JP2008024899A - 親水性連続多孔質体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オレフィン系熱可塑性樹脂に少なくとも形孔剤を混練して成形した後、得られた成形物の少なくとも一部を前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬し、次いで水系溶媒で形孔剤を溶出して連続多孔質体を得た後、該連続多孔質体に界面活性剤を含む溶液を含浸させて乾燥することを特徴とする親水性連続多孔質体の製造方法とする。
【選択図】図1
Description
本発明の目的は、親水性が長期間にわたって持続し、化粧用パット、吸水ロール、吸水シート、洗浄脱水クロスなどの親水性であることが求められる様々な用途で好適に使用することができる親水性連続多孔質体及びその製造方法を提供することにある。詳細には、吸水速度を飛躍的に向上させるとともに、ふき取り材としてのふき取り効果及び摩擦等に対する機械的強度を向上させた親水性連続多孔質体及びその製造方法に関する。
この成形工程の後に、得られた成形物の少なくとも一部を前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬する工程を追加することにより、表面のスキン層を防ぐとともに、内部全般にわたる連通性を顕著に改善することを見出し本発明に至った。
本発明の他の課題は、形孔剤の水溶出時間、及び親水性連続多孔質体の乾燥時間を大幅に短縮することにある。
本発明の更なる課題は、ナトリウムイオン及びカルシウムイオン等の金属イオンを含まない水溶性の有機物からなる形孔剤を使用することにより、電子材料等の、残存イオンが悪影響を及ぼすような対象物に対しても好適に使用できる親水性連続多孔質体及びその製造方法を提供することにある。
請求項2に係る発明は、オレフィン系熱可塑性樹脂に少なくとも形孔剤及び形孔助剤を混練して成形した後、得られた成形物の少なくとも一部を前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬し、次いで水系溶媒で形孔剤を溶出して連続多孔質体を得た後、該連続多孔質体に界面活性剤を含む溶液を含浸させて乾燥することを特徴とする親水性連続多孔質体の製造方法に関する。
請求項3に係る発明は、オレフィン系熱可塑性樹脂に少なくとも形孔剤、形孔助剤及び界面活性剤を混練して成形した後、得られた成形物の少なくとも一部を前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬し、次いで水系溶媒で形孔剤を溶出して連続多孔質体を得た後、該連続多孔質体に界面活性剤を含む溶液を含浸させて乾燥することを特徴とする親水性連続多孔質体の製造方法に関する。
請求項4に係る発明は、オレフィン系熱可塑性樹脂に少なくとも形孔剤、形孔助剤及び界面活性剤を混練して成形した後、前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬し、次いで水系溶媒で形孔剤を溶出することを特徴とする親水性連続多孔質体の製造方法に関する。
請求項5に係る発明は、前記液体が、前記樹脂の融点より30〜50℃高い温度の液体であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法に関する。
請求項7に係る発明は、前記オレフィン系熱可塑性樹脂が、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法に関する。
請求項8に係る発明は、前記形孔剤が、金属イオンを含まない水溶性の有機物であることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法に関する。
請求項9に係る発明は、前記形孔助剤が多価アルコールの単量体又は重合体であることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法に関する。
請求項10に係る発明は、前記連続多孔質体に含浸される界面活性剤が非イオン性界面活性剤及び/又は陰イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法に関する。
請求項11に係る発明は、オレフィン系熱可塑性樹脂に混練された形孔剤を溶出することによって形成される枝木状の連続多孔質体であり、平均気孔径が1〜200μmであり、保水率が100〜700%であることを特徴とする親水性連続多孔質体に関する。
請求項3による親水性連続多孔質体は、親水性が長期間にわたって持続するという優れた効果を奏する。
請求項5又は6による親水性連続多孔質体は、より表面のスキン層を防ぐとともに、内部全般にわたる連通性を顕著に改善することにより、吸水速度を飛躍的に向上させるとともに、ふき取り材としてのふき取り効果及び摩擦等に対する機械的強度を向上させるという優れた効果を有する。
請求項7による親水性連続多孔質体は、特に耐溶剤性に優れるとともに、焼却処分しても悪臭やダイオキシンなどの有害ガスが発生しないという優れた効果を奏する。
請求項8による親水性連続多孔質体は、金属イオンを含まない水溶性の有機物からなる形孔剤を使用するから、電子材料等の、残存イオンが悪影響を及ぼすような対象物に対しても好適に使用できるという優れた効果を奏する。
請求項9又は10による親水性連続多孔質体は、親水性がより長期間にわたって持続するという優れた効果を奏する。
請求項11に係る親水性連続多孔質体は、枝木状で且つ平均気孔径が1〜200μmであり、保水率が100〜700%であるので、表面のスキン層を防ぐとともに、内部全般にわたる連通性を顕著に改善することにより、吸水速度を飛躍的に向上させるとともに、ふき取り材としてのふき取り効果及び摩擦等に対する機械的強度を向上させ、且つ適度な親水性を有するという優れた効果を有する。
本発明に係る親水性連続多孔質体は、以下の工程から製造される。
(1)オレフィン系熱可塑性樹脂に少なくとも形孔剤を混練して成形する
(2)得られた成形物の少なくとも一部を前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬する
(3)工程2で得られた成形物中の形孔剤を水系溶媒で溶出して連続多孔質体を得る
(4)該連続多孔質体に界面活性剤を含む溶液を含浸させて乾燥する
オレフィン系熱可塑性樹脂(以下、単に熱可塑性樹脂という場合がある)は特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン(ポリブチレン)、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンプロピレン共重合体、エチレンブテン共重合体、プロピレンブテン共重合体などを例示することができる。
特に本発明では、オレフィン系熱可塑性樹脂としてエチレン酢酸ビニル共重合体を使用することが好ましい。エチレン酢酸ビニル共重合体は比較的融点が低いために、混練や成形などを容易に行うことができる。
オレフィン系熱可塑性樹脂としてエチレン酢酸ビニル共重合体を使用する場合、酢酸ビニルの含有量によって親水性連続多孔質体の硬度、反発弾性率、強度などを調節することができる。本発明では酢酸ビニルの含有量は特に限定されないが、エチレン酢酸ビニル共重合体全量中、5〜40重量%程度に調整することが好ましい。
オレフィン系熱可塑性樹脂、特にエチレン酢酸ビニル共重合体は、ポリウレタンやNBRなどと相違して、耐溶剤性に優れるとともに、焼却処分しても悪臭やダイオキシンなどが発生することがない。
本発明では、上記した形孔剤のうちの一種又は二種類以上の形孔剤を使用することもできる。
形孔剤の粒子径も特に限定されず、製造する連続多孔質体の気孔径に応じて調整される。
形孔助剤は形孔剤の水溶出時間を短縮するために用いられ、沸点が高く少量で樹脂の流動性を向上させることができ、しかも被熱減量の小さいものが好ましく用いられる。
本発明においては、多価アルコールの単量体又は重合体が用いられる。具体的には、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールの単量体;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールなどの多価アルコールの重合体などを例示することができる。
形孔助剤は形孔剤の水溶出時間を短縮するだけでなく、樹脂の可塑度を向上させる作用も有している。
尚、本発明では形孔助剤として、多価アルコールの重合体を使用することが好ましい。形孔助剤として多価アルコールの重合体を使用することによって、親水性が長期間にわたって持続する親水性連続多孔質体を製造することができる。
前記の如く、形孔助剤の配合量は比較的少量でよい。これは、工程(2)において、工程(1)で得られた成形物の少なくとも一部を熱可塑性樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬することによって、成形物が膨張し、且つ成形物の表面積と空間率を増大させることにより形孔剤の溶出時間を短縮することができるからである。即ち、工程(2)の成形物は圧縮されていない無加圧の状態であるため、成型物の膨張により、溶出時間が短縮できるから、溶出時間を短縮する目的で工程(1)において加えられる形孔助剤の配合量は比較的少なくてよい。
形孔剤及び形孔助剤に加えて混練される界面活性剤としては、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を使用することができる。特に本発明では、後述するような非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤などの界面活性剤を使用することが好ましく、非イオン性界面活性剤又は陰イオン性界面活性剤を使用することがより好ましい。
界面活性剤を混練する場合、その配合量は特に限定されないが、熱可塑性樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは1〜5重量部配合される。0.1重量部未満では多孔質体に親水性を付与する効果に乏しい。10重量部を超えて配合しても大幅な効果の増大は認められない。
いずれの場合であっても、この工程(2)を施すことにより、親水性連続多孔質体の三次元の樹脂骨格構造が皮膜のない枝木状となり、その表面だけでなく、内部全体における連通性が改良される。また、液体の温度と浸漬時間を調節することにより、連通性の程度がコントロール可能となるため、好ましくは、親水性連続多孔質体の用途に応じて、液体の温度と浸漬時間を調節する。
例えば、表面のスキン層のみを改良する場合は、前記温度の液体を表面にのみ塗布する、或いは表面に液体を塗布した後、加温することにより前記温度とする方法が採られてもよい。
水系溶媒としては水、水可溶性低級脂肪族アルコール、稀酸水、稀アルカリ水等が挙げられ、通常水または温水が好ましく用いられる。尚、水系溶媒として、酸やアルカリを用いる場合には、公害の原因とならないように低濃度で使用する。
即ち、界面活性剤を含む溶液に多孔質体を含侵することによって、多孔質体の表面及び気孔表面に界面活性剤を付着させることができる。これによって、親油性である多孔質体に親水性を付与することができる。
尚、樹脂中に予め界面活性剤を混練して形成した多孔質体の場合は、この工程(4)を省いても親水性は付与されるが、より強固な親水性を付与するためには、樹脂中に予め界面活性剤を混練して形成した多孔質体の場合も、界面活性剤を含む溶液に含浸させることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステルなどを例示することができる。
界面活性剤を含む溶液中の界面活性剤の濃度は特に限定されないが、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%とされる。0.01重量%未満の含有量では、連続多孔質体に親水性を付与することが困難となる。5重量%を超える場合、それ以上の効果が得られない。
界面活性剤を含む溶液を含浸した多孔質体を乾燥する方法は特に限定されないが、熱風乾燥、天日乾燥などを例示することができる。
前記温度及び湿度条件で乾燥することによって、界面活性剤と多孔質体を構成する熱可塑性樹脂との結合を強固に形成することができ、親水性を長期間持続することができる親水性多孔質体を得ることができる。
前記「枝木状」とは熱可塑性樹脂が、枝木の如く不規則に棒状で連なっている状態をいう。詳細には、膜状の襞部が棒状に融化し三次元の骨格構造となる形状をいう。
(実施例1)
以下に示す材料をバレルに投入し、135℃に加温して約20分混練りした。
使用材料 使用量(重量部)
EVA樹脂 100
テトラメチロールメタン 320
顔料 1
混練りした後、圧縮成形法により厚さ1mmに圧縮成形した。得られた成形物を、110℃のポリエチレングリコールに、40分間浸漬した。その後温水中で1時間攪拌してテトラメチロールメタンを溶出させ、連続多孔質体を得た。尚、使用したEVA樹脂の融点は78℃である。
次いで、前記連続多孔質体を、界面活性剤(アルキル硫酸エステル塩)の1重量%水溶液に2時間浸漬した後、50℃で1.5時間乾燥して、親水性連続多孔質体を得た。
以下に示す材料をバレルに投入し、135℃に加温して約20分混練りした。
使用材料 使用量(重量部)
EVA樹脂 100
ポリエチレングリコール 30
テトラメチロールメタン 160
澱粉 160
顔料 1
混練りした後、押出成形法により厚さ1mmのシート状に成形した。得られた成形物を、110℃のポリエチレングリコールに、10分間浸漬した。その後水中で20分間攪拌してテトラメチロールメタン及び澱粉を溶出させ、連続多孔質体を得た。尚、使用したEVA樹脂の融点は78℃である。
次いで、前記連続多孔質体を、界面活性剤(高級アルコール硫酸エステル塩)の1重量%水溶液に2時間浸漬した後、50℃で1時間乾燥して、親水性連続多孔質体を得た。
以下に示す材料をバレルに投入し、135℃に加温して約20分混練りした。
使用材料 使用量(重量部)
EVA樹脂 100
ポリエチレングリコール 30
テトラメチロールメタン 320
ソルビタン脂肪酸エステル 1
顔料 1
混練りした後、押出成形法により厚さ1mmのシート状に成形した。得られた成形物を、110℃のポリエチレングリコールに、3分間浸漬した。その後水中で20分間攪拌してテトラメチロールメタンを溶出させ、連続多孔質体を得た。尚、使用したEVA樹脂の融点は78℃である。
次いで、前記連続多孔質体を、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の1重量%水溶液に2時間浸漬した後、50℃で1時間乾燥して、親水性連続多孔質体を得た。
以下に示す材料をバレルに投入し、180℃に加温して約20分混練りした。
使用材料 使用量(重量部)
ポリエチレン樹脂 100
ポリエチレングリコール 30
ソルビタン脂肪酸エステル 1
澱粉 320
顔料 1
混練りした後、押出成形法により厚さ1mmのシート状に成形した。得られた成形物を、180℃のポリエチレングリコールに、3分間浸漬した。その後水中で20分間攪拌して、澱粉を溶出させて連続多孔質体を得た。尚、使用したポリエチレン樹脂の融点は135℃である。
次いで、前記連続多孔質体を、界面活性剤(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル)の1重量%水溶液に2時間浸漬した後、50℃で1時間乾燥して、親水性連続多質体を得た。
以下に示す材料をバレルに投入し、135℃に加温して約20分混練りした。
使用材料 使用量(重量部)
EVA樹脂 100
テトラメチロールメタン 320
顔料 1
混練りした後、圧縮成形法により厚さ1mmに圧縮成形した。その後温水中で3時間攪拌してテトラメチロールメタンを溶出させ、連続多孔質体を得た。尚、使用したEVA樹脂の融点は78℃である。
次いで、前記連続多孔質体を、界面活性剤(アルキル硫酸エステル塩)の1重量%水溶液に2時間浸漬した後、50℃で4時間乾燥して、親水性連続多孔質体を得た。
以下に示す材料をバレルに投入し、135℃に加温して約20分混練りした。
使用材料 使用量(重量部)
EVA樹脂 100
ポリエチレングリコール 30
テトラメチロールメタン 320
顔料 1
混練りした後、圧縮成形法により厚さ1mmに圧縮成形した。その後温水中で2時間攪拌してテトラメチロールメタンを溶出させ、連続多孔質体を得た。尚、使用したEVA樹脂の融点は78℃である。
次いで、前記連続多孔質体を、界面活性剤(アルキル硫酸エステル塩)の1重量%水溶液に2時間浸漬した後、50℃で2時間乾燥して、親水性連続多孔質体を得た。
図1(a)は実施例3で得られた本発明の親水性連続多孔質体、図1(b)は比較例2で得られた従来の親水性連続多孔質体である。
図1が示すとおり、本発明の親水性連続多孔質体は、従来の多孔質体と比較し、その内部構造は枝木状で、膜状の襞部が棒状に融化し三次元の骨格構造を有する。
上記調製した実施例1〜4及び比較例1〜2の連続多孔質体の物性値を測定した。結果を表1に記載する。
尚、保水率の算出方法は次の通りである。実施例及び比較例の連続多孔質体を25cm×25cmのサイズにカットしたものの質量(M1)を測定し、次に、この連続多孔質体を蒸留水中に10分間浸漬したものの質量(M2)を測定した。そして、{(M2−M1)/M1}×100により保水率(%)を算出した。
吸水速度の測定は、次の方法に従って行った。まず、上記各試料を縦100mm、横20mm、厚さ1.6mmの短冊形状の試験片に切断した。次いで、この試験片を35℃の通風乾燥機に投入して2時間乾燥させた。この試験片の上端を把持し、下端10mmを25℃の水中に浸漬して水の上昇時間を測定し、水が水面から10mm及び20mm上昇するのに要した時間を表1に記した。
尚、実施例1〜4の各試料を、外径30ミリ丸、長さ200ミリ、肉厚5ミリの吸水ロールを、コンピューター基盤の洗浄後の吸水として、1日3時間、1週間使用した後、保水率と吸水速度を測定したところ、上記と略同様の保水率と吸水速度であった。
実施例3と比較例2を用いて、本発明の親水性連続多孔質体の機械的強度を測定した。
眼鏡レンズに口紅を塗布した後、これを実施例3及び比較例2の同形、同体積の連続多孔質体により、ドライ状態で拭き取った。その結果、実施例3においては、摩擦による小片の発生は見受けられず、眼鏡レンズはクリーンな状態に戻り、優れた汚れの拭き取り効果が確認された。一方、比較例2においては、拭き取り時に発生する摩擦により、連続多孔質体の小片が多数発生し、眼鏡レンズ表面を汚染した。
(試験例4;拭き取り効果)
実施例3を用いて本発明の親水性連続多孔質体の拭き取り効果を確認した。
実施例3の連続多孔質体により、携帯電話の液晶画面上の油汚れを拭き取ったところ、携帯電話の液晶画面上はクリーンな状態となり、油膜等の汚れに対して優れた拭き取り効果を発揮することが確認できた。
実施例3の連続多孔質体に、純水を浸漬した後、ガラス面と液晶画面のほこり等の汚れを拭き取った。結果、ドライ状態での拭き取りと比較して摩擦抵抗が少なくなったため、拭き取り効果が増大した。
実施例3の連続多孔質体に、メチルエチルケトンを浸漬した後、これを用いてプラスチック成型金型の汚れを拭き取ると、連続多孔質体の体積膨張、組織破壊もなく完全に汚れが拭き取れた。
比較例1は、工程2を行わない以外は、実施例1と同じ原料、製造方法により製造されたものである。これらの形孔剤の溶出時間を比較したところ、実施例1で1時間、比較例1で3時間である。得られた実施例1及び比較例1の形孔剤(テトラメチロールメタン)の残留分を測定したところ、実施例1が8mg/cm3、比較例1が9mg/cm3であり、両者とも同程度であった。
以上の結果より、同量の形孔剤を溶出するための溶出時間は、実施例1において顕著に短縮されたことが分かる。
比較例1は、工程2を行わない以外は、実施例1と同じ原料、製造方法により製造されたものである。これらの連続多孔質体の乾燥時間を比較したところ、実施例1で1.5時間、比較例1で4時間である。得られた実施例1及び比較例1の水分残量を測定したところ、実施例1が3mg/cm3、比較例1が3mg/cm3であり、両者とも同程度であった。
以上の結果より、連続多孔質体の乾燥時間は実施例1において顕著に短縮されたことが分かる。
実施例1〜4の各試料の、n−ヘキサン、シクロヘキサン、硝酸n−ブチル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、セロソルブ、アセトン、ジオキサン、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノールに対する耐溶剤性を評価したところ、前記した全ての溶剤に対し、常温24時間浸漬して連続多孔質体の体積膨張、組織破壊もなく耐溶剤性を有していることが確認された。
Claims (11)
- オレフィン系熱可塑性樹脂に少なくとも形孔剤を混練して成形した後、得られた成形物の少なくとも一部を前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬し、次いで水系溶媒で形孔剤を溶出して連続多孔質体を得た後、該連続多孔質体に界面活性剤を含む溶液を含浸させて乾燥することを特徴とする親水性連続多孔質体の製造方法。
- オレフィン系熱可塑性樹脂に少なくとも形孔剤及び形孔助剤を混練して成形した後、得られた成形物の少なくとも一部を前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬し、次いで水系溶媒で形孔剤を溶出して連続多孔質体を得た後、該連続多孔質体に界面活性剤を含む溶液を含浸させて乾燥することを特徴とする親水性連続多孔質体の製造方法。
- オレフィン系熱可塑性樹脂に少なくとも形孔剤、形孔助剤及び界面活性剤を混練して成形した後、得られた成形物の少なくとも一部を前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬し、次いで水系溶媒で形孔剤を溶出して連続多孔質体を得た後、該連続多孔質体に界面活性剤を含む溶液を含浸させて乾燥することを特徴とする親水性連続多孔質体の製造方法。
- オレフィン系熱可塑性樹脂に少なくとも形孔剤、形孔助剤及び界面活性剤を混練して成形した後、前記樹脂の融点より高い温度の液体に浸漬し、次いで水系溶媒で形孔剤を溶出することを特徴とする親水性連続多孔質体の製造方法。
- 前記液体が、前記樹脂の融点より30〜50℃高い温度の液体であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法。
- 前記液体が、多価アルコールの単量体及び/又は重合体であることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法。
- 前記オレフィン系熱可塑性樹脂が、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法。
- 前記形孔剤が、金属イオンを含まない水溶性の有機物であることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法。
- 前記形孔助剤が多価アルコールの単量体又は重合体であることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法。
- 前記連続多孔質体に含浸される界面活性剤が非イオン性界面活性剤及び/又は陰イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の親水性連続多孔質体の製造方法。
- オレフィン系熱可塑性樹脂に混練された形孔剤を溶出することによって形成される枝木状の連続多孔質体であり、平均気孔径が1〜200μmであり、保水率が100〜700%であることを特徴とする親水性連続多孔質体。
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