JP2008027575A - トラッキング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 CLV方式及びZCLV方式のように光ディスクの半径によって1回転の周期が変化する場合を含め高速で回転する光ディスク上のトラックに対し安定で高い追従性能を持ったトラッキング制御装置を提供する。
【解決手段】光ディスク上のトラック位置と光ヘッドから出射される光スポット位置との差に対応したトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段1と、駆動信号に基づき前記光スポットに前記光ディスク上の目的のトラックを走査させる制御手段2,3と、前記光ディスクの少なくとも1周分の回転周期前の前記トラッキング誤差信号に基づき補正信号を生成する補正信号生成手段5と、前記補正信号の振幅及び位相の補償を行った補償信号を生成する前置補償手段6と、前記トラッキング誤差信号と前記補償信号とを加算し前記駆動信号を出力する加算手段7とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光ディスクの記録・再生に用いられるトラッキング制御装置に関する。
[発明の概要]
本発明は、光ディスクの記録・再生に用いられるトラッキング制御装置に関するものである。本発明は、トラッキング制御装置を構成するフィードバック制御系内のトラッキング誤差信号を光ディスク1周分の周期に相当する時間遅延させた信号を、前記フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループ伝達関数の逆数の伝達関数を持つ前置補償手段を介して前記フィードバック制御系内のトラッキング誤差信号に加算する。
または、本発明は、前記トラッキング信号を光ディスクの複数回の回転周期に相当する時間に渡って記憶したトラッキング誤差信号に対して演算処理を行った信号を、前記フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループ伝達関数の逆数の伝達関数を持つ前置補償手段を介して前記フィードバック制御系内のトラッキング誤差信号に加算する。
これにより、トラッキング制御装置の安定性を低下させることなく光ディスク及び光ディスク回転機構などに起因する偏心による追従誤差を減少させるとともに、追従可能な光ディスク回転数を向上させるものである。
光ディスクの記録・再生に用いられるトラッキング制御装置は、フィードバック制御系で構成される。図17は、従来のトラッキング制御装置の構成ブロック図である。図17に示すように、このトラッキング制御装置のフィードバック制御系は、トラッキング誤差検出手段1、伝達関数Gを持つ安定化補償手段2、伝達関数Gを持つトラッキングアクチュエータ3によって構成される。
このトラッキング制御装置のフィードバック制御系では、光ディスク上のトラック位置tとトラッキングアクチュエー夕3によって制御される光スポット位置sとの差をトラッキング誤差検出手段1によって検出し、トラッキング誤差信号eを得た後、これを安定化補償手段2に入力する。
安定化補償手段2は、トラッキング制御装置が所望の応答特性を持ち、かつ安定な動作を行うように、トラッキング誤差信号eの振幅と位相の周波数特性の補償を行い、出力する。安定化補償手段2の出力信号は、トラッキングアクチュエー夕3を駆動し、光スポット位置sを制御する。
このようなフィードバック制御系の追従性能を上げる技術としては、例えば文献1『日本機械学会編、養賢堂発行「情報機器のダイナミックスと制御」の4.10節』に述べられているような繰り返しトラッキング制御の方法が知られている。
図18は、この繰り返しトラッキング制御の方法を用いたトラッキング制御装置の構成ブロック図である。図18に示すように、このトラッキング制御装置のフィードバック制御系では、図17に示す構成において、トラッキング誤差検出手段1と安定化補償手段2との間に加算手段7を設けるとともに、加算手段7の出力を伝達関数e−Lsでもって加算手段7の入力へ帰還する遅延手段72を設けたものである。
この繰り返しトラッキング制御の方法では、トラッキング誤差信号eは、加算手段7によって遅延手段72の出力と加算され、制御信号fが出力される。
制御信号fは、遅延手段72及び安定化補償手段2に入力される。
遅延手段72は、制御信号fを光ディスクの回転周期Lに相当する時間の遅延を行い、加算手段7にトラッキング誤差信号eと加算させ、制御信号fを出力させる。
安定化補償手段2は、トラッキング制御装置が所望の応答特性を持ち、かつ安定な動作を行うように、制御信号fの振幅と位相の周波数特性の補償を行い、出力する。安定化補償手段2の出力信号は、トラッキングアクチュエータ3を駆動し光スポット位置sを制御する。
これにより、光ディスクの1回転前に修正しきれなかったトラッキング誤差が予め補正されるので、追従性能が改善される。
ところで、光ディスク媒体に高品質の画像データを長時間記録するためには、光ディスクの記録密度を高めることとデータ転送レートを上げることが求められる。
記録密度を高めるためには、短波長の光源を用いるとともに、対物レンズの開口数を大きくすることによって光スポット径を小さくすることが必要である。これにより、光ディスク上に記録されるマーク長を縮小するとともに、狭いトラックピッチを使用し、1ビットあたりのデータが占める面積を小さくする。
この狭いトラックピッチに対応するために、トラッキング制御装置はその追従誤差がトラックピッチに比較して充分に小さいことが求められる。例えば、CD−ROMの場合、1.6μmのトラックピッチに対して追従誤差の許容値は±0.1μm以下であり、DVD−ROMでは、0.74μmのトラックピッチに対して±0.02μm以下の追従誤差でなければならない。
また、光ディスク記録装置においてデータの転送レートを上げるためには、光ディスク上に記録されるビット長を小さくすると同時に光ディスクの回転数を上げることが求められる。
ところで、光ディスク上のトラックは、同心円状あるいは螺旋状となっている。また、光ディスクには、製造工程において発生する偏心がある。さらに、光ディスクを回転させるためのスピンドルモータ及び光ディスクをスピンドルモータに取り付ける取付部分にも偏心がある。偏心の最悪値は、これらの総和となるので、光ヘッドの光スポットから光ディスク上のトラックを見ると±100μm程度の偏心となる。この偏心によってトラッキング制御装置の目標値であるトラック位置は、光ディスクの回転に伴って変化する周期的な関数となる。
したがって、光ディスクの高速回転に対応するためには、前述のように偏心している光ディスク上のトラック位置に対して光スポット位置を高速に追従させなければならない。このためには光ヘッドに使用されるトラッキングアクチュエータの機械的共振周波数を上げると同時にトラッキング制御装置の帯域を広げることが必要である。
トラッキングアクチュエータの機械的共振周波数を上げる方法には、可動部の質量の低減、弾性係数の増加があるが、いずれの方法でも限界があり、現在実現されているトラッキングアクチュエータの機械的共振周波数の上限は100Hz程度である。
一方、トラッキング制御装置の帯域を広げることで光ディスクの高速回転に対する追従性能は向上するが、雑音、振動などの外乱に対する抑圧特性が低下する。
上記の理由によって図17に示すようなフィードバック制御系のみを用いたトラッキング制御装置においては、要求される追従誤差の許容値を満たしつつ、高速で回転する光ディスク上のトラックに対して高速で光スポット位置を追従させることは困難であった。
一方、文献1に述べられているような図18に示した繰り返し制御の手法を用いたトラッキング制御装置においては、周期的に変化する入力に対しては優れた追従性能を示す。しかし、周期的な成分であれば無限に高い周波数まで誤差を抑圧しようとする性質があるため、トラッキング制御装置内部の安定性に問題が生じること、及び非周期的な外乱に対して弱いことが広く知られている。
また、光ディスクが一定の角速度で回転する方式(CAV方式:Constant Angular Velocity或いは、ZCAV方式:Zoned Constant Angular Velocity)では、図18に示すように一定の遅延量を持つ遅延手段72を用いた繰り返し制御で良い。しかし、CDのように一定の線速度で回転する方式(CLV方式:Constant Linear Velocity)、あるいはDVD−RAMのように光ディスクの半径をいくつかの領域に分割し、その領域内でほぼ一定の線速度で回転する方式(ZCLV方式:Zoned Constant Linear Velocity)では、光ディスクの半径によって1回転の周期が変化するため、図18に示した方法では繰り返し制御を行うことができない。
本発明は、このような問題を解決すべく創作されたもので、トラッキング制御装置の安定性を確保するとともに、高速で回転する光ディスク上のトラックに対する追従性能の向上を図り、CLV方式及びZCLV方式のように光ディスクの半径によって1回転の周期が変化する場合においても安定で高い追従性能を持ったトラッキング制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、光ディスク上のトラック位置と光ヘッドから出射される光スポット位置との差に対応したトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、 前記光ディスクの少なくとも1周分の回転周期前の前記トラッキング誤差信号に基づき補正信号を生成する補正信号生成手段と、生成された補正信号の振幅及び位相の補償を行った補償信号を生成する前置補償手段と、前記トラッキング誤差信号と前記補償信号とを加算した駆動信号を生成する加算手段と、生成された駆動信号に基づき前記光スポットに前記光ディスク上の目的のトラックを走査させる制御手段とを備えることを特徴としている。
請求項2に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、請求項1に記載のトラッキング制御装置において、前記補正信号生成手段は、前記トラッキング誤差信号を前記光ディスクの1周分の回転周期に相当する時間遅延させて前記補正信号を出力し、かつ、前記前置補償手段は、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループ伝達関数の逆数の伝達関数でもって前記補正信号の振幅及び位相の補償を行うことを特徴としている。
請求項3に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、請求項1に記載のトラッキング制御装置において、前記補正信号生成手段は、前記トラッキング誤差信号を前記光ディスクの少なくとも1周分の回転周期に相当する時間に渡って記憶手段に記憶するとともに、その記憶した信号から1回転周期前のトラッキング誤差信号を演算して補正信号を出力し、かつ、前記前置補償手段は、所定のパルス伝達関数でもって前記補正信号の振幅及び位相の補償を行った補償信号を生成することを特徴としている。
請求項4に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、請求項1に記載のトラッキング制御装置において、前記補正信号生成手段は、光ディスクの複数回の回転周期に相当する時間のトラッキング誤差信号を記憶手段に記憶するとともに、記憶された信号について統計的手法を適用し、1回転周期前のトラッキング誤差信号に相当する信号を抽出する演算処理を行い補正信号を出力し、かつ、前記前置補償手段は、所定のパルス伝達関数でもって前記補正信号の振幅及び位相の補償を行った補償信号を生成することを特徴としている。
請求項5に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、請求項1に記載のトラッキング制御装置において、前記補正信号生成手段は、前記光ヘッドが光ディスク上のトラックに追従している状態での光ヘッドの位置情報及び光ディスクの回転角度情報をトラッキング誤差信号もしくはトラッキング誤差信号に対して演算処理を行った結果得られた信号と共に記憶し、少なくとも光ディスクの1周分の回転周期に対応する時間を経た後、記憶されていた光ヘッドの位置情報と光ディスクの回転角度情報が、いずれも光ヘッドが光ディスク上を走査している現在の時点におけるこれら2つの情報と一致する時、既に記憶されていたトラッキング誤差信号を、もしくはトラッキング誤差信号に対して演算処理を行った結果得られた信号を補正信号として出力し、かつ、前記前置補償手段は、所定のパルス伝達関数でもって前記補正信号の振幅及び位相の補償を行った補償信号を生成することを特徴としている。
請求項6に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、請求項5に記載のトラッキング制御装置において、前記補正信号生成手段は、光ヘッドの位置情報を光ディスクの半径に応じて複数の領域に分け、光ヘッドが光ディスク上のトラックに追従している際の光ヘッドの位置が属する領域の情報及びその時点での光ディスクの回転角度情報を光ディスクの1回転周期に相当する時間のトラッキング誤差信号もしくはトラッキング誤差信号に対して演算処理を行った結果得られた信号と共に記憶手段に記憶しておき、光ヘッドが走査を行っている現在の時点において、光ヘッドの位置が前記分割されたいずれの領域に属するかを判断し、その領域における光ディスクの回転角度情報に対応するトラッキング誤差信号を、もしくはトラッキング誤差信号に対して演算処理を行った結果得られた信号を記憶手段から補正信号として読み出すことを特徴としている。
請求項7に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載のトラッキング制御装置において、前記前置補償手段が持つ所定のパルス伝達関数は、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループのパルス伝達関数が安定な零点を持つ場合、前記閉ループのパルス伝達関数の逆数のパルス伝達関数であることを特徴としている。
請求項8に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載のトラッキング制御装置において、前記前置補償手段が持つ所定のパルス伝達関数は、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループのパルス伝達関数が不安定な零点あるいは安定限界の零点を持つ場合、前記閉ループのパルス伝達関数の極及び安定な零点のみを相殺し、前記前置補償手段の直流ゲインを前記閉ループの直流ゲインの逆数に一致させたパルス伝達関数であることを特徴としている。
請求項9に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載のトラッキング制御装置において、前記前置補償手段が持つ所定のパルス伝達関数は、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループのパルス伝達関数が不安定な零点あるいは安定限界の零点を持つ場合、前記閉ループのパルス伝達関数の極及び安定な零点を相殺し、さらに前記閉ループのパルス伝達関数との積がすべての周波数において位相差を零とし、前記前置補償手段の直流ゲインを前記閉ループの直流ゲインの逆数に一致させたパルス伝達関数であることを特徴としている。
請求項10に記載の発明に係るトラッキング制御装置は、請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載のトラッキング制御装置において、前記記憶手段に記憶される信号は、光ディスクの回転に従って逐次更新されることを特徴としている。
かかる請求項1〜10に記載の発明によれば、少なくとも光ディスクの1周前のトラッキング誤差信号に振幅と位相の補償をした信号を生成し、それとトラッキング誤差信号とを加算した信号により、光スポット位置を制御することができる。したがって、装置の安定性を確保しつつ光ディスクの回転数全般にわたって追従誤差を低減することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、記憶手段に学習機能を持たせることができる。したがって、追従誤差を一層小さくすることができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、光ディスク上に傷やゴミなどがあってトラッキング誤差信号が得られない期間が生じても、トラッキング外れを生じる可能性を低くできる。
また、請求項5,6に記載の発明によれば、CLV方式、ZCLV方式などを用いた光ディスクの記録・再生において、追従誤差を低減することが可能となる。そして、請求項6に記載の発明によれば、メモリ容量を低減できる。
以上説明したように、請求項1乃至請求項10に記載の発明によれば、少なくとも光ディスクの1周前のトラッキング誤差信号に振幅と位相の補償をした信号を生成し、それとトラッキング誤差信号とを加算した信号により、光スポット位置を制御するようにしたので、装置の安定性を確保しつつ光ディスクの回転数全般に渡って追従誤差を低減することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、記憶手段に学習機能を持たせることができるので、追従誤差を一層小さくすることができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、光ディスク上に傷やゴミなどがあってトラッキング誤差信号が得られない期間が生じても、トラッキング外れを生じる可能性を低くできる。
また、請求項5,6に記載の発明によれば、CLV方式、ZCLV方式などを用いた光ディスクの記録・再生において、追従誤差を低減することが可能となる。そして、請求項6に記載の発明によれば、メモリ容量を低減できる。
したがって、本発明に係るトラッキング制御装置によれば、狭いトラックピッチを持つ大容量の光ディスクに対しての安定した記録・再生が可能となる。また、高速で回転する光ディスクに対してもトラッキング制御が可能となりデータ転送レートの向上が行える。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るトラッキング制御装置の構成ブロック図である。第1の実施形態は、請求項1に対応し、本発明に係るトラッキング制御装置の原理構成を示すものである。即ち、以下に示す第2の実施形態〜第9の実施形態は、第1の実施形態を基本としている。
図1に示すように、第1の実施形態のトラッキング制御装置は、図17に示す構成において、トラッキング誤差検出手段1と安定化補償手段2との間に加算手段7を設けるとともに、加算手段7の一方の入力(トラッキング誤差検出手段1の出力)を加算手段7の他方の入力へ導入する経路に、補正信号生成手段5と伝達関数P1を持つ前置補償手段6をこの順序に配置したものである。
補正信号生成手段5は、トラッキング誤差検出手段1によって検出されたトラッキング誤差信号eを取り込み、光ディスクの少なくとも1回転前において検出されたトラッキング誤差信号eに基づいた補正信号cを生成する。
前置補償手段6は、補正信号cに基づき前置補償信号hを生成し、加算手段7の他方の入力へ出力する。
なお、第1の実施形態においても、トラッキング誤差検出手段1、加算手段7、安定化補償手段2及びトラッキングアクチュエータ3によって横成されるフィードバック制御系に対し、安定化補償手段2によって振幅および位相の周波数特性の補償が行われており、安定なフィードバック制御が実現されている。この点は、以下の第2〜第9の各実施形態においても同様である。
以上の構成と請求項1との対応関係は、次のようになっている。トラッキング誤差検出手段には、トラッキング誤差検出手段1が対応する。制御手段には、安定化補償手段2及びトラッキングアクチュエータ3が対応する。加算手段には、加算手段7が対応する。補正信号生成手段には、補正信号生成手段5が対応する。前置補償手段には、前置補償手段6が対応する。
次に、図1を参照して第1の実施形態のトラッキング制御装置の基本動作を説明する。
図1において、トラック位置tと光スポット位置sの差をトラッキング誤差検出手段1によって検出し、トラッキング誤差信号eを得る。トラッキング誤差信号eは2つに分岐され、一方は加算手段7に入力され、他方は補正信号生成手段5に入力される。
補正信号生成手段5は、光ディスクの少なくとも1回転前において検出されたトラッキング誤差信号eを用いた補正信号cを出力する。前置補償手段6は、伝達関数Pでもって補正信号cの振幅及び位相の周波数特性の補償を行い、前置補償信号hとして出力する。
この前置補償信号hは、加算手段7によってトラッキング誤差信号eと加算され、その結果得られた信号(駆動信号)が安定化補償手段2によって振幅と位相の周波数特性が補償され、トラッキングアクチュエータ3に入力されて、これを駆動し、光スポット位置sを制御する。
このように、第1の実施形態では、光ヘッドが走査を行っているトラックに対するトラッキング誤差信号の他に、光ディスクの少なくとも1回転前において検出されたトラッキング誤差信号を用いて前置補償信号を生成し、この前置補償信号とトラッキング誤差信号とを用いて演算を行った結果得られた信号を用いてトラッキング制御を行うので、追従誤差を減少させることができる。以下、具体的に説明する。
まず、安定化補償手段2、トラッキングアクチュエータ3の伝達関数をそれぞれG,Gと定める。図1から、トラッキング誤差検出手段1の入出力の関係は、
1−s1=e1 ・・・(1)
である。また、トラッキングアクチュエータ3が制御するスポット位置sは、
(e1+h1)G12=s1 ・・・(2)
である。
前述したように光ディスクやスピンドルモータ及び光ディスク取付部に偏心があるため、光ヘッドの光スポットに対して回転中の光ディスク上のトラック位置は、周期的に変化する関数となる。さらに、互いに隣接するトラック同士は、位置的な相関関係が大きい。
そこで、少なくとも1回転前で抑えきれなかった追従誤差を基にして前置補償信号hを生成する。さらにこの信号を用いて、次の回転において補正を行うことによって、追従誤差を減少させることが可能であることが理解できる。
ここで、光ディスクのm回転目でのトラック位置をt1,m、光スポット位置をs1,m、トラッキング誤差信号をe1,m、前置補償信号をh1,mと記述する。光ディスクの(m−1)回転目以前におけるトラッキング誤差信号e1,m−1を用いて得られた前置補償信号h1,m−1を用いると、m回転目での光スポット位置s1,mは、
1,m=(e1,m+h1,m-1)G12 ・・・(3)
となる。この動作を繰り返すことによって、t1,m=s1,mを実現することができる。以下の第2〜第9の各実施形態では、これを高速かつ安定に実現するための具体的な手段・構成を説明している。これらの実施形態により、図2に示すような追従誤差特性が得られる。
図2は、本発明により得られる光ディスクの回転数に対するトラッキング制御装置の追従誤差特性の比較図である。図2において、(イ)は本発明のトラッキング制御装置で得られる追従誤差特性であり、(ロ)は、従来のトラッキング制御装置で得られる追従誤差特性である。
図2に示すように、追従誤差が許容値e以下となる回転数が、従来のトラッキング制御装置では、同図(ロ)に示すように、回転数N以下であったが、本発明の各実施形態のトラッキング制御装置では、同図(イ)に示すように、回転数Nまで拡大される。つまり、本発明の各実施形態によれば、光ディスクの回転数全般に渡って追従誤差の低減が実現されることが解る。
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態に係るアナログ制御によるトラッキング制御装置の構成ブロック図である。第2の実施形態は、請求項2に対応する。
図3に示すように、第2の実施形態では、補正信号生成手段5として遅延手段10を備え、前置補償手段6として補償手段11を備える。その他は、第1の実施形態と同様である。
遅延手段10は、トラッキング誤差信号eを光ディスクの1回転周期に相当する時間遅延させた補正信号cを出力する。補償手段11は、補正信号cに対して振幅と位相の補償を行った前置補償信号hを出力する。
次に、図3,図4を参照して第2の実施形態の動作を説明する。なお、図4は、第2の実施形態のトラッキング制御装置の基本動作のフローチャートである。
まず、図3を用いて第2の実施形態のトラッキング制御装置の動作原理を説明する。補償手段11の伝達関数をP(s)、安定化補償手段2及びトラッキングアクチュエータ3の伝達関数をそれぞれG(s)、G(s)で表す。
トラッキング誤差検出手段1、加算手段7、安定化補償手段2及びトラッキングアクチュエータ3によって横成されるフィードバック制御系に関して補償手段11と加算手段7との間の接続を切ると、加算手段7への入力信号hに対する光スポット位置sの伝達関数Gcl(s)は、以下の式(4)によって求められる。
〔数1〕
cl(s)=G1(s)G2(s)/{1+G1(s)G2(s)} ・・・(4)
そこで、前置補償手段6は、補償手段11の伝達関数P(s)が
〔数2〕
1(s)={1+G1(s)G2(s)}/G1(s)G2(s) ・・・(5)
を満たすように実現される。つまり、前置補償手段6は、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループ伝達関数の逆数の伝達関数を持つ。
そして、前置補償手段6の補償手段11は、式(5)に示した伝達関数P(s)によって、補正信号cに対して振幅と位相の周波数特性を補正し、加算手段7に出力し、トラッキング制御を行う。
このとき、補正信号cに対して光スポット位置sは、式(4)、式(5)から次の式(6)で表される。
Figure 2008027575
即ち、補正信号cは、振幅差及び時間遅れを生じることなく光スポット位置sを直接制御し、補正を行うことができる。
次に、図3を適宜参照しつつ図4に沿って第2の実施形態のトラッキング制御装置の基本的な動作を説明する。図において、トラッキング誤差検出手段1は、光ヘッドが走査を行っているトラックに対するトラッキング誤差信号eを検出した後、このトラッキング誤差信号eを補正信号生成手段5中の遅延手段10に入力する(ステップS1)。遅延手段10は、トラッキング誤差信号eについて光ディスクの1回転周期に相当する時間の遅延を行い、それを補正信号cとして出力する(ステップS2)。
そして、前置補償手段6中の補償手段11は、補正信号cから前置補償信号hを生成する(ステップS3)、加算手段7は、この前置補償信号hを光ヘッドが走査を行っているトラックに対するトラッキング誤差信号eに加算する(ステップS4)。
次に、安定化補償手段2は、この加算した信号によってトラッキングアクチュエータ3を駆動し、トラッキング制御を行わせる(ステップS5)。回転中の光ディスクに対して継続してトラッキング制御を行うために再びステップS1に戻り、前述の動作を繰り返す。
これにより、光ディスクの回転数全般に渡っての追従誤差の低減が実現される。
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置の構成ブロック図である。第3の実施形態は、請求項3、7〜9に対応する。
図5において、第3の実施形態では、加算手段18及び安定化補償手段19をそれぞれデジタル信号処理回路で構成し、トラッキング誤差信号eをA/D変換器(ADC)15によってデジタル信号e(k)に変換して加算手段18の一方の入力に与え、安定化補償手段19の出力デジタル信号をD/A変換器(DAC)20によってアナログ信号に変換してトラッキングアクチュエータ3に与えるように構成してある。
即ち、このデジタル制御によるトラッキング制御装置では、トラッキング誤差信号eをデジタル信号e(k)に変換した後、トラッキング制御装置としての処理を実行する。
図5に示すように、トラッキング誤差検出手段1によって検出されたトラッキング誤差信号eは、A/D変換器(ADC)15にてデジタル信号e(k)に変換され、補正信号生成手段5及び加算手段18に入力される。
ここに、補正信号生成手段5は、記憶手段16を備える。記憶手段16は、光ディスクの少なくとも1回転周期に相当する時間のトラッキング誤差信号eのデジタルデータe(k)を記憶する。そして、記憶手段16は、光ディスクの1周前のトラッキング誤差信号e(k)を用いて、サンプリング時刻kにおいてdサンプリング周期に相当する時間だけ進んだ時刻でのトラッキング誤差信号を補正信号c(k+d)として前置補償手段6へ出力する。
また、前置補償手段6は、パルス伝達関数P(z−1)を持つ補償手段17を備える。補償手段17は、記憶手段16から入力する補正信号c(k+d)をデジタル的に処理し、前置補償信号h(k)を出力する。
加算手段18は、デジタル化されたトラッキング誤差信号e(k)と前置補償信号h(k)を加算し、その加算結果を安定化補償手段19に入力する。安定化補償手段19の出力は、D/A変換器(DAC)20によってアナログ信号に変換され、トラッキングアクチュエータ3を駆動し、光スポット位置sを変化させることによりトラッキング制御を行う。
なお、安定化補償手段19は、トラッキング制御装置のフィードバック制御系が安定に動作するように振幅と位相の周波数特性の補償を行うと同時に、所望の応答特性を実現するためのパルス伝達関数G(z−1)を持つ。また、D/A変換器(DAC)20とトラッキングアクチュエータ3を縦続接続した系は、パルス伝達関数G(z−1)を持つ。
次に、図5〜図8を参照して第3の実施形態の基本動作を説明する。なお、図6は、第1次の共振モードを持つムービングコイル型トラッキングアクチュエータの回路/運動モデル図である。図7は、記憶手段に記憶された補正信号のデータとサンプリングクロックとの関係模式図である。図8は、第3の実施形態のトラッキング制御装置の基本動作のフローチャートである。
まず、図5〜図7を用いて第3の実施形態のトラッキング制御装置の動作原理を説明する。このデジタル制御系では、補償手段17のパルス伝達関数P(z−1)を、トラッキングアクチュエータ3のパルス伝達関数が不安定な零点を持つ場合と持たない場合とに分けて決定する。
いずれの場合も連続系でトラッキングアクチュエータ3の伝達関数を求めた後、それを離散系に変換することによりデジタル制御系における閉ループのパルス伝達関数を得る。さらに、閉ループのパルス伝達関数に基づいて補償手段17のパルス伝達関数P(z−1)を決定する。
光ヘッドに用いられる一般的なムービングコイル型のトラッキングアクチュエータは、例えば、文献2『ラジオ技術社、ラジオ技術選書「光ディスク技術」134頁』で述べられているように、第1次の共振モードを持つ図6のモデルで表される。図6(a)はトラッキングアクチュエータの回路モデルであり、vは駆動電圧、iは駆動電流、Rは抵抗分、Lはリアクタンス分である。図6(b)は運動モデルであり、K,D,m,f(t)およびx(t)は、それぞれ弾性係数、粘性係数、可動部70の質量、駆動力及び位置を表す。図6(a)(b)から、駆動電圧v(t)、駆動力f(t)は、
Figure 2008027575
となる。また、推力定数をKとおけば、駆動力f(t)は、
f(t)=Ki(t) ・・・ (9)
となる。
そして、式(8)、式(9)を用いて、初期値を0としてラプラス変換を行うことにより、トラッキングアクチュエータ3を電流で駆動した場合の伝達関数G2i(s)は、
Figure 2008027575
となる。また、トラッキングアクチュエータ3を電圧で駆動した場合の伝達関数G2v(s)は、式(7)、式(8)、式(9)を用いて
Figure 2008027575
となる。即ち、連続系におけるトラッキングアクチュエータ3のモデルは、電流駆動では2次、電圧駆動では3次の低域フィルタ型になる。
次に、トラッキングアクチュエータ3を駆動する信号を出力するD/A変換器(DAC)20は、0次ホールダとして機能することを考慮して、連続系での伝達関数をデジタル制御系のパルス伝達関数G(z−1)に変換すると、例えば、文献3『コロナ社「基礎デジタル制御」59頁、表3.5』が示すように、分母と分子の次数差に応じて不安定零点が生じることが知られている。ここで、z=exp(jωT)である。但し、Tはサンプリング周期である。
Figure 2008027575
表1は、文献3の表3.5を示している。この文献3の表3.5において、トラッキングアクチュエータ3を電流で駆動した場合はk=2となる。電圧で駆動した場合は電圧から電流に変化する過度現象のためにkの値は1つ増えてk=3となる。そして、いずれの場合も不安定零点が1個以上生じる。一方、図5の安定化補償手段19のパルス伝達関数G(z−1)については、不安定零点、不安定極のいずれも持たないように設計を行う。ここで、表1におけるkは連続系の伝達関数の分母の次数から分子の次数を減じた数値であり、サンプリング時刻を表すkとは異なる。
前置補償信号h(k)に対する光スポット位置sの閉ループのパルス伝達関数Gcl(z−1)は、
Figure 2008027575
によって表される。なお、式(12)において、A(z−1)、B(z−1)は、いずれもz−1の多項式である。また、z−dは、d・T、即ちdサンプリング周期分の時刻の遅れに相当する。
そこで、式(12)に基づいて補償手段17のパルス伝達関数P(z−1)を下記の手順により定める。まず、閉ループのパルス伝達関数Gcl(z−1)を用いて、P’(z−1),P(z−1)をそれぞれ式(13)、式(14)のように定める。
Figure 2008027575
Figure 2008027575
ここで、式(13)において、分子のzは、入力に対して出力がdサンプリング周期分進んだ時刻となることを示す。そこで、P(z−1)の入力は、dサンプリング周期分進んだ時刻における補正信号c(k+d)を用いる。これを図7を用いて説明する。図7において、例えば、光ディスクの1周についてn回のサンプリングを行って制御しているものとする。m周目のサンプリングクロックkに相当する時刻において、(m−1)周目のサンプリングクロック(k+d)に相当する時刻において記憶された信号を用いる。その他の時刻においても同様の処理を行う。
互いに隣接するトラックは、位置的な相関関係が大きいので、この方法によって等価的にdサンプリング周期分進んだ時刻における補正信号c(k+d)が得られる。式(12)と式(14)によって、補正信号c(k+d)に対する光スポット位置sは、
Figure 2008027575
となり、補正信号c(k)に対して光スポット位置sは、振幅差及び時間遅れを生じることなく追従する。
(A)このように、デジタル制御系においてトラッキングアクチュエータが不安定零点を持たない場合には、式(14)によりパルス伝達関数P(z−1)を定めれば、安定な制御系を実現できる。即ち、パルス伝達関数P(z−1)として、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループのパルス伝達関数Gcl(z−1)の逆数から導出したパルス伝達関数を採用する。
しかし、前述のようにムービングコイル型のトラッキングアクチュエータを使用したトラッキング制御装置では、閉ループのパルス伝達関数Gcl(z−1)は不安定な零点を持つため、式(12)から直接式(14)を利用してパルス伝達関数P(z−1)を定めると、パルス伝達関数P(z−1)は、不安定な極を持つことになり安定な制御系を構成できない。
(B)そこで、トラッキングアクチュエータ3のパルス伝達関数が不安定な零点を持つ場合は、次のようにしてデジタル制御系におけるパルス伝達関数P(z−1)を定める。
式(12)のパルス伝達関数Gcl(z−1)において、零点を安定な零点及び不安定な零点に分けて次の式(16)のように記述する。なお、式(16)において、B (Z−1)は安定な零点、B (Z−1)は不安定な零点を含むz−1の多項式である。
Figure 2008027575
そして、この式(16)を用いて以下に説明する第1及び第2の2つの方法でパルス伝達関数P(z−1)を定めて、安定な制御系を構成する。
第1の方法では、パルス伝達関数Gcl(z−1)の安定な零点のみをパルス伝達関数P(z−1)の極で相殺する。また、不安定な零点を含むB (Z−1)にはz−1=1を代入して定数とする。即ち、P’(z−1),P(z−1)をそれぞれ
Figure 2008027575
Figure 2008027575
と定める。
補償手段17のパルス伝達関数P(z−1)を式(18)の形にすることで、パルス伝達関数Gcl(z−1)の安定な零点のみをパルス伝達関数P(z−1)の極で相殺し、補正信号c(k+d)に対する光スポット位置sの応答において安定な制御系が構成される。
即ち、第1の方法では、式(12)、式(16)及び式(18)により、補正信号c(k+d)に対する光スポット位置sの応答は、
Figure 2008027575
となり、低周波領域において光スポット位置sは補正信号c(k)に時間遅れを生じることなく追従する。また、トラッキング制御装置の安定性も保たれる。
次に、第2の方法では、パルス伝達関数P’(z−1),P(z−1)は、それぞれ下記の式(20)、式(21)のように定める。なお、式(20)、式(21)において、B (Z)は、多項式B (Z−1)においてz−1をzによって置き換えたものである。
Figure 2008027575
Figure 2008027575
この第2の方法では、式(12)、式(16)及び式(21)によって補正信号c(k+d)に対する光スポット位置sの応答は、
Figure 2008027575
となる。
ここで、B (Z)とB (Z−1)は、互いに複素共役となることから、光スポット位置sは補正信号c(k)に対してすべての周波数で時間遅れを生じることなく追従する。また、トラッキング制御装置の安定性も保たれる。
次に、図5を適宜参照しつつ図8に沿って動作を詳細に説明する。図において、トラッキング誤差検出手段1は、光ヘッドが走査を行っているトラックに対するトラッキング誤差信号eを検出する。このトラッキング誤差信号eは、A/D変換器(ADC)15によってデジタル信号e(k)に変換された後、補正信号生成手段5及び加算手段18に入力される。
補正信号生成手段5は、例えばメモリを使用した記憶手段16の所定記憶領域にトラッキング誤差信号e(k)を逐一格納するとともに、光ディスクの1周前のトラッキング誤差信号e(k)を用いて、時刻kにおいてd・Tsに相当する時間だけ進んだ時刻でのトラッキング誤差信号を演算し(ステップS11)、それを補正信号c(k+d)として記憶手段16の別の記憶領域に格納する(ステップS12)。
そして、補正信号生成手段5は、光ディスクの1回転前に記憶された補正信号c(k+d)があるかどうかを判断し(ステップS13)、なければ補正信号=0とし(ステップS14)、記憶された補正信号c(k+d)があればそれを読み出し(ステップS15)、前置補償手段6に与えて前置補償信号h(k)を出力させる(ステップ16)。
ここに、前置補償手段6を構成する補償手段17は、上記第1及び第2の方法で定めたパルス伝達関数P(z−1)を持つように構成される。即ち、D/A変換器(DAC)20の0次ホールド機能とトラッキングアクチュエータ3の伝達関数によって得られるパルス伝達関数G(z−1)が不安定な零点を持たない場合、補償手段17は、そのパルス伝達関数P(z−1)が式(14)となるように構成される。また、パルス伝達関数G(z−1)が不安定な零点を持つ場合、補償手段17は、そのパルス伝達関数P(z−1)が式(18)あるいは式(21)となるように構成される。
次いで、加算手段18では、補償手段17の出力から得られる前置補償信号h(k)とトラッキング誤差信号e(k)とを加算し、安定化補償手段19に出力する(ステップ17)。
安定化補償手段19は、フィードバック制御系を安定化すると同時に所望の応答特性を実現するためのパルス伝達関数G(z−1)を持つ。安定化補償手段19の出力は、D/A変換器(DAC)20によってアナログ信号に変換されトラッキングアクチュエータを駆動することによって光スポット位置sを制御する(ステップ18)。
回転中の光ディスクに対して継続してトラッキング制御を行うためには再びステップS11に戻り、以上の動作を繰り返す。これにより、光ディスクの回転数全般に渡っての追従誤差の低減が実現される。
[第4の実施形態]
図9は、本発明の第4の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置の構成ブロック図である。第4の実施形態は、請求項3,7〜10に対応する。
第4の実施形態のデジタル制御によるトラッキング制御装置では、第3の実施形態において、補正信号生成手段5を、パルス伝達関数Q(z−1)を持つ第1の演算手段25、パルス伝達関数Q(z−1)を持つ第2の演算手段26、加算手段27及び記憶手段16によって構成し、前置補償手段6をパルス伝達関数P(z−1)を持つ補償手段29、遅延量z−dを持つ遅延手段30及び減算手段31によって構成してある。
補正信号生成手段5では、第1の演算手段25には、A/D変換器(ADC)15が出力するトラッキング誤差信号e(k)が入力され、第2の演算手段26には、前置補償信号h(k)が入力される。また、加算手段27は、2つの演算手段25,26の出力を受けて仮想的なトラック位置を記憶手段16に出力する。記憶手段16は、補正信号c(k+d)を前置補償手段6に出力する。
前置補償手段6では、補正信号c(k+d)が補償手段29と遅延手段30とに入力され、補償手段29と遅延手段30の出力が減算手段31に入力され、減算手段31から前置補償信号h(k)が出力される。
要するに、第4の実施形態では、A/D変換後のトラッキング誤差信号e(k)及び前置補償手段6の出力h(k)を補正信号生成手段5に入力して補正信号c(k+d)を生成し、それを前置補償手段6に入力して前置補償信号h(k)を得る。加算手段18は、前置補償信号h(k)をトラッキング誤差信号e(k)と加算して安定化補償手段19に入力する。D/A変換器(DAC)20は、安定化補償手段19の出力をアナログ信号に変換し、トラッキングアクチュエータ3を駆動する。
次に、図9を参照して第4の実施形態の基本動作を説明する。第4の実施形態は、上記第3の実施形態において説明したトラッキングアクチュエータ3のパルス伝達関数が不安定な零点を持つ場合と持たない場合のデジタル制御系におけるパルス伝達関数P(z−1)を定める方法の他の例(第3の方法)を実現するものである。
A/D変換器(ADC)15によってデジタル化されたトラッキング誤差信号e(k)は、第1の演算手段25及び加算手段18に入力される。また、第2の演算手段26には、前置補償信号h(k)が入力される。
第1の演算手段25は、入力されたトラッキング誤差信号e(k)に対して次の式(23)で表されるパルス伝達関数Q(z−1)の出力を求め、この結果を加算手段27の一方の入力に与える。
〔数18〕
1(z-1)=1+G1(z-1)G2(z-1) ・・・ (23)
また、第2の演算手段26は、入力された前置補償信号h(k)に対して次の式(24)で表されるパルス伝達関数Q(z−1)の出力を求め、この結果を加算手段27の他方の入力に与える。
〔数19〕
2(z-1)=G1(z-1)G2(z-1) ・・・ (24)
加算手段27は、第1及び第2演算手段25、26の出力を加算し、次の式
Figure 2008027575
Figure 2008027575
Figure 2008027575
記憶し、光ディスクの1周前に記憶された信号を用いて、時刻kにおいてd・T進んだ時刻に相当する信号を補正信号c(k+d)として補償手段29及び遅延手段30に出力する。
具体的には、記憶手段16は、図7に示したように、m周目のサンプリングクロックkに相当する時刻においては、(m−1)周目のサンプリングクロックk+dに相当する時刻において記憶された信号を補正信号c(k+d)として出力する。
この補正信号c(k+d)に対して、補償手段29は、式(14)、式(18)あるいは式(21)のいずれかで表されるパルス伝達関数P(z−1)の演算を行う一方、遅延手段30は、d・Tに相当するdサンプリング周期分の時間遅延を行う。減算手段31は、補償手段29の出力から遅延手段30の出力を減算し、次の式(26)によって表される前置補償信号h(k)を発生し、加算手段18及び第2の演算手段26に対して出力する。
〔数21〕
1(k)=P1(z-1)c1(k+d)−z-d1(k+d) ・・・ (26)
加算手段18は、この前置補償信号h(k)とトラッキング誤差信号e(k)を加算し、安定化補償手段19に出力する。安定化補償手段19の出力は、D/A変換器(DAC)20を介してトラッキングアクチュエー夕3を駆動し、光スポット位置sの制御を行う。
これにより、以上の各実施形態と同様に、光ディスクの回転数全般にわたっての追従誤差の低減が実現される。
[第5の実施形態]
図10は、本発明の第5の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる記憶手段の構成図である。第5の実施形態は、請求項3,7〜10に対応する。
図10では、説明を容易にするため、図5または図9に示したトラッキング制御装置における記憶手段16に関係する部分のみを取り出してある。その他の部分は、それぞれ図5または図9と共通である。
図10に示すように、第5の実施形態では、第2〜第4の実施形態における記憶手段16を、n個のメモリ素子40と加算手段41および乗算手段39によって構成するものである。メモリ素子40は、例えば演算を行うデータのビット数に対応する複数のD−フリップ・フロップによって構成し、サンプリングクロック毎に縦続接続されている前段のメモリ素子の出力データを取り込むと共に、1クロック前に記憶していた値を縦続接続されている後段のメモリ素子に対して出力する。n番目のメモリ素子40の出力は乗算手段39に入力される。乗算手段39は入力されたデータに対して、|w|<1であり、w=0を含む適切な係数を乗算する。乗算手段39の出力は加算手段41に接続されており、入力信号と加算された信号を1番目のメモリ素子に入力する。補正信号c(k+d)は、(n−d)番目のメモリ素子40の出力から取り出す。
第5の実施形態によれば、記憶手段16に学習効果を持たせることができるので、追従誤差をより小さくすることが可能となる。
[第6の実施形態]
図11は、本発明の第6の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる記憶手段の構成図である。第6の実施形態は、請求項4,7〜10に対応する。
図11では、説明を容易にするため、図5または図9に示したトラッキング制御装置における記憶手段16に関係する部分のみを取り出してある。その他の部分は、それぞれ図5または図9と共通である。
図11に示すように、第6の実施形態では、第2〜第4の実施形態における記憶手段16を、高速のCPUまたはデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)などの演算素子43及びこの演算素子43とデータバス44、アドレスバス45を介して接続されたメモリ46によって構成したものである。
演算素子43は、トラッキング制御装置のクロックに同期して入力信号を時系列的に取り込んでメモリ46上に記憶し、その記憶した入力信号に対して光ディスク1回転分の遅延を行った後、補正信号c(k+d)を出力する。
または、演算素子43は、トラッキング制御装置のクロックに同期して入力信号を時系列的に取り込んでメモリ46上に記憶し、その記憶した入力信号に対して、例えば移動平均処理、最小二乗法などの統計的な信号処理を行った後、補正信号c(k+d)を出力する。
第6の実施形態によれば、光ディスク上に傷やゴミなどがあってトラッキング誤差信号が得られない期間が生じても、トラッキング外れが生じる可能性を低くすることができる。
なお、メモリ46に記憶するデータは、光ディスク1周分に相当する入力信号でも、光ディスクの複数回の回転によって得られた入力信号でも良い。
[第7の実施形態]
図12は、本発明の第7の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる記憶手段の構成図である。第7の実施形態は、請求項5,7〜10に対応する。なお、第7の実施形態は、CLV方式、ZCLV方式、CAV方式、ZCAV方式に対応するトラッキング制御装置の原理構成を示し、具体的には、例えば第8、第9の各実施形態のように構成される。
図12では、説明を容易にするため、図5または図9に示したトラッキング制御装置における記憶手段16に関係する部分のみを取り出してある。その他の部分は、それぞれ図5または図9と共通である。
図12に示すように、第7の実施形態の記憶手段16では、入力信号やトラッキング制御装置のクロックに加え、光ディスクの半径方向における光ヘッド位置情報と光ディスク回転角度情報が入力される。
次に、第7の実施形態のトラッキング制御装置の基本動作を説明する。まず、走査中のトラックに対するトラッキング誤差信号を用いて演算した補正信号を入力信号として、光ヘッド位置情報、光ディスク回転角度情報と共にトラッキング制御装置のクロックに同期して記憶手段16に記憶する。光ヘッド位置情報は、光ヘッドが走査を行っているトラックの光ディスク上での半径位置を知るために用いる。
次に、光ディスクの少なくとも1回転前の時刻において記憶手段16に記憶された補正信号のうち、現在の光ヘッド位置及び光ディスクの回転角度に対応した補正信号を出力信号として読み出す。
この補正信号を前置補償手段6に入力して前置補償信号を出力し、前置補償信号を走査中のトラックに対するトラッキング誤差信号に加算し、加算後の信号を用いてトラッキング制御を行う。
[第8の実施形態]
図13は、本発明の第8の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる記憶手段の構成図である。第8の実施形態は、請求項5,7〜10に対応する。なお、第8の実施形態は、CLV方式、ZCLV方式、CAV方式、ZCAV方式の対応するトラッキング制御装置の具体的構成例を示す。
図13では、説明を容易にするため、図5または図9に示したトラッキング制御装置における記憶手段16に関係する部分のみを取り出してある。その他の部分は、それぞれ図5または図9と共通である。
図13に示すように、第8の実施形態では、第2〜第4の実施形態における記憶手段16を、高速のCPUまたはデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)などの演算素子47及びこの演算素子47とデータバス44、アドレスバス45を介して接続されたメモリ48によって構成したものである。
図13に示すように、第8の実施形態の記憶手段16における演算素子47には、入力信号やトラッキング制御装置のクロックに加え、光ディスクの半径方向における光ヘッド位置情報と光ディスク回転角度情報が入力される。
次に、図13,図14を参照して第8の実施形態のトラッキング制御装置の動作を説明する。なお、図14は、第8の実施形態のトラッキング制御装置の基本動作のフローチャートである。
図において、演算素子47には、光ヘッドが走査を行っているトラックに対するトラッキング誤差信号が入力信号として入力されるとともに、光ディスクの半径方向における光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報が入力される。
演算素子47は、光ヘッドが走査を行っているトラックに対するトラッキング誤差信号を検出した後、この信号を用いて補正信号を演算し(ステップS31)、補正信号を光ヘッド位置情報と光ディスク回転角度情報と共にメモリ48に記憶する(ステップS32)。光ヘッド位置情報は光ヘッドが走査を行っているトラックが光ディスク上で半径上のいずれの位置にあるかを知るために用いる。
具体的には、演算素子47は、光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報を用いてメモリアドレスを一意に決定し、そのアドレスにトラッキング制御装置のクロックに同期して入力信号を時系列的に取り込んでメモリ48上に記憶し、その記憶した入力信号に対して光ディスク1回転分の遅延を行い、光ヘッド位置情報と光ディスク回転情報と共にメモリ48に記憶する。
または、演算素子47は、光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報を用いてメモリアドレスを一意に決定し、そのアドレスにトラッキング制御装置のクロックに同期して入力信号を時系列的に取り込んでメモリ48上に記憶し、その記憶した入力信号に対して、例えば移動平均処理、最小二乗法などの統計的な信号処理を行い、光ヘッド位置情報と光ディスク回転情報と共にメモリ48に記憶する。
次に、演算素子47は、現在の光ヘッド位置情報と光ディスク回転角度情報に対応する補正信号がメモリ48に記憶されているかを判断し(ステップS33)、記憶されていなければ補正信号=0とし(ステップS34)、記憶されていれば、メモリ48から現在の光ヘッド位置と光ディスク回転角度に対応する補正信号c(k+d)を読み出す(ステップS35)。
このとき、ステップ35では、読み出すべき補正信号の光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報と記憶されている補正信号の光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報が一致しない場合は、一番近い光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報を持つ補正信号を用いて補間処理を行った後、それを補正信号c(k+d)として出力する。
そして、補正信号c(k+d)を前置補償手段に入力して前置補償信号を加算手段に出力し(ステップS36)、この前置補償信号を光ヘッドが走査を行っているトラックに対するトラッキング誤差信号に加算させる(ステップS37)。
次に、この加算された信号を用いてトラッキング制御を行う(ステップS38)。回転中の光ディスクに継続してトラッキング制御を行うためには再びステップS31へ戻り、前述の動作を繰り返す。
なお、メモリ48に記憶するデータは、光ディスク1周分に相当する入力信号でも、光ディスクの複数回の回転によって得られた入力信号でも良い。
次に、図15は、光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報を検出する方法を説明する図である。図15において、スピンドルモータ51に取り付けられて回転する光ディスク50を光ヘッド53から出射される光スポット54が走査する。光ヘッド53は、リニアモータなどの光ヘッド移動機構55に取り付けられており、光ディスク50の半径方向に移動する。
例えば、DVD−RAMを用いた光ディスク記録装置においては、光ディスク50上に予め記録されているヘッダを光学的に読み出し、アドレス復号手段57によってアドレス信号を生成する。クロック再生手段58は、光ディスク50上に形成されているグルーブの蛇行信号を光学的に読み出し、例えばPLL回路を用いてクロック信号を再生する。
このように得られたアドレス信号を用いると、光ヘッド53が光ディスク50上で走査しているトラックの位置がわかるので、それを光ヘッド位置情報検出手段59を用いて光ヘッド位置情報に変換し出力する。また、光ディスク回転角度検出手段60は、アドレス信号を回転角度の原点信号として用いてクロック信号を計測し、光ディスク回転角度情報を出力する。
これらの手段のほか、光ヘッド位置情報は、例えば、光ヘッド移動機構55に取り付けられたリニアエンコーダなどの位置検出手段56によっても得られる。
また、光ディスク回転角度情報は、例えば、スピンドルモータ51に取り付けられたロータリーエンコーダなどの回転角度検出手段52によっても得られる。上記第7、第8の各実施形態で用いる光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報は、前述のいずれの手段を用いて取得しても良い。
第8の実施形態によれば、光ヘッド位置情報と光ヘッド回転速度情報を用いるので、光ディスクの半径によって1回転の周期が変化するCLV方式や、ZCLV方式を用いた記録・再生の装置において追従誤差を低減できる。
[第9の実施形態] 図16は、本発明の第9の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる光ディスクの概念図である。第9の実施形態は、請求項6,7〜10に対応する。なお、第9の実施形態は、CLV方式、ZCLV方式、CAV方式、ZCAV方式の対応するトラッキング制御装置の具体的構成例を示す。
第9の実施形態は、第8の実施形態において、光ヘッド位置情報をその数値に従って複数の範囲に分類し、同一の範囲内では1種類の補正信号c1(k+d)を用いるものである。
図16に示すように、第9の実施形態の光ディスク50は、中心からの半径によってn個の領域に分割される。中心からの半径rは、
〔数22〕
j≦r≦rj+1 (j=1,2,・・,n) ・・・ (27)
によって表される。
光ディスク50では、近接したトラック同士は偏心及びトラックの蛇行の傾向などが類似している。したがって、このように領域を分割して式(27)で表される各領域内では、光ディスク1周分の補正信号c(k+d)のみを用いることで、補正信号c(k+d)のデー夕を記憶するためのメモリ容量を減らすことができる。
なお、第8、第9の各実施形態において、光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報を用いてメモリアドレスを一意に決定する方法は、これら2つの情報を用いてアドレスを決定する方法でも、これら2つの情報を用いて対応するメモリアドレスを割り当てるための変換テーブルを予めメモリ48に記憶しておき、この変換テーブルを用いる方法でも同様の動作が得られる。
また、第1〜第9の各実施形態において、トラッキング誤差を検出する方法は、一般に広く使われている3ビーム法、プッシュプル法、ヘテロダイン法、位相差検出法でも良い。さらには、光ディスク上に予め形成されたピットの反射光を用いて検出する方法、グルーブからの回折光を用いて検出する方法、予め記録されたトラッキング誤差検出用の信号を用いて検出する方法のいずれを用いても良い。
さらに、第3の実施形態(図5)、第4の実施形態(図9)では、補正信号生成手段5、前置補償手段6、加算手段18及び安定化補償手段19をそれぞれ個別のブロックとして示したが、これらは高速のCPUまたはデジタル・シグナル・プロセッサなどの演算ユニットとメモリの組み合わせで実現できることはもちろんである。
また、安定化補償手段19の出力をD/A変換器(DAC)20によってアナログ信号に変換しトラッキングアクチュエータ3を駆動する構成としているが、安定化補償手段19の出力をパルス幅変調手段(PWM)に入力し、その出力パルスによってトラッキングアクチュエータ3を駆動しても全く同様な動作を実現できる。
また、第1〜第9の各実施形態において使用する安定化補償手段2あるいは安定化補償手段19は、ロバスト安定化補償器を使用できることはもちろんのこと、一般に広く使われている位相進み遅れ補償型の補償器、PI型の補償器あるいはPID型の補償器でも良いことは当然である。
さらに、第1〜第9の各実施形態において使用するトラッキングアクチュエータ3は、図6に示した第1次の共振モードを持つムービングコイル型のアクチュエータの他に、例えば第2次、第3次など高次の共振モードを持つムービングコイル型のアクチュエータも使用できるのはもちろんである。また、ムービングコイル型以外にも、例えば圧電型、リニアモータ型、スイングアーム型、あるいはこれら複数のものを組み合わせた複合型のアクチュエータでも良いことは当然である。これらのいずれの形式のトラッキングアクチュエータを用いたトラッキング制御装置に対しても同様に本発明を実施できることはいうまでもない。
そして、上記各実施形態は、光ディスク記録装置のみならず、光ディスク再生装置、光ディスク記録再生装置及び光テープ記録装置のトラッキング制御系にも適用可能である。また、フォーカス制御装置にも同様の構成で適用可能である。
その場合、トラッキング誤差検出手段、トラッキングアクチュエータに代えて、それぞれフォーカス誤差検出手段、フォーカスアクチュエータを用いる。
本発明の第1の実施形態に係るフィードバック制御装置としてのトラッキング制御装置の原理構成ブロック図である。 光ディスクの回転数に対するトラッキング制御装置の追従誤差特性の比較図である。 本発明の第2の実施形態に係るアナログ制御によるトラッキング制御装置の構成ブロック図である。 本発明の第2の実施形態のトラッキング制御装置の基本動作のフローチャートである。 本発明の第3の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置の構成ブロック図である。 第1次の共振モードを持つムービングコイル型トラッキングアクチュエータの回路モデル/運動モデルを示す図である。 記憶手段に記憶された補正信号のデータとサンプリングクロックとの関係模式図である。 本発明の第3の実施形態のトラッキング制御装置の基本動作フローチャートである。 本発明の第4の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置の構成ブロック図である。 本発明の第5の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる記憶手段の構成図である。 本発明の第6の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる記憶手段の構成図である。 本発明の第7の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる記憶手段の構成図である。 本発明の第8の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる記憶手段の構成図である。 本発明の第8の実施形態のトラッキング制御装置の基本動作フローチャートである。 光ヘッド位置情報及び光ディスク回転角度情報を検出する方法を説明する図である。 本発明の第9の実施形態に係るデジタル制御によるトラッキング制御装置で用いる光ディスクの概念図である。 従来の一般的に用いられているトラッキング制御装置の構成ブロック図である。 繰り返しトラッキング制御により追従性能を改善する従来のトラッキング制御装置の構成ブロック図である。
符号の説明
1 トラッキング誤差検出手段
2 安定化補償手段
3 トラッキングアクチュ工一夕
5 補正信号生成手段
6 前置補償手段
7 加算手段
10 遅延手段
11 補償手段
15 A/D変換器(ADC)
16 記憶手段
17 補償手段
18 加算手段
19 安定化補償手段
20 D/A変換器(DAC)
25 第1の演算手段
26 第2の演算手段
27 加算手段
29 補償手段
30 遅延手段
31 減算手段
39 乗算手段
40 メモリ素子
41 加算手段
43 演算素子
44 データバス
45 アドレスバス
46 メモリ
47 演算素子
48 メモリ 50 光ディスク
51 スピンドルモータ
52 回転角度検出手段
53 光ヘッド
54 光スポット
55 光ヘッド移動機構
56 位置検出手段
57 アドレス復号手段
58 クロック再生手段
59 光ヘッド位置情報検出手段
60 光ディスク回転角度検出手段
70 可動部
72 遅延手段

Claims (10)

  1. 光ディスク上のトラック位置と光ヘッドから出射される光スポット位置との差に対応したトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段と、
    前記光ディスクの少なくとも1周分の回転周期前の前記トラッキング誤差信号に基づき補正信号を生成する補正信号生成手段と、
    生成された補正信号の振幅及び位相の補償を行った補償信号を生成する前置補償手段と、
    前記トラッキング誤差信号と前記補償信号とを加算した駆動信号を生成する加算手段と、
    生成された駆動信号に基づき前記光スポットに前記光ディスク上の目的のトラックを走査させる制御手段と、
    を備えることを特徴とするトラッキング制御装置。
  2. 請求項1に記載のトラッキング制御装置において、
    前記補正信号生成手段は、前記トラッキング誤差信号を前記光ディスクの1周分の回転周期に相当する時間遅延させて前記補正信号を出力し、かつ、
    前記前置補償手段は、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループ伝達関数の逆数の伝達関数でもって前記補正信号の振幅及び位相の補償を行う、
    ことを特徴とするトラッキング制御装置。
  3. 請求項1に記載のトラッキング制御装置において、
    前記補正信号生成手段は、前記トラッキング誤差信号を前記光ディスクの少なくとも1周分の回転周期に相当する時間に渡って記憶手段に記憶するとともに、その記憶した信号から1回転周期前のトラッキング誤差信号を演算して補正信号を出力し、かつ、
    前記前置補償手段は、所定のパルス伝達関数でもって前記補正信号の振幅及び位相の補償を行った補償信号を生成する、
    ことを特徴とするトラッキング制御装置。
  4. 請求項1に記載のトラッキング制御装置において、
    前記補正信号生成手段は、光ディスクの複数回の回転周期に相当する時間のトラッキング誤差信号を記憶手段に記憶するとともに、記憶された信号について統計的手法を適用し、1回転周期前のトラッキング誤差信号に相当する信号を抽出する演算処理を行い補正信号を出力し、かつ、
    前記前置補償手段は、所定のパルス伝達関数でもって前記補正信号の振幅及び位相の補償を行った補償信号を生成する、
    ことを特徴とするトラッキング制御装置。
  5. 請求項1に記載のトラッキング制御装置において、
    前記補正信号生成手段は、前記光ヘッドが光ディスク上のトラックに追従している状態での光ヘッドの位置情報及び光ディスクの回転角度情報をトラッキング誤差信号もしくはトラッキング誤差信号に対して演算処理を行った結果得られた信号と共に記憶し、少なくとも光ディスクの1周分の回転周期に対応する時間を経た後、記憶されていた光ヘッドの位置情報と光ディスクの回転角度情報が、いずれも光ヘッドが光ディスク上を走査している現在の時点におけるこれら2つの情報と一致する時、既に記憶されていたトラッキング誤差信号を、もしくはトラッキング誤差信号に対して演算処理を行った結果得られた信号を補正信号として出力し、かつ、
    前記前置補償手段は、所定のパルス伝達関数でもって前記補正信号の振幅及び位相の補償を行った補償信号を生成する、
    ことを特徴とするトラッキング制御装置。
  6. 請求項5に記載のトラッキング制御装置において、
    前記補正信号生成手段は、光ヘッドの位置情報を光ディスクの半径に応じて複数の領域に分け、光ヘッドが光ディスク上のトラックに追従している際の光ヘッドの位置が属する領域の情報及びその時点での光ディスクの回転角度情報を光ディスクの1回転周期に相当する時間のトラッキング誤差信号もしくはトラッキング誤差信号に対して演算処理を行った結果得られた信号と共に記憶手段に記憶しておき、光ヘッドが走査を行っている現在の時点において、光ヘッドの位置が前記分割されたいずれの領域に属するかを判断し、その領域における光ディスクの回転角度情報に対応するトラッキング誤差信号を、もしくはトラッキング誤差信号に対して演算処理を行った結果得られた信号を記憶手段から補正信号として読み出す、
    ことを特徴とするトラッキング制御装置。
  7. 請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載のトラッキング制御装置において、
    前記前置補償手段が持つ所定のパルス伝達関数は、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループのパルス伝達関数が安定な零点を持つ場合、前記閉ループのパルス伝達関数の逆数のパルス伝達関数である、
    ことを特徴とするトラッキング制御装置。
  8. 請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載のトラッキング制御装置において、
    前記前置補償手段が持つ所定のパルス伝達関数は、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループのパルス伝達関数が不安定な零点あるいは安定限界の零点を持つ場合、前記閉ループのパルス伝達関数の極及び安定な零点のみを相殺し、前記前置補償手段の直流ゲインを前記閉ループの直流ゲインの逆数に一致させたパルス伝達関数である、
    ことを特徴とするトラッキング制御装置。
  9. 請求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載のトラッキング制御装置において、
    前記前置補償手段が持つ所定のパルス伝達関数は、当該フィードバック制御系の入力に対する出力の閉ループのパルス伝達関数が不安定な零点あるいは安定限界の零点を持つ場合、前記閉ループのパルス伝達関数の極及び安定な零点を相殺し、さらに前記閉ループのパルス伝達関数との積がすべての周波数において位相差を零とし、前記前置補償手段の直流ゲインを前記閉ループの直流ゲインの逆数に一致させたパルス伝達関数である、
    ことを特徴とするトラッキング制御装置。
  10. 請求項3乃至請求項9のいずれか1項に記載のトラッキング制御装置において、
    前記記憶手段に記憶される信号は、光ディスクの回転に従って逐次更新される、
    ことを特徴とするトラッキング制御装置。
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