JP2008029081A - モータ駆動装置及びモータ駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータの振動および騒音を低減するモータ駆動装置およびモータ駆動方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ロータ位置検出部と、クロック生成部とを有するセンサレス多相ブラシレスモータを駆動するモータ駆動装置であり、ロータ位置検出部は、ロータの位置に対応した連続的パルス信号である通電相切換信号を生成し、さらに、通電相切換信号をサブ区間に分割し、一つのサブ区間において第一状態をとるロータ位置信号を生成し、クロック生成部は、第一クロック信号を生成するクロック生成器と、より高い周波数の第二クロック信号を生成するクロック生成器と、ロータ位置信号が第一状態のときは第一クロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力し、ロータ位置信号が第二状態のときは第二クロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力するようにクロック信号を切り換えるクロック切換部を有するモータ駆動装置である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、ロータ位置検出部と、クロック生成部とを有するセンサレス多相ブラシレスモータを駆動するモータ駆動装置であり、ロータ位置検出部は、ロータの位置に対応した連続的パルス信号である通電相切換信号を生成し、さらに、通電相切換信号をサブ区間に分割し、一つのサブ区間において第一状態をとるロータ位置信号を生成し、クロック生成部は、第一クロック信号を生成するクロック生成器と、より高い周波数の第二クロック信号を生成するクロック生成器と、ロータ位置信号が第一状態のときは第一クロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力し、ロータ位置信号が第二状態のときは第二クロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力するようにクロック信号を切り換えるクロック切換部を有するモータ駆動装置である。
【選択図】図1
Description
本発明はモータ駆動装置に関し、特に、ロータ(回転子)位置検出用素子を備えないセンサレスブラシレスモータを駆動するモータ駆動装置及びその方法に関する。
近年、高信頼性を備え高速化性能に優る多相ブラシレスモータが光ディスク等の記録及び再生装置に用いられている。以下にセンサレスブラシレスモータのモータ駆動装置について説明する。
センサレスブラシレスモータの駆動方式には、モータコイルに流した電流を検出する電流検出抵抗の両端電圧値が所定のトルク入力値に達すれば通電を切り換えるピーク電流検出方式や、電流検出抵抗の両端電圧平均値とトルク入力値をアンプに入力しその差動出力で三角波をスライスしてPWMを生成するPWM制御方式がある。
例えば、特許文献1はピーク電流検出方式を用いてモータの駆動をPWM制御する例を開示する。このようなモータ駆動装置について、図15を参照し説明する。
図15は、モータ駆動装置1000のブロック図である。モータ駆動装置1000は、ロータ(回転子)の位置を検出するロータ位置検出部1、モータコイルに流れる電流を検出する電流検出部2、外部トルク指令3を受けトルク信号を生成するトルク指令生成部4、トルク信号と通電停止基準信号(r_ref)を比較する比較部5、PWM制御信号を生成するPWM制御信号生成部6、モータ10に対する通電を制御するための信号を生成する通電信号生成部7、パワー部8、基準クロック(CLK)を出力するクロック生成部9a、モータ10を有する。
ロータ位置検出部1は、モータ10の各相に生じる逆起電圧(誘起電圧)を検出する逆起電圧比較部101、および、検出された逆起電圧に基づいて二値信号(デジタル信号)を合成するロジック部102を含む。電流検出部2は、電流検出抵抗201、および、増幅器202を含む。クロック生成部9aは、第一の周波数のクロック信号を生成する第一周波数クロック生成器901を含む。
モータ駆動装置1000によるモータの駆動制御にかかる動作について説明する。
モータ駆動装置1000においては、モータ10のコイルに流れた電流に関する情報を得るため、モータ10のコイルに流れる電流を電流検出抵抗201に流し、増幅器202を介し、通電停止基準信号(r_ref)として比較部5に出力する。そしてこの通電停止基準信号(r_ref)を上記コイルに流れた電流に関する情報として利用する。
比較部5は、外部トルク指令3等に基づくトルク信号(目標指令値信号(TQ1およびTQ2))と通電停止基準信号(r_ref)を比較し、電流停止信号(R1およびR2)を適宜、PWM制御信号生成部6へ出力する。目標指令値信号(TQ1およびTQ2)については後述する。
この、電流停止信号(R1およびR2)が比較部5から出力されると、PWM制御信号生成部6の出力するPWM制御信号はOFF状態となり、パワー部8からモータ10への通電は停止される。当該通電の停止後、再び通電が開始されるタイミング(PWM制御信号が再びON状態に変化するタイミング)は、クロック生成部9aにて所定の周波数で生成され、PWM制御信号生成部6に入力される基準クロック(CLK)に基づく。通電開始を示す基準クロック(CLK)がPWM制御信号生成部6に入力にされると、PWM制御信号は再びON状態になり、通電信号生成部7等は、後述の信号(a)および(b)を考慮して、モータ10の各相に対する通電の再開を行う。通電の停止および再開は、所定の周波数(ここでは、上記の第一の周波数)に基づいて繰り返される。
他方、ロータ位置検出部1のロジック部102は、逆起電圧比較部101が検出した逆起電圧(誘起電圧)に基づいてロータ位置検出二値信号を生成し、そのロータ位置検出二値信号に基づいて、通電される相の切り換えに使用される通電相切換信号(a)、および、目標指令値信号(TQ1およびTQ2)の切り換えに使用される目標指令値制御信号(c)を生成する。
センサレスブラシレスモータは一般に、ロータの回転によりモータコイルに生じる逆起電圧(誘起電圧)を使用してロータ位置検出を行う。図15に示すモータ駆動装置1000においては、三相を構成するモータコイルが接続される点(以下、「中点」と称する。)と、各モータコイルについて当該中点と反対側の一点とを、ロータ位置検出部1に接続することによって、三相を構成するモータコイルに生じた逆起電圧をロータ位置検出部1の逆起電圧比較部101に入力する。逆起電圧比較部101は、各相の逆起電圧と中点電圧を比較しロータ位置を判定するための、各相の、ロータ位置検出二値信号をロジック部102へ出力する。
上記三相分のロータ位置検出二値信号は、それぞれ、1周期が電気角360度に相当し、かつ、相間で位相が電気角120度ずつシフトした二値信号(デジタル信号)である。
ロジック部102は、上記三相分のロータ位置検出二値信号を受け、電気角60度に相当するパルス幅を有するパルスからなる連続した二値信号(デジタル信号)を生成する。この二値信号を通電相切換信号(a)と称する。また、ロジック部102はさらに、上記通電相切換信号(a)に基づいてロータ位置信号(b)および目標指令値制御信号(c)を生成する。
ロータ位置信号(b)は、電気角60度区間の内で、電気角52.5度〜60度区間に相当する幅のパルス幅を有するパルスを含む二値信号(デジタル信号)であり、目標指令値制御信号(c)は、電気角60度の8等分である電気角7.5度に相当するパルス幅を有するパルスで構成される二値信号を含むデジタル信号である。
目標指令値制御信号(c)は、トルク指令生成部4に入力され、通電相切換信号(a)及びロータ位置信号(b)は通電信号生成部7に入力される。
トルク指令生成部4は、外部トルク指令3と目標指令値制御信号(c)を受け、入力された外部トルク指令3と目標指令値制御信号(c)に基づき、モータコイルに流す電流レベルを決定するための目標指令値信号(TQ1およびTQ2)を生成する。外部トルク指令3は、モータコイルに通電する電流レベルを決定するための情報を含み、目標指令値制御信号(c)は、外部トルク指令3に基づいて決定された電流レベルを、順々に切り換えるタイミングを決定するための情報を含む。そして、目標指令値信号(TQ1およびTQ2)は、通電されているモータ駆動電流に対する増加電流目標指令値信号TQ1および減少電流目標指令値信号TQ2の少なくともいずれかを含むように構成される。
目標指令値信号(TQ1およびTQ2)および電流検出部2の出力した検出信号(通電停止基準信号(r_ref))は、比較部5に送られる。比較部5は、上記入力に基づき、モータに流れた電流が目標指令値に到達した場合に、モータへの通電を止める電流停止信号(R1およびR2)を、PWM制御信号生成部6に出力する。
PWM制御信号生成部6は、電流停止信号(R1およびR2)と基準クロック(CLK)を受ける。図16に示すように、入力された電流停止信号(R1およびR2)は、セレクタ602に入力され、セレクタ602は、該当する電流停止信号(R1およびR2)に切り換える。セレクタ602(SEL)の出力信号(RESET)と基準クロック(CLK)はF/F601に入力される。F/F601は、基準クロック(CLK)の示すタイミングに従ってモータへの通電を開始し(PWM制御信号のON状態に対応)、電流停止信号(R1およびR2)によってモータへの通電を停止させる(PWM制御信号のOFF状態に対応)PWM制御信号(PWM)を通電信号生成部7に出力する。
通電信号生成部7は、PWM制御信号(PWM)、通電相切換信号(a)、および、ロータ位置信号(b)を受け、当該信号を合成し、該当する相に対し通電の開始及び停止をさせるための信号を生成し、モータへの電流を供給するパワー部8を制御する。
このような構成と制御方法により、センサレスブラシレスモータにおいては、ロータの位置検出素子がなくてもPWM制御にてモータ駆動をすることが可能である。
しかしながら、上記従来のセンサレスモータ駆動技術では、モータ駆動時の振動や騒音が大きい。この原因としては、モータコイルに流れる相電流のリップルが大きいことが挙げられる。この問題は、PWM制御の周波数を高くすることにより解決することが可能ではある。
しかしながら、従来のセンサレスモータ駆動技術では、検出相を高インピーダンス状態にして、ロータの位置検出を実施する。このとき、他相(検出相以外の相)はPWM制御されており、そのためロータの位置検出を行う区間内において検出相には他相のPWM制御の影響によるリンギングが発生し、ロータの位置を誤検出する恐れが生じる。リンギングはPWM制御する出力電圧の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジにて発生する。ロータの位置の誤検出を防止する為、ロータの位置検出を行う区間内における出力電圧のエッジ部分に対し、ロータの位置検出の実施を禁止する区間(以後、「マスク区間」と称する。)を設定する。前記マスク区間は所定の区間に設定され、設定されたマスク区間においてはPWM制御の通電開始タイミングのエッジ部が存在する。そのためPWM制御の周波数を高くすれば、隣接する通電開始タイミングのエッジ部の間隔が短くなり、その結果、隣接したマスク区間同士に重複する部分が生じる。隣接するマスク区間同士が連接するとロータの位置検出の適切な実施は困難となり、モータに対し最適なトルクを常に与え続けることができなくなる。このため、従来のセンサレスモータ駆動技術では、PWM制御の周波数を高く設定することが不可能であり相電流に生じるリップルは比較的大きなものとなってモータの振動および騒音の原因として残されていた。
特開2003−174789号公報
特開2005−039991号公報
上記センサレスブラシレスモータにかかる問題点を鑑み、本発明は、モータの振動および騒音を低減するモータ駆動装置およびモータ駆動方法を提供することを目的とする。
本発明は、その一態様において、ロータの位置を検出するロータ位置検出部と、PWM制御のための基準クロックを生成するクロック生成部とを有するセンサレス多相ブラシレスモータを駆動するモータ駆動装置であって、ロータ位置検出部は、ロータの位置に対応し、所定の電気角に相当するパルス幅を有する連続したパルスからなる通電相切換信号を生成し、さらに、通電相切換信号を所定の複数個のサブ区間に分割し、いずれか一つのサブ区間において第一状態をとり、それ以外のサブ区間において第二状態をとるロータ位置信号を生成し、クロック生成部は、第一周波数の第一クロック信号を生成する第一周波数クロック生成器と、第一周波数よりも高い第二周波数の第二クロック信号を生成する第二周波数クロック生成器と、ロータ位置信号が第一状態のときは第一クロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力し、ロータ位置信号が第二状態のときは第二クロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力するようにクロック信号を切り換えるクロック切換部を有するモータ駆動装置である。
本発明の一態様においては、ロータ位置検出部は、ロータ位置信号が第一状態のとき、ロータ位置検出を行うことが好ましい。
本発明の一態様においては、センサレス多相ブラシレスモータは、センサレス三相ブラシレスモータであり、所定の電気角は、60度であり、所定の複数個のサブ区間の個数は、8個であることが好ましい。
本発明の一態様においては、第二周波数クロック生成器は、所定の周波数のクロック信号を生成するクロック生成器であり、第一周波数クロック生成器は、所定の周波数のクロック信号を分周する分周器であることが好ましい。
本発明の一態様においては、クロック生成部は、指令信号に基づいて第二周波数を変化させることができることが好ましい。
本発明は、その別の一態様において、ロータの位置を検出するロータ位置検出部と、PWM制御のための基準クロックを生成するクロック生成部とを有するセンサレス多相ブラシレスモータを駆動するモータ駆動装置を駆動制御する方法であって、ロータの位置に対応し、所定の電気角に相当するパルス幅を有する連続したパルスからなる通電相切換信号を生成するステップと、通電相切換信号を所定の複数個のサブ区間に分割し、いずれか一つのサブ区間において第一状態をとり、それ以外のサブ区間において第二状態をとるロータ位置信号を生成するステップと、ロータ位置信号が第一状態のときは第一周波数のクロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力し、ロータ位置信号が第二状態のときは第二周波数のクロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力するステップとを有する方法である。
本発明の別の一態様においては、さらに、ロータ位置信号が第一状態のときにロータの位置検出を実行するステップを有することが好ましい。
本発明の別の一態様においては、第一周波数のクロック信号の出力は、第二周波数のクロック信号を分周して生成し出力することが好ましい。
本発明の別の一態様においては、第二周波数は、指令信号に基づいて変化することが好ましい。
本発明にかかるモータ駆動装置およびモータ駆動方法は、振動および騒音を低減する効果を奏する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、各添付図面において共通の要素にはそれぞれ、同一の符号を付す。
(第1の実施形態)
図1は本発明にかかる第1の実施形態によるピーク電流検出方式のセンサレス三相ブラシレスモータのモータ駆動装置100の構成を示すブロック図である。
図1は本発明にかかる第1の実施形態によるピーク電流検出方式のセンサレス三相ブラシレスモータのモータ駆動装置100の構成を示すブロック図である。
モータ駆動装置100は、ロータ位置検出部1、電流検出部2、外部トルク指令3を受けるトルク指令生成部4、比較部5、PWM制御信号生成部6、通電信号生成部7、パワー部8、第一周波数および第二周波数を有する基準クロック(CLK)を出力可能なクロック生成部9b、モータ10を有する。
ロータ位置検出部1は、逆起電圧比較部101、ロジック部102を含む。電流検出部2は、電流検出抵抗201、および、増幅器202を含む。クロック生成部9bは、第一周波数のクロック信号を生成する第一周波数クロック生成器901、第二周波数のクロック信号を生成する第二周波数クロック生成器902、および、基準クロック(CLK)として出力するクロック信号を第一周波数クロック信号および第二周波数クロック信号の一つから選択するクロック切換器903を含む。
なお、第一周波数クロック生成器901および第二周波数クロック生成器902は、個別独立したクロック生成器としてではなく、一のクロック生成器と、分周器から構成してもよい。そうすることで、クロック生成部9bの構成を簡単化することができる。
また、クロック生成部9bに対し、外部トルク指令3を入力するように構成し、外部トルク指令3に基づいて、第二周波数が変化するように構成してもよい。そうすることで、より適切なトルク制御が可能となる。
通電相切換信号(a)は、電気角60度に相当するパルス幅を有するパルスおよび電気角60度に相当するパルス間隔を備える連続した二値信号(デジタル信号)である。
ロータ位置信号(b)も、二値信号(デジタル信号)であって、所定の電気角60度区間の内で、電気角52.5度〜60度区間の幅のパルス幅を有するパルスを含む信号である。
目標指令値制御信号(c)は、電気角60度を8等分した電気角7.5度に相当するパルス幅を有するパルスが連続する二値信号で構成されたデジタル信号であり、8ビット長の長さを有する。
通電停止基準信号(r_ref)は、モータ10のコイルに流れた電流に関する情報を含む信号である。
目標指令値信号(TQ1およびTQ2)は、増加電流目標指令値信号(TQ1)および減少電流目標指令値信号(TQ2)を含む。増加電流目標指令値信号(TQ1)は、通電されているモータ駆動電流に対する増加電流目標指令値を含み、減少電流目標指令値信号(TQ2)は、通電されているモータ駆動電流に対する減少電流目標指令値を含む。
電流停止信号(R1およびR2)は、増加電流停止信号(R1)および減少電流停止信号(R2)を含む。増加電流停止信号(R1)は、通電停止基準信号(r_ref)の値が増加電流目標指令値信号TQ1に達したときに出力される、通電を停止させるための信号であり、減少電流停止信号(R2)は、通電停止基準信号(r_ref)の値が減少電流目標指令値信号TQ2に達したときに出力される、通電を停止させるための信号である。
モータ駆動装置100のモータ駆動制御にかかる動作について説明する。
モータ駆動装置100の電流検出部2は、モータ10のモータコイルに流れる電流を電流検出抵抗201により検出し、増幅器202を介して当該電流に対応する値を通電停止基準信号(r_ref)として比較部5に出力する。この通電停止基準信号(r_ref)は、比較部5において、モータ10への通電の停止を実施するための、電流停止信号(R1およびR2)の出力の実行を判断するための基準信号として利用される。
上記比較部5における電流停止信号(R1およびR2)の出力は、通電停止基準信号(r_ref)、ならびに、目標指令値信号(TQ1およびTQ2)に基づいて行われる。この目標指令値信号(TQ1およびTQ2)は、トルク指令生成部4より出力される信号である。
これより、モータ駆動装置100のロータ位置検出部1によるロータ位置の検出からトルク指令生成部4による目標指令値信号(TQ1およびTQ2)の出力までを説明する。
図2は、ロータ位置検出部1のブロック図である。ロータ位置検出部1は、逆起電圧比較部101およびロジック部102を含み、ロジック部102は、第一電気角信号生成部103および第二電気角信号生成部104を備える。逆起電圧比較部101は、各相に対し比較器を備え、各比較器には、中点電圧と比較器に対応した相に生じた逆起電圧が入力される。モータコイルからの逆起電圧は、それぞれ独立に比較器に入力され、中点電圧を基準電圧として比較される。逆起電圧比較部101は、モータ10からの入力(B)を受け、モータ10を構成する三相(U相、V相、および、W相)の逆起電圧に対応する二値信号(U相ロータ位置検出二値信号SU、V相ロータ位置検出二値信号SV、および、W相ロータ位置検出二値信号SW)をロジック部102に出力する。
ロジック部102においては、第一電気角信号生成部103は、3つのロータ位置検出二値信号(SU、SV、および、SW)に基づいて二値信号である通電相切換信号(a)を生成し、本図にない通電信号生成部7および第二電気角信号生成部104へ出力する。第二電気角信号生成部104は、通電相切換信号(a)に基づいてロータ位置信号(b)および目標指令値制御信号(c)を生成し、ロータ位置信号(b)を本図にないクロック生成部9bおよび通電信号生成部7へ、目標指令値制御信号(c)を本図にないトルク指令生成部4へ出力する。目標指令値制御信号(c)は、先述したように8ビット長のデジタル信号である。本図においては、目標指令値制御信号(c)の各ビットに相当する二値信号をTC0〜TC7として図示する。
図3は、ロータ位置検出部1のタイミングチャートである。本チャートは、横軸に時間をとり、モータコイルの逆起電圧(B)と、それより生成される3つのロータ位置検出二値信号(SU、SV、および、SW)および通電相切換信号(a)を図示する。
モータコイルの回転に伴い、三相(U、V、W)の逆起電圧(B)はそれぞれ、電気角360度を周期として変化する。相間の位相差は、電気角120度である。
ロータ位置検出二値信号(SU、SV、SW)は、対応する逆起電圧の符号変化(ゼロクロス点通過)のタイミングで、ハイレベルとローレベルとが交替する二値信号である。
ロータ位置検出二値信号(SU、SV、SW)は、逆起電圧比較部101からロジック部102へ出力される。ロジック部102は、受けたロータ位置検出二値信号(SU、SV、SW)に基づき、通電相切換信号(a)を生成する。ロジック部102は、ロータ位置検出二値信号(SU、SV、SW)のエッジ検出を行い、合成することで、二値信号である通電相切換信号(a)を生成する。より具体的には、通電相切換信号(a)は、3つのロータ位置検出二値信号(SU、SV、SW)のうち、2つもしくは2つ以上のロータ位置検出二値信号がON状態のとき、ON状態(ハイレベル)をとり、または、3つのロータ位置検出二値信号(SU、SV、SW)のうち、2つもしくは2つ以上のロータ位置検出二値信号がOFF状態のとき、OFF状態(ローレベル)をとるように、生成される。結果として、通電相切換信号(a)は、電気角60度に相当するパルス幅を有するパルスが、電気角60度に相当する間隔をおいて連続的に出力される信号となる。この、通電相切換信号(a)を基に、ロータの位置を判別することが可能である。本実施形態において通電相切換信号(a)は、モータ10を駆動するのに最適なトルクが発生するように通電される相を切り換える通電相切換信号として用いられる。本図最下部に示す区間T1、T2、...、T5、T6は、それぞれ電気角60度に相当する幅を有する区間である。
図4は、第二電気角信号生成部104の詳細を示すブロック図である。本実施形態の第二電気角信号生成部104は、アップカウンタ151、保持回路152、ダウンカウンタ153を備え、アップカウンタ151およびダウンカウンタ153には、分周器155の出力が入力されるように構成されている。分周器155は、所定の周波数でクロック信号を発することができる発振器156の発生するクロック信号に基づいて第三周波数クロック信号(c1)をアップカウンタ151へ送り、第四周波数クロック信号(c2)をダウンカウンタ153へ送ることができる。
さらに、第二電気角信号生成部104は、角度信号生成部154を備える。角度信号生成部154は、ダウンカウンタ153からの入力に基づいて、ロータ位置信号(b)および目標指令値制御信号(c)((c):TC0〜TC7)を出力する。
第二電気角信号生成部104において、アップカウンタ151は、通電相切換信号(a)を受けて第一カウンタ出力信号(a1)を保持回路152に送る。保持回路152は、第一カウンタ出力信号(a1)に基づいて保持回路出力信号(a2)を生成してダウンカウンタ153へ送る。ダウンカウンタ153は、保持回路出力信号(a2)を受け、第二カウンタ出力信号(a3)を、角度信号生成部154に送る。
なお、本図の構成は第二電気角信号生成部104の構成例に過ぎない。本図とは異なる構成を備える第二電気角信号生成部を構成して本発明を実施することも可能である。
図5は、第二電気角信号生成部104に対する入力である通電相切換信号(a)と、第一カウンタ出力信号(a1)、保持回路出力信号(a2)、第二カウンタ出力信号(a3)、第三周波数クロック信号(c1)、第四周波数クロック信号(c2)、および、ダウンカウンタ153内の内部信号(d)のタイミングチャートである。また、図6は、通電相切換信号(a)および第二カウンタ出力信号(a3)と、ロータ位置信号(b)および目標指令値制御信号(c)((c):TC0〜TC7)ならびに目標指令値信号(TQ1およびTQ2)のタイミングチャートである。
先ず、図4および図5を参照すれば、アップカウンタ151は、第三周波数クロック信号(c1)を用いて、通電相切換信号(a)のパルス幅およびパルス間間隔を計数(カウント)する。つまり、アップカウンタ151は、通電相切換信号(a)のエッジを検出する毎に、カウンタをリセットし、新たなカウントを開始し、第三周波数クロック信号(c1)の入力を受けてカウンタを1ずつ増加させる。アップカウンタ151は、エッジ検出に伴うカウンタのリセットを行うとき、カウンタ値を第一カウンタ出力信号(a1)として保持回路152へ送る。
保持回路152は、第一カウンタ出力信号(a1)の示すカウンタ値を保持し、ダウンカウンタ153へそのカウンタ値を保持回路出力信号(a2)として送る。
ダウンカウンタ153は、第四周波数クロック信号(c2)を用いて、保持回路出力信号(a2)の示すカウンタ値をダウンカウントする。つまり、ダウンカウンタ153は、保持回路出力信号(a2)の示すカウンタ値を、第四周波数クロック信号(c2)の入力を受けて1ずつ減少させる(ダウンカウンタ内部信号(d)参照。)。ダウンカウンタ153は、カウンタ値がゼロに達すると、第二カウンタ出力信号(a3)を角度信号生成部154へ送る。
ここで、第四周波数クロック信号(c2)の周波数は、分周器155の作用により、第三周波数クロック信号(c1)の周波数のN倍(Nは整数)に設定される。本実施形態においてNは、例えば8である。その結果、図5に示すように、第二カウンタ出力信号(a3)は、電気角60度に相当する通電相切換信号(a)のパルス幅またはパルス間間隔を、N(=8)等分に等分割する。N=8のとき、第二カウンタ出力信号(a3)は、電気角7.5度間隔で出力される。
図6を参照すれば、角度信号生成部154は、電気角にして7.5度の間隔を有する第二カウンタ出力信号(a3)および通電相切換信号(a)を受け、ロータ位置信号(b)、および、目標指令値制御信号(c)((c):TC0〜TC7)を生成し、それぞれを、通電信号生成部7およびクロック生成部9b、ならびに、トルク指令生成部4へ出力する。ロータ位置信号(b)は、電気角7.5度に相当するパルス幅のパルスを含む二値信号であり、電気角にして60度の幅を有する区間(T1、T2、...、、T5、T6)毎に電気角52.5度から60度の区間に相当する区間で1つ発せられる。目標指令値制御信号(c)は、二値的パルス信号TC0、TC1、...、TC6、TC7で構成される8ビット長を有するデジタル信号である。
ロータ位置信号(b)は、通電信号生成部7においては、ロータ位置検出の実施を示唆する信号、つまり、パワー部8の出力を高インピーダンスにしてロータ位置検出の実施を行う区間を示す信号として利用される。また同時に、このロータ位置信号(b)は、クロック生成部9bにおいては、基準クロック(CLK)の周波数の切り換えの実施を示唆する信号として利用される。クロック生成部9bにおける基準クロック(CLK)周波数の切り換えについては、後で詳細に説明する。
本実施形態においては、第二カウンタ出力信号(a3)は、電気角60度の区間を8つに等分割するが、当該等分割の分割数が多ければ多いほど、つまり、等分割された区間の電気角が小さければ小さいほど、相電流は滑らかになり、振動や騒音を低減することができる。例えば、第四周波数クロック信号(c2)の周波数を第三周波数クロック信号(c1)の周波数より16倍に高くするなどが挙げられる。すなわち、上記Nが大きければ大きいほど、振動および騒音の低減の程度を大きくすることができる。
角度信号生成部154の生成するもう一方の信号である目標指令値制御信号(c)((c):TC0〜TC7)は、ロータの位置に基づいてモータコイルに流す電流の目標値を制御するために利用されるデジタル信号である。目標指令値制御信号(c)の各ビットに相当する二値信号(TC0〜TC7)はそれぞれ、図6に示す様に、電気角7.5度のパルス幅を有し、目標指令値制御信号(c)は全体として電気角60度の周期を有する。一周期に相当する電気角60度の区間のうち、二値信号TC0は電気角0度から7.5度区間のパルス幅を有する信号である。二値信号TC1は電気角7.5度から15度区間のパルス幅を有する信号である。二値信号TC2は電気角15度から22.5度区間のパルス幅を有する信号である。二値信号TC3は電気角22.5度から30度区間のパルス幅を有する信号である。二値信号TC4は電気角30度から37.5度区間のパルス幅を有する信号である。二値信号TC5は電気角37.5度から45度区間のパルス幅を有する信号である。二値信号TC6は電気角45度から52.5度区間のパルス幅を有する信号である。そして、二値信号TC7は電気角52.5度から60度区間のパルス幅を有する信号である。
再び図1を参照すれば、通電相切換信号(a)は通電信号生成部7に入力され、ロータ位置信号(b)は通電信号生成部7及びクロック生成部9bに入力され、目標指令値制御信号(c)はトルク指令生成部4に入力される。
図4に示す様に、目標指令値制御信号((c):TC0〜TC7)は、トルク指令生成部4において外部トルク指令3と合成され、トルク指令生成部4は目標指令値信号(TQ1およびTQ2)を出力する。図6は、目標指令値制御信号((c):TC0〜TC7)と出力される目標指令値信号(TQ1およびTQ2)の関係を図示する。本タイミングチャートに図示しない外部トルク指令3は、モータコイルに通電する電流レベルに関する情報を含み、トルク指令生成部4は、当該情報に基づく電圧値を有する目標指令値信号(TQ1およびTQ2)を、目標指令値制御信号((c):TC0〜TC7)が入力されるタイミングで出力する。つまり、目標指令値信号(TQ1およびTQ2)の値は、目標指令値制御信号((c):TC0〜TC7)によって切り換え制御される。この目標指令値信号(TQ1およびTQ2)は、正弦波的に時間変化することが望まれる。正弦波的な時間変化を与えることで、振動や騒音を低減することができる。本実施形態においては、正弦波の6分の1周期に相当する電気角60度の区間を8つに等分割して、階段状に時間変化する電圧信号で近似的に正弦波状に時間変化する電圧値を出力する。
次に、本実施形態におけるPWM制御について説明する。図7は、比較部5およびPWM制御信号生成部6の詳細なブロック図である。
比較部5は、2つの比較器51および53を含む。比較器51には、目標指令値信号の一方である増加電流目標指令値信号TQ1と、通電停止基準信号(r_ref)が入力される。比較器53には、目標指令値信号の他方である減少電流目標指令値信号TQ2と、通電停止基準信号(r_ref)が入力される。比較器51は、その入力に基づいて電流停止信号の一方である増加電流停止信号R1を出力し、比較器53は、その入力に基づいて電流停止信号の他方である減少電流停止信号R2を出力する。
PWM制御信号生成部6は、上記比較部5からの入力を受けるセレクタ602、ならびに、セレクタ602からの出力(RESET)およびクロック生成部9bからの出力(CLK)を受けるフリップフロップ601を含む。フリップフロップ601は、通電信号生成部7へ出力(PWM)を行うことができる。
図8を参照し、本実施形態におけるPWM制御の例を説明する。本例では、目標指令値信号は、増加電流目標指令値信号TQ1であり、セレクタ602は、増加電流停止信号R1を選択する状態にある。
図7に示す様に、目標指令値信号(TQ1およびTQ2)と、通電停止基準信号(r_ref)とが比較部5に入力され、それぞれ独立的に比較される。図8に示す様に、通電停止基準信号(r_ref)の値が増加電流目標指令値信号TQ1の値に到達すると、比較部5は、通電を停止する増加電流停止信号R1を出力する。通電停止基準信号(r_ref)の値が増加電流目標指令値信号TQ1の値に到達していない間、通電停止基準信号(r_ref)の値が所定の値(増加電流目標指令値信号TQ1の値)に到達するまで通電は継続されることになる。
増加電流停止信号R1は、PWM制御信号生成部6のセレクタ602に入力される。このセレクタ602は、増加電流停止信号R1または減少電流停止信号R2のいずれかの停止信号を選択し、フリップフロップ(F/F)601のリセット入力端子(R)へ出力(RESET)する。セレクタ出力信号(RESET)が、F/F601に入力されると、PWM制御信号(PWM)はOFF状態に変化する。また、F/F601のセット入力端子(S)には、クロック生成部9bを、その出力(CLK)が入力可能に接続される。
図8に示す様に、通電を開始するタイミングはクロック生成部9bの出力する基準クロック(CLK)によって決定される。基準クロック(CLK)が、F/F601に入力されると、PWM制御信号(PWM)はON状態に変化する。この様に、F/F601は、通電の開始及び停止を行うための信号(PWM)を生成しPWM制御信号(PWM)として出力する。この、PWM制御信号(PWM)は、通電信号生成部7に入力される。
通電信号生成部7は、PWM制御信号(PWM)、通電相切換信号(a)、ロータ位置信号(b)と合成される。合成された信号は、パワー部8へ出力され、パワー部8は、当該信号に基づいて最適なトルクを発する様にモータ10のモータコイルへ通電を行う。本例においては、増加電流停止信号(R1)を用いてPWM制御を説明したが、減少電流停止信号(R2)の場合も同様である。
本発明にかかる好適な実施形態によるモータ駆動装置100は、ロータ位置検出を実施する区間において使用する基準クロック(CLK)の周波数と、ロータ位置検出を実施しない区間において使用する基準クロック(CLK)の周波数を切り換えながらモータ駆動を実行する。以下、基準クロック(CLK)の周波数の切り換えについて詳細に説明する。
モータ駆動装置100は、ロータ位置検出を実施する区間において使用する基準クロック(CLK)の周波数を、ロータ位置検出を実施しない区間において使用する基準クロック(CLK)の周波数よりも低くするように、基準クロック(CLK)の周波数を切り換えてモータ駆動を実行する。
図9は、図10に示す基準クロックの周波数との比較において高い周波数を有する基準クロックで駆動される場合の相電流を示す図である。他方、図10は、図9における基準クロックの周波数よりも低い周波数を有する基準クロックで駆動される場合の相電流を示す図である。両図を参照し、基準クロックの周波数と相電流のリップルの大きさの関係について説明する。
図9における基準クロックの周波数は、図10における基準クロックの周波数の2倍である。両図における相電流のリップルを比較すると図9の方が小さい。これは、リップルの大きさは通電停止区間の長短に関係することを示しており、基準クロックの周波数を高くした方が、相電流のリップルが小さくなることを示している。
既に述べたように、従来、センサレス多相ブラシレスモータの駆動装置における騒音問題は、モータコイルに流れる相電流のリップルが大きいことが原因のひとつとなっていた。この問題は、上述のように、PWM制御の周波数を高くすることにより解決可能である。しかしながら、PWM制御の基準クロックの周波数を高周波数化することは、さらなる別の問題を誘起する。そのため、従来はこの高周波数化は不可能であった。本発明は、下述のようにして高周波数化を実現し、振動および騒音等の問題を解決する。
先ず、上記のさらなる別の問題について、図11、図12、および、図13を参照して詳しく説明する。
図11に示すように、一般に、センサレスモータの駆動装置においては、ロータ位置検出を行う相(本図におけるW相)に、その他の相に対するPWM制御の影響がリンギングの発生として生じる可能性がある。そのため、この影響を受けてロータの位置の誤検出がないように所定のマスク区間を設ける必要がある。
図12は、図13に示す基準クロックの周波数との比較において低い周波数を有する基準クロックで動作するモータ駆動装置におけるマスク区間を示し、図13は、図12に示すそれよりも高い周波数の基準クロックで動作するモータ駆動装置におけるマスク区間を示す。両図を比較することにより、基準クロックの周波数の高低によるマスク区間の形状の変化を知ることができる。
図12を参照すれば、基準クロックが比較的低く抑えられているときには、通電開始時用マスク信号と、通電停止時用マスク信号は、時間的に重複しない。そのため、マスク信号間の区間において、正しくロータ位置検出を実行することができる。
しかしながら、図13を参照すれば、基準クロックが比較的高く設定されるときには、通電開始時用マスク信号と、通電停止時用マスク信号は、時間的に重複し、その結果マスク信号は、長く連続したひとつのマスク区間を形成する。このように、所定時間以上の長さのマスク区間が生じると、ロータ位置検出を正しく実行することが不可能となり、ロータの位置に相応した適正なトルクをモータに常に発生させることが困難となる。
従来、通電開始時用マスク信号と通電停止時用マスク信号との時間的重複に起因した、所定長以上のマスク区間の形成を回避するため、基準クロックを高く設定することが不可能であった。
本発明にかかる実施形態によるモータ駆動装置100のクロック生成部9bは、図1に示すように、第一周波数、および、第一周波数よりも高い第二周波数のクロック信号を生成し、ロータ位置検出時には第一周波数の基準クロックを出力し、ロータ位置検出時以外には第二周波数の基準クロックを出力する。モータ駆動装置100は、二つの相異なる周波数を有するクロック信号を、使い分けることによって、上記所定長以上のマスク区間の形成を回避し、適正なロータ位置検出の実行を可能とし、もって振動および騒音の問題をも解決する。
図14は、モータ駆動装置100によるロータ位置検出実行区間およびロータ位置検出非実行区間における基準クロック周波数切り換えの様子を示すタイミングチャートである。ここで、先述のロータの位置検出の実行区間は、ロータ位置信号(b)がON状態にある区間である。よって、マスク区間は、ロータ位置信号(b)がON状態にある区間に含まれる。同時に、このロータ位置信号(b)は、基準クロック(CLK)周波数切換信号であって、クロック生成部9bのクロック切換器903は、ロータ位置信号(b)がON状態のとき、第一周波数クロック生成器901から出力される第一周波数クロック信号を基準クロック(CLK)としてPWM制御信号生成部6へ出力する。ロータ位置信号(b)がOFF状態のときには、クロック切換器903は、第二周波数クロック生成器902から出力される第二周波数クロック信号を基準クロック(CLK)としてPWM制御信号生成部6へ出力する。
その結果、電気角にして60度の幅を有する区間において、始点から52.5度から60度までの、ロータ位置検出を実行する区間である電気角にして7.5度の幅を有する区間では、基準クロック(CLK)を、第一周波数とし、それ以外の区間であるロータ位置検出非実行区間では、第一周波数よりも高い第二周波数のクロック信号を基準クロックとして使用する。このようにすることで、ロータ位置検出実行区間においては、図12に示したように、適切な、所定長未満の長さのマスク区間を設けることができ、ロータ位置検出非実行区間においては、相電流のリップルを低減する効果を有する、より高周波の基準クロックによるモータ駆動が可能となる。
以上のように、本発明にかかる実施形態によるモータ駆動装置100は、ロータ位置検出を実行する区間のPWM制御周波数を低くすることにより、ロータ位置の誤検出を防止し、かつ、ロータ位置検出を実行しない区間のPWM制御周波数を高くすることにより、振動及び騒音を低減するセンサレスモータ駆動装置である。
本実施の形態では、モータ電流波形の生成を、カウンタを用いた例を図示して説明しているが、それ以外の方法でも本発明の実施は可能である。
また、第二周波数の値を、外部トルク指令3や、モータの回転数に基づいて可変なクロック生成部を用いてもよい。
ロータ位置信号は、電気角7.5度の間隔を有する区間を示すが、特にこれにロータ位置信号のON状態の区間を限定しない。使用が想定される最大回転数と、リンギングが生じる時間幅(すなわち、マスク区間として最低限必要な時間幅)とを考慮し、ロータ位置信号のON状態の区間の幅を決定すればよい。例えば、7000rpmで回転するモータにおいては、電気角7.5度の区間は、時間にして22.5μ秒に相当し、リンギングは、1.5ないし2μ秒間生じると想定している。ロータ位置信号がON状態をとる区間幅は、最大回転数でロータが回転する状況においてリンギングが持続する時間よりも十分に長ければよい。
また、ロータの位置検出は、所定の一相に対してのみ実施してもよい。
第一周波数は、30kHz以上であることが好ましい。このとき、人の聴覚において認識可能な騒音は、実質的に生じ得ず、騒音の無いモータ駆動が可能となる。
第一周波数は、300kHz以下であることが好ましい。このとき、適正なロータ位置検出が可能となり、安定したトルク制御が可能となる。
第二周波数は、第一周波数の1.5倍以上であることが望まれ、2倍以上であればなお望ましい。このような第二周波数を用いることによって、本発明による、振動および騒音の低減効果は、より顕著に現れる。
なお、本発明は、三相のブラシレスモータに限定されるものではない。三相以外の相数、例えば、四相、または、六相を備えたブラシレスモータに対し、本発明を適用してもよい。
本発明に係るモータ駆動装置および駆動方法は、センサレス多相ブラシレスモータにおいて、ロータ位置検出区間とそれ以外の区間にて、基準のクロック周波数を変えることによって、ロータ位置の誤検出がなく、低振動及び低騒音のセンサレス多層ブラシレスモータを提供する。
1 ・・・ ロータ位置検出部
2 ・・・ 電流検出部
3 ・・・ 外部トルク指令
4 ・・・ トルク指令生成部
5 ・・・ 比較部
6 ・・・ PWM制御信号生成部
7 ・・・ 通電信号生成部
8 ・・・ パワー部
9a・・・ クロック生成部
9b・・・ クロック生成部
51 ・・・ 比較器
53 ・・・ 比較器
10 ・・・ モータ
101 ・・・ 逆起電圧比較部
102 ・・・ ロジック部
103 ・・・ 第一電気角信号生成部
104 ・・・ 第二電気角信号生成部
151 ・・・ アップカウンタ
152 ・・・ 保持回路
153 ・・・ ダウンカウンタ
154 ・・・ 角度信号生成部
155 ・・・ 分周器
156 ・・・ 発振器
201 ・・・ 電流検出抵抗
202 ・・・ 増幅器
601 ・・・ フリップフロップ
602 ・・・ セレクタ
2 ・・・ 電流検出部
3 ・・・ 外部トルク指令
4 ・・・ トルク指令生成部
5 ・・・ 比較部
6 ・・・ PWM制御信号生成部
7 ・・・ 通電信号生成部
8 ・・・ パワー部
9a・・・ クロック生成部
9b・・・ クロック生成部
51 ・・・ 比較器
53 ・・・ 比較器
10 ・・・ モータ
101 ・・・ 逆起電圧比較部
102 ・・・ ロジック部
103 ・・・ 第一電気角信号生成部
104 ・・・ 第二電気角信号生成部
151 ・・・ アップカウンタ
152 ・・・ 保持回路
153 ・・・ ダウンカウンタ
154 ・・・ 角度信号生成部
155 ・・・ 分周器
156 ・・・ 発振器
201 ・・・ 電流検出抵抗
202 ・・・ 増幅器
601 ・・・ フリップフロップ
602 ・・・ セレクタ
Claims (9)
- ロータの位置を検出するロータ位置検出部と、PWM制御のための基準クロックを生成するクロック生成部とを有するセンサレス多相ブラシレスモータを駆動するモータ駆動装置であって、
前記ロータ位置検出部は、ロータの位置に対応し、所定の電気角に相当するパルス幅を有する連続したパルスからなる通電相切換信号を生成し、さらに、前記通電相切換信号を所定の複数個のサブ区間に分割し、いずれか一つのサブ区間において第一状態をとり、それ以外のサブ区間において第二状態をとるロータ位置信号を生成し、
前記クロック生成部は、第一周波数の第一クロック信号を生成する第一周波数クロック生成器と、前記第一周波数よりも高い第二周波数の第二クロック信号を生成する第二周波数クロック生成器と、前記ロータ位置信号が第一状態のときは前記第一クロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力し、前記ロータ位置信号が第二状態のときは前記第二クロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力するようにクロック信号を切り換えるクロック切換部を有するモータ駆動装置。 - 前記ロータ位置検出部は、前記ロータ位置信号が第一状態のとき、ロータ位置検出を行う請求項1に記載のモータ駆動装置。
- 前記センサレス多相ブラシレスモータは、センサレス三相ブラシレスモータであり、
前記所定の電気角は、60度であり、
前記所定の複数個のサブ区間の個数は、8個である請求項1に記載のモータ駆動装置。 - 前記第二周波数クロック生成器は、所定の周波数のクロック信号を生成するクロック生成器であり、前記第一周波数クロック生成器は、前記所定の周波数のクロック信号を分周する分周器である請求項1に記載のモータ駆動装置。
- 前記クロック生成部は、指令信号に基づいて前記第二周波数を変化させることができる請求項1に記載のモータ駆動装置。
- ロータの位置を検出するロータ位置検出部と、PWM制御のための基準クロックを生成するクロック生成部とを有するセンサレス多相ブラシレスモータを駆動するモータ駆動装置を駆動制御する方法であって、
ロータの位置に対応し、所定の電気角に相当するパルス幅を有する連続したパルスからなる通電相切換信号を生成するステップと、
前記通電相切換信号を所定の複数個のサブ区間に分割し、いずれか一つのサブ区間において第一状態をとり、それ以外のサブ区間において第二状態をとるロータ位置信号を生成するステップと、
前記ロータ位置信号が第一状態のときは前記第一周波数のクロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力し、前記ロータ位置信号が第二状態のときは前記第二周波数のクロック信号をPWM制御のための基準クロックとして出力するステップとを有する方法。 - さらに、前記ロータ位置信号が第一状態のときにロータの位置検出を実行するステップを有する請求項6に記載の方法。
- 前記第一周波数のクロック信号の出力は、前記第二周波数のクロック信号を分周して生成し出力する請求項6に記載の方法。
- 前記第二周波数は、指令信号に基づいて変化する請求項6に記載の方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009303328A (ja) * | 2008-06-11 | 2009-12-24 | Mitsubishi Electric Corp | 交流回転機の制御装置 |
WO2020004841A1 (ko) * | 2018-06-28 | 2020-01-02 | 주식회사 동운아나텍 | 액츄에이터 제어장치 및 방법 |
-
2006
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