JP2008030332A - 成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のポリ乳酸組成物の成形体よりも、耐熱性に優れた成形体を提供すること。
【解決手段】少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上である耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する多層シートを二次成形することにより得られる成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は多層シートを二次成形することにより得られる成形体に関する。
従来、プラスチックから作られる成形体の材料としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート樹脂が使用されている。かかる樹脂から製造された成形体は透明性に優れているものもあるが、廃棄する際その処理方法を誤るとゴミの量を増加させる。さらに、自然環境下では殆ど分解しないため、埋設処理すると半永久的に地中に残留する。
近年、熱可塑性樹脂で生分解性を有するポリマーとして、乳酸系ポリマー、例えば、ポリ乳酸や、乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーなどが開発されている。乳酸系ポリマーは、動物の体内で数カ月から1年以内に100%生分解し、また、土壌や海水中に置かれた場合、湿った環境下では数週間で分解を始め、約1年から数年で消滅し、さらに、その分解生成物は、人体に無害な乳酸と二酸化炭素と水になるという特性を有している。
しかしながら、ポリ乳酸の透明な成形体は、通常、ガラス転移温度(Tg)が低く非晶性であるがゆえに耐熱性に劣る。例えば、非晶性ポリ乳酸容器は透明性に優れているが耐熱性が低く、熱湯や電子レンジを使用することができず、用途が限定されていた。また、耐熱性を向上させるために、成形加工時に結晶化温度付近に保持した金型内に充填することにより、あるいは、成形後に非晶性の成形体を熱処理(アニール)等することにより、結晶化度をあげると、通常、光を散乱する原因となる光の波長と同程度以上の大きさの結晶(例えば、球晶)が急速に成長して、成形体は不透明となってしまう。
そこで、上記乳酸系ポリマーに結晶核剤を添加して結晶化を促進することにより、シートや成形体の耐熱性を向上することが検討されてきたが、樹脂そのものの透明性を阻害することなく耐熱性を付与することは困難であった。
例えば、特開2002−146170号公報(特許文献1)には、可塑剤と結晶核剤とを必須成分とし、可塑化されたポリ乳酸樹脂に特定の結晶性を付与することにより、実用性の高いフィルムが得られることが記載されている。しかしながら、この方法によると、添加した結晶核剤の粒子径が大きいこと、あるいはその添加量が多いことから、透明性が著しく低下し、良好な透明性を有するシートや成形体を得ることは困難である。
また、特開平9−278991号公報(特許文献2)には、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコールおよび脂肪族カルボン酸エステルからなる群より選択された少なくとも1種の透明核剤と乳酸系ポリマーとからなる組成物を成形し、成形時または成形後に熱処理することにより、透明性および結晶性が付与された成形体およびその製造方法が記載されている。しかしながら、この方法は、例えば、熱成形の場合は成形時に該樹脂組成物が結晶化する温度に保持された金型に接触させる必要があり、設備面や経済性の点で工業的且つ汎用的に容易に実施できる技術とは言い難い。
更に、核剤無添加の場合はあまり進行せず結晶化度5%以下を示すが、該樹脂組成物からなるシートを室温の金型を用いて熱成形すると、予熱時に結晶化が進行し得られた成形体は結晶化度20〜30%を示す。しかしながら、熱成形体の耐熱性は、結晶化度の大きい成形体よりも寧ろ結晶化度の小さい成形体が高い値を示す事が判り、必ずしも結晶化度
の高い成形体が耐熱性が良いとは限らない。
特開2002−146170号公報 特開平9−278991号公報
乳酸系樹脂組成物からなる層を有する多層シートを二次成形することにより得られる、耐熱性に優れた成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、乳酸系樹脂組成物からなる層と、熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する積層体を二次成形することにより得られる成形体は、耐熱性に優れることを見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の成形体は、
少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、
少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上である耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する多層シートを二次成形することにより得られる。
前記多層シートが三層以上の層構造を有し、かつ少なくとも一方の最外層が耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層であってもよい。
前記乳酸系樹脂組成物がさらに透明核剤を含んでいることが好ましい。
前記成形体は厚みが150〜400μmの部分のヘイズ(JIS K6714に準拠)が0.1〜10%であることが好ましい。
本発明によれば、少なくとも一層の乳酸系樹脂組成物からなる層と、少なくとも一層の耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する多層シートを二次成形することにより得られる、耐熱性に優れた成形体を提供することができる。
以下、本発明に係る成形体について詳細に説明する。
本発明の成形体は、少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上である耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する多層シートを二次成形することにより得られる。
<乳酸系ポリマー>
本発明に用いる乳酸系樹脂組成物に含まれる乳酸系ポリマーは、乳酸単位を50モル%以上、好ましくは75モル%以上含むポリマーであり、具体的には、(1)ポリ乳酸、または乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマー、(2)多官能多糖類および乳酸単位を含む乳酸系ポリマー、(3)脂肪族多価カルボン酸単位、脂肪族多価アルコール単位および乳酸単位を含む乳酸系ポリマー、ならびに(4)これらの混合物である。これらの中では、使用時の透明性および耐熱性等を考慮すると、好ましくはポリ乳酸および乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマーであり、さらに好ましくはポリ乳酸である。なお、乳酸にはL−乳酸とD−乳酸とが存在するが、本発明において、単に乳酸という場合は、特にことわりがない限り、L−乳酸およびD−乳酸の両方を意味する。
上記乳酸系ポリマーの原料としては、乳酸類およびヒドロキシカルボン酸類が用いられる。乳酸類としては、L−乳酸、D−乳酸、これらの混合物または乳酸の環状2量体であるラクタイドを使用することができる。なお、高い結晶性を発現するためには、このような乳酸類を原料とする乳酸系ポリマーにおいて、L−乳酸含有率またはD−乳酸含有率が大きい方が好ましい。具体的には、乳酸単位中におけるL−乳酸またはD−乳酸の含有率が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上であ
る。
また、上記乳酸類と併用できるヒドロキシカルボン酸類としては、炭素数2〜10のヒドロキシカルボン酸類が好ましい。具体的には、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などを好適に使用することができる。また、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや、6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンも使用できる。原料としての乳酸類とヒドロキシカルボン酸類との混合物は、得られるコポリマー中の乳酸含有率が50%以上、好ましくは75%以上になるように、種々の組み合わせで使用することができる。
上記乳酸系ポリマーを得るためには、公知公用の方法を用いることができる。例えば、上記原料を直接脱水重縮合する方法や、上記乳酸類やヒドロキシカルボン酸類の環状2量体、例えばラクタイドやグリコライド、あるいはε−カプロラクトンのような環状エステル中間体を開環重合させる方法などが挙げられる。
直接脱水重縮合して製造する場合、原料である乳酸類または乳酸類とヒドロキシカルボン酸類との混合物を、好ましくは有機溶媒の存在下で共沸脱水縮合して重合することにより、本発明に適した強度を持つ高分子量の乳酸系ポリマーが得られる。特に、有機溶媒としてフェニルエーテル系溶媒を用い、共沸により留出した溶媒から水を除去し、実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻すことが好ましい。
乳酸系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3万〜500万、より好ましくは5万〜100万、さらに好ましくは10万〜30万、特に好ましくは10万〜20万である。また、その分散度(Mw/Mn)は、2〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4、特に好ましくは2〜3である。乳酸系ポリマーの重量平均分子量(Mw)や分散度(Mw/Mn)が前記範囲にあることにより、結晶化の速度が早く、成形可能な乳酸系樹脂組成物が得られる。
<乳酸系樹脂組成物>
本発明で用いる乳酸系樹脂組成物とは、上述した乳酸系ポリマーを含む組成物である。乳酸系樹脂組成物は必要に応じてさらに各種改質剤を含んでいても良い。改質剤としては例えば、透明核剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、結晶核剤、結晶化促進剤、可塑剤、静電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐衝撃性改良剤などが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上が含まれていてもよい。また乳酸系樹脂組成物が改質剤を含む場合には乳酸系ポリマー100重量部に対して通常は20重量部以下の範囲で含まれていることが好ましい。
(透明核剤)
本発明における透明核剤とは、結晶化の際に核剤となるものでかつ透明性を付与するものである。具体的には、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドが挙げられる。これらは一種類で用いても良く、また二種類以上の混合物として用いても良い。
(滑剤)
本発明における滑剤とは、流動性や成形時(シート温度100℃前後)の伸び率を向上させ得るものをいう。滑剤としては有機系滑剤であっても無機系滑剤であってもよい。
有機系滑剤の例としては、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリエチレン等の脂肪族炭化水素系滑剤;ステアリン酸、ラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、硬化ひまし油等の脂肪酸系滑剤;ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の炭素数12〜30の脂肪酸金属塩である金属石鹸系滑剤;モンタンワックス等の長鎖エステルワックス類;炭素数12〜30の高級脂肪族アルコール化合物;炭素数12〜30の高級脂肪族アミド化合物、およびこれらを複合した複合滑剤などが挙げられる。中でも、炭素数12〜30の高級脂肪族アルコール化合物が好ましく、ステアリルアルコールが特に好ましい。
無機系滑剤の例としては、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、クレー等のフィラーおよびシリコーンオイルが挙げられる。
無機系滑剤としてフィラーを用いる場合にはその平均粒径は通常は5μm以下、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。平均粒径が5μmを超える粒径になると多層シートの表面に微細な凹凸が生じ外観が不透明になる場合がある。
得られる成形体に高度に透明性が必要な場合には、好ましくは平均粒径7nm〜2000nm、より好ましくは7nm〜200nm、さらに好ましくは7nm〜50nmのシリカを用いることが望ましい。また、そのシリカはSiO2を95%以上含むことが好まし
く、さらに、該SiO2が無水シリカであることがより好ましい。
シリコーンオイルは成形体の金型からの離形成を同時に付与することができるため好ましい。シリコーンオイルとしては特に限定は無く例えば、アルキル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルなどを用いることができる。
またシリコーンオイルを用いる場合には通常、オストワルト法を用いて測定した際の25℃における粘度が、10〜10,000csの範囲、好ましくは、100〜1,000csの範囲にあるものを用いる。
なお、滑剤として有機系滑剤を用いる場合には1種単独で用いても2種以上を用いても良く、滑剤として無機系滑剤を用いる場合にはそれぞれ1種単独で用いても2種以上を用いても良い。また有機滑剤と無機系滑剤とを用いてもよい。
上記滑剤を用いる場合の使用量は乳酸系ポリマー100重量部に対して通常は0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、より好ましくは0.3〜1重量部である。添加量が上記範囲内にあると流動性や成形時(シート温度100℃前後)の伸び率を向上させることができる。
(アンチブロッキング剤)
本発明におけるアンチブロッキング剤としては、公知公用のものを用いることができ、無機フィラーなどが好適に用いられる。このような無機フィラーとしては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、チタニア、マイカ、タルク等が挙げられ、特にシリカが好ましい。
また、上記アンチブロッキング剤の平均粒径は5μm以下、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。平均粒径が5μmを超えるとフィルムの表面に微細な凹凸が生じ外観が不透明になる場合がある。
得られる成形体に高度に透明性が必要な場合には、好ましくは平均粒径7nm〜2000nm、より好ましくは7nm〜200nm、さらに好ましくは7nm〜50nmのシリカを用いることが望ましい。また、そのシリカはSiO2を95%以上含むことが好まし
く、さらに、該SiO2が無水シリカであることがより好ましい。
上記アンチブロッキング剤の添加量は、乳酸系ポリマー100重量部に対して0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部の範囲の量で用いられる。添加量が過少であると、アンチブロッキング剤の効果が発現し難くなり、逆に添加量が過大であると、フィルムの外観、特に透明性を低下させる場合がある。
(離型剤)
本発明では成形加工時の成形性を向上するために、公知公用の離型剤を添加することもできる。用いられる離型剤としては、乳酸系樹脂組成物の特徴を損なわない限り何等制限はない。例えば、シリコン誘導体類、テフロン(登録商標)誘導体類、脂肪族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸金属塩類、脂肪族アルコール類などが挙げられる。特に、離型剤効果の高いシリコン誘導体類や脂肪族カルボン酸類が好ましい。
上記シリコン誘導体類としては、ジメチルシリコーンオイルが特に好ましく、その溶液粘度は、0.5〜50万センチストークス、好ましくは1〜1万センチストークス、より好ましくは5〜5000センチストークス、さらに好ましくは5〜1000センチストークスである。例えば、KF96(商品名;信越化学(株)製)、KF69(商品名;信越化学(株)製)、KMP110(商品名;信越化学(株)製)が挙げられる。
上記脂肪族カルボン酸類は、炭素数8〜30の脂肪族カルボン酸、好ましくは炭素数10〜26の脂肪族カルボン酸、より好ましくは炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸である。
上記離型剤は、乳酸系ポリマー100重量部に対して、0.01重量部〜1重量部、好ましくは0.05重量部〜0.8重量部、より好ましくは0.1重量部〜0.5重量部の範囲の量で用いられる。
(結晶核剤)
本発明における結晶核剤とは、結晶性の熱可塑性樹脂組成物に添加し、ある条件下で加熱処理を行った際に結晶核となり、結晶核形成を速め、その結果結晶化速度が速くなる効果を有するものおよび/又は結晶サイズを小さくし透明性を維持する効果を示すものであ
る。本発明で用いられる結晶核剤としては、無機結晶核剤と有機結晶核剤が挙げられる。
無機結晶核剤としては、乳酸系ポリマーの結晶化速度を上げる効果のある化合物であれば何等制限はなく用いる事ができ、例えばタルク、カオリン、クレー等の珪酸塩化合物が挙げられる。
無機核剤の添加量は、乳酸系ポリマー100重量部に対して、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.0重量部である。
一方有機結晶核剤としては無機結晶核剤と同様、乳酸系ポリマーの結晶化速度を上げる効果のある化合物、更には結晶の大きさおよび数を制御して透明性を保持することのでき
る有機化合物、が好ましく用いる事ができ、例えばアミド結合を持つ脂肪族カルボン酸アミドを含んでなる有機化合物が挙げられる。
特に乳酸系ポリマーがポリ乳酸の場合、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドおよびへキサメチレンビスベヘニン酸アミドが好ましい。
また、乳酸系ポリマーが乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸との共重合体や、乳酸単位、他の脂肪族多価カルボン酸単位および脂肪族多価アルコール単位を含む共重合体の場合は、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの脂肪族カルボン酸モノアミドが好ましい。
これ等の有機結晶核剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また有機核剤の添加量は乳酸系ポリマー100重量部に対して、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.5重量部、更に好ましくは0.1〜1.0重量部、より好ましくは0.2〜0.8重量部である。
(結晶化促進剤)
本発明における結晶化促進剤とは、上記乳酸系樹脂組成物を何等かの方法(例えば、熱処理)により結晶化させた時に、結晶の成長速度を速め、その結果結晶化速度が速くなる作用を有するものをいう。
なお、結晶化促進剤は、本発明の成形体が透明性が必要な用途に用いられる場合には、乳酸系ポリマーの透明性を実質上損なわない効果を有することが好ましい。
上記結晶化促進剤としては、例えば、ジ-n-オクチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体、ジ-n-ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジ-n-ブチルマレエート等のマレイン酸誘導体、トリ-n-ブチルシトレート等のクエン酸誘導体、モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体、ブチルオレート等のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル、ポリエチレンアジペート、ポリアクリレートアセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル類、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート等の多価アルコールエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール誘導体、ベンジル=2-(2-メトキシエトキシ)エチル=アジパートなどが挙げられる。
特に乳酸系ポリマーがポリ乳酸の場合は、少量で結晶化速度を促進する効果を示し、安価でかつ容易に入手できるクエン酸誘導体、ポリアルキレングリコール誘導体、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル類および多価アルコールエステル類が好ましく用いる事ができる。
具体的には、ポリエチレングリコール、ATBC(商品名;ジェイ・プラス(株)製)、ダイファッティー101(商品名;大八化学(株)製)、リケマールPL−710(商品名;理研ビタミン(株)製)およびラクトサイザーGP−4001(商品名;荒川化学(株)製)等は、安価でかつ容易に入手でき、結晶化促進効果も高いことから、好ましく用いることができる。
本発明の結晶化促進剤の添加量は、乳酸系ポリマー100重量部に対して、0.1重量
部〜7重量部、好ましくは0.5〜7重量部、より好ましくは1〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部である。
(耐衝撃性改良剤)
本発明では成形体の耐衝撃性を向上するために、公知公用の耐衝撃改良剤を添加することもできる。用いられる耐衝撃改良剤としては、乳酸系樹脂組成物の特徴を損なわない限り何ら制限はない。例えば、生分解性を有する耐衝撃性改良剤や非生分解性の熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。特に、生分解性を有する耐衝撃性改良剤が好ましい。
生分解性の耐衝撃性改良剤としては、たとえば、プラメートPD−150(商品名;大日本インキ化学社製)やプラメートPD−350(商品名;大日本インキ化学社製)などが挙げられる。非生分解性の熱可塑性エラストマーとしては、たとえば、タフマー(商品名;三井化学社製)、シンジオタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン系のSBBSラバー、イミノ変性したSBBSラバー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系のSEBSラバー、イミノ変性したSEBSラバー等のオレフィン系エラストマーもしくはラバーや、メタブレン(商品名:三菱レイヨン社製)等のシリコン系ラバーなどが挙げられる。
上記耐衝撃性改良剤は、一種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記耐衝撃改良剤の添加量は、用途に応じて適宜選択することができるが、乳酸系ポリマー100重量部に対して、0.1重量部〜20重量部、好ましくは1重量部〜15重量部、より好ましくは3重量部〜10重量部の範囲の量で用いられる。
<乳酸系樹脂組成物の製造方法>
本発明の乳酸系樹脂組成物は、上述の乳酸系ポリマーに、必要に応じて上述の改質剤を混合することにより得られる。各成分の混合は、公知公用の方法や混練技術を適用できる。例えば、
(1)パウダー状もしくはペレット状の乳酸系ポリマー、必要に応じて他の改質剤をリボンブレンダーなどで一括混合した後、2軸押出機で組成物を加熱溶融しながら押出しペレット化する方法;
(2)パウダー状もしくはペレット状の乳酸系ポリマーを押出ペレット化する際に、必要に応じて他の改質剤を、サイドフィードや液体注入ポンプで押出し機のシリンダー内に添加混合する方法;
(3)予め必要に応じて他の改質剤を、高濃度に押出しペレット化したペレット(マスターバッチ)を製造した後、そのマスターバッチを、パウダー状もしくはペレット状の乳酸系ポリマーでドライブレンド等により希釈して成形体を加工する方法;
(4)上記方法を組み合わせて混合する方法
などが挙げられる。
なお、必要に応じて他の改質剤をマスターバッチとして添加する場合、各改質剤毎のマスターバッチ、あるいは2種以上の改質剤のマスターバッチとして添加してもよく、その方法に何等制限はない。また、マスターバッチとして添加する際、乳酸系ポリマーとの混合比率は、マスターバッチ/乳酸系ポリマーの重量比が1/100〜1/2、好ましくは1/50〜1/3、より好ましくは1/30〜1/5、特に好ましくは1/30〜1/10である。
<耐熱性熱可塑性樹脂>
本発明において耐熱性熱可塑性樹脂とは前述の乳酸系ポリマー以外の熱可塑性樹脂であり、かつ耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上の樹脂である。
本発明の成形体に透明性が必要な場合には、非晶性の樹脂が好ましく、例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート等を用いることができる。
中でも乳酸系樹脂組成物からなる層との接着性、成型加工温度の観点からPMMAが好ましい。
<耐熱性熱可塑性樹脂組成物>
本発明で用いる耐熱性熱可塑性樹脂組成物とは、上述した耐熱性熱可塑性樹脂を含む組成物である。耐熱性熱可塑性樹脂組成物は必要に応じてさらに各種改質剤を含んでいても良い。用いることが可能な改質剤としては上述の乳酸系樹脂組成物に用いられる改質剤と同様である。
また耐熱性熱可塑性樹脂組成物が改質剤を含む場合には耐熱性熱可塑性樹脂100重量部に対して通常は20重量部以下の範囲で含まれていることが好ましい。
<耐熱性熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明に用いる耐熱性熱可塑性樹脂組成物は、上述の耐熱性熱可塑性樹脂に必要に応じて上述の改質剤を混合することにより得られる。耐熱性熱可塑性樹脂組成物は上述の乳酸系樹脂組成物の製造方法と同様に、公知公用の方法や混練技術を適用できる。
<多層シート>
本発明に用いる多層シートは、少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する。
本発明に用いる多層シートの層構造としては、少なくとも1層が乳酸系樹脂組成物からなる層(x)であり、かつ少なくとも1層が耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層(y)であれば、特に限定されず、例えば、層(x)/層(y)の2層構造、層(y)/層(x)/層(y)、層(x)/層(y)/層(x)、の3層構造などの構造をとることができ、成形体の用途によって適宜選択すればよい。
また上述の乳酸系樹脂組成物や耐熱性熱可塑性樹脂以外の層を設けても良い。つまり、本発明の成形体にガスバリア性が必要な場合には、ガスバリア性を有する樹脂、例えばエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)等を用いることができる。
他にも成形体が三層以上の多層構造であり、各層の接着性が不足する場合には、接着層としてマレイン酸変性ポリオレフィンを用いることができる。
本発明の成形体に耐熱性を付与する観点から、少なくとも一方の最外層が耐熱性熱可塑性樹脂層からなる層(y)であることが好ましく、両方の最外層が耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層(y)であることがより好ましい。
また、上述した改質剤を乳酸系樹脂組成物および/または耐熱性熱可塑性樹脂組成物に添加する場合、全ての層に添加しても良く、選択した任意の層に添加しても良く、その目的によって適宜選択できる。
例えば、シートの滑り性を付与するためには、滑剤やアンチブロッキング剤を最外層にのみ添加することが好ましく、比較的少ない量で効率的に滑り性を発現できる。
層の厚み構成としては、2層構造の場合、層(x)/層(y)の厚みの比x/yは、0.05〜0.95/0.95〜0.05、好ましくは0.2〜0.8/0.8〜0.2、より好ましくは0.3〜0.7/0.7〜0.3である。また層(y)/層(x)/層(y)の3層構造の場合、厚みの比y/x/yは、0.05〜0.6/0.05〜0.9/
0.05〜0.6、好ましくは0.05〜0.5/0.2〜0.85/0.05〜0.5より好ましくは0.1〜0.4/0.3〜0.8/0.1〜0.4である。
本発明に用いる多層シートは、公知公用の押出し機や押出し技術で製造することができる。また、本発明に用いる多層シートは必要に応じて延伸加工が施されていても良い。
本発明に用いる多層シートは、Tダイが装着された押出機を用いる溶融押出法によりシート状に成形することが好ましい。この際、異なる樹脂組成物を、別々にシート化した後に接着してもよいし、また、マルチマニホールドダイまたはフィードブロックを備えた押出機を用いて、共押出してもよい。また、得られた多層シートをロール延伸によって流れ方向に延伸することにより延伸加工を施しても良い。さらに、テンター延伸によって横方向に延伸してもよいし、横延伸後、緊張下で熱処理してもよい。
本発明に用いる多層シートは、必要に応じて多層シート表面に帯電防止性、防曇性、粘着性、ガスバリヤー性、密着性および易接着性などの機能を有する層をコーティングにより形成することができる。例えば、多層シートの片面もしくは両面に、帯電防止剤を含む水性塗工液を塗布して乾燥することによって帯電防止層を形成することができる。また、本発明の多層シートは、必要に応じて、他樹脂および他シートをラミネートすることにより、帯電防止性、防曇性、粘着性、ガスバリヤー性、密着性および易接着性などの機能を有する層を形成することができる。その際、押出ラミネーション、ドライラミネーションなどの公知の方法を用いることができる。
<成形体>
本発明の成形体は、上述の多層シートを熱成形することにより得られ耐熱性に優れている。
本発明において熱成形とは、上述した多層シートを加熱軟化させて後適宜外力で片面に圧着して冷却固化する成形方法のことであり、具体的には真空成形、真空圧空成形、熱板加熱圧空成形などの方法が挙げられる。場合によってプラグを用いる場合もある。
本発明の成形体は上述した多層シートを用いることにより耐熱性に優れる。耐熱性の評価としては、例えばカップ状の成形体を恒温器中で一定の温度で2時間保持し、その前後でカップの高さを測定し、カップの寸法変化を計算することにより、寸法変形が少ないほど耐熱性に優れると評価することができる。一般に成形体を輸送、保管する際など、夏場などは外気温の上昇にともない、コンテナ内や倉庫内は60℃程度まで上昇する場合がある。このため温度65℃での寸法変化が3%以下であることが好ましく、2%以下がより好ましい。上記範囲内では成形体の輸送、保管の際に耐熱性が問題になることがなく好ましい。
また本発明の成形体は熱可塑性樹脂組成物として、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート等を用いることにより透明性にも優れる。具体的には、厚みが150〜400μmの部分の成形体のヘイズ(JIS K6714に準じて、東京電色製Haze Meterを用いて測定)は、通常は0.1〜10%、好ましく
は0.1〜8%、より好ましくは0.1〜7%である。
本発明の成形体は、乳酸系ポリマーの特徴である高い透明性と高い耐熱性を両立することができるため、例えば、プリン、ジャムおよびカレー容器等のホットフィル容器、食品トレー、ブリスター容器、ならびに、クリアケース等の一般包装用容器など、透明性と耐熱性が要求される用途にも広く用いることができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例における各種物性は下記の方法で測定・評価した。
<耐熱性>
成形したカップの耐熱性は65℃の恒温器中で2時間保持し、その前後でカップの高さを測定し、カップの寸法変化を計算し、寸法変形が少ないほど耐熱性に優れると評価した。
寸法変化は以下の計算式により求めた。
寸法変化(%)=(H0−H1)/H0×100
H0:恒温器中で保持する前のカップの高さ
H1:恒温器中で2時間保持した後のカップの高さ
<透明性(ヘイズ)>
成形体(カップ)の側面から、縦5cm×横2cmのカットサンプルを採取し、このカットサンプルについて、厚み及びヘイズを測定した。ヘイズは、JIS K6714に準じて、東京電色製Haze Meterを用いて測定した。
ポリ乳酸樹脂(LACEA(登録商標):H−400、三井化学(株)製)100重量部とポリメチルメタクリレート樹脂(アクリペットV、三菱レイヨン製)(耐熱温度(HDT)=97℃(ISO75に準拠し荷重0.45MPaで測定))とを、樹脂温度が220℃に設定された2層T−ダイ製膜機(スクリュー径65mmφ、ダイス幅500mm)のそれぞれ別のホッパーへ供給し、各層の厚みを、外層1(乳酸系樹脂組成物層)/外層2(PMMA層)=70/30となるようにして、温度を30℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み1100μmの2層シートを得た。
得られた2層シートを、表面温度が100℃になるように予熱した後、金型とプラグを用いて、真空圧空熱成形を行い成形体としてカップを得た。金型は、上部口径100mm、底部口径60mm、高さ120mm、絞り比1.2のカップ状の金型を用いた。
成形したカップの耐熱性および透明性を評価した。その結果を表1に示す。
ポリ乳酸樹脂(LACEA(登録商標):H−400、三井化学(株)製)100重量部と、エチレンビスステアリン酸アミド(アルフロー H−50P、日本油脂(株)製)0.5重量部とをヘンシェルミキサーにて混合後、押出機シリンダー設定温度190(ダイス側)〜220(ホッパー側)℃の条件にてペレット化し乳酸系樹脂組成物を得た。
次いで、得られたペレット状の乳酸系樹脂組成物とポリメチルメタクリレート樹脂(アクリペットV、三菱レイヨン製)(耐熱温度(HDT)=97℃(ISO75に準拠し荷重0.45MPaで測定))とを、樹脂温度が220℃に設定された2層T−ダイ製膜機(スクリュー径65mmφ、ダイス幅500mm)のそれぞれ別のホッパーへ供給し、各層の厚みを、外層1(乳酸系樹脂組成物層)/外層2(PMMA層)=70/30となるようにして、温度を30℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み1100μmの2層シートを得た。
得られた2層シートを、表面温度が100℃になるように予熱した後、金型とプラグを用いて、真空圧空熱成形を行い成形体としてカップを得た。金型は、上部口径100mm、底部口径60mm、高さ120mm、絞り比1.2のカップ状の金型を用いた。
成形したカップの耐熱性および透明性を評価した。その結果を表1に示す。
ポリ乳酸樹脂(LACEA(登録商標):H−400、三井化学(株)製)100重量部と、エチレンビスステアリン酸アミド(アルフロー H−50P、日本油脂(株)製)0.5重量部とをヘンシェルミキサーにて混合後、押出機シリンダー設定温度190(ダイス側)〜220(ホッパー側)℃の条件にてペレット化し乳酸系樹脂組成物を得た。
得られたペレット状の乳酸系樹脂組成物とポリメチルメタクリレート樹脂(アクリペットV、三菱レイヨン製)(耐熱温度(HDT)=97℃(ISO75に準拠し荷重0.45MPaで測定))を、樹脂温度が220℃に設定された3層T−ダイ製膜機(スクリュー径65mmφ、ダイス幅500mm)のそれぞれ別のホッパーへ供給し、各層の厚みを、外層1(PMMA層)/中間層(乳酸系樹脂組成物層)/外層2(PMMA層)=20/60/20となるようにして、温度を30℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み1100μmの3層シートを得た。
得られた3層シートを、表面温度が100℃になるように予熱した後、金型とプラグを用いて、真空圧空熱成形を行い成形体としてカップを得た。金型は、上部口径100mm、底部口径60mm、高さ120mm、絞り比1.2のカップ状の金型を用いた。
成形したカップの耐熱性および透明性を評価した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリ乳酸樹脂(LACEA(登録商標):H−400、三井化学(株)製)100重量部を、樹脂温度が220℃に設定された2層T−ダイ製膜機(スクリュー径65mmφ、ダイス幅500mm)のホッパーへ供給し、温度を30℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み1100μmの2層シートを得た。
得られた2層シートを、表面温度が100℃になるように予熱した後、金型とプラグを用いて、真空圧空熱成形を行い成形体としてカップを得た。金型は、上部口径100mm、底部口径60mm、高さ120mm、絞り比1.2のカップ状の金型を用いた。
成形したカップの耐熱性および透明性を評価した。その結果を表1に示す。
[比較例2]
ポリ乳酸樹脂(LACEA(登録商標):H−400、三井化学(株)製)100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド(アルフロー H−50P、日本油脂(株)製)0.5重量部をヘンシェルミキサーにて混合後、押出機シリンダー設定温度190(ダイス側)〜220(ホッパー側)℃の条件にてペレット化し乳酸系樹脂組成物を得た。
次いで、得られたペレット状の乳酸系樹脂組成物のみを、樹脂温度が220℃に設定された2層T−ダイ製膜機(スクリュー径65mmφ、ダイス幅500mm)のホッパーへ供給し、温度を30℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み1100μmの2層シートを得た。
得られた2層シートを、表面温度が100℃になるように予熱した後、金型とプラグを用いて、真空圧空熱成形を行い成形体としてカップを得た。金型は、上部口径100mm、底部口径60mm、高さ120mm、絞り比1.2のカップ状の金型を用いた。
成形したカップの耐熱性および透明性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2008030332

Claims (4)

  1. 少なくとも一層の乳酸系ポリマーを含む乳酸系樹脂組成物からなる層と、
    少なくとも一層の乳酸系ポリマー以外の耐熱温度(HDT)(ISO75に準拠:荷重0.45MPa)が70℃以上である耐熱性熱可塑性樹脂を含む耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層とを有する多層シートを二次成形することにより得られる成形体。
  2. 前記多層シートが三層以上の層構造を有し、かつ少なくとも一方の最外層が耐熱性熱可塑性樹脂組成物からなる層であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 前記乳酸系樹脂組成物がさらに透明核剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の成形体。
  4. 厚みが150〜400μmの部分のヘイズ(JIS K6714に準拠)が0.1〜10%の請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。
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