JP2008027814A - Elパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】基板と封止基板とが接着剤を介して接着された構成を有しながら、十分に長い寿命を有するELパネルを提供すること。
【解決手段】基板3と、EL素子5と、封止層30及び該封止層30を挟んで基板3と対向配置された封止基板40を有しておりEL素子5を覆うように設けられた封止部7と、を備え、封止層30は、樹脂マトリックス10と、樹脂マトリックス10内に分散している球状の第1の無機フィラー21及び針状又は板状の第2の無機フィラー22とを含有し、第2の無機フィラー22は、その長軸方向が第1の無機フィラー21の表面に沿うように配列している、ELパネル1a。
【選択図】図1
【解決手段】基板3と、EL素子5と、封止層30及び該封止層30を挟んで基板3と対向配置された封止基板40を有しておりEL素子5を覆うように設けられた封止部7と、を備え、封止層30は、樹脂マトリックス10と、樹脂マトリックス10内に分散している球状の第1の無機フィラー21及び針状又は板状の第2の無機フィラー22とを含有し、第2の無機フィラー22は、その長軸方向が第1の無機フィラー21の表面に沿うように配列している、ELパネル1a。
【選択図】図1
Description
本発明は、EL(エレクトロルミネッセンス)パネルに関する。
EL素子は特に水分に弱く、その長寿命化を図るためには外気環境からの水の侵入を十分に防ぐことが求められる。そのため、基板上に形成されたEL素子を覆うように封止基板を設け、この封止基板と基板とを接着剤(封止剤)を介して貼り合わせる構造がELパネルにおいて多く採用されている。そして、このような構造のELパネルにおいて、接着剤の中に無機フィラーを添加することにより水の移動経路を長くして、接着剤層における水の浸透を遅らせる試みがなされている(例えば、特許文献1。)。
特開2005−91874号公報
しかし、従来のELパネルは、長期間使用後に輝度の低下を生じる等の問題があり、寿命の点で更なる改善が求められていた。そして、本発明者らによる詳細な検討の結果、特に、基板と封止基板とが接着剤を介して接着された構成を有するELパネルの場合、接着剤の層(封止層)の側方からEL素子へ向かう方向の水の浸透速度が大きく、このことが寿命低下の大きな要因となっていることが明らかとなった。
そこで、本発明は、基板と封止基板とが接着剤を介して接着された構成を有しながら、十分に長い寿命を有するELパネルを提供することを目的とする。
本発明は、基板と、該基板上に形成されたEL素子と、基板のEL素子が形成されている側の面に接する封止層及び該封止層を挟んで基板と対向配置された封止基板を有しておりEL素子を覆うように設けられた封止部と、を備え、封止層は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス内に分散している球状の第1の無機フィラー及び針状又は板状の第2の無機フィラーとを含有し、第2の無機フィラーは、その長軸方向が第1の無機フィラーの表面に沿うように配列している、ELパネルである。
針状又は板状の第2の無機フィラーがその長軸方向が球状の第1の無機フィラーの表面に沿うように配列していることにより、隣り合う第1の無機フィラー同士の間の領域において、基板の主面に垂直な方向に第2の無機フィラーの配向が偏った状態となる。その結果、第2の無機フィラーがランダムな方向に配されている場合と比較して、封止層の側面から樹脂マトリックス中に侵入した水が基板と平行な方向に移動してEL素子に接近するときの移動経路がより長くなり、この方向での水の浸透速度が小さくなる。これにより、ELパネルが長寿命化されると考えられる。
第2の無機フィラーの最大径の平均値は、第1の無機フィラーの最大径の平均値よりも小さいことが好ましい。これにより、隣り合う第1の無機フィラー同士の間の領域において基板の主面に垂直な方向に第2の無機フィラーの配向が偏る傾向がより強くなって、ELパネルの長寿命化の効果がより顕著なものとなる。
第1の無機フィラーの最大径の平均値の基板と封止基板との間隔に対する比は0.25以上であることが好ましい。これにより、隣り合う第1の無機フィラー同士の間の領域において基板の主面に垂直な方向に第2の無機フィラーの配向が偏る傾向がより強くなって、ELパネルの長寿命化の効果がより顕著なものとなる。
本発明によれば、基板と封止基板とが接着剤を介して接着された構成を有し、十分に長い寿命を有するELパネルが提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るELパネルを示す概略断面図である。図1に示すELパネル1aは、基板3と、基板3上に形成されたEL素子5と、基板3のEL素子5が形成されている側においてEL素子5を覆うように設けられた封止部7とから構成される。封止部7は、基板3のEL素子5側の面に接するとともにEL素子5に密着しながらこれを覆うように形成された封止層30と、封止層30を間に挟んで基板3と対向配置された封止基板40とを有している。
ELパネル1aは、EL素子5から発光された光を封止部7側に表示するトップエミッション型、又は基板3側に表示するボトムエミッション型のいずれかタイプのELパネルとして適用することができる。封止層30は、樹脂マトリックス10と、樹脂マトリックス10内に分散している球状の第1の無機フィラー21及び板状の第2の無機フィラー22とを含有している。樹脂マトリックス10は、典型的には硬化性樹脂から形成された硬化物からなる。
第2の無機フィラー22は、その長軸方向が第1の無機フィラー21の表面に沿うように配列している。第2の無機フィラー22がこのように配列していることにより、隣り合う第1の無機フィラー21同士の間の領域において、基板3の主面に垂直な方向に第2の無機フィラー22の配向が偏った状態になっている。このような形態をとることで、第1の無機フィラー21と第2の無機フィラー22とを合わせた無機フィラー全体としての密度を、第1の無機フィラー21単独の場合と比較してより顕著に大きくすることが可能になる。これにより、水の侵入経路の延長を図ることができる。
第1の無機フィラー21は球状である。第1の無機フィラー21のアスペクト比は典型的には1.0〜1.5であり、より好ましくは1.0〜1.2である。第1の無機フィラー21としては、シリカ粒子等が好適に用いられる。
第2の無機フィラー22は、無機物からなる板状のフィラーである。第2の無機フィラー22のアスペクト比は、典型的には2〜10程度である。第2の無機フィラーは針状であってもよい。第2の無機フィラーとしては、タルク等の層状粘土化合物からなるフィラーが好適に用いられる。
ここで、第1の無機フィラー及び第2の無機フィラーのアスペクト比は、封止層の断面を観察したときに、それぞれの無機フィラーの断面における最大径とこれに垂直な方向における径との比を意味する。
第1の無機フィラー21の最大径Rの平均値Rmの基板3と封止基板40との間隔dに対する比は0.25以上であることが好ましく、0.30以上であることがより好ましい。Rmの間隔dに対する比が0.25未満であると、第2の無機フィラー22が基板3の主面に略垂直な方向に配向し難くなって、長寿命化の効果が減少する傾向にある。
上記と同様の観点から、第2の無機フィラー22の最大径Lの平均値LmはRmよりも小さいことが好ましい。言い換えると、Lm/Rmは1.0未満であることが好ましい。また、このLm/Rmは0.85以上であることが好ましい。この比が0.85未満であるか又は1を超えると、EL素子の長寿命化の効果が減少する傾向にある。
より具体的には、第1の無機フィラー21の最大径Rの平均値Rmが5〜15μmであり、第2の無機フィラー22の最大径Lの平均値LmがRmよりも小さく、且つ、間隔dがRmを超えて15μm以下であることが好ましい。間隔dが15μm以下であるELパネルにおいて本発明は特に有用なものである。
第1の無機フィラー21の封止層30全体に対する比率は、1〜60体積%であることが好ましい。一方、第2の無機フィラー22の封止層30全体に対する比率は1〜60体積%であることが好ましい。第1又は第2の無機フィラーの比率がこれら数値範囲外にあると、ELパネルの長寿命化の効果が減少する傾向にある。
ここで、封止層において間隔dを一定に保つために粒子状のスペーサーを用いる場合があるが、第1の無機フィラーはこのスペーサーとは異なるものである。例えば、スペーサーは基板及び封止基板の双方に接するように配置されるのに対して、第1の無機フィラー21は基板3及び封止基板40に接しないか又はこれらのいずれか一方にのみ接するように配置されている点で両者は異なる。また、本実施形態の場合には、第1の無機フィラー21の最大径Rは基板3と封止基板40の間隔dよりも小さいのに対して、スペーサーの粒径はその機能に鑑みれば明らかなように間隔dと実質的に同一である点でも両者は異なる。ただし、封止層は、寿命向上の効果が著しく損なわれない限りにおいてスペーサーを更に含有していてもよい。
基板3及び封止基板40は、ELパネルの基板として通常用いられているものから適宜選択される。ELパネル1aをトップエミッション型として用いる場合、基板3及び封止基板40のうち少なくとも封止基板40は透光性を有する材料から構成される。ELパネル1aをボトムエミッション型として用いる場合、基板3及び封止基板40のうち少なくとも基板3は透光性を有する材料から構成される。透光性を有する材料としては、ガラスや透明プラスチックが挙げられる。
EL素子5は、有機EL材料又は無機EL材料から構成されたEL層を1対の電極層で挟んだ積層構造を有している。EL素子5としては、従来公知のもの等から適宜選択された素子を用いることができる。
図2は、本発明の第二実施形態に係るELパネルを示す概略断面図である。図2に示すELパネル1bは、封止部7の構造を除いてELパネル1aと同様の構成を有する。
第二実施形態における封止部7が有する封止基板40は、その周縁部において基板3側に延出した部分が形成された形状を有する。この延出した部分と基板3の主面との間に封止層30が形成されており、封止部7はこれと基板3とで中空空間が形成されるようにEL素子5を覆っている。この中空空間には不活性ガスが充填されている。
ELパネル1a,1bは、例えば、基板3上にEL素子5を形成させるEL素子形成工程と、基板3のEL素子5が形成されている側の面上にEL素子5を覆う封止部を形成させる封止部形成工程と、を備え、封止部形成工程が、基板3及び封止基板40の間に硬化性樹脂組成物を挟む工程と、基板3及び封止基板40の間に挟まれた硬化性樹脂組成物を硬化して、樹脂マトリックス10と、樹脂マトリックス10内に分散している球状の第1の無機フィラー21及び板状の第2の無機フィラー22とを含有する封止層30を形成させる工程を含む、製造方法により得られる。
EL素子5は、当業者には理解されるように、基板3の一面上に従来公知の方法で形成させることができる。EL素子形成工程及びこれに続く封止部形成工程は、実質的に不活性ガスのみからなる低湿度雰囲気下で行われることが好ましい。
封止部形成工程において用いる硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂、第1の無機フィラー21、第2の無機フィラー22及び必要に応じて他の成分を含有する。
硬化性樹脂は、加熱や光照射によって架橋構造を形成して硬化するモノマー、オリゴマー又はプレポリマー等からなる樹脂である。この硬化性樹脂としてはビスフェノールF型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が好ましく用いられる。この場合、硬化性樹脂組成物には、エポキシ樹脂の硬化剤、硬化促進剤等が加えられる。硬化剤又は硬化促進剤は、加熱又は光照射によりエポキシ樹脂の硬化を進行させるものとして通常用いられているものから適宜選択される。
封止部形成工程においては、例えば、基板3又は封止基板40上に硬化性樹脂組成物を塗布し、これを基板3及び封止基板40の間に挟む。このとき、無機フィラーとしてサイズが適切なものを選択した上で硬化性樹脂組成物の層が所定の厚さとなるまで加圧することにより、第2の無機フィラー22を、その長軸方向が第1の無機フィラー21の表面に沿うように配列させることが可能である。基板3及び封止基板40の間に挟まれた硬化性樹脂組成物を、光照射又加熱により硬化することにより、封止層30が形成される。このとき、好ましくは、光照射した後更に加熱して硬化性樹脂組成物を硬化する。硬化の際には必要に応じて全体を加圧する。加圧をすることで、第2の無機フィラー22をより選択的にその長軸方向が第1の無機フィラー21の表面に沿うように配列させることができる。
その他、ELパネルの製造において通常行われる工程を経て、ELパネルが製造される。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ELパネルの作製と評価
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、シリカ粒子(第1の無機フィラー)、板状のタルク(第2の無機フィラー)、及び光硬化のための硬化剤を含有する混合物を三本ロールで混練して、実施例1又は2の光硬化型の硬化性樹脂組成物を調製した。シリカ粒子としては、表1に示す平均粒径(最大径の平均値)を有するものをそれぞれ用い、その配合量は樹脂組成物全体に対して7質量%とした。また、タルクとしてはその最大径の平均値が7.2μmのものを用い、その配合量は樹脂組成物全体に対して15質量%とした。これら樹脂組成物をガラス基板に塗布し、有機EL素子が形成された基板に不活性ガス雰囲気下で貼り合わせ、0.4MPaの圧力で全体をプレスした。そして、UV照射により硬化性樹脂組成物を硬化して、それぞれの硬化性樹脂組成物から形成された封止層を有するELパネルを得た。基板と封止基板の間隔d(封止層の厚さ)は、50μmであった。それぞれの封止層の断面を観察したところ、実施例1、2ではタルクがシリカ粒子の表面に沿って配列していることが確認された。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂、シリカ粒子(第1の無機フィラー)、板状のタルク(第2の無機フィラー)、及び光硬化のための硬化剤を含有する混合物を三本ロールで混練して、実施例1又は2の光硬化型の硬化性樹脂組成物を調製した。シリカ粒子としては、表1に示す平均粒径(最大径の平均値)を有するものをそれぞれ用い、その配合量は樹脂組成物全体に対して7質量%とした。また、タルクとしてはその最大径の平均値が7.2μmのものを用い、その配合量は樹脂組成物全体に対して15質量%とした。これら樹脂組成物をガラス基板に塗布し、有機EL素子が形成された基板に不活性ガス雰囲気下で貼り合わせ、0.4MPaの圧力で全体をプレスした。そして、UV照射により硬化性樹脂組成物を硬化して、それぞれの硬化性樹脂組成物から形成された封止層を有するELパネルを得た。基板と封止基板の間隔d(封止層の厚さ)は、50μmであった。それぞれの封止層の断面を観察したところ、実施例1、2ではタルクがシリカ粒子の表面に沿って配列していることが確認された。
さらに比較例1として、シリカ粒子を含まない他は実施例1、2と同様にして樹脂組成物の調製及びELパネルの作製を行った。
得られたELパネルについて、初期及び500時間発光後の輝度を測定し、500時間後の輝度の初期の輝度に対する比率を求めた。表1に示されるように、実施例1、2のELパネルは500時間後も高い輝度が維持されており、十分に長い寿命を有していることが確認された。これに対して、第1の無機フィラーとしてのシリカ粒子を含有しない封止層を適用した比較例1のELパネルは、500時間発光後に輝度の大きな低下が認められた。
1a,1b…ELパネル、3…基板、5…EL素子、7…封止部、10…樹脂マトリックス、21…第1の無機フィラー、22…第2の無機フィラー、30…封止層、40…封止基板。
Claims (3)
- 基板と、該基板上に形成されたEL素子と、前記基板の前記EL素子が形成されている側の面に接する封止層及び該封止層を挟んで前記基板と対向配置された封止基板を有しており前記EL素子を覆うように設けられた封止部と、を備え、
前記封止層は、樹脂マトリックスと、該樹脂マトリックス内に分散している球状の第1の無機フィラー及び針状又は板状の第2の無機フィラーとを含有し、
前記第2の無機フィラーの少なくとも一部は、その長軸方向が前記第1の無機フィラーの表面に沿うように配列している、ELパネル。 - 前記第2の無機フィラーの最大径の平均値が前記第1の無機フィラーの最大径の平均値よりも小さい、請求項1記載のELパネル。
- 前記第1の無機フィラーの最大径の平均値の前記基板と前記封止基板との間隔に対する比が0.25以上である、請求項1又は2記載のELパネル。
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