JP2008028093A - 半導体レーザ装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リッジストライプ近傍における空洞の発生を防ぐと共に、リッジストライプ側方の形成する層の層厚ばらつきや不連続性をなくして、歩留まりを向上させることができて安定して動作する半導体レーザ装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】p型GaAsキャップ層107に対してはエッチング可能であるが、p型AlGaAs第2上クラッド層106に対してはエッチング不可能である第1のエッチャントに対して、p型AlGaAs中間層120は被エッチング速度が略0であり、かつ、p型GaAsキャップ層107に対してはエッチングが不可能であるが、p型AlGaAs第2上クラッド層106に対してはEcというエッチング速度を持つ第2のエッチャントに対して、p型AlGaAs中間層120は被エッチング速度がEiである。p型AlGaAs中間層120はEc,EiがEi<Ecの関係を満たす層である。
【選択図】図1G
【解決手段】p型GaAsキャップ層107に対してはエッチング可能であるが、p型AlGaAs第2上クラッド層106に対してはエッチング不可能である第1のエッチャントに対して、p型AlGaAs中間層120は被エッチング速度が略0であり、かつ、p型GaAsキャップ層107に対してはエッチングが不可能であるが、p型AlGaAs第2上クラッド層106に対してはEcというエッチング速度を持つ第2のエッチャントに対して、p型AlGaAs中間層120は被エッチング速度がEiである。p型AlGaAs中間層120はEc,EiがEi<Ecの関係を満たす層である。
【選択図】図1G
Description
本発明は、例えば、CD−ROM(読み出し専用コンパクトディスク)、CD−R(書き込み可能なコンパクトディスク)やCD−RW(複数回のデータの書き換えが可能なコンパクトディスク)等の光ディスク装置に使用され、高出力時においても基本横モードで安定に発振する半導体レーザ装置およびその製造方法に関する。
従来の半導体レーザ装置の基本構造は例えば特開2003−69154号公報(特許文献1)に開示されている。
上記半導体レーザ装置の基本構造は、図3Eに示すように、n型GaAs基板301上に、n型AlGaAs下クラッド層302、AlGaAs活性層303、p型AlGaAs第1上クラッド層304、p型GaAsエッチングストップ層305、p型AlGaAs第2上クラッド層306、p型GaAsキャップ層307が順次積層された構造である。
上記p型AlGaAs第2上クラッド層306とp型GaAsキャップ層307がリッジストライプ312を形成している。このリッジストライプ312の周りには、n型AlGaAs電流ブロック層308およびp型GaAs平坦化層309が形成されている。
上記p型GaAsキャップ層307、n型AlGaAs電流ブロック層308およびp型GaAs平坦化層309上にはp型GaAsコンタクト層410が配置されている。
以下、上記半導体レーザ装置の製造工程について説明する。
上記製造工程では、まず、有機金属気相成長法などにより、図3Aに示すように、n型GaAs基板301上に、n型AlGaAs下クラッド層302、AlGaAs活性層303、p型AlGaAs第1上クラッド層304、p型GaAsエッチングストップ層305、p型AlGaAs第2上クラッド層306およびp型GaAsキャップ層307を順次積層する。
さらに、図3Bに示すように、上記p型キャップ層307上に、一般的なフォトリソグラフィ技術を用いて、ストライプ形状のマスク311を形成する。その後、硫酸系エッチャントにより、p型GaAsキャップ層307と、p型AlGaAs第2上クラッド層306の途中までをエッチングする。
さらに、図3Cに示すように、フッ酸系のエッチャントを用いて、p型AlGaAs第2上クラッド層306を、p型GaAsエッチングストップ層305が最表面になるまでエッチングする。これにより、上記リッジストライプ312がp型GaAsエッチングストップ層305上に形成される。
さらに、図3Dに示すように、上記レジスト311を除去したあと、有機金属気相成長法により、リッジストライプ312の周りに、n型AlGaAs電流ブロック層308およびp型GaAs平坦化層309を形成する。
最後に、図3Eに示すように、リッジストライプ312上の不要成長部を除去した後、p型GaAsコンタクト層310をリッジストライプ312上に形成する。
このような半導体レーザ装置においては、リッジストライプ312の幅や形状により、レーザ光の放射特性は大きく影響を受ける。
そこで、上述の構造形態、製造法においては、リッジストライプ312の形成法として、硫酸系のエッチングとフッ酸系のエッチングを併用することにより、深さ方向のエッチングと幅方向のエッチングを独立して制御することができるため、所望のリッジ幅を制御性よく作成することが可能となっている。
またさらに、フッ酸系のエッチャントでは、p型GaAsエッチングストップ層305はエッチングされないため、この層から立ち上がるメサ形状のリッジストライプを安定して得ることもできるようになっている。
しかしながら、特開2003−69154号公報においてはレーザの問題点が指摘されている。すなわち、上述のリッジストライプ形成方法を使用して、リッジストライプ312を形成する場合、p型GaAsキャップ層307の幅が、p型AlGaAs第2クラッド層306の幅より大きくなってしまう。要するに、上記p型AlGaAs第2クラッド層306の上部に対してp型GaAsキャップ層307の両側部がひさし状に張り出した形状となってしまう。
このような形状を有するリッジストライプ312の周囲に、有機金属気相成長法でn型AlGaAs電流ブロック層308を形成すると、ひさし(p型GaAsキャップ層307の両側部)の直下では成長が完全にならずに、図3D,図3Eに示す空洞330が生じてしまう。
また、上記リッジストライプ312の周囲に、有機金属気相成長法以外の方法で誘電体膜や電極膜などを形成する場合においても、上記ひさしの直下においては、層厚の減少や、膜の不連続性・空洞が生じる。
以上のような、ひさしの直下における層厚の減少や膜の不連続性・空洞は、素子特性における放射光特性のバラ付きを招くのはもちろん、特に高出力・高温動作時には、その空洞の存在によって、半導体レーザ装置の放熱特性の著しい低下を招き、動作電流の増加、キンクの発生を引き起こすこととなる。
また、特開2003−69154号公報においては、このようなひさしを低減する手法について、主張されているが、ひさしを完全に無くすには至っていない。
特開2003−69154号公報
そこで、本発明の課題は、リッジストライプ近傍における空洞の発生を防ぐと共に、リッジストライプ側方の形成する層の層厚ばらつきや不連続性をなくして、歩留まりを向上させることができて安定して動作する半導体レーザ装置およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の半導体レーザ装置は、
半導体基板上に、少なくとも、第1導電型下クラッド層、活性層、第2導電型第1上クラッド層、エッチング停止層、第2導電型第2上クラッド層、第2導電型中間層および第2導電型キャップ層が順次積層されて、
上記第2導電型第2上クラッド層、上記第2導電型中間層および上記第2導電型キャップ層が、共振器方向に延びるリッジストライプを形成して、
上記リッジストライプの両側に第1導電型電流ブロック層が形成された半導体レーザにおいて、
上記第2導電型キャップ層に対してはエッチング可能であるが、上記第2導電型第2上クラッド層に対してはエッチング不可能である第1のエッチャントに対して、上記第2導電型中間層は被エッチング速度が略0であり、
かつ、
上記第2導電型キャップ層に対してはエッチングが不可能であるが、上記第2導電型第2上クラッド層に対してはEcというエッチング速度を持つ第2のエッチャントに対して、上記第2導電型中間層は被エッチング速度がEiであり、
上記第2導電型中間層は、上記Ec,Eiが
Ei<Ec
の関係を満たす層であることを特徴としている。
半導体基板上に、少なくとも、第1導電型下クラッド層、活性層、第2導電型第1上クラッド層、エッチング停止層、第2導電型第2上クラッド層、第2導電型中間層および第2導電型キャップ層が順次積層されて、
上記第2導電型第2上クラッド層、上記第2導電型中間層および上記第2導電型キャップ層が、共振器方向に延びるリッジストライプを形成して、
上記リッジストライプの両側に第1導電型電流ブロック層が形成された半導体レーザにおいて、
上記第2導電型キャップ層に対してはエッチング可能であるが、上記第2導電型第2上クラッド層に対してはエッチング不可能である第1のエッチャントに対して、上記第2導電型中間層は被エッチング速度が略0であり、
かつ、
上記第2導電型キャップ層に対してはエッチングが不可能であるが、上記第2導電型第2上クラッド層に対してはEcというエッチング速度を持つ第2のエッチャントに対して、上記第2導電型中間層は被エッチング速度がEiであり、
上記第2導電型中間層は、上記Ec,Eiが
Ei<Ec
の関係を満たす層であることを特徴としている。
ここで、第1導電型とは、p型またはn型を意味する。また、第2導電型とは、第1導電型がp型の場合はn型、n型の場合はp型を意味する。
上記構成の半導体レーザ装置によれば、上記第2導電型中間層はEc,EiがEi<Ecの関係を満たす層であることによって、リッジストライプの形成時に第1,第2のエッチャントを用いることにより、第2導電型第2上クラッド層の最上部の幅と、第2導電型中間層の最下部の幅と、第2導電型中間層の最上部の幅と、第2導電型キャップ層の最下部の幅とが略等しい形状を容易に得ることができる。つまり、上記半導体レーザ装置は、ひさしのないリッジ形状が簡単に形成できる構造を有している。
したがって、上記リッジストライプ近傍における空洞の発生を防ぐと共に、リッジストライプ側方の形成する層の層厚ばらつきや不連続性をなくして、歩留まりを向上させることができて安定して動作する半導体レーザ装置を提供することができる。
一実施形態の半導体レーザ装置では、
上記第2導電型中間層は、上記Ec,Eiが
0.01×Ec<Ei<0.1×Ec
の関係を満たす層である。
上記第2導電型中間層は、上記Ec,Eiが
0.01×Ec<Ei<0.1×Ec
の関係を満たす層である。
上記実施形態の半導体レーザ装置によれば、上記第2導電型中間層はEc,Eiが0.01×Ec<Ei<0.1×Ecの関係を満たす層であるので、リッジストライプの形成時において、より精度良く、ひさしのないリッジストライプを形成できる。
一方、上記第2導電型中間層が0.01×Ec≧Eiの関係を満たす場合、第2導電型中間層を第2のエッチャントでエッチングしても、第2導電型中間層を十分にエッチングしきれない。このため、上記第1,第2のエッチャントを用いてリッジストライプを形成すると、第2導電型中間層にすべき層が第2のエッチャントでエッチングしきれずに残ってしまいます。
また、上記第2導電型中間層がEi≧0.1×Ecの関係を満たす場合、第2導電型中間層を第2のエッチャントでエッチングすると、第2導電型中間層がすぐになくなってしまう。このため、上記第1,第2のエッチャントを用いてリッジストライプを形成すると、第2導電型中間層にすべき層がすぐになくって、第2導電型中間層がない状態でのエッチングが行われる結果、リッジストライプにひさしができてしまいます。
一実施形態の半導体レーザ装置では、
上記リッジストライプは、エッチャントが上記第2のエッチャントであり、かつ、エッチング時間がTcであるエッチングを用いて形成されていて、
上記第2導電型中間層の厚さはTHiであり、
上記第2導電型中間層は、上記Ec,Ei,Tc,THiが
Ei×Tc×0.8≦THi≦Ei×Tc×1.2
の関係を満たす層である。
上記リッジストライプは、エッチャントが上記第2のエッチャントであり、かつ、エッチング時間がTcであるエッチングを用いて形成されていて、
上記第2導電型中間層の厚さはTHiであり、
上記第2導電型中間層は、上記Ec,Ei,Tc,THiが
Ei×Tc×0.8≦THi≦Ei×Tc×1.2
の関係を満たす層である。
上記実施形態の半導体レーザ装置によれば、上記第2導電型中間層はEc,Ei,Tc,THiがEi×Tc×0.8≦THi≦Ei×Tc×1.2の関係を満たす層であるので、上記第2導電型中間層を十分薄くでき、構造の制御、ひいては特性の制御性を向上させることができる。
また、上記第2導電型中間層はEc,Ei,Tc,THiがEi×Tc×0.8≦THi≦Ei×Tc×1.2の関係を満たす層であるので、第2導電型中間層にすべき層が第2のエッチャントでエッチングしきれずに残るのを防ぐことができると共に、第2導電型中間層がない状態でエッチングが行われるのを防ぐことができる。
また、上記第2導電型中間層はEc,Ei,Tc,THiがEi×Tc×0.8≦THi≦Ei×Tc×1.2の関係を満たす層であるので、通常のリッジエッチングにおけるエッチング時間領域の延長で、適用することができる。
一実施形態の半導体レーザ装置では、
上記第2導電型第2上クラッド層、上記第2導電型中間層および上記第2導電型キャップ層の材料はIII−V族化合物半導体であり、
上記第2導電型第2上クラッド層および上記第2導電型中間層はAlを含んでおり、
上記第2導電型キャップ層はAlを含んでいない。
上記第2導電型第2上クラッド層、上記第2導電型中間層および上記第2導電型キャップ層の材料はIII−V族化合物半導体であり、
上記第2導電型第2上クラッド層および上記第2導電型中間層はAlを含んでおり、
上記第2導電型キャップ層はAlを含んでいない。
上記実施形態の半導体レーザ装置によれば、上記第2導電型第2上クラッド層、第2導電型中間層および第2導電型キャップ層の材料はIII−V族化合物半導体であり、第2導電型第2上クラッド層および第2導電型中間層はAlを含んでおり、第2導電型キャップ層はAlを含んでいないので、現在一般的に知られているエッチャントがリッジストライプの形成時に使用可能となる。
一実施形態の半導体レーザ装置では、
上記第2導電型中間層のAl混晶比が、上記第2導電型第2上クラッド層のAl混晶比と、上記第2導電型キャップ層のAl混晶比との中間の値である。
上記第2導電型中間層のAl混晶比が、上記第2導電型第2上クラッド層のAl混晶比と、上記第2導電型キャップ層のAl混晶比との中間の値である。
上記実施形態の半導体レーザ装置によれば、上記第2導電型中間層のAl混晶比が、第2導電型第2上クラッド層のAl混晶比と、第2導電型キャップ層のAl混晶比との中間の値であるので、第2導電型中間層のエッチング速度の調整が容易となる。
一実施形態の半導体レーザ装置では、
上記第2導電型中間層のAl混晶比が0.3から0.4の範囲内である。
上記第2導電型中間層のAl混晶比が0.3から0.4の範囲内である。
上記実施形態の半導体レーザ装置によれば、上記第2導電型中間層のAl混晶比が0.3から0.4の範囲内であるので、設計や成長方法の容易さを保つことができる。
また、上記第2導電型中間層のAl混晶比が0.3から0.4の範囲内であれば、光学的な設計も、中間層がない従来の半導体レーザ装置からの延長で、問題なく使用できる。
本発明の半導体レーザ装置の製造方法は、
上記半導体レーザ装置を製造する方法である半導体レーザ装置の製造方法において、
上記リッジストライプの形成時には、上記第2導電型第2上クラッド層にすべき層と、上記第2導電型中間層にすべき層と、上記第2導電型キャップ層にすべき層とを、一部の幅が略等しい形状に加工した後、上記第1のエッチャントにて、上記第2導電型キャップ層にすべき層の幅を減少させて、上記第2のエッチャントにて、上記第2導電型第2上クラッド層にすべき層と上記第2導電型中間層にすべき層との幅を減少させることを特徴としている。
上記半導体レーザ装置を製造する方法である半導体レーザ装置の製造方法において、
上記リッジストライプの形成時には、上記第2導電型第2上クラッド層にすべき層と、上記第2導電型中間層にすべき層と、上記第2導電型キャップ層にすべき層とを、一部の幅が略等しい形状に加工した後、上記第1のエッチャントにて、上記第2導電型キャップ層にすべき層の幅を減少させて、上記第2のエッチャントにて、上記第2導電型第2上クラッド層にすべき層と上記第2導電型中間層にすべき層との幅を減少させることを特徴としている。
上記構成の半導体レーザ装置の製造方法によれば、リッジストライプの形成時には、第2導電型第2上クラッド層にすべき層と、第2導電型中間層にすべき層と、第2導電型キャップ層にすべき層とを、一部の幅が略等しい形状に加工した後、第1のエッチャントにて、第2導電型キャップ層にすべき層の幅を減少させて、第2のエッチャントにて、第2導電型第2上クラッド層にすべき層と第2導電型中間層にすべき層との幅を減少させる。そうすると、上記第2導電型第2上クラッド層の最上部の幅と、第2導電型中間層の最下部の幅と、第2導電型中間層の最上部の幅と、第2導電型キャップ層の最下部の幅とが略等しい形状を確実に得られる。つまり、ひさしのないリッジストライプを、リッジ形状の形成精度を落とすことなく、確実に作成することができる。
一実施形態の半導体レーザ装置の製造方法では、
上記第1のエッチャントが、アンモニアと過酸化水素水と水との混合溶液である。
上記第1のエッチャントが、アンモニアと過酸化水素水と水との混合溶液である。
上記実施形態の半導体レーザ装置の製造方法によれば、上記第1のエッチャントが、アンモニアと過酸化水素水と水との混合溶液であることによって、この第1のエッチャントは混合比を変えることによって、Al組成比に対するエッチング速度を変えることができるので、今までの発明を実現するための材料、構造の選択の幅が広がるメリットがある。
一実施形態の半導体レーザ装置では、
上記第2のエッチャントがフッ酸溶液である。
上記第2のエッチャントがフッ酸溶液である。
上記実施形態の半導体レーザ装置の製造方法によれば、上記第2のエッチャントがフッ酸溶液であることによって、フッ酸溶液はAl組成によってエッチング速度が異なるので、本発明を実現するための材料、構造の選択の幅が広がるメリットがある。
本発明の半導体レーザ装置によれば、ひさしのない形状のリッジを簡単に、また精度良く実現することができ、高出力・高信頼性のレーザ素子が実現できるものである。
以下、本発明の半導体レーザ装置およびその製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、以下の実施の形態および比較例において、AlxGa1−xAs(0<x<1)をAlGaAsと記載する場合がある。
本発明の一実施の形態の半導体レーザ装置は次のようにして製造する。
まず、図1Aに示すように、n型GaAs基板101上に、有機金属気相成長法によって、n型Al0.46Ga0.54As下クラッド層102(厚さ2μm)、アンドープ多重量子井戸活性層103、p型Al0.46Ga0.54As第1上クラッド層104(厚さ0.2μm)、p型GaAsエッチングストップ層105(厚さ3nm)、p型Al0.47Ga0.53As第2上クラッド層106(厚さ1.2μm)、p型Al0.3Ga0.7As中間層120(厚さ0.055μm)およびp型GaAsキャップ層107(厚さ0.8μm)を順次エピタキシャル成長する。
なお、上記n型GaAs基板101は半導体基板の一例、n型Al0.46Ga0.54As下クラッド層102は第1導電型下クラッド層の一例、アンドープ多重量子井戸活性層103は活性層の一例、p型Al0.46Ga0.54As第1上クラッド層104は第2導電型第1上クラッド層の一例、p型GaAsエッチングストップ層105はエッチング停止層の一例、p型Al0.47Ga0.53As第2上クラッド層106は第2導電型第2上クラッド層の一例、p型Al0.3Ga0.7As中間層120は第2導電型中間層の一例、p型GaAsキャップ層107は第2導電型キャップ層の一例である。
次に、図1Bに示すように、上記p型GaAsキャップ層107の表面に、フォトリソグラフィー法によって、図1B紙面に対して垂直な方向に延びるストライプ形状のレジストマスク111を形成する。
次に、下記手順(1)〜(3)を行ってリッジストライプ112(図1E参照)を形成する。
(1) 硫酸系のエッチャントにより、p型GaAsキャップ層107の両側部と、p型AlGaAs中間層の両側部と、p型AlGaAs第2上クラッド層106の両側部の上部とを、図1Cに示すようにエッチングする。つまり、上記p型AlGaAs第2上クラッド層106の両側部の下部が残るようにエッチングする。
(2) アンモニア系のエッチャント(例えば、アンモニアと過酸化水素水と水との混合溶液)を用いて、図1Dに示すようにエッチングする。このアンモニア系のエッチャントは、GaAs層はエッチングするが、AlGaAs層はエッチングしないように混液比が調整されている。このアンモニア系のエッチャントを用いたエッチングにより、p型GaAs層107のみが横方向(層厚方向に対して垂直な方向)にエッチングされることとなる。
(3) フッ酸溶液を用いて、p型AlGaAs第2上クラッド層106を、p型GaAsエッチングストップ層105が最表面になるまで、図1Eに示すようにエッチングを行う。このときのエッチング時間は100秒である。フッ酸溶液により、p型AlGaAs第2上クラッド層106は深さ方向(層厚方向)にも、横方向(層厚方向に対して垂直な方向)にもエッチングが行われる。これと同時に、フッ酸溶液により、p型AlGaAs中間層120もエッチングされることになる。
上記手順(1)〜(3)をこの順で行った結果、ひさしのないリッジストライプ112が形成される。
上記p型Al0.3Ga0.7As中間層120の厚さは0.055μmであるので、92秒のフッ酸エッチング時間で除去できることになる。本実施の形態では100秒のエッチング時間であるので、約9%の余裕をとっていることとなっている。
この後、上記p型GaAsキャップ層107の表面に形成したレジストマスク111を除去し、ひさしのないストライプ状リッジ112が形成されるわけである。
次に、図1Fに示すように、2回目の有機金属気相成長法によって、リッジストライプ112の側面を、n型AlGaAsブロック層108(厚さ1.0μm)、p型GaAs平坦化層109(厚さ1.0μm)で埋め込む。このとき、これら埋め込み層の形状に関して言えば、リッジストライプ112にひさし状の張り出し部がないので、リッジ側面部に空洞部が形成されることなく、連続して精度良く埋め込み層が形成できている。つまり、上記n型AlGaAsブロック層108およびp型GaAs平坦化層109を連続して精度良く形成することができる。
さらに、上記p型GaAsキャップ層107上に形成された不要部を除去して、最後に、図1Gに示すように、p型コンタクト層110(厚さ10μm)を形成し、両面に電極を形成してレーザ素子が完成する。
本実施の形態の半導体レーザ装置の駆動電流対光出力特性と、従来構造の半導体レーザ装置の駆動電流対光出力特性とを比較すると、閾値電流値はほぼ20mAと同等であるが、微分効率は、従来構造の半導体レーザ装置では0.95から1.00W/Aであったの対して、本実施の形態の半導体レーザでは、1.05から1.15W/Aと向上しており、本発明の半導体レーザで光出力特性が改善されていることがわかる。
また、高出力時の光出力直線の曲がりをみても、従来構造の半導体レーザ装置では発熱による飽和が見られ始めるのに対して、本実施の形態の半導体レーザ装置においては、高出力時においても直線性を保っており、良好な熱特性が得られていることが明らかとなった。
(比較例)
比較例として、上記実施の形態の半導体レーザ装置においてp型Al0.3Ga0.7As中間層120がないものを作成した。
比較例として、上記実施の形態の半導体レーザ装置においてp型Al0.3Ga0.7As中間層120がないものを作成した。
上記実施の形態と同様に、積層構造を成長した後、リッジ形成を行う。
まず、図2Aに示すように、硫酸系エッチャントにより、p型GaAsキャップ層207と、p型AlGaAs第2クラッド層206の途中までをエッチングする。
なお、図2Aにおいて、201はn型GaAs基板、202はn型Al0.46Ga0.54As下クラッド層、203はアンドープ多重量子井戸活性層、204はp型Al0.46Ga0.54As第1上クラッド層、205はp型GaAsエッチングストップ層、206はp型Al0.47Ga0.53As第2上クラッド層、207はp型GaAsキャップ層、211はレジストマスクである。
さらに、図2Bに示すように、アンモニア系のエッチャントでGaAsキャップ層207をエッチングする。
次に、フッ酸溶液を用いて、p型AlGaAs第2クラッド層206を、p型GaAsエッチングストップ層205が最表面になるまで、エッチングを行う。このとき、上記p型AlGaAs第2クラッド層206の上面には、上記実施の形態で述べたような中間層がなく露出しているために、上面からもフッ酸溶液によるエッチングが進んでしまう。
その結果、100秒のフッ酸エッチングを行うと、図2Cのように、リッジ形状はいびつになり、またひさしも形成されてしまうことになる。
このように、比較例のレーザ素子では、リッジ形状がいびつとなり、さらにひさしも形成されてしまうので、2回目の有機金属気相成長法によるリッジ埋め込み時においては、従来と同様に側面に空洞が発生してしまい、レーザ素子特性の悪化を招いてしまった。
以上のように、本実施の形態においては、p型第2クラッド層と、p型キャップ層の間に、p型中間層を設け、その材料をひさしをなくするようなエッチング工程が可能なような物にすることで、ひさしのないリッジを形成することができ、その結果、レーザ特性の向上が得られている。
また、本実施の形態においては、上記中間層の組成比、層厚を制御しておくことにより、簡単なエッチングを行うだけで、ひさしのないリッジを精度良く形成することを可能にしている。
また、本実施の形態においては、上記中間層の組成比を、クラッド層とキャップ層の中間の組成比としており、光学的設計の観点、結晶成長の観点から、より容易に、精度良く層構造を形成することが可能となっている。
さらに、本実施の形態においては、p型中間層のAl組成比を0.3としているが、これは、現在のリッジ型赤外半導体レーザのp型第2上クラッド層のエッチャントとして一般的に使用されているフッ酸溶液の場合に、p型中間層はクラッド層の約5%程度のエッチング速度となっており、一般的なエッチャントをそのまま使用できるメリットと、中間層の層厚を十分に薄くすることが可能となっている。
なお、以上の発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態以外の層厚、Al組成比、キャリア濃度においても、本発明の効果を有する限り適用可能である。
また、成長法については、有機金属気相成長法に限らず、MBE(分子線エピタキシ)、LPE(液相エピタキシ)法、ガスソースMBE法、ALE(原子層エピタキシ)法においても、本発明の効果を有する限り適用可能である。
また、基板については、n型基板を用いているため、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたが、それとは逆の構成であっても良い。
また、材料については、AlGaAs系の3元材料を用いているが、InGaAlPなどの4元材料であってもよく、また他の化合物半導体を使用したあらゆる半導体レーザに適用することが可能である。
101,201,301 n型GaAs基板
102,202,302 n型AlGaAs下クラッド層
103,203,303 MQW活性層
104,204,304 p型AlGaAs第1上クラッド層
105,205,305 p型GaAsエッチングストップ層
106,206,306 p型AlGaAs第2上クラッド層
107,207,307 p型GaAsキャップ層
108,308 n型GaAsブロック層
109,309 p型GaAs平坦化層
110,310 p型GaAsコンタクト層
111,211 レジストマスク
112,312 リッジストライプ
120 p型AlGaAs中間層
330 空洞部
102,202,302 n型AlGaAs下クラッド層
103,203,303 MQW活性層
104,204,304 p型AlGaAs第1上クラッド層
105,205,305 p型GaAsエッチングストップ層
106,206,306 p型AlGaAs第2上クラッド層
107,207,307 p型GaAsキャップ層
108,308 n型GaAsブロック層
109,309 p型GaAs平坦化層
110,310 p型GaAsコンタクト層
111,211 レジストマスク
112,312 リッジストライプ
120 p型AlGaAs中間層
330 空洞部
Claims (9)
- 半導体基板上に、少なくとも、第1導電型下クラッド層、活性層、第2導電型第1上クラッド層、エッチング停止層、第2導電型第2上クラッド層、第2導電型中間層および第2導電型キャップ層が順次積層されて、
上記第2導電型第2上クラッド層、上記第2導電型中間層および上記第2導電型キャップ層が、共振器方向に延びるリッジストライプを形成して、
上記リッジストライプの両側に第1導電型電流ブロック層が形成された半導体レーザにおいて、
上記第2導電型キャップ層に対してはエッチング可能であるが、上記第2導電型第2上クラッド層に対してはエッチング不可能である第1のエッチャントに対して、上記第2導電型中間層は被エッチング速度が略0であり、
かつ、
上記第2導電型キャップ層に対してはエッチングが不可能であるが、上記第2導電型第2上クラッド層に対してはEcというエッチング速度を持つ第2のエッチャントに対して、上記第2導電型中間層は被エッチング速度がEiであり、
上記第2導電型中間層は、上記Ec,Eiが
Ei<Ec
の関係を満たす層であることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
上記第2導電型中間層は、上記Ec,Eiが
0.01×Ec<Ei<0.1×Ec
の関係を満たす層であるであることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
上記リッジストライプは、エッチャントが上記第2のエッチャントであり、かつ、エッチング時間がTcであるエッチングを用いて形成されていて、
上記第2導電型中間層の厚さはTHiであり、
上記第2導電型中間層は、上記Ec,Ei,Tc,THiが
Ei×Tc×0.8≦THi≦Ei×Tc×1.2
の関係を満たす層であることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 請求項1に記載の半導体レーザ装置において、
上記第2導電型第2上クラッド層、上記第2導電型中間層および上記第2導電型キャップ層の材料はIII−V族化合物半導体であり、
上記第2導電型第2上クラッド層および上記第2導電型中間層はAlを含んでおり、
上記第2導電型キャップ層はAlを含んでいないことを特徴とする半導体レーザ装置。 - 請求項4に記載の半導体レーザ装置において、
上記第2導電型中間層のAl混晶比が、上記第2導電型第2上クラッド層のAl混晶比と、上記第2導電型キャップ層のAl混晶比との中間の値であることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 請求項5に記載の半導体レーザ装置において、
上記第2導電型中間層のAl混晶比が0.3から0.4の範囲内であることを特徴とする半導体レーザ装置。 - 請求項1に記載の半導体レーザ装置を製造する方法である半導体レーザ装置の製造方法において、
上記リッジストライプの形成時には、上記第2導電型第2上クラッド層にすべき層と、上記第2導電型中間層にすべき層と、上記第2導電型キャップ層にすべき層とを、一部の幅が略等しい形状に加工した後、上記第1のエッチャントにて、上記第2導電型キャップ層にすべき層の幅を減少させて、上記第2のエッチャントにて、上記第2導電型第2上クラッド層にすべき層と上記第2導電型中間層にすべき層との幅を減少させることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 請求項7に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、
上記第1のエッチャントが、アンモニアと過酸化水素水と水との混合溶液であることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。 - 請求項7に記載の半導体レーザ装置の製造方法において、
上記第2のエッチャントがフッ酸溶液であることを特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
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JP2006198174A JP2008028093A (ja) | 2006-07-20 | 2006-07-20 | 半導体レーザ装置およびその製造方法 |
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JP2008028093A true JP2008028093A (ja) | 2008-02-07 |
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JP2006198174A Pending JP2008028093A (ja) | 2006-07-20 | 2006-07-20 | 半導体レーザ装置およびその製造方法 |
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JP (1) | JP2008028093A (ja) |
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JP2013149724A (ja) * | 2012-01-18 | 2013-08-01 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 光集積素子の製造方法 |
-
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- 2006-07-20 JP JP2006198174A patent/JP2008028093A/ja active Pending
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