JP2008030332A - 成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上である耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する多層シートを二次成形することにより得られる成形体。
【選択図】なし
Description
の高い成形体が耐熱性が良いとは限らない。
少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、
少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上である耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する多層シートを二次成形することにより得られる。
前記乳酸系樹脂組成物がさらに透明核剤を含んでいることが好ましい。
本発明の成形体は、少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上である耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する多層シートを二次成形することにより得られる。
本発明に用いる乳酸系樹脂組成物に含まれる乳酸系ポリマーは、乳酸単位を50モル%以上、好ましくは75モル%以上含むポリマーであり、具体的には、(1)ポリ乳酸、または乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマー、(2)多官能多糖類および乳酸単位を含む乳酸系ポリマー、(3)脂肪族多価カルボン酸単位、脂肪族多価アルコール単位および乳酸単位を含む乳酸系ポリマー、ならびに(4)これらの混合物である。これらの中では、使用時の透明性および耐熱性等を考慮すると、好ましくはポリ乳酸および乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマーであり、さらに好ましくはポリ乳酸である。なお、乳酸にはL−乳酸とD−乳酸とが存在するが、本発明において、単に乳酸という場合は、特にことわりがない限り、L−乳酸およびD−乳酸の両方を意味する。
る。
本発明で用いる乳酸系樹脂組成物とは、上述した乳酸系ポリマーを含む組成物である。乳酸系樹脂組成物は必要に応じてさらに各種改質剤を含んでいても良い。改質剤としては例えば、透明核剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、結晶核剤、結晶化促進剤、可塑剤、静電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐衝撃性改良剤などが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上が含まれていてもよい。また乳酸系樹脂組成物が改質剤を含む場合には乳酸系ポリマー100重量部に対して通常は20重量部以下の範囲で含まれていることが好ましい。
本発明における透明核剤とは、結晶化の際に核剤となるものでかつ透明性を付与するものである。具体的には、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドが挙げられる。これらは一種類で用いても良く、また二種類以上の混合物として用いても良い。
本発明における滑剤とは、流動性や成形時(シート温度100℃前後)の伸び率を向上させ得るものをいう。滑剤としては有機系滑剤であっても無機系滑剤であってもよい。
無機系滑剤としてフィラーを用いる場合にはその平均粒径は通常は5μm以下、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。平均粒径が5μmを超える粒径になると多層シートの表面に微細な凹凸が生じ外観が不透明になる場合がある。
く、さらに、該SiO2が無水シリカであることがより好ましい。
本発明におけるアンチブロッキング剤としては、公知公用のものを用いることができ、無機フィラーなどが好適に用いられる。このような無機フィラーとしては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、チタニア、マイカ、タルク等が挙げられ、特にシリカが好ましい。
く、さらに、該SiO2が無水シリカであることがより好ましい。
本発明では成形加工時の成形性を向上するために、公知公用の離型剤を添加することもできる。用いられる離型剤としては、乳酸系樹脂組成物の特徴を損なわない限り何等制限はない。例えば、シリコン誘導体類、テフロン(登録商標)誘導体類、脂肪族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸金属塩類、脂肪族アルコール類などが挙げられる。特に、離型剤効果の高いシリコン誘導体類や脂肪族カルボン酸類が好ましい。
本発明における結晶核剤とは、結晶性の熱可塑性樹脂組成物に添加し、ある条件下で加熱処理を行った際に結晶核となり、結晶核形成を速め、その結果結晶化速度が速くなる効果を有するものおよび/又は結晶サイズを小さくし透明性を維持する効果を示すものであ
る。本発明で用いられる結晶核剤としては、無機結晶核剤と有機結晶核剤が挙げられる。
一方有機結晶核剤としては無機結晶核剤と同様、乳酸系ポリマーの結晶化速度を上げる効果のある化合物、更には結晶の大きさおよび数を制御して透明性を保持することのでき
る有機化合物、が好ましく用いる事ができ、例えばアミド結合を持つ脂肪族カルボン酸アミドを含んでなる有機化合物が挙げられる。
また有機核剤の添加量は乳酸系ポリマー100重量部に対して、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.5重量部、更に好ましくは0.1〜1.0重量部、より好ましくは0.2〜0.8重量部である。
本発明における結晶化促進剤とは、上記乳酸系樹脂組成物を何等かの方法(例えば、熱処理)により結晶化させた時に、結晶の成長速度を速め、その結果結晶化速度が速くなる作用を有するものをいう。
上記結晶化促進剤としては、例えば、ジ-n-オクチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体、ジ-n-ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジ-n-ブチルマレエート等のマレイン酸誘導体、トリ-n-ブチルシトレート等のクエン酸誘導体、モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体、ブチルオレート等のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル、ポリエチレンアジペート、ポリアクリレートアセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル類、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート等の多価アルコールエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール誘導体、ベンジル=2-(2-メトキシエトキシ)エチル=アジパートなどが挙げられる。
部〜7重量部、好ましくは0.5〜7重量部、より好ましくは1〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部である。
本発明では成形体の耐衝撃性を向上するために、公知公用の耐衝撃改良剤を添加することもできる。用いられる耐衝撃改良剤としては、乳酸系樹脂組成物の特徴を損なわない限り何ら制限はない。例えば、生分解性を有する耐衝撃性改良剤や非生分解性の熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。特に、生分解性を有する耐衝撃性改良剤が好ましい。
本発明の乳酸系樹脂組成物は、上述の乳酸系ポリマーに、必要に応じて上述の改質剤を混合することにより得られる。各成分の混合は、公知公用の方法や混練技術を適用できる。例えば、
(1)パウダー状もしくはペレット状の乳酸系ポリマー、必要に応じて他の改質剤をリボンブレンダーなどで一括混合した後、2軸押出機で組成物を加熱溶融しながら押出しペレット化する方法;
(2)パウダー状もしくはペレット状の乳酸系ポリマーを押出ペレット化する際に、必要に応じて他の改質剤を、サイドフィードや液体注入ポンプで押出し機のシリンダー内に添加混合する方法;
(3)予め必要に応じて他の改質剤を、高濃度に押出しペレット化したペレット(マスターバッチ)を製造した後、そのマスターバッチを、パウダー状もしくはペレット状の乳酸系ポリマーでドライブレンド等により希釈して成形体を加工する方法;
(4)上記方法を組み合わせて混合する方法
などが挙げられる。
なお、必要に応じて他の改質剤をマスターバッチとして添加する場合、各改質剤毎のマスターバッチ、あるいは2種以上の改質剤のマスターバッチとして添加してもよく、その方法に何等制限はない。また、マスターバッチとして添加する際、乳酸系ポリマーとの混合比率は、マスターバッチ/乳酸系ポリマーの重量比が1/100〜1/2、好ましくは1/50〜1/3、より好ましくは1/30〜1/5、特に好ましくは1/30〜1/10である。
本発明において耐熱性熱可塑性樹脂とは前述の乳酸系ポリマー以外の熱可塑性樹脂であり、かつ耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上の樹脂である。
<耐熱性熱可塑性樹脂組成物>
本発明で用いる耐熱性熱可塑性樹脂組成物とは、上述した耐熱性熱可塑性樹脂を含む組成物である。耐熱性熱可塑性樹脂組成物は必要に応じてさらに各種改質剤を含んでいても良い。用いることが可能な改質剤としては上述の乳酸系樹脂組成物に用いられる改質剤と同様である。
また耐熱性熱可塑性樹脂組成物が改質剤を含む場合には耐熱性熱可塑性樹脂100重量部に対して通常は20重量部以下の範囲で含まれていることが好ましい。
本発明に用いる耐熱性熱可塑性樹脂組成物は、上述の耐熱性熱可塑性樹脂に必要に応じて上述の改質剤を混合することにより得られる。耐熱性熱可塑性樹脂組成物は上述の乳酸系樹脂組成物の製造方法と同様に、公知公用の方法や混練技術を適用できる。
本発明に用いる多層シートは、少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する。
本発明の成形体に耐熱性を付与する観点から、少なくとも一方の最外層が耐熱性熱可塑性樹脂層からなる層(y)であることが好ましく、両方の最外層が耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層(y)であることがより好ましい。
層の厚み構成としては、2層構造の場合、層(x)/層(y)の厚みの比x/yは、0.05〜0.95/0.95〜0.05、好ましくは0.2〜0.8/0.8〜0.2、より好ましくは0.3〜0.7/0.7〜0.3である。また層(y)/層(x)/層(y)の3層構造の場合、厚みの比y/x/yは、0.05〜0.6/0.05〜0.9/
0.05〜0.6、好ましくは0.05〜0.5/0.2〜0.85/0.05〜0.5より好ましくは0.1〜0.4/0.3〜0.8/0.1〜0.4である。
本発明に用いる多層シートは、Tダイが装着された押出機を用いる溶融押出法によりシート状に成形することが好ましい。この際、異なる樹脂組成物を、別々にシート化した後に接着してもよいし、また、マルチマニホールドダイまたはフィードブロックを備えた押出機を用いて、共押出してもよい。また、得られた多層シートをロール延伸によって流れ方向に延伸することにより延伸加工を施しても良い。さらに、テンター延伸によって横方向に延伸してもよいし、横延伸後、緊張下で熱処理してもよい。
<成形体>
本発明の成形体は、上述の多層シートを熱成形することにより得られ耐熱性に優れている。
本発明において熱成形とは、上述した多層シートを加熱軟化させて後適宜外力で片面に圧着して冷却固化する成形方法のことであり、具体的には真空成形、真空圧空成形、熱板加熱圧空成形などの方法が挙げられる。場合によってプラグを用いる場合もある。
は0.1〜8%、より好ましくは0.1〜7%である。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例における各種物性は下記の方法で測定・評価した。
成形したカップの耐熱性は65℃の恒温器中で2時間保持し、その前後でカップの高さを測定し、カップの寸法変化を計算し、寸法変形が少ないほど耐熱性に優れると評価した。
寸法変化(%)=(H0−H1)/H0×100
H0:恒温器中で保持する前のカップの高さ
H1:恒温器中で2時間保持した後のカップの高さ
<透明性(ヘイズ)>
成形体(カップ)の側面から、縦5cm×横2cmのカットサンプルを採取し、このカットサンプルについて、厚み及びヘイズを測定した。ヘイズは、JIS K6714に準じて、東京電色製Haze Meterを用いて測定した。
[比較例1]
ポリ乳酸樹脂(LACEA(登録商標):H−400、三井化学(株)製)100重量部を、樹脂温度が220℃に設定された2層T−ダイ製膜機(スクリュー径65mmφ、ダイス幅500mm)のホッパーへ供給し、温度を30℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み1100μmの2層シートを得た。
[比較例2]
ポリ乳酸樹脂(LACEA(登録商標):H−400、三井化学(株)製)100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド(アルフロー H−50P、日本油脂(株)製)0.5重量部をヘンシェルミキサーにて混合後、押出機シリンダー設定温度190(ダイス側)〜220(ホッパー側)℃の条件にてペレット化し乳酸系樹脂組成物を得た。
Claims (4)
- 少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、
少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上である耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する多層シートを二次成形することにより得られる成形体。 - 前記多層シートが三層以上の層構造を有し、かつ少なくとも一方の最外層が耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
- 前記乳酸系樹脂組成物がさらに透明核剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の成形体。
- 厚みが150〜400μmの部分のヘイズ(JIS K6714に準拠)が0.1〜10%の請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。
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