JP2008031499A - 皮膜密着性に優れ磁気特性が良好な複層皮膜を有する電磁鋼板及びその製造方法 - Google Patents

皮膜密着性に優れ磁気特性が良好な複層皮膜を有する電磁鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な処理により複層皮膜を形成することで、良好な皮膜密着性を有するとともに、鋼板に大きな張力を発生させて鉄損が大幅に低減された電磁鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】電磁鋼板用の母鋼板に、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnの一種または二種以上について濃度差を有する、酸化物を主体とした物質を2層以上に塗布し、熱処理を行なうことで皮膜を形成するとともに、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnのいずれか一種または二種以上の元素について、(母鋼板と皮膜の界面における濃化部位での濃度)/(母鋼板での平均濃度)≧2.0かつ(母鋼板と皮膜の界面における濃化部位での濃度)/(皮膜の最内層での平均濃度)≧2.0となるように、母鋼板と皮膜の界面に濃化させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、簡易な皮膜形成処理による、良好な皮膜を有するとともに大幅に鉄損が低減された電磁鋼板およびその製造方法に関する。
モーターやトランスに使用される電磁鋼板は、通常、積層されて用いられるが、積層した鋼板同士が電気的に短絡してしまうと部材の特性が劣化、特に鉄損が増大してしまうため、特許文献1に示すように、鋼板表面に絶縁皮膜が形成されている。
この絶縁皮膜には母鋼板に張力を付与し鉄損を改善する目的や、鋼板を加工し、モーター部品やトランス部品を作る際のすべり性、さらには、使用中の部品への錆の発生を抑制するための耐食性改善なども効果の一つとして期待されている。
これらの目的を分担して行うため、種類が異なる皮膜が複層して形成されることも通常行われている。これらの目的で、この皮膜の形成物質として酸化物が用いられることが多い。特に上記の特性やコストを満足するものとしてSiを主体とした酸化物が用いられることが多い。
しかし、これまでに実用化されている酸化物を主体とする皮膜は、金属である母鋼板との密着力を向上させることが難しく、このため、現状の技術では、金属と酸化物の界面を大きな凹凸形状とし、いわゆるアンカー効果を持たせた、主として機械的な接合状態として密着性を確保するものであった。しかし、この母鋼板にとっての最表面の凹凸は、鋼板使用中に母鋼板の中で移動する磁壁の移動を阻害するため、磁気特性を顕著に劣化させる原因となっている。
そこで、このような害を除くため、鋼板と皮膜の界面は平坦とし、張力付与型の皮膜と鋼板との間にあらかじめ雰囲気シール性のある皮膜を形成して、その作用により密着性を高める特許文献2のような技術も開示されている。しかし、この技術では母鋼板に付与する張力を大きくすることが困難で、張力による磁気特性向上効果を充分に活用できないという欠点があった。
また、一方で、鉄心などの製造にあたり、電磁鋼板を積層した後、溶接やかしめなどによって固定しているが、その際に、積層した鋼板間の短絡や好ましくない歪の生成が起こり、それが部材としての特性を劣化させる原因となることが指摘されている。
このため、溶接などを用いないで、皮膜中に含有させた高温で溶融する有機物を接着剤のように用い、鋼板を重ねたまま高温で熱処理することで積層部材として固定する特許文献3のような技術も開示されている。
しかし、この技術では鋼板間の接着力が弱く、また、部材を製造する工程で様々な目的から部材がさらされる高温状態の温度によって、また、長期間の使用による経時変化により、接着力が極端に低下し、問題を引き起こすことが指摘されている。
特開平2−301571号 特開平7−278833号 特開2000−12320号
本発明は、従来の方法では到達できなかった皮膜の密着性と母鋼板への張力の付与を両立して実現する電磁鋼板とその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、主として酸化物からなる皮膜の構造および組成を好ましく制御することで、上記の課題を解決する。
その基本的な考えは、母鋼板上に形成される皮膜を複層化することで様々な特性の両立を図るものである。
すなわち、皮膜と鋼板との密着性は、皮膜の最内層(母鋼板に接している層)の性質に主として依存することから、最内層は、鋼板との密着性に重点をおいたものとし、最内層以外の層でそれ以外の特性を担保するようにする。例えば、中間層で張力の発現を確保し、さらには再表面層ですべり性や絶縁性を確保するようにし、皮膜を形成した後の鋼板特性が最適に発揮されるような皮膜構造とする。
そのような考えに基づく本発明は、以下の(1)〜(19)によって上記課題を解決するものである。
(1)質量%で、C:0.07%以下(0を含む)、Si:7.0%以下(0を含む)、Mn:6.5%以下(0を含む)、P:0.30%以下(0を含む)、S:0.080%以下(0を含む)、Al:8.0%以下(0を含む)、N:0.070%以下(0を含む)、O:0.070%以下(0を含む)を含有する鋼板で、表面に酸化物を含有する複層皮膜を有し、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnのいずれか一種または二種以上の元素について、(母鋼板と皮膜の界面での濃化部位の濃度)/(母鋼板の平均濃度)≧2.0かつ(母鋼板と皮膜の界面での濃化部位の濃度)/(皮膜の最内層、すなわち母鋼板に接している層中の平均濃度)≧2.0である電磁鋼板。
(2)前記電磁鋼板において、さらに、質量%で、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnのいずれか一種または二種以上の元素について、母鋼板と皮膜の界面での濃化部位の濃度が、0.10%以上であることを特徴とする電磁鋼板。
(3)前記電磁鋼板において、さらに、母鋼板と皮膜の界面の凹凸の平均深さが5.0μm以下であることを特徴とする電磁鋼板。
(4)前記電磁鋼板において、さらに、母鋼板と皮膜の界面の凹凸の平均周期が15.0μm以下であることを特徴とする電磁鋼板。
(5)前記電磁鋼板において、さらに、皮膜の最内層中に、質量%で、Ni:0.5%以上、Co:0.5%以上、Cr:0.5%以上、Cu:0.5%以上、Mo:0.5%以上、Nb:0.5%以上、Mn:0.5%以上の一種または二種以上を含有することを特徴とする電磁鋼板。
(6)前記電磁鋼板において、さらに、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnのいずれか一種または二種以上の元素が、(皮膜の最内層での平均濃度)/(母鋼板での平均濃度)>1.00であることを特徴とする電磁鋼板。
(7)前記電磁鋼板において、さらに、皮膜の組成に関して、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Ti、B、Mnのいずれか一種または二種以上の元素が、(最内層での平均濃度)/(最内層以外の層での平均濃度)>2であることを特徴とする電磁鋼板。
(8)前記電磁鋼板において、さらに、皮膜のSiO濃度について、皮膜平均で30質量%以上であり、かつ(最内層以外の層での平均濃度)/(最内層での平均濃度)>1.0であることを特徴とする電磁鋼板。
(9)前記電磁鋼板において、さらに、複層構造を形成している皮膜のうちの最内層の平均厚さが10.0μm以下であり、かつ全皮膜厚さの1/2以下であることを特徴とする電磁鋼板。
(10)前記電磁鋼板において、さらに、(全皮膜の厚さ)/(鋼板厚さ)≦1/10であることを特徴とする電磁鋼板。
(11)前記電磁鋼板において、さらに、皮膜が原因となり母鋼板に発生している張力が1MPa以上であることを特徴とする電磁鋼板。
(12)前記電磁鋼板において、さらに、皮膜が原因となり母鋼板に発生している張力と各層の厚さに関し、{[(最内層に起因する張力)/(最内層以外の層に起因する張力)]/(最内層の厚さ)}*(最内層以外の層の厚さ)<1.00であることを特徴とする電磁鋼板。
(13)前記電磁鋼板の製造方法であって、母鋼板の表面に酸化物を主体とする物質または混合物を塗布した後、塗布物中に含有している酸化物の1種または2種以上が溶融する温度以上で熱処理し皮膜を形成し、さらにその後、塗布、熱処理を繰り返すことで皮膜の複層構造を形成することを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
(14)前記電磁鋼板の製造方法であって、母鋼板の表面に酸化物を主体とする物質または混合物を、組成を変えて複層となるように塗布し、その後、すべての層について、塗布した各層の皮膜中に含有している酸化物の1種または2種以上が溶融する温度以上で熱処理することで皮膜の複層構造を形成することを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
(15)前記電磁鋼板の製造方法であって、母鋼板の表面に、酸化物を主体とする物質または混合物を1層塗布し、あるいは前記物質または混合物の組成を変えて複層となるように塗布し、その後、塗布した層の皮膜中に含有している酸化物の1種または2種以上が溶融する温度以上で熱処理し、以上の塗布と熱処理をそれぞれ1回以上行うことにより複層構造の皮膜を形成することを特徴とする電気部品の製造方法。
(16)前記電磁鋼板の製造方法のうち、鋼板表面に塗布した物質または混合物中に含有している酸化物の1種または2種以上を溶融させる熱処理が、400〜1200℃の温度範囲で0.1〜3600秒間加熱することで行われることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
(17)前記電磁鋼板の製造方法のうち、鋼板表面に塗布した物質または混合物中に含有している酸化物の1種または2種以上を溶融させる熱処理が、露点≦0℃の雰囲気中で行われることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
(18)前記電磁鋼板の製造方法のうち、表面皮膜を形成するための物質または混合物が、ドライプロセスで塗布されることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
(19)前記電磁鋼板の製造方法のうち、塗布した物質または混合物中に含有している酸化物の1種または2種以上を溶融固化させる熱処理を行う際に、母鋼板に作用する応力として、1MPa以上の張力を付与した状態で行われることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
なお、本発明でいう電磁鋼板は、素材としての板状、コイル状のものに限らず、上記本発明の皮膜構造が保持されている限りにおいて、それら板状、コイル状のものから切り出され、加工されて鉄心などの電気部品中に組み入れられている状態のものも含む。このため、上記(13)〜(15)などの電磁鋼板の製造方法における塗布と熱処理は、電気部品の製造工程中に行われる場合を含むものである。
本発明の電磁鋼板は、良好な皮膜密着性を有し、皮膜に関連する機能の向上を図ることが可能となるばかりでなく、鋼板に安定して高い張力を発生させることで磁気特性の向上も達成される。
より具体的には、母鋼板に接し密着性の確保が必要な最内層の皮膜中に、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnの一種以上を含有させ、これら元素を皮膜と母鋼板との界面に偏析させて、その濃化部を界面上に偏在して形成させることで、界面を非常に細かい凹凸形状とすると同時に化学的な結合力を向上させ、結果として皮膜の鋼板への密着性の向上を図ることができる。
その際、最内層の皮膜への添加物質、その量、さらには、皮膜に付与する熱処理を最適に制御することで、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnの偏析が効率的に起きるようにすることができる。
そして、その上に形成する皮膜については上記元素の含有量を低減することで、添加コストの低減を図るばかりでなく、密着性を確保するために必要な元素に制約されず絶縁性やすべり性、または張力発生に都合のよいものとすることで、従来ではなしえなかった絶縁性、すべり性、または張力の付与が可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)母鋼板の組成について
まず、母鋼板の組成について説明する。なお、各成分元素の含有量は質量%である。
Cは鉄損を劣化させるので0.07%以下に制限した。好ましくは0.025%以下である。また集合組織改善に有効に働き、磁性にとって好ましくない{111}方位の発達を抑制し、好ましい{110}や{100}、{114}等の方位の発達を促進する効果もある。この観点からは好ましくは0.0031〜0.0301%、さらに好ましくは0.0051〜0.0221%、さらに好ましくは0.0071〜0.0181%、さらに好ましくは0.0081〜0.0151%である。
一般的には冷延後に脱炭焼鈍により0.0050%以下までCを減じる。製造コストの観点からは溶鋼段階で脱ガス設備によりC量を低減しておくことも可能で、0.0040%以下とすれば磁気時効抑制の効果が著しい。さらに鋼板中に粗大な炭化物が存在し、これが母鋼板の表面に存在し、皮膜塗布後の熱処理中に皮膜中の酸化物と反応すると、Cがガス化し皮膜中にボイド(バブル、泡)を形成し、皮膜の機能を著しく劣化させる場合がある。このため0.0030%以下とすることがさらに好ましく、0.0015%以下がさらに好ましい。0%であっても構わない。
Siは鋼の固有抵抗を高めて渦電流を減らし、鉄損を低下せしめるが、添加量が0.2%未満ではその効果が小さい。低Si鋼では鋼の脆化もほとんどなく、磁束密度も高くすることができる。とは言え、特に高周波用途等においてSi等の固溶元素による渦電流損失の低減効果を考えると、好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは2.0%以上Siを含有する鋼を対象とする。しかし7.0%を超えると鋼を脆化させ、さらに製品の磁束密度を低下させるため7.0%以下とする。好ましくは5.5%以下、さらに好ましくは4.5%以下である。
MnはMnSやMnSe等をインヒビターとして用い、二次再結晶を活用して磁気特性の改善を図る場合に重要な元素で、Siと同様に鋼の固有抵抗を高めて渦電流を減らし、鉄損を低下せしめる効果も有する。しかし過剰な添加は磁束密度を低下させるので、上限を6.5%とする。好ましくは0.05〜3.5%である。
Pは0.30%を超えると脆化が激しく、工業的規模での熱延、冷延等の処理が困難になるため、上限を0.30%とする。好ましくは0.10%以下である。
Sは硫化物を二次再結晶時のインヒビターとして用いる鋼では少なからず含有させる元素である。一方で、二次再結晶を活用しない場合には磁気特性、特に鉄損を劣化させる場合がある。さらにCと同様、鋼板中に粗大な硫化物が存在し、これが母鋼板の表面に存在し、皮膜塗布後の熱処理中に皮膜中の酸化物と反応すると、Sがガス化し皮膜中にボイド(バブル、泡)を形成し、皮膜の機能を著しく劣化させる場合がある。Sの含有量はできるだけ低いことが好ましく0%であっても構わない。本発明では0.080%を上限とする。好ましくは0.030%以下、さらに好ましくは0.010%以下、さらに好ましくは0.0030%以下、さらに好ましくは0.0010%以下である。
Alは通常、脱酸剤として添加されるが、Alの添加を抑えSiにより脱酸を図ることも可能である。また、固溶Alとして鋼板の電気抵抗を高め、鉄損を低減する効果もある。二次再結晶を活用した電磁鋼板ではインヒビターとしてのAlNが非常に重要な役割を担う。8.0%を超えると脆化が問題になるため、上限を8.0%とする。上限は好ましくは6.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは4.0%、さらに好ましくは3.0%である。下限は0でもよいが、不可避的に0.0001%以上は含有されることが多い。脱酸による鋳造性改善や磁気特性を考慮し、好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.08%、さらに好ましくは0.5%、さらに好ましくは1.0%である。
NもAlと同様、従来の二次再結晶を活用した電磁鋼板ではインヒビターとしてのAlNが非常に重要な役割を有する。NはCと同様に磁気特性を劣化させるので0.070%以下とする。好ましくは0.0301%以下、さらに好ましくは0.0221%以下、さらに好ましくは0.0181%以下、さらに好ましくは0.0151%以下である。ただしAlを0.010%程度以上含有する場合に多量のNを含有させると微細な窒化物を多量に形成し磁気特性を顕著に劣化させることがあるため避けることが好ましい。
一方、鋼板中に粗大な窒化物が存在しこれが母鋼板の表面に存在した場合、Cと同様、皮膜塗布後の熱処理中に皮膜中の酸化物と反応し、Nがガス化して皮膜中にボイド(バブル、泡)を形成し、皮膜の機能を著しく劣化させる場合がある。
このような窒化物の害を回避するために、製造工程において鋼板の脱窒を行うコストを考えると、Al脱酸鋼においては溶鋼段階でN含有量を低減しておくことが好ましく、0.0040%以下とすべきで、本発明では低いほど好ましく、0.0027%以下とすれば磁気時効や窒化物形成による特性劣化の抑制効果は顕著で、さらに好ましくは0.0022%、さらに好ましくは0.0015%以下であり、0%であっても構わない。
Oは鋼中で介在物を形成し磁気特性を劣化させると共に、用途によっては使用中の破壊の起点になることもある。また、鋼板製造時の鋳造時の鋳造性を劣化させるため低いことが好ましい。上限を0.070%、好ましくは0.030%、さらに好ましくは0.010%、さらに好ましくは0.005%、さらに好ましくは0.003%であり、0%であっても構わない。
本発明で用いる母鋼板は、この他に、従来の電磁鋼板で様々な特性を制御するために添加される、Bi、Sn、Sb、REM、Ca、Mg、B、Cu、Ni、Nb、Ti等の元素を添加しても本発明の効果が損なわれることはない。本発明では、上記の元素の含有範囲が満たされるならば、一般に電磁鋼板用として知られている鋼板が使用できる。
本発明の特徴は母鋼板自体にあるものではなく、以下に記述するように皮膜構造および皮膜と母鋼板の界面の状態にある。
(B)皮膜構造について
まず、本発明の最大の特徴である皮膜構造について記述する。
本発明では、後述するように酸化物を主体とした皮膜を想定しているが、その皮膜は複層構造であることを必要とする。これは本発明が、皮膜に必要とされる機能を本質的に分離して考慮し、それぞれに対して最適な解決策を得るようにしたものであるからである。
後述のように、本発明では皮膜と母鋼板の界面に濃化する特定の元素が重要な役割を果たしているが、この元素は、上記の界面においては非常に有用ではあるものの、皮膜全体に分散させた場合、皮膜そのものの特性を阻害する要因があるだけでなく、一般的には高価な元素であるため添加コストが大きな負荷となる。もちろん単層皮膜の方が塗布工程を簡略化できる等のメリットはあるが、本発明による複層皮膜鋼板はそのデメリットを補って余りあるほどの特性的な効果を有するものである。すなわち、母鋼板と接している最内層は鋼板との密着性に特化したものとし、絶縁性、すべり性、鋼板への張力付与性などは外層の皮膜で最高の特性が得られるようにしている。
本発明は少なくとも二層または三層以上の皮膜構造を有するものを発明の対象とする。
(C)皮膜と母鋼板の界面の状態
次に、もう一方の特徴となる皮膜と母鋼板の界面の状態について記述する。
なお、界面に存在し、本発明の特徴を発現させる元素を「特定元素」と呼ぶこととし、以下、本明細書中では「特定元素」とは「Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnの内の一種または二種以上の元素」を表すものとする。
(C−1)特定元素の濃化について
本発明では、母鋼板と皮膜の界面に特定元素の濃化部位を形成することで特性を向上させる。このメカニズムは明確ではないが、このような濃化が、皮膜の密着性を高めることで、上述のように、皮膜の欠陥を防止し、磁気特性や絶縁性、すべり性などの必要特性をも高めるものと考えられる。
このような密着性向上は、特定元素の濃化部位と非濃化部位で、母鋼板と皮膜中の酸化物との反応性が異なり、これにより界面が微細な凹凸形状になることが原因の一つと考えられる。または、これらの濃化元素が、皮膜中の物質と、母鋼板中のFeの化学的な結合を強める効果が働いているものと考えられる。
特にこの化学的な結合は、皮膜に多量の酸化物を含有させた場合に顕著となることから、皮膜中の酸化物と母鋼板中のFeが、皮膜中の酸素と結合して形成するFe酸化物との化学的結合状態を変化させるものと考えられる。
現象的にはこの効果は、特定元素が、母鋼板と皮膜の界面で母鋼板および皮膜の各平均濃度を超えて濃化している部位を有することで顕著になり、その組成や形態により以下のように特徴付けることが可能である。
特定元素について、(母鋼板と皮膜の界面における濃化部位での濃度)/(母鋼板での平均濃度)≧2.0かつ(母鋼板と皮膜の界面における濃化部位での濃度)/(皮膜の最内層での平均濃度)≧2.0であることが好ましい。さらに好ましくは、各々が3.0以上、さらに好ましくは5.0以上、さらに好ましくは10.0以上であり、50.0以上に濃化した部位が存在すれば特性は顕著に向上し、濃化部位が純元素となっていても構わない。
上述の濃化は電子顕微鏡、X線分析、電子線分析、イオン分析等の最新の解析機器で十分に観測が可能なものである。もちろん化学分析などこれ以外の方法によっても同定が可能なものである。
測定データを検討する際には、測定領域の面積のみならず特定の面から分析する場合には測定領域の深さも考慮して特定元素の濃度を決定する必要があるのは言うまでも無い。
特に注意を有するのは例えば特定面に特定元素100%の領域が形成されていてもそれが非常に薄い場合、表面から電子線やX線を用いた解析機器で成分分析を行うと皮膜を透過し母材部も含めた領域の成分が検出されるため特定元素の含有量としては低い定量値が得られるような場合である。
本発明では空間的に十分に微小な領域に限定した解析が必要である。もちろん、上の事例のように特定元素が濃化していない領域まで含めた広い領域を平均した定量値においてさえも本発明で規定する定量値、例えば特定元素の濃度が鋼中平均含有量の2.0倍以上、を満足する場合はそのデータを採用することは問題とはならない。
母鋼板と皮膜の界面に形成される特定元素の濃化部位での特定元素濃度は、0.10%以上となっていることで発明の効果が顕著となる。好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは10.0%以上、さらに好ましくは30.0%以上、さらに好ましくは50.0%以上、さらに好ましくは70.0%以上であり、濃度100%の領域を形成していても発明の効果を損なうことはない。
注意を要するのは、微少領域の濃度は測定領域の大きさに敏感に影響されることである。つまり、十分に小さい領域、極限として原子1個を測定すれば、どのような場合にも濃度100%の空間が存在してしまうことにもなる。もちろん、このようなものは本発明で規定する濃化部からは除外する。と、いってあまりに広い領域を測定したのでは微少な濃化部の存在を見落とすことにもなる。測定領域の目安としては、後述の界面凹凸の大きさとも関連するが、0.1μm程度の広がりを持つ領域とすることが好ましい。もちろん、測定機器、手法により、これ以下の領域で得られた値が、全体の特徴を代表するものであることが認められるものであれば、それを用いても構わない。
本発明では、上述のように母鋼板の成分と皮膜の成分や皮膜を形成する物質等を規定し、母鋼板と皮膜の界面での特定元素の濃化を制御することで目的とする特性のうち皮膜の密着性を格段に向上させることができる。
(C−2)界面の凹凸の深さと平均周期について
上述のメカニズムの中でも触れたように、本発明での密着性向上メカニズムは必ずしも解明されているものではないが、界面での微細な凹凸が変化することで特徴づけることができる。この凹凸は通常の電磁鋼板の母鋼板と皮膜の界面の形態に比べると非常に微細かつ緻密な状態となっていることが特徴である。この特徴の一つとして界面の凹凸の深さを規定する。
本発明では、この凹凸平均深さが5.0μm以下とする。凹凸の深さは、細かく観察すれば非常に微細な凹凸も観察することは可能であるが、本発明では鋼板の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、2000倍の像で観察できる程度の凹凸を測定するものとする。2000倍の写真で0.5mm以下の小さな凹凸は測定の精度に問題を生ずるため除外する。つまり、0.25μm以下の凹凸は無視するものとする。
これは、これ以下の凹凸が密着性に影響を及ぼしていないということを意味するものではなく、あくまでも測定手法上の規定にすぎない。これ以下の微細な凹凸により密着性が向上することは、本発明にとっては好ましいことであり、このような状態になることがむしろ好ましい。このように測定される凹凸深さは、好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。下限は特に設ける必要はなく、0μmであっても構わない。
このような凹凸を数多く形成することで密着性は向上し、凹凸の平均周期が15.0μm以下、すなわち1mmの長さの中に凹凸を一組として100個以上存在することで、本発明の効果は著しく良好となる。さらに好ましくは、平均周期が10.0μm以下、さらに好ましくは5.0μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下である。下限は特に設ける必要はないが、測定手法上、深さ0.25μm以下の凹凸は無視しているので、周期はせいぜい0.05μmにとどまってしまう。
上述のように、本発明では、皮膜と母鋼板の界面の粗度を規定しているが、これは皮膜を形成する前、皮膜形成物質を塗布する前の鋼板粗度にも影響されるものではある。
しかし、本発明では母鋼板の粗度については特に規定しない。皮膜形成後に本発明のような粗度に制御することが特性にとって決定的な要因だからである。
本発明で制御する界面の粗度は、一般的に制御される鋼板の表面粗度より微細でするどい形態を示すものとなる。最終的な特性からは、母鋼板の粗度はできるだけ小さくしておくことが好ましい。母鋼板の粗度があまりに粗いと、界面に微細な凹凸とともに、粗い凹凸が存在することになり、これが鋼板の特性を劣化させるとともに、皮膜欠陥の原因ともなる。母鋼板の表面粗度は一般的なもので充分であるが、目安としてはRaで5μm以下、好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、さらには、0.2μm以下として、一般的な鋼板表面として平滑化しておくことは鋼板の特性からはむしろ好ましいことである。
(C−3)特定元素の含有方法と含有量について
特定元素は、皮膜側または母鋼板側に添加しておくことで界面に濃化させることが可能であり、その方法自体は特に限定されるものではない。ただし、母鋼板側に添加すると、本発明の重要な最終目的そのものとも言える、母鋼板の磁気特性に好ましからざる影響を及ぼすことがある。また、界面という非常に狭い範囲に偏在させるべき元素を、皮膜と比べると格段に厚さが大きい鋼板中に分散させておくのは単純に考えても得策とは言えない。さらに、特定元素が界面に偏析するための移動を考えると、熱処理等によりその一部が溶融し、鋼板よりも流動性が高まることが期待できる皮膜側に特定元素を含有させておくことが有利となる。さらに前述のように、本発明の鋼板では皮膜の密着性確保を皮膜の最内層に大きく依存するものであるから、特定元素は皮膜の最内層に含有しておくことが好ましい。そのため、特定元素について、(皮膜の最内層での平均濃度)/(母鋼板での平均濃度)>1.00とするのが好ましい。
本発明では皮膜の最内層、すなわち母鋼板に接している層中に特定元素を多量に含有させることが特徴の一つになるが、その場合の含有量(質量%)について以下に述べる。
特定元素のうち、Ni、Coは効果が非常に顕著で特に重要な元素である。まず、これらについて説明する。
Niの含有量は0.5%未満では皮膜を複層化するほどの有益な効果はない。十分な効果を得るには0.80%以上の添加が好ましく、さらに好ましくは1.0%以上、2.0%以上添加すれば著しい効果が得られる。5.0%以上の添加では効果は飽和する傾向が見られる。過剰な添加はコストの点からも好ましくはないが、同時に皮膜と鋼の反応の不均一が大きくなり皮膜欠陥を生じやすくなるとともに張力の付与が困難になることから、20.0%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは10.0%以下で、8.0%以下でも十分な効果を得ることができる。
CoはNiと同様に著しい効果を有することから本発明において添加することが可能である。0.5%未満では皮膜を複層化するほどの有益な効果はない。十分な効果を得るには0.80%以上の添加が好ましく、さらに好ましくは1.0%以上、2.0%以上添加すれば著しい効果が得られる。5.0%以上の添加では効果は飽和する傾向が見られる。過剰な添加はコストの点からも好ましくはないが、同時に皮膜と鋼の反応の不均一が大きくなり皮膜欠陥を生じやすくなるとともに張力の付与が困難になることから、20.0%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは10.0%以下で、8.0%以下でも十分な効果を得ることができる。
CrもNi、Coと同様の効果を有することから本発明において添加することが可能である。0.5%未満では皮膜を複層化するほどの有益な効果はない。十分な効果を得るには0.80%以上の添加が好ましく、さらに好ましくは1.0%以上、2.0%以上添加すれば著しい効果が得られる。5.0%以上の添加では効果は飽和する傾向が見られる。過剰な添加はコストの点からも好ましくはないが、同時に皮膜と鋼の反応の不均一が大きくなり皮膜欠陥を生じやすくなるとともに張力の付与が困難になることから、20.0%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは10.0%以下で、8.0%以下でも十分な効果を得ることができる。
次に特定元素のうち、特有の作用を持ち、発明の効果に著しい効果を示す元素である、CuとMoについて述べる。
CuはNiやCoと同様の効果を示すが、Cu単独ではその効果は比較的小さく、他の元素、特にNi、Coと同時に添加した際に効果が顕著になる。その含有量は0.5%未満では皮膜を複層化するほどの有益な効果はない。十分な効果を得るには0.80%以上の添加が好ましく、1.0%以上添加すれば著しい効果が得られる。2.0%以上の添加では効果は飽和する傾向が見られる。過剰な添加は合金コストの点からも好ましくはないが、同時に皮膜と鋼の反応の不均一が大きくなり皮膜に欠陥を生じやすくなるため、8.0%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは5.0%以下で、3.0%以下でも十分な効果を得ることができる。
CuがNiやCoとの複合添加において効果が顕著になるメカニズムは明確ではないが、CuはNiやCoのように直接、界面形状の変化を誘起するのではなく、NiやCoの効果を増大させるものと考えられる。ひとつには、NiやCoが皮膜と母鋼板の界面に偏析する際に、その偏析挙動、特に偏析量や界面上での偏在の分布に影響を及ぼしているものと考えられる。Cuは酸化物を形成しにくく、皮膜中のCuは比較的界面に偏析しやすいと考えられ、Cuの偏析がNiやCoの偏析に影響しているとも考えられる。Cu偏析部にNiやCoが優先的に偏析するのか、Cu偏析部を避けることで、NiやCoの偏析が好ましい形態になるのかは判明していないが、界面部で何らかの相互作用を及ぼしていると考えられる。
MoはNiおよびCoとCuとの中間的な作用を有する。すなわち、NiやCoの効果を少なからず顕著にする効果を有すると共に、単独での効果も大きなものがある。0.5%未満では有益な効果はほとんど検知されない。有益な効果を得るには0.8%以上の添加が好ましく、さらに好ましくは1.0%以上、2.0%以上添加すれば著しい効果が得られる。5.0%以上の添加では効果は飽和する傾向が見られる。過剰な添加はコストの点からも好ましくはないが、同時に皮膜と鋼の反応の不均一が大きくなり皮膜欠陥を生じやすくなるとともに張力の付与が困難になることから、20.0%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは10.0%以下で、8.0%以下でも十分な効果を得ることができる。
Moの効果は明確ではないが、Cuのような効果に加え、NiやCoとともに皮膜中の酸素と複合酸化物を形成し、NiやCoの挙動に影響を与える可能性がある。NiやCoとの吸引する相互作用が強く、これらの偏析部にも固溶しているような形態で少なからず存在するためと考えられる。
これ以外の特定元素としては、Nb、Mnがある。これらの元素は単独では効果が小さく、むしろ上記のNi、Co、Cr、Cu、Moの効果を大きくする作用を有する。
このメカニズムは明確ではないが、これらが皮膜中で酸化物を形成し、上記の元素を鋼板側に排斥し偏析させるものか、または鋼板中に少なからず含有されるC、N、Sなどと結合し、鋼板表面で化合物を形成し、Ni等の偏析起点になるものと考えられる。
この効果を得るにはNbであれば、0.5%以上、好ましくは0.8%以上、さらに好ましくは1.0%以上含有させる。Mnであれば、0.5%以上、好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは3.0%以上含有させる。ただし、これらの元素は過剰に含有させると皮膜に欠陥を生じやすくなり、皮膜が有するべき絶縁性、すべり性、耐食性、密着性等を劣化させる。このためNbは20.0%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下とする。Mnは20.0%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは7.0%以下とする。
(C−4)塗布する物質または混合物中への特定元素の含有について
上で述べた7元素についての含有量は、最終的な使用状況で母鋼板上に形成されている皮膜中の元素の含有量に関するものであるが、同様の範囲を、皮膜を形成するために母鋼板表面に塗布する物質または混合物についても規定できる。
皮膜中の元素含有量と塗布した物質または混合物中の元素含有量は、皮膜形成にともなう処理工程、代表的には塗布物質または混合物の一部または全部が溶融固化するような熱処理、において、外部との物質の移動がなければ同じものになる。
しかし、塗布物質または混合物の種類や、皮膜形成処理条件によっては、物質の外部との物質の収支が起こる。例えば、塗布物質中の窒化物が塗布物質中の酸化物または雰囲気中の酸素と反応し酸化物を生成する過程で窒素がガス化し雰囲気中に放散される場合や、母鋼板からFeが皮膜中に拡散し進入する場合などである。この時は、皮膜中の元素の含有量は、皮膜を形成するために母鋼板表面に塗布する物質または混合物のそれとは異なることとなる。
そして、その変化は、熱処理条件によっても影響するため、一義的には決定できるものではない。そして、制御という観点では、最終的な皮膜中の物質よりも、事前に塗布する物質で制御するほうが工業生産の面からは容易にもなる。
このため、本発明では、本発明の効果について必須となる7元素についての含有量を、皮膜中だけでなく、皮膜を形成するために母鋼板表面に塗布する物質または混合物についても規定できる。その範囲は皮膜中のものと同一範囲を目安とする。
これは上述のように、含有量の変化が熱処理条件等により影響されるため一義的な決定が困難ではあるが、物質反応を制御し、鉄鋼材料を製造している当業者であれば、塗布物質と処理条件が決まれば、机上計算や数度の試行の後には十分に制御できる程度のものである。
皮膜中の含有量であるにしろ、皮膜を形成するために母鋼板表面に塗布する物質または混合物中の含有量であるにしろ、本発明範囲内にあれば、界面への特定元素の偏析が起き、狙っている効果を十分に得ることが可能となる。
(C−5)特定元素の皮膜中の濃度について
本発明の特徴は、皮膜に求められるいくつかの機能を考慮し、複層とすることで、機能的、コスト的にも好ましいものとすることである。例えば、母鋼板と接する層は、鋼板との密着性が良好な組成とし、中間層で張力を確保し、最表層はすべり性や絶縁性が良好な膜とするものである。この中でも特に重要で本発明の特徴となるのは、複層構造を形成している皮膜のうちの最内層で鋼板との密着性を確保し皮膜剥離等の欠陥を抑えることである。以下、最内層を他層と差別化して本発明の特徴を説明する。
本発明の効果は、特定元素を皮膜の最内層、すなわち母鋼板に接している層中に優先的に添加することで顕著になり、特定元素について(最内層すなわち母鋼板に接している層の平均濃度)/(最内層以外の層の平均濃度)>2とすることが好ましい。さらに好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上、さらに好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上で、最内層以外の層の含有量が0であっても問題ないことは言うまでもない。また特定元素を皮膜へ添加する際の物質の形態はいろいろと考えられる。純金属として、あるいは金属間化合物や非金属間化合物として添加することなどが考えられ、後述のように酸化物が好ましい形態の一つであるが、特に限定されるものではない。主には塗布後に加える熱処理時の反応により上述のような界面の変化が起きるものである。
(D)本発明における皮膜のその他のより好ましい形態について
本発明は、以上説明したように、皮膜構造および皮膜と母鋼板の界面の状態を特徴とするものであるが、以下で、その前提となる皮膜及びより好ましい皮膜の形態についてさらに説明する。なお、以下の説明は、最内層の皮膜およびそれ以外の層について共通のものである。
(D−1)皮膜を構成する物質について
本発明における皮膜とは、鋼板の表面に形成されている膜を総称して言う。ただし、体積率で皮膜の50%以上が金属相となるような、金属めっきに類する皮膜は除外する。
皮膜を構成する物質としては、酸化物や炭化物、窒化物、硫化物、フッ化物等、塩化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩などあらゆる化合物を含有させることが可能である。また、皮膜中の含有物は意図して添加した物質ばかりでなく、皮膜を形成する処理中の反応により生成するものも含まれる。
皮膜の構成物質を鋼板表面に存在させる方法は特に限定されるものではなく、蒸着、プラズマ溶射、塗布、酸化、窒化などの一般的に知られる表面処理で達成することができるものである。
発明の効果の観点からは、皮膜は酸化物を主とすることが好ましい。皮膜を構成する物質の組成のうち、質量%で70%以上を酸化物とすることで発明の効果が顕著になる。好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であり、99%以上を酸化物とすることで発明の効果はさらに顕著になり、100%であっても構わない。が、一般的に各種ガラス等の酸化物を主とする物質中に含まれ得るものを想定する。
なお、通常の電磁鋼板では、公知の技術として、Si、Mg、Al、Ti、Crの酸化物またはこれらの複合酸化物など酸化物を主体とする皮膜が形成されている。本発明の好ましい一形態は酸化物を主体とした皮膜でもあるが、界面も含めた皮膜構造、製造法、特性向上効果、特性向上メカニズム(技術思想)などの点では、従来技術とは全く異なるものである。
皮膜中の酸化物は皮膜としての特性のみならず、素材物質のコストや生産性、処理のしやすさ等を勘案するとSiOを主としたものが実用的である。皮膜中の質量%で30%以上とすることが好ましい。45%とすることがさらに好ましく、60%以上、さらには75%以上、さらには90%以上でも構わないが、SiOが多くなることは特定元素の含有量が減ることも意味するため、最内層については適当な範囲にとどめる必要がある。
本発明においては、最内層よりも、最内層以外の層で優先的にSiO濃度を高めることが好ましく、(最内層以外の層の平均濃度)/(最内層すなわち母鋼板に接している層の濃度)>1.0とする。さらに好ましくは1.2以上であり、最内層以外をSiO100%としても構わない。最内層で皮膜と鋼板の密着を確保する本発明では、通常では鋼板にほとんど密着しない100%SiO皮膜を鋼板表面に形成することを可能とする。
また、他の酸化物を使用する場合、作業性やコスト、さらには上記の特定元素の添加を兼ねる場合も含めると、主たる酸化物をいくつかの酸化物に限定することが可能である。つまり、皮膜の組成について、NiO、CoO、Cr、NbO、Nb、MnOのうち、1種または2種以上を含むようにすることが好ましい。補助的に含まれる酸化物としては、NaO、KO、MgO、ZnO、Al、Sb、P、SnO、ZrO、TiO、B、などがある。もちろんここに示さない酸化物を含有しても本発明の効果が損なわれるものではない。
(D−2)皮膜の形態について
次に皮膜の形態等について述べる。
皮膜の厚さは厚すぎると、電気部品として積層した場合に、磁気特性を担う鋼板の存在率、いわゆる占積率が低下してしまい、部材としての磁気特性を損ねてしまう。この点では、皮膜は薄い方が好ましいが、皮膜欠陥抑制や磁気特性に好ましい鋼板張力を大きく作用させるためには、ある程度の厚さは必要となる。本発明では、鋼板との密着を確保するために特定元素を比較的多く含有させる必要がある最内層は相対的に薄く制御し、鋼板張力やすべり性などを確保するための最内層以外の層を比較的厚く制御する。
すなわち、複層構造を形成している皮膜のうちの最内層すなわち母鋼板に接している層の平均厚さが10.0μm以下であり、かつ全皮膜厚さの1/2以下とすることが好ましい。最内層の厚さは、さらに好ましくは5.0μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下である。最内層と呼ぶべき皮膜が存在しない場合は、本発明には含まれないが、厚さが1.0μm以下、さらには0.5μm以下、さらには0.1μm以下であっても本発明の効果は検出可能である。また、最内層の厚さの全皮膜厚さに対する比は、好ましくは1/3以下、さらに好ましくは1/5以下、さらに好ましくは1/10以下、さらに好ましくは1/20以下である。占積率は、母鋼板の板厚と関連するものであり、本発明においては、(全皮膜の平均厚さ)/(鋼板厚さ)≦1/10とすることが好ましい。さらには1/20以下、さらには1/40以下であり、1/100以下であっても構わない。
皮膜は基本的には鋼板の表と裏の両面に同じ物質を同じ厚さで形成するが、これに限定されるものではない。使用方法や用途によって、表裏で異なる物質または異なる厚さで、本発明範囲内の皮膜を形成しても構わない。
また、従来の電磁鋼板と同様に酸化物を主体とする皮膜の上に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂などの有機物を形成することで様々な表面特性を付与することも本発明の効果を損なうものではない。
(D−3)皮膜の張力について
本発明では鋼板に生ずる張力が1Mpa以上であることが特徴の一つである。好ましくは3MPa以上、さらに好ましくは5MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上、さらに好ましくは15MPa以上、さらに好ましくは20MPa以上、さらに好ましくは30MPa以上で、さらに大きな張力が働いても何ら問題となるものではない。
このような鋼板張力は一般に良く知られているように、(皮膜の線膨張率)と(母鋼板の線膨張率)の差によって生ずるものであり、皮膜の線膨張率を母鋼板のそれより小さくすることで、熱処理後の冷却過程で鋼板に張力が発生するものである。基本的にはこれらの膨張率の差と皮膜厚さ、さらには熱処理温度や冷却速度などの熱処理条件等により、磁気特性に寄与する張力は制御される。膨張率の差は大きいほど大きな張力を鋼板に付与することが可能となるが、皮膜には鋼板面内方向に圧縮力が働くこととなり、皮膜に過大な圧縮力が働くと、この圧縮変形によって皮膜が破壊され欠陥を生ずることとなるので注意が必要である。
本発明は酸化物皮膜と母鋼板の密着力が非常に高いため、このような圧縮力による破壊に対して非常に強いという特徴を有している。ここで述べる張力が発生しない場合、鋼板としての磁気特性が劣化するばかりでなく、皮膜が破壊しやすくなり、鋼板取り扱いや使用時のわずかな衝撃や変形により本発明で特徴的な皮膜に欠陥が生じ、密着性が低下するとともに、絶縁性、すべり性にも悪影響を及ぼす。
また、本発明においては、皮膜が原因となり母鋼板に発生している張力と各層の厚さに関し、(最内層すなわち母鋼板に接している層に起因する張力)/(最内層以外の層に起因する張力)/(最内層の厚さ)*(最内層以外の層の厚さ)<1.00とすることが好ましい。これは、皮膜全体で母鋼板に発生する張力をできるだけ、母鋼板から離れた層で担保することも狙っている。
すなわち、母鋼板と接している皮膜層で母鋼板に大きな張力を発生させる場合、この皮膜層に大きな圧縮力が働いてこの皮膜層の破壊が起きやすくなる。これを避けるには、母鋼板と皮膜の界面近傍の応力の変化率をできるだけ小さくすることが有効であり、このために(最内層すなわち母鋼板に接している層に起因する張力)/(最内層以外の層に起因する張力)/(最内層の厚さ)*(最内層以外の層の厚さ)<1.00とするものである。さらに好ましくは、0.95以下、さらに好ましくは、0.90以下、さらに好ましくは、0.80以下、さらに好ましくは0.60以下である。
(E)本発明の電磁鋼板の製造方法について
(E−1)皮膜の形成方法について
以下、本発明の電磁鋼板の製造方法、つまり皮膜の形成方法について述べる。
皮膜形成方法はここに示す方法に限定されるものでないことは言うまでもないことであるが、本方法によれば効率よく、低コストで発明の効果を得ることが可能となる。ただし、本発明は界面に特定元素の偏析部を形成し、さらに皮膜構成物質と母鋼板の反応を制御する必要があり、その意味では、単純な均一な表面処理で目的を達成することは一般には困難である。
本発明の皮膜を形成する一つの方法は、母鋼板表面に特定元素を含む物質または混合物を適当量塗布しておき、その後、高温で処理することで皮膜を形成させるとともに特定元素の界面への偏析および皮膜と母鋼板との反応を起こさせるようにするものである。
この方法の代表的なものは、鋼板に酸化物または酸化物を含有する物質を塗布し、その後、塗布した皮膜中に含有している酸化物の1種または2種以上が溶融する温度以上で熱処理し、その後固化させることで形成するものである。この熱処理中に、特定元素の界面への偏析、それに伴う界面形態の変化、皮膜の緻密化、熱歪の発生、皮膜表面性状の変化等が起き、絶縁性、密着性、すべり性、耐食性、張力等が好ましい状態になる。
次に、本発明で特徴となる、皮膜を複層化する際の手段について記述する。
複層化は、一層ずつ塗布−熱処理(溶融)−固化し、重ねていくことも可能であるが、製造コストを考えると、まず必要な複層について塗布し、その後、熱処理し、複層を一度に溶融−固化させることが、より好ましい。もちろん、一層を固化する方法と複層を一度に固化する方法を組み合わせてもよい。その場合、母鋼板の表面と界面を形成する層は一層を固化する方法で形成し、その他の層は複層を一度に固化する方法で形成するのがよい。
また、酸化物を含有する物質の塗布は、製造コストや、塗布に伴う廃棄物の処理等の面から、ドライプロセスで行われることが好ましい。さらにドライプロセスとすることで、後述のような雰囲気からのガス原子による皮膜欠陥発生を抑止することも可能となり、皮膜の均一性も向上し、鋼板特性向上効果も好ましくなる。ドライプロセスによる塗布は、通常、各種の塗装等で実績がある粉体静電塗装等を用いることが可能である。
以上のような母鋼板に複層構造の皮膜を形成する工程は、素材としての板状、コイル状の電磁鋼板の製造工程で行うのが、生産効率上有利である。しかしながら、複層構造の皮膜の一部あるいは全部を、鋼板を電気部品に加工する工程中で形成することもできる。
すなわち、複層構造の皮膜のうち、最内層を含む少なくとも1層は、電磁鋼板の製造工程で形成し、その上層に形成される1層以上の残りの層はその鋼板を電気部品に加工する工程中で形成することもできるし、皮膜の形成されていない電磁鋼板を用い、複層構造の皮膜の全部を、その鋼板を電気部品に加工する工程中で形成することもできる。
例えば、積層鉄心を製造する場合、皮膜形成物質の塗布を加工工程の途中の鋼板の積層前で行い、皮膜形成するための熱処理を、鋼板を積層した後に行うことができる。
また、鋼板を打ち抜き加工した後、鋼板の片面のみに皮膜形成物質を塗布し、塗布面が同じ向きになるように積層した後、熱処理を行うことで、皮膜の形成と積層した鋼板の固定を同時に行うことも可能である。このようにすることで、従来、鋼板製造側で行われていた皮膜形成工程を省略したり、特許文献3に開示されている技術を使って、加工時に行っていたカシメや溶接などの積層鋼板の固定加工を省いたりすることも可能となる。
さらに、電磁鋼板の使用ユーザーで一般的に行なわれている歪取り焼鈍を皮膜形成熱処理として活用することでエネルギーコストの削減も可能となる。
このように積層鋼板を固定した場合、本発明によると皮膜と母鋼板の密着が強固なため、従来法のように皮膜と母鋼板の界面での剥離というトラブルを完全に排除することが可能となる。もちろん、鋼板で皮膜を形成しておき、部材として積層した状態で熱処理だけを行い、皮膜を再溶融、固化させることで積層固定を図るというような使用法も可能である。
(E−2)熱処理条件について
次に塗布した物質中に含有している酸化物の1種または2種以上を溶融させる熱処理条件について述べる。
熱処理温度は、あまりに低温では、酸化物の溶融が不十分で皮膜の緻密化やフラット化が不十分となり皮膜欠陥が発生するばかりでなく、特定元素の偏析等も不十分になり密着性も劣化する。また、あまりに高温では、エネルギーコストの問題が起きるばかりか、溶融した皮膜物質の粘度が低下しすぎて、皮膜の厚さの確保が困難になることや、皮膜中の酸化物と母鋼板の反応が激しすぎて、界面構造を含めた良好な皮膜の形成が困難になるとともに、目的とする機能の発揮を阻害する。適当な温度範囲は400〜1200℃、好ましくは500〜1000℃、さらに好ましくは600〜900℃、さらに好ましくは700〜850℃である。
同様に熱処理時間も重要な要因であり、好ましくは0.1〜3600秒、さらに好ましくは0.2〜1200秒、さらに好ましくは0.5〜300秒、さらに好ましくは1.0〜60秒である。熱処理温度が高温であるほどその温度に保持する時間の短縮が可能であることは言うまでもない。時間が短すぎると本発明の特徴である、特定元素の界面への濃化および界面での凹凸形成のための時間が不足することになり、長すぎると母鋼板から皮膜中へのFeの拡散量が多くなり、皮膜の特性が好ましからざるものに変質してしまう。
本プロセスのもう一つの特徴は皮膜形成熱処理時の露点の制御にある。本プロセスでは、あまりに露点が高い雰囲気中で熱処理を行うと、熱処理終了後に皮膜に欠陥を生ずる場合がある。この原因は明確ではないが、熱処理中に母鋼板中に浸入したガス原子が熱処理後の鋼板の冷却に伴い母鋼板から排出され、それが皮膜中または界面で泡状となり皮膜の欠陥となるものと考えられる。このガス原子は雰囲気ばかりでなく、塗布した皮膜形成物質からも発生する場合がある。このため皮膜を形成するために塗布する酸化物を含む物質には分解しやすい有機物や水分を含まないことが好ましい。雰囲気の制御は露点を0℃以下とすることで、この害を抑制する効果が顕著になる。好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−40℃以下、さらに好ましくは−60℃以下であり、低いほど好ましいことは言うまでもない。
(E−3)張力の付与方法について
本発明の特徴として、母鋼板に張力を生じている状態にあることは前述の通りである。この張力は皮膜物質と母鋼板の熱膨張の差を原因として、皮膜形成熱処理およびその冷却中に発生させることも可能であるが、本発明では、皮膜形成熱処理中に鋼板に張力を負荷しておき、皮膜形成後に張力を除去することで母鋼板に張力を残存させることも可能である。
ただしこの方法では張力のかけ方によっては残存する張力に板面内の異方性が生成することになる。この異方性は何も害になるものではなく、用途によっては好ましいものにもなるものであり、必要とする特性や使用方法により張力の方向を制御することが可能である。例えば、コイルで鋼板を製造する場合であれば、コイルの長手方向に張力を付与しておくことでこの方向の張力が大きくなり鉄損が低下するし、また、皮膜には大きな圧縮力が働くため、この方向の変形に対する皮膜の耐破壊性が向上する。この効果を顕著に得るには1MPa以上の張力を付与しておくことが好ましい。張力が大きいほど効果も大きくなることは言うまでもないが、上述の異方性に注意する必要があることと、あまりに大きな張力では鋼板が変形したり、また、皮膜に生ずる圧縮力で皮膜自体が破壊してしまうことも考えられるので注意が必要である。
(E−4)母鋼板の製造について
前記成分を含む母鋼板に関しては、通常の電磁鋼板と同様に転炉で溶製され、連続鋳造でスラブとされ、ついで熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍などの工程で製造される。これらの工程の中で冷延や焼鈍を複数回行うことや、脱炭工程などを経ることも本発明の効果を何ら損なうものではない。また通常の工程ではなく熱延工程を省略する薄スラブCCなどの工程によって製造しても問題ない。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例で採用した条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するための一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲の請求項に記載される事項によってのみ規定されており、本発明を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1に示した種々の電磁鋼板に各種の物質を塗布し、熱処理を行い皮膜を形成させ、特性を評価した。この際、鋼板表面に塗布する物質内に特定物質を含有させ、熱処理において鋼板表面への偏析を誘起し発明の効果を得るようにした。
鋼板表面に塗布する物質は表2に示す酸化物を主体とした混合物を使用した。混合物中に含まれる酸化物等の割合は表2に示す通りであるが、内層の塗布はこれにさらに特定元素を含有した酸化物等を添加したものも用いた。
Figure 2008031499
Figure 2008031499
特定元素は表3、5に示すように、酸化物の他、純金属粉、炭化物、窒化物、硫化物等の形で添加し、最終的な特定元素の濃度が表3に示すように添加量を調整した。このため、最終的な塗布物質中の酸化物等の割合はトータルを100%とすると、表2の数字からはずれたものになっている。最終的に形成される皮膜は鋼板の表裏で同質、同厚となっている。
塗布方法は2種を用いた。一つは塗布物質を粉体とし、電荷を帯びさせることで鋼板表面に付着させる方法で、一般的に静電粉体塗装として知られるものである。この方法は、塗布工程で液体状の溶媒等を用いないため、一般的にドライプロセスと呼ばれており、表4、6においては「Dry」と記述した。
もう一つの方法は、粉状にした塗布物質を液体に混ぜ、鋼板に吹き付けるものである。液体としては水、有機溶剤などが使用でき、一般的にウェットプロセスとして知られるもので、表4、6においては「Wet」と記述している。本実施例においては液体として水を用い、塗布物質の水中での混ざり具合や、鋼板への付着性を制御するため、表2のベース物質に、珪石、珪砂、ほう砂などのいわゆる「粘土」分を多少の添加物として加えた。
本実施例では皮膜はすべて2層とした。皮膜を複層にする方法は2通りの方法を試みた。一つは1層ずつ皮膜を形成する方法で、内層となる物質を塗布し、熱処理によりこれを溶融固化し1層目の皮膜を形成した後、外層となる物質を塗布し、続いて熱処理を行ってこれを溶融固化し、最終的な2層の皮膜を形成させた。この場合の最初の熱処理を「中間熱処理」、外層を塗布した後の熱処理を「最終熱処理」として、表4、6中に記載した。
もう一つの方法は、内層となる物質を塗布し、そのまま熱処理を行なうことなく外層となる物質を塗布し、その後、1回の熱処理で内層物質と外層物質の溶融固化を行って皮膜を形成する方法である。この場合は、「中間熱処理」欄は「−」とし、「最終熱処理」欄のみに処理条件を記載した。
皮膜の密着性は、2kgの球頭の重りを2mの高さから落下し変形させた時の、変形部の皮膜剥離状態を目視観察し評価した。
皮膜性状は、熱処理による皮膜形成後の皮膜を目視観察し、皮膜剥離、黒点、白濁などの皮膜異常の発生を評価した。
皮膜の密着および性状については、×:問題あり、△:使用可(従来皮膜レベル)、○:良好、◎:非常に良好 として評価を表示した。
磁気特性については、本発明の適用による磁束密度の変化は小さいので、鉄損により効果を評価した。鉄損は55mm角のSST試験により鉄損W15/50を測定し、コイルの圧延方向およびその直角方向についての平均値を求めた。鉄損は鋼板の成分や熱履歴によって大きく変化するため、発明の効果は、物質を塗布せず、皮膜形成材と同一の熱処理を施した材料と比較し、鉄損の差により評価した。
各種特性を表3〜表6に示す。
鋼番号1、2、15、16、25、26、29〜31、34、39は塗布物質に特定元素を含まないか、含んでも量が不足または処理条件が好ましくないため効果が現れていない事例である。これ以外のものは、特定物質が皮膜と鋼板の界面に濃化し皮膜密着強度が高まることで、皮膜による鋼板への張力が十分に作用し鉄損改善効果が現れる。特に、最内層に特定物質を十分な量含有させたものは、最内層による密着性が格段に向上し、皮膜により大きな張力を付与した場合にも良好な密着性を確保できている。また、表層をより、ガラス質に近い成分とした場合にも皮膜性状が良好となっている。
鋼番号45〜52は、皮膜を形成せず製造した鋼板から55mmSSTのサンプルを切り出し、この両面に皮膜形成物質を塗布したものを5枚重ねて熱処理して、皮膜を形成すると同時に積層した。鋼番号45〜50は1層目を塗布した後、比較的低温短時間の熱処理を行ない簡易的に皮膜を形成した後、2層目を塗布し、積層し最終熱処理を行なった。鋼番号51、52は2層を塗布しただけの状態で積層し、一度の熱処理で皮膜形成と同時に積層鋼板の固定を行なった。このようにして得た、鋼板を5枚重ねた55mm角のSST用サンプルで鉄損を測定し、評価した。なお、表中の皮膜厚さは、同様の塗布と熱処理を鋼板1枚に行なった際の皮膜厚さを記している。鋼板使用ユーザーにおいて、モーターコアやトランスコアの製造工程において、皮膜形成と積層化を行なうような場合でも、本発明の効果が得られることを示している。
Figure 2008031499
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本発明は、通常、方向性電磁鋼板が用いられるトランス部品、無方向性電磁鋼板が用いられるモーター部品に限らず、電磁鋼板の種類や用途によらず、電気的および磁気的性質が要求されるすべての電磁鋼板の用途に適用可能である。

Claims (19)

  1. 質量%で、C:0.07%以下(0を含む)、Si:7.0%以下(0を含む)、Mn:6.5%以下(0を含む)、P:0.30%以下(0を含む)、S:0.080%以下(0を含む)、Al:8.0%以下(0を含む)、N:0.070%以下(0を含む)、O:0.070%以下(0を含む)を含有する母鋼板の表面に酸化物を含有する複層皮膜を有し、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnのいずれか一種または二種以上の元素について、(母鋼板と皮膜の界面における濃化部位での濃度)/(母鋼板での平均濃度)≧2.0かつ(母鋼板と皮膜の界面における濃化部位での濃度)/(皮膜の最内層での平均濃度)≧2.0であることを特徴とする電磁鋼板。
  2. 請求項1に記載の電磁鋼板のうち、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnのいずれか一種または二種以上の元素について、母鋼板と皮膜の界面における濃化部位での濃度が、質量%で0.10%以上であることを特徴とする電磁鋼板。
  3. 請求項1または2のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、母鋼板と皮膜の界面の凹凸の平均深さが5.0μm以下であることを特徴とする電磁鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、母鋼板と皮膜の界面の凹凸の平均周期が15.0μm以下であることを特徴とする電磁鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、皮膜の最内層中に、質量%で、Ni:0.5%以上、Co:0.5%以上、Cr:0.5%以上、Cu:0.5%以上、Mo:0.5%以上、Nb:0.5%以上、Mn:0.5%以上の一種または二種以上を含有することを特徴とする電磁鋼板。
  6. 請求項1〜5のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Mnのいずれか一種または二種以上の元素について、(皮膜の最内層での平均濃度)/(母鋼板での平均濃度)>1.00であることを特徴とする電磁鋼板。
  7. 請求項1〜6のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、皮膜の組成に関して、Ni、Co、Cr、Cu、Mo、Nb、Ti、B、Mnのいずれか一種または二種以上の元素について、(最内層での平均濃度)/(最内層以外の層での平均濃度)>2であることを特徴とする電磁鋼板。
  8. 請求項1〜7のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、皮膜のSiO濃度について、皮膜平均で30質量%以上であり、かつ(最内層以外の層での平均濃度)/(最内層での平均濃度)>1.0であることを特徴とする電磁鋼板。
  9. 請求項1〜8のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、複層構造を形成している皮膜のうちの最内層の平均厚さが10.0μm以下であり、かつ全皮膜厚さの1/2以下であることを特徴とする電磁鋼板。
  10. 請求項1〜9のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、(全皮膜の厚さ)/(鋼板厚さ)≦1/10であることを特徴とする電磁鋼板。
  11. 請求項1〜10のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、皮膜が原因となり母鋼板に発生している張力が1MPa以上であることを特徴とする電磁鋼板。
  12. 請求項1〜11のいずれかの項に記載の電磁鋼板のうち、皮膜が原因となり母鋼板に発生している張力と各層の厚さに関し、{[(最内層に起因する張力)/(最内層以外の層に起因する張力)]/(最内層の厚さ)}*(最内層以外の層の厚さ)<1.00であることを特徴とする電磁鋼板。
  13. 請求項1〜12のいずれかの項に記載の電磁鋼板の製造方法であって、母鋼板の表面に酸化物を主体とする物質または混合物を塗布した後、塗布物中に含有している酸化物の1種または2種以上が溶融する温度以上で熱処理して皮膜を形成し、さらにその後、塗布と熱処理を繰り返すことで皮膜の複層構造を形成することを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれかの項に記載の電磁鋼板の製造方法であって、母鋼板の表面に酸化物を主体とする物質または混合物を、組成を変えて複層となるように塗布し、その後、すべての層について、塗布した各層の皮膜中に含有している酸化物の1種または2種以上が溶融する温度以上で熱処理することで皮膜の複層構造を形成することを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
  15. 請求項1〜12のいずれかの項に記載の電磁鋼板の製造方法であって、母鋼板の表面に、酸化物を主体とする物質または混合物を1層塗布し、あるいは前記物質または混合物の組成を変えて複層となるように塗布し、その後、塗布した層の皮膜中に含有している酸化物の1種または2種以上が溶融する温度以上で熱処理し、以上の塗布と熱処理をそれぞれ1回以上行うことにより複層構造の皮膜を形成することを特徴とする電気部品の製造方法。
  16. 請求項13〜15のいずれかの項に記載の電磁鋼板の製造方法のうち、鋼板表面に塗布した物質または混合物中に含有している酸化物の1種または2種以上を溶融させる熱処理が、400〜1200℃の温度範囲で0.1〜3600秒間加熱することで行われることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
  17. 請求項13〜16のいずれかの項に記載の電磁鋼板の製造方法のうち、鋼板表面に塗布した物質または混合物中に含有している酸化物の1種または2種以上を溶融させる熱処理が、露点≦0℃の雰囲気中で行われることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
  18. 請求項13〜17のいずれかの項に記載の電磁鋼板の製造方法のうち、表面皮膜を形成するための物質または混合物が、ドライプロセスで塗布されることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
  19. 請求項13〜18のいずれかの項に記載の電磁鋼板の製造方法のうち、塗布した物質または混合物中に含有している酸化物の1種または2種以上を溶融固化させる熱処理を行う際に、母鋼板に作用する応力として、1MPa以上の張力を付与した状態で行われることを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
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