JP2006177324A - 圧縮機の摺動部材および圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 摺動部が高温となった場合に、良好な摺動特性を示す摺動部材および圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の圧縮機の摺動部材は、摺動面に開口する複数の細孔をもつ多孔質部と、細孔に固体状態で保持され、摺動面が120℃以上のある温度となったときに溶融する潤滑剤と、を少なくとも摺動面側に有する。
また、本発明の圧縮機は、ガスを圧縮する圧縮機であって、互いに摺動する摺動面をもつ第一摺動部材および第二摺動部材を有し、第一摺動部材および第二摺動部材の少なくとも一方の摺動面側は、摺動面側に開口する複数の細孔をもつ多孔質部と、細孔に固体状態で保持され摺動面が120℃以上のある温度となったときに溶融する潤滑剤と、からなることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の圧縮機の摺動部材は、摺動面に開口する複数の細孔をもつ多孔質部と、細孔に固体状態で保持され、摺動面が120℃以上のある温度となったときに溶融する潤滑剤と、を少なくとも摺動面側に有する。
また、本発明の圧縮機は、ガスを圧縮する圧縮機であって、互いに摺動する摺動面をもつ第一摺動部材および第二摺動部材を有し、第一摺動部材および第二摺動部材の少なくとも一方の摺動面側は、摺動面側に開口する複数の細孔をもつ多孔質部と、細孔に固体状態で保持され摺動面が120℃以上のある温度となったときに溶融する潤滑剤と、からなることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、圧縮機の摺動部に用いられる摺動部材、および、その摺動部材を有する圧縮機に関する。
これまで、各種装置に用いられる摺動部材の摺動特性を向上させるために、様々な構成の摺動部材が提案されている。たとえば、特許文献1には、内燃機関の運転時の温度で融解する物質を焼結体に含浸させて摩擦係数を低減させた内燃機関弁座(バルブシート)が開示されている。また、特許文献2には、シリコーン油またはエステル油が含浸された多孔質シリカと樹脂組成物とからなる混合物から射出成形により形成した摺動部材が開示されている。
ところで、圧縮機の内部には複数の摺動部が存在する。たとえば、エアコン用コンプレッサの摺動面では、圧縮機内の冷媒ガスと共に循環するオイルミストを摺動面間に取り込んで潤滑油として利用することにより、潤滑性が保たれている。ところが、コンプレッサ内の冷媒ガスは液化することがあり、その液体が摺動部材と接触すると、液体により潤滑油が取り除かれてしまうことがある。さらに、高速回転する摺動部材では、潤滑油が遠心力により飛散する虞がある。また、通常、摺動面は、グラファイト等の固体潤滑剤とバインダー樹脂とからなる固体潤滑剤被膜により被覆されているが、作動条件によっては、固体潤滑剤被膜が摩滅することも考えられる。このような状況になると、摺動特性は低下し、さらには、摺動部材の摺動面が高温となり焼き付きが発生する場合がある。
特許文献1および特許文献2では、摺動部材やバルブシートの使用時には、含浸物質が液体状態である。したがって、液体状態の含浸物質を圧縮機の摺動部材に用いても、上述のように液体状態の含浸物質は圧縮機の通常の作動中に摺動部材から取り除かれたり飛散するので、摺動特性の低下や焼き付きの発生などの問題が起こりやすい。
また、特許文献3には、焼結体に潤滑性弗化物を含浸させた耐摩耗性焼結体が開示されている。しかしながら、潤滑性弗化物は高融点(弗化リチウムの融点は848℃)であって、圧縮機の運転時には常に固体状態であり、圧縮機に適用しても十分な摺動特性が得られない場合がある。
特開昭56−44745号公報
特開2002−129183号公報
特開平2−50904号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、摺動部が高温となった場合に、良好な摺動特性を示す摺動部材および圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の圧縮機の摺動部材(以下「摺動部材」と記載)は、摺動面に開口する複数の細孔をもつ多孔質部と、該細孔に固体状態で保持され該摺動面が120℃以上のある温度(T[℃]とする)となったときに溶融する潤滑剤と、を少なくとも摺動面側に有することを特徴とする。
本発明の圧縮機は、ガスを圧縮する圧縮機であって、互いに摺動する摺動面をもつ第一摺動部材および第二摺動部材を有し、該第一摺動部材および該第二摺動部材の少なくとも一方の摺動面側は、摺動面に開口する複数の細孔をもつ多孔質部と、該細孔に固体状態で保持され該摺動面が120℃以上のある温度(T[℃]とする)となったときに溶融する潤滑剤と、からなることを特徴とする。
前記多孔質部は、連続して分散する気孔を有する焼結体であるのが好ましい。ここで、気孔が「連続して分散する」とは、気孔が独立して存在するのではなく、繋がって連続的に存在する状態である。この際、前記焼結体は、金属粉末または黒鉛粉末を含む原料粉末を焼結してなるのが好ましい。
前記潤滑剤は、高級脂肪酸の金属塩であるのが好ましく、より好ましくは、ステアリン酸亜鉛である。
さらに、前記多孔質部材の摺動面は、固体潤滑剤被膜を有するのが好ましい。なお、固体潤滑剤被膜とは、グラファイト等の固体潤滑剤とバインダー樹脂とからなる被膜であって、上記潤滑剤とは異なるものである。
本発明の摺動部材および圧縮機によれば、摺動面の温度がT[℃]未満では、潤滑剤は多孔質部の細孔に固体状態で保持される。そのため、摺動部材から取り除かれたり飛散することがない。そして、摺動特性の低下などに起因して摺動面の温度がT[℃]となったときに、潤滑剤は溶融する。潤滑剤が溶融すると、摺動面に開口する細孔から潤滑剤が摺動面に供給される。その結果、摺動面の温度が高温になっても、潤滑性が向上し、良好な摺動特性を示す。
なお、多孔質部が、連続して分散する気孔を有する焼結体であれば、溶融した潤滑剤を継続的に摺動面に供給することができる。
以下に、本発明の摺動部材および圧縮機を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の摺動部材は、圧縮機の摺動部材であって、多孔質部と潤滑剤とを少なくとも摺動面側に有する。すなわち、本発明の摺動部材は、摺動部材全体が多孔質部と潤滑剤とで構成されていてもよいし、摺動部材のうち摺動面を含む摺動面側のみ(すなわち摺動部材の一部)が多孔質部と潤滑剤とで構成されていてもよいものである。
多孔質部は、少なくとも摺動面に開口する複数の細孔をもつものであれば、特に限定はない。また、後述の潤滑剤を良好に保持できれば、細孔の形状にも特に限定はない。したがって、既存の摺動部材の摺動面を加工して細孔を形成してもよいが、多孔質部は焼結体であるのが好ましい。多孔質部が焼結体である場合には、焼結体の空孔部分が細孔となる。
焼結体は、その形状や材質に特に限定はない。摺動部材の種類や形状などに合わせて適宜選択すればよい。たとえば、金属粉末や黒鉛粉末を含む原料粉末からなる焼結体であればよい。金属粉末としては、具体的には、鉄粉(還元鉄粉、または還元鉄粉に黒鉛粉や銅紛を添加したもの、合金鋼粉など)などを用いることができる。
原料粉末は、従来より焼結体に用いられている粉末であればよく、通常、粒径が20〜180μmであって球形または球形に近い形状が用いられる。これらの粉末は、たとえば、各種アトマイズ法や粉砕法などにより得られる。また、原料粉末から、微細な粉末を除去して用いてもよい。原料粉末から微細な粉末を除去すれば、気孔率の高い焼結体が得られる。具体的には、粒径が40μm以下の粉末を原料粉末から除去するのがよい。なお、気孔率(Vp)とは、焼結体の体積当たりに占める気孔の体積割合[%]である。
また、焼結体は、その気孔部分に潤滑剤が保持できる程度の気孔率(Vp)および気孔径を有するものであればよい。ただし、気孔率が高いものや粗大な気孔を有する焼結体を用いると、潤滑剤の保持量は増大する反面、焼結体の強度が低下する。そのため、圧縮機の摺動部材としては、焼結体の体積率(Vf=100−Vp[%])が3%以上であるのが好ましく、さらに好ましくは、5〜20%である。また、気孔は、焼結体中に連続して分散する連続気孔であるのが好ましい。連続気孔であれば、潤滑剤を焼結体の内部まで十分に含浸させることができ、連続気孔に含浸され保持された潤滑剤が溶融すると、継続的に摺動面に潤滑剤が供給される。
ここで、通常の作動状態の圧縮機では、摺動面間の潤滑油の極端な減少(前述)による潤滑性の低下、摺動面に加わる面圧の増大、圧縮機の作動環境の温度上昇、摺動速度の上昇、などにより、摺動部の温度が120℃以上の高温になることがある。そして、摺動面が高温になると、相手部材との間で焼き付きが発生しやすくなる。
そこで、本発明では、上記多孔質部の細孔に固体状態で保持され、摺動面が120℃以上のある温度(T[℃])となったときに溶融する潤滑剤を用いる。潤滑剤は、通常の作動状態では上記多孔質部の細孔に固体状態で保持され、摺動面がT[℃]になったら溶融するため、潤滑性の低下した摺動面に潤滑剤を供給することができ、摺動面の発熱を低減することができる。さらには、摺動部材と相手部材との間で発生する焼き付きが抑制される。
潤滑剤としては、その融点が120℃以上のT[℃]であれば、通常の作動状態では多孔質部の細孔に良好に保持され、必要な場合(摺動面がT[℃]となった場合)にのみ細孔から溶融した潤滑剤が摺動面に供給される。なお、T[℃]の範囲としては、120℃以上であって、相手部材との間で焼き付きが発生する温度以下であれば、焼き付きに至る前に潤滑性を向上でき、焼き付きの発生を抑制できる。具体的には、以下に挙げる高級脂肪酸の金属塩などを使用できる。ステアリン酸カルシウム(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス C、融点150±5℃)、ステアリン酸リチウム(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス L、融点220±5℃)、ステアリン酸ナトリウム(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス N、融点230±5℃)、ステアリン酸カリウム(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス K、融点220±10℃)、ラウリル酸カルシウム(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス12C、融点145±10℃)、1,2ヒドロキシステアリン酸カルシウム(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス OHC、融点150±10℃)、1,2ヒドロキシステアリン酸リチウム(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス OHL、融点220±10℃)、1,2ヒドロキシステアリン酸亜鉛(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス OHZ、融点145±5℃)、ステアリン酸マグネシウム(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス SMO、融点145±5℃)、ステアリン酸バリウム(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス B、融点220±5℃)、等を、また、エチレンビスアマイド(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックスBA、融点142±2℃)、アマイド系ワックス(たとえば、大日化学工業株式会社製ダイワックス BAZ-500、融点133±13℃)、等を、摺動部材と相手部材との焼き付き易さ(焼き付きが発生する温度)に応じて用いればよい。なお、焼き付きが発生する温度は、主としてアルミニウムを含む相手部材であれば、摺動面付近の温度が250〜300℃程度である。また、主として鉄を含む相手部材(たとえばSUJ2等)であれば、300℃以上で焼き付きが発生する。
さらに、多孔質部材の摺動面は、固体潤滑剤被膜を有するのが好ましい。固体潤滑剤被膜は、圧縮機の摺動部材において広く用いられている、固体潤滑剤とバインダー樹脂とからなる被膜であればよい。固体潤滑剤被膜は、摺動特性に優れているが、長期の使用により摩耗することがある。本発明の摺動部材は、固体潤滑剤被膜が摩滅し、摺動特性が低下して摺動面が発熱した場合においても、優れた効果を発揮する。したがって、固体潤滑剤被膜と上記潤滑剤とをもつ本発明の摺動部材は、その温度にかかわらず、長期的に優れた摺動特性を示す。
バインダー樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、などが好ましい。固体潤滑剤は、黒鉛やタルクなどの層状構造物、Pb、Ag、Cu等の軟質金属やその化合物、ポリテトラフルオロエチレンやフッ化黒鉛などのフッ素化合物など、固体潤滑剤として通常用いられているものであればよく、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、およびグラファイトのうちの少なくとも1種であるのが好ましい。また、固体潤滑剤は、バインダー樹脂に粉末状で分散するのがよい。
本発明の摺動部材は、ガスを圧縮する圧縮機に好適に用いることができる。圧縮機は、通常、ガスを圧縮する圧縮機構と、圧縮機構に駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を有するが、各機構は、互いに摺動する摺動面をもつ第一摺動部材および第二摺動部材を有する。そして、第一摺動部材および第二摺動部材の少なくとも一方の摺動面側は、上述の多孔質部と潤滑剤とからなる。
なお、第一摺動部材および第二摺動部材は、上記本発明の摺動部材とその相手部材に相当する。また、第一摺動部材と第二摺動部材とは、相対的に摺動すればよい。したがって、互いに摺接した状態で両部材が速度差をもって動いていればよく、一方が静止していてもよい。
圧縮機としては、ピストンを往復動させることによりガスを圧縮する形態のものが代表的である。このような圧縮機であれば、斜板式やワッブル式、両頭型や片頭型、可変容量型や固定容量型、等のいずれの形態でもよい。たとえば、斜版式圧縮機の摺動部材であれば、第一摺動部材が斜板で第二摺動部材がシュー(圧縮機構)、第一摺動部材がピストンで第二摺動部材がシリンダボア(駆動力伝達機構)、第一摺動部材が駆動軸で第二摺動部材が駆動軸を支持する軸受(駆動力伝達機構)、である。中でも、斜板は、高速回転するので、液体状態の潤滑油であると遠心力により飛散し易い。そのため、通常の作動状態にあるときに、潤滑剤が固体状態で細孔に保持されている本発明の摺動部材を斜板として用いた圧縮機は、特に効果的である。
また、圧縮されるガスに、冷媒ガスとしてCO2 を含む場合には、R−12やR−134aといった従来の冷媒ガスに比べて作動圧が高くなり負荷が高まり、摺動条件が過酷となる。そのため、通常の作動状態であっても、200℃程度の高温に達する。したがって、潤滑剤には、上記の潤滑剤のうち200℃以上で溶融する潤滑剤を用いるのが望ましい。
なお、本発明の摺動部材および圧縮機は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、他の構成を追加してもよい。
以下に本発明の摺動部材および圧縮機の実施例を図1〜図3を用いて説明する。
黒鉛を焼結した多孔質摺動材(三和油脂工業製RBセラミックス)およびステアリン酸亜鉛(大日化学工業株式会社製ダイワックス)を準備した。多孔質摺動材は、φ90mm厚さ6mmの円板状であった。また、ステアリン酸亜鉛の融点は、140℃であった。
180℃に加熱して溶融させたステアリン酸亜鉛の浴に多孔質摺動材を浸漬し、5分間減圧して、多孔質摺動材にステアリン酸亜鉛を含浸させた。含浸は、3回繰り返し行った。なお、含浸中に浴を保温できるのであれば、繰り返し行う必要はなく、1回の含浸時間を延長すればよい。含浸後、大気中に引き上げ、含浸されたステアリン酸亜鉛を固化させて、摺動部材1を得た。
ここで、摺動部材1を斜板式圧縮機の斜板(斜板21)に適用した場合には、以下のような構成となる。
[斜板式圧縮機の構成]
図1に、斜板式圧縮機の構成を示す。図1に示すように、駆動軸20は、シリンダブロック22とフロントハウジング23とで形成される斜板室24に収容されており、ラジアル軸受により回転自在に支持されている。そして、シリンダブロック22内には、駆動軸20を囲む位置に複数個のボア25が配設されている。各ボア25には、片頭形のピストン26がそれぞれ往復動可能に嵌挿されている。斜板室24内においては、駆動軸20にロータ27が結合され、そのロータ27の後方に斜板21が嵌合されている。特に、可変容量型の片頭型斜板式圧縮機では、斜板21は支点回りに傾動可能となっており、斜板室24の圧力変化に基づくピストン26の両端面に作用するガス圧の釣り合いによって、斜板21の傾角変位を制御するようになっている。また、斜板21には、両端面外周側に平滑な摺動面21pが形成され、この摺動面21pにはシュー29の摺接面29pが当接されている。これらのシュー29は、ピストン26の半球面座26pと係合されている。このシューを介してピストン26が斜板21と連係することにより、斜板21の回転運動がピストン26の直線運動に変換されてガスの圧縮が行われる。
図1に、斜板式圧縮機の構成を示す。図1に示すように、駆動軸20は、シリンダブロック22とフロントハウジング23とで形成される斜板室24に収容されており、ラジアル軸受により回転自在に支持されている。そして、シリンダブロック22内には、駆動軸20を囲む位置に複数個のボア25が配設されている。各ボア25には、片頭形のピストン26がそれぞれ往復動可能に嵌挿されている。斜板室24内においては、駆動軸20にロータ27が結合され、そのロータ27の後方に斜板21が嵌合されている。特に、可変容量型の片頭型斜板式圧縮機では、斜板21は支点回りに傾動可能となっており、斜板室24の圧力変化に基づくピストン26の両端面に作用するガス圧の釣り合いによって、斜板21の傾角変位を制御するようになっている。また、斜板21には、両端面外周側に平滑な摺動面21pが形成され、この摺動面21pにはシュー29の摺接面29pが当接されている。これらのシュー29は、ピストン26の半球面座26pと係合されている。このシューを介してピストン26が斜板21と連係することにより、斜板21の回転運動がピストン26の直線運動に変換されてガスの圧縮が行われる。
[摺動部材の評価]
上記の手順で得られた摺動部材1について無潤滑焼き付き試験を行い、摺動特性を評価した。試験装置を図2に示す。図2に示すように、回転軸2が同軸的に固定された摺動部材1を、台座部8に固定された金属製の相手部材9(シュー)の上面で軸回りに回転させて、摺動部材1と相手部材9の上面とを摺接させた。この際、滑り速度3.8m/s、加圧力を2.5MPaステップ(各ステップ10分間)とすることにより、圧縮機において摺動部の潤滑油が極端に減少し、摺動面が発熱する作動状態を再現した。
上記の手順で得られた摺動部材1について無潤滑焼き付き試験を行い、摺動特性を評価した。試験装置を図2に示す。図2に示すように、回転軸2が同軸的に固定された摺動部材1を、台座部8に固定された金属製の相手部材9(シュー)の上面で軸回りに回転させて、摺動部材1と相手部材9の上面とを摺接させた。この際、滑り速度3.8m/s、加圧力を2.5MPaステップ(各ステップ10分間)とすることにより、圧縮機において摺動部の潤滑油が極端に減少し、摺動面が発熱する作動状態を再現した。
また、比較例として、多孔質摺動材にステアリン酸亜鉛を含浸していない他は、摺動部材1と同様にして作製した摺動部材1’を準備し、上記と同様な試験を行った。各試験結果を図3に示す。
比較例の摺動部材1’(ステアリン酸亜鉛無し)では、加圧力の増加に伴って摺動特性が低下する傾向にあり、加圧力が2.5MPaで焼き付いた。一方、実施例の摺動部材1では、約700秒後に摩擦係数が大きく低下し、その後、7.5MPaに増圧中に焼き付きが発生した。すなわち、ステアリン酸亜鉛により耐焼き付き性が向上した。
また、本試験では、摺動部材1の摩擦係数が約700秒後に大きく低下したことから、試験開始から約700秒後に加圧力の増加と共に各摺動部材の摺動部温度が140℃に達したと推測できる。摺動部材1では、溶融したステアリン酸亜鉛が摺動面に継続して供給されることにより、加圧力の増加に伴って低下する摺動特性を向上させることができた。
1:摺動部材(第一摺動部材)
9:相手部材(第二摺動部材)
21:斜板(第一摺動部材)
29:シュー(第二摺動部材)
9:相手部材(第二摺動部材)
21:斜板(第一摺動部材)
29:シュー(第二摺動部材)
Claims (17)
- 摺動面に開口する複数の細孔をもつ多孔質部と、
該細孔に固体状態で保持され、該摺動面が120℃以上のある温度となったときに溶融する潤滑剤と、を少なくとも摺動面側に有することを特徴とする圧縮機の摺動部材。 - 前記多孔質部は、連続して分散する気孔を有する焼結体である請求項1記載の圧縮機の摺動部材。
- 前記焼結体は、金属粉末または黒鉛粉末を含む原料粉末を焼結してなる請求項2記載の圧縮機の摺動部材。
- 前記潤滑剤は、高級脂肪酸の金属塩である請求項1記載の圧縮機の摺動部材。
- 前記高級脂肪酸の金属塩は、ステアリン酸亜鉛である請求項4記載の圧縮機の摺動部材。
- 前記多孔質部材の摺動面は、さらに、固体潤滑剤被膜を有する請求項1記載の圧縮機の摺動部材。
- ガスを圧縮する圧縮機であって、
互いに摺動する摺動面をもつ第一摺動部材および第二摺動部材を有し、
該第一摺動部材および該第二摺動部材の少なくとも一方の摺動面側は、摺動面に開口する複数の細孔をもつ多孔質部と、該細孔に固体状態で保持され該摺動面が120℃以上のある温度となったときに溶融する潤滑剤と、からなることを特徴とする圧縮機。 - 前記潤滑剤が溶融する温度は、前記第一部材と前記第二部材とが焼き付く温度以下である請求項7記載の圧縮機。
- 前記多孔質部は、連続して分散する気孔を有する焼結体である請求項7記載の圧縮機。
- 前記焼結体は、金属粉末または黒鉛粉末を含む原料粉末を焼結してなる請求項9記載の圧縮機。
- 前記潤滑剤は、高級脂肪酸の金属塩である請求項7記載の圧縮機。
- 前記高級脂肪酸の金属塩は、ステアリン酸亜鉛である請求項11記載の圧縮機。
- 前記第一摺動部材は斜板、前記第二摺動部材はシューである請求項7記載の圧縮機。
- 前記第一摺動部材はピストン、前記第二摺動部材はシリンダボアである請求項7記載の圧縮機。
- 前記第一摺動部材は駆動軸、前記第二摺動部材は該駆動軸を支持する軸受である請求項7記載の圧縮機。
- 前記多孔質部材の摺動面は、さらに、固体潤滑剤被膜を有する請求項7記載の圧縮機。
- 前記ガスはCO2 を含み、前記潤滑剤は前記摺動面が200℃以上で溶融する請求項7または8記載の圧縮機。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008031960A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Hitachi Ltd | スクロール式流体機械 |
JP2010197012A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-09 | Panasonic Corp | 圧縮機 |
-
2004
- 2004-12-24 JP JP2004374219A patent/JP2006177324A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061228 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090323 |