JP2008034428A - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】IPAなどの有機溶剤の蒸気を用いて液体で濡れた基板表面を乾燥させる基板処理装置および基板処理方法において、基板表面に形成されたパターンの倒壊が発生するのを防止しながら、低コストで基板表面を良好に乾燥させる。
【解決手段】リンス処理後に略水平姿勢で支持された基板の表面に混合液(IPA+DIW)を供給する。これにより、基板表面に付着しているリンス液が混合液に置換される。その後、IPA蒸気を含む有機溶剤ガスを基板表面に向けて吐出して基板表面を乾燥させる。混合液の表面張力はリンス液(DIW)よりも低く、かつIPAよりも高いので基板表面上で急激なマランゴニ対流が引き起こされるのを防止できる。また、リンス液を置換するだけの混合液を基板表面に供給すればよいことから、混合液の生成に必要なIPAの消費量を抑制できる。
【選択図】図5

Description

この発明は、液体で濡れた基板表面を乾燥させる基板処理装置および基板処理方法に関するものである。なお、乾燥処理対象となる基板には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等が含まれる。
薬液による薬液処理および純水などのリンス液によるリンス処理が行われた後、基板表面に付着するリンス液を除去すべく、数多くの乾燥方法が従来より提案されている。そのうちのひとつとして、IPA(イソプロピルアルコール)などの有機溶剤を用いた乾燥方法が知られている。例えば、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置では、純水とIPAとの間の表面張力差によって生まれる対流(マランゴニ対流)を利用した乾燥処理とスピン乾燥処理とを組み合わせた、いわゆるロタゴニー乾燥が知られている。
このロタゴニー乾燥では、回転している基板の中心の上方からIPA蒸気と純水とをそれぞれノズルから基板に吹き付ける。そして、これらのノズルを徐々に基板の径方向外側に移動させていくことで、IPA蒸気が吹き付けられている部分から乾燥がはじまり、基板の中心から周縁に乾燥領域が広がり基板全面を乾燥させている。つまり、基板の回転に伴う遠心力の作用とIPA蒸気の吹き付けによって引き起こされるマランゴニ対流の作用とにより基板上から純水を除去し、これによって基板を乾燥させている。
また、IPAを用いた他の乾燥方法としては、例えば特許文献1に記載された乾燥方法が知られている。この乾燥方法を実行する基板処理装置は、複数枚の基板を一括して処理するバッチ式の基板処理装置であり、IPAと純水の混合液を貯留したオーバーフロー槽(IPA・純水混合液槽)と、IPA蒸気を用いて基板を乾燥させるIPA蒸気乾燥槽を備えている。この装置では、薬液処理と純水によるリンス処理が施された基板をオーバーフロー槽に浸漬させている。その後、オーバーフロー槽からIPA蒸気乾燥槽に基板を搬送して、IPA蒸気乾燥槽において基板の乾燥を行っている。
また、特許文献2に記載された基板処理装置では、IPA液体を用いてリンス処理後の基板を乾燥させている。この装置では、界面活性剤を含む洗浄溶液を基板表面に供給してリンス処理を施した後に、IPA液体を基板表面に供給して該基板表面を乾燥させている。
特開平7−22364号公報(図1) 特開2001−185523号公報(図4)
ところで、基板表面に形成されるパターンの微細化が近年急速に進められているが、この微細化に伴って基板処理において新たな問題が生じることとなった。すなわち、乾燥処理を行っている間に微細パターン同士が引き寄せられて倒壊する問題があった。具体的には、乾燥処理の進展に伴って液体と気体との界面が基板上に現れるが、微細パターン同士がパターンの間隙に発生する負圧によって引き寄せられて倒壊する問題があった。このパターンの間隙に発生する負圧の大きさは液体の表面張力に依存し、液体の表面張力が大きいほど大きくなる。そのため、パターン倒壊を有効に防止しながら純水で濡れた基板表面を乾燥させる場合には、純水よりも表面張力の小さな流体、例えばIPAなどの有機溶剤を用いるとともに、IPAをパターン間隙の内部にまで送り込む必要がある。
しかしながら、ロタゴニー乾燥では、基板表面に付着している純水にIPA蒸気を吹き付けて基板の乾燥を行っているため次のような問題があった。すなわち、ノズルから基板表面に向けてIPA蒸気が吐出されると、IPA蒸気が直接に供給される基板表面領域(以下「直接供給領域」という)と、そうでない基板表面領域(以下「非直接供給領域」という)が生じてしまう。ここで、IPAと純水の間の表面張力差が大きいことから、直接供給領域に付着する液体の表面張力は非直接供給領域に付着する液体の表面張力に比較して大きく低下する。これにより、直接供給領域に付着する液体と非直接供給領域に付着する液体との間に比較的大きな表面張力差が発生する。その結果、このような表面張力差によって基板表面に付着する液体に急激なマランゴニ対流が引き起こされる。このため、基板表面に形成されたパターン間隙の内部に付着する純水にIPAが十分に溶解しないうちに基板表面が乾燥される結果となり、パターン倒壊を十分に防止することができなかった。
また、特許文献1に記載された基板処理装置では、純水で濡れた基板をIPA蒸気により乾燥させる前に、オーバーフロー槽(IPA・純水混合液槽)に基板を浸漬させている。そのため、基板表面にIPAと純水の混合液(低表面張力溶剤)を供給して基板表面に付着した水分の表面張力を低下させることが可能となっている。しかしながら、この装置では、混合液中に基板全体を浸漬させて、基板表面に混合液を供給している。そのため、基板を収容するオーバーフロー槽全体を混合液で満たす必要があり、IPAの消費量が増大してしまう。一方で、槽上部からオーバーフローした混合液を槽内に戻すように循環使用させることで、IPAの消費量を抑制することも考えられる。しかしながら、IPAは同一温度での飽和蒸気圧が純水よりも高いことから、オーバーフロー槽に貯留した混合液の液面からIPAが次々と蒸発してしまう。その結果、オーバーフロー槽に貯留した混合液のIPA濃度が低下し、混合液の表面張力が上昇してしまう。このため、基板表面に付着した水分の表面張力を低下させることが困難となる。したがって、混合液のIPA濃度の低下を抑制するために、常にIPAを槽内に補充する必要があり、結果的にIPAの消費量が増大してしまう。これにより、多量のIPAが必要となり、このことがコスト増大の主要因のひとつとなっていた。
また、特許文献2に記載された基板処理装置では、IPA液体を用いて基板を乾燥させているので次のような問題があった。すなわち、基板に供給される供給流体中に含まれるパーティクル等の異物を除去するために、フィルタ等を用いて供給流体に対するフィルタリングを実行することが必要となっている。しかしながら、100%のIPA液体では表面張力が低く、IPA液体中のパーティクル等の異物除去が困難となる問題がある。このため、基板乾燥時にIPA液体を基板に供給する際にフィルタによって除去されなかった異物が基板表面に付着して基板表面が汚染されるおそれがあった。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、IPAなどの有機溶剤の蒸気を用いて液体で濡れた基板表面を乾燥させる基板処理装置および基板処理方法において、基板表面に形成されたパターンの倒壊が発生するのを防止しながら、低コストで基板表面を良好に乾燥させることを目的とする。
この発明は、液体で濡れた基板表面を乾燥させる基板処理装置および基板処理方法であって、上記目的を達成するため、以下のように構成されている。すなわち、基板処理装置は、基板表面を上方に向けた状態で基板を略水平姿勢で支持する基板支持手段と、液体よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を基板表面に供給する溶剤供給手段と、低表面張力溶剤に溶解して表面張力を低下させる第1有機溶剤の蒸気を必須的に含む有機溶剤ガスを基板表面に向けて吐出して基板表面を乾燥させる乾燥手段とを備え、溶剤供給手段は乾燥手段による乾燥前の前処理として低表面張力溶剤を基板表面に供給して基板表面に付着している液体を低表面張力溶剤に置換させることを特徴としている。また、基板処理方法は、液体よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を略水平姿勢で支持された基板の表面に供給して基板表面に付着している液体を低表面張力溶剤に置換させる置換工程と、低表面張力溶剤に溶解して表面張力を低下させる第1有機溶剤の蒸気を必須的に含む有機溶剤ガスを基板表面に向けて吐出して基板表面を乾燥させる乾燥工程とを備えたことを特徴としている。
このように構成された発明(基板処理装置および方法)では、基板表面の乾燥前(乾燥工程前)に、基板表面に付着している液体よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を基板表面に供給して基板表面に付着している液体を低表面張力溶剤に置換している。このため、低表面張力溶剤に溶解して表面張力を低下させる第1有機溶剤の蒸気を必須的に含む有機溶剤ガスを基板表面に向けて吐出して基板表面を乾燥させる際に、基板表面上で急激なマランゴニ対流が引き起こされるのを防止できる。すなわち、低表面張力溶剤の表面張力は基板表面に付着している液体よりも低く、かつ第1有機溶剤よりも高いので、低表面張力溶剤と第1有機溶剤との間の表面張力差は、基板表面に付着している液体と第1有機溶剤との間の表面張力差に比較して小さくなっている。このため、低表面張力溶剤に有機溶剤ガスを供給することで、基板表面に付着している液体に有機溶剤ガスを供給する場合に比較して、比較的緩やかな対流(マランゴニ対流)を引き起こして基板を乾燥させることが可能となる。その結果、基板表面が乾燥されるまでに基板表面に付着する低表面張力溶剤に第1有機溶剤を十分に溶解させることができる。したがって、基板表面に微細パターンが形成されていたとしても、パターンの倒壊を有効に防止できる。つまり、基板表面に付着している液体を低表面張力溶剤に置換することで、パターンの間隙に存在する液体が該液体よりも表面張力が低い低表面張力溶剤に置換される。さらに、低表面張力溶剤が付着する基板表面に向けて有機溶剤ガスが吐出されることで、パターンの間隙に存在する低表面張力溶剤に第1有機溶剤が溶解して表面張力が低下する。すなわち、パターンの間隙に存在する液体成分の表面張力が2段階にわたって低下する。したがって、パターンの間隙に存在する液体成分の表面張力を十分に低下させた状態で基板を乾燥させることができ、基板乾燥時におけるパターンの倒壊を有効に防止できる。
また、基板を略水平姿勢で支持した状態で基板表面に直接に低表面張力溶剤を供給しているので、低表面張力溶剤の消費量を抑制できる。すなわち、基板表面に低表面張力溶剤を付着させるために、基板表面に付着している液体を置換するだけの低表面張力溶剤を基板表面に供給すればよいことから、低表面張力溶剤の消費量を抑制してコストの低減を図ることができる。さらに、第1有機溶剤の蒸気を必須的に含む有機溶剤ガスを用いて基板を乾燥させているため、基板乾燥時に基板表面が汚染されるのを防止できる。つまり、通常、基板に供給される供給流体中に含まれるパーティクル等の異物を除去するためにフィルタ等を用いて供給流体に対するフィルタリングが必要となっている。しかしながら、液体の有機溶剤では表面張力が低く、有機溶剤中の異物除去が困難である。これに対して、有機溶剤の蒸気を用いることでガス状態で異物除去が可能となり、有機溶剤ガスに含まれる異物除去が容易となる。したがって、基板乾燥時に基板表面が汚染されるのを防止できる。
ここで、基板支持手段に保持された基板を回転させる回転手段をさらに設けて、回転手段により回転される基板の表面に低表面張力溶剤を供給してもよい。この構成によれば、低表面張力溶剤に作用する遠心力によって低表面張力溶剤が流動して基板表面全体に均一に広げられる。このため、基板の乾燥前に基板表面全体を低表面張力溶剤で均一に覆うことができる。したがって、基板表面上の液体成分の表面張力を表面全体にわたって均一に低下させることができ、パターン倒壊を有効に防止できる。また、このように基板の回転により基板表面に供給した低表面張力溶剤を広げることで、基板表面に付着している液体を比較的少量の低表面張力溶剤により効率良く置換できる。このため、低表面張力溶剤の消費量をさらに抑制できる。
また、基板表面への有機溶剤ガスの吐出後に基板を回転させて基板表面に付着している液体成分を振り切って基板を乾燥させてもよい。この構成によれば、乾燥時間を短縮してスループットを向上させることができる。
また、低表面張力溶剤として、基板表面に付着している液体と同一組成の液体または基板表面に付着している液体と主成分が同一である液体と、該液体に溶解して表面張力を低下させる第2有機溶剤とが混合された混合液(以下、単に「混合液」という)を用いてもよい。このような混合液を用いる場合には、混合液中の第2有機溶剤の体積百分率(以下「溶剤濃度」という)が5%以上かつ10%以下であることが好ましい。このように溶剤濃度を設定することで、後述する評価結果に示すように、混合液の表面張力を基板表面に付着している液体の表面張力と第1有機溶剤の表面張力とのほぼ中間値とすることができる。すなわち、混合液の表面張力としては、基板表面に付着している液体の表面張力と第1有機溶剤の表面張力とのほぼ中間値を有していることが好ましい。なんとなれば、混合液の表面張力が基板表面に付着している液体の表面張力に近い値を有する場合には、パターン間隙に発生する負圧を低下させることができないばかりか、基板表面に向けて有機溶剤ガスを吐出した際に、基板表面上で急激なマランゴニ対流が引き起こされてしまう。その一方で、混合液の表面張力が第1有機溶剤の表面張力に近い値を有する場合には、基板表面に向けて有機溶剤ガスを吐出した際に、マランゴニ対流が引き起こされず、第1有機溶剤をパターン間隙の内部まで溶け込ませていくことが困難になるからである。以上の観点から、溶剤濃度を5%以上かつ10%以下とすることが好ましい。また、このような濃度領域に溶剤濃度を設定することで次のような利点がある。すなわち、基板表面上で引き起こされるマランゴニ対流の度合い(対流の激しさ)を調整するためには、混合液と第1有機溶剤との間の表面張力差をコントロールする必要がある。ここで、評価結果に示すように、溶剤濃度が5%以上かつ10%以下の領域では溶剤濃度変化に対する混合液の表面張力の変化が比較的大きくなっている。したがって、このような濃度領域を使用することで、混合液と第1有機溶剤との間の表面張力差を容易にコントロールすることが可能となる。一方で、低表面張力溶剤として、混合液に替えて界面活性剤を必須的に含む溶剤を用いてもよい。
また、基板表面に対向可能な基板対向面を有し、基板対向面を基板表面に対向しながら離間配置される雰囲気遮断手段をさらに設けて、基板対向面と基板表面とに挟まれた間隙空間に有機溶剤ガスを供給してもよい。この構成によれば、基板対向面と基板表面とに挟まれた間隙空間における雰囲気中の第1有機溶剤の蒸気濃度を高めることができる。したがって、基板表面に付着する低表面張力溶剤に第1有機溶剤を十分に溶解させることができる。その結果、パターン倒壊防止効果をさらに高めるとともに、基板の乾燥効率を向上させることができる。また、基板対向面と基板表面とに挟まれた間隙空間の体積を限定することで、該間隙空間に供給すべき第1有機溶剤の蒸気量を低減することができ、第1有機溶剤の消費量を抑制できる。
また、基板対向面に複数のガス吐出口を形成し、各ガス吐出口から間隙空間に有機溶剤ガスを供給してもよい。これにより、間隙空間に第1有機溶剤の蒸気を高効率に供給するとともに、間隙空間内における有機溶剤の蒸気濃度の均一化を図ることができる。
また、置換工程前にリンス液を基板表面に供給してリンス処理を施すリンス工程をさらに備え、置換工程では、基板表面に付着しているリンス液を液体として低表面張力溶剤に置換させてもよい。この構成によれば、パターンの倒壊が発生するのを防止しながら、リンス液で濡れた基板表面を好適に乾燥させることができる。しかも、リンス工程は低表面張力溶剤と異なり、液体のみからなるリンス液により実行することで、置換工程では、基板表面に付着するリンス液を低表面張力溶剤に置換するだけの低表面張力溶剤を供給すればよく、低表面張力溶剤の消費量を抑制できる。
なお、本発明に用いられる第1および第2有機溶剤としてはアルコール系有機溶剤を用いることができる。安全性、価格等の観点からイソプロピルアルコール、エチルアルコールまたはメチルアルコールを用いることができるが、特にイソプロピルアルコール(IPA)が好適である。第1および第2有機溶剤として互いに異なるものを用いてもよいが、同一の有機溶剤を用いるのが望ましい。
また、本発明に用いられる「有機溶剤ガス」は、上記した第1有機溶剤の蒸気そのものであってもよいが、基板表面に向けて有機溶剤(第1有機溶剤)を送り込むために窒素ガス等の不活性ガスをキャリアとして用いて、不活性ガスに有機溶剤の蒸気を混合させたものであることが好ましい。
この発明によれば、基板表面の乾燥前に基板表面に付着する液体を該液体よりも表面張力が低い低表面張力溶剤に置換している。このため、低表面張力溶剤に溶解して表面張力を低下させる第1有機溶剤の蒸気を必須的に含む有機溶剤ガスを基板表面に向けて吐出して基板表面を乾燥させる際に、基板表面上で急激なマランゴニ対流が引き起こされるのを防止できる。その結果、基板表面が乾燥されるまでに基板表面に付着する低表面張力溶剤に第1有機溶剤を十分に溶解させることができる。したがって、パターンの間隙に存在する液体成分の表面張力を十分に低下させた状態で基板を乾燥させることができ、基板乾燥時におけるパターンの倒壊を有効に防止できる。また、基板を略水平姿勢で支持した状態で基板表面に付着している液体を置換するだけの低表面張力溶剤を基板表面に供給すればよいことから、低表面張力溶剤の消費量を抑制してコストの低減を図ることができる。
<第1実施形態>
図1はこの発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。この基板処理装置は半導体ウエハ等の基板Wの表面Wfに付着した不要物を除去するための洗浄処理に用いられる枚葉式の基板処理装置である。より具体的には、基板表面Wfに対してフッ酸などの薬液による薬液処理および純水やDIWなどのリンス液によるリンス処理を施した後、リンス液で濡れた基板Wに対して後述の置換処理を施してから乾燥処理を行う装置である。なお、この実施形態では、基板表面Wfとはデバイスパターンが形成されるデバイス形成面をいう。
この基板処理装置は、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるスピンチャック1と、スピンチャック1に保持された基板Wの上面に対向配置された遮断部材3と、スピンチャック1に保持された基板Wの上方からそれぞれ薬液およびリンス液を供給する、薬液ノズル5およびリンスノズル7を備えている。また、リンスノズル7は、リンス液またはリンス液と同一組成の液体と該液体に溶解して表面張力を低下させる第2有機溶剤とを混合した混合液を基板Wに選択的に供給可能となっている。
スピンチャック1は、回転支柱11がモータを含むチャック回転機構13の回転軸に連結されており、チャック回転機構13の駆動により鉛直軸回りに回転可能となっている。回転支柱11の上端部には、円盤状のスピンベース15が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット4からの動作指令に応じてチャック回転機構13を駆動させることによりスピンベース15が鉛直軸回りに回転する。このように、この実施形態では、チャック回転機構13が本発明の「回転手段」として機能する。
スピンベース15の周縁部付近には、基板Wの周縁部を把持するための複数個のチャックピン17が立設されている。チャックピン17は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、スピンベース15の周縁部に沿って等角度間隔で配置されている。チャックピン17のそれぞれは、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持部と、基板支持部に支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持部とを備えている。各チャックピン17は、基板保持部が基板Wの外周端面を押圧する押圧状態と、基板保持部が基板Wの外周端面から離れる解放状態との間を切り替え可能に構成されている。
スピンベース15に対して基板Wが受渡しされる際には、複数個のチャックピン17を解放状態とし、基板Wに対して洗浄処理を行う際には、複数個のチャックピン17を押圧状態とする。押圧状態とすることによって、複数個のチャックピン17は基板Wの周縁部を把持してその基板Wをスピンベース15から所定間隔を隔てて略水平姿勢に保持することができる。これにより、基板Wはその表面(パターン形成面)Wfを上方に向け、裏面Wbを下方に向けた状態で支持される。このように、この実施形態では、チャックピン17が本発明の「基板支持手段」として機能する。なお、基板支持手段としてはチャックピン17に限らず、基板裏面Wbを吸引して基板Wを支持する真空チャックを用いてもよい。
スピンチャック1の上方には、円盤状の遮断部材3がスピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfに対向しながら離間配置されている。遮断部材3の底面(下面)3aは基板表面Wfと略平行に対向可能な基板対向面となっており、その平面サイズは基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。遮断部材3はスピンチャック1の回転支柱11と同軸上に配置された回転支柱31の下端部に一体回転可能に取り付けられている。この回転支柱31には、遮断部材回転機構32と遮断部材昇降機構33が接続されている。
遮断部材回転機構32は、制御ユニット4からの動作指令に応じて回転支柱31を基板Wの中心を通る鉛直軸回りに回転させる。また、遮断部材回転機構32は、スピンチャック1に保持された基板Wの回転に応じて基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で遮断部材3を回転させるように構成されている。
遮断部材昇降機構33は、制御ユニット4からの動作指令に応じて遮断部材3をスピンベース15に近接して対向させたり、逆に離間させることが可能となっている。具体的には、制御ユニット4は遮断部材昇降機構33を作動させることで、基板処理装置に対して基板Wを搬入出させる際には、スピンチャック1の上方の離間位置に遮断部材3を上昇させる。その一方で、基板Wに対して所定の処理を施す際には、スピンチャック1に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された所定の対向位置まで遮断部材3を下降させる。
遮断部材3の中心部には開口が形成される一方、回転支柱31は中空軸となっており、遮断部材3の開口および回転支柱31の中空部がガス供給路34を形成している。このガス供給路34は溶剤ガス供給ユニット21と接続されている。このため、溶剤ガス供給ユニット21から有機溶剤ガスが圧送されると、ガス供給路34を介して遮断部材3の底面3aと基板表面Wfとに挟まれた間隙空間に有機溶剤ガスを供給することができる。これにより、基板表面Wfを乾燥させることが可能となっている。このように、この実施形態では、遮断部材3が本発明の「雰囲気遮断手段」として機能する。
有機溶剤ガスとしては、混合液(本発明の「低表面張力溶剤」に相当)に溶解して表面張力を低下させる第1有機溶剤、例えばIPA(イソプロピルアルコール)の蒸気を必須的に含むガスが用いられる。なお、第1有機溶剤はIPAに限定されず、アルコール系有機溶剤、例えばエチルアルコール、メチルアルコールを用いるようにしてもよい。要は混合液(低表面張力溶剤)に溶解して表面張力を低下させる有機溶剤であればよい。また、有機溶剤ガスは、このような第1有機溶剤の蒸気そのものであってもよいが、基板表面Wfに向けて第1有機溶剤を送り込むために、窒素ガス等の不活性ガスをキャリアガスとして用いて、不活性ガスに第1有機溶剤の蒸気を混合させたものであることが好ましい。なお、キャリアガスとして用いられる窒素ガスは水分を含まない乾燥気体である。このように、この実施形態によれば、制御ユニット4、溶剤ガス供給ユニット21およびガス供給路34が本発明の「乾燥手段」として機能する。
図2は溶剤ガス供給ユニットの構成の一例を示す図である。この溶剤ガス供給ユニット21は、IPA蒸気供給源S1と窒素ガス供給源S2を備えている。IPA蒸気供給源S1は、IPA液体を貯留する溶剤タンク211と溶剤タンク211内のIPA液体を加熱するヒータH1を有している。このため、ヒータH1が溶剤タンク211内のIPA液体を加熱することで、溶剤タンク211内の貯留空間のうちIPA液体が貯留されていない未貯留領域USへのIPA蒸気の発生が促進される。窒素ガス供給源S2は主配管212を介してガス供給路34に連通している。主配管212には、上流側(窒素ガス供給源S2側)から順にヒータH2、バルブV1およびフィルタFが介装されている。
フィルタFは有機溶剤ガス(IPA蒸気+窒素ガス)中に含まれるパーティクル等の異物を除去するために設けられている。この実施形態では、IPA蒸気を含む有機溶剤ガスを用いて基板Wを乾燥させているため、基板乾燥時における基板表面Wfの汚染を防止できる。すなわち、100%のIPA液体を用いた場合にはIPA液体の表面張力が低いため、フィルタによるIPA液体中の異物除去が困難である。このため、IPA液体を用いて基板Wを乾燥させると、基板表面Wfが汚染されるおそれがある。これに対して、IPA蒸気を用いることによりガス状態で異物除去が可能となり、フィルタによる有機溶剤ガスに含まれる異物除去が容易となる利点がある。
また、ヒータH2とバルブV1との間には主配管212から分岐配管213が分岐しており、分岐配管213を介して主配管212が溶剤タンク211内のインレットに接続されている。この分岐配管213にはバルブV2が介装されている。一方、バルブV1とフィルタFとの間で、溶剤タンク211内のアウトレットが分岐配管214を介して主配管212に接続されている。この分岐配管214にはバルブV3が介装されている。
このような構成により、バルブV1を閉じてバルブV2,V3を開くと、窒素ガスをキャリアガスとしてIPA蒸気がガス供給路34に送り込まれる。このとき、ヒータH1の加熱温度を制御することにより、窒素ガスに混入させるIPA蒸気量を変えることができる。つまり、ヒータH1の制御により、有機溶剤ガス中のIPA蒸気濃度を調整することができる。また、ヒータH2を動作させることにより、キャリアガス(窒素ガス)自体を加熱することもできる。一方で、バルブV2,V3を閉じてバルブV1を開くことにより、窒素ガスのみをガス供給路34に送り込むこともできる。なお、溶剤ガス供給ユニットの構成は、上記のようにIPA液体を加熱制御して生成したIPA蒸気を窒素ガスに混入させる場合に限らない。例えば、IPA液体中に窒素ガスをバブリングさせることにより、IPA蒸気を窒素ガスに混入させてもよい。
図1に戻って説明を続ける。薬液ノズル5は薬液供給ユニット22と接続されており、薬液供給ユニット22から薬液ノズル5に薬液が圧送されると、薬液ノズル5から薬液が吐出される。一方、リンスノズル7は液供給ユニット23と接続されており、液供給ユニット23からリンスノズル7にリンス液または混合液が圧送されると、リンスノズル7からリンス液または混合液が選択的に吐出される。これら薬液ノズル5とリンスノズル7はノズル移動機構(図示せず)に接続され、制御ユニット4からの動作指令に応じてノズル移動機構が駆動されることで、薬液ノズル5およびリンスノズル7をそれぞれ、基板Wの回転中心の上方の吐出位置に配置したり、吐出位置から側方に退避した待機位置に配置したりすることができる。
図3は液供給ユニットの構成の一例を示す図である。液供給ユニット23は、混合液(低表面張力溶剤)を生成するためのキャビネット部70を備え、キャビネット部70にて生成された混合液をリンスノズル7に圧送可能となっている。また、液供給ユニット23は、DIWをリンス液として直接にリンスノズル7に圧送することも可能である。第2有機溶剤としては、DIW(表面張力:72mN/m)に溶解して表面張力を低下させる有機溶剤、例えばイソプロピルアルコール(表面張力:21〜23mN/m)が用いられる。なお、第2有機溶剤はイソプロピルアルコール(IPA)に限定されず、エチルアルコール、メチルアルコールの各種アルコール系有機溶剤を用いるようにしてもよい。
キャビネット部70はDIWとIPAとの混合液を貯留する貯留タンク72を備えている。この貯留タンク72には貯留タンク72内にDIWを供給するためのDIW導入管73の一端が取り込まれており、その他方端が開閉バルブ73aを介して工場のユーティリティ等で構成されるDIW供給源WSに接続されている。さらに、DIW導入管73の経路途中には流量計73bが介装されており、流量計73bがDIW供給源WSから貯留タンク72に導入されるDIWの流量を計測する。そして、制御ユニット4は流量計73bで計測される流量に基づき、DIW導入管73を流通するDIWの流量を目標の流量(目標値)にするように開閉バルブ73aを開閉制御する。
同様にして、貯留タンク72には貯留タンク72内にIPA液体を供給するためのIPA導入管74の一端が取り込まれており、その他方端が開閉バルブ74aを介してIPA供給源SSに接続されている。さらに、IPA導入管74の経路途中には流量計74bが介装されており、流量計74bがIPA供給源SSから貯留タンク72に導入されるIPA液体の流量を計測する。そして、制御ユニット4は流量計74bで計測される流量に基づき、IPA導入管74を流通するIPA液体の流量を目標の流量(目標値)にするように開閉バルブ74aを開閉制御する。
この実施形態では、混合液中のIPAの体積百分率(以下「IPA濃度」という)が5%以上かつ10%以下の範囲内に属する所定値になるように、貯留タンク72内に導入するIPA液体およびDIWの流量を調整する。このようにIPA濃度を設定することで、後述の図4の評価結果に示すように、混合液の表面張力を基板表面Wfに付着しているリンス液(DIW)の表面張力と第1有機溶剤、つまりIPAの表面張力とのほぼ中間値にすることができる。なお、上記のようにIPA濃度を設定する理由については後で詳述する。
図4はIPA濃度と表面張力γとの関係を示すグラフである。図4に記載される横軸はIPA濃度を表しており、IPA濃度が0(vol%)はDIW単体であることを、IPA濃度が100(vol%)はIPA液体単体であることを示している。表面張力γの測定は懸滴法(ペンダント・ドロップ法)により、協和界面科学株式会社製LCD−400Sを用いて行っている。図4から明らかなように、DIWへのIPA混合量を増加させていくと、IPA濃度が10%付近まではDIWへのIPA混合量の増加に伴って混合液の表面張力γが急激に低下していくことが分かる。そして、IPA濃度が5%以上かつ10%以下の範囲内で混合液の表面張力がDIWの表面張力とIPAの表面張力のほぼ中間値となっていることが分かる。
図3に戻って説明を続ける。貯留タンク72には、その一端がミキシングバルブ71に接続された混合液供給管75の他端が挿入され、貯留タンク72に貯留されている混合液を開閉バルブ76を介してミキシングバルブ71に供給可能に構成されている。混合液供給管75には、貯留タンク72に貯留されている混合液を混合液供給管75に送り出す定量ポンプ77や、定量ポンプ77により混合液供給管75に送り出される混合液の温度を調整する温調器78、混合液中の異物を除去するフィルタ79が設けられている。さらに、混合液供給管75には、IPA濃度、つまり混合液中のIPAの体積百分率を監視するための濃度計80が介装されている。この実施形態では、フィルタ79を流通する混合液中のIPA濃度は10%以下となっている。このため、100%のIPA液体では表面張力が低いために異物除去が困難となっていた問題を解消して、フィルタ79による混合液に含まれる異物除去を容易にしている。
また、混合液供給管75には、開閉バルブ76と濃度計80との間に混合液循環管81の一端が分岐接続される一方、混合液循環管81の他端が貯留タンク72に接続されている。この混合液循環管81には開閉バルブ82が介装されている。そして、装置の稼動中は、定量ポンプ77および温調器78が常に駆動され、基板Wに混合液を供給しない間は、開閉バルブ76が閉じられる一方、開閉バルブ82が開かれる。これにより、貯留タンク72から定量ポンプ77により送り出される混合液が混合液循環管81を通じて貯留タンク72に戻される。つまり、基板Wに混合液を供給しない間は、貯留タンク72、混合液供給管75および混合液循環管81からなる循環経路を混合液が循環する。その一方で、基板Wに混合液を供給するタイミングになると、開閉バルブ76が開かれる一方、開閉バルブ82が閉じられる。これにより、貯留タンク72から送り出される混合液がミキシングバルブ71に供給される。また、ミキシングバルブ71はリンスノズル7に接続されており、ミキシングバルブ71に供給された混合液はリンスノズル7から基板Wに向けて吐出される。
このように、基板Wに混合液を供給しない間は、混合液を循環させておくことによって、DIWとIPAとが攪拌され、DIWとIPAとを十分に混ざり合った状態とすることができる。また、開閉バルブ76の開成後、所定の温度に調整されるとともに、異物が除去された混合液を速やかにリンスノズル7に供給することができる。このように、この実施形態によれば、リンスノズル7および液供給ユニット23が本発明の「溶剤供給手段」として機能する。
また、DIW導入管73には、開閉バルブ73aの上流側(DIW供給源WS側)にDIW供給管83の一端が分岐接続される一方、DIW供給管83の他端がミキシングバルブ71に接続されている。このDIW供給管83には開閉バルブ84が介装されている。このような構成によれば、制御ユニット4の制御指令に応じて開閉バルブ76,84が開閉制御されると、リンスノズル7にDIWと混合液(IPA+DIW)とが選択的に供給される。すなわち、開閉バルブ76を閉じて、開閉バルブ84を開くことで、ミキシングバルブ71を介してDIWがリンスノズル7に供給される。その一方で、開閉バルブ76を開いて、開閉バルブ84を閉じることで、ミキシングバルブ71を介して混合液がリンスノズル7に供給される。
次に、上記のように構成された基板処理装置の動作について図5ないし図7を参照しつつ詳述する。図5は図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。また、図6および図7は図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。基板搬送手段(図示せず)によって未処理の基板Wが基板処理装置内に搬入されると(ステップS1)、制御ユニット4は装置各部を制御して基板Wに対して洗浄処理(薬液処理+リンス処理+置換処理+乾燥処理)を実行する。この実施形態では、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wが装置内に搬入され、スピンチャック1に保持される。なお、遮断部材3はスピンチャック1の上方の離間位置にあり、基板Wとの干渉を防止している。
先ず、基板Wに対して薬液処理が実行される。すなわち、薬液ノズル5を吐出位置に移動させるとともに、チャック回転機構13の駆動によりスピンチャック1に保持された基板Wを所定の回転速度(例えば500rpm)で回転させる(ステップS2)。続いて、薬液ノズル5から基板表面Wfに薬液としてフッ酸が供給されると、フッ酸が遠心力により広げられ基板表面Wf全体がフッ酸により薬液処理される(ステップS3)。
この薬液処理が終了すると、薬液ノズル5が待機位置に移動される。そして、基板Wに対してリンス処理が実行される。すなわち、リンスノズル7が吐出位置に移動されるとともに、リンスノズル7から回転する基板Wの表面Wfにリンス液(DIW)が供給される。これにより、リンス液が遠心力により広げられ基板表面Wf全体がリンス処理される(ステップS4;リンス工程)。その結果、基板表面Wfに残留付着するフッ酸がリンス液により基板表面Wfから除去される。
所定時間のリンス処理が終了すると、制御ユニット4は基板Wの回転を継続しつつ、リンスノズル7からリンス液に替えて、混合液(IPA+DIW)を吐出させる。ここでは、キャビネット部70において、混合液中のIPA濃度が5%以上かつ10%以下の範囲内に属する所定値、例えばIPA濃度が10%に調整された混合液が予め生成されており、該混合液がリンスノズル7から基板表面Wfに向けて吐出される。基板表面Wfに供給された混合液は混合液に作用する遠心力によって流動して基板表面Wfの全体に均一に広げられる。これにより、基板表面Wfに付着するリンス液(DIW)が該リンス液よりも表面張力が低い混合液によって置換される(ステップS5;置換工程)。したがって、基板表面Wf上の液体成分の表面張力を全域にわたって均一に低下させることができる。また、基板Wの回転によって基板表面Wfに供給した混合液を広げることで、基板表面Wfに付着するリンス液を比較的少量の混合液により効率良く置換できる。このため、混合液の生成に必要なIPAの消費量を抑制できる。
そして、基板表面Wfに付着するリンス液が混合液により置換されると、基板表面Wfの全体が混合液による液膜で覆われた状態となっている。続いて、制御ユニット4は遮断部材3を対向位置に位置決めする。具体的には、図6に示すように、遮断部材3の底面3aを基板対向面として基板表面Wfに付着する混合液に対向させながら離間配置させる。これにより、基板表面Wfの全体が遮断部材3の底面3aで覆われる。そして、溶剤ガス供給ユニット21から有機溶剤ガスがガス供給路34に圧送され、遮断部材3の底面3aと基板表面Wfとに挟まれた間隙空間SPに供給される。これにより、急激なマランゴニ対流を引き起こすことなく、有機溶剤ガスに含まれるIPA蒸気が基板表面Wfに付着する混合液の各部に溶解して表面張力が低下していく。すなわち、混合液の表面張力はリンス液(DIW)の表面張力よりも低く、かつ有機溶剤ガスに含まれるIPAよりも高いので、混合液とIPAとの間の表面張力差はリンス液とIPAとの間の表面張力差に比較して小さくなっている。このため、混合液に有機溶剤ガスを供給することで、リンス液に有機溶剤ガスを供給する場合に比較して比較的緩やかなマランゴニ対流を引き起こして基板表面Wfを乾燥させることができる。その結果、基板表面Wfが乾燥されるまでに基板表面Wfに付着する混合液にIPAを十分に溶解させることができる。
また、混合液に溶解したIPA蒸気は混合液とともに次第に気化していく。これにより、基板表面Wfから混合液が除去され、基板表面Wfが乾燥されていく(ステップS6;乾燥工程)。なお、この実施形態では、IPA蒸気と同時にキャリアガスである窒素ガスも基板表面Wfに吹き付けられている。このため、乾燥気体である窒素ガスが基板表面Wfに吹き付けられることにより、IPAが溶解した混合液は迅速に気化される。
混合液への有機溶剤ガスの吐出が終了すると、制御ユニット4はチャック回転機構13の回転速度を高めて基板Wを高速回転(例えば3000rpm)させる。これにより、基板表面Wfに残留する液体成分が振り切られ、基板Wに対してスピンドライ処理が実行される(ステップS7)。その結果、乾燥時間を短縮してスループットを向上させることができる。つまり、この実施形態では、有機溶剤ガスを基板表面Wfに向けて吐出して基板表面Wfを乾燥させる第1乾燥処理に加えて、基板Wを高速回転させて基板表面Wfを乾燥させる第2乾燥処理を実行することで、基板表面Wfの乾燥を促進している。さらに、スピンドライ処理においては、ガス供給路34から窒素ガスを供給することで間隙空間SPを窒素ガス雰囲気としてもよい。これにより、基板表面Wfの乾燥が促進され、さらに乾燥時間を短縮できる。
こうして、基板Wの乾燥処理(第1および第2乾燥処理)が終了すると、制御ユニット4は、チャック回転機構13を制御して基板Wの回転を停止させる(ステップS8)。その後、遮断部材3を離間位置に位置決めして、基板搬送手段が処理済の基板Wを装置から搬出して、1枚の基板Wに対する一連の洗浄処理が終了する(ステップS9)。
以上のように、この実施形態によれば、基板表面Wfの乾燥前(乾燥工程前)に、基板表面Wfに付着しているリンス液(DIW)を該リンス液よりも表面張力が低い混合液(低表面張力溶剤)に置換している。このため、有機溶剤ガスを基板表面Wfに向けて供給する際に基板表面Wf上で急激なマランゴニ対流が引き起こされるのを防止して、基板表面Wfに付着する混合液にIPAを十分に溶解させることができる。したがって、以下に詳細に説明するように、基板表面Wfに微細パターンが形成されていたとしても、パターンの倒壊を有効に防止できる。
IPAとDIWとの間には比較的大きな表面張力差が存在する。このため、IPA蒸気を含む有機溶剤ガスが基板表面Wfに付着するリンス液(DIW)に向けて吐出されると、IPA蒸気が直接に供給される基板表面領域、つまり直接供給領域に付着する液体の表面張力が、そうでない基板表面領域、つまり非直接供給領域に付着する液体の表面張力に比較して大きく低下する。その結果、直接供給領域に付着する液体と非直接供給領域に付着する液体との間に比較的大きな表面張力差が発生する。そして、図7(a)に示すように、このような表面張力差に起因して基板表面Wf上の液体に急激なマランゴニ対流が引き起こされる。このため、基板表面Wfに形成されたパターン間隙の内部に付着するリンス液(DIW)にIPAが十分に溶解しないうちに基板表面Wfが部分的に乾燥されてしまう。したがって、リンス液(DIW)に有機溶剤ガスを吐出した場合には、パターン倒壊を十分に防止することが困難となっていた。
また、基板表面Wfが部分的に乾燥すると、乾燥領域と未乾燥領域(液体で濡れている基板表面領域)との間に界面(気液固界面)が生じることとなるが、このような気液固界面の位置を制御することは困難であった。すなわち、基板表面Wfに付着する液体に急激なマランゴニ対流が起こり、該液体の一部が移動して基板表面Wfが部分的に乾燥する。しかしながら、急激なマランゴニ対流が起こった後に未乾燥領域上の液体が該液体の表面と基板表面Wfとがなす固有の接触角を形成するように乾燥領域に移動する。その結果、一旦、乾燥した基板表面領域(乾燥領域)が再び液体で濡れることがあった。つまり、気液固界面の位置が乾燥領域と未乾燥領域との間で変動することがあった。その結果、乾燥領域に液滴が残留するなどしてウォーターマーク発生等の乾燥不良を引き起こしてしまう場合があった。
これに対して、この実施形態によれば、基板表面Wfの乾燥前に、基板表面Wfに付着しているリンス液(DIW)を該リンス液よりも表面張力が低い混合液に置換している。このため、図7(b)に示すように、有機溶剤ガスが混合液に向けて吐出されても、混合液とIPAとの間の表面張力差はリンス液(DIW)とIPAとの間の表面張力差に比較して小さいことから、急激なマランゴニ対流が引き起こされるのを防止できる。これにより、基板表面Wfが部分的に乾燥されるのを抑制して、基板表面Wfに付着する混合液にIPAを十分に溶解させることができる。したがって、基板表面Wfに微細パターンが形成されていたとしても、パターンの倒壊を有効に防止することができる。つまり、基板表面Wfに付着しているリンス液を混合液に置換することで、パターンの間隙に存在するリンス液が該リンス液よりも表面張力が低い混合液に置換される。さらに、混合液が付着する基板表面Wfに向けて有機溶剤ガスが吐出されることで、パターンの間隙に存在する混合液にIPAが溶解して表面張力が低下する。すなわち、パターンの間隙に存在する液体成分の表面張力が2段階にわたって低下する。したがって、パターンの間隙に存在する液体成分の表面張力を十分に低下させた状態で基板Wを乾燥させることができ、基板乾燥時におけるパターンの倒壊を有効に防止することができる。また、基板表面Wfの部分的な乾燥を防止しているため、基板表面Wfに付着する混合液中に気液固界面が現れることがない。このため、基板表面(乾燥領域)に液滴が残留するなどしてウォーターマーク発生等の乾燥不良が発生するのを抑制できる。
また、この実施形態によれば、基板Wを略水平姿勢で支持しながら基板表面Wfに直接に混合液を供給しているので、混合液の消費量を抑制できる。すなわち、この実施形態によれば、基板表面Wfに混合液を付着させるために基板表面Wfに付着するリンス液を置換するだけの混合液を基板表面Wfに供給すればよい。このため、混合液の生成に必要なIPAの消費量を抑制することができ、コスト低減を図ることができる。しかも、リンス工程では混合液と異なり、DIWのみからなるリンス液により実行している。このため、置換工程では基板表面Wfに付着するリンス液を混合液に置換するだけのIPAを用意すればよく、IPAの消費量をさらに抑制することができる。
また、この実施形態によれば、混合液中のIPA濃度を5%以上かつ10%以下に設定した混合液を用いている。つまり、混合液の表面張力がリンス液(DIW)の表面張力とIPAの表面張力のほぼ中間値となるようにIPA濃度を設定した混合液を用いている。このように混合液中のIPA濃度を設定するのは次のような理由による。すなわち、混合液の表面張力がリンス液(DIW)の表面張力に近い値を有する場合には、パターン間隙に発生する負圧を低下させることができないばかりか、基板表面Wfに向けて有機溶剤ガスを吐出した際に、基板表面Wf上で急激なマランゴニ対流が引き起こされてしまう。その一方で、混合液の表面張力がIPAの表面張力に近い値を有する場合には、基板表面Wfに向けて有機溶剤ガスを吐出した際に、マランゴニ対流が引き起こされず、IPAをパターン間隙の内部まで溶け込ませていくことが困難になる。そこで、混合液中のIPA濃度を5%以上かつ10%以下に設定した混合液を用いることで、上記した弊害を防止できる。また、このような濃度領域にIPA濃度を設定することで次のような利点がある。すなわち、基板表面Wf上で引き起こされるマランゴニ対流の度合い(対流の激しさ)を調整するためには、混合液とIPAとの間の表面張力差をコントロールする必要がある。ここで、図4に示すように、IPA濃度が5%以上かつ10%以下の領域ではIPA濃度変化に対する混合液の表面張力の変化が比較的大きくなっている。したがって、このような濃度領域を使用することで、混合液とIPAとの間の表面張力差を容易にコントロールすることが可能となる。
また、この実施形態によれば、遮断部材3を基板表面Wfに対向して配置して、遮断部材3の底面3aと基板表面Wfとに挟まれた間隙空間SPに有機溶剤ガスを供給している。このため、間隙空間SPにおける雰囲気中のIPA蒸気濃度を高めて、基板表面Wfに付着する混合液にIPAを十分に溶解させることができる。その結果、パターン倒壊防止効果を高めるとともに、基板Wの乾燥効率を向上させることができる。また、間隙空間SPの体積を限定することで、該間隙空間SPに供給すべきIPA蒸気量を低減することができ、IPAの消費量を抑制できる。
しかも、この実施形態によれば、遮断部材3を基板表面Wfの近傍位置に配置することができる。すなわち、基板表面Wfに付着するリンス液(DIW)に有機溶剤ガスを供給する場合には、遮断部材3を基板表面Wfの近傍位置に配置することができず、遮断部材3を基板表面Wfから上方に十分に離れた位置に配置する必要があった。なんとなれば、遮断部材3を基板表面Wfの近傍位置に配置した場合には、IPAとDIWの間の表面張力差が大きいことからリンス液(DIW)にIPA蒸気を含む有機溶剤ガスが供給されると、基板表面Wfに付着する液体各部で比較的大きな表面張力差が発生してしまう。その結果、基板表面Wf上で急激なマランゴニ対流が引き起こされてしまうからである。そこで、遮断部材3を基板表面Wfから上方に十分に離れた位置に配置することで、有機溶剤ガスが基板表面Wfに到達するまでに拡散され、基板表面Wfに有機溶剤ガスを均一に供給可能となる。これにより、基板表面Wfに付着する液体各部に均一に有機溶剤を溶解させて基板表面Wf上で急激なマランゴニ対流が引き起こされるのを防止できる。しかしながら、この場合には、有機溶剤が拡散する結果、遮断部材3と基板表面Wfとに挟まれた雰囲気中のIPA蒸気濃度が低下してしまう。このため、基板表面Wfに付着する液体の表面張力を十分に低下させることができず、基板乾燥時におけるパターン倒壊を有効に防止することができなくなる。
これに対して、この実施形態によれば、有機溶剤ガスの供給前に予め基板表面Wfに付着するリンス液(DIW)を混合液に置換することで、IPAと基板表面Wfに付着する液体成分(混合液)と間の表面張力差を小さくしている。これにより、基板表面Wf上における雰囲気中のIPA蒸気濃度に偏りがある場合であっても、急激なマランゴニ対流が引き起こされるのを防止できる。このため、遮断部材3を基板表面Wfの近傍位置に配置することができる。したがって、間隙空間SPにおける雰囲気中のIPA蒸気濃度の高濃度化およびIPA消費量の抑制を効果的に達成できる。
<第2実施形態>
図8はこの発明にかかる基板処理装置の第2実施形態を示すフローチャートである。この第2実施形態にかかる基板処理装置が第1実施形態と大きく相違する点は、低表面張力溶剤として混合液に替えて界面活性剤を必須的に含む溶剤(以下「界面活性剤含有溶剤」という)を基板表面Wfに供給している点であり、その他の構成および動作は上記実施形態と同一である。したがって、以下においては相違点を中心に説明する。
この実施形態では、リンス処理(ステップS4)が終了すると、基板表面Wfに界面活性剤含有溶剤を供給する。これにより、基板表面Wfに付着するリンス液(DIW)が界面活性剤含有溶剤に置換される(ステップS5A)。なお、界面活性剤含有溶剤の表面張力はリンス液(DIW)よりも低く、かつIPAよりも高くなっている。このような界面活性剤含有溶剤としては、例えば基板表面Wfに付着するリンス液と同一組成の液体に界面活性剤を含有させた溶液を用いることができる。
続いて、基板表面Wfに付着する界面活性剤含有溶剤に向けて有機溶剤ガスが吐出される。これにより、基板表面Wf上で急激なマランゴニ対流が引き起こされることなく、有機溶剤ガスに含まれるIPA蒸気が界面活性剤含有溶剤の各部に溶解して表面張力が低下していく。その後、界面活性剤含有溶剤に溶解したIPAは混合液とともに次第に気化していき、基板表面Wfが乾燥されていく(ステップS6)。
以上のように、この実施形態によれば、上記実施形態と同様に基板表面Wfの乾燥前(乾燥工程前)に、基板表面Wfに付着しているリンス液(DIW)を該リンス液よりも表面張力が低い界面活性剤含有溶剤(低表面張力溶剤)に置換している。このため、有機溶剤ガスを基板表面Wfに向けて供給する際に基板表面Wf上で急激なマランゴニ対流が引き起こされるのを防止して、基板表面Wfに付着する界面活性剤含有溶剤にIPAを十分に溶解させることができる。したがって、パターン間隙の内部に付着する液体成分の表面張力を十分に低下させた状態で基板Wを乾燥させることができる。したがって、基板乾燥時におけるパターンの倒壊を有効に防止することができる。
<第3実施形態>
上記実施形態では、スピンチャック1に設けられたチャックピン17を「基板支持手段」として、チャックピン17により略水平姿勢で支持された基板Wを乾燥させているが、これに限定されない。例えば図9に示すように、搬送機構101が基板Wを略水平姿勢で支持した状態で搬送しながら基板Wを乾燥させる基板処理装置に対しても本発明を適用することができる(第3実施形態)。
図9はこの発明にかかる基板処理装置の第3実施形態を示す図である。この基板処理装置では、搬送機構101はリンス液(DIW)で濡れた基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢で支持する。そして、搬送機構101は略水平方向に延びる搬送方向TDに基板Wを搬送する。また、液供給ノズル102(本発明の「溶剤供給手段」に相当)が搬送方向TDに搬送される基板Wの表面Wfに対向配置されている。液供給ノズル102は液供給ユニット(図示せず)に接続されており、液供給ユニットからの混合液(IPA+DIW)を基板表面Wfに供給する。また、液供給ノズル102に対して搬送方向TDの下流側には溶剤ガス吐出部103が設けられている。溶剤ガス吐出部103(本発明の「乾燥手段」に相当)は溶剤ガス供給ユニット(図示せず)に接続されており、溶剤供給ユニットからの有機溶剤ガス(IPA蒸気+窒素ガス)を基板表面Wfに向けて吐出する。このように、この実施形態では、搬送機構101が本発明の「基板支持手段」として機能する。
次に、上記のように構成された基板処理装置の動作について図10を参照しつつ説明する。図10は図9の基板処理装置の動作を示す模式図である。搬送方向TDに搬送される基板Wの表面Wfに液供給ノズル102から混合液を供給することで、基板表面Wfに付着するリンス液が混合液に置換される。これにより、基板表面Wfの全体に混合液による液体層105が形成される。そして、搬送方向TDにおける液体層105の下流側に溶剤ガス吐出部103から有機溶剤ガスが供給されると、有機溶剤ガスが液体層105を構成する混合液に溶解して液体層105の下流側界面105a(気液固界面)での表面張力が低下してマランゴニ対流が引き起こされる。これによって、液体層105を構成する混合液が搬送方向TDの上流側に引っ張られて下流側界面105aも上流側に移動し、この界面移動に対応する基板表面領域が乾燥する。
以上のように、この実施形態によれば、基板表面Wfに付着するリンス液(DIW)を該リンス液よりも表面張力が低い混合液(低表面張力溶剤)に置換している。このため、基板表面Wfに向けて有機溶剤ガスを供給して基板表面Wfを乾燥させる際に、基板表面Wf上で急激なマランゴニ対流が引き起こされるのを防止できる。したがって、液体層105の下流側界面105a(気液固界面)が乾燥領域と未乾燥領域(混合液で濡れている基板表面領域)との間で変動するのを抑制できる。このため、乾燥領域に液滴が残留するなどしてウォーターマーク発生等の乾燥不良が発生するのを防止できる。なお、低表面張力溶剤として混合液に替えて界面活性剤含有溶剤を用いてもよい。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記第1および第2実施形態では、遮断部材3の中心部に形成されたガス供給路34から間隙空間SPに有機溶剤ガスを供給しているが、遮断部材3の構成はこれに限定されない。例えば図11に示すように、遮断部材の底面(基板対向面)に複数のガス吐出口を形成してもよい(第4実施形態)。この実施形態では、遮断部材30の底面30aに複数のガス吐出口301が、例えば基板Wの回転中心を中心として放射状に形成されている。また、遮断部材30の内部には複数のガス吐出口301の各々に連通するガス流通空間302が形成されている。ガス流通空間302は溶剤ガス供給ユニット(図示せず)に接続されており、溶剤ガス供給ユニットからIPA蒸気を含む有機溶剤ガスが供給されると、複数のガス吐出口301を介して有機溶剤ガスが間隙空間SPに供給される。この構成によれば、有機溶剤ガスを基板表面Wfに向けて供給する際に、基板表面Wfに付着する低表面張力溶剤にIPAを均一にかつ高効率に溶解させていくことができる。したがって、基板乾燥時におけるパターン倒壊を確実に防止しながら乾燥時間を短縮することができる。
また、上記第第1および第2実施形態では、有機溶剤ガスの吐出後に基板Wを回転させて基板表面Wfに付着している液体成分を振り切って基板表面Wfを乾燥(スピンドライ)させている。しかしながら、基板Wに対するスピンドライ処理の実行は必ずしも必要でない。例えばスピンドライ処理に替えて高温の窒素ガスを基板表面Wfに供給するなどして、基板表面Wfを加熱しながら基板Wの乾燥を促進させてもよい。
また、上記第3実施形態では、液供給ノズル102および溶剤ガス吐出部103を固定配置した状態で基板Wを移動させて基板表面Wfを乾燥させているが、液供給ノズル102および溶剤ガス吐出部103も同時に移動させるように構成してもよい。また、基板Wを固定配置した状態で液供給ノズル102および溶剤ガス吐出部103を移動させて基板表面Wfを乾燥させてもよい。要は基板Wを略水平姿勢で支持しながら、基板Wと液供給ノズル102および溶剤ガス吐出部103とを相対移動させるように構成すればよい。また、例えば液晶表示用ガラス基板などのように角型基板の基板表面を乾燥させる際には、複数の搬送ローラを搬送方向に沿って配置するとともに、上記第3実施形態と同一構成の液供給ノズル102および溶剤ガス吐出部103を固定配置してもよい。この場合、複数の搬送ローラが基板Wを略水平姿勢で転支しながら搬送方向に搬送することで基板Wを乾燥させることができる。
また、上記実施形態では、リンス液としてDIWを用いているが、DIWの他、炭酸水、水素水、希薄濃度(例えば1ppm程度)のアンモニア水および塩酸など(以下「DIW以外のリンス液」という)も用いることができる。この場合、上記第1実施形態では、基板表面Wfに付着しているリンス液と同一組成の液体(DIW以外のリンス液)と第2有機溶剤とを混合したものを混合液として用いてもよい。また、リンス液としてDIW以外のリンス液を用いる一方で、混合液はDIWと第2有機溶剤とを混合したものを用いてもよい。さらに、リンス液としてDIWを用いる一方で、混合液はDIW以外のリンス液と第2有機溶剤とを混合したものを用いてもよい。要は、基板表面Wfに付着している液体と主成分が同一である液体と第2有機溶剤とを混合したものを混合液として用いればよい。
また、上記実施形態では、リンス液で濡れた基板表面Wfを乾燥させているが、リンス液以外の液体で濡れた基板表面Wfを乾燥させる基板処理装置および基板処理方法に対しても本発明を適用することができる。
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などを含む基板全般の表面に対して乾燥処理を施す基板処理装置および基板処理方法に適用することができる。
この発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。 溶剤ガス供給ユニットの構成の一例を示す図である。 液供給ユニットの構成の一例を示す図である。 IPA濃度と表面張力γとの関係を示すグラフである。 図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。 図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。 図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。 この発明にかかる基板処理装置の第2実施形態を示すフローチャートである。 この発明にかかる基板処理装置の第3実施形態を示す図である。 図9の基板処理装置の動作を示す模式図である。 この発明にかかる基板処理装置の第4実施形態を示す図である。
符号の説明
3,30…遮断部材(雰囲気遮断手段)
3a,30a…遮断部材の底面(基板対向面)
4…制御ユニット(乾燥手段)
7…リンスノズル(溶剤供給手段)
13…チャック回転機構(回転手段)
17…チャックピン(基板支持手段)
21…溶剤ガス供給ユニット(乾燥手段)
23…液供給ユニット(溶剤供給手段)
34…ガス供給路(乾燥手段)
101…搬送機構(基板支持手段)
102…液供給ノズル(溶剤供給手段)
103…溶剤ガス吐出部(乾燥手段)
301…複数のガス吐出口
SP…間隙空間
W…基板
Wf…基板表面

Claims (10)

  1. 液体で濡れた基板表面を乾燥させる基板処理装置において、
    前記基板表面を上方に向けた状態で基板を略水平姿勢で支持する基板支持手段と、
    前記液体よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を前記基板表面に供給する溶剤供給手段と、
    前記低表面張力溶剤に溶解して表面張力を低下させる第1有機溶剤の蒸気を必須的に含む有機溶剤ガスを前記基板表面に向けて吐出して前記基板表面を乾燥させる乾燥手段と
    を備え、
    前記溶剤供給手段は前記乾燥手段による乾燥前の前処理として前記低表面張力溶剤を前記基板表面に供給して前記基板表面に付着している液体を前記低表面張力溶剤に置換させることを特徴とする基板処理装置。
  2. 前記基板支持手段に支持された前記基板を回転させる回転手段をさらに備え、
    前記溶剤供給手段は前記回転手段により回転される前記基板の表面に前記低表面張力溶剤を供給する請求項1記載の基板処理装置。
  3. 前記乾燥手段は前記基板表面への前記有機溶剤ガスの吐出後に前記回転手段により前記基板を回転させて前記基板表面に付着している液体成分を振り切って前記基板表面を乾燥させる請求項2記載の基板処理装置。
  4. 前記溶剤供給手段は、前記基板表面に付着している液体と同一組成の液体または前記基板表面に付着している液体と主成分が同一である液体と、該液体に溶解して表面張力を低下させる第2有機溶剤とが混合された混合液を前記低表面張力溶剤として前記基板表面に供給する請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置。
  5. 前記溶剤供給手段は、前記混合液中の前記第2有機溶剤の体積百分率が5%以上かつ10%以下である混合液を前記基板表面に供給する請求項4記載の基板処理装置。
  6. 前記溶剤供給手段は、界面活性剤を必須的に含む溶剤を前記低表面張力溶剤として前記基板表面に供給する請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置。
  7. 前記基板表面に対向可能な基板対向面を有し、前記基板対向面を前記基板表面に対向しながら離間配置される雰囲気遮断手段をさらに備え、
    前記乾燥手段は前記基板対向面と前記基板表面とに挟まれた間隙空間に前記有機溶剤ガスを供給する請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理装置。
  8. 前記基板対向面に複数のガス吐出口が形成されている請求項7記載の基板処理装置であって、
    前記乾燥手段は前記複数のガス吐出口から前記間隙空間に前記有機溶剤ガスを供給する基板処理装置。
  9. 液体で濡れた基板表面を乾燥させる基板処理方法において、
    前記液体よりも表面張力が低い低表面張力溶剤を略水平姿勢で支持された基板の表面に供給して前記基板表面に付着している液体を前記低表面張力溶剤に置換させる置換工程と、
    前記低表面張力溶剤に溶解して表面張力を低下させる第1有機溶剤の蒸気を必須的に含む有機溶剤ガスを前記基板表面に向けて吐出して前記基板表面を乾燥させる乾燥工程と
    を備えたことを特徴とする基板処理方法。
  10. 前記置換工程前にリンス液を前記基板表面に供給してリンス処理を施すリンス工程をさらに備え、
    前記置換工程では、前記基板表面に付着しているリンス液を前記液体として前記低表面張力溶剤に置換させる請求項9記載の基板処理方法。
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