JP2008031498A - 一方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

一方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い透磁率と加工性を併せ持つ方向性電磁鋼板を提供する。
【解決手段】鋼板の鉄基部分に質量%でSi:1.0〜5.0%を含み、鋼板表面において、円相当径が3mm以下の結晶粒が占める面積率を20%以下とし、かつ円相当径が20mm以上の結晶粒が占める面積率を15%以下とし、鋼板表面にセラミック質被膜を有さず、さらに磁束密度:1.0T、周波数:50Hzにおける比透磁率を20000以上とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、主としてEIコアなどの小型変圧器、回転機、発電機用の鉄心あるいはイグニッションコイルなどの鉄心材料に供して好適な一方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
結晶方位が{110}<001>方位いわゆるゴス方位に配向した一方向性電磁鋼板(以下、方向性電磁鋼板と称す)は、鋼中にインヒビターと呼ばれる成分を含有させ、鋼スラブを高温で加熱してインヒビターを固溶させたのち、熱間圧延工程においてインヒビターを微細に析出させ、冷間圧延後、脱炭を兼ねた再結晶焼鈍を施してから、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布し、高温・長時間の最終仕上げ焼鈍中に二次再結晶と呼ばれる現象を利用して上述の結晶方位を得るのが一般的である。ここで、焼鈍分離剤の主成分であるMgOは、湿潤雰囲気中にて行われる再結晶焼鈍により鋼板表面に生成したシリカと最終仕上げ焼鈍中に反応して、フォルステライト(Mg2SiO4)の層を形成する。このフォルステライト層は、それ自体が鋼板に張力を付与するばかりでなく、最終仕上げ焼鈍後の表面に焼き付けられるガラス質の絶縁張力被膜と地鉄との間の中間層の働きをする。このように、フォルステライト層は、焼鈍分離剤による副生成物であるものの、絶縁張力被膜による鉄損低減を必要とする方向性電磁鋼板では必須の存在とされている。
一方、フォルステライト層は、上記のような有用性を有する反面、セラミック質であるため、硬度が高く、打抜き加工で鉄心を製造する場合には金型の摩耗が顕著であるという問題点を有している。
また、フォルステライト層の上にガラス質の絶縁張力被膜を有する場合、曲げ加工の際の密着性が無方向性電磁鋼板の絶縁被膜として用いられている有機質を含んだ被膜に比べて劣るという問題点がある。
このような問題点のため、方向性電磁鋼板は打抜き加工や曲げ加工を必要とする鉄心として工業的に用いることは難しかった。
上記の問題点を解決するためには、まずフォルステライトなどのセラミック質の被膜を形成させない方向性電磁鋼板を製造し、これに無方向性電磁鋼板と同じ絶縁被膜を形成させることが考えられる。
このような技術としては、まず最終仕上げ焼鈍後にフォルステライト被膜を酸洗や研削などの方法で除去する方法が考えられるが、この方法はコスト高になるだけではなく、表面性状が劣化し、磁気特性の劣化を招くという問題点がある。
また、例えば特許文献1には、最終仕上げ焼鈍に適用するMgOを主体とする焼鈍分離剤中に薬剤を配合することによってフォルステライトの形成を抑制する技術が、さらに特許文献2には、Mnを含有する素材にシリカやアルミナを主体とする焼鈍分離剤を適用することによってフォルステライトの形成を抑制する技術が開示されている。
しかしながら、これらの技術では、インヒビター成分の除去のために高温での純化焼鈍が必要となるため、製造コストが高くなるという問題の他、製品の結晶粒径が粗大となって加工性が損なわれるという問題点があった。
これらの技術に対し、インヒビター成分を含有しない素材を用いてゴス方位結晶粒を低温で発達させ、純化焼鈍や特殊な焼鈍分離剤を必要としない方法が、特許文献3に開示されている。この方法によれば、フォルステライト被膜を有しない方向性電磁鋼板を、純化焼鈍の必要なしに安価に製造することが可能である。
しかしながら、この方法で得られた方向性電磁鋼板は、二次再結晶粒径が十分に制御されていないため、加工性の点で問題が生じる。
通常の冷延鋼板や無方向性電磁鋼板の結晶粒径は、数μm〜数100μm程度であるため、加工の際の結晶方位の影響は平均化されて顕著には表れない。これに対し、方向性電磁鋼板では、二次再結晶粒の直径が数mm〜数10mmに達するため、加工の際に結晶方位による悪影響が生じるという問題点がある。
具体的には、鋼板を形成している二次再結晶粒の数度の結晶方位のずれにより、打抜き加工時の寸法精度が劣化する現象であり、二次再結晶粒径が増大する従って顕著になる。このような現象に対しては、二次再結晶粒径を細かくすることが有利である。
微細なゴス方位を得る方法としては、特許文献4や特許文献5に開示されている方法がある。これらの方法による電磁鋼板は、加工性に優れている反面、結晶粒径が微細であるため、方位集積度を向上させるのが困難であり、通常の方向性電磁鋼板並みの透磁率は得られない。さらに、粒界密度が高いため結晶粒界で生成する磁極の総量が大きく、とくに磁束密度:1.0T付近の低磁束密度域での透磁率が低いという問題点を有している。
特公平6−49948号公報 特開平8−134542号公報 特開2000−129356号公報 特開2000―160305号公報 特開2001―303214号公報
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、高い透磁率と加工性を併せ持つ方向性電磁鋼板を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
さて、発明者らは、特許文献3に開示した、インヒビタ成分を含有しない素材からゴス方位組織を発達させる技術を発展させ、加工性と磁気特性を両立させる製造技術の開発に取り組んだ。
その結果、加工性と磁気特性を同時に確保するためには、二次再結晶粒の粒径分布を適正に制御することが重要であることの知見を得た。
すなわち、加工性の観点からは、過度に粗大な粒径の二次再結晶粒を発生させないことが、また磁気特性確保の観点からは、微細な粒径の二次再結晶粒の割合を一定以下に抑制することが重要である。
このような二次再結晶組織を得るためには、熱間圧延中にγ変態を起こすに足る量のCを含有する素材を用い、スラブ加熱温度を制限すると同時に熱間圧延において特定温度以上での圧下率を高くし、さらに熱間圧延後の最初の焼鈍における特定温度域の所要時間特に500〜900℃の温度域での所要時間を適切に制御することが有効であることを突き止め、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)鋼板の鉄基部分に質量%で、Si:1.0〜5.0%を含み、鋼板表面において、円相当径が3mm以下の結晶粒が占める面積率が20%以下で、かつ円相当径が20mm以上の結晶粒が占める面積率が15%以下であり、鋼板表面にセラミック質被膜を有さず、さらに磁束密度:1.0T、周波数:50Hzにおける比透磁率が20000以上であることを特徴とする一方向性電磁鋼板。
(2)上記1において、鋼板の鉄基部分が、さらに質量%で、Mn:0.02〜2.0%、Ni:0.005〜2.0%、Sn:0.01〜2.0%、Sb:0.005〜0.5%、Cu:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.50%およびCr:0.01〜2.0%のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする一方向性電磁鋼板。
(3)質量%で、C:0.02〜0.12%およびSi:1.0〜5.0%を含み、Al:100ppm以下、N:50ppm 以下の組成になる鋼スラブを、1100〜1300℃の温度に加熱した後、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍を施してから冷間圧延して最終板厚とするか、あるいは熱延板焼鈍なしに中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚とした後、再結晶焼鈍を施し、その後表面にセラミック質の被膜が生成しないように最終仕上げ焼鈍を施し、ついで平坦化焼鈍後、絶縁コーティングを焼き付ける一連の工程からなる一方向性電磁鋼板の製造方法において、
熱間圧延中の鋼板表面温度が950℃以上における累積圧下率を75%以上とし、熱間圧延後の最初の焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間を100秒以内とすることを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。
(4)上記(3)において、鋼スラブが、さらに質量%で、Mn:0.02〜2.0%、Ni:0.005〜2.0%、Sn:0.01〜2.0%、Sb:0.005〜0.5%、Cu:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.50%およびCr:0.01〜2.0%のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、1.0T程度の比較的低い磁束密度での透磁率を損なうことなく、かつ打抜き時の金型磨耗が少なく寸法精度も良好な方向性電磁鋼板を得ることができる。
本発明は、優れた加工性と磁気特性を兼ね備える方向性電磁鋼板を得るには、表面に硬質の被膜を存在せしめないと共に、二次再結晶粒の粒径分布を過度に微細でない範囲で均一化することが有効であることを新たに知見して完成されたものであり、そのために必要な粒径分布の指標を示すと共に、その製造方法を提示している。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明を由来するに至った実験結果について詳述する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.04%、Si:3.3%およびMn:0.04%を含み、Al:40ppm、S:20ppm、N:20ppm、O:15ppmに低減した鋼スラブを、連続鋳造にて製造した。この鋼スラブから、試験片を採取して、1250℃に加熱後、種々の条件で熱間圧延を施したのち、保持温度:1000℃の熱延板焼鈍を施し、ついで冷間圧延により0.35mm厚の最終板厚としたのち、体積比で水素:窒素=25:75、露点:50℃の雰囲気中にて850℃の脱炭と再結晶を兼ねた焼鈍を施してから、アルミナ粉を焼鈍分離剤として塗布し、保持温度:900℃の最終仕上げ焼鈍を行ったのち、重クロム酸塩と樹脂からなる半有機コーティング液を塗布・焼き付けして試作鋼板を制作した。
得られた試作鋼板の二次再結晶組織を、酸によるマクロエッチングで調査すると共に、プレス打抜き装置により、外径:100mm、内径:80mmのリング状サンプルを20枚打抜き、これらすべてのリング状サンプルについて、45°おきに外径を測定した。ここで、外径のばらつきを、以下に示す指標Δφ(%)により定量化した。
Δφ(%)=(外径の最大値−外径の最小値)/外径平均値×100 ・・・(1)
また、二次再結晶組織は、酸によるマクロエッチングの後に二次再結晶粒界を目視判定し、画像解析装置にて粒径の分布を調査した。二次再結晶粒の粒径は、画像解析により各二次再結晶粒の面積Sを測定し、以下の式により定めた円相当径とした。
円相当径r=2(S/π)0.5
図1に、円相当径が20mm以上の結晶粒の面積率とΔφとの関係について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、 円相当径が20mm以上の結晶粒の面積率が大きくなると、Δφが大きくなって寸法精度(打抜性)は劣化するが、この面積率が15%以下であれば打ち抜き寸法精度のばらつきは小さい。
この理由は、粗大な結晶粒が存在すると、打抜き加工の際の材料の変形過程で結晶方位がわずかずつずれた結晶粒の影響が平均化されずに特定の結晶粒の方位の影響が強くなり、寸法精度が劣化するのに対し、粗大な結晶粒を少なくすれば、かような劣化が抑制されるためと考えられる。
なお、特開2002−212687号公報には、「鉄損及び打抜き加工性の良好な方向性電磁銅板とその製造方法」として、二次再結晶粒の中に微細な結晶粒を存在せしめる技術が開示されているが、ここでの微細な結晶粒は鉄損の改善に寄与する効果を有しているのみで、打抜き加工時の寸法精度を改善させるものではない。
次に、図2に、円相当径が3mm以下の結晶粒の面積率と50Hz、1.0Tでの比透磁率μr10/50との関係について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、円相当径が3mm以下の結晶粒の面積率を20%以下に制限することにより、20000以上の比透磁率が得られている。
このような微細な粒径の二次再結晶粒の割合が増加した場合における透磁率の低下は、主として、粒界に生成する磁極によって透磁率が低下することが原因と考えられる。
以上の結果より、円相当径が20mm以上の二次再結晶粒の面積率を15%以下とし、円相当径が3mm以下の二次再結晶粒の面積率を20%以下とすることにより、20000以上の高い比透磁率を確保しながら打抜き加工時に高い寸法精度を保つことが可能となることが解明された。
そこで、次に、発明者らは、上記のような二次再結晶組織の製品を安定して得るための製造方法について検討した。
C:0.04%、Si:3.3%およびMn:0.04%を含み、Al:40ppm、S:20ppm、N:20pm、O:15ppmに低減した、厚さ:200mmの鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1150℃で2時間加熱した後、熱間圧延を施し、板厚:2.2mmの熱延板とした。この際、熱延の粗圧延終了温度(鋼板表面温度)を950℃とし、粗圧延後の鋼帯厚さを種々変化させて950℃以上の温度域における累積圧下率を変化させた。
ついで、得られた熱延板から試験材を採取し、1000℃にて60秒間保持する熱延板焼鈍を施した。この熱延板焼鈍においては、昇温過程:500〜900℃間の所要時間を種々に変化させた。ついで、酸洗後、板厚:0.35mmに冷間圧延し、体積比で水素:窒素=25:75、露点:50℃の雰囲気中で850℃、100秒保持する脱炭・再結晶焼鈍を施したのち、N2:25%、Ar:75%の雰囲気中で900℃に30時間保持する最終仕上げ焼鈍を行った。その後、鋼板にマクロエッチングを施し、二次再結晶組織を顕にして、画像解析により粒径分布を調査した。
図3,図4にそれぞれ、熱間圧延中、950℃以上での累積圧下率と、円相当径が20mm以上の結晶粒の面積率および円相当径が3mm以下の結晶粒の面積率との関係を、熱延板焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間が60秒および120秒の場合について示す。
図3,4によれば、熱延板焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間が60秒の場合、熱間圧延中、950℃以上での累積圧下率を75%以上とすることにより、円相当径:20mm以上の二次粒の面積率を15%以下とすると同時に、円相当径:3mm以下の二次粒の面積率を20%以下とすることができている。
これに対し、熱延板焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間が120秒の場合は、熱間圧延での950℃以上の温度域での累積圧下率を変化させても、円相当径:20mm以上の二次粒の面積率を15%以下となることはなく、また円相当径:3mm以下の二次粒の面積率が20%以下となることはなかった。
また、図5、図6に、熱間圧延中、950℃以上での累積圧下率が80%の場合において、熱延板焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間と円相当径が20mm以上の結晶粒の面積率および円相当径が3mm以下の結晶粒の面積率との関係について調べた結果をそれぞれ示す。
図5、図6から明らかなように、熱延板焼鈍の昇温過程:500〜900 ℃間の所要時間を 100秒以下とすることによって、円相当径:20mm以上の結晶粒の面積率が15%以下、円相当径:3mm以下の結晶粒の面積率が20%以下の製品が得られていることが分かる。
上述したとおり、熱間圧延における高温域の圧下率と、引き続く熱延板焼鈍の昇温過程での所要時間の両者を同時に適正に制御することによって、所望組織の製品が得られることが分かる。
ここで、熱間圧延中、950℃以上での累積圧下率を75%以上確保することによって二次再結晶粒径の分布が改善される理由は、鋼板表層部が高温域で強い歪を加えられることで、熱延中の結晶粒成長が適度に進行して熱間圧延後の組織が均一化された結果、二次再結晶後の組織が均一化されたことによると考えられる。特に二次再結晶粒径の微細な粒や粗大な粒の発生が抑制された結果と考えられる。
また、熱延板焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間を適正に制御することによって所望の二次再結晶組織が得られる理由については、必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。
前掲特許文献3では、鋼中の固溶窒素が粒界性格に影響を及ぼして粒界移動のピン止め効果を増加させていると推定される。熱延板焼鈍の昇温に長時間を要するとAlNなどの不純物の析出量が増加する結果、鋼中の固溶窒素が減少し、固溶窒素による粒界のピン止め効果が低下すると考えられる。このような固溶窒素による粒界移動のピン止め効果は、従来から用いられてきた析出物粒子によるピン止め効果よりも、一次粒の粒径分布に起因した二次再結晶粒サイズの不均一を抑制するような効果が高いと推定される。このため、熱延板焼鈍の昇温に要する時間を制限して固溶窒素量を増加させた場合に、二次再結晶粒の中の粗大粒や微細粒の発生が抑制されたものと推定される。
また、単に熱延板焼鈍の昇温速度を適正化しただけでは、二次再結晶粒の粒径分布が均一化されない理由は、固溶窒素によるピン止め効果が熱延組織の不均一性に応じて不均一化するためと推定される。すなわち、熱間圧延の高温域の圧下率を適正化して組織を均一化した上で、引き続く熱延板焼鈍の昇温過程の所要時間を適正化することによって、初めて所望の二次再結晶組織が達成されると考えられる。
さらに、上記のような昇温速度による効果は、熱間圧延後の最初の焼鈍において現れると考えられる。すなわち、熱延板焼鈍を省略し中間焼鈍を実施する場合には、中間焼鈍の昇温過程がこれに相当する。
特開平9−316537号公報などに開示されている従来の技術においても、熱延板焼鈍や中間焼鈍の昇温速度を適正に制御することが行われていたが、これらの技術では、AlN等のインヒビターを適切に析出させることが目的であった。
一方、上記した熱延板焼鈍や中間焼鈍すなわち熱間圧延後最初の焼鈍の昇温過程での所要時間を適正化する方法は、本発明のようなインヒビターを用いない電磁鋼板の製造方法において、不純物の析出を抑制しようとするものであり、従来の技術とはその目的が異なっている。
次に、本発明の製品について、成分組成をはじめとする限定理由について説明する。
Si:1.0〜5.0%
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を低減させるだけでなく、鉄のBCC組織を安定させて高温での焼鈍を可能とする効果がある。しかしながら、Si含有量が1.0%を下回ると十分な鉄損低減効果が得られず、一方5.0%を超えると磁束密度が低下するだけでなく、製品の二次加工性が著しく劣化するので、Siは1.0〜5.0%の範囲に限定した。
鋼板表面にフォルステライトなどのセラミック質の被膜の存在がない
前述したように、鋼板表面のセラミック質被膜は、打抜き時の金型の磨耗を顕著に促進する。また、曲げ加工等を行う場合にも、密着性が劣るために、加工後に被膜が剥離するという問題がある。このため、本発明の鋼板では、鋼板表面にフォルステライトなどのセラミック質の被膜を存在させないものとした。
鋼板表面での円相当径が3mm以下の結晶粒が鋼板面積に占める比率:20%以下
前述したように、二次再結晶粒の粒径が小さい場合には、粒界で生成する磁極の効果により1.0T程度の低磁束密度域での透磁率が低下する。また、場合によっては結晶方位集積度の低下が同時に起こり、1.7T付近の高磁束密度域での透磁率も低下する。このため、粒径が微細な結晶粒はその面積率で一定値以下に規制する必要があり、1.0Tでの比透磁率を 20000以上とするには、円相当径が3mm以下の結晶粒が鋼板面積に占める比率を20%以下とする必要がある。より好ましくは15%以下である。
なお、上述した二次再結晶粒の面積率は、鋼板片面の面積に対して該当する結晶粒の合計面積の割合を求めればよい。
鋼板表面での円相当径が20mm以上の結晶粒が鋼板面積に占める比率:15%以下
前述したように、結晶粒径が粗大な結晶粒が存在すると打抜き加工時の寸法精度が低下するという現象が生じる。これを防止するには、円相当径が20m以上の結晶粒が鋼板面積に占める比率を15%以下とする必要がある。より好ましくは10%以下である。
この場合の二次再結晶粒の面積率も、上記と同様に鋼板片面の面積に対して該当する結晶粒の合計面積の割合を求めればよい。
磁束密度:1.0T、周波数:50Hzにおける比透磁率μr10/50:20000以上
方向性電磁鋼板では0.5T程度の低磁束密度域から1.8T程度の高磁束密度域にわたって高い透磁率を有する必要がある。ただし、加工性を重視して二次再結晶粒径を細かくした場合には、粒界で生成する磁極の効果により、1.0T以下の低磁束密度域で透磁率の減少が生じる。従って、ここでは実用上重要と考えられる1.0Tでの比透磁率μr10/50を20000以上に限定した。より好ましい比透磁率μr10/50は25000以上である。
なお、その他の成分を含有させる場合には、次の範囲とすることが好ましい。
Mn:0.02〜2.0%
Mnは、熱間加工性を改善するために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.02%に満たないとその添加効果に乏しく、また磁気特性上もやや不利となる。一方、2.0%を超えると磁束密度の低下を招く。従って、Mnの添加を行う場合には上記の範囲とするのが好ましい。なお、製品の鉄基部分にはスラブ段階で含有するMnのほぼ全量が残留する。
Ni:0.005〜2.0%
Niは、組織を改善して磁気特性を向上させる有用元素であり、必要に応じて添加することができる。ここに、含有量が0.005%に満たないと磁気特性の改善が十分でなく、一方 2.0%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化するので、Niを添加する場合には上記の範囲とするのが好ましい。なお、製品の鉄基部分にはスラブ段階で含有するNiのほぼ全量が残留する。
Sn:0.01〜2.0%、Sb:0.005〜0.5%、Cu:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.50%、Cr:0.01〜2.0%
上記の元素はいずれも、鉄損改善のために有用な成分であり、必要に応じて単独またはた複合して添加することができる。ここに、含有量が下限に満たない場合は鉄損の改善効果に乏しく、一方上限を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化するため、各元素とも上記の範囲で含有させることが好ましい。なお、上記のいずれの元素についても製品の鉄基部分にはスラブ段階での含有量のほぼ全量が残留する。
次に、本発明の製造方法に関する限定理由を述べる。
まず、素材である鋼スラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.02〜0.12%
Cは、γ変態の促進により熱延後の組織を均質化させ、磁気特性を改善させる有用元素である。特に本発明では、二次再結晶粒径を均一化させるために均一な熱延組織を得る上で重要な元素である。従って、Si量に応じて熱延中のγ変態が起こるだけのCが含有されていることが望ましい。ここに、Cが0.02%に満たないと、3%程度のSiを含有する場合に熱延中のγ変態が起きず、組織が均一化しない。一方、Si量の増加に伴い必要なγ相を得るにはC量を増加させるのが望ましい。しかしながら、スラブ中の含有量が0.12%を超えると脱炭焼鈍で除去するのが困難になるため、Cの上限は0.12%に限定した。
Al:100ppm以下、N:50ppm 以下
本発明は、前掲した特許文献3のようなインヒビターを用いない方向性電磁鋼板の製造技術を基本としている。従って、不純物元素を低減することで、粒界構造に依存した粒界の動き易さの差を利用して二次再結晶粒の方位集積度を向上させる。このためには、特にAlおよびNについて、上記範囲に限定する必要がある。また、Al,Nの他にも、B,Nb,V,S,SeおよびPについても、50ppm以下に低減しておくことが好ましい。
なお、Nについては、固溶Nによるピン止め効果を得るために、スラブ中に10ppm以上含有させておくことは有利である。
その他、Mn,Ni,Sn,Sb,Cu,MoおよびCrをそれぞれ、Mn:0.02〜2.0%、Ni:0.005〜2.0%、Sn:0.01〜2.0%、Sb:0.005〜0.5%、Cu:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.50%およびCr:0.01〜2.0%の範囲で含有させることについては、前述したところと同じである。
これらの元素はいずれも、本発明の製品の製造工程での作用や製品中の成分として熱間加工性や方位集積度、鉄損の向上に寄与する。また、いずれの元素も、スラブ中の含有量のほぼ全量が製品の地鉄中に残留する。
スラブの加熱温度:1100〜1300℃
スラブの加熱温度が1100℃を下回ると、熱間圧延中に十分な温度を保つことができないため、高温域で十分な圧下率をとることができず、その結果、均一な熱延板組織が得られないため、二次再結晶の粒径分布が不均一化する。一方、スラブの加熱温度が1300℃を超えると、加熱中の結晶粒の成長が進行して熱間圧延後の組織が不均一となり、所望の二次再結晶組織が得られない。従って、スラブ加熱温度は1100〜1300℃の範囲に限定した。より好ましくは1150〜1250℃の範囲である。
熱間圧延中の鋼板表面温度が950℃以上における累積圧下率:75%以上
前述したように、鋼板表面温度が950℃以上における累積圧下率を75%以上とすることで、円相当径が3mm以下の結晶粒の面積率を20%以下で、かつ円相当径が20mm以上の結晶粒の面積率が15%以下とすることが可能となるので、上記の範囲とした。また、上記の被圧延材の表面温度は、圧延直後の温度と定義するものとする。従って、温度の計測時点と圧延終了時点にずれがある場合、圧延中に特別な加熱処理を加えない限りは時間に応じて被圧延材の表面温度が低下するものとして、各圧延ロール出側温度が950℃以上の温度域での累積圧下量を算定することが可能である。より好ましい累積圧下率は80%以上である。
熱延板焼鈍または中間焼鈍のうち、熱間圧延後、最初の焼鈍の昇温工程:500〜900℃間の所要時間:100秒以内
前述したように、熱延後最初の焼鈍の昇温工程:500〜900℃間の所要時間が100秒を超えると鋼中不純物の析出量が増加し、固溶N量が低下して二次再結晶焼鈍中に十分なピン止め効果が得られず、二次再結晶粒の中に粗大な粒径や微細な粒径のものが発生する。従って、二次再結晶粒の中に粗大な結晶粒や微細な結晶粒の発生を抑制するには、熱延後最初の焼鈍の昇温工程:500〜900℃間の所要時間を100秒以内とする必要がある。また、この効果を得るためには、熱延板組織を予め均一化しておく必要があり、従って950℃以上での累積圧下率は、上述したとおり75%以上とする必要がある。
最初の焼鈍の昇温工程:500〜900℃間のより好ましい所要時間は60秒以下である。
セラミックス質の被膜が生じない最終仕上げ焼鈍
本発明では、打抜き加工時の金型摩耗を防止すると共に、曲げ加工時の密着性確保のために、最終仕上げ焼鈍において表面にセラミックス質の被膜が生じないようにし、平坦化焼鈍の後に無機または有機あるいは半有機の絶縁コーティングを施す。このため、最終仕上げ焼鈍においては、鋼板表面にフォルステライトなどのセラミックス質の被膜が生成しないようにする必要がある。従って、焼鈍分離剤を用いる場合には、アルミナ粉やシリカ粉など鋼板との反応性の低い物質を選択するのが良い。また、MgOなどの従来の焼鈍分離剤を用いることも可能であり、この場合にフォルステライトが生成しないようするには、最終仕上げ焼鈍の到達温度を1000℃以下程度の低温域に制限すればよい。また、鋼中にSbやSn,Biなどの表面偏析型の元素を適量含有する場合、最終仕上げ焼鈍の到達温度を950℃程度以下の低温域に制限することで、焼鈍分離剤の塗布がなくても鋼帯同士の密着を防止することができる。
本発明では、スラブ中の不純物元素を低減しているため、最終仕上げ焼鈍は従来の一方向性電磁鋼板ほど高温まで到達させる必要がないので、鋼帯同士の密着を有利に防止することができる。また、最終仕上げ焼鈍での到達温度が低いことは、焼鈍炉の建造やメンテナンスあるいはランニングコストといった点においても極めて有利といえる。
次に、本発明において推奨される製造条件について示す。
熱延後最初の焼鈍における焼鈍温度は950〜1100℃程度とするのが好ましい。というのは、熱延後最初の焼鈍温度が950℃を下回ると、熱延後の未再結晶組織の再結晶が進行せず、二次再結晶粒の方位集積度の低を招き、一方熱延後最初の焼鈍温度が1100℃を超えると、冷延前粒径が粗大となり、冷間圧延後の組織で{111}〈112〉方位の体積分率の低下が著しくなって、二次再結晶粒の方位集積度が低下するからである。より好ましい焼鈍温度は950〜1050℃である。
また、冷間圧延後の再結晶焼鈍温度は850〜1050℃程度とするのが好ましい。というのは、再結晶焼鈍温度が850℃を下回ると、一次粒組織が微細となり二次再結晶粒成長の駆動力が過多となる結果 、円相当径:20mm以上の結晶粒の面積率が15%を上回るようになり、一方再結晶焼鈍温度が1050℃を超えると、二次再結晶粒成長の駆動力不足により、円相当径:3mm以下の結晶粒の面積率が20%を上回るようになるからである。
さらに、スラブ中に含有させたCは、脱炭焼鈍により鋼中から除去する必要がある。これは製品の鋼中でのC残留量が高いと時効効果による鉄損の劣化が生じるからである。脱炭焼鈍は再結晶焼鈍を脱炭性の雰囲気で行うことで再結晶焼鈍と兼ねることができ、製造工程を簡略化する上で有利である。また、熱延板焼鈍や中間焼鈍の雰囲気を脱炭性雰囲気とすることで補助的な脱炭を行うことは、冷間圧延以降の脱炭を簡略化する上で有効である。また、二次再結晶焼鈍の後に脱炭焼鈍を施すことも可能である。
次に、最終仕上げ焼鈍での焼鈍温度は850〜1000℃程度とするのが好ましい。というのは、この焼鈍温度が850℃を下回ると二次再結晶粒の発生直前の一次粒径が過小となり、二次再結晶粒成長の駆動力過大のために円相当径:20mm以上の結晶粒の面積率が15%を超えるようになり、一方1000℃を上回ると二次再結晶粒の発生直前の一次粒径が過大となり駆動力不足のために円相当径:3mm以下の結晶粒の面積率が20%を超えるようになるからである。最終仕上げ焼鈍では、一定温度に保持して二次再結晶を開始あるいは完了させ、その後、鋼板同士の密着が起こらない範囲の高温に昇温して、ごく微細な結晶粒を消失させる方法を併用することも可能である。
実施例1
C:0.04%およびSi:3.2%を含み、かつAl:50ppm、N:30ppmに低減した組成になる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、ガス加熱炉にて表1に示す温度で、1時間の加熱を施した後、3機直列の粗圧延機および7スタンドのタンデム圧延機により2.2mm厚さまで熱間圧延した。この熱間圧延において、スラブの厚さと粗圧延後の鋼帯の厚さを表1に示すように種々に変化させた。また、スラブを加熱炉から抽出してから圧延を開始するまでの時間を調節することで、粗圧延中の950℃以上における累積圧下率を表1に示すように変化させた。また粗圧延に続く仕上げ圧延の開始温度はいずれも930℃となるようにした。ついで、1000℃で60秒間保持する熱延板焼鈍を施したが、この焼鈍での昇温過程中、500〜900℃間の所要時間を表1に示すように種々変化させた。続いて 冷間圧延により0.35mmの最終板厚としたのち、体積比で水素:窒素=25:75、露点:40℃の雰囲気中に830℃,60秒保持して脱炭を行ってから、900℃まで昇温して20秒間保持した。ついで、焼鈍分離剤としてシリカを鋼板表面に塗布した後、窒素雰囲気中にて900℃に50時間保持する最終仕上げ焼鈍を施した。その後、シリカを水洗除去してから、平坦化焼鈍を施したのち、重クロム酸塩と樹脂からなる半有機コーティング液を塗布し、300℃で焼き付けて製品とした。
かくして得られた製品の鋼板表面における円相当径が3mm以下の結晶粒が占める面積率および円相当径が20mm以上の結晶粒が占める面積率について調べた。また、得られた製品からエプスタイン試験片を採取し、磁気特性を測定した。さらに、外径:100mm、内径:80mmのリング状サンプルを20枚打抜き、式(1) にて定めたΔφを評価した。
得られた結果を表1に併記する。
Figure 2008031498
同表から明らかなように、本発明に従い得られた方向性電磁鋼板はいずれも、比透磁率μr10/50が20000以上で、しかも加工品の寸法ばらつきも小さかった。
実施例2
表2に示す成分元素を含有し、残部Feおよび不可避的不純物の組成になる、厚さ:250mmの珪素鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、ガス加熱炉にて1250℃,1時間の加熱後、粗圧延の終了温度を970℃、粗圧延後の板厚を45mm(粗圧延圧下率:82%)、仕上げ圧延の開始温度を930℃とした熱間圧延で2.5mm厚さとした後、酸洗処理を施してから冷間圧延により1.0mm厚に圧延した。ついで、窒素雰囲気中にて1025℃,30秒間の中間焼鈍を施した後、冷間圧延により0.27mmの最終板厚とした。上記の中間焼鈍での昇温過程中、500〜900℃間の所要時間は60秒であった。
ついで、体積比で水素:窒素=25:75、露点:40℃の雰囲気中にて830℃,20秒間保持し、さらに900℃で10分間の保持を行う、脱炭を兼ねた再結晶焼鈍を施した。ついで、焼鈍分離剤としてシリカを鋼板表面に塗布した後、アルゴン雰囲気中にて900℃に50時間保持する最終仕上げ焼鈍を行った。その後、シリカを水洗除去してから平坦化焼鈍を施したのち、重クロム酸塩と樹脂からなる半有機コーティング液を塗布し、300℃で焼き付けて製品とした。
かくして得られた製品の鋼板表面における円相当径が3mm以下の結晶粒が占める面積率および円相当径が20mm以上の結晶粒が占める面積率について調べた。また、得られた製品からエプスタイン試験片を採取し、磁気特性を測定した。さらに、外径:100mm、内径:80mmのリング状サンプルを20枚打抜き、式(1) にて定めたΔφを評価した。
得られた結果を表2に併記する。
Figure 2008031498
同表に示したとおり、本発明による製品の場合、打抜き時の寸法精度が良好であり、同 時に磁気特性にも優れていた。
粒径(円相当径)が20mm以上の結晶粒の面積率と寸法精度劣化の指標Δφ(%)との関係を示す図である 粒径(円相当径)が3mm以下の結晶粒の面積率と50Hz、1.0Tでの比透磁率μr10/50との関係を示す図である 熱間圧延中、950℃以上での累積圧下率と円相当径:20mm以上の二次再結晶粒の面積率との関係を示す図である。 熱間圧延中、950℃以上での累積圧下率と円相当径:3mm以下の二次再緒晶粒の面積率との関係を示す図である 熱延板焼鈍における昇温工程:500〜900℃間の所要時間と円相当径:20mm以上の二次再結晶粒の面積率との関係を示す図である。 熱延板焼鈍における昇温工程:500〜900℃間の所要時間と円相当径:3mm以下の二次再緒晶粒の面積率との関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 鋼板の鉄基部分に質量%で、Si:1.0〜5.0%を含み、鋼板表面において、円相当径が3mm以下の結晶粒が占める面積率が20%以下で、かつ円相当径が20mm以上の結晶粒が占める面積率が15%以下であり、鋼板表面にセラミック質被膜を有さず、さらに磁束密度:1.0T、周波数:50Hzにおける比透磁率が20000以上であることを特徴とする一方向性電磁鋼板。
  2. 請求項1において、鋼板の鉄基部分が、さらに質量%で、Mn:0.02〜2.0%、Ni:0.005〜2.0%、Sn:0.01〜2.0%、Sb:0.005〜0.5%、Cu:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.50%およびCr:0.01〜2.0%のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする一方向性電磁鋼板。
  3. 質量%で、C:0.02〜0.12%およびSi:1.0〜5.0%を含み、Al:100ppm以下、N:50ppm 以下の組成になる鋼スラブを、1100〜1300℃の温度に加熱した後、熱間圧延し、ついで熱延板焼鈍を施してから冷間圧延して最終板厚とするか、あるいは熱延板焼鈍なしに中間焼鈍を挟む2回の冷間圧延を施して最終板厚とした後、再結晶焼鈍を施し、その後表面にセラミック質の被膜が生成しないように最終仕上げ焼鈍を施し、ついで平坦化焼鈍後、絶縁コーティングを焼き付ける一連の工程からなる一方向性電磁鋼板の製造方法において、
    熱間圧延中の鋼板表面温度が950℃以上における累積圧下率を75%以上とし、熱間圧延後の最初の焼鈍の昇温過程:500〜900℃間の所要時間を100秒以内とすることを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 請求項3において、鋼スラブが、さらに質量%で、Mn:0.02〜2.0%、Ni:0.005〜2.0%、Sn:0.01〜2.0%、Sb:0.005〜0.5%、Cu:0.01〜2.0%、Mo:0.01〜0.50%およびCr:0.01〜2.0%のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを特徴とする一方向性電磁鋼板の製造方法。
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