JP2008028124A - 沸騰冷却方法、沸騰冷却装置およびその応用製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】沸騰現象のプロセスにおいて、遷移沸騰の生じうる温度領域における核沸騰による沸騰冷却をより大きな冷却面積に対して可能ならしめるとともに、寒冷地又は低温雰囲気中での使用を可能とする。
【解決手段】被冷却物obの表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面として、冷却液用の主流路10Aおよび副流路10Bを、冷却面の側から上記順序に形成し、副流路10Bと主流路10Aを隔てる隔壁10Cを貫通して主流路10A内に突出する複数のノズルNZを主流路の流路方向に配列し、個々のノズルNZの先端部を冷却面に近接もしくは接触させ、主流路10Aと副流路10Bとに、不凍液である冷却液21を流通させ、主流路10Aを流れる冷却液の沸騰により冷却面を冷却するとともに、副流路10Bの側から各ノズルNZを介して副流路10B側の冷却液を冷却面近傍に供給し、主流路内の冷却液を冷却する。
【選択図】図1

Description

この発明は、沸騰冷却方法、当該沸騰冷却方法を実施する沸騰冷却装置、およびこの沸騰冷却装置を備えた応用製品に関する。
液体を加熱していくと次第に液温が上昇し、やがて液温がそれ以上に上昇しない「飽和温度」に達する。さらに加熱すると、液体内部で「液体の気化」が発生する。この状態が沸騰であり、上記飽和温度は沸騰点と呼ばれる。
沸騰状態では、液温は上昇せず、加熱により液体に加えられるエネルギーは「液体内部で液体を気化」するのに消費される。この熱エネルギーは「潜熱」と呼ばれている。潜熱は、液体を温度上昇させる熱エネルギーに比して極めて大きい。したがって、液体の沸騰を利用することにより大きな冷却効果をあげることができる。
沸騰を利用した冷却は「沸騰冷却」と呼ばれ、従来から種々の沸騰冷却装置が提案されている。
例えば、冷却用液体を収容する容器と該冷却用液体内を通るパイプとからなり、被冷却体としての半導体素子を冷却用液体に浸漬して行ない、前記パイプ内に前記冷却用液体よりも沸点の低い液体を循環させるようにした、浸漬方式の沸騰冷却装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
沸騰現象は一般に以下の如き経過を辿る。
液体中に例えば金属等による「加熱ブロック」の表面を浸漬し、加熱ブロックを加熱してその伝熱面温度を上昇させる。伝熱面温度がある程度まで高くなると、加熱ブロックの伝熱面に「大きさが1mm程度以下の微少な気泡」が発生する。この状態は「加熱ブロックの表面に接する液層部分の温度が飽和温度に達し、上記表面部分で沸騰が生じている状態」である。
液体の沸騰による冷却の効果を表す物理量として「熱流束」がある。説明中の例に喩えて言えば、熱流束とは「加熱ブロックの表面(液体に接している表面、上記「伝熱面」)の単位面積から単位時間あたりに液体に移る熱量」であり、熱流束が大きいほど冷却効果が大きい。
加熱ブロックの伝熱面に微少な気泡が発生するようになると「熱流束の増加率」が増大し、加熱ブロックの加熱をさらに続けると、加熱ブロックの伝熱面で発生する気泡の量も増大し、熱流束も大きな増加率をもって増大しつづけるが、やがて飽和する。
このように「熱流束が飽和した状態」は、加熱ブロック表面が「大きな気泡」で覆われた状態となっている。
即ち、伝熱面での微少な気泡の発生量が増大すると、発生した気泡同士が合体して、伝熱面の大きさにもよるが数cmにもなる「大きな気泡」に成長する。このように大きく成長した気泡は「押し潰されたような厚みの薄い気泡」であり、このような大きな気泡が加熱ブロック表面に付着していると、付着部では加熱ブロックと液体が直接に接触しないため沸騰が阻害され、熱流束が飽和するのである。このときの熱流束は「限界熱流束」と呼ばれている。
熱流束が限界熱流束に達した後も加熱ブロックを加熱すると、大きな気泡の部分で伝熱面が乾き始めて伝熱面温度の急激な上昇に伴って熱流束は急激に減少し、冷却効果が急速に低下する。加熱がさらに続くと、大きな気泡に覆われた部分で伝熱面は完全に乾き、この部分は「薄い蒸気膜で覆われた状態」となる。そして、この乾燥した部分では、加熱ブロックの熱エネルギーが輻射熱として液体へ伝えられ、熱流束は再び増加に転ずるが、伝熱面は液体に接していないため加熱ブロックの温度も上昇し、この温度が加熱ブロックの融点を越えれば伝熱面は「焼損」する。
加熱ブロックの伝熱面に微少な気泡が発生し始める状態から、熱流束が限界熱流束に達するまでの沸騰形態は「核沸騰」と呼ばれ、限界熱流束状態から熱流束が減少し、熱流束が再度増加に転ずるまでの沸騰形態は「遷移沸騰」、熱流束の変化が再度増加に転じた以後の沸騰形態は「膜沸騰」とそれぞれ呼ばれる。
即ち、液体中に浸漬した加熱ブロックを加熱しつづけると、核沸騰、遷移沸騰、膜沸騰の沸騰形態が順次に現れ、ついには加熱ブロックの焼損に至るのである。通常、限界熱流束以後「遷移沸騰から膜沸騰を経て焼損に至るプロセス」は極めて迅速に生じ、制御が著しく困難であるところから、沸騰冷却は従来、一般に「限界熱流束以下の核沸騰の領域」で行われていた。即ち、従来の沸騰冷却方法では、例えば、長さ1〜2cmの伝熱面に対してせいぜい100W/cm程度の熱流束(約100℃)しか得られないのが一般的であった。
一方、高い熱流束を得るために種々の試みがなされており、例えば、ノズルを用い、沸騰気泡を速やかに消滅させて高い冷却効率を狙う冷却装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2に開示されているのは、主として半導体デバイスを発熱体とする冷却装置であって、2種類のノズルを用い、第1のノズルから低温冷媒液を発熱体に向けて噴射し、発熱体の熱によって沸騰気泡を発生させて「気液2相状態の高温冷媒液」とし、第2のノズルから同じ低温冷媒液を該高温冷媒液に向けて噴射させて急冷し、沸騰気泡を凝縮・消滅させて冷却を行うものである。この冷却方式では「120℃程度の温度領域で200W/cm程度の熱流束」が得られると考えられ、半導体デバイスのような短い伝熱面の冷却には適するが、より大きな伝熱面の冷却は困難と考えられる。
気泡微細化沸騰冷却に関する説明はなされていないが、沸騰冷却方法として、冷媒(冷却液)が流通される流路に対し、隔壁を介して副流路を形成し、副流路にも冷媒を通じ、「隔壁に設けた補給孔」を通して副流路の側から冷媒を供給し、温度上昇した冷媒の温度を下げることにより、「成長途上にある気泡」を凝縮崩壊させるにより、「気泡の分割」を行う方法等が提案されている(特許文献3)。
特許文献3に提案される方法は、大きく成長した気泡を副流路から供給排出される冷媒によって崩壊分割させて、熱流束を高めようとするものである。
しかしながら、例えば、電力変換用のインバータに用いられる「高発熱密度電子デバイス」のICパッケージのような伝熱面長さが10〜30cm程度の長い被冷却面(以下、単に「冷却面」ともいう)の冷却には、今後、300W/cm程度以上の熱流束が得られる冷却方法が必要になるものと予想されるが、特許文献3に提案される方法は、この要求に応じることは困難であると考えられ、大きく成長した気泡の崩壊時に「騒音」が発生する問題がある。
さらに、例えば、5cm程度あるいはそれ以下の短い被冷却面については、管状流路を流通させる冷却液によって冷却するやり方が従来から一般的に行なわれていたが、このやり方によると300W/cm程度以上の熱流束が得られるものの、「騒音」が発生する問題がある。
ところで、冷却液を被冷却体の冷却面に沿わせて流通させつつ沸騰冷却を行う場合に、冷却液を予め「飽和温度より低い温度」にサブクールして冷却面に供給すると、冷却の開始からある程度の時間範囲では「遷移沸騰への移行」を生ずることなく、相当の高温度領域まで核沸騰形態を維持して良好な沸騰冷却を実現できることが報告されている(非特許文献1)。
冷却液を冷却面に沿わせて流通させつつ沸騰冷却を行う場合、冷却液がサブクールされていると、冷却面からの熱は、冷却面に接する冷却液の温度を、急速に飽和温度まで昇温させ、そののち沸騰を生じさせる。このとき昇温して沸騰を生じるのは「冷却面近傍の薄い層状の部分」であり、この層状部分の外側の領域には、サブクール状態、即ち、飽和温度よりも温度の低い冷却液が存在していると考えられる。
このような沸騰の生じている層状領域の外側の「飽和温度よりも温度の低い冷却液」は、沸騰状態にある「層状領域の冷却液の温度」を低下させる。この温度低下により「沸騰状態の冷却液中の気泡は、収縮し、あるいは崩壊」する。
このように、サブクールされた冷却液を用いると、伝熱面から「より多くの熱」を冷却液に伝えることができ、限界熱流束を高めることができる。
冷却液として「サブクール度の大きな液」を用いると、遷移沸騰領域において成長した合体気泡と液体との気液界面の温度を低下させ、気泡を凝縮(沸騰現象と逆の現象)によって微細な気泡に崩壊させ、伝熱面に液体を供給できるので、膜沸騰に移行することなく再び沸騰による冷却が行われ、熱流束を「通常の限界熱流束より高める」ことができる。この現象は「気泡微細化沸騰」と呼ばれている。
しかしながら、サブクールした冷却液を用いて沸騰冷却を行う場合でも、冷却液が冷却面に沿って流れる時間の経過と共に、冷却液全体の温度が次第に上昇し、サブクールによる効果は不可避的に減じていくため、相当の高温度領域で、かつ「遷移沸騰を起こすことなく大きな冷却面積に対して実施」することには限度がある。
近年、電力変換用のインバータに用いられる「高発熱密度電子デバイス」のICパッケージでは伝熱面長さが通常10〜30cmあるが、このような伝熱面の長い被冷却面の冷却を可能とする冷却方法が望まれている。また、例えば、電気自動車における急加速あるいは異常運転によって発熱が急上昇する場合のような「巾広い熱負荷変動」にも対応可能な冷却方法が求められており、今後、300W/cm程度以上の熱流束が得られる冷却方法が必要になるものと予想されるが、従来の冷却方法でこの要求に応じることは極めて困難であると考えられ、これらの要望に対応可能な沸騰冷却方式の出現が望まれている。
また、冷却効率の高い沸騰冷却方式が実現できても、寒冷地での使用や、高空領域等の低温雰囲気中に晒して使用される場合において、冷却液が凍結してしまうとその折角の機能を活かせなくなったり、動作の保証が得られない。
特開昭61−54654号公報 特開平5−136305号公報 特開2005−79337号公報 「気泡微細化を伴うサブクール流動沸騰」(第41回日本伝熱シンポジウム講演論文集(2004年6月)Vol.1、第19〜20頁)
本発明は、上述したところに鑑み、沸騰現象のプロセスにおいて、遷移沸騰の生じ得る高い温度領域において、核沸騰による沸騰冷却を、より大きな冷却流路長に対して可能ならしめ、且つ、寒冷地又は低温雰囲気中での使用を可能ならしめる沸騰冷却方法とその装置を実現することを課題とする。
本発明はまた、伝熱面の発熱が低温領域から従来にない高温領域まで、巾広い熱負荷変動にも連続的に対応でき、且つ、寒冷地又は低温雰囲気中での使用が可能な沸騰冷却方法とその装置を実現することを課題とする。
本発明はさらに、小型軽量化と省エネ型の実用的な沸騰冷却方法とその装置を実現することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、冷却対象の冷却面に接して、冷却液の流路となる主流路を設けるとともに、この主流路と隔壁を介して副流路を設け、かつ該主流路と該副流路間の隔壁を貫通して先端部が該冷却面に近接又は当接するように該副流路側から複数のノズルを突設させた冷却装置が、上記課題を解決するのに効果的であることを確認し、本発明をするに至った。
即ち、本発明の沸騰冷却装置は、被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面(以後、「伝熱面」とも言う。)として、上記冷却面に接する主流路と、該主流路と隔壁を介して設けられた副流路と、上記副流路側から上記隔壁を貫通し、先端部が上記冷却面に近接又は当接するように設けられた複数のノズルとを有する流路構造体と、上記流路構造体の上記主流路と上記副流路とに、サブクール状態の冷却液を供給し、流通させる冷却液供給・流通手段とを有し、上記冷却液は不凍液であることを特徴とする。
なお、表面に密接する伝熱部材の表面とは、例えば、ヒ−トスプレッダのような「発熱体に密着させた金属板」のように、熱伝導で熱の流れを広げる機能を有する表面等を挙げることができる。
ノズル先端の開口部は冷却面に対応設置していることが特に重要であり、またノズルは冷却面に略垂直に設けられることが特に好ましく、冷却効果を高めるのに有効である。
後述するように、ノズルとしては、管状体で、開口部に「切り欠き構造」があるものとないものとを用いることができるが、切り欠き構造があるノズルの場合には、開口部を冷却面に当接させ、切り欠き構造にないノズルの場合には、開口部を冷却面に近接させて設置することが好ましい。
本発明の沸騰冷却装置の実施に用いるノズルは、ノズルから排出される冷却液によって気泡を微細化して冷却効果を発揮させるため、冷却面に対し突設し近接あるいは当接させているが、さらに、主流路内にノズルが突設されているために、その表面は必然的に「主流路内で冷却面を冷却後、昇温した液体から熱を吸収する放熱フィン効果」を有し、そのために、ノズルを構成する材料は、熱伝導性であり、さらにノズルの配列形態や配列密度等を適宜に選択して設定することが好ましい。
また、本発明の沸騰冷却装置の実施に用いる冷却液は、不凍液である。不凍液としてはエチレングリコールを主成分とした「エチレングリコールと水からなる」ものが一般的であるが(請求項2)、これに限定される趣旨ではなく、凝固点を低下させるエタノールやメタノール等と水との混合液でもよい。
ここで「不凍液」とは、JISK2234に規格されるものを含むことは勿論、水のみの場合よりも凝固点を低下させる液を含む概念を指す。
また、装置の経時劣化を抑制するために、防錆・防食のための添加剤が添加されていることが望ましい(請求項3)。
請求項1記載の沸騰冷却装置は、以下の如き特徴を有する。
主流路と副流路とにはサブクール状態の冷却液を流通させ、主流路を流れる冷却液の沸騰により冷却面を冷却するとともに、副流路の側から各ノズルを介して、副流路側の冷却液を冷却面近傍に供給する。
このように、副流路から、主流路内の冷却液とは隔離された状態で冷却面近傍に供給されたサブクール状態の冷却液が、沸騰により主流路内に発生した気泡の近傍あるいは底部に入るようにし、冷却面から気泡を離脱させ、あるいは成長した気泡を細分化(微細化)し、気泡による冷却低減現象を排除し、冷却に寄与させることを狙いとしている。
主流路において冷却面に1mm程度の大きさの微少な気泡が発生し、この気泡が成長して数mm程度になって、冷却面に近接したノズル開口部に付着すると、ほとんど流れのない副流路内の冷却液がノズルに移動し、この部分でノズル内の冷却液が主流路内に「滲み出す」ように供給される(請求項5)。「副流路内から主流路内に供給される冷却液」は、ノズル開口部の近傍にある気泡を効果的に除去又は細分化すると同時に冷却液を有効に冷却する。
冷却面に当接あるいは近接したノズルからの冷却液の滲みだし効果により「成長し大きくなった気泡の底部及び周辺」に滲み出した冷却液が供給されて気泡が除去又は細分化される。この請求5記載の沸騰冷却方法を以下「パッシブ冷却方法」と呼ぶ。
「パッシブ冷却方法」における主流路の流速は極めて小さいことが好ましく、例えば、0.03〜0.06m/秒程度の流速にして、60〜70W/cm程度までの熱流束の除熱を可能とするものである。従って該「パッシブ冷却方法」は、冷却液を主流路内で低流速で流し、かつ、副流路側からノズルを通して滲み出す状態にして、上記限界熱流束を達成可能としているため、省エネ型で冷却装置の小型軽量化に適した極めて実用的な沸騰冷却方法である。
請求項4記載の記載の沸騰冷却装置は、上記「気泡微細化沸騰現象」を用いたものであり、以下の如き特徴を有する。
冷却液供給・流通手段が、冷却液を副流路側から主流路側へ、複数のノズルを通して圧力差で強制的に供給する。この請求項4記載の沸騰冷却方法を「アクティブ冷却方法」と呼ぶ。
主流路内に当初から流す冷却液は冷却面を冷却するが、上記沸騰現象によって主流路内の冷却面に生じ「冷却の障害となる沸騰気泡」を、ノズルにより副流路側から強制的に冷却面近傍に噴出状態で供給される冷却液(サブクール液)が、微少な気泡に崩壊させて障害を排除し、冷却面を冷却する。また、ノズルから供給される冷却液は主流路内を流れる冷却液を冷却する効果をもたらす。
「アクティブ冷却方法」における冷却液の流速は、主流路内では0.3〜0.6m/秒、副流路内では0.5〜1.0m/秒に、それぞれ調整することが好ましい。
本発明の冷却装置において、先端部を冷却面に近接又は当接するように突設されるノズルの、「近接」の場合のノズル先端部と冷却面との間隔は「ノズルが供給する冷却液による気泡微細化機能と放熱フィン機能とを発揮できる」大きさであれば良く、特に制限はないが「パッシブ冷却方式単独の装置」及び「パッシブ冷却方式とアクティブ冷却方式の併用装置」の場合には、例えば0.1〜1mm程度が効果的である。「アクティブ冷却方式単独の装置」の場合には、冷却液の噴射圧力レベルに応じ、該間隔をより広くすることができる。
後述するように、アクティブ冷却方法では、冷却流路内に微少な気泡が生じても、これら微少な気泡は瞬時に0.1mm以下程度の「極めて微細な気泡」に崩壊され、大きな気泡に成長する余地がなく、高熱流束沸騰冷却を長い伝熱面で実現することができる。また、気泡が大きく成長しないので「気泡崩壊時の振動」も小さく、低振動、低騒音の高熱流束沸騰冷却が可能となる。
上記の如く「冷却面」は、冷却の対象となる被冷却物自体の表面もしくは、伝熱部材の表面である。伝熱部材が用いられる場合には、伝熱部材は被冷却物の表面に密接して設けられ、伝熱部材を介して被冷却物の沸騰冷却が行われる。
冷却面の表面形状は、主流路・副流路の形成が可能な形状であれば良く、平面であってもよいしシリンダ面等の曲面であっても良い。勿論、被冷却面が平面である場合には、主流路・副流路の形成が容易である。
また、本発明の流路構造体の冷却面を構成する被冷却物もしくは被冷却物に密接にする伝熱部材の、少なくともその表面を構成する材料として、先述のように、金属板のように、熱伝導で「発熱体からの熱の流れ」を広げる機能を有する部材ばかりでなく、超親水性材料を用いることができる。
伝熱面を超親水性材料からなる膜(超親水性膜)にすることによって、伝熱面の濡れ性が向上して気泡離脱が促進し、その結果、本発明の流路構造体における剛針による気泡微細化効果と相俟って、限界熱流束を向上させることができる。
超親水性材料としては、例えば、特許第3340149号、特許第3147251号、特許第259931号、特開2005−55066、特開2002−062069、特開2001−1336890、特開2000−144052、特開2000−103645等の挙げられているものを、本発明の流路構造体を用いる製品に応じて適宜適用可能可能である。
本発明者等の実験によると、500〜600℃で形成されたセラミック超親水性膜は、限界熱流束を10〜20%増加させ、また特に、超微小重力環境下では気泡が大きくなる前に離脱させる効果が高いことを検証した。
冷却対象物としては、例えば、高発熱密度の電子機器、ハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換インバータ、コンピュータ、スーパーコンピュータ、鉄道、航空機の電力システムの電力変換インバータ等を構成する、あるいはこれらに装着される伝熱部材を挙げることができる。
「サブクール」は、冷却液の温度を「被冷却面との接触部で冷却液に沸騰が生じる飽和温度よりも低い温度」にすることを意味する。冷却液の飽和温度(主流路内で沸騰が生じる温度)とサブクールされた冷却液との温度差を「サブクール度」と呼ぶ。
上記請求項4記載のアクティブ冷却方法は、主流路における「冷却面の下流側端部」でサブクール度が20K(ケルビン温度)以上となるように、冷却液のサブクール度と流量と、主流路と副流路の冷却液の圧力差を設定することが好ましい。
請求項5記載のパッシブ冷却方法と、請求項4記載のアクティブ冷却方法とを「冷却条件により切り替える」ことができる(請求項6)。即ち、被冷却面の温度がさほど高くなく、被冷却面で生じた気泡の成長が比較的緩慢である場合には、ノズルを通じて「副流路側から主流路側へ滲み出す冷却液」により気泡を微細化させるのみでも、沸騰形態が「核沸騰形態から遷移沸騰に移行」するのを有効に抑えることができ、遷移沸騰による熱流束の低下なしに、高い冷却効果を実現できる。なお、主流路を流れる冷却液の流速を大きくし、冷却面への単位時間あたりの冷却液供給量を大きくすることにより、パッシブ冷却方法でもかなりの高温領域まで沸騰冷却形態を維持することが可能である。
パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法との「冷却条件による切り替え」は、主流路と副流路の冷却液の圧力差を、徐々に変化させ、あるいは急激に変化させる等、状況に応じて行うことができる。従って、パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法とを切り替える方法を採用する場合には、アクティブ冷却方法におけるように、冷却液を強制的に噴出させて供給することに必ずしも限定されない。
冷却面の温度がより高くなりパッシブ冷却方法では「遷移沸騰への移行」を抑えきれない状況では、アクティブ冷却方法により微少な気泡を崩壊させることにより、遷移沸騰への移行を有効に防止することができ、「主流路のみへの冷却液供給では遷移沸騰が生じるような温度領域」においても良好な沸騰冷却を実現することができる。
従って本発明の冷却方法は、低熱流束域ではパッシブ方式、高熱流束域ではアクティブ方式が用いられ、それぞれ別装置にしても併用装置とすることもできる。「パッシブ冷却法」と「アクティブ冷却法」を別装置で実施するか併用装置で実施するかの選択は、発熱体の熱流束の大小に依る。併用装置にすると、実用面では、熱流束が低熱流束域から高熱流束域まで変化するような、熱負荷変動の大きな発熱体の冷却に対応可能であり、本発明の最も大きな特徴の1つである。
発明者等の実験によれば、目安として、発熱密度が約60〜70W/cm程度未満の低熱流束域では「パッシブ冷却法」を用い、発熱密度が70〜100W/cmではパッシブ冷却法で主流路の流速を0.5m/秒に増加することにより、またそれ以上の500W/cm程度までの高熱流束域では「アクティブ冷却法」を用いることが好ましく、実用的であることを確認した。
また、「パッシブ冷却法」から「アクティブ冷却法」へ、またはその逆の切り替えは、例えば、冷却面に設置された熱流束センサの信号により、主流路および副流路の冷却液の流量を制御することにより容易に行うことができる。
また、パッシブ・アクティブ冷却併用装置にする場合には、例えば「流体ループで主流路系と副流路系にそれぞれポンプをつけて流量を制御する方法」と「ポンプ1つで流量調整弁によって流量を制御する方法」がある。
本発明の沸騰冷却方式は、長い伝熱面に対して、装置の構造を変えない併用装置によって、低熱流束域から高熱流束域までの除熱をパッシブ方式とアクティブ方式を用いることにより連続的に行うことを可能にしたものである。
これは、例えば、電気自動車のインバータの様に運用上発熱負荷が変化する高発熱密度機器の冷却に対応できるものである。
本発明の沸騰冷却装置においては「ノズルの配列密度を、主流路の下流側ほど密になるようにし、副流路からの冷却液の供給量を、主流路の下流側ほど増大させる」ことが好ましい。
冷却液の流れの向きは「主流路と副流路とで同じ向き」としてもよいし、「主流路と副流路における流れの向きを互いに逆向き」にしても良い。冷却液の流れの向きを「主流路と副流路とで互いに逆」にすると、主流路の下流側ほど副流路では上流側となる。アクティブ冷却方法では、サブクールされた冷却液がノズルから主流路へ供給されるが、主流路では下流側ほど冷却液の温度が飽和温度に近づいているので、上記の如く、主流路・副流路で冷却液の流れの向きを逆にし、ノズルの配列密度を主流路の下流側ほど密になるようにし、主流路の下流側ほど副流路からの(サブクール度の大きい)冷却液の供給量を増大させることにより、主流路内の冷却液の温度を有効に低下させ、気泡崩壊の効果を維持することが容易になる。
ノズルの「配列形態や配列密度」は、前述の「ノズルの放熱フィン効果」を左右することにもなり、主流路内の冷却液の特性とその流速等を考慮に入れて、調整することが好ましい。
本発明の沸騰冷却装置に用いられる冷却液は、凍結対策を考慮しない場合、上記「ノズルから滲み出る冷却液や、ノズルから噴出される冷却液により、気泡を、微細化あるいは崩壊させることのできるもの」であれば、特に制限無く使用することができるが、入手容易性、低コスト性、取り扱いの容易性、安全性、化学的・物理的安定性等の観点から、水あるいはアルコール、もしくは、水とアルコールの混合液、または、フッ素系不活性液体が好適である。「水」は、環境保全の面から言えば、冷却液として特に好適なものである。フッ素系不活性液体としては「フロリナート(登録商標 住友スリーエム社)」が市販されている。
本発明のアクティブ冷却方法では、気泡を「大きく成長する前」に微細化あるいは崩壊させるので、振動あるいは騒音が少ない利点があることは上述したとおりであるが、本発明者は、冷却液として上記混合液を用いると、振動あるいは騒音の低減効果とさらに向上でき、かつより高い熱流束が得られることを実験的に確認した。
即ち、アルコールとしてエチルアルコール、プロピルアルコールそれぞれを、水に対し5〜15%の割合で混合した液を冷却液として用い、本発明のアクティブ方式による沸騰冷却を行ったところ、いずれの混合液とも「水のみによる冷却液」に比して、気泡崩壊時の圧力振動が50%程度軽減するばかりでなく、30〜50%程度高い熱流束を得ることができた。
このように圧力振動を軽減できる理由は、混合液の表面張力が水よりも小さいため、気泡が崩壊しやすく、崩壊時の圧力振動も水だけの場合に比して小さいためであると考えられる。
高い熱流束を得られる理由は、水とアルコールの混合液の沸騰では、高温の伝熱面近傍で沸点の低いアルコール分が先に蒸発し、伝熱面の気泡付着箇所の近傍と混合液との間で濃度差が生じ、この濃度差が気泡と混合液の界面に表面張力の差を生じさせ、気液界面の気泡上部の温度の低い大きな表面張力に混合液が引張られて、気泡上部に向かう流れ(マタンゴニ対流という)が生じているものと考えられる。
このため、冷却液側から補うように「気泡と伝熱面の付着面」に向かって冷却液が供給され、気液交換が促進され、気泡微細化沸騰において水のよりも高い熱流束が得られるものと考えられる。
アルコール類と水との混合液は、濃度によっては不凍液としての機能も発現するため、凍結対策も同時に実現できる。
本発明における冷却の対象物、即ち、前記「被冷却物」には特に制限はないが、実用的な見地からすると、原子炉の炉心部分や、車両用インバータ等の各種半導体デバイスの冷却につきこの発明による沸騰冷却は有効である。例えば、現在広く用いられている、Si基板を用いるIGBTは、高出力化に伴い発熱密度が増加する傾向にあり、このような半導体デバイスに対する冷却として、この発明の冷却方法は極めて有効である。
また、近来「高温作動が可能なSiC半導体デバイス」の実用化が意図されているが、SiCはまだ高価なため、現在のSiベースのパワーデバイス(IGBT)がしばらくは優勢であろうが、本発明は「高温作動、高発熱密度のSi素子」の冷却にも好適である。また、現在のSiベースのパワーデバイス(IGBT)の高負荷使用にも十分対応可能である。
本発明の沸騰冷却装置における流路構造体は、以下の如きと特徴を有する。
被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面として、冷却面に一体的に形成される主流路およびこの主流路に重なるように隔壁を介して一体的に形成される副流路と、副流路側から隔壁を貫通し、先端部が冷却面に近接もしくは当接するように形成された複数のノズルを有する。
このように、主流路・副流路は一体構造であり、主流路は冷却面に一体化されるから、冷却面は「流路構造体の構成要素」である。そして、冷却面は被冷却物の表面もしくは伝熱部材の表面である。したがって、被冷却物の表面を冷却面とする場合には「冷却面の実体をなす被冷却物自体も流路構造体の一部を構成する」ことになる。
即ち、流路構造体は、被冷却物を構成要素の一部として、被冷却物と一体的に構成することができる。また、伝熱部材の表面を冷却面とする場合には、伝熱部材に一体化して主流路・副流路を形成して「被冷却物とは別体の流路構造体」となし、その伝熱部材を被冷却物の表面に密接させて配置することにより、被冷却物の冷却を行うようにすることができる。流路構造体は熱伝導性の良い材料で構成される。例えば、金や銀やアルミニウムは大きな熱伝導率を持ち、特に、銀は熱伝導率の高さの点で流路構造体の材料として適しているが、コストの面からするとアルミニウムが好適である。
特に、熱伝導率の高い材料で構成されるノズルは、前述した「放熱フィン効果」をもたらすのに有効である。
さらに、流路構造体の材料として、熱伝導性の良いものばかりでなく、安定した耐錆性、耐腐食性、耐熱性の高いものを使用することが好ましく、例えば、耐錆性処理を施したアルミニウム、ステンレス、さらにセラミックス等が使用可能である。
流路構造体においては、複数のノズルの先端部に対向する冷却面の表面が平滑または、微細な凹凸構造を有し、上記複数のノズルの先端部が、上記平滑面に近接もしくは微細な凹凸構造に当接した構成とすることができる。
また、流路構造体において、複数のノズルの先端部に対向する冷却面の表面が微細な凹凸構造を有するようにし、複数のノズルの先端部が上記微細な凹凸構造に当接する構成とすることもできる。この場合、冷却面の表面の微細な凹凸構造は「粗面構造」としてもよいし、「環状もしくは螺旋状または主流路に沿って形成された細溝の集合」とすることもできる。
冷却面の表面を「微細な凹凸構造」とすると、冷却面の表面積が広がり、冷却液への熱の移動量を大きくできるとともに、ノズル先端部を冷却面に当接させることができ、ノズル先端部と冷却面の間隙が有効に小さくなって「冷却液の滲み出し」が有効に促進される。また、複数のノズルを「流路構造体の強度を高める手段」として使用することが可能となる。
流路構造体において、各ノズルの先端部に「微少な貫通孔および/または微細なスリットおよび/または切欠き」を1以上有するように構成できる。
このような微少な貫通孔、スリット、切欠きを有するノズルを使用すると、副流路から流れる冷却液を分散して主流路内に供給し、より効果的に気泡崩壊を行うことになるので好ましい。ノズルが、先端部に上記微少な貫通孔、スリット、切欠き等を有する場合には「冷却面が平滑面の場合」であってもノズル先端部を冷却面に当接させることができる。
また、流路構造体において「副流路の流路断面積を主流路の流路断面積より大きくし、これら断面積の差により副流路の圧力が高くなるように動圧差を生じさせる構成」とすることができる。
流路構造体においては、主流路を「冷却面に沿って、冷却液の流れの方向に直交する方向」へ1以上の分離隔壁により分離した構成とすることができる。また、副流路を「主流路との隔壁に沿って、冷却液の流れの方向に直交する方向」へ、1以上の分離隔壁により分離した構成とすることもできる(請求項7)。
また、流路構造体は「主流路と副流路とを、同数の分離隔壁により整合格子状に分離した構成」とすることができる。「整合格子状」とは、主流路の分離隔壁と副流路の分離隔壁とが互いに整合的に対応し、これら分離隔壁により分離された主流路部分・副流路部分の配列が「冷却液の流れの方向に直交する配列方向において互いにずれていない」状態をいう。
流路構造体は「ノズルの配列密度が、主流路の下流側ほど密になるように構成」とすることが好ましい。
「冷却液供給・流通手段」は、流路構造体の主流路と副流路とに流通され、冷却面の冷却に供される液体であるサブクール状態の冷却液を流路構造体に供給し、主流路と副流路とに流通させる手段である。冷却液の流通の向きは、主流路と副流路とで同じ向きでもよいし、互いに逆の向きでもよい。
沸騰冷却装置による「冷却の対象物」である被冷却体に特に制限はないが、前述のように実用的な見地からして、原子炉の炉心部分や、各種の半導体デバイス(例えば、車載用インバータやSi−IGBTインバータ等、Si基板やSiC基板を用いる半導体デバイス)の冷却に対して、この発明の沸騰冷却装置による沸騰冷却は極めて有効である。
請求項9記載の発明では、稼動中に熱を発生し該熱の冷却手段を構成要素とする製品であって、請求項1〜7の任意の1に記載の沸騰冷却装置を上記冷却手段とすることを特徴とする。
請求項10記載の発明では、請求項9記載の製品において、発熱体を有し、上記沸騰冷却装置を構成する上記流路構造体の管状流路が、上記発熱体の表面を管壁として一体的に形成された電子素子または燃料電池であることを特徴とする。
請求項11記載の発明では、請求項9記載の製品において、電子素子と伝熱部材とを主構成要素とする高発熱密度電子機器が搭載された、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置、又はコンピュータもしくはスーパーコンピュータ、又は、鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であって、上記沸騰冷却装置を構成する上記流路構造体の管状流路が上記伝熱部材の表面を管壁として形成されたことを特徴とするハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置又はコンピュータもしくはスーパーコンピュータ、鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であることを特徴とする。
以上に説明したように、この発明によれば、従来にない沸騰冷却方法および沸騰冷却装置、該沸騰冷却装置を備えた製品を提供できる。
沸騰冷却による微少な気泡は、冷却面の極く近傍で発生するが、この発明では、副流路を流れる冷却液がノズルを通して冷却面に近接した開口部から供給されるので、冷却面近傍で発生した微少な気泡を効率的に微細化もしくは崩壊させ、遷移沸騰領域への「沸騰形態の移行」を有効に抑制でき、「従来の沸騰冷却方法であれば遷移沸騰となるような高温領域」においても、核沸騰による良好な沸騰冷却を実現することが可能である。
また、この沸騰冷却機能を寒冷地又は低温雰囲気中での使用においても、冷却液の凍結トラブルを来たすことなく享受でき、さらには装置の腐食による経時劣化を抑制して長寿命化を図ることができる。
以下、実施の形態を説明する。
図1(a)は、沸騰冷却装置の実施の1形態を要部のみ、説明図として略示している。
図1(a)において、符号obは「被冷却物」を示している。被冷却物obは、例えばインバータ等の半導体デバイスであって発熱源H1、H2、H3等を有し、これら発熱源に接して「放熱手段」であるヒートスプレッダSPが形成されている。即ち、ヒートスプレッダSPは被冷却物obの構成部分であり、ヒートスプレッダSPの外側表面が「冷却面」である。
符号10は「流路構造体部分」を示す。流路構造体部分10は、この実施の形態においてはヒートスプレッダSPの表面を冷却面として、冷却液用の主流路10Aおよび副流路10Bを、冷却面(ヒートスプレッダSPの表面)の側から上記順序に形成されている。
即ち、流路構造体部分10は「被冷却物obの構成要素であるヒートスプレッダSP」に一体化されるから、被冷却物obと共に「流路構造体」を構成する。流路構造体部分10は、例えばアルミニウム等の熱伝導性の良い材料で構成される。
図1(b)は、流路構造体部分10の内部構造を説明図として示している。主流路10Aは、冷却面であるヒートスプレッダSPの表面を「冷却面」として形成されており、副流路10Bは、隔壁10Cにより主流路10Aと分離されている。そして、副流路10Bの側から隔壁10Cを貫通し、先端部が冷却面(ヒートスプレッダSPの表面)に近接するように(ここでは冷却面に対向するように)複数のノズルNZが形成されている。
主流路10A、副流路10Bの、図1(b)上下方向における大きさは数mm〜10数mmの範囲である。ノズルNZは図1(c)に示すように「中空シリンダ状」で、内径:1〜2mm程度、外径:2.5〜4mm程度であり、先端部は、冷却面の表面に0.1〜1mm程度の間隙を介して近接する。この実施の形態においては「冷却面は平滑面で、ノズルNZと冷却面との間に間隙を隔している」が、後述する図2(a)、(b)及び(c)の例にあるようなノズルを用いる場合には、ノズル先端部を冷却面に当接させることもできる。
即ち「流路構造体部分10と被冷却物obとで構成される流路構造体」は、被冷却物obの表面(ヒートスプレッダSPの表面)を冷却面として、冷却面に一体的に形成される主流路10Aおよびこの主流路に重なるように隔壁10Cを介して一体的に形成される副流路10Bと、副流路10B側から隔壁10Cを貫通し、先端部が冷却面に近接するように形成された複数のノズルNZとを有する流路構造体である。また、複数のノズルNZの先端部に対向する冷却面は平滑面であり、複数のノズルNZの先端部は、平滑面に、微少な間隙を隔して近接している。
ここでは、コンパクト化を考慮して主流路10Aと副流路10Bを隔壁10Cを介して上下方向に重なるように設けたが、この構成に限定される趣旨ではない。上述した副流路10Bからの冷却液の供給による「冷却面の気泡の除去、細分化」に主眼を置くと、副流路10B内の冷却液のサブクール度は大きい方がよく、換言すれば、副流路10Bに導入された冷却液の、主流路10Aの冷却液の温度上昇によるサブクール度の低下が少ない方がよい。
このためには、例えば隔壁10C又は副流路10B全体を断熱材で構成すればよく、主流路10Aと副流路10Bとの間に隙間を設けて空気断熱層としてもよい。
図1(a)に示すように、符号20は「冷却液容器」、符号21は「冷却液」を夫々示す。また、符号30、40はポンプ、符号31A、31Bは「主流路用管路」、符号41A、41Bは「副流路用管路」を示し、符号50は凝集手段(ラジエータ)を示している。
ポンプ30、40、凝集手段50は「図示されない制御手段」により制御される。制御手段による制御については後述する。
冷却液21としては、寒冷地又は低温雰囲気中での沸騰冷却装置の動作を保証するために、エチレングリコールを主成分とする不凍液を用いている。
表1に示すように、水との混合液として不凍液の特性を発現させるものは、エチレングリコール以外にも複数種あり、冷却のための沸騰作用との関係から選定することができる。
Figure 2008028124
凍結対策が必要でない場合には、冷却液21としては、水あるいはアルコールもしくは、水とアルコールの混合液、または、フッ素系不活性液体を好適に用いることができる。水とアルコールの混合液の場合には、不凍液の機能も得ることができる。
また、経時的に金属腐食が進行すると、沸騰冷却装置の早期劣化を招くので、不凍液に酸化防止剤、防錆剤(アミン系又はノンアミン系)等を添加するのが望ましい。
冷却を行うときには、冷却液容器20内の冷却液21をポンプ30により汲み上げ、主流路用管路31Aを通して流路構造体部分10の主流路10Aに供給する。主流路10Aに供給された冷却液21は主流路10Aを流れつつ被冷却物obの沸騰冷却を行う。主流路10Aを通過した冷却液21は、主流路用管路31B内を流れて冷却液容器20内に戻されるが、その途上に於いて凝集手段50に依り凝集される。
凝集手段50は主流路用管路31B内に組み込まれた凝集部51と、この凝集部51に冷却風53を吹き付けるファン52とにより構成される。凝集部51は流路を長く取っており、冷却液21はこの部分を流れる間に冷却風53により冷却され、凝集して冷却液容器20に戻される。
一方、ポンプ40は冷却液容器20内の冷却液21を汲み上げ、副流路用管路41Aを通して流路構造体部分10の副流路10Bに供給する。副流路10Bに供給された冷却液21は副流路10Bを流れつつ、その一部をノズルNZにより主流路10Aへ供給し、副流路10Bを通過すると、副流路用管路41B内を流れて冷却液容器20内に戻される。
図1に示す沸騰冷却装置では、冷却液容器20に収容される同じ冷却液21が主流路10Aと副流路10Bに供給されるが、冷却液21は予めサブクールされており、サブクール状態での供給を維持するために、冷却液容器20から各流路に至る箇所にサブクール手段を設けることができる。
また、冷却液容器を2つ設けて、そこから主流路10Aと副流路10Bそれぞれに冷却液を供給する沸騰冷却装置とすることができ、さらに必要に応じて、副流路10Bに供給する冷却液をサブクール液にするためのサブクール手段を設けることができる。
即ち、図1に実施の形態を示す沸騰冷却装置は、被冷却物obの表面を冷却面として、冷却面に一体的に形成される主流路10Aおよびこの主流路に重なるように隔壁10Cを介して一体的に形成される副流路10Bと、副流路10B側から隔壁10Cを貫通し、先端部が冷却面に近接するように形成された複数のノズルNZとを有する流路構造体と、この流路構造体の主流路10Aと副流路10Bとに流通される冷却液21と、この冷却液21を流路構造体に供給し、主流路10Aと副流路10Bとに流通させる冷却液供給・流通手段(30、31A、31B、40、41A、41B)とを有している。
ここで、流路構造体部分10における可能な構成例を説明する。
図1に示す実施の形態において、ノズルNZは、図1(c)に示すように「中空シリンダ状」で、冷却面の表面に近接する先端部も開口部の周囲は平滑な面となっている。図2に示すのは「ノズルの形態の別例」である。
図2に示す3つのタイプのノズルNZa、NZb、NZcは、何れも中空シリンダ状であるが、冷却面に近接する部分に特徴があり、ノズルNZaでは、冷却面に近接する先端部に1以上の微少な貫通孔K1、K2、K3・・を有し、ノズルNZbでは、冷却面に近接するノズル先端部に微細な切欠きKR1、KR2、KR3・・を有し、ノズルNZcでは、冷却面に近接するノズル先端部に微細なスリットSL1、SL2、SL3・・を形成されている。
これら貫通孔、切欠き、スリットの形成・個数は特に制限ないが、3〜6個程度を略等間隔に形成するのが実用的である。ノズルの形態は上記の如きものに限らず「冷却面に向かって縮径する形状」等、種々の形態が許容される。
図3は、流路構造体部分の内部の形態を例示する図であり、流路構造体内部を流れる冷却液の流れ方向に直交する仮想的断面で切断した端面の状態を示している。
図3(a)に例示する、流路構造体部分12では、内部は主流路12Aと副流路12Bとに分離されており、主流路・副流路とも「単一流路」である。符号12aは主流路10Aに冷却液を通ずる主流路用管路の「主流路12Aへの連結部」を示す。符号12bは副流路10Bに冷却液を通ずる副流路用管路の「副流路12Bへの連結部」を示す。
図3(b)に例示する、流路構造体部分13では、内部は主流路13Aと副流路13Bとに分離されている。主流路13Aは、冷却面に沿って「冷却液の流れの方向に直交する方向(図の左右方向)」へ、1以上の分離隔壁によりn個の主流路部分13A1、・・13Ai、・・13Anに分離されており、副流路13Bも、主流路13Aとの隔壁に沿って冷却液の流れの方向に直交する方向(図の左右方向)へ、1以上の分離隔壁によりn個の副流路部分13B1、・・13Bi、・・13Bnに分離されている。
即ち、主流路13Aと副流路13Bとは同数の分離隔壁により分離されている。主流路13Aの分離隔壁と副流路13Bの分離隔壁とは、図の如く互いに整合的に対応し、これら分離隔壁により分離された主流路部分13Ai・副流路部分13Biの配列は、冷却液の流れの方向に直交する配列方向(図の左右方向)において互いにずれていない。
即ち、主流路13Aと副流路13Bとは同数の分離隔壁により「整合格子状」に分離されている。
なお、図3(b)において、各主流路部分の内部に描かれた破線の円は、主流路13Aの各主流路部分13Aiに冷却液を通ずる主流路用管路の「各主流路部分への連結部」を示し、各副流路部分の内部に描かれた破線の円は、副流路13Bに冷却液を通ずる副流路用管路の「各副流路部分への連結部」を示す。
また、図3(b)に示す流路構造体部分13では、副流路13Bを構成する各副流路部分13Biの流路断面積が、主流路13Aを構成する各主流路部分13Aiの流路断面積より大きく、これら断面積の差により「副流路の圧力が高くなるように動圧差を生じさせる構成」である。このような動圧差により副流路の圧力を高めることにより「副流路から主流路への冷却液の滲み出しによる供給」を有効に助長できる。
図1に示した実施の形態においては「主流路10Aを流れる冷却液と副流路10Bを流れる冷却液の流れの向きが互いに逆」である。図3(b)に示す流路構造体部分13のように「主流路・副流路が整合格子状に分離」されている場合には、主流路13Aを構成する全ての主流路部分13Aiにおける冷却液の流れの向きを「同じ向き」とし、副流路13Bを構成する全ての副流路部分13Biにおける冷却液の流れの向きを「同じ向き(主流路における流れの向きと、同じ向きもしくは逆の向き)」としてもよいが、図3(c)に示すように、隣接する流路部分における冷却液の流れを「互いに逆向き(各流路部分内の「三角印」は図面の表から裏ヘ向かう流れ、「×印」は図面の裏から表へ向かう流れを表す。)」に設定することもできる。
図4に、冷却面の形態の例を示す。
図4(a)に示したのは、図1(b)、(c)に即して説明した場合の例であり、各ノズルNZの先端部が微少な間隙を介して近接する冷却面RSは平滑面である。
図4(b)、(c)に例示するのは、複数のノズルの先端部に対向する冷却面の表面が「微細な凹凸構造」を有し、複数のノズルの先端部が「微細な凹凸構造に当接」する場合である。
図4(b)、(c)に示す例では、冷却面RSb、RScの表面の微細な凹凸構造は、主流路(図面に直交する方向)に沿って形成された細溝の集合である。
溝の形状は、図4(b)に示すように「V字溝」でもよいし、図4(c)に示す「断面矩形形状の溝」でもよく、さらには「U字溝」や「断面が半円形状や半楕円形状の溝」等、種々の形態の溝が許容される。溝幅は、ノズル先端部の断面径の「数分の1」程度が良い。また、溝の形成状態も「主流路に沿って形成」する場合の他、環状もしくは螺旋状に形成することもできる。また、溝を形成する変わりに「冷却面を粗し処理」して粗面構造としてもよい。
パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法とを別装置で実施する場合には、被冷却体の冷却面として、パッシブ冷却方法の場合には溝付きのものが、アクティブ冷却方法の場合には平滑のものを用いることが効果的である。
図4においては、ノズルとして、図1(b)、(c)に即して説明したノズルNZを例示したが、図2に即して説明したノズルNZa、NZb、NZc等を用い得ることは言うまでもない。前述の如く、図2のノズルNZbやNZcを用いる場合には、ノズル先端を平滑面RSに当接させても良い。
図1に示す実施の形態においては、同図(b)に示すように、ノズルNZは「主流路における冷却液の流れの方向へ等間隔」に形成されているが、図5に示す変形例のように、ノズルNZ(図2に示すノズルNZa、NZb、NZc等の場合も同様である。)の配列密度を「主流路の下流側(図5において図の右方)ほど密になる」ようにしてもよい。
さて、図1に示した実施の形態においてパッシブ冷却方法を実施する場合を説明する。
前述した如く、パッシブ冷却方法を実施する場合には、冷却液21をサブクールする必要は必ずしもない。図1の実施の形態においては、冷却液容器20の上部は開放しているので、主流路・副流路に流通される冷却液の圧力は1気圧に近い状態であり、ポンプ30、40による加圧もさほど大きくは無い。従って、冷却液21の飽和温度は100℃近傍の温度であり、冷却液21は実質的に100℃としておいても良い。
しかし、図1の実施の形態の沸騰冷却装置は「パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法とを切り替えて実施」するものであるので、パッシブ冷却方法からアクティブ冷却方法に切り替えた場合に「直ちにアクティブ冷却方法を実施できる」ように、パッシブ冷却方法を実施する場合においても冷却液をサブクールする。
サブクール度は、冷却液21の流量や、アクティブ冷却方法を実施する場合の主流路と副流路の冷却液の圧力差等に応じて、冷却面における主流路の下流側端部でサブクール度が20K以上となるように設定する。サブクールは、冷却液容器20内の冷却液21の温度、主流路出口温度、副流路出口温度等に基づき、凝集手段50におけるファン52による冷却風53の風量制御により、冷却液容器20内の冷却液21の温度に「所定のサブクール度」を持たせるように行われる。
図1の実施の形態により「パッシブ冷却方法」を行うときは、ポンプ30、40を作動させて、冷却液21を主流路10A、副流路10Bに夫々供給する。このとき、ポンプ30、40による冷却液21の供給量は同じでよい。従って、パッシブ冷却方法のみを実施する沸騰冷却装置の場合であれば、ポンプ30と40とを同一のポンプとし、冷却液容器20からポンプまでの主・副流路用管路を共通化することもできる。
上記の如く、主流路10Aと副流路10Bとに冷却液21を流通させ、主流路10Aを流れる冷却液の沸騰により冷却面(ヒートスプレッダSPの表面)を冷却するとともに、副流路10Bの側から各ノズルNZを介して、副流路内の冷却液を冷却面近傍に供給し、主流路内の冷却面を冷却する。
図6は、パッシブ冷却方法による沸騰冷却中における「主流路内の状態」を説明図的に示している。冷却液21は主流路内を冷却面に接しつつ、図の左方へ向かう矢印の向きに流れる。このとき核沸騰が生じ、冷却面から微少な気泡BLが発生する。発生した気泡BLは冷却液21と共に、冷却面に沿って流れつつ、若干成長して気泡の大きさが増す。
このように大きさを増した気泡BLGが、図示の如く、ノズルNZの開口部に掛かると、図の如く、ノズル開口部に「メニスカス面」が形成され、メニスカス面の外側(気泡の外側)が低圧となって毛管現象を生じ、副流路側の冷却液21が主流路内に供給される。
供給された冷却液は「若干成長した気泡BLG」を冷却面から分離・除去、又は分断・微細化する。このようにして、若干成長した気泡BLGは除去又は「微細な気泡」に微細化される。
気泡BLGは、大きいといっても高々数mm程度の大きさであり「熱流束を飽和させて沸騰形態を遷移沸騰形態に移行させるほどの大きさ」ではない。従って、パッシブ冷却方法での冷却が可能な発熱領域では、冷却液が主流路を流れる間において「気泡の微細化が繰り返される」ため、気泡が「沸騰形態を遷移沸騰形態に移行させるほどの大きさ」に成長することはなく、核沸騰状態を良好に維持して良好な沸騰冷却を実現できる。
即ち、図1に実施の形態を示す沸騰冷却装置は、パッシブ冷却方法を実施する場合には、冷却液供給・流通手段が、冷却液21を貯留させる冷却液容器20と、主流路10Aを通して冷却液容器20の冷却液を導液する主流路用管路31A、31Bと、冷却液21を主流路用管路により主流路10Aに流通させる主流路用ポンプ30と、副流路10Bを通して冷却液容器20の冷却液21を導液する副流路用管路41A、41Bと、冷却液21を副流路用管路により副流路10Bに流通させる副流路用ポンプ40と、主流路10Aを通過し、主流路用管路41Bを通って冷却液容器20に戻る冷却液21を凝集させる凝集手段50とを有するものである。
上に説明した毛管現象による冷却液の供給は「副流路側から主流路側へ冷却液を滲み出させる要因」の代表的なものである。冷却液を滲み出させる他の要因としては、例えば、「動圧差」を挙げることができる。
図1に実施の形態を示す沸騰冷却装置で「アクティブ冷却方法」を実施する場合には、主流路10Aと副流路10Bとに、予め所定の温度にサブクールした冷却液21を、副流路10Bにおける圧力を「主流路10Aにおける圧力」より高めて流通させ、主流路10Aを流れる冷却液の沸騰により冷却面を冷却するとともに、副流路10Bの側から各ノズルNZを介して、副流路側の冷却液を「主流路と副流路の冷却液の圧力差」により強制的に冷却面近傍に噴出させて供給することにより、主流路内10Aの冷却液を冷却し「沸騰により主流路10A内の冷却液に生じた微細な気泡」を崩壊させつつ冷却面の冷却を行う。
即ち、アクティブ冷却方法を実施する場合には、冷却液21は「所定の温度にサブクール」され、副流路10Bにおける冷却液の圧力を主流路10Aにおける冷却液の圧力より高めて流通させるために、ポンプ40の圧力をポンプ30の圧力よりも高くする。
冷却液容器20内の冷却液の温度は、前述の如く、冷却液21の流量や、上記「主流路と副流路の冷却液の圧力差」等に応じて、冷却面の下流側端部でサブクール度が20K以上となるように設定する。
アクティブ冷却方法の場合には、副流路側から主流路側へ、サブクールされた冷却液が強制的に供給されるので、核沸騰により生じた微少な気泡は殆ど成長する間もなく0.1mm程度以下の「極く微細な気泡」に崩壊し、消滅させられる。従って、パッシブ冷却方法では「遷移沸騰が生じてしまうような高温度領域」の冷却面に対しても、核沸騰による良好な沸騰冷却を実現することができる。
即ち、図1に実施の形態を示す沸騰冷却装置は、アクティブ冷却方法を実施する装置としては、冷却液供給・流通手段が、冷却液21を貯留させる冷却液容器20と、主流路10Aを通して冷却液容器20内の冷却液21を導液する主流路用管路31A、31Bと、冷却液を主流路用管路により主流路10Aに流通させる主流路用ポンプ30と、副流路10Bを通して冷却液容器内の冷却液を導液する副流路用管路41A、41Bと、冷却液を副流路用管路により副流路10Bに流通させる副流路用ポンプ40と、主流路10Aを通過し、主流路用管路31Bを通って冷却液容器20に戻る冷却液を冷却して凝集させる凝集手段50と、主流路用ポンプ30と副流路用ポンプ40とにより主流路10Aと副流路10Bに供給される冷却液21を、所定のサブクール度にサブクールするサブクール手段50とを有し、副流路に流通される冷却液の圧力を、主流路に流通される冷却液の圧力より高くする高圧化手段の働きにより、副流路用ポンプ40が主路用ポンプ30よりも高圧とされる。
また、図1に実施の形態を説明した沸騰冷却装置は、上に説明したように、パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法とを、冷却条件(被冷却体obの発熱量の多寡)により切り替える沸騰冷却方法を実施する装置である。
図1の実施の形態において、流路構造体部分10の構成として、図2〜図5に即して説明したものを適宜に用いることができることは言うまでもない。特に、図5に示した「ノズルNZの配列密度を、主流路の下流側ほど密になる」ようにした流路構造体部分を用い、主流路の下流側ほど副流路からの冷却液の供給量を増大させるようにして良好な沸騰冷却を実現することができる。
先に述べたように、図1に示す実施の形態では「制御手段」による制御が行われる。
図7は制御手段70による制御の様子を説明図として簡単に示している。
制御手段70は「マイクロコンピュータ」である。上には説明しなかったが、図1に示した実施の形態では各種のセンサが用いられ、「冷却面温度」、「主流路入口温度・主流路入口圧力・主流路入口流量・主流路出口温度・主流路出口圧力」、「副流路入口温度・副流路入口流量・副流路出口温度・副流路出口圧力・副流路出口流量」、「凝縮部出口温度・冷却液容器温度・冷却液容器圧力」が検出される。
これらのうち、各種温度の検出は「サーミスタ等の温度センサ」により行われ、各種圧力の検出は「ピトー管等の圧力計」により行われ、各種流量の検出は「ベンチュリ管等の流量計」により行われる。
これら各種温度、流量、圧力等の検出結果は制御手段70に入力され、制御手段70は入力情報に応じて主・副流路用ポンプ30、40の駆動、凝集手段50のファン51の駆動力の強弱、「主流路・副流路圧力安全弁、冷却容器圧力安全弁」を制御して、冷却動作に支障がでないようにする。また、冷却面温度が急激に上昇した場合(冷却面温度が上昇しすぎて冷却面の焼損が生じた場合が考えられる。)には被冷却体の電源を遮断する。
制御手段70はまた冷却面温度の高低に応じ、主・副流路用ポンプの駆動力を切り替え、この切り替えにより「パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法との切り替え」を行う。
即ち、図1に実施の形態を示した沸騰冷却装置は「主流路用ポンプの圧力を高低切り替える圧力切り替え手段として制御手段70を有し、パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法とが冷却条件により切り替え可能」である。
また、制御手段70により主流路・副流路の安全弁(バルブ)を制御することにより、アクティブ冷却の際の「副流路に流通される冷却液の圧力を、主流路に流通される冷却液の圧力より高く」するようにしても良く、この場合には、主流路・副流路の安全弁(バルブ)が「高圧化手段」、これを制御する制御手段が「圧力切り替え手段」を構成する。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を説明する。
(実施例1)
実施例装置の構成は、図1に即して説明した実施の形態を示したのと同様ものである。
被冷却体obとして半導体デバイスであるインバータを用いる場合を想定し、インバータのヒートスプレッダとして、幅:100mm、長さ:150mmのものを想定した。
ヒートスプレッダ上に、ヒートスプレッダ表面を冷却面として、図1に即して説明した如き流路構造体部分を、上記スプレッダの長さ方向を流路方向としてアルミニウムにより構成し、この流路構造体部分とインバータとを一体として「流路構造体」とし、主流路・副流路を共に、図3(b)に示すタイプのものの如く、冷却液の流れの方向に直交し、且つ、冷却面に平行な方向へ、隔壁により「整合格子状」に分割する場合を想定した。上記のように分割された各主流路部分・副流路部分を「チャンネル」と呼ぶ。
また、主流路・副流路とも5チャンネルで、各チャンネルの形状を主流路・副流路ともに同じとし、幅(冷却液の流れの方向に直交し、且つ、冷却面に平行な方向の長さ):20mm、長さ:100mm、高さ:5mmを想定した。
上記の如き想定に基づき、想定上の1チャンネルの1/2のモデル、即ち、幅:10mm、長さ:100mm、高さ:5mmの実験用チャンネルを持つ実験用流路構造体を構成し、副流路と主流路を隔てる隔壁を貫通して主流路内に突出するノズルは、実験用チャンネルの幅方向中央部に10mm間隔で、9本のノズルを直線的に配列させて配置した。個々のノズルは図1(c)に示したタイプのものであり、内径:1mm、外径:3ミリで、冷却面に対して1mmの間隙をあけて近接させた。冷却面は平滑面である。
上記実験用流路構造体を用い、冷却液としてサブクール度が40Kの蒸留水を、主流路に流速:0.5m/秒で供給し、副流路には流速:0.3m/秒で供給して「アクティブ冷却方法」を実施したところ、1cm当たり300W以上、最大450Wの熱流束による良好な沸騰冷却を実現でき、被冷却体の焼損は発生しなかった。
この結果は、本発明の沸騰冷却方法が、450W/cmの除熱熱流束が得られる程の155℃程度の高い温度領域において、100mmの冷却流路長(主流路内冷却液の流れ方向)の被冷却体に対して適用可能であることを立証するものである。
(実施例2)
図2(c)の切り欠きタイプのノズルと流路構造体の材質としてステンレスを用いた以外、流路構造体の構成が実施例1に記載のものを用いて、パッシブ冷却方法とアクティブ冷却方法を行った。
冷却液として蒸留水を用い、サブクール度40K、主流路・流速0.05m/秒の条件で、ニードルノズルから冷却液を冷却面に向けて浸み出す状態で供給して、「パッシブ冷却方法」を実施したところ、60W/cmの除熱熱流束が得られた。
その後、冷却面に設置された温度センサによって、冷却面の温度と熱流束を検知し、冷却面の発熱量が増加するに従って、冷却液の流量を変化させて、主流路の流速を増加させ、発熱密度が100W/cm当たりから、主流路に流速:0.55m/秒で、副流路には流速:0.3〜0.9m/秒の間で、発熱量に応じて変化させ、ノズルから冷却面へのサブクール液の供給を噴射状態に切り替えて「アクティブ冷却法」を実施したところ、振動も騒音もほとんど発生せずに、最大500W/cmの除熱熱流束が得られた。
この結果は、本発明の沸騰冷却方法が、500W/cmの除熱熱流束が得られる程の160℃程度の高い温度領域において、長さ10cmの大きな冷却流路長の被冷却体に対して適用可能であり、しかも、巾広い熱負荷変動にも連続的に対応可能なものであることを立証するものである。
本発明のパッシブ冷却方法は、主流路内の流速を極めて低くして、冷却液駆動力が極めて小さくして省エネ型冷却を実現したものであり、パーソナルな実用的な製品分野、例えば、家庭用の小規模の燃料電池用発電装置に適用可能なものである。
一方、本発明のアクティブ冷却方法では、副流路の冷却液が連続して強制的に主流路へ供給され、上記の如く、冷却面で発生する微少な気泡は瞬時に「極く微少な気泡」に崩壊される。
このように、本発明のアクティブ冷却方法によると気泡が実質的に成長せず、微少な気泡は瞬時に崩壊されるので、極めて静かな運転状態で冷却を行うことができ、高熱流束冷却を安定して維持することができる。
換言すれば伝熱面上に形成される気泡を大きくなる前に微細化して除熱限界を高め、その結果、伝熱部材の焼損を発生させずにより高温領域での冷却を、かつ伝熱面の長さがより長いのものの冷却を可能としたものである。
これに対し「気泡が大きくなってから崩壊させる冷却方法」では、気泡の成長と崩壊が繰り返し生じることになって、本発明のような高熱流束冷却を得ることは出来ないばかりでなく、「かなりの騒音」が発生する。
本発明のパッシブ冷却方法は、主流路内の流速を極めて低くして、冷却液駆動力が極めて小さくして省エネ型冷却を実現したものであり、パーソナルな実用的な製品分野、例えば、家庭用の小規模の燃料電池用発電装置に適用可能なものである。
一方、本発明のアクティブ冷却方法では、副流路の冷却液が連続して強制的に主流路へ供給され、上記の如く、冷却面で発生する微少な気泡は瞬時に「極く微少な気泡」に崩壊される。
このように、本発明のアクティブ冷却方法によると気泡が実質的に成長せず、微少な気泡は瞬時に崩壊されるので、極めて静かな運転状態で冷却を行うことができ、高熱流束冷却を安定して維持することができる。
換言すれば伝熱面上に形成される気泡を大きくなる前に微細化して除熱限界を高め、その結果、伝熱部材の焼損を発生させずにより高温領域での冷却を、かつ「伝熱面の長さがより長いもの」の冷却を可能としたものである。
これに対して、気泡が大きくなってから崩壊させるやり方では、気泡の成長と崩壊が繰り返し生じることになって、本発明のような高熱流束冷却を得ることは出来ないばかりでなく、「かなりの騒音」が発生する。
また、本発明におけるパッシブ法とアクティブ法は、冷却対象である伝熱部材等、必要に応じて別装置とすることもできるが、併用装置にして、圧力調整によって冷却液の供給状態を変化させ、低発熱時には滲み出し状態で行ない、発熱量が高い場合には噴射状態にし、例えば電気自動車における急加速あるいは異常運転によって発熱が急上昇する場合には最大の噴射状態にして行ない、500W/cm以上の高発熱まで連続的に対応できるものである。
本発明は、従来技術の沸騰冷却の冷却限界を大幅に向上させることができ、かつ巾の広い熱負荷変動に対応可能にしたことが最もめざましい特徴・効果を有するものである。
本発明の沸騰冷却装置が適用される技術・製品分野(以下、製品と称する)としては、稼動中に熱が発生しその熱を冷却する冷却手段を構成要素とするものであれば、特に限定されない。
例えば、パソコンのような発熱体を有する電子機器または発熱体を有する燃料電池、ハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換インバータ又はコンピュータもしくはスーパーコンピュータ、鉄道電車あるいは航空機の電力システムの電力変換インバータ等を挙げることができ、従って、本発明の沸騰冷却装置が広い技術分野における伝熱部材(加熱ブロック)の適用可能な、対環境性、対省エネ性の発展性のある技術と言うことができる。
すなわち、パソコンのような発熱体を有する電子機器または発熱体を有する燃料電池では、本発明の沸騰冷却装置は、流路構造体の主流路と発熱体の表面とを一体的に形成した構成とし、製品とすることができる。
また、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車並びに燃料電池発電装置の電力変換制御装置又は鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置については、電力変換のためのインバータ、電力制御の電子パッケージを含む複数の電子素子および伝熱部材(例えば、ヒートスプレッダ)を主構成要素とする電子機器が搭載され、本発明の沸騰冷却装置は、流路構造体の主流路を伝熱部材の表面に取り付けて一体的に形成した構成とし、製品とすることができる。
このような電子機器としては、一般的に高発熱密度電子機器が用いられており、例えば50kW以上のような高い電力が扱われるので、単位面積当たりの発熱量が多く、発熱密度が100W/cm以上、さらには300W/cmにもなることも考えられるが、このような電子機器の冷却に対しても、本発明は好適である。
一方、本発明の流路構造体およびこの流路構造体を構成要素として備えた沸騰冷却装置は、それぞれ単独の製品として扱うこともできる。
流路構造体を単独の製品として扱う場合には、沸騰冷却装置の構成要素として設置する際に、被冷却物の大きさ、放熱器の最適取り付け場所、空間余裕によって配管の長さ等を調節することができるが、冷却液が入っていないため、放熱器、送液ポンプ等を含む冷却系を組み上げた時に空気が入らないように冷却液を注入することが必要とされる。
また、沸騰冷却装置を単独の製品として扱う場合には、冷却液容器に冷却液が予め貯留された構成のものであっても、貯蔵されていない構成のものであっても、いずれのものも製品とすることができるが、冷却液容器に冷却液が予め貯留された構成のものの場合には、予め冷却液を封入した状態で扱うことができるので、冷却液液注入と空気抜き作業を省略することができる。
以上のように、本発明の沸騰冷却装置は、広い技術分野における伝熱部材(加熱ブロック)に適用可能な、対環境性、対省エネルギー性に対して発展性のある技術と言うことができる。
沸騰冷却装置の実施の1形態を説明するための図である。 ノズルの形態を3例示す図である。 主流路・副流路の断面形態の2例と冷却液の流れの向きの例を説明するための図である。 冷却面の形態を3例説明するための図である。 ノズル配列の1例を説明するための図である。 パッシブ冷却方法における気泡の崩壊を説明するための図である。 発明の実施の形態における制御系統を説明するための図である。
符号の説明
ob 被冷却体
10 流路構造体部分(被冷却体obと一体化されて流路構造体をなす。)
10A 主流路
10B 副流路
NZ ノズル
21 冷却液
30 主流路用ポンプ
40 副流路用ポンプ

Claims (11)

  1. 被冷却物の表面もしくは該表面に密接する伝熱部材の表面を冷却面として、上記冷却面に接する主流路と、該主流路と隔壁を介して設けられた副流路と、上記副流路から上記隔壁を貫通し、先端部が上記冷却面に近接もしくは当接するように設けられた複数のノズルとを有する流路構造体と、
    上記流路構造体の上記主流路と上記副流路とに、サブクール状態の冷却液を供給し、流通させる冷却液供給・流通手段とを有し、
    上記冷却液は不凍液であることを特徴とする沸騰冷却装置。
  2. 請求項1記載の沸騰冷却装置において、
    上記不凍液は、エチレングリコールを主成分とすることを特徴とする沸騰冷却装置。
  3. 請求項1又は2記載の沸騰冷却装置において、
    上記不凍液は、防錆・防食のための添加剤を含むことを特徴とする沸騰冷却装置。
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
    上記冷却液供給・流通手段が、上記冷却液を上記副流路側から上記主流路側へ、上記複数のノズルを通して圧力差で強制的に供給するものであることを特徴とする沸騰冷却装置。
  5. 請求項1〜3の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
    冷却液供給・流通手段が、上記冷却液を上記副流路側から上記主流路側へ、上記複数のノズルを通して、上記主流路内の上記冷却液の状態変化により自然供給するものであることを特徴とする沸騰冷却装置。
  6. 請求項1〜3の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
    上記冷却液供給・流通手段が、上記冷却液を上記副流路側から上記主流路側へ、上記複数のノズルを通して圧力差で強制的に供給する構成と、上記冷却液を上記副流路側から上記主流路側へ、上記複数のノズルを通して、上記主流路内の上記冷却液の状態変化により自然供給する構成を有し、いずれかの供給構成に選択的に切換可能であることを特徴とする沸騰冷却装置。
  7. 請求項1〜6の任意の1に記載の沸騰冷却装置において、
    上記流路構造体における少なくとも上記主流路が、上記冷却液の流通方向に直交する流路幅方向において、隔壁により複数チャンネルに分割されていることを特徴とする沸騰冷却装置。
  8. 請求項1〜7の任意の1に記載の沸騰冷却装置を用いる沸騰冷却方法。
  9. 稼動中に熱を発生し該熱の冷却手段を構成要素とする製品であって、請求項1〜7の任意の1に記載の沸騰冷却装置を上記冷却手段とすることを特徴とする製品。
  10. 請求項9記載の製品において、
    発熱体を有し、上記沸騰冷却装置を構成する上記流路構造体の管状流路が、上記発熱体の表面を管壁として一体的に形成された電子素子または燃料電池であることを特徴とする製品。
  11. 請求項9記載の製品において、
    電子素子と伝熱部材とを主構成要素とする高発熱密度電子機器が搭載された、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置、又はコンピュータもしくはスーパーコンピュータ、又は、鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であって、上記沸騰冷却装置を構成する上記流路構造体の管状流路が上記伝熱部材の表面を管壁として形成されたことを特徴とするハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車、燃料電池発電設備の電力変換制御装置又はコンピュータもしくはスーパーコンピュータ、鉄道電車あるいは航空機用の電力システムの電力変換制御装置であることを特徴とする製品。
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