JP2007274760A - センサレスモータ駆動用回路 - Google Patents
センサレスモータ駆動用回路 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007274760A JP2007274760A JP2006094175A JP2006094175A JP2007274760A JP 2007274760 A JP2007274760 A JP 2007274760A JP 2006094175 A JP2006094175 A JP 2006094175A JP 2006094175 A JP2006094175 A JP 2006094175A JP 2007274760 A JP2007274760 A JP 2007274760A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- zero
- motor
- coil
- phase
- coil current
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)
Abstract
【課題】センサレスモータが規定どおりの回転駆動を行っているか否かを確実に検出する。
【解決手段】センサレスモータが有する複数相毎のモータコイルそれぞれに発生する誘起電圧と当該モータコイルの中性点電圧とが交差するゼロクロスを検出した際、予め定められる通電順序に従って当該複数相毎のモータコイルを選択して通電させることによって当該センサレスモータを回転駆動するセンサレスモータ駆動用回路において、前記ゼロクロスを検出して前記通電順序に従って前記複数相毎のモータコイルを選択して通電させていくとき、当該選択がなされて通電対象となるモータコイルの通電期間において、当該通電対象となるモータコイルに流れるコイル電流の変化を検出するコイル電流変化検出部と、前記検出されたコイル電流の変化と、予め定めておいた前記コイル電流の変化の基準と、の対比によって、前記検出されたゼロクロスを検証するゼロクロス検証部と、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】センサレスモータが有する複数相毎のモータコイルそれぞれに発生する誘起電圧と当該モータコイルの中性点電圧とが交差するゼロクロスを検出した際、予め定められる通電順序に従って当該複数相毎のモータコイルを選択して通電させることによって当該センサレスモータを回転駆動するセンサレスモータ駆動用回路において、前記ゼロクロスを検出して前記通電順序に従って前記複数相毎のモータコイルを選択して通電させていくとき、当該選択がなされて通電対象となるモータコイルの通電期間において、当該通電対象となるモータコイルに流れるコイル電流の変化を検出するコイル電流変化検出部と、前記検出されたコイル電流の変化と、予め定めておいた前記コイル電流の変化の基準と、の対比によって、前記検出されたゼロクロスを検証するゼロクロス検証部と、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、センサレスモータ駆動用回路に関する。
図12に示すように、センサレスモータを駆動するためのセンサレスモータ駆動用回路500は、例えば、3相(U相、V相、W相)のセンサレスモータの場合、その出力段として、ソース電源電圧VPとシンク電源電圧VSSとの間に直列接続されたソース電源電圧VP側に設けられる吐出側(ソース側)トランジスタ508、512、516とシンク電源電圧VSS側に設けられる吸込側(シンク側)トランジスタ510、514、518を、各相のモータコイル502、504、506毎に対応づけて有する。なお、センサレスモータ駆動用回路500は、吐出側トランジスタ508、512、516と吸込側トランジスタ510、514、518の各直列接続点をそれぞれに対応した各相のモータコイル502、504、506の一端と接続させるとともに、各相のモータコイル502、504、506の他端を共通接続させることで利用される。尚、各相のモータコイル502、504、506の共通接続部の中性点電圧VCOMは、センサレスモータ駆動用回路500へと帰還される。
ここで、吐出側トランジスタ508、512、516がオンした場合、ソース電源電圧VP→吐出側トランジスタ508、512、516→モータコイル502、504、506、の向きに電流が流れ出す。一方、吸込側トランジスタ510、514、518がオンした場合、モータコイル502、504、506→吸込側トランジスタ510、514、518、シンク電源電圧VSS、の向きに電流が流れ込む。センサレスモータ駆動用回路500は、吐出側トランジスタ508、512、516並びに吸込側トランジスタ510、514、518のオン・オフによって、3相のモータコイル502、504、506に流れるコイル電流を所定の電気角毎に順次切り替えることで、センサレスモータを回転駆動させる。
ところで、センサレスモータは、ステータに対するロータの相対位置を検出するためのセンサ(ホール素子等)を有しておらず、その回転制御が一見不可能のように思われる。しかし、各相のモータコイル502、504、506に発生する誘起電圧VU、VV、VWのゼロクロスは、所定の回転方向及び所定の負荷状態のもとで、所定の順序並びに所定のタイミングで生じるといった特性を有する。例えば、正転方向へ回転する場合には、誘起電圧VU、VV、VWのゼロクロスの変化は、電気角60度ごとに「U相の立ち上がり→W相の立ち下がり→V相の立ち上がり→U相の立ち下がり→W相の立ち上がり→V相の立ち下がり」の繰り返し、というように定まっている。そこで、当該誘起電圧VU、VV、VWのゼロクロスの特性を利用しさえすれば、ロータの位置を検出するためのセンサを設けていなくても、センサレスモータを回転制御することが可能となる。
このため、センサレスモータ駆動用回路500は、各相のモータコイル502、504、506それぞれの誘起電圧VU、VV、VWと中性点電圧VCOMとが交差するタイミング、すなわちゼロクロスを検出するコンパレータ522U、522V、522Wと、コンパレータ522U、522V、522Wにおけるゼロクロス検出結果(比較結果)CPU、CPV、CPWに基づいてロータの停止位置を論理的に推測するとともに、その推測結果に応じて吐出側トランジスタ508、512、516及び吸込側トランジスタ510、514、518を適宜駆動させて、ひいては、センサレスモータを所定方向(例えば、正回転)へ回転駆動させるための制御を行うセンサレス駆動制御部530と、を有する。
センサレス駆動制御部530は、吐出側トランジスタ508、512、516並びに吸込側トランジスタ510、514、518のうち初期設定されたトランジスタをオンさせて、3相のモータコイルのうち2相のモータコイルを通電させる。この結果、コンパレータ522U、522V、522Wのいずれか一つにおいて、通電していない残りの1相のモータコイルに発生する誘起電圧と中性点電圧VCOMとが交差するゼロクロスが検出される。センサレス駆動制御部530は、このゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWに基づいてロータの現在位置が論理的に推測され、その後は、推測されたロータの現在位置をもとに、予め定められた通電順序に従って、吐出側トランジスタ及び吸込側トランジスタをオン・オフさせる。この結果、3相のセンサレスモータは所定方向へと回転駆動する。
ところで、センサレス駆動制御部530は、一般的に、モータコイル502、504、506に対してチョッピングされたコイル電流を供給してセンサレスモータを駆動させるパルス幅変調制御を採用する場合が専らである。なお、パルス幅変調制御とは、電気角60度ごとの通電期間において選択的に駆動される吐出側トランジスタ508、512、516及び吸込側トランジスタ510、514、518のいずれか一方をPWM信号に応じてオン・オフさせ、そのオン・オフによってチョッピングされたコイル電流をモータコイル502、504、506に流してセンサレスモータを駆動させる方式のことである。このパルス幅変調制御がなされた結果、センサレスモータを駆動するために必要な電力消費量を抑えられるとともに、センサレスモータの回転駆動時の発熱を抑えられる。
しかし、パルス幅変調制御を採用した場合、コイル電圧VU、VV、VWに重畳され得るキックバックパルスKBや外来ノイズ以外に、吸込側トランジスタ510、514、518がPWM信号に基づいてオン・オフさせる結果、キックバックパルスKBより狭い幅のPWMスイッチングノイズが重畳する。このため、コンパレータ522U、522V、522Wから出力されるゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWは、それぞれ、PWMスイッチングノイズならびに外来ノイズ及びキックバックパルスKB(以下、これらを「ノイズ」と総称する。)を有することになる。
よって、当該ノイズの影響を除去するために、誘起電圧のゼロクロス検出範囲の一部をマスキング処理するための仕組みが提案されている(例えば、以下に示す特許文献1を参照)。例えば、図12に示した例を用いて説明すると、センサレスモータ駆動制御部530は、各相のモータコイル502、504、506に発生する誘起電圧VU、VV、VWのゼロクロスが所定の通電順序並びに所定のタイミングで生じるといった特性を鑑みて、各相のゼロクロスタイミングを定めておくとともに、ゼロクロスが検出された任意の1相以外の残りの2相はゼロクロス検出の必要が無いので、ゼロクロス検出を行わない、すなわちマスキングしておくことになる。
ここで、センサレスモータ駆動制御部530は、前述したノイズ除去を目的として、各相のゼロクロス検出タイミングを含む一定期間(以下、マスク解除期間と称する。)の間だけマスキングを解除し、それ以外の期間はマスキングを継続させる。すなわち、センサレスモータ駆動制御部530は、マスク解除期間におけるゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWの情報のみを用いて、吐出側トランジスタ508、512、516及び吸込側トランジスタ510、514、518を適宜駆動させる。
特開平11−4595号公報
3相の誘起電圧VU、VV、VWが、図13(d)〜(f)に示すように、発生している場合とする。この場合、例えば、時刻T1では、時刻T1を含むマスク解除期間TMにおいてU相の誘起電圧VUのみ立ち上がりのゼロクロスが検出され、その他のV相、W相の誘起電圧VV、VWはマスキングを継続している。そして、時刻T1から時刻T3までの電気角120度の期間、U相のモータコイル502を通電させる。
同様に、時刻T1以降において、時刻T2ではW相の誘起電圧VWのマスキングが解除されて立ち下がりのゼロクロスが検出され、時刻T3ではV相の誘起電圧VVのマスキングが解除されて立ち上がりのゼロクロスが検出され、時刻T4ではU相の誘起電圧VUのマスキングが解除されて立ち下がりのゼロクロスが検出され、時刻T5ではW相の誘起電圧VWのマスキングが解除されて立ち上がりのゼロクロスが検出され、時刻T6ではV相の誘起電圧VVのマスキングが解除されて立ち下がりのゼロクロスが検出される。
尚、図13(a)〜(c)は、各相のモータコイル502、504、506それぞれのマスキング処理後の通電状態を示す通電制御信号UMASK、VMASK、WMASKの波形図である。例えば、時刻T1から時刻T3までの期間では、通電制御信号UMASKはHighレベルに固定された上で、時刻T2において、通電制御信号VMASKはLowレベルからMiddleレベルへと切り替わり、通電制御信号WMASKはMiddleレベルからLowレベルへと切り替わる。よって、時刻T1から時刻T2までの期間ではU相のモータコイル502からV相のモータコイル504へとコイル電流が流れるように通電がなされ、時刻T2から時刻T3までの期間ではU相のモータコイル502からW相のモータコイル506へとコイル電流が流れるように通電がなされる。
ここで、センサレスモータが担当する負荷が、重負荷から軽負荷へ切り替わる等の理由によって、センサレスモータの回転速度が低速(規定どおり)から高速(規定外)へと切り替わった場合とする。勿論、センサレスモータの回転速度が高速(規定どおり)から低速(規定外)へと切り替わる場合も考えられる。例えば、センサレスモータが回転記録媒体(光ディスク、磁気ディスク等)を回転させるためのモータ(スピンドルモータ、スレッドモータ等)であるとき、当該回転記録媒体を回転駆動している状態から当該回転記録媒体をターンテーブルから取り出して無負荷状態へと切り替わる場合等が考えられる。尚、無負荷状態の場合であっても、製品の品質検査や回転記録媒体のターンテーブル上での状態に応じた制御のために、モータの回転駆動を適切に行うことが必要となる。この場合、図13(g)〜(i)に示すように、各相のモータコイル502、504、506それぞれの誘起電圧VU’、VV’、VW’の周波数についても当然のごとく高くなる。
しかし、センサレスモータ駆動用回路500は、図13(d)〜(f)に示した誘起電圧VU、VV、VWの波形を想定しており、時刻T1、・・・、時刻T6の各マスク解除期間TMでマスキング解除をして各相のゼロクロス検出を所定の順序で行うための通電ロジックを、センサレス駆動制御部530等において回路上作り込んでいる。よって、誘起電圧VU、VV、VWが、例えば、図13(g)〜(i)に示すように周波数が高くなってしまうと、時刻T1〜T2、時刻T2〜T3、・・・、時刻T5〜T6の各期間の間においてマスキングが解除されないので、当該各期間内に生じたゼロクロスが検出できなくなる。この結果、センサレスモータ駆動用回路500は、各相のモータコイル502、504、506の現在の状態での通電タイミングが得られず、以前の状態と同じ内容の回転制御を継続するので、センサレスモータの規定外な回転駆動を引き起こす恐れがあった。
また、センサレスモータ駆動用回路500は、センサレスモータの回転方向に関して、正転方向並びに逆転方向を予め設定している。なお、正転方向の場合の各相のゼロクロス検出の順番と、逆転方向のゼロクロス検出の順番とは異なっている。センサレスモータ駆動用回路500は、実際の運用時の回転方向が予め予測不可能であるので、各相のゼロクロス検出の順番を、正転方向又は逆転方向の場合のいずれか一方へと固定化するための通電ロジックを、回路上作り込んでいる。
このため、センサレスモータ駆動用回路500は、例えば、予め定めておいた正転方向の回転を前提として、図14(d)〜(f)に示す誘起電圧VU、VV、VWの波形を想定しておくとともに、各相のゼロクロス検出の順番を、「U相の立ち上がり→W相の立ち下がり→V相の立ち上がり→U相の立ち下がり→W相の立ち上がり→V相の立ち下がり」の繰り返し、というように定めている。また、センサレスモータ駆動用回路500は、正転方向の場合ゼロクロス検出の順番と対応して、図14(a)〜(c)に示す通電制御信号UMASK、VMASK、WMASKを定めている。よって、例えば、時刻T1においてマスキング解除によりU相の立ち上がりのゼロクロスが検出された後、つぎに、W相の立ち下がりのゼロクロスを検出する必要がある。
一方、逆転方向の回転の場合、各相のモータコイル502、504、506の誘起電圧VU(R)、VV(R)、VW(R)は、図14(j)〜(l)に示すような波形となり、ゼロクロスを検出すべき順番は正転方向の場合とは逆となる。すなわち、逆転方向の場合のゼロクロス検出の順番は、「U相の立ち上がり→V相の立ち下がり→W相の立ち上がり→U相の立ち下がり→V相の立ち上がり→W相の立ち下がり」の繰り返し、となる。よって、例えば、時刻T1においてU相の立ち上がりのゼロクロスが検出された後、つぎに、V相の立ち下がりのゼロクロスを検出する必要がある。
ここで、センサレスモータ起動時の状態において、センサレスモータが、外的要因によって逆転方向に振動してしまった場合とする。この場合、各相のモータコイル502、504、506の誘起電圧VU(R)、VV(R)、VW(R)のゼロクロスのタイミングが、偶発的に、センサレスモータ駆動用回路500が予め定めておいた正転方向の場合の誘起電圧VU、VV、VWのゼロクロスのタイミングと一致してしまうと、センサレスモータは、偶発的に逆転方向に一瞬回転しただけであるにも関わらず、当該逆転方向への回転駆動を継続してしまう恐れがあった。
また、センサレスモータ駆動用回路500は、正転方向の場合を前提とした回路であるがゆえに、例えば、時刻T1におけるU相の立ち上がりのゼロクロス検出の後、つぎに、逆転方向の場合のV相の立ち下がりのゼロクロスではなく、正転方向の場合のW相の立ち下がりのゼロクロスを検出することになる。このように、各相のゼロクロスが規定外なタイミングで検出されることによって、図14(a)〜(c)に示すような正転方向の場合の通電制御信号UMASK、VMASK、WMASKではなく、図14(g)〜(i)に示すような通電制御信号UMASK(R)、VMASK(R)、WMASK(R)が生成され得る。従って、前述したように、規定外の逆転方向への回転駆動が継続するだけでも問題であるのに、図14(g)〜(i)に示すような通電制御信号UMASK(R)、VMASK(R)、WMASK(R)に基づいて、当該逆転方向への回転駆動が、異常な回転となる恐れがあった。
前記課題を解決するための主たる発明は、センサレスモータが有する複数相毎のモータコイルそれぞれに発生する誘起電圧と当該モータコイルの中性点電圧とが交差するゼロクロスを検出した際、予め定められる通電順序に従って当該複数相毎のモータコイルを選択して通電させることによって当該センサレスモータを回転駆動するセンサレスモータ駆動用回路において、前記ゼロクロスを検出して前記通電順序に従って前記複数相毎のモータコイルを選択して通電させていくとき、当該選択がなされて通電対象となるモータコイルの通電期間において、当該通電対象となるモータコイルに流れるコイル電流の変化を検出するコイル電流変化検出部と、前記検出されたコイル電流の変化と、予め定めておいた前記コイル電流の変化の基準と、の対比によって、前記検出されたゼロクロスを検証するゼロクロス検証部と、を有することとする。
本発明によれば、センサレスモータが規定どおりの回転駆動を行っているか否かを確実に検出可能なセンサレスモータ駆動用回路を提供できる。
<<<センサレスモータ駆動用回路の構成>>>
===基本構成===
図1、図2、図3を参照しつつ、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路100の基本構成について説明する。図1は、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路100を説明するための図である。図2、図3は、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路を説明するための主要信号の波形図である。
===基本構成===
図1、図2、図3を参照しつつ、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路100の基本構成について説明する。図1は、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路100を説明するための図である。図2、図3は、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路を説明するための主要信号の波形図である。
図1に示すセンサレスモータ駆動用回路100は、例えば、回転記録媒体(光ディスク、磁気ディスク等)を回転させるためのスピンドルモータやスレッドモータの用途に利用されるセンサレスモータを駆動するための回路である。詳述すると、センサレスモータ駆動用回路100は、センサレスモータが有する3相(U相、V相、W相)毎のモータコイル2、4、6それぞれに発生する誘起電圧VV、VU、VWと当該モータコイル2、4、6の中性点電圧VCOMとが交差するゼロクロスを検出した際、予め定められる通電順序に従って当該3相毎のモータコイル2、4、6を選択して通電させることによって当該センサレスモータを回転駆動するものである。
なお、本実施形態に係るセンサレスモータ駆動用回路100は、U相のモータコイル2、V相のモータコイル4及びW相のモータコイル6を除いた部分を、同一チップ上に集積化させた場合とする。また、本実施形態に係るセンサレスモータ駆動用回路100は、センサレスモータを回転駆動するために必要な電力消費量の低減を図るべく、電流帰還型のパルス幅変調制御を採用する場合とする。
モータコイル2、4、6は、スター結線されるとともに電気角120度の位相差を有してステータに巻回されたものである。尚、各相のモータコイル2、4、6の共通接続部における中性点電圧VCOMは、センサレスモータ駆動用回路100へと帰還される。
吐出側トランジスタ8は、ソース電源電圧VPからU相のモータコイル2へコイル電流を吐出すべくソース電源電圧VP側に設けられるトランジスタであり、吸込側トランジスタ10は、U相のモータコイル2からシンク電源電圧VSSへとコイル電流を吸い込むべくシンク電源電圧VSS側に設けられるトランジスタである。吐出側トランジスタ8及び吸込側トランジスタ10は、ソース電源電圧VPとシンク電源電圧VSSの間に直列接続されており、吐出側トランジスタ8のソース電極と吸込側トランジスタ10のドレイン電極との接続部は、U相のモータコイル2の一端と接続される。
吐出側トランジスタ12は、ソース電源電圧VPからV相のモータコイル4へコイル電流を吐出すべくソース電源電圧VP側に設けられるトランジスタであり、吸込側トランジスタ14は、V相のモータコイル2からシンク電源電圧VSSへコイル電流を吸い込むべくシンク電源電圧VSS側に設けられるトランジスタである。吐出側トランジスタ12及び吸込側トランジスタ14は、ソース電源電圧VPとシンク電源電圧VSSの間に直列接続されており、吐出側トランジスタ12のソース電極と吸込側トランジスタ14のドレイン電極との接続部は、V相のモータコイル4の一端と接続される。
吐出側トランジスタ16は、ソース電源電圧VPからW相のモータコイル6へコイル電流を吐出すべくソース電源電圧VP側に設けられるトランジスタであり、吸込側トランジスタ18は、W相のモータコイル6からシンク電源電圧VSSへコイル電流を吸い込むべくシンク電源電圧VSS側に設けられるトランジスタである。吐出側トランジスタ16及び吸込側トランジスタ18は、ソース電源電圧VPとシンク電源電圧VSSの間に直列接続されており、吐出側トランジスタ16のソース電極と吸込側トランジスタ18のドレイン電極との接続部は、W相のモータコイル6の一端と接続される。
ここで、吐出側トランジスタ8、12、16並びに吸込側トランジスタ10、14、18が適宜のタイミングでオン・オフすると、センサレスモータは、モータコイル2、4、6にコイル電流が供給されて予め定められた方向へ回転(例えば、正回転)する。この結果、モータコイル2、4、6の一端には電気角120度の位相差を有するコイル電圧VU、VV、VWが発生することになる。なお、本実施形態では、吐出側トランジスタ8、12、16並びに吸込側トランジスタ10、14、18としては、Nチャンネル型MOSFETを採用しているが、Pチャンネル型MOSFETや、NPN型又はPNP型バイポーラトランジスタを採用してもよい。
ところで、3相のモータコイル2、4、6のうちいずれか2相のモータコイルを通電させる吸込側トランジスタ10、14、18は、後述のDFF64からPWM信号によってオン・オフすることになる。この結果、センサレスモータを所定の回転速度で回転させるために必要な電力消費量を低減することが可能となる。しかし、コイル電圧VU、VV、VWには、吸込側トランジスタ10、14、18がPWM信号に基づいてオン・オフすることで、外来ノイズやキックバックパルスKBの他に、キックバックパルスKBより狭い幅のPWMスイッチングノイズが重畳し、コンパレータ22U、22V、22Wから出力されるゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWは、それぞれ、外来ノイズ、キックバックパルスKB及びPWMスイッチングノイズ(以下、これらを「ノイズ」と総称する。)が重畳される。このノイズは、後段の処理を誤動作させるおそれがあるので除去する必要があり、このため、後述のマスク制御部26が必要となる。
コンパレータ22Uは、非反転入力端子にコイル電圧VUが印加されるとともに反転入力端子に中性点電圧VCOMが印加され、コイル電圧VUと中性点電圧VCOMを比較することによって、電気角180度のタイミングで変化する矩形のゼロクロス検出結果CPUを出力する。
コンパレータ22Vは、非反転入力端子にコイル電圧VVが印加されるとともに反転入力端子に中性点電圧VCOMが印加され、コイル電圧VVと中性点電圧VCOMを比較することによって、電気角180度のタイミングで変化する矩形のゼロクロス検出結果CPVを出力する。
コンパレータ22Wは、非反転入力端子にコイル電圧VWが印加されるとともに反転入力端子に中性点電圧VCOMが印加され、コイル電圧VWと中性点電圧VCOMを比較することによって、電気角180度のタイミングで変化する矩形のゼロクロス検出結果CPWを出力する。
なお、ゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWは、コイル電圧VU、VV、VWの間の電気角120度の位相差に対応して、それぞれ、電気角120度の位相差を有する。また、ゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWは、それぞれ、コイル電圧VU、VV、VWに重畳された前述したノイズを有している。
マスク制御部26は、本発明に係る『ゼロクロス検出期間設定部』の一実施形態であり、各相の通電順序に従ってゼロクロスの検出を有効とさせるゼロクロス検出期間を設定するものである。
詳述すると、マスク制御部26は、逓倍信号RE1のエッジタイミングと同期を合わせて、ゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWからノイズが除去されたマスク信号UMASK、VMASK、WMASKを生成し、センサレスロジック回路40並びに合成回路28へと出力する。さらに、マスク制御部26は、図3に示すように、矩形の合成信号FGの1/2周期内のうちの所定期間(例えば逓倍信号RE1の14パルス分)を示すMASK信号を生成して、タイミング合成回路50へと出力する。
ところで、各相のモータコイル2、4、6に発生する誘起電圧VU、VV、VWのゼロクロスは、所定の回転方向及び所定の負荷状態のもとで、所定の順番並びに所定のタイミングで生じるといった特性を有する。例えば、正転方向へ回転する場合には、誘起電圧VU、VV、VWのゼロクロスの変化は、電気角60度ごとに「U相の立ち上がり→W相の立ち下がり→V相の立ち上がり→U相の立ち下がり→W相の立ち上がり→V相の立ち下がり」の繰り返し、といったように定まっている。従って、このゼロクロスの変化に対応づけられた通電順序に従って、各相のモータコイル2、4、6を選択して通電させていくことで、センサレスモータは停止状態から起動するはずである。
そこで、マスク制御部26は、逓倍信号RE1のエッジタイミングを利用することで、ゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWのエッジタイミングと同期を合わせて、マスク信号UMASK、VMASK、WMASKのエッジタイミングを設定する。なお、マスク信号UMASK、VMASK、WMASKは、ゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWそれぞれの電気角120度の位相差に対応づけられており、それぞれ、電気角120度の位相差を有する。
マスク制御部26は、マスク信号UMASK、VMASK、WMASKのエッジタイミングに従って、ゼロクロスの検出を行う相の通電制御を有効としつつ、当該ゼロクロスの検出を行う相以外の相の通電制御を無効とすべく、ゼロクロス検出期間を設定する。すなわち、前述した通電順序に従って、ゼロクロス検出期間においてゼロクロスの検出を行う相については所定の通電を行うべく通電制御を有効とする。なお、ゼロクロスを検出できるのは通電していない相であり、ゼロクロス検出期間は、各相電気角360度のうち、マスク信号UMASK、VMASK、WMASKの立ち上がりエッジ及び立ち下りエッジからそれぞれ電気角60度までの期間に該当する。また、ゼロクロスの検出を行う相以外の相はゼロクロスを検出する必要が無いのでゼロクロスの検出を行わない、すなわちマスキングを継続している。
さらに、マスク制御部26は、通電対象となるモータコイルが切り替えられる際、ゼロクロスの検出を行う相の通電制御を一定期間無効とすべく(例えば、図13(a)、(b)、(c)に示す波形がMレベルの時からマスク解除期間TMまでの間)、ゼロクロス検出期間を設定する。すなわち、ゼロクロスが検出できる前述した電気角60度の期間であっても、前述したようにゼロクロス検出結果CPU、CPV、CPWにはノイズが重畳されているため、ゼロクロスが予測される短い期間(例えば、図13(a)、(b)、(c)に示すマスク解除期間TM)でのみゼロクロス検出を行い、その期間以外はマスキングを継続してゼロクロス検出を行わないことにする。この結果、ノイズの影響を除去することができる。
合成回路28は、マスク制御部26から出力されるマスク信号UMASK、VMASK、WMASKを合成し、電気角60度のタイミングで変化する矩形の合成信号FGを出力する。
逓倍回路30は、合成回路28から出力される合成信号FGを逓倍することによって、合成信号FGより高い周波数を有する逓倍信号RE1を発生するものである。これにより、合成信号FGの位相は逓倍信号RE1の位相と一致しており、合成信号FGの1/2周期は逓倍信号RE1のn周期(例えば16周期)と一致する。なお、逓倍回路30には、例えばアナログ信号処理をするPLLや、デジタル信号処理を実行するDLLを採用可能である。
センサレスロジック回路40は、予め定めておいた通電順序に従って、3相のモータコイル2、4、6を通電させるための信号を出力する制御回路である。つまり、センサレスロジック回路40は、センサレスモータ自体が起動前のロータの位置を特定できないことを考慮し、ロータが停止している場合には、マスク信号UMASK、VMASK、WMASKの予め定められた初期レベル(例えば、UMASK=“L”、VMASK=“L”、WMASK=“H”とする)からセンサレスモータを起動させる。
センサレスロジック回路40は、マスク制御部26から供給されたマスク信号UMASK、VMASK、WMASKに基づいて、通電制御信号ULOGIC1(=UMASK−VMASK)、VLOGIC1(=VMASK−WMASK)、WLOGIC1(=WMASK−UMASK)を生成する。例えば、U相のゼロクロスが検出されて、マスク信号UMASKがHighレベル、マスク信号VMASKがLowレベル、マスク信号WMASKがLowレベルとなる場合、通電制御信号ULOGIC1がHighレベル、通電制御信号VLOGIC1がLowレベル、通電制御信号WLOGIC1がMiddleレベルとなる。
ここで、通電制御信号ULOGIC1、VLOGIC1、WLOGIC1がHighレベルとなる期間は、対応する吐出側トランジスタ8、12、16が一定にオンしている期間であり、通電制御信号ULOGIC1、VLOGIC1、WLOGIC1がLowレベルとなる期間は、対応する吸込側トランジスタ10、14、18が一定にオンしている期間であり、通電制御信号ULOGIC1、VLOGIC1、WLOGIC1がMiddleレベルとなる期間は、吐出側トランジスタ8、12、16並びに吸込側トランジスタ10、14、18が一定にオフしている期間である。
例えば、通電制御信号ULOGIC1がHighレベル、通電制御信号VLOGIC1がLowレベル、通電制御信号WLOGIC1がMiddleレベルとなる場合、U相の吐出側トランジスタ8とV相の吸込側トランジスタ14がオン、それ以外のトランジスタ10、12、16、18がオフする。この結果、ソース電源電圧VPから吐出側トランジスタ8を介してU相のモータコイル2に向けてコイル電流が吐出するとともに、V相のモータコイル4から吸込側トランジスタ14を介してシンク電源電圧VSSへ向けて当該コイル電流が流れ込むことになる。
このように、センサレスロジック回路40は、3相のモータコイル2、4、6のうち2相のモータコイルを通電させる。この結果、コンパレータ22U、22V、22Wのいずれか一つにおいて、通電していない残りの1相のモータコイルに発生する誘起電圧のゼロクロスが検出される。センサレスロジック回路40は、このようにゼロクロスを検出していった結果に基づいてロータ位置を論理的に推測して、その推測されたロータ位置に応じた通電順序に従って吐出側トランジスタ8、12、16並びに吸込側トランジスタ10、14、18をオン・オフさせる。なお、センサレスロジック回路40は、通電制御信号ULOGIC1、VLOGIC1、WLOGIC1を遅延させた通電制御信号ULOGIC2、VLOGIC2、WLOGIC2を出力する。
カウンタ42は、センサレスモータが起動しないとき、合成信号FGの電気角60度の変化のタイミングを基準として逓倍回路30から出力される逓倍信号RE1のパルス数をカウントするものである。そして、センサレスロジック回路42は、カウンタ50が予め定められた値(例えば、16パルス分)をカウントしたとき、マスク信号UMASK、VMASK、WMASKのレベルを次の電気角60度のレベルに切り替える。これにより、センサレスモータは再起動される。なお、センサレスモータが停止しているときの逓倍信号RE1の周波数は、逓倍回路30を構成するPLLがループ動作することにより、その最低周波数に保持される。
信号処理回路44は、通電制御信号ULOGIC2、VLOGIC2、WLOGIC2から図3に示す各駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLを発生する。なお、UH信号はU相の吐出側トランジスタ8を駆動するための駆動信号であり、UL信号はU相の吸込側トランジスタ10を駆動するための駆動信号である。また、VH信号はV相の吐出側トランジスタ12を駆動するための駆動信号であり、VL信号はV相の吸込側トランジスタ14を駆動するための駆動信号である。さらに、WH信号はW相の吐出側トランジスタ16を駆動するための駆動信号であり、WL信号はW相の吸込側トランジスタ18を駆動するための駆動信号である。
タイミング合成回路50は、マスク制御部26からのMASK信号の状態や、信号処理回路44から出力される2値レベルの各駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLの状態に基づいて、図3に示す切替信号M1、M2、M3、M4、M5、M6を生成する。
切替回路52は、切替信号M1、M2、M3、M4、M5、M6に応じて、信号処理回路44から出力される各駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLを適宜切り替えて、PWM合成回路54へと出力する。
PWM合成回路54は、切替回路52の出力信号UH、UL、VH、VL、WH、WLと、DFF64より供給されるPWM信号と、に基づいて、吐出側トランジスタ8、10、12並びに吸込側トランジスタ14、16、18を駆動する最終的な駆動信号を出力する。詳述すると、PWM合成回路54は、吸込側トランジスタ10、14、18がオンする期間、通電制御信号ULOGIC2、VLOGIC2、WLOGIC2に対してPWM信号を重畳するものである。これにより、所定の2相コイルを通電する吐出側及び吸込側トランジスタのうち、吸込側トランジスタの方が、PWM信号の周波数でオン・オフし、この結果、コイル電流がチョッピングされて、消費電力の低減が図られることになる。
===パルス幅変調制御部の構成===
図1、図4、図5を参照しつつ、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路100の電流帰還型の『パルス幅変調制御部』の構成について説明する。なお、図4は、図1においてパルス幅変調制御部に係る構成を示す図であり、図5は、V型アンプ61を説明するための図である。
図1、図4、図5を参照しつつ、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路100の電流帰還型の『パルス幅変調制御部』の構成について説明する。なお、図4は、図1においてパルス幅変調制御部に係る構成を示す図であり、図5は、V型アンプ61を説明するための図である。
本発明に係るパルス幅変調制御部は、各相のモータコイル2、4、6に対してコイル電流を吐出する吐出側トランジスタ8、12、16と、各相のモータコイル2、4、6からのコイル電流を吸い込む吸込側トランジスタ10、14、18と、に対し、ゼロクロスを検出して通電順序に従って3相毎のモータコイル2、4、6を、吐出側トランジスタ8、12、16及び吸込側トランジスタ10、14、18のオン・オフによって選択して通電させるとき、当該選択がなされて通電対象となるモータコイル2、4、6に流れるコイル電流を電流検出用抵抗RFによって帰還させて、通電対象となるモータコイル2、4、6に対応した吐出側トランジスタ8、12、16又は吸込側トランジスタ10、14、18のいずれか一方を、通電対象となるモータコイル2、4、6の通電期間の間、当該帰還させたコイル電流に応じてパルス幅を変化させるPWM信号(『パルス幅変調信号』)によってオン・オフさせるものである。この結果、センサレスモータの駆動に際して必要となる電力消費が抑えられる。
なお、かかるパルス幅変調制御部を採用する場合には、本発明に係るコイル電流変化検出部は、通電対象となるモータコイルの通電期間の間、PWM信号のパルス幅の変化の検出をもって、コイル電流の変化の検出を行う。
図4に示すように、本発明に係るパルス幅変調制御部は、電流検出用抵抗RF、バッファ60、V型アンプ61、コンパレータ62、発振回路63、DFF64、PWM合成回路54で、主に構成される。
電流検出用抵抗RFは、吸込側トランジスタ10、14、18の各ソース電極とシンク電源電圧VSSとの間に設けられている。電流検出用抵抗RFは、吐出側トランジスタ8、10、12並びに吸込側トランジスタ14、16、18を駆動させた場合に、吸込側トランジスタ14、16、18からシンク電源電圧VSSへと流れ込むコイル電流を、電圧降下分を示す検出電圧VRFとして検出するための抵抗である。なお、コイル電流並びに検出電圧VRFは、コイル2、4、6に対して電圧を印加させる期間に応じて、徐々に増加していく特性を示す。
バッファ60は、電流検出用抵抗RFにおいて検出された検出電圧VRFを、そのままのレベルで出力する。
V型アンプ61は、PWM信号のパルス幅を定める入力電圧VINに対する出力電圧VCTLの特性が、図5に示すように、概略V字となるアンプである。なお、入力電圧VINは、外部のマイクロコンピュータ(不図示)等からセンサレスモータ駆動用回路100へと供給される。
コンパレータ62は、差動アンプによって構成されており、バッファ60から非反転入力へと印加される検出電圧VRFと、V型アンプ61から反転入力へと印加される出力電圧VCTLとを比較して、その比較結果を、DFF64のLowアクティブのリセット入力端子へと入力されるリセット信号RSTとして出力する。
DFF64は、リセット入力付きのD型フリップフロップであり、データ入力端子がHighレベルにプルアップされ、発振回路63において発振出力されたクロック信号CLKがクロック入力端子へと入力される。また、コンパレータ62より出力されるリセット信号RSTがリセット入力端子へと入力される。そして、DFF64は、出力端子からPWM合成回路54へとPWM信号を供給する。
ここで、図4に示すように、U相の吐出側トランジスタ8とV相の吸込側トランジスタ14がオンしており、ソース電源電圧VP、吐出側トランジスタ8、U相コイル2、V相コイル4、吸込側トランジスタ14、電流検出用抵抗RF、シンク電源電圧VSS、の向きへとコイル電流が流れている場合とする。この場合、電流検出用抵抗RFにおいて検出された検出電圧VRFが、バッファ60を介してコンパレータ62の非反転入力端子へと印加される。一方、コンパレータ62の反転入力端子には、V型アンプ61において入力電圧VINに応じて設定された出力電圧VCTLが印加される。
コンパレータ62は、徐々に増加していく検出電圧VRFが出力電圧VCTLを超えるか否かを検出し、検出電圧VRFが出力電圧VCTLを超えるまではLowレベルのリセット信号RSTを出力し、検出電圧VRFが出力電圧VCTLを超えたときにはHighレベルのリセット信号RSTを出力する。
DFF64は、コンパレータ62から供給されたリセット信号RSTがHighレベルの場合、PWM信号をクロック信号CLKのエッジタイミング毎に、データ入力端子へ入力されたHighレベルを出力する。一方、DFF64は、リセット信号RSTがLレベルの場合、Highレベルの出力をリセットしてLowレベルを出力する。この結果、PWM信号の一周期分におけるデューティ(=Highレベルの期間/(Highレベルの期間+Lowレベルの期間))が設定される。
なお、図5に示すように、V型アンプ61において、入力電圧VINが大きくなる場合(VIN1→VIN2)、出力電圧VCTLは、入力電圧VINに応じて大きくなる(VRF1→VRF2)。また、出力電圧VCTLが大きくなると、コンパレータ62において、検出電圧VRFが当該出力電圧VCTLを超えるまでの期間が長くなるので、この結果、PWM信号のデューティが大きくなる、すなわち、PWM信号のHighレベルのパルス幅が長くなる。
===ゼロクロス検証===
図6、図7、図8を参照しつつ、本発明に係るゼロクロスの検証について説明する。
図6、図7、図8を参照しつつ、本発明に係るゼロクロスの検証について説明する。
なお、図13に示したように、センサレスモータが担当する負荷が無負荷状態となり、センサレスモータの回転数が低速(規定内)から高速(規定外)へと切り替わった場合とする。すなわち、この場合、各相のモータコイル2、4、6それぞれの誘起電圧VU’、VV’、VWは、図13(d)〜(f)に示した規定どおりの誘起電圧VU、VV、VWと対比して、図13(g)〜(i)に示すように周波数が高くなる。
図6(a)は、規定どおりの誘起電圧VUの波形を示し、図6(b)は、規定外の誘起電圧VU’の波形を示す。なお、図6(a)、(b)は、説明の都合上、パルス幅変調制御をかけず、吸込側トランジスタ10、14、18を飽和駆動させた場合の波形を示す。
図6(a)、(b)に示すように、規定どおりの誘起電圧VU並びに規定外の誘起電圧VU’は、ともに、時刻T0において立ち上がりのゼロクロスが検出された結果、時刻T1〜時刻T3の期間(電気角120度)、U相のコイル2がHighレベルに通電される。このU相の通電区間では、パルス幅変調制御をかけずに吸込側トランジスタ14、18を飽和駆動させるので、誘起電圧VU、VU’は、ソース電源電圧VPに固定する。
従って、U相のコイル2には、ソース電源電圧VPから非通電状態の場合の誘起電圧VU、VU’を差し引いたコイル電圧VL(図6(a)に示す斜線部)、VL’(図6(b)に示す斜線部)が印加される。図6(a)の斜線部に示すように、規定どおりのコイル電圧VLは、時刻T1から電気角60度経過した時刻T2(時刻T1〜時刻T3までの中間時刻)までの期間では緩やかに低下し、時刻T2から時刻T3までの期間では緩やかに上昇する特性を示す。一方、図6(b)の斜線部に示すように、規定どおりのコイル電圧VLは、時刻T1から時刻T2までの期間では急峻に上昇し、時刻T2から時刻T3までの期間では急激に低下する特性を示す。
一方、図7に示すように、コイルLは、一般的に、コイル電圧VLが大きい場合(VL1)にはコイルLに流れるコイル電流ILが急峻に増加し、一方、コイル電圧VLが小さい場合(VL2(<VL1))にはコイル電流ILが緩やかに増加する特性を示す。
従って、図6(a)に示すU相の通電期間中のコイル電圧VLに対応したコイル電流iは、図6(b)に示すように、時刻T1から時刻T2までの期間では緩やかに低下し、時刻T2から時刻T3までの期間では緩やかに上昇する特性を示す。一方、図6(c)に示すU相の通電期間中のコイル電圧VL’に対応したコイル電流i’は、図6(d)に示すように、時刻T1から時刻T2までの期間では緩やかに低下し、時刻T2から時刻T3までの期間では緩やかに上昇する特性を示す。
このように、コイル2、4、6に流れるコイル電流ILの規定どおりの波形(図6(b))を予め把握してさえおけば、センサレスモータを駆動させる場合に、実際のコイル電流ILを検出した上で、当該検出されたコイル電流IL’を規定どおりのコイル電流ILと対比させることによって、誘起電圧VU、VV、VWのゼロクロスが規定どおりのものであるか否かを確実に検証することが可能となる。また、このゼロクロスの検証結果に基づいて、センサレスモータが規定外の回転を引き起こしているか否かを確実に検証することが可能となる。
なお、本実施形態では、電流帰還型のパルス幅変調制御部を採用しており、コイル電流iの波形は実際には平滑化されるので、図6(b)、(d)に示すような変化を示さない。すなわち、コイル電流iは、規定どおりであっても規定外であっても、平滑化されるので、特異な変化を示さない。よって、電流帰還型のパルス幅変調制御をかける場合には、コイル電流iの生の波形を直接的に利用してゼロクロスの検証を行うことが困難となる。そこで、コイル電流iを検出することで誘電電圧VU、VV、VWの検証を行うのではなく、PMW信号のデューティを検出することによって、ゼロクロスの検証を実施する。
具体的には、規定どおりのコイル電流iの波形は、図8(a)に示すように、時刻T1から時刻T2緩やかに低下し、時刻T2から時刻T3までの期間では緩やかに上昇する特性を示す。ここで、PWM信号のデューティは、コイル電流iが大きい場合には当該コイル電流iを減少させるために小さくなり、一方、コイル電流iが小さい場合には当該コイル電流iを増加させるために大きくなる特性を示す。従って、PWM信号のデューティは、図8(b)に示すように、時刻T1から時刻T2緩やかに増加し、時刻T2から時刻T3までの期間では緩やかに減少する特性を示す。
一方、規定外のコイル電流iの波形は、図8(c)に示すように、時刻T1から時刻T2急激に上昇し、時刻T2から時刻T3までの期間では急激に低下する特性を示す。従って、PWM信号のパルス幅は、図8(d)に示すように、時刻T1から時刻T2急激に減少し、時刻T2から時刻T3までの期間では急激に増加する特性を示す。
このように、通電期間中におけるPWM信号の規定どおりのデューティの変化(図8(b))を予め把握してさえおけば、センサレスモータを回転駆動させる場合に、実際のPWM信号のパルス幅の変化を検出した上で、当該検出されたPWM信号のパルス幅の変化を、規定どおりのパルス幅の基準とする変化と対比させることによって、誘起電圧VU、VV、VWそれぞれの検出されたゼロクロスが規定どおりのものであるか否かを確実に検証することが可能となる。また、このゼロクロスの検証結果によって、センサレスモータが規定どおりの回転駆動を行っているか否かを確実に検証することが可能となる。
===ゼロクロス検証の構成===
図1、図9を参照しつつ、本発明に係るゼロクロス検証の構成として、本発明に係る『コイル電流変化検出部』、『ゼロクロス検証部』及び『復帰制御部』の各構成とそれらの動作について説明する。なお、図9は、アップダウンカウンタ71の動作を説明するための図である。
図1、図9を参照しつつ、本発明に係るゼロクロス検証の構成として、本発明に係る『コイル電流変化検出部』、『ゼロクロス検証部』及び『復帰制御部』の各構成とそれらの動作について説明する。なお、図9は、アップダウンカウンタ71の動作を説明するための図である。
本発明に係る『コイル電流変化検出部』は、ゼロクロスを検出して通電順序に従って3相毎のモータコイル2、4、6を選択して通電させていくとき、モータコイル2、4、6の通電期間の間において、モータコイル2、4、6に流れるコイル電流の変化を検出するものである。かかるコイル電流の変化を検出することによって、前述したとおり、ゼロクロスの検証を行うことができ、ひいては、センサレスモータが規定どおりの回転駆動を行っているか否かを検証することが可能となる。
ところで、センサレスモータ駆動用回路100は、マスク制御部26の機能によって、ゼロクロスを検出できるのは通電していない相であり、通電している相以外の相は、ゼロクロスの検出を行うことができないように設定している。このように、センサレスモータ駆動用回路100は、マスク制御部26によってゼロクロスの検出を行えない期間が存在しているが故に、センサレスモータが規定外の回転速度となっている場合や規定外の逆回転の方向に駆動する場合において、ゼロクロスの検出が行えず規定外の状態を識別できない場合が起こり得る。そこで、本発明に係る『コイル電流変化検出部』を設けてゼロクロスの検証を行うことで、規定外の状態が発生している否かをより確実に識別することが可能となる。
さらに、センサレスモータ駆動用回路100は、マスク制御部26の機能によって、電気角60度分のゼロクロス検出期間であっても、ノイズの影響を除去するために、ゼロクロスが予測される短い期間(図13(a)、(b)、(c)に示すマスク解除期間TM)でのみゼロクロスの検出をすることを可能としている。このように、センサレスモータ駆動用回路100は、マスク制御部26によってゼロクロスが予測される短い期間以外の期間はゼロクロスの検出を行わないので、センサレスモータが規定外の回転速度となっている場合や規定外の逆回転の方向に駆動する場合において、ゼロクロスの検出が行えず規定外の状態を識別できない場合が起こり得る。そこで、本発明に係る『コイル電流変化検出部』を設けてゼロクロスの検証を行うことで、規定外の状態が発生している否かをより確実に識別することが可能となる。
なお、本発明に係る『コイル電流変化検出部』は、モータコイル2、4、6の通電期間の間、コイル電流のリアルタイムな変化を検出するのではなく、少なくとも2箇所のタイミングで検出したコイル電流に基づいて、コイル電流の変化を簡易に検出する。すなわち、本実施形態のとおりパルス幅変調制御を行う場合には、モータコイル2、4、6の通電期間の間に、PWM信号のパルス幅を少なくとも2箇所のタイミングで計測することで、コイル電流の変化を容易に検出することができる。また、パルス幅変調制御を行わない場合には、モータコイル2、4、6の通電期間の間に、電流検出用抵抗RFによってコイル電流を少なくとも2箇所のタイミングで検出することで、コイル電流の変化を簡易に検出することができる。
さらに、本発明に係る『コイル電流変化検出部』は、マスク制御部26におけるゼロクロス検出期間の設定タイミングと同期を合わせて、モータコイル2、4、6の通電期間における開始タイミング並びに中間タイミング(開始タイミングと終了タイミングの中間)の2箇所で検出したコイル電流に基づいて、コイル電流の変化を検出する。すなわち、図8(a)に示した規定どおりのコイル電流は、時刻T1〜時刻T3までの通電期間における開始タイミングT1から中間タイミングT2までの間で緩やかに減少する一方で、図8(c)に示した規定外のコイル電流は、開始タイミングT1と中間タイミングT2までの間で急激に増加するという両者の特性上の差異を利用したものである。この結果、コイル電流の変化をさらに容易に検出することができる。
本発明に係る『コイル電流変化検出部』の一実施形態としては、例えば、図1に示す、パルス幅計測タイミング生成部70、アップダウンカウンタ71によって実現することができる。
パルス幅計測タイミング生成部70は、逓倍回路30から供給される逓倍信号RE1のエッジタイミングを用いて、マスク信号UMASK、VMASK、WMASKのエッジタイミング、すなわち各相の通電タイミングと同期を合わせつつ、パルス幅計測対象のPWM信号を特定するためのタイミング信号を生成する。尚、当該タイミング信号は、アップダウンカウンタ71におけるアップカウント動作とダウンカウント動作を切り替えるためのU/D切替信号として用いられる。
アップダウンカウンタ71は、DFF64から供給されるPWM信号のパルス幅を、発振回路63から供給されるクロック信号CLKのエッジタイミング毎に、アップカウント又はダウンカウントを行うためのカウンタである。すなわち、アップダウンカウンタ71は、PWM信号の基準となるタイミングを定める発振回路63のクロック信号CLKのエッジタイミングに基づいて、アップカウント又はダウンカウントを行うので、アップカウント動作又はダウンカウント動作がPWM信号と同期を合わせて行われる。なお、アップダウンカウンタ71は、パルス幅計測タイミング生成部70から供給されるU/D切替信号に基づいて、アップカウント動作とダウンカウント動作が切り替えられる。
ここで、アップダウンカウンタ71は、開始タイミングT1に対応して生成されるPWM信号のパルス幅をアップカウントしていくことで最終的に得られるアップカウント値C1を保持しておいた上で、中間タイミングT2に対応して生成されるPWM信号のパルス幅をアップカウント値C1からダウンカウントして最終的なダウンカウント値C2を得る。すなわち、アップダウンカウンタ71は、モータコイル2、4、6の通電期間中の2箇所のPWM信号のパルス幅の計測を、一回のアップダウンカウント動作の中で実行する。
例えば、図8(b)に対応した図9(a)に示すPWM信号の規定の波形は、開始タイミングT1付近のパルス幅TAと対比して、中間タイミングT2付近のパルス幅TBは、若干長くなる。従って、パルス幅TAが“0”からアップカウントされて最終的にアップカウント値C1を保持した後、パルス幅TBをアップダウンカウント値C1からダウンカウントしていった結果、図9(b)に示すように、最終的に得られるダウンカウント値C2は“0”となるはずである。
一方、図8(d)に対応した図9(c)に示すPWM信号の規定外の波形は、開始タイミングT1付近のパルス幅TAと対比して、中間タイミングT2付近のパルス幅TBは、かなり短くなる。従って、パルス幅TAが“0”からアップカウントされて最終的にアップカウント値C1が保持された後、パルス幅TBをアップダウンカウント値C1からダウンカウントしていった結果、図9(d)に示すように、最終的なダウンカウント値C2は“0”まで辿り着かずに、“C1〜0”までの途中の値に陥るはずである。
すなわち、アップダウンカウンタ71によって得られる最終的なダウンカウント値C2を監視することによって、コンパレータ22U、22V、22Wにおいて検出されたゼロクロスが規定どおりの状態であるか否かの検証が容易に行えることになる。
ゼロクロス検証部72は、本発明に係る『ゼロクロス検証部』の一実施形態であり、検出されたコイル電流の変化と、予め定めておいたコイル電流の基準とする規定どおりの変化と、の対比によって、コンパレータ22U、22V、22Wにおいて検出されたゼロクロスの検証を行うものである。なお、パルス幅変調制御を採用する本実施形態では特に、ゼロクロス検証部72は、アップダウンカウンタ71によって得られた最終的なダウンカウント値C2と、予め定めておいたダウンカウント値C2の基準値CRと、の対比によって、ゼロクロスの妥当性の評価を行う。
ゼロクロス検証部72は、ゼロクロスの検証結果が基準から外れる旨を示す場合、図13に示したように、通常負荷状態から無負荷状態へと切り替わることで、センサレスモータの回転速度が低速(規定どおり)から高速(規定外)のものへと変化した旨を判定することができる。あるいは、図14に示したように、ゼロクロス検証部72は、ゼロクロスの検証結果が基準から外れる旨を示す場合、突然逆転方向へと振動したことで、センサレスモータの正転方向への回転(規定どおり)が、センサレスモータの逆転方向への回転(規定外)へと切り替わった旨を判定することができる。
復帰制御部73は、ゼロクロス検証部72におけるゼロクロス検証結果が基準から外れる旨を示す場合には、センサレスモータを一度停止させた上で、センサレスモータの回転駆動を再開するための制御を行う。例えば、復帰制御部73は、センサレスモータを停止させるべく、信号処理回路44に対してショートブレーキ指令又は逆トルク発生指令を出力する。
ここで、信号処理回路44は、復帰制御部73からショートブレーキ指令を受けた場合、全ての駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLを強制的にHighレベルとさせる。すなわち、吐出側トランジスタ8、12、16と、吸込側トランジスタ10、14、18と、が全てオンするので、センサレスモータが停止する方向へとショートブレーキ制御がかかる。また、信号処理回路44は、例えば、復帰制御部73から逆トルク発生指令を受けた場合には、予め定められた通電順序とは逆の通電順序へと、モータコイル2、4、6を通電させるための制御を行う。この結果、センサレスモータに対して逆方向のトルクが発生して、センサレスモータを停止させる方向へ働くことになる。
===センサレスモータ駆動用回路の動作===
図10、図11を参照しつつ、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路100の動作について説明する。なお、図10は、センサレスモータ駆動用回路100のゼロクロス検証の全体の流れを示すフローチャートであり、図11は、センサレス駆動回路100のゼロクロス検証の詳細な流れを示すフローチャートである。
図10、図11を参照しつつ、本発明に係るセンサレスモータ駆動用回路100の動作について説明する。なお、図10は、センサレスモータ駆動用回路100のゼロクロス検証の全体の流れを示すフローチャートであり、図11は、センサレス駆動回路100のゼロクロス検証の詳細な流れを示すフローチャートである。
図10をもとに、センサレスモータ駆動用回路100におけるゼロクロス検証の全体の流れを説明する。
まず、センサレスモータを起動させた後(S900)、各相のモータコイル2、4、6の誘起電圧VU、VV、VWのゼロクロスが検出される毎に、予め定めておいた通電順序に従って通電されたモータコイル2、4、6の通電期間中のコイル電流の変化が検出される(S901)。このとき、ゼロクロス検証部72は、検出された通電期間中のコイル電流の変化に基づいて、検出されたゼロクロスの検証を行う(S902)。
ここで、ゼロクロス検証部72がコイル電流の変化が規定どおりである旨を判定した場合には、センサレスモータ駆動用回路100は、通常のセンサレスモータの回転駆動を引き続いて行う(S903)。なお、センサレスモータが停止するまで(S906:YES)、S901〜S903までの処理が繰り返し行われる。
一方、ゼロクロス検証部72が検出されたコイル電流の変化が規定外のものである旨を判定した場合には、例えば、センサレスモータを停止させるためのショートブレーキ制御が行われる(S904)。このショートブレーキ制御は、センサレスモータが停止するまで行われて(S905:NO)、センサレスモータが停止したときには(S905:YES)、再び、センサレスモータの再起動が行われる(S900)。
つぎに、図11をもとに、センサレスモータ駆動用回路100のゼロクロス検証の詳細な流れを説明する。
まず、センサレスモータ駆動用回路100は、コンパレータ22U、22V、22Wのいずれかにおいて、センサレスモータが停止状態における任意の一相のゼロクロスが検出されると(S100)、予め定められたマスク信号UMASK、VMASK、WMASKの初期レベルに従ってセンサレスモータを起動させようとする。
そして、センサレスモータが起動した後は、ゼロクロスが検出される毎に、マスク制御部26は、予め定められた通電順序に基づいたマスク信号UMASK、VMASK、WMASKを生成する(S101)。また、発振回路63からクロック信号CLKがアップダウンカウンタ71とともに供給されるDFF64等は、電流検出用抵抗RFにおける検出電圧VRFに基づいてPWM信号を生成し、PWM合成回路54並びにアップダウンカウンタ71へと供給する。
なお、マスク信号UMASK、VMASK、WMASKのエッジタイミングと同期を合わせて、パルス幅計測タイミング生成部70は、まず、アップダウンカウンタ71に対して、アップカウントモードのU/D切替信号を供給する。この結果、アップダウンカウンタ71は、DFF64から供給された基準とするPWM信号のパルス幅を“0”からアップカウントしていき(S102)、最終的なアップカウント値CA1を保持する(S103)。
つぎに、パルス幅計測タイミング生成部70は、アップカウント開始時から1/2通電期間経過後に、アップダウンカウンタ71に対して、ダウンカウントモードのU/D切替信号を供給する。この結果、アップダウンカウンタ71は、1/2通電期間経過時にDFF64から供給された比較対象とするPWM信号のパルス幅を、保持しておいたアップカウント値CA1からダウンカウントしていき(S104)、最終的なダウンカウント値CA2を保持する(S105)。
ゼロクロス検証部72は、アップダウンカウンタ71において最終的に得られたダウンカウント値CA2を、予め定めておいたアップカウント値CA2の基準値CRと一致するか否かを監視する(S106)。例えば、基準値CRと一致する場合には、検出されたゼロクロスが規定どおりのものと判定し(S107)、基準値CRと不一致の場合には、検出されたゼロクロスが規定外のものと判定する(S108)。この結果、検出されたゼロクロスが規定外のものと判定された場合には、図13に示したようにセンサレスモータが突然無負荷状態となった旨や、図14に示したように突然センサレスモータが逆転方向へと振動した旨を識別することができる。
以上、本実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
2、4、6 モータコイル
8、12、16 吐出側トランジスタ
10、14、18 吸込側トランジスタ
502、504、506 モータコイル
508、512、516 吐出側トランジスタ
510、514、518 吸込側トランジスタ
22U、22V、22W コンパレータ
522U、522V、522W コンパレータ
530 センサレス駆動制御部
26 マスク制御部
28 合成回路
30 逓倍回路
38 発振回路
40 センサレスロジック回路
42 カウンタ
44 信号処理回路
50 タイミング合成回路
52 切替回路
54 PWM合成回路
60 バッファ
66 V型アンプ
62 コンパレータ
63 発振回路
64 DFF
70 パルス幅計測タイミング生成部
71 アップダウンカウンタ
72 ゼロクロス検証部
73 復帰制御部
8、12、16 吐出側トランジスタ
10、14、18 吸込側トランジスタ
502、504、506 モータコイル
508、512、516 吐出側トランジスタ
510、514、518 吸込側トランジスタ
22U、22V、22W コンパレータ
522U、522V、522W コンパレータ
530 センサレス駆動制御部
26 マスク制御部
28 合成回路
30 逓倍回路
38 発振回路
40 センサレスロジック回路
42 カウンタ
44 信号処理回路
50 タイミング合成回路
52 切替回路
54 PWM合成回路
60 バッファ
66 V型アンプ
62 コンパレータ
63 発振回路
64 DFF
70 パルス幅計測タイミング生成部
71 アップダウンカウンタ
72 ゼロクロス検証部
73 復帰制御部
Claims (11)
- センサレスモータが有する複数相毎のモータコイルそれぞれに発生する誘起電圧と当該モータコイルの中性点電圧とが交差するゼロクロスを検出した際、予め定められる通電順序に従って当該複数相毎のモータコイルを選択して通電させることによって当該センサレスモータを回転駆動するセンサレスモータ駆動用回路において、
前記ゼロクロスを検出して前記通電順序に従って前記複数相毎のモータコイルを選択して通電させていくとき、当該選択がなされて通電対象となるモータコイルの通電期間において、当該通電対象となるモータコイルに流れるコイル電流の変化を検出するコイル電流変化検出部と、
前記検出されたコイル電流の変化と、予め定めておいた前記コイル電流の変化の基準と、の対比によって、前記検出されたゼロクロスを検証するゼロクロス検証部と、
を有することを特徴とするセンサレスモータ駆動用回路。 - 前記通電順序に従って前記ゼロクロスの検出を有効とさせるゼロクロス検出期間を設定するゼロクロス検出期間設定部を有すること、
を特徴とする請求項1に記載のセンサレスモータ駆動用回路 - 前記ゼロクロス検出期間設定部は、前記通電順序に従って、
前記ゼロクロスの検出を行う相の通電制御を有効としつつ、当該ゼロクロスの検出を行う相以外の相の通電制御を無効とすべく、前記ゼロクロス検出期間を設定すること、
を特徴とする請求項2に記載のセンサレスモータ駆動用回路 - 前記ゼロクロス検出期間設定部は、前記通電順序に従って、
前記通電対象となるモータコイルが切り替えられる際、
前記ゼロクロスの検出を行う相の通電制御を一定期間無効とすべく、前記ゼロクロス検出期間を設定すること、
を特徴とする請求項3に記載のセンサレスモータ駆動用回路。 - 各相の当該モータコイルにコイル電流を吐出する吐出側トランジスタと、各相の当該モータコイルからのコイル電流を吸い込む吸込側トランジスタと、に対し、
前記ゼロクロスを検出して、前記通電順序に従って前記複数相毎のモータコイルを、前記吐出側トランジスタ及び前記吸込側トランジスタのオン・オフによって選択して通電させるとき、
当該通電対象となるモータコイルに流れるコイル電流を帰還させて、当該通電対象となるモータコイルに対応した前記吐出側トランジスタ又は前記吸込側トランジスタのいずれか一方を、当該通電対象となるモータコイルの通電期間の間、当該帰還させたコイル電流に応じてパルス幅を変化させるパルス幅変調信号によってオン・オフさせるパルス幅変調制御部を有しており、
前記コイル電流変化検出部は、
前記通電対象となるモータコイルの通電期間の間、前記パルス幅変調信号のパルス幅の変化の検出をもって、前記コイル電流の変化の検出を行うこと、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のセンサレスモータ駆動用回路。 - 前記コイル電流変化検出部は、
前記通電対象となるモータコイルの通電期間の間の少なくとも2つのタイミングで検出した前記コイル電流に基づいて、前記コイル電流の変化を検出すること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のセンサレスモータ駆動用回路。 - 前記通電順序に従って前記ゼロクロスの検出を有効とさせるゼロクロス検出期間を設定するゼロクロス検出期間設定部を有しており、
前記コイル電流変化検出部は、
前記ゼロクロス検出期間設定部において設定されたゼロクロス検出期間と同期を合わせて、前記通電対象となるモータコイルの通電期間における開始タイミング並びに中間タイミングで検出した前記コイル電流に基づいて、前記コイル電流の変化を検出すること、
を特徴とする請求項6に記載のセンサレスモータ駆動用回路。 - 前記開始タイミングで生成され得る前記パルス幅変調信号のパルス幅をアップカウントしていき最終的なアップカウント値を保持しておき、前記中間タイミングで生成され得る前記パルス幅変調信号のパルス幅を前記アップカウント値からダウンカウントしていき最終的なダウンカウント値を得るアップダウンカウンタを有しており、
前記ゼロクロス検証部は、
前記アップダウンカウンタによって得られた前記ダウンカウント値と、予め定めておいた前記ダウンカウント値の基準と、の対比によって、前記検出されたゼロクロスの検証を行うこと、
を特徴とする請求項7に記載のセンサレスモータ駆動用回路。 - 前記ゼロクロス検証部は、
前記検出されたゼロクロスの検証結果が前記基準から外れる旨を示す場合、前記センサレスモータの回転速度が規定外である旨を判定すること、
を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のセンサレスモータ駆動用回路。 - 前記ゼロクロス検証部は、
前記検出されたゼロクロスの検証結果が前記基準から外れる旨を示す場合、前記センサレスモータの回転方向が規定外である旨を判定すること、
を特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のセンサレスモータ駆動用回路。 - 前記検出されたゼロクロスの検証結果が基準から外れる旨を示す場合、前記センサレスモータを停止させて、前記センサレスモータの回転駆動を再開させる復帰制御部を有すること、を特徴とする請求項9又は10に記載のセンサレスモータ駆動用回路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006094175A JP2007274760A (ja) | 2006-03-30 | 2006-03-30 | センサレスモータ駆動用回路 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006094175A JP2007274760A (ja) | 2006-03-30 | 2006-03-30 | センサレスモータ駆動用回路 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007274760A true JP2007274760A (ja) | 2007-10-18 |
Family
ID=38676981
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006094175A Pending JP2007274760A (ja) | 2006-03-30 | 2006-03-30 | センサレスモータ駆動用回路 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007274760A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011078222A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Sanyo Electric Co Ltd | モータ駆動制御回路 |
CN102111098A (zh) * | 2009-12-28 | 2011-06-29 | 三洋电机株式会社 | 电动机驱动电路 |
JP2013127417A (ja) * | 2011-12-19 | 2013-06-27 | Tdk Corp | 粉体センサ |
JP2013255386A (ja) * | 2012-06-08 | 2013-12-19 | Rohm Co Ltd | モータ駆動回路、およびその駆動方法、それを用いた電子機器 |
JP2014087113A (ja) * | 2012-10-22 | 2014-05-12 | Hokuto Seigyo Kk | モータ駆動装置 |
JP2014087217A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Hokuto Seigyo Kk | モータ駆動装置 |
JP2015149708A (ja) * | 2014-02-04 | 2015-08-20 | 富士通株式会社 | デジタル式デューティサイクル補正回路及び方法 |
US9595898B1 (en) | 2015-08-18 | 2017-03-14 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Device for controlling motor driving |
WO2019016955A1 (ja) * | 2017-07-21 | 2019-01-24 | 三菱電機株式会社 | 電動機駆動装置、圧縮機および空気調和機 |
-
2006
- 2006-03-30 JP JP2006094175A patent/JP2007274760A/ja active Pending
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011078222A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Sanyo Electric Co Ltd | モータ駆動制御回路 |
KR101106872B1 (ko) | 2009-09-30 | 2012-01-20 | 산요 세미컨덕터 컴퍼니 리미티드 | 모터 구동 제어 회로 |
US8344672B2 (en) | 2009-09-30 | 2013-01-01 | Sanyo Electric Co., Ltd | Motor drive control circuit |
CN102111098A (zh) * | 2009-12-28 | 2011-06-29 | 三洋电机株式会社 | 电动机驱动电路 |
US8461796B2 (en) | 2009-12-28 | 2013-06-11 | Sanyo Semiconductor Co., Ltd. | Motor drive circuit for driving a synchronous motor |
JP2013127417A (ja) * | 2011-12-19 | 2013-06-27 | Tdk Corp | 粉体センサ |
JP2013255386A (ja) * | 2012-06-08 | 2013-12-19 | Rohm Co Ltd | モータ駆動回路、およびその駆動方法、それを用いた電子機器 |
JP2014087113A (ja) * | 2012-10-22 | 2014-05-12 | Hokuto Seigyo Kk | モータ駆動装置 |
JP2014087217A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Hokuto Seigyo Kk | モータ駆動装置 |
JP2015149708A (ja) * | 2014-02-04 | 2015-08-20 | 富士通株式会社 | デジタル式デューティサイクル補正回路及び方法 |
US9595898B1 (en) | 2015-08-18 | 2017-03-14 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Device for controlling motor driving |
WO2019016955A1 (ja) * | 2017-07-21 | 2019-01-24 | 三菱電機株式会社 | 電動機駆動装置、圧縮機および空気調和機 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2007274760A (ja) | センサレスモータ駆動用回路 | |
JP5132172B2 (ja) | モータ駆動集積回路 | |
JP4386815B2 (ja) | モータの駆動装置および駆動方法 | |
JP4972439B2 (ja) | モータ拘束検出回路 | |
US20020171388A1 (en) | Apparatus for driving three-phase half-wave drive brushless motor | |
JP2009505618A (ja) | ブラシレスモータ駆動装置及びこのような駆動装置により制御されるブラシレスモータを有するデータ読み取り/書き込み装置 | |
US8203297B2 (en) | Motor control apparatus for controlling motor in accordance with rotational position of rotor thereof | |
JP4614728B2 (ja) | モータの駆動制御装置および起動方法 | |
US9787231B2 (en) | Motor driving device and control method of motor driving device | |
US9800185B2 (en) | Motor driving circuit, cooling device and electronic apparatus including the same | |
JP2005143187A (ja) | センサレスブラシレスモータ | |
US6256181B1 (en) | Fan drive device | |
US7855523B2 (en) | Motor driving circuit and disc apparatus using the same | |
WO2007013020A9 (en) | System and method for controlling a synchronous electric motor, particularly for household appliances | |
US7061193B2 (en) | Motor drive apparatus | |
JP2006166587A (ja) | モータ駆動装置、それを用いたファンモータ、それを用いた送風ファンおよびそれを用いた電子機器 | |
JP2009254107A (ja) | ブラシレスdcモータの制御装置 | |
US20070138987A1 (en) | Apparatus and method for driving motor | |
TW201720046A (zh) | 無感測器三相馬達驅動系統及其方法 | |
JP2005176457A (ja) | ブラシレスモータの位置検出回路 | |
JP2003224992A (ja) | ブラシレスdcモータの駆動方法 | |
JP4583109B2 (ja) | センサレスモータの駆動装置 | |
JP2010035312A (ja) | Dcモータ制御装置 | |
JP2002315384A (ja) | 2相ブラシレスモータの駆動装置 | |
JP2007236090A (ja) | ブラシレスモータの制御方法および制御装置 |