JP2008032866A - 表示装置および表示装置の駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動トランジスタの閾値電圧Vthを検出して画素内の保持容量に保持する動作を、決められた期間内に確実に実行することができるようにする。
【解決手段】有機EL素子31に加えて、駆動トランジスタ32と、書き込みトランジスタ33と、保持容量37とを少なくとも有する画素回路11がマトリクス状に配置されてなるアクティブマトリクス型有機EL表示装置において、有機EL素子31と駆動トランジスタ32との間にスイッチングトランジスタ37を接続し、当該スイッチングトランジスタ37が少なくともVth補正期間に非導通状態となって有機EL素子31と駆動トランジスタ32との間の電気的接続を開放するようにする。
【選択図】図1
【解決手段】有機EL素子31に加えて、駆動トランジスタ32と、書き込みトランジスタ33と、保持容量37とを少なくとも有する画素回路11がマトリクス状に配置されてなるアクティブマトリクス型有機EL表示装置において、有機EL素子31と駆動トランジスタ32との間にスイッチングトランジスタ37を接続し、当該スイッチングトランジスタ37が少なくともVth補正期間に非導通状態となって有機EL素子31と駆動トランジスタ32との間の電気的接続を開放するようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、表示装置および表示装置の駆動方法に関し、特に電気光学素子を含む画素がマトリクス状(行列状)に配置されてなる表示装置および当該表示装置の駆動方法に関する。
近年、画表示を行う表示装置の分野では、画素の発光素子として、流れる電流値に応じて発光輝度が変化するいわゆる電流駆動型の電気光学素子、例えば有機EL(electro luminescence) 素子を含む画素回路がマトリクス状に多数配置されてなる有機EL表示装置が開発され、商品化が進められている。有機EL表示装置は、有機EL素子が自発光素子であることから、液晶セルを含む画素回路によって光源(バックライト)からの光強度を制御する液晶表示装置に比べて、画像の視認性が高い、バックライトが不要、素子の応答速度が速い等の特長を持っている。
有機EL表示装置では、液晶表示装置と同様、その駆動方式として単純(パッシブ)マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とを採ることができる。ただし、単純マトリクス方式の表示装置は、構造が簡単であるものの、大型でかつ高精細な表示装置の実現が難しいなどの問題がある。そのため、近年、電気光学素子に流れる電流を、当該電気光学素子と同じ画素回路内に設けた能動素子、例えば絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(一般には、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT))によって制御するアクティブマトリクス方式の表示装置の開発が盛んに行われている。
一般的に、能動素子として薄膜トランジスタを用いた画素回路では、有機EL素子を電流駆動するトランジスタ(以下、「駆動トランジスタ」と記述する)の閾値電圧Vthが経時的に変化したり、当該閾値電圧Vthが画素ごとに異なったりする(個々のトランジスタ特性にバラツキがある)。駆動トランジスタの閾値電圧Vthが異なると、駆動トランジスタに流れる電流値にバラツキが生じるために、駆動トランジスタのゲートに同じ電圧を印加しても、有機EL素子の発光輝度が変化し、画面の一様性(ユニフォーミティ)が損なわれる。
従来は、駆動トランジスタの閾値電圧Vthが経時変化したり、画素ごとにバラツキがあったりしたとしても、それらの影響を受けることなく、有機EL素子の発光輝度を一定に保つようにするために、有機EL素子の駆動に先立って、駆動トランジスタの閾値電圧Vthを検出して画素内の保持容量に保持しておくことにより、駆動トランジスタによる有機EL素子の駆動に対する当該駆動トランジスタの閾値電圧Vthの影響をキャンセルするようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
上述した従来技術において、駆動トランジスタの閾値電圧Vthを検出するための動作は、駆動トランジスタのソース電位を上昇させることによって行われる。このとき、駆動トランジスタのソースノードに接続されている容量成分の総合容量値が大きいと、ソース電位の上昇に対する時定数が大きくなるために当該ソース電位の上昇速度が遅くなる。すると、決められた期間内に駆動トランジスタの閾値電圧Vthを検出して画素内の保持容量に保持する動作を完了できなくなるために、閾値電圧Vthの経時変化や画素ごとのバラツキに起因する影響を受けることなく、有機EL素子の発光輝度を一定に保つ、という所期の目的を達成できないことになる。
一方、閾値電圧Vthを検出する動作を行う期間を長く設定することで、ソース電位の上昇の遅れに対応できるものの、当該期間を長く設定すると、その分だけ有機EL素子の発光期間を犠牲にして、当該発光期間を短くせざるを得ない。発光期間を短くした場合、発光期間を短くする前と同じ発光輝度で有機EL素子を発光させようとすると、入力信号電圧のレベルを、発光期間を短くする前のレベルよりも高く設定しなければならなく、その結果、消費電力の増大を招くことになる。
そこで、本発明は、駆動トランジスタの閾値電圧を検出して画素内の保持容量に保持する動作を短時間で確実に実行することができる表示装置および当該表示装置の駆動方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、電気光学素子と、前記電気光学素子を駆動する駆動トランジスタと、入力信号電圧をサンプリングして画素内に書き込む書き込みトランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートとソースとの間に接続され、前記書き込みトランジスタによって書き込まれた前記入力信号電圧を保持する保持容量とを有する画素回路(画素)が複数配置されてなり、前記駆動トランジスタによる前記電気光学素子の駆動に対して当該駆動トランジスタの閾値電圧が影響を及ぼさないようにするために、前記電気光学素子を駆動する前の補正期間に、前記駆動トランジスタの閾値電圧を検出して前記保持容量に保持する動作を行う表示装置において、前記電気光学素子と前記駆動トランジスタとの間に、少なくとも前記補正期間にオフ状態となるスイッチ素子を接続した構成を採っている。
上記構成の表示装置において、電気光学素子は容量を持つ。電気光学素子の容量は、保持容量と共に駆動トランジスタのソースノードの容量成分となる。スイッチ素子は、電気光学素子を駆動する前の補正期間、即ち駆動トランジスタの閾値電圧を検出して保持容量に保持する動作を行う期間にオフ状態となることで、電気光学素子と駆動トランジスタとの間の電気的接続を開放する。これにより、駆動トランジスタのソースノードに接続される容量成分の総合容量値が、スイッチ素子がオン状態のときの総合容量値よりも小さくなり、駆動トランジスタのソース電位の上昇に対する時定数が小さくなるために当該ソース電位の上昇速度が加速される。
本発明によれば、駆動トランジスタの閾値電圧を検出して画素内の保持容量に保持する動作を行う際に、駆動トランジスタのソース電位の上昇速度を、駆動トランジスタに対して電気光学素子が接続されている場合よりも速くすることができるために、駆動トランジスタの閾値電圧を検出して画素内の保持容量に保持する動作を短時間で確実に実行することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置および当該表示装置に用いられる画素回路の構成を示す回路図である。
(画素アレイ部)
図1に示すように、本実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置は、画素の発光素子として、デバイス流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子、例えば有機EL素子31を用い、当該有機EL素子31を含む画素回路(画素)11がマトリクス状(行列状)に2次元配置されてなる画素アレイ部12を有している。ここでは、図面の簡略化のために、ある1つの画素回路11についてその具体的な回路構成を示している。
図1に示すように、本実施形態に係るアクティブマトリクス型表示装置は、画素の発光素子として、デバイス流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子、例えば有機EL素子31を用い、当該有機EL素子31を含む画素回路(画素)11がマトリクス状(行列状)に2次元配置されてなる画素アレイ部12を有している。ここでは、図面の簡略化のために、ある1つの画素回路11についてその具体的な回路構成を示している。
この画素アレイ部12において、画素回路11の各々に対して、画素行ごとに走査線13、駆動線14、第一,第二補正用走査線15,16および電位制御線17がそれぞれ配線され、また画素列ごとにデータ線(信号線)18が配線されている。この画素アレイ部12の周囲には、走査線13を走査駆動する書き込み走査回路19と、駆動線14を走査駆動する駆動走査回路20と、第一,第二補正用走査線15,16を走査駆動する第一,第二補正用走査回路21,22と、電位制御線17を走査駆動する電位制御用走査回路23と、輝度情報に応じたデータ信号(映像信号)をデータ線18に供給するデータ線駆動回路24とが配置されている。
本例では、書き込み走査回路19、駆動走査回路20および電位制御用走査回路23が画素アレイ部12を挟んで一方側(例えば、図の右側)に配置され、その反対側に第一,第二補正用走査回路21,22が配置された構成となっている。ただし、これらの配置関係は一例に過ぎず、これに限定されるものではない。書き込み走査回路19、駆動走査回路20、第一,第二補正用走査回路21,22および電位制御用走査回路23は、走査線13、駆動線14、第一,第二補正用走査線15,16および電位制御線17を走査駆動するに当たって、書き込み信号WS、駆動信号DS、第一,第二補正用走査信号AZ1,AZ2および電位制御信号PCを適宜出力する。
画素アレイ部12は、通常、ガラス基板などの透明絶縁基板上に形成され、平面型(フラット型)のパネル構造となっている。画素アレイ部12の各画素回路11は、アモルファスシリコンTFT(薄膜トランジスタ)または低温ポリシリコンTFTを用いて形成することができる。本実施形態では、画素回路11を低温ポリシリコンTFTで形成する場合を例に挙げて説明するものとする。低温ポリシリコンTFTを用いる場合には、書き込み走査回路19、駆動走査回路20、第一,第二補正用走査回路21,22、電位制御用走査回路23およびデータ線駆動回路24についても、画素アレイ部11を形成するパネル上に一体的に形成することができる。
(画素回路)
画素回路11は、有機EL素子31に加えて、駆動トランジスタ32、書き込みトランジスタ33、スイッチングトランジスタ34〜37および保持容量38を構成素子として有する回路構成となっている。
画素回路11は、有機EL素子31に加えて、駆動トランジスタ32、書き込みトランジスタ33、スイッチングトランジスタ34〜37および保持容量38を構成素子として有する回路構成となっている。
この画素回路11においては、駆動トランジスタ32、書き込みトランジスタ33およびスイッチングトランジスタ35,36,37としてNチャネル型のTFTが用いられ、スイッチングトランジスタ34としてPチャネル型のTFTが用いられている。ただし、ここでの駆動トランジスタ32、書き込みトランジスタ33およびスイッチングトランジスタ34〜37の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
有機EL素子31は、カソード電極が第1の電源電位VSS(ここでは、接地電位GND)に接続されている。駆動トランジスタ32は、有機EL素子31を電流駆動するためのものであり、ソースが有機EL素子31のアノード電極に接続されてソースフォロア回路を形成している。つまり、図2に示すように、駆動トランジスタ32のソース電位(ソース電圧)は、駆動トランジスタ32と有機EL素子31との動作点で決まり、ゲート電位によって異なる電圧値を持つ。
書き込みトランジスタ33は、ソースがデータ線18に接続され、ドレインが駆動トランジスタ32のゲートに接続され、ゲートが走査線13に接続されている。スイッチングトランジスタ34は、ソースが第2の電源電位VDD(ここでは、正の電源電位)に接続され、ドレインが駆動トランジスタ32のドレインに接続され、ゲートが駆動線14に接続されている。スイッチングトランジスタ35は、ドレインが第3の電源電位Vini1に接続され、ソースが書き込みトランジスタ33のドレイン(駆動トランジスタ32のゲート)に接続され、ゲートが第一補正用走査線15に接続されている。
スイッチングトランジスタ36は、ドレインが駆動トランジスタ32のソースに接続され、ソースが第4の電源電位Vini2(ここでは、負の電源電位)に接続され、ゲートが第二補正用走査線16に接続されている。スイッチングトランジスタ37は、ドレインが駆動トランジスタ32のソースに接続され、ソースが有機EL素子31のアノード電極に接続され、ゲートが電位制御線17に接続されている。保持容量38は、一端が駆動トランジスタ32のゲートと書き込みトランジスタ33のドレインとの接続ノードN12に接続され、他端が駆動トランジスタ32のソース(スイッチングトランジスタ36,37の各ドレインとの接続ノードN11)に接続されている。
上述した接続関係にて各構成素子が接続されてなる画素回路11において、各構成素子は次のような作用をなす。すなわち、書き込みトランジスタ33は、導通(オン)状態となることにより、データ線18を通して供給される入力信号電圧Vsigをサンプリングして画素内に書き込む。この書き込まれた信号電圧Vsigは、保持容量38に保持される。スイッチングトランジスタ34は、導通状態になることにより、電源電位VDDから駆動トランジスタ32に電流を供給する。
駆動トランジスタ32は、スイッチングトランジスタ34が導通状態にあるときに、保持容量38に保持された信号電圧Vsigに応じた電流値を、スイッチングトランジスタ37を介して有機EL素子31に供給することによって当該有機EL素子31を発光駆動する(電流駆動)。すなわち、スイッチングトランジスタ34の導通/非導通により、有機EL素子31の発光/非発光を制御するデューティ駆動が行われる。
スイッチングトランジスタ35,36は、適宜導通状態になることにより、有機EL素子31の電流駆動に先立って駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを検知し、あらかじめその影響をキャンセルするために当該検知した閾値電圧Vthを保持容量38に保持する。スイッチングトランジスタ37は、通常は導通状態にあり、少なくとも、スイッチングトランジスタ35,36の作用によって閾値電圧Vthを検出し保持容量38に保持する動作を行う期間に非導通(オフ)状態になることによって有機EL素子31と駆動トランジスタ32との間の電気的接続を開放するスイッチ素子として作用する。
この画素回路11では、正常な動作を保証するための条件として、第4の電源電位Vini2は、第3の電源電位Vini1から駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを差し引いた電位よりも低くなるように設定されている。すなわち、Vini2<Vini1−Vthのレベル関係となっている。また、有機EL素子31のカソード電位Vcat(ここでは、接地電位GND)に有機EL素子31の閾値電圧Vthelを加えたレベルは、第3の電源電位Vini1から駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを差し引いたレベルよりも高くなるように設定されている。すなわち、Vcat+Vthel>Vini1−Vth(>Vini2)のレベル関係となっている。
[回路動作の説明]
続いて、上記構成の画素回路11をマトリクス状に2次元配置してなるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の回路動作について、図3のタイミング波形図を用いて説明する。
続いて、上記構成の画素回路11をマトリクス状に2次元配置してなるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の回路動作について、図3のタイミング波形図を用いて説明する。
図3には、あるi行目の画素回路11を駆動する際に、書き込み走査回路19から走査線13を介して画素回路11に与えられる書き込み信号WS、駆動走査回路20から駆動線14を介して画素回路11に与えられる駆動信号DS、第一,第二補正用走査回路21,22から第一,第二補正用走査線15,16を介して画素回路11に与えられる第一,第二補正用走査信号AZ1,AZ2および電位制御用走査回路23から電位制御線17を介して画素回路11に与えられる電位制御信号PCのタイミング関係、ならびに駆動トランジスタ32のゲート電位Vgおよびソース電位Vsの変化をそれぞれ示している。
ここで、書き込みトランジスタ33およびスイッチングトランジスタ35,36,37がNチャネル型であるために、書き込み信号WS、第一,第二補正用走査信号AZ1,AZ2および電位制御信号PCについては、高レベル(本例では、電源電位VDD;以下、「“H”レベル」と記述する)の状態をアクティブ状態とし、低レベル(本例では、電源電位VSS(GND);以下、「“L”レベル」と記述する)の状態を非アクティブ状態とする。また、スイッチングトランジスタ34がPチャネル型であるために、駆動信号DSについては、“L”レベルの状態をアクティブ状態とし、“H”レベルの状態を非アクティブ状態とする。
通常、スイッチングトランジスタ37は、電位制御信号PCが“H”レベルであることによって導通状態にある。すなわち、駆動トランジスタ32のソースと有機EL素子31のアノード電極とがスイッチングトランジスタ37を介して電気的に接続された状態にある。
時刻t1で駆動信号DSが“L”レベルから“H”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ34が非導通になった状態で、時刻t2で第二補正用走査信号AZ2が“L”レベルから“H”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ36が導通状態となることにより、駆動トランジスタ32のソースにはスイッチングトランジスタ36を介して電源電位Vini2が印加される。
このとき、先述したように、Vini2<Vcat+Vthelのレベル関係にあるために、有機EL素子31は逆バイアス状態となる。したがって、有機EL素子31には電流が流れず、非発光状態にある。
次に、時刻t3で第一補正用走査信号AZ1が“L”レベルから“H”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ35が導通状態となることにより、駆動トランジスタ32のゲートにはスイッチングトランジスタ35を介して電源電位Vini1が印加される。このとき、駆動トランジスタ32のゲート・ソース間電圧Vgsは、Vini1−Vini2という値をとる。ここで、先述したように、Vofs−Vini1>Vthのレベル関係を満たしている。また同時に、電位制御信号PCが“H”レベルから“L”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ37が非導通状態となることにより、駆動トランジスタ32のソースと有機EL素子31のアノード電極との電気的接続が開放される。
(Vth補正期間)
次に、時刻t4で第二補正用走査信号AZ2が“H”レベルから“L”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ36が非導通状態となり、その後、時刻t5で駆動信号DSが“H”レベルから“L”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ34が導通状態となることにより、駆動トランジスタ32にはそのゲート−ソース間の電位差Vgsに応じた電流が流れる。
次に、時刻t4で第二補正用走査信号AZ2が“H”レベルから“L”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ36が非導通状態となり、その後、時刻t5で駆動信号DSが“H”レベルから“L”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ34が導通状態となることにより、駆動トランジスタ32にはそのゲート−ソース間の電位差Vgsに応じた電流が流れる。
このとき、駆動トランジスタ32のソース(接続ノードN11)と有機EL素子31のアノード電極との電気的接続がスイッチングトランジスタ37によって開放された状態にあり、駆動トランジスタ32から流れる電流がノードN11→保持容量38→ノードN12→スイッチングトランジスタ35→電源電位Vini1の経路で流れるために、当該電流に応じた電荷が保持容量38に充電され、またこの充電に伴って駆動トランジスタ32のソース電位Vsが電源電位Vini1から時間の経過とともに徐々に上昇する。
そして、一定時間が経過し、駆動トランジスタ32のゲート−ソース間(N11−N12間)の電位差Vgsが当該駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthと等しくなったところで、駆動トランジスタ32がカットオフし、駆動トランジスタ32に電流が流れなくなるために、駆動トランジスタ32のゲート−ソース間(N11−N12間)の電位差Vgs、即ち閾値電圧Vthが閾値補正用の電位として保持容量37に保持される。
その後、時刻t6で駆動信号DSが“L”レベルから“H”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ34が非導通状態となる。この時刻t5から時刻t6までの期間が駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを検出して保持容量38に保持する期間である。ここでは、この一定期間t5−t6をVth補正期間と呼んでいる。
このVth補正期間の経過後、時刻t7で電位制御信号PCが“L”レベルから“H”レベルに遷移することにより、スイッチングトランジスタ37が導通状態となり、駆動トランジスタ32のソースと有機EL素子31のアノード電極とを電気的に接続する。このとき、保持容量38の容量値Ccsと、電源配線と駆動トランジスタ32のソースとの間で作成された容量値Csubとの総和(Ccs+Csub)と、有機EL素子31の寄生容量との容量結合によるカップリングで駆動トランジスタ32のソース電位Vsが下降するが、ここでは、総和(Ccs+Csub)が有機EL素子31の寄生容量に対して十分大きいとし、駆動トランジスタ32のソース電位Vsの下降はないものとする。
その後、時刻t8で第一補正用走査信号AZ1が“H”レベルから“L”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ35が非導通状態になる。ここで、スイッチングトランジスタ37が導通状態になった後に、スイッチングトランジスタ35が非導通状態になることが重要である。何故ならば、スイッチングトランジスタ35が先に非導通状態になった場合、駆動トランジスタ32のゲート(接続ノードN12)がフローティングとなり、その後にスイッチングトランジスタ37が導通すると、保持容量38と有機EL素子31の容量カップリングによって駆動トランジスタ32のゲート電位Vgが変動してしまうからである。
(書き込み期間)
その後、時刻t9で書き込み信号WSが“L”レベルから“H”レベルに遷移することで、書き込みトランジスタ33によって入力信号電圧Vsigがサンプリングされ、画素内に書き込まれるために、駆動トランジスタ32のゲート電位Vgが入力信号電圧Vsigになる。この入力信号電圧Vsigは保持容量38に保持される。
その後、時刻t9で書き込み信号WSが“L”レベルから“H”レベルに遷移することで、書き込みトランジスタ33によって入力信号電圧Vsigがサンプリングされ、画素内に書き込まれるために、駆動トランジスタ32のゲート電位Vgが入力信号電圧Vsigになる。この入力信号電圧Vsigは保持容量38に保持される。
このとき、駆動トランジスタ32のソース電位Vsは、書き込みトランジスタ33の導通時のゲート電位Vgの振幅に対して保持容量38と有機EL素子31の容量カップリングによって上昇する。ここで、保持容量38の容量値をCcs、有機EL素子31の容量値をColed、駆動トランジスタ32のゲート電位Vgの上昇分をΔVgとすると、駆動トランジスタ32のソース電位Vsの上昇分ΔVsは、
ΔVs=ΔVg×{Ccs/(Coled+Ccs)} ……(1)
となる。
ΔVs=ΔVg×{Ccs/(Coled+Ccs)} ……(1)
となる。
また、書き込みトランジスタ33によって書き込まれた入力信号電圧Vsigは、保持容量38に保持されている閾値電圧Vthに足し込まれる形で当該保持容量38に保持される。このとき、保持容量38の保持電圧は、Vsig−Vini1+Vthとなる。ここで、理解を容易にするために、Vini1=0Vとすると、ゲート・ソース間電圧Vgsは、Vsig+Vthとなる。
このように、保持容量38にあらかじめ閾値電圧Vthを保持しておくことで、駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthの画素ごとのバラツキや経時変化を補正することが可能になる。すなわち、信号電圧Vsigによる駆動トランジスタ32の駆動の際に、当該駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthが保持容量38に保持した閾値電圧Vthと相殺される、換言すれば、閾値電圧Vthの補正が行われるために、画素ごとに閾値電圧Vthにバラツキや経時変化があったとしても、駆動トランジスタ32による有機EL素子31の駆動に対する閾値電圧Vthの影響をキャンセルすることができるために、閾値電圧Vthにバラツキや経時変化の影響を受けることなく、有機EL素子31の発光輝度を一定に保つことができることになる。
(移動度補正期間)
その後、書き込みトランジスタ33が導通したまま、時刻t9で駆動信号DSが“H”レベルから“L”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ34が導通状態になることで、電源電位VDDから駆動トランジスタ32への電流供給が開始される。なお、時刻t8から時刻t9までの期間が1水平期間(1H)となる。ここで、Vini1−Vth<Vthelと設定しておくことにより、有機EL素子31が逆バイアス状態におかれる。
その後、書き込みトランジスタ33が導通したまま、時刻t9で駆動信号DSが“H”レベルから“L”レベルに遷移し、スイッチングトランジスタ34が導通状態になることで、電源電位VDDから駆動トランジスタ32への電流供給が開始される。なお、時刻t8から時刻t9までの期間が1水平期間(1H)となる。ここで、Vini1−Vth<Vthelと設定しておくことにより、有機EL素子31が逆バイアス状態におかれる。
有機EL素子31が逆バイアス状態にあることで、当該有機EL素子31はダイオード特性ではなく単純な容量特性を示すようになる。したがって、駆動トランジスタ32に流れるドレイン・ソース間電流Idsは、保持容量38の容量値Csと有機EL素子31の容量成分の容量値Coledとを合成した容量C(=Cs+Coled)に書き込まれていく。この書き込みにより、駆動トランジスタ32のソース電位Vsが上昇する。
ソース電位Vsの上昇分ΔVsは、保持容量38に保持された駆動トランジスタ32のゲート−ソース間の電位差Vgsから差し引かれるように、換言すれば、保持容量38の充電電荷を放電するように作用することになるので、負帰還をかけられたことになる。すなわち、ソース電位Vsの上昇分ΔVsは負帰還の帰還量となる。このとき、ゲート−ソース間の電位差Vgsは、Vsig−ΔVs+Vthとなる。
このように、駆動トランジスタ32に流れる電流(ドレイン・ソース間電流Ids)を当該駆動トランジスタ32のゲート入力(ゲート−ソース間の電位差)に負帰還することで、各画素の駆動トランジスタ32のドレイン・ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消す、即ち駆動トランジスタ32の移動度μのバラツキを補正することが可能になる。
書き込み信号WSのアクティブ期間(“H”レベル期間)と駆動信号DSのアクティブ期間(“L”レベル期間)とがオーバーラップする期間T(t9−t10)、即ち書き込みトランジスタ33とスイッチングトランジスタ34が共に導通状態となるオーバーラップ期間を移動度補正期間とする。
ここで、移動度μが高い駆動トランジスタと移動度μが低い駆動トランジスタとを考えた場合、この移動度補正期間Tに移動度μが高い駆動トランジスタは、移動度μが低い駆動トランジスタに対してソース電位Vsが大きく上昇する。また、ソース電位Vsが大きく上昇するほど、駆動トランジスタ32のゲート−ソース間の電位差が小さくなり、電流が流れにくくなる。
つまり、移動度補正期間Tを調整することにより、移動度μの違う駆動トランジスタ32で同じドレイン・ソース間電流Idsを流すことができる。この移動度補正期間Tで決めた駆動トランジスタ32のゲート−ソース間電位差Vgsを保持容量38で維持して、当該ゲート−ソース間電位差Vgsに応じた電流(ドレイン・ソース間電流Ids)を駆動トランジスタ32が有機EL素子31に流すことによって当該有機EL素子31が発光する。
(発光期間)
時刻t10で書き込み信号WSが“L”レベルになり、書き込みトランジスタ33が非導通状態になることで、移動度補正期間Tが終了し、発光期間に入る。この発光期間では駆動トランジスタ32のソース電位Vsは、有機EL素子31の駆動電圧まで上昇する。ソース電位Vsの上昇により、駆動トランジスタ32のゲートがデータ線18から切り離されてフローティング状態にあるために、保持容量38を介してゲート電位Vgも上昇する。
時刻t10で書き込み信号WSが“L”レベルになり、書き込みトランジスタ33が非導通状態になることで、移動度補正期間Tが終了し、発光期間に入る。この発光期間では駆動トランジスタ32のソース電位Vsは、有機EL素子31の駆動電圧まで上昇する。ソース電位Vsの上昇により、駆動トランジスタ32のゲートがデータ線18から切り離されてフローティング状態にあるために、保持容量38を介してゲート電位Vgも上昇する。
このとき、駆動トランジスタ32のゲートの寄生容量をCgとすると、ゲート電位Vgの上昇分ΔVgは次式(2)で表される。
ΔVg=ΔVs×{Ccs/(Ccs+Cg)} ……(2)
その間、保持容量38に保持されたゲート−ソース間電位差Vgsは、Vsig−ΔVs+Vthの値を維持する。
ΔVg=ΔVs×{Ccs/(Ccs+Cg)} ……(2)
その間、保持容量38に保持されたゲート−ソース間電位差Vgsは、Vsig−ΔVs+Vthの値を維持する。
そして、駆動トランジスタ32のソース電位Vsの上昇に伴い、有機EL素子31の逆バイアス状態が解消され、駆動トランジスタ32から有機EL素子31に対し次式(3)で与えられる一定のドレイン・ソース間電流Idsが供給されるために、有機EL素子31は実際に発光を開始する。
Ids=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2 ……(3)
ここで、Vthは駆動TFT202の閾値電圧、μはキャリアの移動度、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Coxは単位面積当たりのゲート容量、Vgsはゲート・ソース間電圧である。
Ids=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vgs−Vth)2 ……(3)
ここで、Vthは駆動TFT202の閾値電圧、μはキャリアの移動度、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Coxは単位面積当たりのゲート容量、Vgsはゲート・ソース間電圧である。
このときのドレイン・ソース間電流Ids対ゲート−ソース間電位差Vgsの関係は、式(3)のVgsにVsig−ΔVs+Vthを代入することで、次式(4)で与えられる。
Ids=kμ(Vgs−Vth)2
=kμ(Vsig−ΔV)2 ……(4)
上記の式(4)において、k=(1/2)(W/L)Coxである。
Ids=kμ(Vgs−Vth)2
=kμ(Vsig−ΔV)2 ……(4)
上記の式(4)において、k=(1/2)(W/L)Coxである。
この式(4)から明らかなように、駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthの項がキャンセルされており、駆動トランジスタ32から有機EL素子31に供給されるドレイン・ソース間電流Idsは、駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthに依存しないことが分かる。基本的に、ドレイン・ソース間電流Idsは入力信号電圧Vsigによって決まる。換言すると、有機EL素子31は、駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthのバラツキや経時変化の影響を受けることなく、入力信号電圧Vsigに応じた輝度で発光する。
また、上記の式(4)から明らかなように、入力信号電圧Vsigは、ドレイン・ソース間電流Idsの駆動トランジスタ32のゲート入力への負帰還によって帰還量ΔVsで補正されている。この帰還量ΔVsは、式(4)の係数部に位置する移動度μの効果を打ち消すように作用する。したがって、ドレイン・ソース間電流Idsは、実質的に、入力信号電圧Vsigのみに依存することになる。すなわち、有機EL素子31は、駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthのみならず、駆動トランジスタ32の移動度μのバラツキや経時変化の影響を受けることなく、入力信号電圧Vsigに応じた輝度で発光する。その結果、スジや輝度ムラのない均一な画質を得ることができる。
ここで、電流駆動型の電気光学素子である有機EL素子31を含む画素回路11がマトリクス状に配置されてなるアクティブマトリクス型表示装置においては、有機EL素子31の発光時間が長くなると、当該有機EL素子31のI−V特性が変化してしまう。それがために、有機EL素子31のアノード電極と駆動トランジスタ32のソースとの接続ノードN11の電位も変化する。
これに対して、本実施形態に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置では、駆動トランジスタ32のゲート−ソース間電位差Vgsが一定値に保たれているために、有機EL素子31に流れる電流は変化しない。したがって、有機EL素子31のI−V特性が劣化したとしても、一定のドレイン・ソース間電流Idsが有機EL素子31に流れ続けるために、有機EL素子31の発光輝度が変化することはない(有機EL素子31の特性変動に対する補償機能)。
また、入力信号電圧Vsigが書き込まれる前に駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthをあらかじめ保持容量38に保持しておくことで、駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthをキャンセル(補正)し、当該閾値電圧Vthのバラツキや経時変化の影響を受けない一定のドレイン・ソース間電流Idsを有機EL素子31に流すことができるために、高画質の表示画像を得ることができる(駆動トランジスタ32のVth変動に対する補償機能)。
さらに、移動度補正期間t9−t10において、ドレイン・ソース間電流Idsを駆動トランジスタ32のゲート入力へ負帰還し、その帰還量ΔVsによって入力信号電圧Vsigを補正することで、駆動トランジスタ32のドレイン・ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消し、入力信号電圧Vsigのみに依存するドレイン・ソース間電流Idsを有機EL素子31に流すことができるため、駆動トランジスタ32の移動度μのバラツキや経時変化に起因するスジや輝度ムラのない均一な画質の表示画像を得ることができる(駆動トランジスタ32の移動度μに対する補償機能)。
このような各種補償機能を有することに加えて、本実施形態に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置では、有機EL素子31と駆動トランジスタ32との間にスイッチ素子であるスイッチングトランジスタ37を接続し、当該スイッチングトランジスタ37が少なくともVth補正期間(一定期間t5−t6)、本例では時刻t3から時刻t7の期間に非導通状態となって有機EL素子31と駆動トランジスタ32との間の電気的接続を開放するようにしたことを特徴としている。
このスイッチングトランジスタ37を設けたことによる作用効果について以下に説明する。
先ず、先述したように、Vth補正期間(一定期間t5−t6)において、駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを検出して保持容量38に保持するための動作は、駆動トランジスタ32のソース電位を上昇させることによって行われる。このとき、駆動トランジスタ32のソース(接続ノードN11)に接続されている容量成分の総合容量値が大きいと、ソース電位Vsの上昇に対する時定数が大きくなるために当該ソース電位Vsの上昇速度が遅くなる。すると、決められた期間内、即ちVth補正期間内に駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを検出して保持容量38に保持する動作を完了できなくなる。
これに対して、少なくともVth補正期間でスイッチングトランジスタ37が非導通状態となって有機EL素子31と駆動トランジスタ32との間の電気的接続を開放することにより、駆動トランジスタ32のソース(接続ノードN11)から有機EL素子31の容量Coledが切り離され、ソース電位Vsの上昇に対する時定数を小さくすることができるために、駆動トランジスタ32のソース電位Vsの上昇速度を加速できる。
これにより、駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを検出して保持容量38に保持するVth補正動作(Vth検出動作)を高速化できるために、当該Vth補正動作をVth補正期間内に確実に実行することができる。また、Vth補正動作を高速化できることにより、スイッチングトランジスタ37を設けない場合に比べてVth補正期間の短縮化を図ることができる。
このように、Vth補正期間を短くできることにより、その短縮分だけ発光期間を長く設定することができるために、発光期間を長く設定する前と同じ発光輝度で有機EL素子31を発光させようとすると、入力信号電圧Vsigのレベルが、発光期間を長く設定する前のレベルよりも低くて済むことになる。これにより、入力信号電圧Vsigの振幅を小さくできるために、信号電圧Vsigを供給するデータ線駆動回路24(図1参照)の消費電力を低減でき、もって表示装置全体の低消費電力化を図ることができる。
また、有機EL素子31の逆バイアス動作時に、有機EL素子31の膜厚のバラツキなどが原因となって有機EL素子31の逆バイアスリーク量が画素間でばらつくと、有機EL素子31を利用した逆バイアスによるスイッチング動作に画素間でバラツキが生じるために、表示画面内で輝度バラツキが発生してしまう。
例えば、Vth補正期間において、駆動トランジスタ32のソースに有機EL素子31のアノード電極が電気的に接続された状態では、駆動トランジスタ32のソース電位Vsよりも有機EL素子31のカソード電位Vcat(電源電位VSS)が高く、有機EL素子31が逆バイアス状態となる。このときに、有機EL素子31の逆バイアスによるリークが発生すると、当該リークによって駆動トランジスタ32のソース電位Vsが変動するために、保持容量38に駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを正確に保持できないことになる。
これに対して、少なくともVth補正期間でスイッチングトランジスタ37が非導通状態となって有機EL素子31と駆動トランジスタ32との間の電気的接続を開放することにより、有機EL素子31の逆バイアスによるリークが発生しなくなり、駆動トランジスタ32のソース電位Vsが固定された状態となるために、駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを検出して保持容量38に保持するVth補正動作を全ての画素において正確に実行できる。その結果、有機EL素子31の逆バイアスによるリークに起因する動作バラツキをなくすことができるために、表示画面内の輝度バラツキをなくすことができる。
また、移動度補正期間Tにおいては、次のような理由により、スイッチングトランジスタ37を導通状態にする。先ず、移動度補正期間Tは、先述したように、書き込み信号WSのアクティブ期間(“H”レベル期間)と駆動信号DSのアクティブ期間(“L”レベル期間)とのオーバーラップ期間(t9−t10)である。
ここで、例えば書き込み信号WSが“H”レベルから“L”レベルへ遷移するタイミングがずれた場合を考える。書き込み信号WSの遷移タイミング(立ち下がりタイミング)がずれると、移動度補正期間Tが最適値からずれる。このとき、スイッチングトランジスタ37が非導通状態にあり、駆動トランジスタ32のソースに有機EL素子31が接続されていない場合には、駆動トランジスタ32のソース電位Vsが主に保持容量38の容量値Ccsで決まる時定数で高速に上昇することによって移動度補正動作が行われる。
一方、スイッチングトランジスタ37が導通状態にあり、駆動トランジスタ32のソースに有機EL素子31が接続されている場合には、駆動トランジスタ32のソース電位Vsが主に保持容量38の容量値Ccsと有機EL素子31の容量値Coledとで決まる時定数、即ち駆動トランジスタ32のソースに有機EL素子31が接続されていない場合よりも大きな時定数で低速に上昇することによって移動度補正動作が行われる。
このことから明らかなように、移動度補正期間Tでは、スイッチングトランジスタ37を導通状態にすることで、移動度補正期間Tが最適値からずれたときのバラツキに対する移動度補正動作の感度を低くすることができる。すなわち、移動度補正期間Tが最適値からずれたとしても、そのバラツキの移動度補正動作に対する影響を最小限に抑えることができる。
以上説明した本実施形態に係るアクティブマトリクス型有機EL表示装置では、スイッチングトランジスタ37を制御するに当たって、当該スイッチングトランジスタ37のゲートに電位制御信号PCを与える電位制御用走査回路23を設けるとしたが、当該電位制御用走査回路23と第一補正用走査回路21とを兼用することができる。具体的には、電位制御用走査回路23で電位制御信号PCを生成し、当該電位制御信号PCの極性を反転しかつ遅延して第一補正用走査信号AZ1として用いるようにする。
図3のタイミング波形図では、第一補正用走査信号AZ1の“L”レベルから“H”レベルへの遷移タイミングと電位制御信号PCの“H”レベルから“L”レベルへの遷移タイミングとが同タイミングとなっている。これに対して、電位制御信号PCの極性を反転しかつ遅延して第一補正用走査信号AZ1とすることで、第一補正用走査信号AZ1の遷移タイミングより電位制御信号PCの遷移タイミングの方が早くなる。
ただし、このようなタイミング関係になったとしても、画素回路11の先述した回路動作を行う上で何ら問題となることはない。重要なのは、電位制御信号PCが“L”レベルから“H”レベルへ遷移した後に、第一補正用走査信号AZ1が“H”レベルから“L”レベルへ遷移するタイミング関係である。その理由は先述した通りである。
このように、電位制御用走査回路23と第一補正用走査回路21とを兼用することにより、走査系に関して従来と同じ数の走査回路で済むために、画素アレイ部12の周辺駆動回路の回路規模を大きくすることなく、所期の目的、即ち駆動トランジスタ32の閾値電圧Vthを検出して保持容量38に保持するVth補正動作を短時間で確実に実行するという目的を達成することができる。
なお、本発明が適用される有機EL表示装置の画素回路(画素)としては、図1に示した画素回路11の回路例に限られるものではなく、有機EL素子31に加えて、少なくとも、有機EL素子31を駆動する駆動トランジスタ32と、入力信号電圧Vsigをサンプリングして書き込む書き込みトランジスタ33と、駆動トランジスタ32のゲートとソースとの間に接続され、書き込みトランジスタ33によって書き込まれる入力信号電圧Vsigを保持する保持容量37とを含む回路構成の画素回路であれば、本発明の適用対象となる。
また、上記実施形態では、画素回路11の電気光学素子として、有機EL素子31を用いた有機EL表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの適用例に限られるものではなく、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子(発光素子)を用いた表示装置全般に対して適用可能である。
11…画素回路(画素)、12…画素アレイ部、13…走査線、14…駆動線、15…第一補正用走査線、16…第二補正用走査線、17…電位制御線、18…データ線(信号線)、19…書き込み走査回路、20…駆動走査回路、21…第一補正用走査回路、22…第二補正用走査回路、23…電位制御用走査回路、24…データ線駆動回路、31…有機EL素子、32…駆動トランジスタ、33…書き込みトランジスタ、34,35,36,37…スイッチングトランジスタ、38…保持容量
Claims (4)
- 電気光学素子と、前記電気光学素子を駆動する駆動トランジスタと、入力信号電圧をサンプリングして画素内に書き込む書き込みトランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートとソースとの間に接続され、前記書き込みトランジスタによって書き込まれた前記入力信号電圧を保持する保持容量とを有する画素回路が複数配置されてなり、
前記駆動トランジスタによる前記電気光学素子の駆動に対して当該駆動トランジスタの閾値電圧が影響を及ぼさないようにするために、前記電気光学素子を駆動する前の第1の補正期間に、前記駆動トランジスタの閾値電圧を検出して前記保持容量に保持する動作を行う表示装置であって、
前記画素回路は、前記電気光学素子と前記駆動トランジスタとの間に接続され、少なくとも前記第1の補正期間に非導通状態となるスイッチ素子を有する
ことを特徴とする表示装置。 - 前記スイッチ素子は、前記書き込みトランジスタによって前記入力信号電圧が書き込まれている状態で前記電気光学素子が発光する前に前記駆動トランジスタのドレイン・ソース間電流の移動度に対する依存性を打ち消す第2の補正期間に導通状態となる
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。 - 電気光学素子と、前記電気光学素子を駆動する駆動トランジスタと、入力信号電圧をサンプリングして画素内に書き込む書き込みトランジスタと、前記駆動トランジスタのゲートとソースとの間に接続され、前記書き込みトランジスタによって書き込まれた前記入力信号電圧を保持する保持容量とを有する画素回路が複数配置されてなり、
前記駆動トランジスタによる前記電気光学素子の駆動に対して当該駆動トランジスタの閾値電圧が影響を及ぼさないようにするために、前記電気光学素子を駆動する前の第1の補正期間に、前記駆動トランジスタの閾値電圧を検出して前記保持容量に保持する動作を行う表示装置の駆動方法であって、
少なくとも前記第1の補正期間に前記電気光学素子と前記駆動トランジスタとの間の電気的接続を開放する
ことを特徴とする表示装置の駆動方法。 - 前記書き込みトランジスタによって前記入力信号電圧が書き込まれている状態で前記電気光学素子が発光する前に前記駆動トランジスタのドレイン・ソース間電流の移動度に対する依存性を打ち消す第2の補正期間に、前記電気光学素子と前記駆動トランジスタとを電気的に接続する
ことを特徴とする請求項3記載の表示装置の駆動方法。
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