JP2008026035A - レーダ - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な精度で到来方位を推定しながら、到来方位の推定の計算量を抑制できるレーダの提供を図る。
【解決手段】
受信アンテナ1は、アレイアンテナ10の複数の素子アンテナ2A〜2Eそれぞれを介した送受信により得られる複数の受信信号を出力する。信号処理回路9は、到来方位推定法としてBeamformer法を用いて、特定の指向方位のスペクトル強度を算出し、指向方位を粗い走査ピッチで切り替えて再びスペクトル強度を算出する。また、指向方位への切り替えのたびに、スペクトル強度の増加幅が、以前のスペクトル強度の増加幅よりも小さくなる変化を検出し、この変化を検出すると、到来方位推定法をCapon法に、走査ピッチを細かいものに切り替えて、以降のスペクトル強度の算出を続ける。このようにしてスペクトル強度の角度分布を求め、到来波の到来方位を推定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車の衝突防止用等に用いられるFM−CW方式のレーダ、特にアレイアンテナを用いたレーダに関するものである。
FM−CW方式のレーダでは、周波数変調した連続波の送受信により得られるビート信号に基づいて、物標までの相対距離と相対速度とを算出する。
このようなレーダの送信アンテナまたは受信アンテナとして複数の素子アンテナを配列したアレイアンテナを用いることがある。アレイアンテナを用いたレーダでは、各素子アンテナを介した連続波の送信または到来波の受信により素子アンテナごとの受信信号を得て、到来方位推定法により到来波の到来方位を推定する。
到来方位推定法では、各素子アンテナの出力に適当な複素数の重みを乗算する。すなわち各素子アンテナの受信信号の振幅と位相をそれぞれ適切に操作することによって、任意の指向方位にアレイアンテナの指向性をもたせる。このようにして探知範囲内の各方位を指向方位とした受信信号強度を検出し、各指向方位のうち受信信号強度がピークとなる指向方位を到来波の到来方位として推定する。また、指向特性のNULL点を任意の方位に向け到来波の到来方位を推定することもある。
到来方位推定法としては、Beamformer法やCapon法やMUSIC法など様々なものが知られている。各到来方位推定法にはそれぞれ長所と短所があり、例えばBeamformer法は、計算量を低減して到来方位を推定できる長所があるが、Beamformer法の指向特性では、角度分解能が低くしか到来方位を推定できない短所がある。Capon法の指向特性はBeamformer法の指向特性に比べて角度分解能の面で優れるが、計算量の面で劣る。MUSIC法の指向特性も、Beamformer法の指向特性に比べて角度分解能の面で優れるが、計算量の面で劣る。このように到来方位推定法は角度分解能と計算量とが相反する関係を持つ。
また到来方位推定法では、指向方位を切り替える走査ピッチによっても、角度分解能と計算量とが異なり、走査ピッチが細かければ角度分解能の面で優れるが全体の計算量が増大する。また逆に、走査ピッチを粗くすれば、全体の計算量は抑制できるが角度分解能の面で劣る。
このように従来のFM−CWレーダでは、到来方位推定法を用いた到来方位の推定において、高い角度分解能と計算量の抑制とを両立することが困難であった。そこで、到来方位推定法を用いた到来方位の高精度な推定と計算量の抑制との両立を図ったレーダが提案されている。
特許文献1のレーダでは、まず、ビート信号に基づいて物標までの距離を検出し、スペクトルピークの周波数が遠距離と判定されるべき境界周波数以上であるか、近距離と判定されるべき境界周波数未満であるかを検出する。次に、遠距離の場合と近距離の場合とで、物標が観測された距離ごとに異なる到来方位推定法のアルゴリズムを用いて到来方位の推定を行う。
このレーダは、近距離に対する到来方位の推定では計算量が抑制できる到来方位推定法のアルゴリズムを用い、遠距離に対する到来方位の推定では角度分解能が高い到来方位推定法のアルゴリズムを用いて、高い角度分解能と計算量の抑制との両立を図るものであった。
また、特許文献2のレーダは、同様にビート信号に基づいて物標までの距離を検出し、次に、物標が観測された距離ごとに異なる走査ピッチを用いて到来方位の推定を行う。
このレーダは、近距離に対する到来方位の推定では計算量が抑制できる粗い走査ピッチを用い、遠距離に対する到来方位の推定では角度分解能を高めることができる細かい走査ピッチを用いて、高い角度分解能と計算量の抑制との両立を図るものであった。
また、特許文献3のレーダは、まず角度分解能が低い第1の到来方位推定法を用いて到来方位の推定を行い、次に、第1の到来方位推定法を用いて推定した到来方位の周辺方位に対して角度分解能が高い第2の到来方位推定法を用いて高精度に到来方位の推定を行う。
このレーダは、物標が存在しない方位に対しては角度分解能が低い指向特性の第1の到来方位推定法のみにより到来方位の推定を行い、物標が存在する方位に対しては第1の到来方位推定法による到来方位の推定だけでなく角度分解能が高い指向特性の第2の到来方位推定法による到来方位の推定も行う。このようにして、物標の到来方位の推定精度を高め、物標が存在しない方位に対しての計算量を抑制するものであった。
特許第3489114号公報 特許第3500629号 特開2003−139849号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されたレーダでは、遠距離の物標に対して全方位で受信信号強度を算出するため、遠距離の物標に対しての到来方位の推定の計算量が極めて大きくなり易かった。また、近距離の物標に対して全方位で角度分解能の低い到来方位推定を行うため低精度な到来方位の推定しかできなかった。
また、特許文献3に開示されたレーダでは、角度分解能が低い指向性の第1の到来方位推定法を全方位に対して行う必要があり、物標が存在する方位に対して第1と第2の到来方位推定法それぞれを用いて到来方位の推定を行う必要があった。したがって、第1の到来方位推定法の計算量の抑制に限界があった。
そこで、本発明の目的は、物標が存在する方位を高精度に推定しながら、到来方位推定のための計算量を従来より抑制できるレーダを提供することにある。
(1) この発明のレーダは、アレイアンテナの各素子アンテナを介した送信または受信により得た素子アンテナごとの受信信号に基づいて、所定の指向特性で任意の指向方位の受信信号強度を算出し、前記指向方位を所定の走査ピッチで切り替えて得られる指向方位ごとの受信信号強度に基づいて到来波の到来方位を推定するレーダにおいて、前記指向方位の切り替えごとに、切り替えた指向方位での受信信号強度とそれ以前の指向方位での受信信号強度とに基づいて、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知するピーク検知手段と、前記ピーク検知手段により受信信号強度の前記ピーク方位が近づくことを検知すると、それ以後の角度分解能を高く変更する分解能変更手段と、を備える。
この構成では、指向方位を切り替える際に、受信信号強度がピークとなる指向方位(ピーク方位)が近づくことを検知し、それ以後の角度分解能をより高めることで、到来方位の推定を高精度に行いながら、全方位に対しての推定の計算量を抑制する。
(2) また、この発明の前記分解能変更手段は、前記走査ピッチを細かくすることで角度分解能を高く変更する。この構成により、到来方位の推定精度を高める。
(3) また、この発明の前記分解能変更手段は、前記指向特性を異ならせることで角度分解能を高く変更する。例えば、Beamformer法やCapon法やMUSIC法などの各アルゴリズムを切り替えることで指向特性を異ならせ、到来方位の推定精度を高める。
(4) また、この発明の前記ピーク検知手段は、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の増加幅が、以前の指向方位の切り替えの間での受信信号強度の増加幅よりも大きく変化するという第1の条件に基づいて、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知する。
この第1の条件によれば、受信信号強度の増加幅が次第に大きくなっていくピーク初期の状態を検出してピーク方位の接近を検知する。従って、この第1の条件でピーク方位の接近を検知し角度分解能を高めれば、ピークを見逃すことが低減する。
(5) また、この発明の前記ピーク検知手段は、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の増加幅が、閾値を超えて変化するという第2の条件に基づいて、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知する。
この第2の条件により、ピークの急峻さに基づいてピーク方位が近づくことを検出する。この場合、緩やかに受信信号強度が変動するノイズ等の誤検出を低減できる。
また、閾値を用いるため、簡易な計算でピーク方位が近づいていることを検知でき、この計算の計算量を効果的に抑制できる。
(6) また、この発明の前記ピーク検知手段は、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の増加幅が、以前の指向方位の切り替えの間での受信信号強度の増加幅よりも小さく変化するという第3の条件に基づいて、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知する。
この第3の条件によれば、受信信号強度の増加幅が次第に小さくなっていくピークの頂上付近を検出してピーク方位の接近を検知する。従って、この第3の条件でピークの頂上付近であることを検出し角度分解能を高めれば、ピークの頂上以外の部分での角度分解能を抑制でき、高い角度分解能での処理数を少なくして、全体の計算量を低減できる。
(7) また、この発明の前記ピーク検知手段は、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の増加幅が、まず前記第1の条件を満足し、その後、前記第3の条件を満足することにより、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知する。
まず、第1の条件を用いることで、ピーク方位の接近を検知でき、ピーク方位を捉えることができる。そして、さらに第3の条件を用いることで、ピークの頂上付近でのピークの接近を確実に検知することが可能になる。
(8) また、この発明の前記ピーク検知手段は、受信信号強度のピーク方位が遠のくことを検知する通過検出手段を備え、前記分解能変更手段は、前記ピーク検知手段により前記ピーク方位が遠のくことを検知した後、角度分解能を低く変更する
この通過検出手段により受信信号強度のピーク方位が遠のくことを検知し、それ以後の角度分解能を低くすることで、全方位に対しての到来方位推定の計算量を抑制できる。
(9) また、この発明の前記ピーク検知手段は、前記第1乃至第3の条件のいずれかを用いてピーク方位が近づくことを検知し、その後、前記通過検出手段を用いてピーク方位が遠のくことを検知し、その後、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の減少幅が閾値より小さい、または、前記指向方位の切り替えの前後で受信信号強度が増加するという第4の条件に基づいて、次のピーク方位が近づくことの検知を行う。
ピーク通過後の受信信号強度の減少が緩やかであったり、通過したにも関わらず受信信号強度が増加したりすれば、次のピークが接近している可能性がある。そこで、この構成ではピーク通過後に受信信号強度が所定値だけ減少しない場合や増加した場合に、再び角度分解能を高めるようにする。これにより、例えば複数のピークの山が重なっているような場合であっても、複数のピーク方位それぞれを検出することが可能になる。
この発明のレーダは、到来波の到来方位を十分な精度で推定しながら、その到来方位推定のための計算量を抑制できる。
本発明の第1の実施形態に係るレーダについて、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態のレーダ50の主要部の構成を示すブロック図である。
本実施形態のレーダ50は、受信アンテナ1、送信用のアレイアンテナ10、スイッチ回路3、電圧制御発振器(VCO)4、分岐回路5、LNA6、ミキサ7、IFアンプ8、信号処理回路9を備える。
アレイアンテナ10は、アンテナの正面方位を含む所定の探知領域に向けて送信信号である電磁波を放射する。例えば、このレーダを自動車に搭載し、前方検知を行う場合でアレイば、自動車前方の所定幅の検知領域に対して送信信号を放射する。ここで送信信号としては周波数が経時的に三角形状に変化する連続波を用いる。
このアレイアンテナ10は、同一の指向性パターンを有する素子アンテナ2A〜2Eを一直線上に順に配列した送信用のものであり、素子アンテナ2A〜2Eは、正面方位が一致するように等間隔に配置したものである。このアレイアンテナ10は、例えば、マイクロストリップアンテナを並列に接続したものや、導波管スロットアレイアンテナを並列に接続したもの等により実現する。マイクロストリップアンテナの場合を具体的に説明すると、誘電体基板上に2次元に等間隔に配列された複数のパッチアンテナを行単位でマイクロストリップラインにより接続し、この行単位のマイクロストリップラインアンテナを列方位に等間隔配置する。各マイクロストリップラインアンテナはそれぞれ素子アンテナ2A〜2Eに対応し、それぞれはスイッチ回路3を介して送信機に接続する。
探知動作が開始されると、信号処理回路9は、VCO4に所定のタイミングで三角波状に電圧値が変動する変調電圧を与える、変調電圧が与えられたVCO4は、前記タイミングから所定周波数範囲内、例えば76GHz帯で、三角波状に周波数が変動する連続波を発生する。また、信号処理回路9は、スイッチ回路3に前記タイミングと同期したアンテナの切り替え信号を与える。
分岐回路5は、VCO4が出力する連続波をスイッチ回路3に与えるとともに、その一部をローカル信号として、ミキサ7に与える。スイッチ回路3は、信号処理回路9からの切り替え信号に応じたタイミングで切り替えて素子アンテナ2A〜2Eを選択し、VCO4から出力された連続波を選択した素子アンテナに与える。アレイアンテナ10の素子アンテナ2A〜2Eは、スイッチ回路3により順に選択され、選択された素子アンテナは、VCO4で生成された連続波を外部の探知領域に放射(送信)する。
アレイアンテナ10から送信された連続波は、探知範囲内の物標で反射され、受信アンテナ1により受信される。以下の説明では各素子アンテナを介して送信し、受信アンテナで受信した受信信号を各チャンネルの受信信号と呼ぶ。受信アンテナ1は、各チャンネルの受信信号をLNA6に出力する。LNA6は、入力される各チャンネルの受信信号を増幅してミキサ7に出力し、ミキサ7は、LNA6から入力される受信信号に分岐回路5から入力されるローカル信号をミキシングする。IFアンプ8は、ローカル信号がミキシングされた各チャンネルの受信信号(IFビート信号)を増幅して信号処理回路9に出力する。
信号処理回路9は、入力される各チャンネルの受信信号をサンプリングし、いずれかのチャンネルの受信信号強度に対してフーリエ変換を行い、既知のFM−CW方式の演算を用いて、本装置から探知信号を反射した物標までの距離と本装置と探知信号を反射した物標との相対速度とを算出する。
また、本実施形態のレーダ50では、上記したFM−CW方式の相対速度と相対位置の算出処理に加えて、到来方位を推定する処理を行う。信号処理回路9は、各チャンネルの受信信号に対して、特定の指向方位のスペクトラム強度を算出する。到来方位推定法としては既知のBeamformer法アルゴリズムまたは既知のCapon法アルゴリズムを用い、指向方位を切り替えながら各方位のスペクトラム強度を算出していく。そしてピーク方位が近づくことを検知し、到来方位推定法のアルゴリズムと走査ピッチを切り替える。
以下、この処理について図2に基づいて説明する。この説明では、最初にスペクトラム強度の検出を行う方位角(θ)を−20°とし、アルゴリズムをBeamformer法アルゴリズム、走査ピッチΔθを2°とする。
(S11)選定されているアルゴリズム(Beamformer法またはCapon法)で、特定の方位角θのウェイトベクトルを算出し、各チャンネルの受信信号にウェイトベクトルを乗算して、重み付けする。すなわち各チャンネルの受信信号の振幅と位相とを変換し、方位角θを指向方位とした場合の受信信号強度を算出する。そして、この受信信号強度をそれぞれ正規化してスペクトラム強度Siを算出する。
(S12,S13)Beamformer法アルゴリズムにより方位角θを指向方位としたスペクトラム強度を算出するごとに、Beamformer法アルゴリズムにより以前に算出した指向方位のスペクトラム強度と最新の指向方位のスペクトラム強度との比較からピーク方位が近づくことを検知するピーク接近検知処理を行う。本実施形態のレーダ装置の場合、具体的には、スペクトラム強度の増加幅が以前より小さいという条件(第3の条件)と、スペクトラム強度の増加幅が閾値より大きいという条件(第2の条件)とを用いて、ピーク方位が近づいていることを判定する。
スペクトラム強度の増加幅が以前より小さい(傾きが正であり、傾きの勾配が負である)という第3の条件はピークの頂上付近であることを検知するためのものであり、スペクトラム強度の増加幅が閾値より大きいという第2の条件は、急峻なスペクトラム強度の変化を伴うピークが近づくことを判定するためのものである。これらの条件をともに用いることにより、ノイズ等による誤検出を防いで、確実にピーク方位を検出する。このピーク接近検知処理については後述する。
(S15,S17)ピーク方位が近づいていれば、以降のウェイトベクトルの取得に用いるアルゴリズムをBeamformer法アルゴリズムからCapon法アルゴリズムに変更し、走査ピッチを細かく(Δθ=0.1°)してCapon法アルゴリズムによるスペクトラム強度の算出を行う。
(S15,S18)一方、ピーク方位が近づいていなければ、ウェイトベクトルの取得をBeamformer法アルゴリズムのまま、走査ピッチも粗いまま行い、それ以降のスペクトラム強度の算出を行う。
(S12,S14)また、Beamformer法アルゴリズムでは無く、Capon法アルゴリズムにより方位角θを指向方位としたスペクトラム強度を算出している場合、Capon法アルゴリズムにより以前に算出した指向方位のスペクトラム強度と最新の指向方位のスペクトラム強度との比較からピーク方位が遠のくことを検知する。本実施形態のレーダ装置の場合、具体的には、ピーク方位を通過してからのスペクトラム強度の減衰量を測定し、所定の減衰量(例えば−3dB)となる場合にピーク方位が遠のいていると検知する。このピーク通過検知処理については後述する。
(S16,S18)ピーク方位が遠のいていれば、ウェイトベクトルの取得に用いるアルゴリズムをCapon法アルゴリズムからBeamformer法アルゴリズムに変更し、走査ピッチを粗く(Δθ=2°)して、以降のスペクトラム強度の算出を行う。
(S16,S17)一方、ピーク方位が遠のいていなければ、ウェイトベクトルの取得に用いるアルゴリズムをCapon法アルゴリズムのまま、走査ピッチも細かいまま、以降のスペクトラム強度の算出を行う。
このような処理により、方位角θを走査ピッチΔθで切り替え、到来方位推定アルゴリズムも切り替え、スペクトル強度の算出を繰り返して任意の方位角を指向方位としたスペクトラム強度の角度分布を算出していく。
次に、信号処理回路9で、スペクトラム強度のピーク方位が近づいていることを検知するピーク接近検知処理について、図3(A)に基づいて説明する。
(S21)まずBeamformer法により以前に算出したスペクトラム強度Si-1と、最新のスペクトラム強度Siとの差から、最新の指向方位の切り替えの間でのスペクトラム強度の傾きΔSiを算出する。
(S22)また、Beamformer法により前回に算出したスペクトラム強度Si-1と前々回に算出したスペクトラム強度Si-2の差から、前回の指向方位の切り替えの間でのスペクトラム強度の傾きΔSi-1を算出する。
(S23,S24,S25)また、最新の傾きΔSiと前回の傾きΔSi-1がともに正であり、即ち増加していれば、最新の傾きΔSiが所定の閾値αより大きいという第2の条件と、最新の傾きΔSiが、前回の傾きΔSi-1よりも小さいという第3の条件とをクリアすれば、ピーク方位が近づいていると判定する。そうでなければ、ピーク方位が近づいていないと判定する。
このような処理により、本実施形態のレーダでは、ピーク方位が近づくことを検知し、ピーク方位の接近をトリガとして到来方位推定法のアルゴリズムと走査ピッチとの切り替えを行う。
本実施形態のようにスペクトラム強度の増加幅が小さくなる第3の条件だけでなく、スペクトラム強度の増加幅が所定の閾値を超えて変化することを第2の条件に加えることで、ノイズ等の影響が除けるので、ピーク方位が近づくことをより確実に求めることができる。しかし、この場合、複数のピーク方位が互いに近接する場合に一方のピーク方位を見逃すおそれがある。従って、上述の2つの条件のいずれかを満足すればよいという総合的な判断を行って、複数のピークが近接する場合にそれぞれのピーク方位を確実に求めるようにしてもよい。
なお、スペクトラム強度の増加幅が以前より小さいという第3の条件と、スペクトラム強度の増加幅が閾値より大きいという第2の条件との双方を用いなくても、一方だけを条件としてもよい。即ち、スペクトラム強度の増加幅の比較だけでピーク方位が近づくことを判定しても良いし、スペクトラム強度の増加幅が所定の閾値よりも大きいことだけでピーク方位が近づくことを判定しても良い。
また、スペクトラム強度の増加幅が以前より大きいこと(傾きおよび傾きの勾配が正であること)を検出する第1の条件により、ピーク方位の接近を検知するようにしてもよい。この第1の条件はピークの初期であることを検知するためのものである。
以上の3つの条件はそれぞれ単独で用いてもよく、複数の条件を組み合わせて用いてもよい。単独で用いる場合には、簡易な計算によりピークの接近を検知できるので、ソフトウェア処理の場合にはプログラム容量を抑制できハードウェア処理の場合には回路構成を簡易にできる。一方、組み合わせて用いる場合には、より的確にピークの接近を検知でき、計算量を低減できる。
なお、第1の条件と第3の条件を同時に用いてピークの接近の判定をすることはできないが、まず、スペクトラム強度の増加幅が以前より大きいことを検知する第1の条件を用いてピーク検知を行い、その後、スペクトラム強度の増加幅が以前より小さいことを検知する第3の条件に切り替えるようにしても良い。すると、ピークの頂上付近でのピーク方位の接近を確実に検知することが可能になる。また、最初に第2の条件に基づいてピーク方位が近づくことを検知し、その後、前記第3の条件に基づいて、次のピーク方位が近づくことの検知を行ってもよい。
次に、スペクトラム強度のピーク方位が遠のくことを検知するピーク通過検知処理について、図3(B)に基づいて説明する。
(S31,S32)信号処理回路9は、スペクトラム強度が前回より減少していて、且つ、直前のピーク方位のスペクトラム強度Speakに比べて、今回のスペクトラム強度Siが一定の割合(例えば3dB)以上低下していればピークは遠のいていると判定し、一定の割合(例えば3dB以上)より低下していなければピークは遠のいていないと判定する。
このような処理により、本実施形態のレーダでは、ピーク方位が遠のくことを検知し、ピークの遠のきをトリガとしてアルゴリズムと走査ピッチとの切り替えを行う。
このように、本実施形態のレーダ50は、電子走査中からスペクトル強度のピーク方位が近づくことを的確に検知し、到来方位推定アルゴリズムをより高精度なものに切り替え、走査ピッチを細かくする。したがって、物標が存在する方位に対して到来方位の推定精度を高めることができる。その場合であっても全方位に対しての到来方位の推定の計算量を抑制できる。
なお、以上の各処理はハードウェア処理によっても、ソフトウェア処理によっても実現できる。
次に本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態のレーダは、第1の実施形態で示したレーダと同一の構成であり、信号処理回路で行う到来方位推定の処理が異なる。
具体的には、ピーク接近検知処理でのピークの接近の検知に、受信信号強度の増加幅が、以前の増加幅よりも小さいという第3の条件と、ピーク通過後のスペクトラム強度の減少幅が閾値より小さい、または、ピーク通過後にスペクトラム強度が増加するという第4の条件とを用いて、ピークを検知する。
ここで図4に、本実施形態でのピーク接近検知処理のフローを示す。
(S41)まずBeamformer法により前回に算出したスペクトラム強度Si-1と最新のスペクトラム強度Siとの差から、最新のスペクトラム強度の傾きΔSiを算出する。
(S42)また、Beamformer法により前回に算出したスペクトラム強度Si-1と前々回に算出したスペクトラム強度Si-2の差から、前回のスペクトラム強度の傾きΔSi-1を算出する。
(S43,S44,S45)また、前回ピーク通過検知処理を行っていない場合には、最新の傾きΔSiと前回の傾きΔSi-1がともに正であり、最新の傾きΔSiが、前回の傾きΔSi-1よりも小さいという第3の条件をクリアすれば、ピーク方位が近づいていると判定する。そうでなければ、ピーク方位が近づいていないと判定する。
(s46)また、前回ピーク通過検知処理を行っている場合、即ちCapon法からBeamformer法への切り替えが行われた場合には、最新のBeamformer法でのスペクトラム強度Siを、前回のCapon法への切り替え前にBeamformer法で最後に検出したスペクトラム強度Sjに比べ、あまり減少していなければ(減少幅が閾値(α)より小さい、または、スペクトラム強度が増加するという第4の条件をクリアすれば)、次のピーク方位が近づいていると判定する。そうでなければ、ピーク方位が近づいていないと判定する。
(s47)ピーク方位が近づいている場合には、後の判定に用いるため、スペクトラム強度Sjを更新しておく。
このような処理により、本実施形態のレーダでは、ピーク方位が近づくことを検知し、ピーク方位の接近をトリガとして到来方位推定法のアルゴリズムと走査ピッチとの切り替えを行う。
ここで、図5に本実施形態のレーダを対象とした実験結果の例を示す。
図5は実験例での角度スペクトラム分布を示す図であり、横軸に角度を縦軸にスペクトラム強度を表している。この実験例では当初の指向角を−20°、当初のアルゴリズムをBeamformer法アルゴリズム、走査ピッチを2°としている。また、ピーク方位の検知により切り替えるアルゴリズムをCapon法アルゴリズム、走査ピッチを0.1°としている。また、実験環境における到来波の到来方位を−5°、0°、10°としている。
実験におけるレーダは、角度範囲−20°から−6°まで、順にBeamformer法アルゴリズムにより走査ピッチ2°で方位角を切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角−6°でのスペクトラム強度の算出後、最新の増加幅が前回の増加幅より小さくなり第3の条件を満たすことからピーク方位が近づくことを検知し、アルゴリズムをCapon法アルゴリズムに切り替え、走査ピッチを0.1°とした。次に、角度範囲−5.9°から−4.5°まで、順にCapon法アルゴリズムにより走査ピッチ0.1°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角−4.5°でのスペクトラム強度の算出後、スペクトラム強度が、ピーク方位のスペクトラム強度に比べ3dB低下したことからピーク方位が遠のくことを検知し、アルゴリズムをBeamformer法アルゴリズムに切り替え、走査ピッチを2°とした。次に、角度範囲−2.5°のスペクトラム強度をBeamformer法アルゴリズムにより算出した。
方位角−2.5°でのBeamformer法によるスペクトラム強度の算出の結果、先のCapon法にて検出したピークを通過したにも関わらず、Capon法への切り替え前にBeamformer法で最後に検出したスペクトラム強度(ここでは方位角−6°でのスペクトラム強度)に比べて、今回(方位角−2.5°)のBeamformer法によるスペクトラム強度が大きいため、第4の条件を満足すると判定する。そして、次のピーク方位が近づくことを検知し、アルゴリズムをCapon法アルゴリズムに再び切り替え、走査ピッチを0.1°とした。次に、角度範囲−2.4°から0.5°まで、順にCapon法アルゴリズムにより走査ピッチ0.1°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角0.5°でのスペクトラム強度の算出後、ピーク方位のスペクトラム強度に比べ3dB低下したことからピーク方位が遠のくことを検知し、アルゴリズムをBeamformer法アルゴリズムに切り替え、走査ピッチを2°とした。次に、角度範囲2.5°から8.5°まで、順にBeamformer法アルゴリズムにより走査ピッチ2°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角8.5°でのスペクトラム強度の算出後、最新の増加幅が前回の増加幅より小さくなり第3の条件を満たすことから次のピーク方位が近づくことを検知し、アルゴリズムをCapon法アルゴリズムに切り替え、走査ピッチを0.1°とした。次に、角度範囲8.6°から10.5°まで、順にCapon法アルゴリズムにより走査ピッチ0.1°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角10.5°でのスペクトラム強度の算出後、ピーク方位のスペクトラム強度に比べ3dB低下したことからピーク方位が遠のくことを検知し、アルゴリズムをBeamformer法アルゴリズムに切り替え、走査ピッチを2°とした。そして、角度範囲12.5°から18.5°まで、順にBeamformer法アルゴリズムにより走査ピッチ2°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
この実験例に示すように、本実施形態のレーダでは、到来波の到来方位を高精度に推定し、且つ、Capon法アルゴリズムの処理数と、細かい走査ピッチでの処理数とをともに抑制できるものである。
なお、以上の実施形態ではピーク方位が近づくことを検知して、走査ピッチと到来方位推定アルゴリズムとをともに切り替える構成を説明したが、走査ピッチのみを切り替えるように構成してもよい。
また、本実施形態では第4の条件を、Beamformer法によるスペクトラム強度の算出の結果同士を比較するものとしたが、Beamformer法によるスペクトラム強度とCapon法でのスペクトラム強度とのスケーリングを揃えておき、Beamformer法によるスペクトラム強度の算出の結果とCapon法によるスペクトラム強度の算出の結果とを比較するようにしてもよい。
また、本実施形態のアレイアンテナは等間隔に素子アンテナが配置されたものであるが、それ以外にも、素子アンテナが不等間隔に配置されたアレイアンテナを用いてもよい。また、送信アンテナでなく受信アンテナにアレイアンテナを用いてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態について図6〜図8に基づいて説明する。
本実施形態のレーダは第1の実施形態のレーダと略同様な構成であるが、信号処理回路で行う到来方位推定処理とピーク接近検知処理とピーク通過検知処理との処理内容が異なる。
図6に示す本実施形態の到来方位推定処理では、ピーク方位が近づくことを検知すると、走査ピッチの切り替えを行う。なお、アルゴリズムはCapon法で固定とする。
ここでは、最初にスペクトラム強度の検出を行う方位角(θ)を−20°とし、走査ピッチΔθを1°として説明する。
(S51)Capon法アルゴリズムで、まず特定の方位角θのウェイトベクトルを算出し、各チャンネルの受信信号にウェイトベクトルを乗算して、重み付けし、即ち各チャンネルの受信信号の振幅と位相とを変換し、方位角θを指向方位とした場合の受信信号強度を算出する。そして、この受信信号強度を正規化してスペクトラム強度Siを算出する。
(S52)各方位角を指向方位としたスペクトラム強度を算出するごとに、以前に算出した指向方位のスペクトラム強度と最新の指向方位のスペクトラム強度との比較からピーク方位が近づくことを検知する。本実施形態のレーダ装置の場合、具体的にはスペクトラム強度の増加幅が以前より大きくなるという条件(第1の条件)と、スペクトラム強度の増加幅が所定の閾値より大きいという条件(第2の条件)とを用いて、ピーク方位が近づいていることを判定する。
スペクトラム強度の増加幅が以前より大きいという第1の条件はピーク初期の状態であることを検知するためのものであり、スペクトラム強度の増加幅が所定の閾値より大きいという第2の条件は、急峻なスペクトラム強度の変化を伴うピークが近づくことを判定するためのものである。これらの条件をともに用いることにより、ノイズ等による誤検出を防いで、確実にピーク方位を検出する。
(S53,S54)ピーク方位が近づいていれば、次に、以前に算出した指向方位のスペクトラム強度と最新の指向方位のスペクトラム強度との比較からピーク方位が遠のくことを検知する。本実施形態のレーダ装置の場合、具体的には、ピーク方位を通過するたびに、ピーク方位が遠のいていると検知する。このピーク通過検知処理については後述する。
(S55,S57)ピーク方位が遠のいていれば、走査ピッチを粗く(Δθ=1°)して、以降のスペクトラム強度の算出を行う。
(S55,S56)ピーク方位が遠のいていなければ、走査ピッチを細かいまま、以降のスペクトラム強度の算出を行う。
このような処理により、方位角θを走査ピッチΔθで切り替えてスペクトル強度の算出を繰り返し、任意の方位角を指向方位としたスペクトラム強度の角度分布を算出していく。
次に、信号処理回路9で、スペクトラム強度のピーク方位が近づいていることを検知するピーク接近検知処理について、図7(A)に基づいて説明する。
(S61)まず前回に算出したスペクトラム強度Si-1と最新のスペクトラム強度Siとの差から、最新のスペクトラム強度の傾きΔSiを算出する。
(S62)また、前回に算出したスペクトラム強度Si-1と前々回に算出したスペクトラム強度Si-2の差から、前回のスペクトラム強度の傾きΔSi-1を算出する。
(S63,S64)また、最新の傾きΔSiと前回の傾きΔSi-1がともに正であり、最新の傾きΔSiが、前回の傾きΔSi-1よりも大きいという第1の条件および指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の増加幅が閾値(α)を超えて変化するという第2の条件をクリアすれば、ピーク方位が近づいていると判定する。そうでなければ、ピーク方位が近づいていないと判定する。
このような処理により、本実施形態のレーダでは、ピーク方位が近づいていることを検知し、ピーク方位の接近をトリガとして走査ピッチの切り替えを行う。
また、スペクトラム強度のピーク方位が遠のくことを検知するピーク通過検知処理について、図7(B)に基づいて説明する。
(S71)信号処理回路9は、まずスペクトラム強度が減少しているかを調べ、減少していなければピークは遠のいていないと判定する。
(S72)スペクトラム強度が減少していれば、次に、直前のピーク方位のスペクトラム強度Speakと今回のスペクトラム強度Siとを比較し、低下しているかを調べ、低下していればピークは遠のいていると判定し、低下していなければピークは遠のいていないと判定する。
このような処理により、本実施形態のレーダでは、ピーク方位が遠のくことを検知し、ピークの遠のきをトリガとして走査ピッチの切り替えを行う。
このように、本実施形態のレーダ50は、ピーク方位が近づいていることを検知し、ピーク方位が近づくことにより走査ピッチを細かくするので、物標が存在する方位に対して到来方位の推定精度を高めるとともに、全方位に対しての到来方位の推定の計算量を抑制できる。
ここで、図8に基づいて、本実施形態のレーダを用いてスペクトラム強度を取得した実験結果の例を用いて、上記処理について説明する。
図8は実験例での角度スペクトラム分布を示す図であり、横軸に指向角を縦軸にスペクトラム強度を表している。この実験例はCapon法アルゴリズムにより到来方位を推定している。また、当初の指向角を−20°、走査ピッチを1°としている。また、ピーク方位の検知により切り替える走査ピッチを0.1°としている。また、実験環境における到来波の到来方位を−5°、0°、10°としている。
まず、角度範囲−20°から−7°まで、順に走査ピッチ1°で方位角を切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角−7°でのスペクトラム強度の算出後、最新の増加幅が前回の増加幅より大きくなり第1の条件を満たし、また最新の増加幅が閾値より大きくなり第2の条件を満たすことからピーク方位が近づいていることを検知し、走査ピッチを0.1°とした。角度範囲−6.9°から−4.9°まで、順に走査ピッチ0.1°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角−4.9°でのスペクトラム強度の算出後、ピーク方位が遠のくことを検知し、走査ピッチを1°とした。次に、角度範囲−3.9°から−0.9°まで走査ピッチ1°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角−0.9°でのスペクトラム強度の算出後、最新の増加幅が前回の増加幅より大きくなり第1の条件を満たし、また最新の増加幅が閾値より大きくなり第2の条件を満たすことからピーク方位が近づいていることを検知し、走査ピッチを0.1°とした。角度範囲−1.0°から0.1°まで、順に走査ピッチ0.1°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角0.1°でのスペクトラム強度の算出後、ピーク方位が遠のくことを検知し、走査ピッチを1°とした。次に、角度範囲1.1°から9.1°まで、順に走査ピッチ1°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角9.1°でのスペクトラム強度の算出後、最新の増加幅が前回の増加幅より大きくなり第1の条件を満たし、また最新の増加幅が閾値より大きくなり第2の条件を満たすことからピーク方位が近づいていることを検知し、走査ピッチを0.1°とした。角度範囲9.2°から10.1°まで、順に走査ピッチ0.1°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
方位角10.1°でのスペクトラム強度の算出後、ピーク方位が遠のくことを検知し、走査ピッチを1°とした。そして、角度範囲11.1°から19.1°まで、順に走査ピッチ1°で方位角θを切り替えながらスペクトラム強度を算出した。
この実験例に示すように、本実施形態のレーダでは、高精度に到来波の到来方位を推定し、且つ、細かい走査ピッチでの処理数を効果的に抑制できるものである。
なお、以上の処理によりピーク方位が近づくことを検知する以外に、前述したようにスペクトラム強度の増加幅が、以前の指向方位への切り替え間でのスペクトラム強度の増加幅より小さいことを検出して、ピーク方位が近づくと判定するようにしても良い。その場合、簡易な計算であっても、より的確にピーク方位が近づくことを検知できる。
なお、本実施例では、角度分解能が優れた到来方位推定法(Capon法)を用いたため、計算量は増加するが高精度に計測が行える。仮に、角度分解能が劣る到来方位推定法(Beamformer法)を用いれば、ハードウェア処理で実現する場合には回路規模を抑制でき、ソフトウェア処理によって実現する場合にはプログラム容量を削減できる。
また、切り替える走査ピッチの設定は、用いる到来推移推定法の角度分解能に従って設定し、ピーク方位の検知漏れが無いようにすると好適である。その場合、高分解能な到来方位推定法を用いるときには比較的細かい走査ピッチとし、低分解能な到来方位推定法を用いるときには比較的粗い走査ピッチとしても良い。到来方位推定法の種類と走査ピッチの組み合わせに関しては、ピーク方位の検知漏れが無いようにしながら、十分な角度分解能と計算量の低減ができるよう、設定を調整することが好適である。
第1の実施形態のレーダの構成を説明する図である。 同実施形態のレーダにおける到来方位を推定する処理フローである。 同実施形態のレーダにおけるピーク方位を検知する処理フローである。 第2の実施形態のレーダにおけるピーク方位を検知する処理フローである。 同実施形態のレーダの実験結果を説明する図である。 第3の実施形態のレーダにおける到来方位を推定する処理フローである。 同実施形態のレーダにおけるピーク方位を検知する処理フローである。 同実施形態のレーダの実験結果を説明する図である。
符号の説明
1−受信アンテナ
2−素子アンテナ
3−スイッチ回路
4−VCO
5−分岐回路
6−LNA
7−ミキサ
8−IFアンプ
9−信号処理回路
10−アレイアンテナ
50−レーダ

Claims (9)

  1. アレイアンテナの各素子アンテナを介した送信または受信により得た素子アンテナごとの受信信号に基づいて、所定の指向特性で任意の指向方位の受信信号強度を算出し、前記指向方位を所定の走査ピッチで切り替えて得られる指向方位ごとの受信信号強度に基づいて到来波の到来方位を推定するレーダにおいて、
    前記指向方位の切り替えごとに、切り替えた指向方位での受信信号強度とそれ以前の指向方位での受信信号強度とに基づいて、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知するピーク検知手段と、
    前記ピーク検知手段により受信信号強度の前記ピーク方位が近づくことを検知すると、それ以後の角度分解能を高く変更する分解能変更手段と、を備えるレーダ。
  2. 前記分解能変更手段は、前記走査ピッチを細かいものに変更することで角度分解能を高く変更する請求項1に記載のレーダ。
  3. 前記分解能変更手段は、前記指向特性を異ならせることで角度分解能を高く変更する請求項1または2に記載のレーダ。
  4. 前記ピーク検知手段は、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の増加幅が、以前の指向方位の切り替えの間での受信信号強度の増加幅よりも大きく変化するという第1の条件に基づいて、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知する請求項1〜3のいずれかに記載のレーダ。
  5. 前記ピーク検知手段は、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の増加幅が、閾値を超えて変化するという第2の条件に基づいて、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知する請求項1〜4のいずれかに記載のレーダ。
  6. 前記ピーク検知手段は、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の増加幅が、以前の指向方位の切り替えの間での受信信号強度の増加幅よりも小さく変化するという第3の条件に基づいて、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知する請求項1〜5のいずれかに記載のレーダ。
  7. 前記ピーク検知手段は、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の増加幅が、まず前記第1の条件を満足し、その後、前記第3の条件を満足することにより、受信信号強度のピーク方位が近づくことを検知する請求項6に記載のレーダ。
  8. 前記ピーク検知手段は、受信信号強度のピーク方位が遠のくことを検知する通過検出手段を備え、
    前記分解能変更手段は、前記ピーク検知手段により前記ピーク方位が遠のくことを検知した後、角度分解能を低く変更する請求項1〜7のいずれかに記載のレーダ。
  9. 前記ピーク検知手段は、前記第1乃至第3の条件のいずれかを用いてピーク方位が近づくことを検知し、その後、前記通過検出手段を用いてピーク方位が遠のくことを検知し、その後、前記指向方位の切り替えの前後での受信信号強度の減少幅が閾値より小さい、または、前記指向方位の切り替えの前後で受信信号強度が増加するという第4の条件に基づいて、次のピーク方位が近づくことの検知を行う請求項8に記載のレーダ。
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