JP2008024918A - フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物とこの組成物から形成されたフッ素樹脂塗膜及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材表面に浸漬方法によって塗布した場合でも液ダレの発生が少なく、マッドクラックを発生せず、かつ焼成時に着色しなく光沢度の高いフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物、及び前記水性分散組成物から形成された塗膜を有する積層体を提供する。
【解決手段】固形分が20重量%以上70重量%以下であるフッ素樹脂粒子ディスパージョンと、分解して気化する温度が前記フッ素樹脂の分解して気化する温度までの温度範囲内にある解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョンと、アルカリ膨潤型増粘剤と、水溶性アルカリ性無機化合物を含み、粘度が50cP以上5,000cP未満で、かつチキソトロピーインデックスが2.0以上20未満であるフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。
【選択図】図1
【解決手段】固形分が20重量%以上70重量%以下であるフッ素樹脂粒子ディスパージョンと、分解して気化する温度が前記フッ素樹脂の分解して気化する温度までの温度範囲内にある解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョンと、アルカリ膨潤型増粘剤と、水溶性アルカリ性無機化合物を含み、粘度が50cP以上5,000cP未満で、かつチキソトロピーインデックスが2.0以上20未満であるフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。
【選択図】図1
Description
本発明は、浸漬塗布によっても液ダレを起こすことなく、マッドクラックを発生せず、かつ焼成時に着色しないクリアーなフッ素樹脂塗膜を得ることのできるフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物及び前記水性分散組成物から形成されたフッ素樹脂塗膜、並びに前記フッ素樹脂塗膜を有する積層体に関するものである。
従来、フッ素樹脂を基材上に、とくに、浸漬塗布によってコーティングさせると、液ダレを起こす問題があった。このため、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物に、チキソトロピー性を付与する増粘剤を添加する必要があった。
例えば、チキソトロピー性を付与する増粘剤として、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体が用いられてきた。
しかしながら、セルロース誘導体は、微生物や酵素で分解し、粘度やチキソトロピー性を失うことがあり、これらを防ぐためには、保存剤が必要であった。また、セルロース誘導体は、水の中で急激に膨張してなかなか溶解しない塊、いわゆるママコを作ることがあり、添加には、ゆっくりと時間をかけなければならないという問題もあった。
特許文献1〜3では、有機脂肪酸とアミン化合物を使用している。しかし、有機脂肪酸は、完全に分解せずに塗膜に残留して着色の原因になりやすく、逆に、アミンは窒素化合物であるため、熱によって着色しやすいという問題があった。
とくに、ファクシミリ、複写機、レーザービームプリンタなどの電子写真方式による画像形成装置のトナー定着部材の表層材としてのフッ素樹脂は、非粘着性とともに、表面粗度が低く、光沢度があり、クリアーであることが要求される。
特開昭50−088128号公報
特開昭51−060243号公報
特開昭52−013531号公報
本発明は、前記従来の問題を解決するため、浸漬塗布によっても、たれを起こすことなく、焼成後、着色のないクリアーなフッ素樹脂塗膜を得ることのできるフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物及び前記水性分散組成物から形成された塗膜を有する積層体を提供する。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、固形分が20重量%以上70重量%以下であるフッ素樹脂粒子ディスパージョン、分解して気化する温度が前記フッ素樹脂の分解して気化する温度までの温度範囲内にある解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤、及び水溶性アルカリ性無機化合物を含み粘度が50cP以上5,000cP未満で、かつチキソトロピーインデックスが2以上20未満である。なお、本発明において、「フッ素樹脂粒子ディスパージョン」とは、フッ素樹脂粒子を含む水性分散液をいう。また、本発明において、「分解して気化する温度」とは、空気中で10℃/分で昇温したとき、50%重量減少する温度のことをいう。
本発明のフッ素樹脂塗膜は、前記のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物から形成されたものである。
本発明の積層体は、金属、耐熱性樹脂又は弾性体からなる基材、及び前記基材表面に前記のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物から形成された塗膜を有する。
本発明の別の積層体は、金属又は耐熱性樹脂及びこれらの複合体からなる基材、及び前記基材表面に形成された弾性体、及び前記弾性体上に前記のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物から形成された塗膜を有する。前記「複合体」とは金属と耐熱樹脂と積層体、あるいは金属層に耐熱樹脂材料をコーティングしたもの、ラミネートしたものなどをいう。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、前記構成からなるため、浸漬塗布によっても液ダレを起こすことなく、マッドクラックの発生がなく、焼成後着色のないクリアーなフッ素樹脂塗膜を得ることができる。また本発明のフッ素樹脂塗膜及び積層体は、着色がなくクリアーで外観が良好な塗膜が得られる。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、固形分が20重量%以上70重量%以下であるフッ素樹脂粒子ディスパージョン、分解して気化する温度が前記フッ素樹脂の分解して気化する温度までの温度範囲内にある解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤、及び水溶性アルカリ性無機化合物を含み粘度が50cP以上5,000未満で、かつチキソトロピーインデックスが2以上20未満である。
前記フッ素樹脂粒子の主成分は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)粒子が好ましい。具体的には、前記フッ素樹脂粒子の75重量%以上は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)粒子が好ましい。85重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。75重量%以上であると、非粘着性、とくに電子写真方式による画像形成装置のトナーに対する非粘着性が高く、好ましい。前記フッ素樹脂粒子の副成分は、とくに限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)粒子、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)粒子などが挙げられる。
フッ素樹脂粒子ディスパージョンとしては、前記フッ素樹脂粒子を含んだ水性分散液を用いることができる。例えば、モノマーを乳化重合などの方法で製造したフッ素樹脂粒子水性分散液を、そのまま使用することができる。
フッ素樹脂粒子の平均粒子径は、0.01μm以上50μm以下であることが好ましい。0.01μm以上であればクラックは生じにくく、造膜が容易となる。また、50μm以下であれば、フッ素樹脂塗膜の表面粗度はそれほど大きくならず、実用的範囲に収まる。0.1μm以上5μm以下が、より好ましい。また、塗膜の形成しやすさの点で、平均粒子径を2つ有するバイモダル(二並数)又はマルチモダル(多並数)であることがより好ましい。
フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分は、塗膜形成の点から20重量%以上70重量%以下であり、30重量%以上60重量%以下がより好ましい。
解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョンは、本発明の水性分散組成物を塗布乾燥後焼成するとき、フッ素樹脂粒子への結着(バインダー)効果を維持しながら徐々に分解して、収縮によるクラックを防止する働きをするため、必要である。このため、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョンは、焼成が完了するまでに、完全に分解して揮発することが好ましい。完全に分解揮発しないと、フッ素樹脂塗膜にクラックやピンホール欠陥を発生させたり、塗膜を着色させたりする。
本発明に用いることのできる解重合性アクリル樹脂粒子の平均粒子径は、0.1μm以上50μm以下が好ましく、0.2μm以上1μm以下がより好ましい。0.1μm以上であればクラックは発生しにくく、造膜性も良好である。また、50μm以下であれば、フッ素樹脂粒子ディスパージョンへの分散も良好である。平均粒子径は市販の粒度分布計で測定できる。例えば、堀場製作所レーザ回折粒度測定器(LA920)、島津製作所レーザ回折粒度測定器(SALD2100)などを用いて測定することができる。
解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョンは、例えば、(メタ)アクリル系モノマーを乳化重合などの方法で製造した解重合性アクリル樹脂粒子水性分散液をそのまま使用することができる。なお、用語「(メタ)アクリル」は、「アクリル」又は「メタクリル」を示す。(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。前記(メタ)アクリル系モノマーを共重合してもよいし、スチレン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニルなどと共重合してもよい。
解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョンの配合量は、フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して2.5重量%以上50重量%以下であることが好ましい。10重量%以上30重量%以下であることがより好ましい。2.5重量%以上であれば、焼成後クラックが発生しにくい。また、50重量%以下であると、塗膜に残存することなく、着色も生じにくく、塗膜の非粘着性を損なうことも防げる。
本発明に用いることのできるアクリル系アルカリ膨潤型増粘剤は、(メタ)アクリル系モノマーを重合する際に、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸を多く共重合して得られるpH8以下の中性から酸性の増粘剤である。例えば、(メタ)アクリル系モノマーを乳化重合などの方法で製造した水性分散液をそのまま使用することができる。(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。また、スチレン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニルなどと共重合してもよい。
アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤の配合量は、フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して0.1重量%以上5重量%以下であることが好ましい。0.3重量%以上3重量%以下であることがより好ましい。0.1重量%以上であれば増粘効果が得られる。また、5重量%以下であれば、塗膜に残存することなく、着色も生じにくく、塗膜の非粘着性も良好に保てる。
本発明において、水溶性アルカリ性無機化合物は、前記アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤を膨潤させて増粘するために必要である。トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの窒素原子を含むアルカリ性有機化合物、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウムやトリポリリン酸ナトリウムなどのリン原子を含むアルカリ性化合物や、亜硫酸カリウムや亜硫酸ナトリウムなどの硫黄原子を含むアルカリ性化合物は、熱によって着色しやすく、すなわちフッ素樹脂塗膜を着色させやすく好ましくない。着色を防止する点で、窒素、リンや硫黄などのヘテロ原子を含まない水溶性アルカリ無機化合物であることが好ましい。なお、本発明において、「水溶性」とは、25℃における水への溶解度が1g/100g以上であることをいう。また、この溶解度は、2g/100gであることがより好ましく、3g/100g以上であることがさらに好ましい。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性化合物、炭酸塩類、重炭酸塩類、セスキ炭酸塩、珪酸塩類などが挙げられる。この中でも、具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが好ましい。
本発明において、前記水溶性アルカリ性無機化合物の添加方法は、予め水溶液とし、これを添加する方法が好ましい。
前記水溶性アルカリ性無機化合物の添加量にとくに制限はないが、本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物のpHが、7以上14以下となるまで添加することが好ましい。7.5以上12以下がより好ましく、8以上10以下がさらに好ましい。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、粘度が、50cP以上5,000cP未満であることが好ましい。100cP以上3,000cP未満がより好ましい。粘度が50cP以上であれば、充分な塗布膜厚が得られる。また、5,000cP未満であれば、気泡などを含みにくく造膜しやすい。
また、本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、チキソトロピーインデックスが、2以上20未満であることが好ましい。2.5以上10未満がより好ましい。チキソトロピーインデックスが2以上であると、塗膜の液ダレが生じにくい。また、20未満であれば、ゲル状とはならず、取り扱いやすい。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物の製造において、塗膜の乾燥後のクラックを防止するために、水溶性高分子を添加してもよい。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジメチコンコポリオールなどを用いることができる。安価な点で、ポリエチレングリコールがとくに好ましい。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物の製造において、フッ素樹脂粒子ディスパージョン、解重合性アクリル樹脂粒子エマルション及び解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョンを混合する際に、最終のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物の分散安定性を高めるために、非イオン性界面活性剤を添加することが好ましい。これら非イオン界面活性剤のHLB値(親水親油バランス)は9〜18であることが好ましく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどが挙げられる。中でも、環境への優しさの観点から、アルキルフェニル基を含まないポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
添加方法は、特に限定されず、もちろん最終のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物に添加してもよいし、予め、フッ素樹脂粒子ディスパージョンやアクリル樹脂粒子エマルジョンに添加してもよい。
また、本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物を製造する際、粘度調整等のため、次のような公知の溶剤を添加しても何ら差し支えない。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ペンタメチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのジオール類、グリセリン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどのトリオール類、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのグリコールエーテル類、ジメチコンコポリオールやポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体その他、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸ジエチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類などである。
また、本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物を製造する際、次のような公知の添加剤を用いても何ら差し支えない。例えば、充填材、顔料、顔料分散剤、固体潤滑剤、沈降防止剤、レベリング剤、表面調節剤、水分吸収剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、色分かれ防止剤、皮張り防止剤、界面活性剤、帯電防止剤、消泡剤、抗菌剤、防カビ剤、防腐剤、増粘剤などである。
本発明の積層体において、基材として、金属、耐熱性樹脂又は弾性体を用いることができる。金属として、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼などを用いることができる。耐熱性樹脂として、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィドなどを用いることができる。弾性体としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを用いることができる。弾性体としては、固体状でもスポンジ状でもよい。また、金属、耐熱性樹脂及び弾性体のうち、これら2種以上を積層したものを基材として用いてもよい。
また、前記耐熱性樹脂及び弾性体に、適宜、次のような公知の添加剤を用いても何ら差し支えない。例えば、充填材、顔料、顔料分散剤、固体潤滑剤、沈降防止剤、レベリング剤、表面調節剤、水分吸収剤、ゲル化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、色分かれ防止剤、皮張り防止剤、界面活性剤、帯電防止剤、消泡剤、抗菌剤、防カビ剤、防腐剤、増粘剤などである。
前記基材の形状は、特に制限されるものではなく、円筒状、シート状又はその他の形状であってよい。
本発明において、柔軟な弾性基材にフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物を塗布する際、十分に脱脂、洗浄しておくことが好ましい。とくにシリコーンゴム表面に塗布する際、接着力向上のために、予めシリコーンゴム表面を改質処理しておくことが好ましい。例えば、(a)大気中で電極間に高電圧をかけて絶縁破壊させるコロナ放電処理、(b)水銀灯からの短波長の紫外線による照射処理、(c)強い酸化炎中に通す火炎処理、(d)低圧の不活性ガスや、酸素、ハロゲンガスなどの中でのグロー放電によるプラズマ処理、(e)シラン系、チタン系、アルミニウム系等のカップリング剤を表面に塗布する処理、(f)その他プライマー組成物の塗布などである。また、これらの表面改質処理は一種ばかりでなく、複数を組み合わせてもよい。
本発明において、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物を基材表面に塗布する方法として、刷毛塗り法、スピン法、スプレー法、ディスペンサー法、浸漬法など、公知の方法を用いることができる。本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、粘度が50cP以上5,000cP未満であり、かつチキソトロピーインデックスが2以上20未満であるので、基材に塗布後も、液ダレの発生がない。このため、一回の塗装で、焼成後の膜厚として5μm以上50以下のフッ素樹脂塗膜を得ることができる。5μm未満の塗膜の形成も可能であるが、基材表面の凹凸をひろって、表面粗度が高くなりやすく、また、フッ素樹脂塗膜強度は低下する傾向となる。
本発明において、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物を基材表面に塗布乾燥後、焼成する条件は、特に限定されず、フッ素樹脂の溶融温度以上分解して気化する温度未満であればよい。
本発明のフッ素樹脂塗膜の表面粗度(十点平均粗さRz)は、2.0μm未満が好ましく、1.5未満であることがさらに好ましい。2.0μm未満の表面粗度であると、クリアー度が高く外観が良好に維持できる。とくに、ファクシミリ、複写機、レーザービームプリンタなどの電子写真方式による画像形成装置のトナー定着部材の表層材としてのフッ素樹脂塗膜は、非粘着性とともに、再現性の高い文字の印字が要求されるため、その表面粗度は低いことが好ましい。
また、本発明のフッ素樹脂塗膜の光沢は、45以上であることが好ましい。50以上であることがより好ましく、55以上であることがさらに好ましい。45以上であると、外観が良好に維持できる。とくに、電子写真方式による画像形成装置のトナー定着部材の表層材としてのフッ素樹脂塗膜は、非粘着性とともに、画像に適切な光沢感を与えるために、その光沢度は高いことが好ましい。
次に本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物を用いた塗膜製品の例を図面により説明する。図1は本発明の一実施例における定着ベルトを電子写真の定着装置に使用した概略断面図である。定着ベルト31は、基材がポリイミド製管状物であり、その表層に本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物を塗布してある。この定着ベルト31は、定着ベルト支持体の周囲に配置され、内部に面状ヒーター33とサーミスタ35が組み込まれており、所定の定着温度に加熱される。下側には加圧ローラの芯金36の周囲に形成された加圧ロール34が配置される。未定着トナー38が乗った複写紙37は右側から供給され、ニップ部分Nでトナーは加熱溶融されて定着し、定着画像39となって左側に排出される。以上のようにしてレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着され、画像定着に使用される。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は下記の実施例によって限定解釈されるものではない。各実施例及び比較例で作製したフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物及びフッ素樹脂塗膜の諸物性は、下記の測定方法で測定した。
(1)分解して気化する温度
まず、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン又は水溶性高分子を、100℃で30分乾燥した。次に、島津製作所製の示差熱・熱重量同時測定装置“DTG60”を用いて、10℃/分で昇温し、50%重量減少したときの温度を「分解して気化する温度」とした。
(2)粘度
ブルックフィールド社製の粘度計LVTを用いて、23±1℃で、スピンドル回転数が60rpmのときの粘度V60を測定した。
(3)チキソトロピーインデックス
ブルックフィールド社製の粘度計LVTを用いて、23±1℃で、スピンドル回転数が6rpmのとき及びの粘度V6及び60rpmのときの粘度V60を用いて、下記の式によりチキソトロピーインデックスを求めた。
チキソトロピーインデックス=V6/V60
(4)表面粗度
小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3Hを用いて、十点平均粗さRz(JIS B0601:1994)を測定した。
(5)光沢度
堀場製作所製の光沢度計グロスチェッカIG−320を用いて、測定角度60度における反射光の強さGs(60度)(JIS K5600−4−7:1999)を測定した。
(1)分解して気化する温度
まず、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン又は水溶性高分子を、100℃で30分乾燥した。次に、島津製作所製の示差熱・熱重量同時測定装置“DTG60”を用いて、10℃/分で昇温し、50%重量減少したときの温度を「分解して気化する温度」とした。
(2)粘度
ブルックフィールド社製の粘度計LVTを用いて、23±1℃で、スピンドル回転数が60rpmのときの粘度V60を測定した。
(3)チキソトロピーインデックス
ブルックフィールド社製の粘度計LVTを用いて、23±1℃で、スピンドル回転数が6rpmのとき及びの粘度V6及び60rpmのときの粘度V60を用いて、下記の式によりチキソトロピーインデックスを求めた。
チキソトロピーインデックス=V6/V60
(4)表面粗度
小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3Hを用いて、十点平均粗さRz(JIS B0601:1994)を測定した。
(5)光沢度
堀場製作所製の光沢度計グロスチェッカIG−320を用いて、測定角度60度における反射光の強さGs(60度)(JIS K5600−4−7:1999)を測定した。
(実施例1)
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)の作製
固形分55重量%、平均粒子径0.08および0.24μmのフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体)(PFA)粒子ディスパージョン(ソルベイソレクシス製、分解して気化する温度400℃以上)520gに、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン「Primal AC−261P」(ロームアンドハース製、分解して気化する温度360℃)39g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して13.6重量%)、界面活性剤「TritonX100」(MPバイオメディカルズ製)6.5g、平均分子量200のポリエチレングリコール(第一工業製薬製)58.5g、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「ビニゾール1020」(大同化成製)7.15g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して2.5重量%)、水溶性アルカリ性無機化合物として、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液(和光純薬製)30gを添加してpHを8に調整した。その後、#300のステンレススチール製メッシュを用いてろ過して、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)の粘度は250cP、チキソトロピーインデックスは3.6であった。
(2)ポリイミドからなるベース層を形成した管状物の作製
外径24mm、厚さ50μm、長さ300mmのポリイミド基材からなる管状物の外面にプライマー「855−040」(三井デュポンフロロケミカル製)を厚さ4μmで塗布し、150℃で20分間乾燥させプライマー層を形成した。
(3)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)の塗布及び焼成
前記ポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こすことはなかった。次に、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成した。最後に、冷却して、ポリイミド基材からなる管状物の外面に、厚さ約15μm(上部と下部の膜厚差は、1μm未満であった。)のクリアーなフッ素樹脂塗膜を形成したフッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を作製した。このフッ素樹脂塗膜の表面粗度Rzは、1.4であった。また、光沢度は55であった。前記フッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を図1に示す構成のレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着し、画像定着を行った結果、A4サイズ用紙で1分間に24枚のコピーが得られ、5万枚以上の通紙が可能であった。
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)の作製
固形分55重量%、平均粒子径0.08および0.24μmのフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体)(PFA)粒子ディスパージョン(ソルベイソレクシス製、分解して気化する温度400℃以上)520gに、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン「Primal AC−261P」(ロームアンドハース製、分解して気化する温度360℃)39g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して13.6重量%)、界面活性剤「TritonX100」(MPバイオメディカルズ製)6.5g、平均分子量200のポリエチレングリコール(第一工業製薬製)58.5g、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「ビニゾール1020」(大同化成製)7.15g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して2.5重量%)、水溶性アルカリ性無機化合物として、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液(和光純薬製)30gを添加してpHを8に調整した。その後、#300のステンレススチール製メッシュを用いてろ過して、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)の粘度は250cP、チキソトロピーインデックスは3.6であった。
(2)ポリイミドからなるベース層を形成した管状物の作製
外径24mm、厚さ50μm、長さ300mmのポリイミド基材からなる管状物の外面にプライマー「855−040」(三井デュポンフロロケミカル製)を厚さ4μmで塗布し、150℃で20分間乾燥させプライマー層を形成した。
(3)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)の塗布及び焼成
前記ポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こすことはなかった。次に、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成した。最後に、冷却して、ポリイミド基材からなる管状物の外面に、厚さ約15μm(上部と下部の膜厚差は、1μm未満であった。)のクリアーなフッ素樹脂塗膜を形成したフッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を作製した。このフッ素樹脂塗膜の表面粗度Rzは、1.4であった。また、光沢度は55であった。前記フッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を図1に示す構成のレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着し、画像定着を行った結果、A4サイズ用紙で1分間に24枚のコピーが得られ、5万枚以上の通紙が可能であった。
(実施例2)
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)の作製
固形分55重量%、平均粒子径0.08および0.24μmのフッ素樹脂(PFA)粒子ディスパージョン520gに、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン「Primal AC−261P」39g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して13.6重量%)、界面活性剤「TritonX100」6.5g、平均分子量200のポリエチレングリコール58.5g、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「Primal TT−615」(ロームアンドハース製)1.95g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して0.67重量%)、水溶性アルカリ性無機化合物として、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液3.2gを添加してpHを8に調整した。その後、#300のステンレススチール製メッシュを用いてろ過して、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)の粘度は198cP、チキソトロピーインデックスは3.81であった。
(2)ポリイミドからなるベース層を形成した管状物の作製
外径24mm、厚さ50μm、長さ300mmのポリイミド基材からなる管状物の外面にプライマー「855−040」を厚さ4μmで塗布し、150℃で20分間乾燥させプライマー層を形成した。
(3)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)の塗布及び焼成
前記ポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こすことはなかった。次に、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成した。最後に、冷却して、ポリイミド基材からなる管状物の外面に、厚さ約15μm(上部と下部の膜厚差は、1μm未満であった。)のクリアーなフッ素樹脂塗膜を形成したフッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を作製した。このフッ素樹脂塗膜の表面粗度Rzは、1.25であった。また、光沢度は56であった。前記フッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を図1に示す構成のレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着し、画像定着を行った結果、実施例1と同様の結果を得ることができた。
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)の作製
固形分55重量%、平均粒子径0.08および0.24μmのフッ素樹脂(PFA)粒子ディスパージョン520gに、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン「Primal AC−261P」39g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して13.6重量%)、界面活性剤「TritonX100」6.5g、平均分子量200のポリエチレングリコール58.5g、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「Primal TT−615」(ロームアンドハース製)1.95g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して0.67重量%)、水溶性アルカリ性無機化合物として、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液3.2gを添加してpHを8に調整した。その後、#300のステンレススチール製メッシュを用いてろ過して、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)の粘度は198cP、チキソトロピーインデックスは3.81であった。
(2)ポリイミドからなるベース層を形成した管状物の作製
外径24mm、厚さ50μm、長さ300mmのポリイミド基材からなる管状物の外面にプライマー「855−040」を厚さ4μmで塗布し、150℃で20分間乾燥させプライマー層を形成した。
(3)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)の塗布及び焼成
前記ポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(B)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こすことはなかった。次に、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成した。最後に、冷却して、ポリイミド基材からなる管状物の外面に、厚さ約15μm(上部と下部の膜厚差は、1μm未満であった。)のクリアーなフッ素樹脂塗膜を形成したフッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を作製した。このフッ素樹脂塗膜の表面粗度Rzは、1.25であった。また、光沢度は56であった。前記フッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を図1に示す構成のレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着し、画像定着を行った結果、実施例1と同様の結果を得ることができた。
(実施例3)
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)の作製
実施例2において、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「Primal TT−615」(ロームアンドハース製)1.95gに代えて、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「モビニールLDM7010」(ニチゴー・モビニール製)1.95gにした以外は、実施例2と同様にして、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)の粘度は312.5cP、チキソトロピーインデックスは2.96であった。
(2)ポリイミドからなるベース層を形成した管状物の作製
外径24mm、厚さ50μm、長さ300mmのポリイミド基材からなる管状物の外面にプライマー「855−040」を厚さ4μmで塗布し、150℃で20分間乾燥させプライマー層を形成した。
(3)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)の塗布及び焼成
前記ポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こすことはなかった。次に、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成した。最後に、冷却して、ポリイミド基材からなる管状物の外面に、厚さ約15μm(上部と下部の膜厚差は、1μm未満であった。)のクリアーなフッ素樹脂塗膜を形成したフッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を作製した。このフッ素樹脂塗膜の表面粗度Rzは、0.95であった。また、光沢度は53であった。前記フッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を図1に示す構成のレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着し、画像定着を行った結果、実施例1と同様の結果を得ることができた。
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)の作製
実施例2において、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「Primal TT−615」(ロームアンドハース製)1.95gに代えて、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「モビニールLDM7010」(ニチゴー・モビニール製)1.95gにした以外は、実施例2と同様にして、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)の粘度は312.5cP、チキソトロピーインデックスは2.96であった。
(2)ポリイミドからなるベース層を形成した管状物の作製
外径24mm、厚さ50μm、長さ300mmのポリイミド基材からなる管状物の外面にプライマー「855−040」を厚さ4μmで塗布し、150℃で20分間乾燥させプライマー層を形成した。
(3)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)の塗布及び焼成
前記ポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(C)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こすことはなかった。次に、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成した。最後に、冷却して、ポリイミド基材からなる管状物の外面に、厚さ約15μm(上部と下部の膜厚差は、1μm未満であった。)のクリアーなフッ素樹脂塗膜を形成したフッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を作製した。このフッ素樹脂塗膜の表面粗度Rzは、0.95であった。また、光沢度は53であった。前記フッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を図1に示す構成のレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着し、画像定着を行った結果、実施例1と同様の結果を得ることができた。
(実施例4)
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)の作製
固形分55重量%、平均粒子径0.08および0.24μmのフッ素樹脂(PFA)粒子ディスパージョン416gに、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン「Primal AC−261P」31.2g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して重量13.6%)、界面活性剤「TritonX100」5.2g、平均分子量200のポリエチレングリコール46.8g、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「Primal TT−615」1.5g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して0.67重量%)、水溶性アルカリ性無機化合物として、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液2.6gを添加してpHを8に調整し、フッ素樹脂(PFA)コーティング用水性分散組成物(i)を作製した。
次に、固形分60重量%、平均粒子径0.24μmのフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))粒子ディスパージョン(分解して気化する温度400℃以上)104gに、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン「Primal AC−261P」3.9g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して7.5重量%)、界面活性剤「TritonX100」1.3g、平均分子量200のポリエチレングリコール11.7g、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「Primal TT−615」0.4g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対し0.73重量%)、水溶性アルカリ性無機化合物として、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液0.8gを添加してpHを8に調整し、フッ素樹脂(PFA)コーティング用水性分散組成物(i)を作製した。
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)の作製
固形分55重量%、平均粒子径0.08および0.24μmのフッ素樹脂(PFA)粒子ディスパージョン416gに、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン「Primal AC−261P」31.2g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して重量13.6%)、界面活性剤「TritonX100」5.2g、平均分子量200のポリエチレングリコール46.8g、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「Primal TT−615」1.5g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して0.67重量%)、水溶性アルカリ性無機化合物として、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液2.6gを添加してpHを8に調整し、フッ素樹脂(PFA)コーティング用水性分散組成物(i)を作製した。
次に、固形分60重量%、平均粒子径0.24μmのフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))粒子ディスパージョン(分解して気化する温度400℃以上)104gに、解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン「Primal AC−261P」3.9g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して7.5重量%)、界面活性剤「TritonX100」1.3g、平均分子量200のポリエチレングリコール11.7g、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「Primal TT−615」0.4g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対し0.73重量%)、水溶性アルカリ性無機化合物として、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液0.8gを添加してpHを8に調整し、フッ素樹脂(PFA)コーティング用水性分散組成物(i)を作製した。
その後、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(i)及び(ii)をPFA粒子が80
重量%、PTFE粒子が20重量%になるよう混合した。その後、#300のステンレススチール製メッシュを用いてろ過して、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)の粘度は208cP、チキソトロピーインデックスは4.1であった。
(2)ポリイミドからなるベース層を形成した管状物の作製
外径24mm、厚さ50μm、長さ300mmのポリイミド基材からなる管状物の外面にプライマー「855−040」を厚さ4μmで塗布し、150℃で20分間乾燥させプライマー層を形成した。
(3)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)の塗布及び焼成
前記ポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こすことはなかった。次に、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成した。最後に、冷却して、ポリイミド基材からなる管状物の外面に、厚さ約18μm(上部と下部の膜厚差は、1μm未満であった。)のクリアーなフッ素樹脂塗膜を形成したフッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を作製した。このフッ素樹脂塗膜の表面粗度Rzは、1.8であった。また、光沢度は51であった。前記フッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を図1に示す構成のレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着し、画像定着を行った結果、A4サイズ用紙で1分間に24枚のコピーが得られ、5万枚以上の通紙が可能であった。
重量%、PTFE粒子が20重量%になるよう混合した。その後、#300のステンレススチール製メッシュを用いてろ過して、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)の粘度は208cP、チキソトロピーインデックスは4.1であった。
(2)ポリイミドからなるベース層を形成した管状物の作製
外径24mm、厚さ50μm、長さ300mmのポリイミド基材からなる管状物の外面にプライマー「855−040」を厚さ4μmで塗布し、150℃で20分間乾燥させプライマー層を形成した。
(3)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)の塗布及び焼成
前記ポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(D)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こすことはなかった。次に、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成した。最後に、冷却して、ポリイミド基材からなる管状物の外面に、厚さ約18μm(上部と下部の膜厚差は、1μm未満であった。)のクリアーなフッ素樹脂塗膜を形成したフッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を作製した。このフッ素樹脂塗膜の表面粗度Rzは、1.8であった。また、光沢度は51であった。前記フッ素樹脂コーティングポリイミド製管状物を図1に示す構成のレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着し、画像定着を行った結果、A4サイズ用紙で1分間に24枚のコピーが得られ、5万枚以上の通紙が可能であった。
(実施例5)
金属製基材からなる管状物として外径30mm、厚み50μm、長さ240mmのステンレス(SS304)製管状物((株)遠藤製作所製)を用意した。この管状物の表面をアルコールで洗浄後、管状物内部にコーティング液が侵入しないように管状物の片側をマスキングし、粘度80cPのプライマー液(デュポン社製855−003)にステンレス製管状物の上部5mm部分を残し、浸漬し、所定の速度で引上げ乾燥後の厚みが4μmとなるように均一にプライマー液を塗布した。その後、マスキングを外し、室温で5分乾燥後、180℃のオーブンに入れ30分間加熱処理して取り出し室温まで冷却した。
金属製基材からなる管状物として外径30mm、厚み50μm、長さ240mmのステンレス(SS304)製管状物((株)遠藤製作所製)を用意した。この管状物の表面をアルコールで洗浄後、管状物内部にコーティング液が侵入しないように管状物の片側をマスキングし、粘度80cPのプライマー液(デュポン社製855−003)にステンレス製管状物の上部5mm部分を残し、浸漬し、所定の速度で引上げ乾燥後の厚みが4μmとなるように均一にプライマー液を塗布した。その後、マスキングを外し、室温で5分乾燥後、180℃のオーブンに入れ30分間加熱処理して取り出し室温まで冷却した。
次いで、前記プライマーの塗布と同じ操作で、実施例1で作製したフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(A)を用いステンレス製管状物の上部から8mm部分を残し浸漬し、所定の速度で引き上げ、17μmの厚みで塗布した。この操作においても液ダレの発生はなく平滑な塗布膜が得られた。
その後、前記フッ素樹脂コーティング組成物を塗布したステンレス製管状物を室温で20分間乾燥し、次いで100℃で20分乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成した。その後、室温(25℃)まで冷却し、フッ素樹脂コーティングステンレス製管状物を得た。
完成されたフッ素樹脂コーティングステンレス製管状物の表面粗度はRzで1.2μmであり光沢度は58であった。前記フッ素樹脂コーティングステンレス製管状物を図1に示すレーザービームプリンタの定着ベルトとして装着し、画像定着を行った結果、A4サイズ用紙で1分間に40枚のコピーが得られ、5万枚以上の通紙が可能であった。
(実施例6)
(1)ポリイミド管状物の製作
外径が24mm、長さ500mmのアルミ製金型で金型の外面を酸化珪素膜で被覆した金型を用いた。次いで1500ポイズのポリイミド前駆体溶液((株)IST社製商品名「RC5063PyreML」BPDA/PPD組成)中に窒化ホウ素(BN)(三井化学(株)製)を前記ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して30重量%均一に混合したBN混合ポリイミド前駆体溶液を用意した。
(1)ポリイミド管状物の製作
外径が24mm、長さ500mmのアルミ製金型で金型の外面を酸化珪素膜で被覆した金型を用いた。次いで1500ポイズのポリイミド前駆体溶液((株)IST社製商品名「RC5063PyreML」BPDA/PPD組成)中に窒化ホウ素(BN)(三井化学(株)製)を前記ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して30重量%均一に混合したBN混合ポリイミド前駆体溶液を用意した。
前記BN混合ポリイミド前駆体溶液の中に前記金型を浸漬し、ポリイミド前駆体溶液を塗布したのち、内径25mmのリング状外金型(ダイス)を前記金型の上部から
挿入し、自重で走行させて前記金型の表面に500μの厚みのポリイミド前駆体溶液をキャスト成形した。その後、第1次イミド転化処理として120℃で60分間乾燥後、200℃の温度まで40分間で昇温させ、同温度で20分間保持した。その後、200℃から400℃まで30分間で昇温し、同温度で20分間保持し、常温まで冷却して脱型した。完成されたポリイミド管状物の厚みは52μmであり、内径24mmであった。
(2)ポリイミド管状物表面のプライマー処理
次いで、前記ポリイミド管状物をステンレス金型に密着させて挿入し、その表面にプライマーを塗布した。プライマーは(GE東芝シリコーン社製商品名:XP−81−405)A,B2液を予め1:1の割合で混合したものを用い刷毛で均一に塗布した後、室温(23℃)で20分乾燥後、150℃のオーブンに入れ、20分間乾燥しプライマー塗布ポリイミド管状物を得た。
(3)シリコーンゴムの成形および加硫
前記プライマー塗布ポリイミド管状物の外面にシリコーンゴム(GE東芝シリコーン社製商品名:XE15−B7354)A,B2液を予め1:1の割合で混合した液状ゴムを塗布し、リング状ダイスを通過させてプライマー塗布ポリイミド管状物の外面に200μmの厚みでシリコーンゴムを成形した。その後、150℃の温度で10分一次加硫を行い、さらに二次加硫として200℃の温度で4時間加熱し、ポリイミド基材の外面にリコーンゴムが成形された2層構造の管状物を得た。同条件で作製したテストピースのゴム硬度は31度であった。
(4)シリコーンゴム表面処理およびプライマー塗布
二次加硫後のシリコーンゴム表面は撥水性が高く、プライマーを直接塗布すると、はじき現象が発生するため#500のサンドペーパーで軽く粗らし、表面をアルコールで洗浄した。次いでシリコーンゴム表面に液状プライマー(三井デュポンフロロケミカル社製PR−990CL)を塗布し、室温で10分乾燥しプライマー塗布2層構造管状物を得た。
挿入し、自重で走行させて前記金型の表面に500μの厚みのポリイミド前駆体溶液をキャスト成形した。その後、第1次イミド転化処理として120℃で60分間乾燥後、200℃の温度まで40分間で昇温させ、同温度で20分間保持した。その後、200℃から400℃まで30分間で昇温し、同温度で20分間保持し、常温まで冷却して脱型した。完成されたポリイミド管状物の厚みは52μmであり、内径24mmであった。
(2)ポリイミド管状物表面のプライマー処理
次いで、前記ポリイミド管状物をステンレス金型に密着させて挿入し、その表面にプライマーを塗布した。プライマーは(GE東芝シリコーン社製商品名:XP−81−405)A,B2液を予め1:1の割合で混合したものを用い刷毛で均一に塗布した後、室温(23℃)で20分乾燥後、150℃のオーブンに入れ、20分間乾燥しプライマー塗布ポリイミド管状物を得た。
(3)シリコーンゴムの成形および加硫
前記プライマー塗布ポリイミド管状物の外面にシリコーンゴム(GE東芝シリコーン社製商品名:XE15−B7354)A,B2液を予め1:1の割合で混合した液状ゴムを塗布し、リング状ダイスを通過させてプライマー塗布ポリイミド管状物の外面に200μmの厚みでシリコーンゴムを成形した。その後、150℃の温度で10分一次加硫を行い、さらに二次加硫として200℃の温度で4時間加熱し、ポリイミド基材の外面にリコーンゴムが成形された2層構造の管状物を得た。同条件で作製したテストピースのゴム硬度は31度であった。
(4)シリコーンゴム表面処理およびプライマー塗布
二次加硫後のシリコーンゴム表面は撥水性が高く、プライマーを直接塗布すると、はじき現象が発生するため#500のサンドペーパーで軽く粗らし、表面をアルコールで洗浄した。次いでシリコーンゴム表面に液状プライマー(三井デュポンフロロケミカル社製PR−990CL)を塗布し、室温で10分乾燥しプライマー塗布2層構造管状物を得た。
その後、実施例2で作製したフッ素樹脂コーティング用水分散組成物(B)中に前記プライマー塗布2層構造管状物を浸漬し、所定の速度で引上げ、最終の厚さで20μmとなるようにコーティングし、常温で30分乾燥後、100℃で20分、250℃で30分さらに380℃で15分間焼成しポリイミド基層、シリコーン弾性層及びフッ素樹脂コーティング層の3層構造の管状物を得た。
この3層構造管状物は内径24mm、ポリイミド樹脂層50μm、シリコーンゴム層200μm、フッ素樹脂層20μm(上部と下部の膜厚差は、1μm未満であった。)、総厚み270μmであった。また、表面粗度Rzは1.5μmであり、光沢度は53でマッドクラックがなく平滑性の優れたフッ素樹脂コーティング面を有していた。この3層構造管状物をカラープリンタの定着ベルトとして装着し、4枚/分の速度で通紙定着を行った結果、3万枚以上の良好な画像が得られフルカラー画像の定着ベルトとして最も適していた。
(比較例1)
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)の作製
実施例1において、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「ビニゾール1020」(大同化成製)の添加量を7.15g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して2.5重量%)から、0.25g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して0.087重量%)に代えた以外は、実施例1と同様にして、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)の粘度は71cP、チキソトロピーインデックスは1.15であった。
(2)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)の塗布及び焼成
実施例1(2)と同様にして作製したポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こしてしまった。
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)の作製
実施例1において、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤「ビニゾール1020」(大同化成製)の添加量を7.15g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して2.5重量%)から、0.25g(フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して0.087重量%)に代えた以外は、実施例1と同様にして、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)の粘度は71cP、チキソトロピーインデックスは1.15であった。
(2)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)の塗布及び焼成
実施例1(2)と同様にして作製したポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(a)を浸漬法により塗布したが、液ダレを起こしてしまった。
(比較例2)
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(c)の作製
実施例1において、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液に代えて、トリエタノールアミン4.83gを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(c)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(c)の粘度は210cP、チキソトロピーインデックスは3.45であった。
(2)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(E)の塗布及び焼成
実施例1(2)と同様にして作製したポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(c)を浸漬法により塗布した。液ダレを起こすことはなかったが、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成、最後に、冷却して、得られた厚さ約16μmのフッ素樹脂塗膜は、茶色に変色してしまった。
(1)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(c)の作製
実施例1において、0.5mol/L炭酸ナトリウム水溶液に代えて、トリエタノールアミン4.83gを用いた以外は、実施例1と同様にして、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(c)を作製した。前記フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(c)の粘度は210cP、チキソトロピーインデックスは3.45であった。
(2)フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(E)の塗布及び焼成
実施例1(2)と同様にして作製したポリイミド管状物に、フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物(c)を浸漬法により塗布した。液ダレを起こすことはなかったが、室温で30分間乾燥後、250℃、340℃、380℃で順次30分間焼成、最後に、冷却して、得られた厚さ約16μmのフッ素樹脂塗膜は、茶色に変色してしまった。
以上の実施例及び比較例の条件と結果を表1にまとめて示す。
表1から明らかなとおり、本発明の実施例1〜6は、厚塗りができ、浸漬塗布方法であっても液ダレの発生がなく、焼成時にクラックの発生はなく、得られた皮膜の着色はなく、表面粗度と光沢度は良好であり、電子写真画像形成装置における定着部材のコーティング組成物として好適であることが確認できた。
これに対して比較例1は、チキソトロピーインデックスが本発明の範囲よりも低かったため、液ダレの発生があり、ポリイミド管状物を得ることはできなかった。
また、比較例2は、アルカリ性無機化合物に代えてトリエタノールアミンとしたため、皮膜が茶色に変色し好ましくなかった。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、厚塗りができ、浸漬塗布方法であっても液ダレの発生がなく、さらに焼成時にクラックの発生及び着色がなくフッ素樹脂の有する離型性、耐薬品性、耐熱性等の特性を必要とする基材へのコーティング組成物として有用である。特に電子写真画像形成装置における定着部材へのコーティング組成物として有用である。
31 定着ベルト
32 定着ベルト支持体
33 面状ヒーター
34 加圧ロール
35 サーミスタ
36 加圧ローラの芯金
37 複写紙
38 未定着トナー
39 定着画像
N ニップ部分
32 定着ベルト支持体
33 面状ヒーター
34 加圧ロール
35 サーミスタ
36 加圧ローラの芯金
37 複写紙
38 未定着トナー
39 定着画像
N ニップ部分
Claims (11)
- 固形分が20重量%以上70重量%以下であるフッ素樹脂粒子ディスパージョンと、
分解して気化する温度が前記フッ素樹脂の分解して気化する温度までの温度範囲内にある解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョンと、
アルカリ膨潤型増粘剤と、
水溶性アルカリ性無機化合物を含み、
粘度が50cP以上5,000cP未満で、かつチキソトロピーインデックスが2.0以上20未満であるフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。 - 前記フッ素樹脂粒子の75重量%以上は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)粒子である請求項1に記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。
- 前記フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して、前記解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョンを2.5重量%以上50重量%以下含む請求項1に記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。
- 前記アルカリ膨潤型増粘剤が、アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤である請求項1に記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。
- 前記フッ素樹脂粒子ディスパージョンの固形分に対して、前記アクリル系アルカリ膨潤型増粘剤を0.1重量%以上5重量%以下含む請求項1に記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。
- 前記水溶性アルカリ性無機化合物が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一つの水溶性アルカリ性無機化合物である請求項1に記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物から形成されたフッ素樹脂塗膜。
- 前記フッ素樹脂塗膜の表面粗度Rzが2.0未満である請求項7に記載のフッ素樹脂塗膜。
- 前記フッ素樹脂塗膜の光沢度が45以上である請求項7に記載のフッ素樹脂塗膜。
- 金属、耐熱性樹脂又は弾性体からなる基材、及び前記基材表面に請求項1〜7のいずれかに記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物から形成された塗膜を有する積層体。
- 金属又は耐熱性樹脂及びこれらの複合体からなる基材、及び前記基材表面に形成された弾性体、及び前記弾性体上に請求項1〜7のいずれかに記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物から形成された塗膜を有する積層体。
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---|---|---|---|
JP2007153147A JP2008024918A (ja) | 2006-06-22 | 2007-06-08 | フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物とこの組成物から形成されたフッ素樹脂塗膜及び積層体 |
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JP2007153147A Withdrawn JP2008024918A (ja) | 2006-06-22 | 2007-06-08 | フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物とこの組成物から形成されたフッ素樹脂塗膜及び積層体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2019156886A (ja) * | 2018-03-07 | 2019-09-19 | 新機能科学株式会社 | コーティング用組成物 |
CN110698986A (zh) * | 2019-09-20 | 2020-01-17 | 江西省交通科学研究院 | 一种融雪除冰乳液涂层及其施工方法 |
JP2020033448A (ja) * | 2018-08-29 | 2020-03-05 | ローランドディー.ジー.株式会社 | ディスペンサ用インク組成物とこれを用いた加飾方法 |
-
2007
- 2007-06-08 JP JP2007153147A patent/JP2008024918A/ja not_active Withdrawn
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