JP2008031960A - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Keisuke Taniguchi
恵介 谷口
Yoshie Tsujimi
佳恵 辻見
Shingo Miyake
信吾 三宅
Kaname Ueno
要 上野
Yasuhiro Tsunokake
泰洋 角掛
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Abstract

【課題】 シール部材とシール溝との間の隙間を無くすことができるスクロール式流体機械を提供する。
【解決手段】 チップシール20の外周面20Dにはワックス23を塗布する。この状態で、チップシール20をラップ部5,10のシール溝7,12内に挿入する。これにより、ワックス23は、チップシール20の外周面20Dとシール溝7,12の外側壁面7C,12Cとの間の隙間に配置される。この結果、チップシール20の底面20Aとシール溝7,12の底面7A,12Aとの間に流入した圧縮空気が隙間から漏れることがなく、圧縮空気の押圧力Aによってチップシール20のシール性を高めることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、空気圧縮機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
一般に、スクロール式流体機械は、互いに対向する2つのスクロールを備え、各スクロールは、その鏡板の歯底面に渦巻状のラップ部が立設される構成となっている。そして、2つのスクロールを対向して配置することによって、2つのラップ部が重なり合って複数の圧縮室が画成される。この状態で、一方のスクロールを他方のスクロールに対して旋回運動させることにより、圧縮室を連続的に縮小して空気等を圧縮している。
また、従来技術として、スクロールのラップ部の歯先面に、各圧縮室の気密性を確保するためのシール部材を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。このとき、ラップ部の歯先面には、ラップ部の長さ方向に沿って延びる渦巻状のシール溝が開口している。また、シール部材には、シール溝の底面および内径側の側面と対向する位置に、切れ込みを入れることによって複数のリップ部が形成されている。この状態でシール部材は、シール溝内に装着されている。
そして、従来技術では、シール部材のリップ部がシール溝の内径側側面に摺接することによって、シール部材の内径側側面とシール溝の内径側側面との間に隙間が形成される。これにより、圧縮空気がこの隙間からシール部材の底面とシール溝の底面との間に進入し、シール部材をシール溝内から浮上させて相手方の鏡板に向けて押付ける。この結果、シール部材によってラップ部の歯先と相手方の鏡板との間をシールすると共に、リップ部によってシール溝内の圧縮空気の漏れを防止していた。
特開平10−47266号公報
ところで、上述の特許文献1に記載された従来技術では、シール部材は、耐熱性、耐摩耗性、摺動性等の条件を満たすために、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を含む樹脂複合材料によって形成されている。そして、PTFEを含む紐状のシール部材を湾曲させることにより、このシール部材を渦巻状のシール溝に嵌め込む構成としている。
この場合、シール溝の曲率は外径側で小さく、内径側に向けて徐々に大きくなるから、シール溝の内径側には、シール部材を折曲げるように極端に湾曲させた状態で嵌め込む必要がある。このため、内径側の湾曲部位では、外径側の湾曲部位に比べて曲率が大きくなって歪みが生じ、例えばシール部材の外径側側面とシール溝の外径側側面との間に隙間が形成されることがある。このようにシール部材とシール溝との間に隙間が形成されると、シール部材の底面とシール溝の底面との間に進入した圧縮空気がこの隙間を通じて漏れてしまう。この結果、シール部材を浮上させる力が不足するから、シール部材と相手方の鏡板との接触が不十分でシール性が低下する。特に、圧縮機の起動時には圧縮空気の圧力も低いから、シール性の低下が顕著となり、圧縮空気の吐き出し圧力や空気量が不足する等の不具合が生じるという問題があった。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、シール部材とシール溝との間の隙間を無くすことができるスクロール式流体機械を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、鏡板の内径側から外径側に向けて渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された一方のスクロールと、該一方のスクロールに対向して設けられ鏡板に該一方のスクロールのラップ部と重なり合う渦巻状のラップ部が立設された他方のスクロールと、前記各スクロールのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部の歯先面に開口して設けられた渦巻状のシール溝と、該シール溝内に装着されて相手方の鏡板に摺接するシール部材と、該シール部材に設けられ前記シール溝の底面および両側面のうち一方の側面に弾性的に摺接する複数のリップ部とを備えてなるスクロール式流体機械において、前記シール部材とシール溝の他方の側面との間には固体または半固体の油脂材を設ける構成としたことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、シール部材とシール溝の他方の側面との間には固体または半固体の油脂材を設ける構成としたから、油脂材を用いてシール部材とシール溝との間の隙間を塞ぐことができる。これにより、シール部材の底面とシール溝の底面との間に進入した圧縮流体を当該箇所に確実に保持することができるから、例えば起動時等のように圧縮流体が低圧な状態であっても、シール部材をシール溝から浮上させてシール性を確保することができ、圧縮流体の吐出し圧力の向上および所望の吐出量の確保等を行うことができる。
また、シール部材とシール溝との間には油脂材を設けたから、シール部材とシール溝との間の隙間に応じて油脂材の形状を自由に変えることができ、油脂材を用いて確実に隙間を塞ぐことができる。さらに、例えば圧縮運転によって各スクロールが高温となる場合には、油脂材は、各スクロールの最高温度よりも高い融点または滴点を有するものを採用するのが好ましい。これにより、油脂材は、圧縮運転による高温状態でも、蒸発することなく隙間に残留することができる。
また、シール部材とシール溝との間には油脂材を設けたから、シール部材とシール溝との間の摩擦抵抗を低下させることができる。このため、例えばシール部材が相手方の鏡板に摺接することによってシール部材の摺接面(シール面)に摩耗が生じた場合でも、圧縮流体の圧力によって摩擦抵抗に抗して容易にシール部材をシール溝から浮上させることができ、シール部材を相手方の鏡板に確実に摺接させることができる。このため、摩耗に対するシール部材の浮上高さの追従性を向上させることができ、長期間に亘ってシール部材によるシール性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械として空気圧縮機を例に挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1ないし図7は第1の実施の形態を示している。そして、図において、1は圧縮機の外殻を構成するケーシングで、該ケーシング1は、軸方向一側が開口した有底筒状に形成され、その軸方向他側には、出力軸2Aを有するモータ2が取付けられている。また、本実施の形態のスクロール式空気圧縮機は、例えば自動車等の車両に空圧アクチュエータとして搭載される小型の圧縮機となっている。
3はケーシング1の軸方向一側に設けられた固定スクロールで、該固定スクロール3は、例えばアルミニウム等の金属材料、またはその合金等を用いて形成され、円板状の鏡板4と、該鏡板4の歯底面4Aに軸方向に向けて立設された渦巻状のラップ部5と、鏡板4の外周側に設けられ、該ラップ部5を取囲む筒状の支持部6とによって大略構成されている。
ここで、ラップ部5は、図2、図3に示すように、例えば最内径端を巻始め端として、最外径端を巻終り端としたときに、内径側から外径側に向けて例えば3巻前,後の渦巻状に巻回されている。そして、ラップ部5の歯先面5Aは、図4に示すように、後述する旋回スクロール8のラップ部10と同様に、相手方となる鏡板9の歯底面9Aから一定の寸法だけ軸方向に離間し、この歯先面5Aには後述のシール溝7が設けられている。
7はラップ部5の歯先面5Aに開口して設けられたシール溝で、該シール溝7は、後述のチップシール20が装着されるものである。ここで、シール溝7は、図2、図3に示すように、後述のシール溝12とほぼ同様に、渦巻状の凹溝として形成され、ラップ部5の長さ方向に延びている。
また、シール溝7の断面形状(横断面)は、図4に示すように、例えば略コ字状または四角形状に形成されている。そして、シール溝7は、底面7Aと、該底面7Aの径方向内側に位置する内側壁面7Bと、底面7Aの径方向外側に位置する外側壁面7Cとを有している。このとき、内側壁面7Bと外側壁面7Cが、シール溝7の両方の側面にそれぞれ対応している。
8は固定スクロール3に対向してケーシング1内に旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール8は、固定スクロール3とほぼ同様に、例えばアルミニウム等の金属材料、またはその合金等を用いて形成されている。
そして、旋回スクロール8は、図1に示すように、表面側が歯底面9Aとなった円板状の鏡板9と、該鏡板9の歯底面9Aから固定スクロール3の鏡板4に向けて軸方向に立設された渦巻状のラップ部10と、鏡板9の裏面中央に突設され、後述の駆動軸13が連結されるボス部11とによって構成されている。
ここで、ラップ部10は、図2、図3に示すように、内径側から外径側に向けて例えば3巻前,後の渦巻状に巻回されている。そして、ラップ部10の歯先面10A側には、図4に示すように、底面12A、内側壁面12Bおよび外側壁面12Cを有するシール溝12が設けられ、このシール溝12にはチップシール20が装着されている。このとき、内側壁面12Bと外側壁面12Cが、シール溝12の両方の側面にそれぞれ対応している。
13はケーシング1内に軸受等を介して回転可能に設けられた駆動軸で、該駆動軸13は、図1に示すように、基端側がモータ2の出力軸2Aに取付けられ、モータ2によって回転駆動される。また、駆動軸13の先端側には、偏心ブッシュ14と旋回軸受15とを介して旋回スクロール8のボス部11が旋回可能に連結されている。この偏心ブッシュ14は、ボス部11と駆動軸13とを径方向に偏心させた状態で互いに連結するものである。
これにより、駆動軸13が回転するときには、その軸線を中心として旋回スクロール8が一定の旋回半径で旋回運動を行う。この場合、ケーシング1と旋回スクロール8の背面側との間には、旋回スクロール8が旋回運動時に自転するのを防止する例えば3個の自転防止機構16(1個のみ図示)が設けられている。
また、旋回スクロール8は、固定スクロール3に対し例えば180度ずらして重なり合うように配設され、両者のラップ部5,10間には、外径側から内径側(中央)にかけて複数の圧縮室17が画成されている。そして、圧縮機の運転時には、固定スクロール3に設けられた吸込口18から外径側の圧縮室17内に空気を吸込みつつ、この空気を各圧縮室17内で順次圧縮し、最後に、中央側の圧縮室17内に収容された圧縮空気を、固定スクロール3に設けられた吐出口19から外部に吐出する。
次に、固定スクロール3と旋回スクロール8のシール溝7,12内にそれぞれ装着されたシール部材としてのチップシール20について説明する。
まず、旋回スクロール8のシール溝12に装着されたチップシール20を例に挙げて説明すると、このチップシール20は、旋回スクロール8のラップ部10と、相手方となる固定スクロール3の鏡板4との間をシールするものである。
ここで、チップシール20は、図4に示すように略四角形の断面形状を有し、シール溝12の底部側に配置される底面20Aと、該底面20Aと対向してシール溝12の開口側に配置されるシール面20Bと、底面20Aとシール面20Bとを内周側で接続する内周面20Cと、底面20Aとシール面20Bとを外周側で接続する外周面20Dとを備えている。このとき、内周面20Cと外周面20Dが、チップシール20の両方の側面にそれぞれ対応している。
また、チップシール20は、例えば耐熱性、耐摩耗性、摺動性に優れた樹脂材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を含む樹脂複合材料を用いて形成されている。このチップシール20は、シール溝12の長さ方向に沿って渦巻状に延びている。
そして、チップシール20は、図4に示すように、圧縮機の運転時にシール溝12の内周側に圧縮空気が流入すると、この圧縮空気の押圧力A,Bによって相手方の鏡板4とシール溝12の外側壁面12Cとに押付けられた状態となり、これによってシール性を発揮する。
21はチップシール20の底面20Aに形成された複数の底面突起としての底面リップ部で、これらの底面リップ部21は、図3に示すように、例えばチップシール20の底面20A側に斜めに切込みを入れることにより、薄肉なリップ部として形成され、チップシール20の長さ方向(渦巻方向)に間隔をもって配置されている。
そして、底面リップ部21の先端側は、チップシール20の内径側に向けて拡開しつつ、その底面20Aからシール溝12の底面12Aに向けて斜めに突出した自由端となり、この自由端側はシール溝12の底面12Aに弾性的に当接している。
これにより、各底面リップ部21は、圧縮運転が行われるときに、チップシール20の底面20Aとシール溝12の底面12Aとの間の隙間をチップシール20の長さ方向に対して複数箇所で遮断し、これらの間を通じてシール溝12の内径側から外径側に圧縮空気が漏れるのを防止している。また、チップシール20は、各底面リップ部21の間に流入する圧縮空気によってシール溝12から浮上がる方向に押圧され、固定スクロール3の歯底面4Aに摺接する構成となっている。
22は例えばチップシール20の内周面20Cに渦巻方向に間隔をもって形成された複数の側面突起としての内側リップ部で、該各内側リップ部22の先端側は、底面リップ部21とほぼ同様に、チップシール20の内径側に向けて拡開しつつ、その内周面20Cからシール溝12の内側壁面12Bに向けて斜めに突出し、内側壁面12Bに弾性的に当接している。
そして、各内側リップ部22は、チップシール20の内周面20Cとシール溝12の内側壁面12Bとの間の隙間をチップシール20の長さ方向に対して複数箇所で遮断し、これらの間を通じてシール溝12の内径側から外径側に圧縮空気が漏れるのを防止している。
また、圧縮運転時には、シール溝12内で各内側リップ部22の間にも圧縮空気が流入する。この場合、圧縮空気の圧力は、ラップ部10の外径側から内径側に向けて徐々に高圧となるから、チップシール20の内周側と外周側の圧力を比較すると、内周側の方が高圧となる。
このため、内側リップ部22はチップシール20の内周面20Cに配置され、チップシール20の内周側に高圧な圧縮空気を導入し易い構成となっている。これにより、チップシール20の内周側に流入する高圧な圧縮空気によって外周面20Dをシール溝12の外側壁面12Cに安定的に押付けることができ、これらの間の隙間を確実に遮断することができる。
一方、固定スクロール3のシール溝7に装着されたチップシール20は、相手方となる旋回スクロール8(鏡板9)の歯底面9Aとの間をシールするもので、このチップシール20についても、旋回スクロール8側のチップシール20と同様に構成され、底面リップ部21および内側リップ部22を有している。
23はチップシール20に塗布された固体の油脂材としてのワックスで、該ワックス23は、図3、図4に示すように、チップシール20の両側面のうち内側リップ部22とは反対側となる外周面20Dに配置されている。また、ワックス23は、高密度で稠密な固形の油脂材料によって形成されている。そして、ワックス23は、チップシール20の外周面20Dとシール溝7,12の外側壁面7C,12Cとの間に配置され、これらの間の隙間を塞いでいる。
ここで、ワックス23の一例としては、金属石鹸の一種である堺化学工業株式会社のステアリン酸バリウムが適用される。また、ワックス23は、圧縮機を運転したときの最高温度よりも高い融点を有する材料が好ましく、例えばステアリン酸バリウムを用いたときには、ワックス23の融点は225℃程度である。これにより、ワックス23は、圧縮機の運転時でも、チップシール20の外周面20Dとシール溝7,12の外側壁面7C,12Cとの間の隙間から消滅することがなく、隙間を継続的に塞ぐものである。
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は、上述の如き構成を有するもので、次に、図5ないし図7を参照してチップシール20の製造方法および装着方法について説明する。
まず、シール体形成工程では、例えばPTFE等を含む樹脂複合材料を用いて円形紐状のシール体24を樹脂成形する。この際、シール体24は、例えば樹脂複合材料の筒体を形成した後に、該筒体を所望の厚さ寸法で輪切りすることによって形成してもよい。
次に、リップ部形成工程では、図5に示すように、環状のシール体24を回転可能な円盤状の回転テーブル25上に載置する。このとき、シール体24の中心位置と回転テーブル25の回転中心とを一致させる。また、シール体24は、チップシール20の底面20Aとなる底面24Aを露出させ、チップシール20のシール面20Bとなる表面24Bを回転テーブル25に当接させた状態で、回転テーブル25に取付けられる。
この状態で、シール体24の底面24Aに向けて径方向にカッター26を進出させる。これにより、シール体24の底面24Aには、斜めに傾斜した切込みが入り、底面リップ部21が形成される。一方、底面リップ部21とは異なる位置で、シール体24の内周面24Cに向けて軸方向(上,下方向)にカッター27を進出させる。これにより、シール体24の内周面24Cには、斜めに傾斜した切込みが入り、内側リップ部22が形成される。そして、1組の底面リップ部21と内側リップ部22の形成が終了すると、回転テーブル25を一定角度だけ回転させて、形成終了後のリップ部21,22とは異なる位置に次なるリップ部21,22を形成する。この作業を繰返すことによって、シール体24の全周に亘って、シール体24の周方向(長さ方向)に離間した複数のリップ部21,22を加工する。
次に、油脂材塗布工程では、ステアリン酸バリウムからなるワックス23を例えば溶剤に溶かす。そして、この溶剤に溶けたワックス23を、図6に示すように、シール体24の外周面24Dに塗布し、その後乾燥させる。これにより、溶剤成分が蒸発してワックス23が残留するから、ワックス23は、シール体24の外周面24Dに付着する。その後、シール体24を1箇所で切断し、線形紐状のチップシール20を形成する。これにより、チップシール20の外周面20Dにはワックス23が付着した状態となる。
最後に、装着工程では、図7に示すように、紐状のチップシール20を湾曲させることにより、このチップシール20を渦巻状のシール溝7,12にそれぞれ嵌め込む。このとき、チップシール20の外周面20Dがシール溝7,12の外側壁面7C,12Cに接触する部位では、チップシール20をシール溝7,12に挿入するときに、ワックス23が擦れてチップシール20から剥離する。これにより、余分なワックス23が取り除かれる。一方、チップシール20とシール溝7,12との間の隙間が形成される部位では、該隙間にワックス23が残存することになる。
次に、空気圧縮機の作動について説明すると、まずモータ2によって駆動軸13を回転駆動したときには、駆動軸13の回転が偏心ブッシュ14、旋回軸受15等を介して旋回スクロール8に伝えられる。これにより、旋回スクロール8は、自転防止機構16によって自転を規制された状態で、駆動軸13を中心として旋回運動を行う。
このとき、固定スクロール3のラップ部5と旋回スクロール8のラップ部10との間に画成された圧縮室17は、外径側から内径側に向けて連続的に縮小する。これにより、圧縮機は、吸込口18から吸込んだ外気を各圧縮室17で順次圧縮し、吐出口19から外部のタンク(図示せず)等に向けて圧縮空気を吐出する。
また、圧縮運転時には、各シール溝7,12の内周側に位置する圧縮室17の方が外周側に位置する圧縮室17よりも高圧となるため、シール溝7,12の内周側には、図4に示すように圧縮室17から圧縮空気が流入する。
これにより、シール溝7内のチップシール20は、圧縮空気の押圧力Aによって相手方の鏡板9の歯底面9Aに摺接しつつ、押圧力Bによってシール溝7の外側壁面7Cに押付けられた状態となる。また、シール溝12内のチップシール20も同様に、相手方の鏡板4の歯底面4Aに摺接しつつ、シール溝12の外側壁面12Cに押付けられた状態となる。
ここで、従来技術のように、チップシール20にワックス23を塗布しないときには、図8に示す比較例のように、チップシール20を湾曲させた状態でシール溝7,12に嵌め込むときに、例えばチップシール20の内径部では、外径部に比べて曲率が大きくなるため歪みが生じ、チップシール20の外周面20Dとシール溝7,12の外側壁面7C,12Cとの間に隙間が生じることがある。この場合、チップシール20の底面とシール溝7,12の底面との間に流入した圧縮空気がこの隙間を通じてシール溝7,12内から流出する。このため、比較例では、圧縮空気の押圧力Aが減少するから、チップシール20をシール溝7,12から浮上させる力が不足し、チップシール20と相手方の鏡板9,4との接触が不十分でシール性が低下する。
特に、圧縮機の起動時には圧縮空気の圧力も低いから、シール性の低下が顕著となり、圧縮空気の吐き出し圧力や空気量が不足する等の不具合が生じる傾向がある。この結果、比較例では、例えば圧縮機を起動してから数時間の間は、設定圧力、設定流量の圧縮空気を得るために、モータ2に対して設定よりも高い電気量(電流、電圧)を供給する必要がある。
これに対し、本実施の形態では、チップシール20の外周面20Dにはワックス23を設けたから、該ワックス23によってチップシール20の外周面20Dとシール溝7,12の外側壁面7C,12Cとの間の隙間を塞ぐことができる。これにより、チップシール20の底面20Aとシール溝7,12の底面7A,12Aとの間に進入した圧縮流体を当該箇所に確実に保持することができるから、例えば起動時等のように圧縮流体が低圧な状態であっても、チップシール20をシール溝7,12から浮上させてチップシール20の全長に亘って高いシール性を発揮することができる。この結果、例えば圧縮機の起動時でも、モータ2に設定の電気量を供給することによって、設定圧力、設定流量の圧縮空気を得ることができる。
かくして、本実施の形態によれば、チップシール20の外周面20Dとシール溝7,12の外側壁面7C,12Cとの間にはワックス23を設ける構成としたから、ワックス23を用いてチップシール20とシール溝7,12との間の隙間を塞ぐことができる。これにより、チップシール20の底面20Aとシール溝7,12の底面7A,12Aとの間に進入した圧縮空気を当該箇所に確実に保持することができるから、例えば起動時等のように圧縮空気が低圧な状態であっても、チップシール20をシール溝7,12から浮上させてシール性を確保することができ、圧縮空気の吐出し圧力の向上および所望の吐出量の確保等を行うことができる。
また、チップシール20とシール溝7,12との間にはワックス23を設けたから、チップシール20とシール溝7,12との間の隙間に応じてワックス23の形状を自由に変えることができ、ワックス23を用いて確実に隙間を塞ぐことができる。
さらに、ワックス23は、その融点が各スクロール3,8の最高温度よりも高い温度となるものを採用したから、ワックス23は、圧縮運転による高温状態でも、蒸発することなく隙間に残留することができる。
また、チップシール20とシール溝7,12との間にはワックス23を設けたから、チップシール20とシール溝7,12との間の摩擦抵抗を低下させることができる。このため、例えばチップシール20が相手方の鏡板9,4に摺接することによってチップシール20のシール面20Bに摩耗が生じた場合でも、圧縮空気の圧力によって摩擦抵抗に抗して容易にチップシール20をシール溝7,12から浮上させることができ、チップシール20を相手方の鏡板9,4に確実に摺接させることができる。このため、摩耗に対するチップシール20の浮上高さの追従性を向上させることができ、長期間に亘ってチップシール20によるシール性を確保することができる。
次に、図9は第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、チップシールとシール溝との間の隙間には半固体の油脂材となるグリースを設けたことにある。なお、第2の実施の形態では第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
31はチップシール20に塗布された半固体の油脂材としてのグリースで、該グリース31は、第1の実施の形態によるワックス23と同様に、チップシール20の外周面20Dに配置されている。また、グリース31は、流動性を有する油脂材料によって形成されている。そして、グリース31は、チップシール20の外周面20Dとシール溝7,12の外側壁面7C,12Cとの間に配置され、これらの間の隙間を塞いでいる。
ここで、グリース31の一例としては、東レ・ダウコーリング株式会社のメチルフェニルシリコーンオイルに増稠剤を加えたもの、またはフロロシリコーンオイルに増稠剤を加えたものが適用される。このとき、増稠剤は、他の液体を固化してグリースを形成する配合剤である。
また、グリース31は、圧縮機を運転したときの最高温度よりも高い滴点を有する材料が好ましい。このとき、滴点は、グリース31が流動状態となり、滴下するような温度を示すものである。そして、前記メチルフェニルシリコーンオイルまたはフロロシリコーンオイルを用いたときには、グリース31の滴点は160〜250℃程度である。これにより、グリース31は、圧縮機の運転時でも、チップシール20の外周面20Dとシール溝7,12の外側壁面7C,12Cとの間の隙間から消滅することがなく、隙間を継続的に塞ぐものである。
かくして、第2の実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、前記各実施の形態では、チップシール20をPTFE等の樹脂複合材料によって形成する構成とした。しかし、本発明のチップシールに用いる材料は実施の形態に限るものではなく、例えばチップシールをPTFE以外の材料を用いた樹脂複合材料によって構成してもよい。
また、前記各実施の形態では、固定スクロール3と旋回スクロール8のラップ部5,10にチップシール20をそれぞれ設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、ラップ部5,10の一方だけにチップシールを設け、他方のチップシールを省略する構成としてもよい。
また、前記各実施の形態では、油脂材としてワックス23、グリース31を具体的に例示したが、これら例示した材料に限らず、スクロールの最高温度等に応じて種々の油脂材料が適用可能である。
さらに、前記各実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば真空ポンプ、冷媒圧縮機等にも広く適用できるものである。
本発明の第1の実施の形態によるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 各スクロールのラップ部等を図1中の矢示II−II方向から拡大してみた断面図である。 チップシールとラップ部とを分解した状態で示す要部拡大斜視図である。 チップシールを示す図2中の矢示IV−IV方向から拡大してみた要部拡大端面図である。 円形紐状のシール体にリップ部を形成する状態を示す斜視図である。 円形紐状のシール体から線形紐状のチップシールを形成する状態を示す斜視図である。 チップシールとラップ部のシール溝に装着する状態で示す斜視図である。 比較例によるチップシールを示す図4と同様位置の要部拡大端面図である。 第2の実施の形態によるチップシールを示す図4と同様位置の要部拡大端面図である。
符号の説明
3 固定スクロール
4,9 鏡板
4A,9A 歯底面
5,10 ラップ部
5A,10A 歯先面
7,12 シール溝
7A,12A 底面
7B,12B 内側壁面
7C,12C 外側壁面
8 旋回スクロール
17 圧縮室
20 チップシール(シール部材)
20A 底面
20B シール面
20C 内周面
20D 外周面
21,22 リップ部
23 ワックス(油脂材)
31 グリース(油脂材)

Claims (1)

  1. 鏡板の内径側から外径側に向けて渦巻状に巻回されたラップ部が軸方向に立設された一方のスクロールと、該一方のスクロールに対向して設けられ鏡板に該一方のスクロールのラップ部と重なり合う渦巻状のラップ部が立設された他方のスクロールと、前記各スクロールのラップ部のうち少なくとも一方のラップ部の歯先面に開口して設けられた渦巻状のシール溝と、該シール溝内に装着されて相手方の鏡板に摺接するシール部材と、該シール部材に設けられ前記シール溝の底面および両側面のうち一方の側面に弾性的に摺接する複数のリップ部とを備えてなるスクロール式流体機械において、
    前記シール部材とシール溝の他方の側面との間には固体または半固体の油脂材を設ける構成としたことを特徴とするスクロール式流体機械。
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