JP2008030419A - 成形体の製造方法および成形体 - Google Patents

成形体の製造方法および成形体 Download PDF

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省二 大淵
Masaaki Iijima
正章 飯島
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明宣 竹原
Tomoyuki Natsuchi
智之 夏地
Yasuhiro Kitahara
泰広 北原
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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂(組成物)から成形体を製造する方法であって、耐熱性および生産性に優れた成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなり加熱軟化された一次成形体を金型に接触させて、該一次成形体に金型形状を転写する工程を含む加工方法によって成形体を製造する方法であって、上記一次成形体を上記金型に接触させる際に、上記一次成形体の、上記金型との接触面とは反対側の面に、上記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度であるガス状物質を接触させることを特徴とする成形体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形体の製造方法および成形体に関し、より詳しくは、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなる一次成形体から熱成形やブロー成形により二次成形体を製造する方法、および該製造方法により得られる成形体に関する。
従来、トレー、食品容器、飲料用カップ、飲料用ボトル、ブリスター容器等の各種包装容器の原料としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート樹脂が、また最近では生分解性を有するポリマーである乳酸系樹脂、たとえばポリ乳酸や、乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーなどの熱可塑性樹脂や生分解性樹脂が用いられている。これらの樹脂を、一旦シートやパリソン(射出成形体)などの一次成形体に成形した後に、さらに熱成形やブロー成形することにより、上記各種包装容器が製造されている。
熱成形とは、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなるシートを、加熱軟化させ、次いで金型に圧着し、冷却固化させる成形方法である。具体的には真空成形、真空圧空成形、熱板圧空成形などの方法が挙げられ、また特に深絞り成形の場合には、さらにプラグが併用される。
ブロー成形とは、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなるパリソン(中空状の射出成形体)を、加熱軟化させ、次いで縦横に、機械的に、圧力Airによってブローする方法である。具体的には射出(延伸)ブローなどの方法が挙げられる。
上記方法では、得られる成形体の耐熱性について、あるいはその成形方法について、幾つかの問題があった。たとえば、熱成形の場合には、加熱軟化したシートを金型に変形圧着させ、冷却固化させる際に、成形体に歪(成形歪)が発生する。得られた成形体は、加熱すると、通常、樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)付近で変形し始めるが、成形体の形状が複雑、あるいはドロー比が大きい場合や、シートの加熱軟化が不十分なためにシートを無理に腑形させた場合、ある程度結晶化したシートを成形した場合などは、得られた成形体に残存する成形歪が大きくなるため、成形体は比較的低い温度で変形し始める。
このため従来は、
・シートの加熱温度をできるだけ高め成形時に発生する歪の発生を抑制する、
・金型温度を高め成形体を加熱することで残存する歪を低減させる
などの対策が講じられている。
しかしながら、前者の方法では、シート温度を高めることで、成形条件幅が狭くなり成形の再現性が低下したり、腑形成があまくなったり、金型接触で成形体を冷却する時間が長くなり成形サイクルが低下する等の問題があった。
また後者の方法では、加熱した金型温度以下の温度で成形した際に生じた成形歪を除去できなかったり、加熱型の金型設備が必要であったり、Tg付近の温度では成形体は柔らかいため、金型から取り出す際に成形体が変形する(あるいは冷却した後に取出す必要がある)などの問題があった。
一方、射出(延伸)ブロー成形の場合には、樹脂組成物からなるパリソン(中空状の射出成形体)を加熱軟化させ、次いで縦横に、機械的に、圧力Airによってブローする際
に歪(成形歪)が発生する。得られた成形体は、熱成形体の場合と同様、加熱した場合には、通常樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)付近で変形し始めるが、成形体の形状が複雑、あるいはドロー比が大きい場合や、シートの加熱軟化が不十分なためにシートを無理に腑形させた場合、ある程度結晶化したパリソンを成形した場合などは、得られた成形体に残存する成形歪が大きくなるため、成形体は比較的低い温度で変形し始める場合がある。
このため従来は、一般に、金型温度を高め成形体を加熱することで残存する歪を除去するという対策が講じられている。
しかしながらこの方法では、高価な加熱型の金型設備が必要であったり、金型から成形体を取出す前に、成形体を冷却する必要があるなど、経済的かつ操作的に煩雑という問題があった。
本発明は、上記従来技術における課題を解決しようとするものであり、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物から成形体を製造するに際して、耐熱性および生産性、ならびに用途によってはさらに透明性に優れた成形体の製造方法、および成形体を提供することを目的としている。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、熱成形やブロー成形において、熱可塑性樹脂(組成物)からなる一次成形体を金型に接触させる際に、一次成形体に高温のガス状物質を接触させると、成形時に生じる歪、たとえば成形体のコーナー部の歪を低減でき、結果として従来よりも耐熱性に優れた成形体を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の成形体の製造方法は、
熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなり加熱軟化された一次成形体を金型に接触させて、該一次成形体に金型形状を転写する工程を含む加工方法によって成形体を製造する方法であって、
上記一次成形体を上記金型に接触させる際に、上記一次成形体の、上記金型との接触面とは反対側の面に、上記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度であるガス状物質を接触させる
ことを特徴としている。
上記加工方法としては、好ましくは熱成形およびブロー成形が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては好ましくは、ポリスチレン、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリ塩化ビニルから選択される少なくとも1種が挙げられる。
本発明の成形体は、上記製造方法によって得られる。
本発明の製造方法によれば、耐熱性および生産性に優れ、ならびに用途によってはさらに透明性にも優れた、熱可塑性樹脂からなる成形体を製造することができる。
また、金型を加熱する必要がないため、成形体の製造におけるコストを削減することもできる。
また、本発明の成形体は、耐熱性および生産性に優れ、ならびに用途によってはさらに
透明性にも優れている。
以下、本発明の成形体の製造方法および成形体についてさらに詳細に説明する。
本発明の成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなり加熱軟化された一次成形体を金型に接触させて、該一次成形体に金型形状を転写する工程を含む加工方法によって成形体を製造する方法であって、
上記一次成形体を上記金型に接触させる際に、上記一次成形体の、上記金型との接触面とは反対側の面に、上記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度であるガス状物質を接触させることを特徴としている。
[熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物]
(熱可塑性樹脂)
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に制限はされないが、一般に熱成形やブロー成形で用いられる熱可塑性樹脂が好ましい。好ましくは、ポリスチレン、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルである。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用しても良い。芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートアジペート及びその誘導体、脂肪族ポリエステルとしては、後述する乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート及びその誘導体等、ポリオレフィンとしては、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられる
中でも結晶性が高いという観点からはPP、PET、ポリ乳酸が好ましく、結晶性および透明性が高いという観点からはPETおよびポリ乳酸がより好ましく、生分解性樹脂であるという観点からはポリ乳酸が最も好ましい。
乳酸系樹脂;
上記乳酸系樹脂は、乳酸単位を50モル%以上、好ましくは75モル%以上、さらに好ましくは100%含有するポリマーであり、具体的には、
(1)ポリ乳酸、または乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマー、
(2)多官能多糖類および乳酸単位を含む乳酸系ポリマー、
(3)脂肪族多価カルボン酸単位、脂肪族多価アルコール単位および乳酸単位を含む乳酸系ポリマー、ならびに
(4)これらの混合物
である。これらの中では、使用時の透明性および耐熱性等を考慮すると、ポリ乳酸および乳酸−他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸コポリマーが好ましく、ポリ乳酸がさらに好ましい。なお、乳酸にはL−乳酸とD−乳酸とが存在するが、本発明において、単に乳酸という場合は、特にことわりがない限り、L−乳酸およびD−乳酸の両方を意味する。
上記乳酸系樹脂の原料としては、乳酸類およびヒドロキシカルボン酸類が用いられる。乳酸類としては、L−乳酸、D−乳酸、これらの混合物または乳酸の環状2量体であるラクタイドを使用することができる。なお、高い結晶性を発現するためには、このような乳酸類を原料とする乳酸系樹脂において、L−乳酸単位またはD−乳酸単位の一方の含有率が大きい方が好ましい。具体的には、乳酸単位中におけるL−乳酸単位またはD−乳酸単位の一方の含有率が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上である。
また、上記乳酸類と併用できるヒドロキシカルボン酸類としては、炭素数2〜10のヒドロキシカルボン酸類が好ましい。具体的には、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などを好適に使用することができる。また、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル
中間体、たとえば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや、6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンも使用できる。原料としての乳酸類とヒドロキシカルボン酸類との混合物は、得られるコポリマー中の乳酸含有率が50%以上、好ましくは75%以上になるように、種々の組み合わせで使用することができる。
上記乳酸系樹脂を得るためには、公知公用の方法を用いることができる。たとえば、上記原料を直接脱水重縮合する方法や、上記乳酸類やヒドロキシカルボン酸類の環状2量体、たとえばラクタイドやグリコライド、あるいはε−カプロラクトンのような環状エステル中間体を開環重合させる方法などが挙げられる。
直接脱水重縮合して製造する場合、原料である乳酸類または乳酸類とヒドロキシカルボン酸類との混合物を、好ましくは有機溶媒の存在下で共沸脱水縮合して重合することにより、本発明に適した強度を持つ高分子量の乳酸系樹脂が得られる。特に、有機溶媒としてフェニルエーテル系溶媒を用い、共沸により留出した溶媒から水を除去し、実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻すことが好ましい。
乳酸系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3万〜500万、より好ましくは5万〜100万、さらに好ましくは10万〜30万、特に好ましくは10万〜25万である。また、その分散度(Mw/Mn)は、2〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4、特に好ましくは2〜3.5である。乳酸系樹脂の重量平均分子量(Mw)や分散度(Mw/Mn)が上記範囲にあることにより、結晶化時の速
度が早く、成形可能な乳酸系樹脂組成物が得られる。
(熱可塑性樹脂組成物)
上記熱可塑性樹脂は、必要に応じて各種改質剤(アンチブロッキング剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、結晶化促進剤、可塑剤、静電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等、耐衝撃性改良剤など)を添加して熱可塑性樹脂組成物の形態で用いてもよい。これらの各種改質剤は、1種単独で添加してもよく、複数種を混合して添加してもよい。
結晶核剤;
上記熱可塑性樹脂には結晶核剤が配合されてもよい。この結晶核剤とは、結晶性の熱可塑性樹脂組成物に添加し、ある条件下で加熱処理を行った際に結晶核となり、結晶核形成を速め、その結果結晶化速度を高める効果を有するものおよび/または結晶サイズを小さくし透明性を維持する効果を示すものである。この結晶核剤としては、無機結晶核剤および有機結晶核剤が挙げられる。
無機結晶核剤;
無機結晶核剤としては、結晶性の熱可塑性樹脂の結晶化速度を上げる効果のある化合物であれば何ら制限はなく用いることができ、たとえば熱可塑性樹脂がPP、PET、乳酸系樹脂の場合、タルク、カオリン、クレー等の珪酸塩化合物が挙げられる。
無機結晶核剤の添加量は、熱可塑性樹脂の種類によって異なるが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.0重量部である。
有機結晶核剤;
一方有機結晶核剤としては無機結晶核剤と同様、結晶性の熱可塑性樹脂における結晶化速度を上げる効果のある化合物、さらには結晶の大きさおよび数を制御して透明性を保持することのできる有機化合物を好ましく用いることができる。たとえば熱可塑性樹脂がPP、乳酸系樹脂の場合、アミド結合を持つ脂肪族カルボン酸アミドが挙げられ、特に乳酸
系樹脂がポリ乳酸の場合には、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドおよびへキサメチレンビスベヘニン酸アミドが好ましい。
また、乳酸系樹脂が乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸との共重合体や、乳酸単位、他の脂肪族多価カルボン酸単位および脂肪族多価アルコール単位を含む共重合体の場合は、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの脂肪族カルボン酸モノアミドが好ましい。
これらの有機結晶核剤は、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また有機結晶核剤の添加量は熱可塑性樹脂の種類によって適宜選択されるが、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.5重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部、より好ましくは0.2〜0.8重量部である。
結晶化促進剤;
上記結晶化促進剤とは、上記熱可塑性樹脂を何らかの方法(たとえば、熱処理)により結晶化させた時に、結晶の成長速度を高めるものをいう。
なお、得ようとする成形体に透明性が要求される場合には、結晶化促進剤としては、熱可塑性樹脂の透明性を実質上損なわないものが好ましい。
上記結晶化促進剤としては、たとえば、ジ-n-オクチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体、ジ-n-ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジ-n-ブチルマレエート等のマレイン酸誘導体、トリ-n-ブチルシトレート等のクエン酸誘導体、モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体、ブチルオレート等のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル、ポリエチレンアジペート、ポリアクリレートアセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル類、グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート等の多価アルコールエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール誘導体、ベンジル=2-(2-メトキシエトキシ)エチル=アジパートなどが挙げられる。
特に熱可塑性樹脂がポリ乳酸の場合は、少量で結晶化速度を高めることができ、安価でかつ容易に入手できるクエン酸誘導体、ポリアルキレングリコール誘導体、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル類および多価アルコールエステル類が好ましく用いられる。
具体的には、ポリエチレングリコール、ATBC(商品名;ジェイ・プラス(株)製)、ダイファティー101(商品名;大八化学(株)製)、リケマールPL−710(商品名;理研ビタミン(株)製)およびラクトサイザーGP−4001(商品名;荒川化学(株)製)等は、安価でかつ容易に入手でき、結晶化促進効果も高いことから、好ましく用いることができる。
結晶化促進剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜7重量部、好ましくは0.5〜7重量部、より好ましくは1〜5重量部、さらに好ましくは1〜3重量部である。
アンチブロッキング剤;
上記アンチブロッキング剤としては、公知公用のものを用いることができ、無機フィラーなどが好適に用いられる。このような無機フィラーとしては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、チタニア、マイカ、タルク等が挙げられ、特にシリカが好ましい。
また、上記アンチブロッキング剤の平均粒径は5μm以下、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。平均粒径が5μmを超える粒径になるとフィルムの表面に微細な凹凸が生じ外観が不透明になる場合がある。
得られる成形体、たとえばシートに高度に透明性が必要な場合には、好ましくは平均粒径7nm〜2000nm、より好ましくは7nm〜200nm、さらに好ましくは7nm〜50nmのシリカを用いることが望ましい。また、そのシリカはSiO2を95%以上
含むことが好ましく、さらに、該SiO2が無水シリカであることがより好ましい。
上記アンチブロッキング剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部の範囲の量で用いられる。添加量が過少であると、アンチブロッキング剤の効果が発現し難くなり、逆に添加量が過大であると、フィルムの外観、特に透明性を低下させる場合がある。
滑剤;
上記滑剤としては、公知公用のものを用いることができる。たとえば、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィン、ポリエチレン等の脂肪族炭化水素系滑剤;ステアリン酸、ラウリン酸、ヒドロキシステアリン酸、硬化ひまし油等の脂肪酸系滑剤;ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の炭素数12〜30の脂肪酸金属塩である金属石鹸系滑剤;モンタンワックス等の長鎖エステルワックス類;および、これらを複合した複合滑剤などが挙げられる。
滑剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1重量部〜2重量部、好ましくは0.2重量部〜1.5重量部、より好ましくは0.3重量部〜1重量部である。添加量が過少であると、得られる成形体、例えばシートの滑り性が発現しない場合があり、逆に添加量が過大であると、シートの成形性が低下し、得られるシートの平板性が低下したり、さらには透明性等が低下する場合がある。
滑剤とアンチブロッキング剤とを併用する場合、その使用量は好ましくは熱可塑性樹脂100重量部に対し、滑剤とアンチブロッキング剤の総量で0.2〜7重量部であり、かつそれぞれの単体の使用量は上記の範囲とする。滑剤とアンチブロッキング剤が少なすぎると、耐候性の持続性効果が発現されず、多過ぎると成形が不安定になったり、フィルムの外観が劣ることがある。
離型剤;
本発明では成形加工時の成形性を向上させるために、公知公用の離型剤を添加することもできる。用いられる離型剤としては、上記の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の特徴を損なわない限り何ら制限はない。この離型剤としては、たとえば、シリコン誘導体類、テフロン(登録商標)誘導体類、脂肪族カルボン酸類、脂肪族カルボン酸金属塩類、脂肪族アルコール類などが挙げられ、特に、離型剤効果の高いシリコン誘導体類や脂肪族カルボン酸類が好ましい。
上記シリコン誘導体類としては、ジメチルシリコーンオイルが特に好ましく、その溶液粘度は、0.5〜50万センチストークス、好ましくは1〜1万センチストークス、より好ましくは5〜5000センチストークス、さらに好ましくは5〜1000センチストー
クスである。たとえば、KF96(商品名;信越化学工業(株)製)、KF69(商品名;信越化学工業(株)製)、KMP110(商品名;信越化学工業(株)製)が挙げられる。
上記脂肪族カルボン酸類は、炭素数8〜30の脂肪族カルボン酸、好ましくは炭素数10〜26の脂肪族カルボン酸、より好ましくは炭素数12〜22の脂肪族カルボン酸である。
上記離型剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.01重量部〜1重量部、好ましくは0.05重量部〜0.8重量部、より好ましくは0.1重量部〜0.5重量部の範囲の量で用いられる。
耐衝撃性改良剤;
本発明では成形加工品の耐衝撃性を向上させるために、公知公用の耐衝撃改良剤を添加することもできる。用いられる耐衝撃改良剤としては、本発明の乳酸系樹脂組成物の特徴を損なわない限り何ら制限はない。たとえば、生分解性を有する耐衝撃性改良剤や非生分解性の熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。特に、生分解性を有する耐衝撃性改良剤が好ましい。
生分解性の耐衝撃性改良剤としては、たとえば、プラメートPD−150(商品名;大日本インキ化学社製)やプラメートPD−350(商品名;大日本インキ化学社製)などが挙げられる。非生分解性の熱可塑性エラストマーとしては、たとえば、タフマー(商品名;三井化学社製)、シンジオタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン系のSBBSラバー、イミノ変性したSBBSラバー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン系のSEBSラバー、イミノ変性したSEBSラバー等のオレフィン系エラストマーもしくはラバーや、メタブレン(商品名:三菱レイヨン社製)等のシリコン系ラバーなどが挙げられる。
上記耐衝撃性改良剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記耐衝撃改良剤の添加量は、用途に応じて適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜20重量部、好ましくは1重量部〜15重量部、より好ましくは3重量部〜10重量部の範囲である。
(熱可塑性樹脂組成物の製造方法)
上記熱可塑性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂に、結晶核剤、結晶化促進剤、アンチブロッキング剤、滑剤、離型剤、耐衝撃改良剤などの他の改質剤(他の添加剤)を混合することにより得られる。各成分の混合には、公知公用の方法や混練技術を適用できる。たとえば、
(1)パウダー状もしくはペレット状の熱可塑性樹脂、必要に応じて他の添加剤をリボンブレンダーなどで一括混合した後、2軸押出機で組成物を加熱溶融しながら押出しペレット化する方法;
(2)パウダー状もしくはペレット状の熱可塑性樹脂を押出ペレット化する際に、必要に応じて他の添加剤を、サイドフィードや液体注入ポンプで押出し機のシリンダー内に添加混合する方法;
(3)予め必要に応じて他の添加剤を高濃度に押出しペレット化したペレット(マスターバッチ)を製造した後、そのマスターバッチを、パウダー状もしくはペレット状の熱可塑性樹脂でドライブレンド等により希釈して成形体を加工する方法;
(4)上記方法を組み合わせて混合する方法
などが挙げられる。
なお、必要に応じて他の添加剤をマスターバッチとして添加する場合、各添加剤毎のマスターバッチ、あるいは2種以上の添加剤のマスターバッチとして添加してもよく、その方法に何等制限はない。また、マスターバッチとして添加する際、熱可塑性樹脂との混合比率は、マスターバッチ/熱可塑性樹脂の重量比が1/100〜1/2、好ましくは1/50〜1/3、より好ましくは1/30〜1/5、特に好ましくは1/30〜1/10である。
[一次成形体]
本発明では、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなり加熱軟化された一次成形体をさらに加工することによって、二次成形体を製造する。なお、本発明において「成形体」とは、特にことわりのない限り二次成形体を意味する。
この一次成形体の製造方法としては、従来公知の成型加工法を適用することができ、このような成型加工法としては、たとえば射出成形、押出成形、異形押出し成形、プレス成形などの方法が挙げられる。
一次成形体の態様としては、たとえばシート、パリソンなどが挙げられ、シートは好ましくは後述する熱成形によって、パリソンは後述するブロー成形によって、それぞれ所望の成形体へと加工される。
また一次成形体を加熱軟化させる方法としては、従来公知の方法を適用することができ、たとえば一般に熱成形やブロー成形で用いられる、(近あるいは遠)赤外線によって一次成形体を加熱する方法や、加熱された金属等の板状物質に一次成形体を接触させる方法などが挙げられる。
シート;
上記一次成形体であるシートは、真空成形、真空圧空成形、熱板圧空成形などの熱成形方法で成形加工する際に用いられ、上述したPET、PS、PP、PLAなどの熱可塑性樹脂または必要に応じて他の改質剤を含んでなる熱可塑性樹脂組成物からなり、公知公用の押出し機や押出し技術で製造できる。
なお、本発明におけるシートとは、厚みが10μm〜10mm程度のシートおよびフィルムの両方を意味する。シートの厚みは、好ましくは50μm〜2mm、さらに好ましくは100μm〜1.5mmであり、シートが過度に厚いと、後述する高温のガス状物質を接触させてもシート全体を均一に加熱できず、成形体の内部歪を充分に低減できない場合がある。
また、このシートを必要に応じて延伸加工することにより延伸シートを製造したり、このシートと他の樹脂からなるシートとを積層して多層シートを製造することもできる。
延伸シートの最適な延伸倍率は、二次成形体の形状などによって異なるが、縦×横が1.5〜3×1.5〜3倍、好ましくは縦×横が1.75〜2.5×1.75〜2.5倍、より好ましくは縦×横が1.75〜2.25×1.75〜2.25倍、更に好ましくは縦×横が1.9〜2.2×1.9〜2.2倍が好ましい。
また延伸シートを製造する際の熱固定温度は70〜165℃が良く、75〜125℃が好ましく、75〜110℃がより好ましく、80〜100℃が更に好ましく、80〜90℃が最も好ましい。この範囲で製造した延伸シートは、熱成形性に優れ、この延伸シートから得られた成形体は、延伸に基づく高度な耐衝撃性を示す。
上記の熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなるシートには、必要に応じてシー
ト表面に帯電防止性、防曇性、粘着性、ガスバリヤー性、密着性および易接着性などの機能を有する層をコーティングにより形成することができる。たとえば、シートの片面もしくは両面に、帯電防止剤を含む水性塗工液を塗布して乾燥することによって帯電防止層を形成することができる。
また、上記シートには、必要に応じて他の樹脂または他のシートをラミネートすることにより、帯電防止性、防曇性、粘着性、ガスバリヤー性、密着性および易接着性などの機能を有する層を形成することができる。その際、押出ラミネーション、ドライラミネーションなどの公知の方法を用いることができる。
パリソン;
上記一次成形体であるパリソンは、射出ブローや射出延伸ブローなどのブロー成形で成形加工する際に用いられ、上述したPET,PP、PLAなどの熱可塑性樹脂または必要に応じて他の改質剤を含んでなる熱可塑性樹脂組成物からなり、公知公用の射出成形機で製造できる。
パリソンの厚みは、通常100μm〜10mm程度、好ましくは500μm〜5mm、さらに好ましくは1mm〜3mmであり、パリソンが過度に厚いと、後述する高温のガス状物質を接触させてもパリソン全体を均一に加熱できず、成形体の内部歪を充分に低減できない場合がある。
パリソン結晶化度は、1%以上、好ましくは1%〜50%、より好ましくは1%〜40%、さらに好ましくは5%〜40%、特に好ましくは5%〜30%である。できるだけ結晶化度の高いパリソンを用いれば、二次成形において結晶化に要する時間が短縮され、その結果成形サイクルが短縮されて熱成形対の生産効率が向上する。
結晶化度が上記範囲にあるパリソンを二次成形することにより、成形加工性に優れるとともに、十分な耐熱性を有する熱成形体が得られる。

この熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなるパリソンの表面には、上記シートと同様に、必要に応じて帯電防止性、防曇性、粘着性、ガスバリヤー性、密着性および易接着性などの機能を有する層を形成することができる。たとえば、パリソンの片面もしくは両面に、帯電防止剤を含む水性塗工液を塗布して乾燥することによって帯電防止層を形成することができる。
[一次成形体の加工]
本発明では、加熱軟化された上記一次成形体を加工して成形体(二次成形体)を製造する。この加工方法には、加熱軟化された一次成形体を金型に接触させることにより、該一次成形体に金型形状を転写する工程が含まれ、さらに、上記一次成形体を上記金型に接触させる際には、上記一次成形体の、上記金型との接触面とは反対側の面に、上記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度であるガス状物質を接触させる。
このように高温のガス状物質を上記一次成形体に接触させることで、耐熱性に優れた成形体を製造することができる。
上記一次成形体の加工方法としては熱成形やブロー成形が好ましく、以下、これらの方法を例に、加工方法をより詳細に説明する。
(熱成形)
本発明の好ましい態様としては、シート(一次成形体)を、高温のガス状物質と接触さ
せながら熱成形して、成形体を製造する方法が挙げられる。
熱成形とは、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなるシートを、加熱軟化させ、次いで金型に圧着し、冷却固化させる成形方法であり、具体的には真空成形、真空圧空成形、熱板圧空成形などの方法が挙げられる。成形の際には、さらにプラグを併用してもよい。
真空圧空成形や熱板圧空成形では、圧空(圧縮空気または圧縮気体)として、従来は室温の空気を用いていたのに対し、本発明では成形しようとする熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度のガス状物質を用いる。すなわち本発明では、真空圧空成形や熱板圧空成形の際に、シート(一次成形体)の、金型との接触面とは反対側の面に、成形しようとする熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度のガス状物質を接触させる。
また、本発明において、熱成形法として真空成形を採用する場合には、シート(一次成形体)を金型に接触させる際に、シート(一次成形体)の、金型との接触面とは反対側の面に、成形しようとする熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度のガス状物質を接触させる。
従来の熱成形法により成形体を製造すると、その成形体には成形時に発生する内部歪が多く残存するが、本発明では熱成形の際にシート(一次成形体)に高温の気体を接触させるため、この内部歪みを低減させ、得られる成形体の熱変形温度(耐熱温度)を高め、耐熱性に優れた成形体を製造することができる。
ガス状物質;
本発明で用いられる上記ガス状物質としては、安全で経済性が良く、一次成形体に対して不活性な物質であれば何ら制限はなく、たとえば、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴン、水などが挙げられ、特に安全かつ安価であることから、空気および水が好ましい。
ガス状物質の温度は、50℃以上であり、かつ用いるシートに含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))以上、融点(Tm(℃))以下、好ましくはTg〜(Tm−20℃)、より好ましくはTg〜(Tm−40℃)、さらに好ましくはTg〜(Tm−60℃)、特に好ましくは(Tg+10℃)〜(Tm−60℃)、最も好ましくは(Tg+20℃)〜(Tm−60℃)である。この範囲の温度のガス状物質を用いると、耐熱性に優れた熱成形体が得られる。
ガス状物質の温度は、熱可塑性樹脂の種類によって異なるが、たとえば、熱可塑性樹脂がポリ乳酸である場合は60℃〜130℃、好ましくは70℃〜120℃、より好ましくは80℃〜110℃、さらに好ましくは80℃〜100℃であり、この温度範囲とすることでポリ乳酸は高度に結晶化され、形状が良く、かつ透明性の高い熱成形体が得られる。
上記ガス状物質との接触後のシート中の、すなわち得られた成形体中の上記熱可塑性樹脂の結晶化度は15%以上、好ましくは20%〜50%、より好ましくは25%〜45%、さらに好ましくは25%〜40%、特に好ましくは25%〜35%であることが望ましい。この範囲の結晶化度のシートを加熱した後に二次成形することにより、成形加工性に優れるとともに、十分な耐熱性を有する熱成形体が得られる。
また、熱成形法が真空圧空成形や熱板圧空成形等であって、上記ガス状物質として加圧されたガス状物質を用いる場合は、一般にその圧力は好ましくは1.01〜10MPaで
あり、より好ましくは1.1〜8MPaであり、さらに好ましくは1.5〜7MPaであり
、特に好ましくは2〜7MPaであり、最も好ましくは3〜7MPaである。
上記一次成形体に上記ガス状物質を接触させる時間は、実質上十分な耐熱性を有する熱成形体を得るに必要な時間であれば良く、通常1〜15秒、好ましくは1〜10秒、より好ましくは1〜7秒、さらに好ましくは1〜5秒、特に好ましくは1〜3秒である。接触時間が上記範囲であることにより、目的の耐熱性を有する熱成形体を生産性良く得ることができる。
このように、ガス状物質、その温度および圧力、一次成形体とガス状物質との接触時間等は、得ようとする成形体の形状(たとえば、厚さ)やその腑形性、成形体に付与する耐熱性のレベル等によって、適宜選択される。
〔ブロー成形〕
本発明の好ましい態様としては、一次成形体(パリソン)を、高温のガス状物質と接触させながらブロー成形して、成形体を製造する方法が挙げられる。
通常、PET等の汎用樹脂で用いられるブロー成形としては、射出ブロー、射出延伸ブローなどの方法が挙げられ、これらのブロー成形では、一旦射出成形で得た一次成形体であるパリソンを再度加熱軟化させ、110〜140℃に加熱した金型内で口部から圧空を挿入し金型形状を転写させた後、冷却エアーで冷却して、取り出している。ここで加熱した金型を用いるのは、ブロー成形時に生じる内部歪を金型に接触させて(アニール処理)低減させるためである。
ブロー成形における圧空(圧縮空気または圧縮気体)として、従来は室温の空気を用いていたのに対し、本発明では成形しようとする熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度のガス状物質を用いる。すなわち本発明では、ブロー成形の際に、パリソン(一次成形体)の、金型との接触面とは反対側の面に、成形しようとする熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度のガス状物質を接触させる。
また従来は加熱された金型を用いていたのに対し、本発明では、常温の金型を用いてもよい。
さらに、本発明では、冷却エアーでの冷却を必ずしも要さない。
従来のブロー成形法により製造された成形体には、成形時に発生する内部歪が多く残存するが、本発明では、パリソン(一次成形体)に高温のガス状物質を吹込むことによって、この内部歪を低減させ、得られる成形体の熱変形温度(耐熱温度)を高め、通常のブロー成形で得られた成形体と同様、耐熱性に優れた成形体を製造することができる。
また、従来のブロー成形法では、加熱金型から成形体を取り出す際に、軟化した成形体の変形を防ぐために、冷却エアーの吹込みにより成形体を冷却する必要があったが、本発明では、ブロー時の加圧された高温のガス状物質が、腑形後に常圧に戻される際に断熱膨張してその温度が低下する結果、金型や成形体も同時に冷却されるので、必ずしも冷却エアーの吹込みを要さない。
(ガス状物質)
ブロー成形の際に使用するガス状物質、その温度の詳細は、上述した熱成形の際の条件と同様である。
またブロー時の圧力は、好ましくは1.01〜10MPaであり、より好ましくは1.
1〜8MPaであり、さらに好ましくは1.5〜7MPaであり、特に好ましくは2〜7MPaであり、最も好ましくは3〜7MPaである。
加圧された上記ガス状物質によってブローする時間は、所望される耐熱性を有する成形体を得るに必要な、実質上十分な時間であれば良く、通常1〜15秒、好ましくは1〜10秒、より好ましくは1〜7秒、さらに好ましくは1〜5秒、最も好ましくは1〜4秒である。ブロー時間が上記範囲であることにより、目的の耐熱性を有するブロー成形体を生産性良く得ることができる。
このように、ガス状物質、その温度および圧力、パリソン(一次成形体)とガス状物質との接触時間等は、得ようとする成形体の形状(たとえば、厚さ)やその腑形性、成形体に付与する耐熱性のレベル等によって、適宜選択される。
[成形体]
本発明の製造方法によって得られる成形体は、耐熱性に優れる。この優れた耐熱性は、成形体の熱変形開始温度が高いことから確認できる。この熱変形開始温度とは、成形体(たとえばカップ状の成形体)を所定温度に設定した乾燥機中に2時間保持した後に目視により変形が認められ得る最低の温度である。
その熱変形開始温度は、好ましくは成形体の原料である熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg(℃))以上融点(Tm(℃))以下、より好ましくは(Tg+5℃)〜(Tm−10℃)、さらに好ましくは(Tg+10℃)〜(Tm−20℃)、最も好ましくは(Tg+15℃)〜(Tm−40℃)、特に好ましくは(Tg+20℃)〜(Tm−60℃)である。
本発明の製造方法によって得られる成形体は、たとえば、プリン、ジャムおよびカレー容器等のホットフィル容器、食品トレー、ブリスター容器、ならびに、クリアケース等の一般包装用容器など、透明性や耐熱性が要求される用途にも広く用いることができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
本実施例で用いた熱可塑性樹脂、金型等の詳細は以下のとおりである。
<熱可塑性樹脂>
PLA(1):ポリ乳酸(LACEA(登録商標) H−100、三井化学(株)製、重量
平均分子量(Mw);14万、分散度(Mw/Mn);3.4、L体/D体=98.3/1.7、ガラス転移温度;58℃、融点;168℃)
PLA(2):ポリ乳酸(LACEA(登録商標) H−400、三井化学(株)製、重量
平均分子量(Mw);21万、分散度(Mw/Mn);3.2、L体/D体=98.2/1.8、ガラス転移温度;58℃、融点;165℃)
PET:ポリエチレンテレフタレート(三井PET JI25、三井化学(株)製、ガラス転移温度;78℃、融点;260℃)
HIPS:ポリスチレン(PSJ−ポリスチレン H0013、PS−ジャパン(株)製
ガラス転移温度;95℃、融点;なし(非晶性樹脂であるため。))
<結晶核剤>
EBL:エチレンビスラウリン酸アミド(スリパックス(登録商標)L、日本化成(株)製)
EBS:エチレンビスステアリン酸アミド(アルフロー(登録商標)H50S、日本油脂(株)製)
<結晶化促進剤>
ATBC:アセチルクエン酸トリブチル(ATBC、(株)ジェイ・プラス製)
DF:ベンジル=2−(2−メトキシエトキシ)エチル=アジパート(ダイファティー(登録商標)101、大八化学(株)製)
<金型>
金型A:上部の径が縦・横100mm、底部の径が縦・横75mm、高さが30mm、絞り比が約0.27のトレー状の金型
金型B:上部口径100mm、底部口径60mm、高さ150mm、絞り比1.5のカップ状の金型
<熱成形方法>
熱板圧空成形:FKH−0631−40(浅野研究所社製)を使用。
真空圧空成形:FKS−0631−20(浅野研究所社製)を使用。
また、成形体の結晶化度、透明性(ヘイズ)、厚み、耐熱温度は、以下の方法で測定および評価を行った。
<結晶化度>
示差熱走査熱量分析装置(セイコー社製)を用いて、成形体を10℃/minの速度で昇温した時の結晶化熱量(ΔHc)および融解熱量(ΔHm)を測定した。結晶化度は、以下の計算式:
結晶化度(%)
=(融解熱量−結晶化熱量)/完全理想結晶融解エンタルピー×100
で求めた値である。なお、各実施例および比較例で採用した完全理想結晶融解エンタルピーの値は以下のとおりである。
実施例1〜4および比較例1〜4(ポリ乳酸):93(J/g)
<熱成形体の透明性(ヘイズ)>
得られた熱成形体の側面から、縦2cm×横2cmのカットサンプルを採取した。このカットサンプルについて、厚みを測定し、JIS K6714に準じ東京電色社製Haze Meterを用いてヘイズを測定した。
<耐熱温度>
得られた熱成形体(カップ)を乾燥機中に2時間保持した後、変形の程度を目視にて観察した。この操作を、乾燥機内温度を5℃刻みに上昇させながら繰り返し、カップに変形が認められなかった最高温度を耐熱温度とした。
[実施例1]
ポリ乳酸PLA(1)(LACEA(登録商標)H−100)100重量部、結晶核剤EBS(アルフロー(登録商標)H50S)0.5重量部および結晶化促進剤ATBC(アセチルクエン酸トリブチル)1重量部をヘンシェルミキサーにて混合後、押出機シリンダー設定温度190〜220℃の条件にてペレット化した。
次いで、得られたペレットを、シリンダー温度が220℃に設定されたT−ダイ製膜機(スクリュー径50mm、ダイス幅500mm)へ供給した。温度を30℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み250μmのシートを得た。
熱板圧空成形機(FKH−0631−40、浅野研究所社製)を用い、得られたシートを、110℃に設定した熱板に5秒間接触させて加熱軟化させ、表1に示す圧空条件(ガスの種類=空気、温度=90℃、圧空時間=3sec、圧力=0.3MPa)にて熱成形した。シートは、金型に4秒間(圧空での加圧時間(3秒間)および圧力開放後の1秒間)接触させた(すなわち、金型ホールド時間は4秒間であった。)。
得られた成形体の結晶化度は31%、ヘイズは4%、耐熱温度は65℃であった。
[実施例2〜6および比較例1〜6]
熱可塑性樹脂、結晶核剤、結晶化促進剤の種類と量、及びそれよりなるシートの厚み、また熱成形に用いた機器の種類とその成形条件を変えた他は、実施例1と同様な方法で行なった。なお真空圧空成形の場合には、シートを、その温度が110℃(真空圧空成形機に附属の非接触型温度計で測定された値である。)となるまで加熱軟化させた。成形条件および成形体の物性を表1に示す。
Figure 2008030419

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなり加熱軟化された一次成形体を金型に接触させて、該一次成形体に金型形状を転写する工程を含む加工方法によって成形体を製造する方法であって、
    上記一次成形体を上記金型に接触させる際に、上記一次成形体の、上記金型との接触面とは反対側の面に、上記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点以下、かつ50℃以上の温度であるガス状物質を接触させる
    ことを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 上記加工方法が、熱成形であることを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 上記加工方法が、ブロー成形であることを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  4. 上記熱可塑性樹脂が、ポリスチレン、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリ塩化ビニルから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られる成形体。
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