTssを設定する場合を示す。図9は、本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
マイコン9は、タイマーサイクルごとにしか値を設定できないため、Tssはタイマーサイクルで切り上げた値Tsseをメモリ10に保存している。PLL回路2の起動前に、まず、S12において、図6の処理(S1〜S4)を呼び出して、フォーマットの判定を行い、S13にて、フォーマットごとのFdiv、VCOctl、ICPn、ICPss、Tsseをメモリ10から読み出し、マイコン9に設定を行う。
次にS14で、これらの値を基にPLL回路2を起動すると共に、マイコン9のタイマーをスタートさせる。S15で、マイコン9は、収束時間Tsseに相当するタイマーサイクルに到達したと判定すると、S16で、タイマー割込みを発生させて、CP4に対して制御信号ICPctlを出力して、ICPを起動時設定用のチャージ電流値ICPssから通常動作時設定用のチャージ電流値ICPnへアップさせる。
通常、マイコン9のタイマー割込みは、他の割込みが発生すると遅延が生じるが、設計したPLL回路で測定を行ってみると、最大で400msの遅れが生じる場合があった。映像が出力されるまでにかかる時間は、400ms(割込み遅れ)+300ms(その他)=700msとなり、約700ms後となる。市販のPCモニターでは、映像信号が出力されるまでに、約0.5s〜1.5sの時間がかかっている。一般に、その他の時間を最大500msと見積ると、最大割込み遅れを1sec以内にしてICPをICPssからICPnに上げるように推奨する。なお、映像の出力中にICPの値を上げても映像が乱れない場合は、それ以上に時間をかけても構わない。
S17で、所定の時間を設定し、カウンタなどで計時を行い、一定時間内にPLL回2がロックされたかどうかの判定を行う。PLL回路2がロックされた場合は、処理を終了する。PLL回路2がロックされていなかった場合は、S18にてPLL回路2の電源をOFFにする。
再度ICPssの値で、PLL回路2を動作させるのであるが、これに予め制限回数を設定する。例えば、制限回数をM回として、マイコンに設定し、S19で、この制限回数に達しているかどうか判定を行う。制限回数に達していれば、本処理を終了する。達していなければ、マイコン9は、S20で、処理実行のカウントを1増やし、S14のPLL回路2を起動させる処理から再度実行する。なお、処理実行のカウントは、S13で初期化(m=0)している必要がある。
[第3の実施形態]
次に、本実施形態は、ICPの電流値をICPssで動作させる時間Tssを、基準信号と位相比較信号のスキュー(クロック到達時刻の差)から求める方法である。図10は、本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
まず、第2の実施形態と同様、PLL回路2の起動前に、まず、S21において、図6の処理(S1〜S4)を呼び出して、フォーマットの判定を行い、S22にて、メモリ10よりフォーマットごとのFdiv、VCOctl、ICPn、ICPssをメモリ10から読み出し、マイコン9に設定を行う。ICPをICPssに設定し、本処理の制限回数Mに達したか否かの判定を行うためのカウンタを0に初期化(m=0)する。
S23で、基準信号と位相比較信号のスキューの目標値Tskの設定を行う。
スキューを求める方法として、基準信号の立ち上がりから位相比較信号の立ち上がりを求めることが考えられる。しかし、PLL回路2ロック時には同じタイミングに収束してくるため、位相比較信号にジッタがあると、基準信号の前後に位相比較信号がふらつき、すなわち(基準信号−位相比較信号)が(基準信号−次の位相比較信号)となってしまう場合があるので、位相比較信号を直接使用するのではなく、該信号から少しずらしたタイミング、例えば、VCO6のmカウント目からスキューを求める。mの値の設定は、回路の性能、環境などに合わせて任意に行われる。
ここで、位相比較信号は、VCO発振信号でカウントして、Fdiv値で次の位相比較信号を設定し動作している。基準信号の立ち上がり時間をTref、VCOのmカウント目の時間をTmとすると、n番目の基準信号に対してのスキュー値Tskは、以下の式で求められる。
Tsk(n)=Tref(n)−Tm(n)・・(5)
更に、目標のスキュー値Tskの範囲は、次の式のようになる。
Tsk(n)−Tsk(n−1)<1/(Sreff×Fdiv)・・(6)
例えば、フォーマットをXGA、リフレッシュレートを60Hz、CKsysを150MHzとした場合、以下の通りとなる。
Cksysf(Tsk(n)−Tsk(n−1))<2.3(単位:カウント)
マイコン9に、上記の値の設定を行う。
次にS24において、PLL回路2の起動を行う。
S25で、例えば、スキュー値Tskは目標のスキュー値の範囲3カウント以下が3回連続し、この3回の合計が7カウント以下になった時、PLL回路が安定したと判断して、S26において、ICPssからICPnにチャージ電流値を上げる。S27にてPLL回路2がロックされ、処理が終了する。
S25で、マイコン9に設定した所定時間内にスキュー値Tskが3カウント以下が3回連続しなかった場合、S28で、PLL回路2の電源をOFFとし、S29でPLL回路2の起動が制限回数のM回を超えたか否かの判定を行う。超えた場合は、処理を終了し、超えていない場合は、S30で起動回数のカウンタを1増やして、S24のPLL回路2起動処理から再度実行する。
なお、S23のスキューの目標値設定の代わりに、マイコン9は、図8において説明した位相比較信号の周波数のカウント目標値Fgを設定(S6)してS25で目標値に3回連続達したか否かの判定を行い、該当した場合は、ICPssをICPnに上げるとしても構わない。
[第4の実施形態]
次に第4の実施形態について説明を行う。
PCから出力される映像信号で、基準信号である水平同期信号の一部に、垂直同期信号が重畳しているものがある。該期間中は、水平同期の真中に切り込みパルスがあるため、基準信号の周波数が2倍となる。このため、PLL回路2がこの信号で誤動作しないように、該期間中は位相比較を行わないようにする。この動作をCOAST動作と呼ぶことがある。
PLL回路2は、該期間中は周波数を保持しながら発振するが、LPF5で保持電圧がリークのためわずかであるが、電圧低下をしていく。このため、該期間の最終点では、本来のVCO発振周波数から下がっており、この状態から位相比較を開始すると、PLL回路2の発振が不安定になる恐れがある。
このため、位相比較を開始する前にICPをICPssに下げて、位相比較の開始時には、PLL回路2の追随特性を低下させる。映像信号には、同期信号やカラー・バースト信号が含まれるブランキング期間があるが、映像信号のブランキング期間中にICPを再びICPnに上げることで、安定して位相比較の復帰が可能となる。
本発明の説明では、ICPss、Tssは、全デバイスで共通として説明しているが、本発明では実施例に限定するのではなく、本例のように全デバイスで共通になるようにしても良いし、デバイスのバラツキによって個別に調整しても良い。また、更に使用環境により、製品ベースでダイナミックに変化させても良い。
また、PLL回路2は本来ジッタを含むものであり、実施例では、わかりやすいようにジッタがないことを前提として説明しているが、実際にはジッタを加味した周波数カウント範囲の計算、スキュー範囲の計算を行うのが望ましい。
例えば、(4)式にジッタ時間Tjを加味すると、以下のようになる。
Fgc×((Fdiv±1)/Fdiv)+(Tj×CKsysf)・・(4)´
(6)式にジッタ時間Tjを加味すると、次のようになる。
Tsk(n)−Tsk(n−1)<1/(Sreff×Fdiv)+Tj・・(6)´
また、チャージ電流の設定値が離散的な設定しかできないように設計されているPLL回路において、ICPssからICPnに電流値をアップさせるとき、ICPssからICPnの間の値を順次設定するよう制御してもよい。
また、周波数カウント回路8とマイコン9を別回路ブロックで配置し、設定値をメモリ10に格納した後は、別回路ブロックをPLL回路2から切り離してもよい。この場合、PLL回路2に、入力信号のカウントを行う回路を備えるほうがよい。
別回路ブロックを製品製造時のみに利用し、設定後は切り離すことによって、製品となる回路をコンパクトにすることができる。
尚、本発明のPLL回路を備えた半導体集積回路は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明におけるPLL回路を備えた半導体集積回路のブロック図である。 PCフォーマットタイミングを示す一覧表である。 (a)はチャージポンプ回路図、(b)は、チャージポンプのデコーダーの真理表、(c)は、チャージポンプのチャージ電流のレジスタ表である。 LPFの構成回路である。 (a)は、VCOの回路図、(b)は、VCOの回路図(周波数切替え)、(c)は、VCOの周波数選択レジスタ表である。 フォーマット判定のフローチャートである。 チャージ電流対デッドロックとジッタの関係を示すグラフである。 PLL起動から収束時間Tssの計測のフローチャートである。 第2の実施形態におけるフローチャートである。 第3の実施形態におけるフローチャートである。 従来のPLL回路のブロック図である。 VCOの制御電圧対発振周波数を示すグラフである。 チャージポンプの制御レジスタ対ICP電流を示すグラフである。
符号の説明
1 半導体集積回路
2 PLL回路
3 位相周波数比較器
4 チャージポンプ
5 制御回路
6 電圧制御発振回路
7 デバイダ回路
8 周波数カウント回路
9 マイコン
10 メモリ
11 デコーダー回路
12 リングオシレータ
13 回路ブロック
14 電圧制御抵抗

Claims (11)

  1. 基準信号と位相比較信号の周波数及び位相差を比較し、該比較結果に応じた位相差信号を出力する位相周波数比較回路と、前記位相差信号に応じて、所定のチャージ電流を発生する電流発生回路と、前記電流発生回路からの前記チャージ電流に応じた出力電圧を発生する制御回路と、前記制御回路からの出力電圧に応じた発振周波数の信号を出力する電圧制御発振回路と、該発振信号を分周して前記位相周波数比較回路に供給するデバイダ回路とを備え、基準信号と位相比較信号の位相差が一定となるようにフィードバック制御を行うPLL回路を備えた半導体集積回路において、
    前記基準信号と前記位相比較信号の周波数を算出する周波数カウント回路と、
    基準信号の種別ごとに、前記PLL回路の起動時から前記基準信号と前記位相比較信号の位相差が一定となるまでの収束時間に前記電流発生回路に設定するチャージ電流の設定値及び該収束時間経過後に前記電流発生回路に設定するチャージ電流の設定値を記憶するメモリ回路と、
    前記PLL回路を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記周波数カウント回路が出力するカウント値を基に、前記基準信号の種別が判別され、前記メモリ回路から該基準信号の種別のチャージ電流の設定値を読み出して、前記電流発生回路にチャージ電流の設定値の情報を含む制御信号を出力し、
    前記電流発生回路は、前記制御部からの前記制御信号に基き、PLL回路の起動時から前記収束時間の間、前記収束時間用のチャージ電流値で動作し、前記収束時間経過後は、前記収束時間経過後用のチャージ電流値を設定することを特徴とするPLL回路を備えた半導体集積回路。
  2. 前記制御部は、前記メモリ回路から前記収束時間に前記電圧制御発振回路に設定する周波数レンジの情報を読み出し、前記電圧制御発振回路に、前記周波数レンジの情報を含む制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
  3. 前記制御部は、前記収束時間用のチャージ電流値を、PLL回路が通常動作時に安定する電流値よりデバイス特性に応じて低く設定し、使用環境に応じてメモリ回路に設定している補正値を該電流値から減算して算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
  4. 前記制御部は、モニター手段を備え、モニター手段は、前記電流発生回路又は前記電圧制御発振回路の構成素子のデバイス特性の変化、使用環境の変化に対するチャージ電流値、前記収束時間時のデッドロックの比率、PLL回路のロック時のジッタ量をモニターし、モニター結果により前記収束時間用のチャージ電流値を算出することを特徴とする請求項3に記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
  5. 前記制御部は、システムクロック周波数を基準信号周波数で除算した数値を目標カウント値と設定し、前記収束時間を、PLL回路起動時から、該目標カウント値に前記PLL回路の前記位相比較信号のカウント値が所定回数達した時までの時間とすることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
  6. 前記制御部は、前記基準信号と前記位相比較信号とのスキューの目標カウント値を設定し、前記収束時間を、PLL回路起動時から、該目標カウント値に基準信号と位相比較信号のスキューのカウント値が所定回数達した時までの時間とすることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
  7. 前記制御部は、算出した前記収束時間を前記メモリ回路に格納し、前記電流発生回路への制御に使用することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
  8. 前記制御部は、前記目標カウント値に達したか否かの判定を行い、所定回数達したと判定した時に、前記電流発生回路に、収束時間経過後用のチャージ電流値を含む制御信号を出力することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
  9. 離散的な設定により動作する電流発生回路を備え、前記制御部は、前記収束時間用のチャージ電流値から前記収束時間経過後用のチャージ電流値の間の値を含む制御信号を順次、電流発生回路に出力することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1つに記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
  10. 前記制御部及び前記周波数カウント回路を別回路とし、メモリ回路に設定値を格納した後は、前記別回路を切り離すことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1つに記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
  11. 前記基準信号は水平同期信号であり、前記水平同期信号の一部に周波数の異なる信号が定期的に重畳している間、前記制御部は、前記電流発生回路に、前記収束時間用のチャージ電流値を含む制御信号を出力し、映像信号がブランキング中に、前記電流発生回路に、前記収束時間経過後用のチャージ電流値を含む制御信号を出力することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1つに記載のPLL回路を備えた半導体集積回路。
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