JP2008029981A - 精密塗工用ワイヤバーの製作方法及びその精密塗工用ワイヤバー並びにそれを用いた精密塗工用ワイヤバー塗布装置 - Google Patents

精密塗工用ワイヤバーの製作方法及びその精密塗工用ワイヤバー並びにそれを用いた精密塗工用ワイヤバー塗布装置 Download PDF

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Abstract

【課題】連続走行する支持体に、ウエット膜厚が5μm以下の超薄膜の塗膜を、スジやムラを発生させることがなく、均一かつ高精度に塗工することができる精密塗工用ワイヤバーの製作方法及びその精密塗工用ワイヤバー、並びにそれを用いた精密塗工用ワイヤバー塗布装置を提供する。
【解決手段】連続走行する支持体に塗布液を精密塗布する精密塗工用ワイヤバーの製作方法において、センタレス研磨済みロッドを用い、該ロッドの外周におけるワイヤ巻回部分を外周にならって特殊精密研削加工により0.5s以下の面粗度に仕上げ、該仕上げ面に洗浄したワイヤを1.5μm以下のワイヤ間隔をもって螺旋状に密着巻回してワイヤバーを製作する。
【選択図】図5

Description

本発明は、連続走行する支持体に塗布液を精密塗布する精密塗工用ワイヤバーの製作方法及びその精密塗工用ワイヤバー並びにそれを用いた精密塗工用ワイヤバー塗布装置に関する。
連続走行する支持体に塗布液を塗布する装置の一つにロッドコーターによるものがあり、そのロッドコーターの一種としてワイヤバー塗布装置がある。このワイヤバー塗布装置は、丸棒状のロッドの表面に細いワイヤを螺旋状に密着巻回して成るワイヤバーを回転させ、ワイヤ間に形成された細密溝の毛細管現象を利用して塗布液をワイヤバーの表面に引き上げ、引き上げた塗布液を連続走行するフィルム等の支持体に転移塗布するように構成されている。
このワイヤバー塗布装置は、細かい調整を殆ど必要とせず、また塗布厚もワイヤ径を変えることにより容易に変更できることから、塗布分野では広く利用されている。とくに、このワイヤバー塗布装置は、塗布膜厚がウエット膜厚で5μm程度以上の塗布に多く用いられ、また塗布液も比較的レベリング性のよいものが中心であったため、従来ではあまり大きな問題は発生していなかった。
一方、このワイヤバーによる塗布においては、塗膜に畳目状のムラを生じることが特徴として一般に知られている。これは、ワイヤバーのワイヤは研磨されたロッドの表面に螺旋状に密着巻回されていることになっているものの、この密着巻回された表面を拡大して見ると、巻回不良によりワイヤ間には微細な隙間や乗り上げが見られ、微妙なバラツキがあって実際には密巻き状態になっていないためと考えられている。
一方、近年になり、例えば光学性機能フィルムの製造等の分野において、ウエット膜厚が5μm以下の超薄膜塗布の要求が多くなってきている。しかしながら、上述したように巻回によりワイヤ間に僅かなバラツキを生じること、あるいはワイヤ自体に微細な傷があること等により、ワイヤバー塗布により上述の要求を満たすことは極めて困難であった。
上記事情に鑑み、特許文献1には、径が2〜20mmの範囲にあり、真円度を5μm以下とするロッドの表面を鏡面仕上げ加工し、この表面に径が20〜400μmmの範囲にあり、真円度を2μm以下とするワイヤを螺旋状に密着巻回して成る塗工用ワイヤバーが提案されている。
ところで、特許文献1に記載された「鏡面仕上げ」とは、当技術分野においては、通常、「ポリッシングやバフ研磨等により被加工物の表面がある程度以上に映るレベルとなるように研磨すること」を意味するものと定義されており、被加工物の面粗度等がどの程度の数値であるかは問題とせず、ある程度映ればよいという具体的な規定のない、極めて感覚的なものとされている。よって、ロッドとして何を使用するかにより、すなわち用いるロッドの材質により、その面粗度は全く異なったものとなり、鏡面とはいえ面粗度はバラバラなのである。
このような鏡面仕上げの代表的な例として、油圧ないし空圧機器のシリンダ内面及びこの内面を摺動するピストンロッドが挙げられる。確かに、これらの面は表面上鏡のように光り、いかにも美しく仕上げられているように見えるが、その面粗度は1.5〜3s程度あることが確認されている。もっとも、このような数値範囲は、互いの面同士で機密を保証するようにした前記油圧ないし空圧機器においては十分にその目標を達成し得るものと思われる。
特開2005−021749号公報
しかしながら、これが極細線、例えば径が100μm以下のワイヤをロッド表面に巻回してワイヤバーを製作する場合となれば、このようなミクロンオーダーの数値範囲では所望の高精度なワイヤバーを製作することはできなかった。換言すれば、特許文献1に記載されているロッドの表面をただ単に鏡面仕上げ加工をし、これにワイヤを密着巻回して製作したワイヤバーでは、薄層塗布、とくにウエット膜厚が5μm以下の超薄層塗布を高精度に行なうことは不可能であった。
なお、特許文献1では、前記鏡面仕上げを、5〜50μmの範囲、さらに好ましくは15〜40μmの範囲のバニッシング量をもってバニッシング加工により行なうことが提案されている。また、このバニッシング加工は弾性変形の範囲とし、塑性変形させるとそれによる悪影響が出るとのことで弾性変形となるように決めているため、前記範囲がその弾性変形の限界であるとしている。しかしながら、一般に弾性変形の範囲では加工後にかなりの復元が起こることを考えると、前記提案には多分に疑問があった。また、ロッドには、面粗度が4〜5.5s程度の比較的良好な仕上がりのセンタレス材が一般に用いられるが、このロッドの精度も通常外径で0〜20μmの範囲でばらついており、またセンタレス研磨では、その特徴ともいえる8〜10μm程度の三角おにぎり形状をなす真円度のバラツキがあることから、バニッシング加工における1〜2μm程度の微差は塗膜の品質を左右する精密薄層塗布には重要な問題であるとされていた。
因みに、センタレス材の定尺材10本から長さ500mmのシャフトを作り、バニッシング加工をした後、直径35μmのワイヤを巻回してワイヤバーを製作してみたところ、
良いワイヤバーの場合にはワイヤ巻きした面にCD面を反射させたときと同様の非常にきれいな虹模様ができるが、製作した上記ワイヤバーの半数ではかなりきれいな虹模様が見られたのに対し、残りの半数ではその虹模様はかなり乱れて見られた。これが果たしてワイヤバーの性能に影響があるか否かは不明であるが、極細線の場合には決して十分とはいえないのではと考えられた。
また、従来、前記ワイヤバーは職人の手作業によりワイヤをロッドに巻回して製作することが普通であったが、最近では職人の技能を機械化したものやより進んだものではワイヤ径により送り量を決め、ディジタル制御により機械的に巻回して製作するようになってきているが、上述したとおりの理由により、超薄層の塗膜を精密に得るためのワイヤバーはなかなか存在せず、このため当分野では精密塗工用ワイヤバーの出現が強く望まれていた。
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、連続走行する支持体に、ウエット膜厚が5μm以下の超薄膜の塗膜を、スジやムラを発生させることがなく、均一かつ高精度に塗工することができる精密塗工用ワイヤバーの製作方法及びその精密塗工用ワイヤバー、並びにそれを用いた精密塗工用ワイヤバー塗布装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、連続走行する支持体に塗布液を精密塗布する精密塗工用ワイヤバーの製作方法において、センタレス研磨済みロッドを用い、該ロッドの外周におけるワイヤ巻回部分を外周にならって特殊精密研削加工により0.5s以下の面粗度に仕上げ、該仕上げ面に洗浄したワイヤを1.5μm以下のワイヤ間隔をもって螺旋状に密着巻回してワイヤバーを製作することを特徴とする精密塗工用ワイヤバーの製作方法を提供することにより達成される。
また、本発明の上記目的は、ワイヤバーの効果をより発揮するために、前記螺旋状に密着巻回して成るワイヤバーの表面を微粒研削砥石により研削した後、軟質砥石又は軟質の支持体を用いたフィルム状砥石により前記表面を研削し、表面上の微細傷を皆無とすることを特徴とする精密塗工用ワイヤバーの製作方法を提供することにより、さらに効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、前記ロッドの径は40mm以下であり、前記ワイヤの径は150μm以下であることを特徴とする精密塗工用ワイヤバーの製作方法を提供することにより、より効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、上記の製作方法によって製作されたことを特徴とする精密塗工用ワイヤバーを提供することにより達成される。
さらにまた、本発明の上記目的は、上記の製作方法によって製作された精密塗工用ワイヤバーを用いて走行する支持体に塗布液を塗布することを特徴とする精密塗工用ワイヤバー塗布装置を提供することにより達成される。
本発明者の研究によれば、次のような技術的事項が究明されている。すなわち、先ず、上述したようにワイヤバー塗布はワイヤ間の毛細管現象を利用するものであるため、隣接するワイヤ間が真に一定であれば、たとえ2〜3μm程度の間隔があいていたとしても精密塗布は理論的には可能である。しかしながら、ワイヤが螺旋状に巻回されていることから、この程度の間隔があると塗布液を塗工している間にワイヤにスラスト荷重がかかり、後でこの間隔がムラになる可能性がある。したがって、ワイヤ間隔が常に一定であるためには、ワイヤが間隔0をもってロッド上に巻回されてことが必要となり、このためにはロッド表面が完全に平坦であることが要求される。しかしながら、このようなロッドはあくまでも理想であって、現実的にこれを実現することは不可能である。すなわち、ロッド表面の面粗度を上げるためには、微粒砥石を用い、時間をかけてゆっくり研削することによりその目標は達成されるが、このロッドの研削には一般に円筒研削が用いられ、研削砥石の芯と被研削物の芯とを固定し、両者を回転させて徐々に突起部を研削していく過程においては、ロッド例えば径が6〜10mm、長さが1000mm程度のロッドに砥石からの負荷によって撓みが生じ、これにより均一な研削ができないからである。そこで、振れ止めを介在させ研削するのが一般的であるが、この振れ止めには精度を出すため金属製のものが用いられることから、接触部分で金属粉が入り込んだりして傷をつけてしまうことがある。そこで、この部分を再度研削しようとして振れ止めを移動させると、折角微細研削をしても、振れ止め位置を変えることに起因してロッドの表面に傷を付けてしまうことがあり、このため研削した意味がなくなってしまうことになる。
また、上述したように、ワイヤバーはロッドの表面にワイヤを螺旋状に密着巻回して作られることから、ロッド表面の面粗度以外に、使用するワイヤ自体の精度も重要となる。そこで、本発明者はこの使用するワイヤ自体の精度について検討した結果、ワイヤの製造時、とくにダイスによる引き抜き延伸加工時においては、ワイヤの表面に微細な傷がつけられることの外、ワイヤの表面に引き抜き延伸時に必要となる油類の油膜が形成され、この油膜が1.5μmを問題とするとなると精度を左右する要因となることを見出したのである。
本発明者は、このような知見に基づき、いかにしたらロッド表面の面粗度を上げることができるか、また、ロッドに密着巻回されるワイヤの精度をいかにして上げ、高精度な精密塗工用のワイヤバーを最終的に製作するか等につき鋭意研究を重ねた結果、上記特許請求の範囲に記載されたとおりの、新規な精密塗工用ワイヤバーの製作方法及びその精密塗工用ワイヤバー、並びにそれを用いた精密塗工用ワイヤバー塗布装置を考案するに至った。
本願請求項1に記載の発明によれば、ウエット膜厚が5μm以下の超薄膜の塗布においても、塗膜にスジやムラ等の欠陥を全く発生させることのない精密塗工用のワイヤバーを製作することができる。とくに、本願請求項2に記載の発明によれば、ワイヤ表面の極めて微細な傷が除去されるので、さらに精密塗布が可能なワイヤバーを製作することができる。よって、かかる精密塗工用のワイヤバーを用いて塗布装置を構成すれば、連続走行する支持体に塗布液を超薄層にかつ高精密に塗布することができる。
以下、本発明の内容を実施例に基づき詳述する。なお、本発明は必ずしも以下の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、その構成を種々に変更し得るものであることはいうまでもない。
(実施例1)
図1に示すようなロッド研削装置10を使用し、直径dが6〜12mm、長さlが1500mm以上、面粗度rが4〜5sとかなり良好にセンタレス研磨仕上げされたステンレス製のロッド11を用い、このロッド11の両端をセンターピン12により確実に固定した後、回転数nを比較的低速に設定してロッド11を回転させ、回転するロッド11の外周に円筒形から成る研削砥石13を2〜3N/cmの一定の圧力pをもって押圧しながら、移動速度vを低速にしてロッド11の長さ方向に移動させて突起部を研削除去するようにした、ロッド11の撓みにまかせて表面を精密に研削加工する特殊精密研削加工によりロッド11を研削した。この結果、前述したようなセンタレス研磨仕上げをしたロッド11が有する8〜10μm程度の三角おにぎり形状をなす真円度のバラツキは補正されていないが、この8〜10μm程度の真円度の誤差は塗布に殆ど影響がないので外周にならって研削した結果、面粗度が0.8〜1s程度の非常にきれいな研削ができた。
(実施例2)
このように研削した直径dが10mmのロッド11を4本準備し、それぞれの研削面に沿って、直径d1が70μmのステンレス製のワイヤ14を螺旋状に密着巻回して成る4種類(試料No.1〜4)のワイヤバーを作製し、このワイヤバーを塗布装置に組み込んで、速度vが25m/minで走行する幅wが1500mmの支持体にLR(低反射)用塗布液を塗布する実験を行なった。その後、各試料におけるバー汚れの発生位置及びスジの発生位置をワイヤの巻出し側(反ドライブ側)から測定して見たところ、表1に示すような結果が得られた。
Figure 2008029981
表1から、バー汚れの発生箇所はスジの発生箇所に較べかなり少なく、またバー汚れの発生場所が各試料とも単発的であるのに対し、スジの発生場所は単発的な部分とある幅をもって発生している部分があることが判明した。また、各試料はそれぞれロットが異なるにも拘わらず、バー汚れの発生場所及びスジの発生場所が各試料とも似通っているところがあることが判明した。
そこで、さらに、上述した各バー汚れの発生場所及びスジの発生場所における巻線部の状況、すなわち図5に部分拡大断面図で示すように、ロッド11の外周に巻回されたワイヤ14の半径方向高さh及び隣接するワイヤ間隔、すなわちワイヤピッチpを表面粗さ計で測定し、200倍に拡大して見たところ、図2(A)〜(D)に示すような結果が得られた。ここに、図2(A)はロッド11に巻回されたワイヤ14における故障が発生していない部分、すなわちワイヤピッチpが正確な部分を、図2(B)はスジが単発的に発生した部分を、図2(C)はスジがある幅をもって発生した部分を、そして図2(D)はバー汚れが単発的に発生した部分をそれぞれ示したものである。なお、これらの図において○印は欠陥箇所を示したもので、図2(B)では○印箇所でワイヤピッチが5μm以上ずれていることが判明した。
また、図2(C)では先端部の高さとワイヤピッチpの両方がずれており、図2(D)では汚れと称する傷の部分で1本だけ高さhが突出している箇所が見られた。
また、上述したように、スジの発生場所が各試料とも似通っている点があることに着目し、該当する試料(ワイヤバー)からワイヤ14を巻きほぐして見たところ、ある幅をもったスジの発生部分及びワイヤ14の巻出し側から類似のスジ発生場所までの部分においては、ロッド11の部分までかなり幅広く塗布液の浸み込みがあり、ロッド11が汚れていることが判明した。さらに、その汚れた部分について究明したところ、汚れの強い部分がスジとなっていることが判明した。さらに追求してみたところ、とくにこの部分ではワイヤピッチpが乱れていること(よってこの部分は面粗度を上げる必要があること)、及び、ワイヤ14の巻回時において、上述した類似のスジ発生場所付近でブレーキコントロールしている駆動モータのビビリ振動が共振して大きく伝わり、これにより巻込み部が振動していること(よってこの駆動モータのビビリ振動を抑える必要があること)が判明した。
(実施例3)
以上の知見を取り入れ、面粗度を0.8s以下まで仕上げたサンプルロッド11を3本用い、ブレーキコントロールモータのビビリ振動対策を取った機械によりワイヤ14を螺旋状に密着巻回して3種類(試料No.5〜7)のワイヤバーを作製した。その後、前記同様に、このワイヤバーを塗布装置に組み込んで塗布実験を行ない、バー汚れ及びスジの発生状況につき評価したところ、表2に示すような結果が得られた。
Figure 2008029981
表2に示すように、スジの発生は殆どなくなり、僅かにバー汚れを残すのみとなった。
このバー汚れの発生状況を示したのが図3である。図3に示されるように、この実験によれば、ワイヤピッチpの乱れが殆どなく完全に近い状態であつたが、バー汚れと称する僅かなキズの発生が2箇所に見られた。そこで、この発生箇所のワイヤ14を巻きほぐして見たところ、大きさはかなり小さくなってはいるが前記同様の汚れが見られた。この汚れの発生原因につき究明したところ、この汚れは制御モータからの振動を受けて発生していること(よってこの制御モータの振動を抑える必要があること)が判明した。また、僅かなキズの発生箇所、具体的にはスジが出ている所及び何となくスジっぽい所について精査してみたところ、ワイヤピッチpが2〜2.5μmの範囲で発生していることが判明した。
(実施例4)
以上の知見を基に、モータ系の全てに防振処置を施し、かつロッド11の面粗度を前述の特殊精密研削加工により0.5s以下(好ましい範囲は0.5s〜0.3s)のレベルまで上げて仕上げ、この仕上げ面にワイヤ14を1.5μm以下のワイヤピッチpをもって螺旋状に密着巻回してワイヤバーを製作した。なお、前述したように、使用するワイヤ14には油膜が形成されていることに着目し、このワイヤ14を巻回する前によく洗浄し、油膜を取り除いたものを使用した。このようにして試作したワイヤバーを塗布装置に組込み、前記同様の実験及び評価を行なったところ、バー汚れ、スジ、傷は皆無となり、どの点を取っても図4に示すような結果が得られた。
この実験によれば、ロッド11の全長に渡ってワイヤピッチp及びワイヤ高さhに全く乱れが見られず、また塗工された塗膜にスジやムラ等の欠陥がない精密なワイヤバー塗布ができた。それでもなお、この実験において、品質には影響しない程度の極めて微細なキズが2箇所見られた。
(実施例5)
そこで、この微細なキズを軟質の微粒砥石、あるいは研磨テープと呼ばれるペーパ砥石(軟質の支持体を用いたフィルム状の砥石)で磨き、このワイヤバーを用いて前記同様の実験を行なった結果、塗布面の故障は皆無となった。また、ワイヤ14を事前によく洗浄し、油膜を取り除いた後にロッド11に巻回するようにしたことにより、上述したように高精度なワイヤバーを作ることができることに加え、油膜が溶出して溶剤タイプの塗布液に入り込み悪影響を与えるという問題が解消されることが確認された。
なお、用いるロッド11の径dは40mm以下2mm程度まで、またワイヤ14の径d1は150μm以下15μm程度までであることが好ましく、このような素材を使用するとより高精度なワイヤバーを製作し得ることも本発明者の実験により確認されている。これは、径dが40mmを超えるロッドではワイヤバーとしては意味を持たないものとなり、また径d1が150μmより大きいワイヤを用いると塗膜が厚塗り状態となり、これ程の巻き精度を必要としないためである。
上述したように、本発明に係るワイヤバーの製作方法によれば、超高精密なワイヤバーを製作することができ、このようして製作したワイヤバーは互換性があるため従来のワイヤバー塗布装置に適用することができ、適用したワイヤバー塗布装置によれば、従来のワイヤバー塗布装置では得ることのできない、超薄層で高精度な塗膜を連続走行する支持体に塗工することができる。
ロッドの研削方法を示す説明図である。 改良段階にあるロッドにワイヤを巻回したときの状況をグラフで示したもので、(A)はロッドにワイヤが正確なワイヤピッチで巻回された部分を、(B)はスジが単発的に発生した部分を、(C)はスジがある幅をもって発生した部分を、(D)はバー汚れが単発的に発生した部分をそれぞれ示したものである。 改良を加えたロッドにワイヤを巻回したときの状況を図2と同様に示した図である。 最終的に改良を加えたロッド及びワイヤの巻回状況を図2と同様に示した図である。 ロッドに巻回されたワイヤ精度を説明するための部分拡大断面図である。
符号の説明
10 ロッド研削装置
11 ロッド
12 センターピン
13 研削砥石
14 ワイヤ
h ワイヤの半径方向高さ
p ワイヤピッチ(ワイヤ間隔)
r 面粗度

Claims (5)

  1. 連続走行する支持体に塗布液を精密塗布する精密塗工用ワイヤバーの製作方法において、センタレス研磨済みロッドを用い、該ロッドの外周におけるワイヤ巻回部分を外周にならって特殊精密研削加工により0.5s以下の面粗度に仕上げ、該仕上げ面に洗浄したワイヤを1.5μm以下のワイヤ間隔をもって螺旋状に密着巻回してワイヤバーを製作することを特徴とする精密塗工用ワイヤバーの製作方法。
  2. 前記螺旋状に密着巻回して成るワイヤバーの表面を微粒研削砥石により研削した後、軟質砥石又は軟質の支持体を用いたフィルム状砥石により前記表面を研削することを特徴とする請求項1に記載の精密塗工用ワイヤバーの製作方法。
  3. 前記ロッドの径は40mm以下であり、前記ワイヤの径は150μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の精密塗工用ワイヤバーの製作方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1に記載の製作方法によって製作されたことを特徴とする精密塗工用ワイヤバー。
  5. 請求項1〜3の何れか1に記載の製作方法によって製作された精密塗工用ワイヤバーを用いて連続走行する支持体に塗布液を塗布することを特徴とする精密塗工用ワイヤバー塗布装置。
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