JP2008024668A - 歯科用接着材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 前処理をしなくても歯質に対して高い接着力を有し、且つ、コンポジットレジン等の充填修復材料を接着材面に容易に付着させることができる歯科用接着材を提供する。
【解決手段】 ガラス転移温度が270K以下である、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミノアミド樹脂などの軟質樹脂を、歯科用接着材、具体的には、酸性基含有重合性単量体、重合性単量体、重合開始剤、揮発性有機溶媒および水からなるような重合性組成物に配合する。
【選択図】 なし

Description

本発明は歯科医療分野等における歯の修復に際し、コンポジットレジン等の充填修復材料を歯質へ接着させる際に良好な操作性を得る為の歯科用接着材に関する。
齲蝕等により損傷を受けた歯の修復には、審美性や機械的性質が優れていること等の理由から、主にコンポジットレジンと呼ばれる充填修復材料が用いられる。このコンポジットレジンは歯の空洞に充填後重合硬化して使用されることが一般的である。しかし、この材料自体は歯質への接着性を持たない為、歯科用接着材が併用される。この接着材にはコンポジットレジンの硬化に際して発生する内部応力、即ち、コンポジットレジンと歯質との界面に生じる引張り応力に打ち勝つだけの接着強度が要求される。さもないと過酷な口腔環境下での長期使用により脱落する可能性があるのみならず、コンポジットレジンと歯質の界面で間隙を生じ、そこから細菌が侵入して歯髄に悪影響を与える恐れがあるためである。
コンポジットレジン修復の一般的な操作手順としては、まず齲蝕部分を歯科用のダイヤモンドバー等を用いて機械的に除去した後、接着材を塗布、光照射等で硬化させた後、該接着材面にコンポジットレジンを充填する。従来は、接着材の使用に先立ち、接着力向上の為に歯面にエッチングやプライミング等の前処理を行うことが通常行われていた。しかし、近年、このような前処理を施さなくても歯質に対して高い接着力が得られるような接着材が提案されている(特許文献1、2)。これら、前処理を必要としない接着材の大きな特徴は、接着材自体にエッチング機能やプライミング機能を持たせるために、その成分中に酸性基含有重合性単量体と水を含んでいることである。
硬化させた接着材面へのコンポジットレジンの充填は、通常、金属やプラスチック製の充填器具を用いて行われる。具体的には、シリンジ等に入っているペースト状のコンポジットレジンを練和紙上等に必要量取り出し、それを充填器具の先端に乗せ、接着材面へ押し付けて充填を行うが、上述の前処理を必要としない接着材では、コンポジットレジンの接着材面への付着性が大きく悪化するといった問題があった。これは、主に組成中に含まれる水による影響と推測される。
すなわち、臨床上において、上記接着材を歯面に塗布して硬化させる前には、エアブローなどによって溶媒成分の除去が行われるのが普通である。そして、この操作によって、揮発性の有機溶媒等はほとんどが除去されてしまうものの、前記前処理を必要としない接着材に配合される該水においては揮発性が低く、また過度のエアブローは患者の負担を増大させることもあり、接着材の塗布面全体に対して完全に取り除くことは難しい状態にある。他方、この接着材面上に充填させるコンポジットレジンの主成分は、通常、疎水的な重合性単量体と疎水化処理された無機フィラーから構成されており、上記接着材面に水が残留していると、この面とのなじみ性が大きく低下するためと考えられる。
しかして、コンポジットレジンの接着材面への付着性が悪いと、コンポジットレジンが充填器具から離れにくく、充填器具を接着材面に何度も押し付けなければならず、操作性が悪いとともに、接着材とコンポジットレジンの間に気泡が入りやすくなる。気泡の混入により、審美性が低下するとともに、細菌の進入による二次齲蝕の危険性も考えられる。
コンポジットレジンの充填性を改良する為に、コンポジットレジン自体の操作性を改良する提案がなされているが(特許文献3)、必ずしも十分であるとは言えなかった。硬化した接着材へのコンポジットレジンの付着性をあげるために、コンポジットレジンの粘着性を高めると、充填器具へも粘着してしまうため、その調節は困難であった。
一方、接着材使用時の粘度上昇を抑え、可操作時間を長くして操作性を改良する等の目的で、接着材に低粘度の重合体を添加する提案(特許文献4)もみられるが、これは、歯質への浸透性を低下させないために該低粘度の重合体を配合しているものである。そして、この目的のもとで、具体的に例示されている該重合体はガラス転移温度で示すといずれも270Kを大きく上回るものばかりであり、最も低いものでも305Kのポリ酢酸ビニルしか示されていない。そうして、このような高いガラス転移温度を有する重合体を配合したのでは、上記接着材面へのコンポジットレジンの付着性という点では改善効果は不十分であった。
さらに、金属材料等を歯面に接着させる際の衝撃接着強度や剥離強度を向上させる目的で、接着材に、ガラス転移温度が10℃以下の弾性ポリマーを添加する提案もみられる(特許文献5)。しかし、この接着材は、歯質との接着に際して前処理(エッチング処理)することが必須な、旧来の接着材に関するものである。したがって、この接着材には、前記した接着材自体にエッチング機能やプライミング機能を持たせようとした際に必要となる、水が配合されていない。したがって、前記水を配合した接着材において顕著に発生する、コンポジットレジンの接着材面への付着性の問題とは無縁の技術であり、その解決手段を何ら予測させるものではない。
特開2001−26511号公報 特開2003−73218号公報 特開平8−119820号公報 特開平8−169806号公報 特開昭59−138283号公報
本発明は、前処理を行わなくても高い接着力が得られる、その成分中に酸性基含有重合性単量体と水を含んでいる歯科用接着材において、充填修復材料に対する付着性を改善し、充填器具から充填修復材料が離れ易く、上記接着材面に容易に着接させることが可能なものを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、接着材に特定の軟質樹脂を含有させることにより、コンポジットレジンを接着材面へ容易に固定、付着させることができることを発見し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体、(B)ガラス転移温度が270K以下である軟質樹脂、(C)重合開始剤、(D)揮発性有機溶媒、および(E)水を含む重合性組成物からなる歯科用接着材である。
本発明の歯科用接着材は、酸性基含有重合性単量体、水、および特定の軟性樹脂を配合させることにより、前処理をしなくても歯質に対して高い接着力が得られ、且つ、コンポジットレジンの接着材面への付着性を高めることができ、操作性に優れた歯科用接着材を供給することができる。
本発明の歯科用接着材を構成する重合性組成物において、(A)重合性単量体は、1分子中に少なくとも1つの重合性不飽和基を持つものであり、本発明では、こうした重合性単量体として、酸性基含有重合性単量体を含んだものを使用する。ここで、重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基等の(メタ)アクリロイル基の誘導体基;ビニル基:アリル基;スチリル基等が例示される。
重合性単量体は、上記酸性基含有重合性単量体で全量が構成されていても良いが、通常はこのような酸性基は有しない重合性単量体と混合されて使用される。こうした酸性基は有しない重合性単量体としては、特に限定されず公知のものが使用できる。具体的に例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチルプロピオネート、2−メタクリロキシエチルアセトアセテート等の重合性不飽和基を1つ有する(メタ)アクリレート系単量体類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を複数有する脂肪族系(メタ)アクリレート系単量体類、2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシフェニル)]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン等の重合性不飽和基を複数有する芳香族系(メタ)アクリレート系単量体類等の、重合性不飽和基として(メタ)アクリルオキシ基を有する単量体、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の重合性不飽和基として(メタ)アクリルアミド基を有す単量体や、フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物類、スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体類、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物類や、酢酸ビニル、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、エチルビニルエーテル等が挙げられる。
これら酸性基を有しない重合性単量体は単独でまたは二種以上を混合して用いることができる。
歯科用接着材に、エッチング効果を付与し、さらには歯質への浸透性を向上させて、エッチングやプライマーの前処理を施さなくても歯質に対する優れた接着性を有するものにする観点からは、上記重合性単量体は、少なくともその一部として、酸性基を含有するものを用いる必要がある。このような酸性基含有重合性単量体としては、1分子中に少なくとも1つの酸性基を持つ重合性単量体であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。ここで酸性基とは、ホスフィニコ基{=P(=O)OH}、ホスホノ基{−P(=O)(OH)}、カルボキシル基{−C(=O)OH}、スルホ基(−SOH)等の遊離の酸基のみならず、当該酸性基の2つが脱水縮合した酸無水物構造(例えば、−C(=O)−O−C(=O)−)、あるいは酸性基のOHがハロゲンに置換された酸ハロゲン化物基(例えば、−C(=O)Cl)等など、該基を有する重合性単量体の水溶液又は水懸濁液が酸性を示す基を示す。
該酸性基含有重合性単量体を具体的に例示すると、(メタ)アクリル酸、N−(メタ)アクリロイルグリシン、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ハイドロジェンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、O−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸等の分子内に1つのカルボキシル基を有す重合性単量体、およびこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物;11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデカン−1,1−ジカルボン酸、12−(メタ)アクリロイルオキシドデカン−1,1−ジカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサン−1,1−ジカルボン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−メタクリロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル サクシネート、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテート、N,O−ジ(メタ)アクリロイルチロシン、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート アンハイドライド、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート、4−アクリロイルオキシブチルトリメリテート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸無水物、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルボニルプロピオノイル−1,8−ナフタル酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,8−トリカルボン酸無水物等の分子内に複数のカルボキシル基あるいはその酸無水物基を有す重合性単量体、およびこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物(ただしこれらはカルボキシル基を有す化合物である場合);2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ジハイドロジェンフォスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル) ハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル フェニル ハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル ジハイドロジェンフォスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル ジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル 2−ブロモエチル ハイドロジェンフォスフェート等の分子内にホスフィニコオキシ基又はホスホノオキシ基を有す重合性単量体(重合性酸性リン酸エステルとも称す)、およびこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物;ビニルホスホン酸、p−ビニルベンゼンホスホン酸等の分子内にホスホノ基を有す重合性単量体;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸等の分子内にスルホ基を有す重合性単量体が例示される。またこれら以外にも、特開昭54−11149号公報、特開昭58−140046号公報、特開昭59−15468号公報、特開昭58−173175号公報、特開昭61−293951号公報、特開平7−179401号公報、特開平8−208760号公報、特開平8−319209号公報、特開平10−236912号公報、特開平10−245525号公報等に開示されている歯科用接着性組成物の成分として記載されている酸性モノマーも好適に使用できる。
これら酸性基含有重合性単量体は単独で用いても、複数の種類のものを併用しても良い。
上記酸性基含有重合性単量体のなかでも、歯質に対する接着性が優れている点で、分子内に複数のカルボキシル基あるいはその酸無水物基を有す重合性単量体、又は重合性酸性リン酸エステルを使用することが好ましく、重合性酸性リン酸エステルが特に好ましい。また光照射時の重合性が良好な点で、重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基の誘導体基であることが好ましい。
また、これらの重合性単量体のなかでも、硬化速度や得られる硬化体の強度等の物性の点から、(メタ)アクリル基又はその誘導体基{(メタ)アクリルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリルチオ基等}を重合性不飽和基として有する化合物(単量体)が好ましい。
重合性単量体において、酸性基含有重合性単量体の配合量は、全重合性単量体に対して5〜30質量%の範囲であるのが好ましい。この酸性基含有重合性単量体の配合量において、歯質、特にエナメル質に対する接着強度がより高いものになり、また、接着材自身の強度も高く維持できて好ましい。こうした効果を、さらに良好に発揮させる観点からは、酸性基含有重合性単量体の上記配合量は、10〜25質量%であるのが好ましい。
本発明の歯科用接着材において、重合性組成物には、(B)ガラス転移温度が270K以下と低い樹脂を含有させる。こうした低ガラス転移温度の樹脂は、軟質な性状を呈しており、このような軟質樹脂を配合することにより、この接着材面へはコンポジットレジンの付着性が大きく向上する。ここで、ガラス転移温度が270Kを超える樹脂では、十分な密着性が得られない。より好ましいガラス転移温度は250K以下である。
該軟質樹脂は、ガラス転移温度が270K以下であり、歯科用接着材において、使用する重合性単量体か、或いは後述する揮発性有機溶媒を使用する場合は、該成分に可溶で、均一な組成物に調整可能なものであれば、公知のものが使用できる。尚、ガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK(JOHN WILEY & SONS)、プラスチックデータブック((工業用調査会)、ゴム・エラストマー活用ノート((株)工業調査会)等に記載されている。また、JIS K7121に従って示差熱分析(DTA)や示差走査熱量測定(DSC)等によって測定することができる。通常は、示差走査熱量測定を用いて、軟質樹脂10mgを計り取り示差走査熱量測定装置にセットし、加熱速度毎分20℃で加熱し、得られたDSC曲線からガラス転移温度を求めることによって測定される。
本発明の歯科用接着材に使用できる軟質樹脂の具体例を挙げれば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、メチルシリコーンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリエトキシエチレン、ポリブトキシエチレン、ポリオキシエチルエチレン、ポリオキシエチリデン、ポリアミノアミド樹脂等が挙げられる。このなかでも、粘着性が強く、コンポジットレジンの付着性により優れる点から、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、およびポリアミノアミド樹脂が好ましい。
本発明の歯科用接着材における、当該軟質樹脂の配合量は、特に制限されるものではないが、重合性単量体を100質量部としたときに、5〜45質量部の範囲であるのが好ましい。この範囲において、コンポジットレジンの接着材面への付着性向上効果が十分に発揮される。また、軟質樹脂の配合量があまり多いと、接着材の歯質への浸透性が低下し接着強度が低下する傾向があるため、その配合量は、上記上限値であるのが好ましい。これらの効果をより良好に発揮させる観点からは、軟質樹脂の上記配合量は、10〜40質量部であるのが特に好ましい。
(C)本発明の歯科用接着材に使用する重合性組成物に用いることができる重合開始剤は、公知の光重合開始剤および化学重合開始剤を使用することができる。また、光重合開始剤と化学重合開始剤を併用し、光重合と化学重合のどちらによっても重合を開始させることの出来るデュアルキュアタイプとすることも可能である。
代表的な光重合開始剤としては、ジアセチル、アセチルベンゾイル、ベンジル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体、ベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体、さらには、アリールボレート化合物/色素/光酸発生剤からなる系が挙げられる。これらの中でも特に好ましいのは、α−ジケトン系の光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系の光重合開始剤、及びアリールボレート化合物/色素/光酸発生剤を組み合わせた系からなる光重合開始剤である。
上記α−ジケトンとしてはカンファーキノン、ベンジルが好ましく、また、アシルホスフォンオキサイドとしては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドが好ましい。なお、これらα−ジケトン及びアシルホスフォンオキサイドは単独でも光重合活性を示すが、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ラウリル、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミン化合物と併用することがより高い活性を得られて好ましい。
また、アリールボレート化合物/色素/光酸発生剤系の光重合開始剤については特開平9−3109号公報等に記されているものが好適に用いられるが、より具体的には、テトラフェニルホウ素ナトリウム塩等のアリールボレート化合物を、色素として3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニルビス(4−シアノ−7−ジエチルアミノクマリン等のクマリン系の色素を、光酸発生剤として、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、またはジフェニルヨードニウム塩化合物を用いたものが特に好適に使用できる。
代表的な化学重合開始剤としては、有機過酸化物及びアミン類の組み合わせ、有機過酸化物類、アミン類及びスルフィン酸塩類の組み合わせ、酸性化合物及びアリールボレート類の組み合わせ、バルビツール酸、アルキルボラン等の化学重合開始剤等が挙げられる。
該化学重合開始剤に使用される各化合物として好適なものを以下に例示すると、有機過酸化物類としては、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、過酸化ジt−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を配合して使用することができる。
アミン類としては、第二級又は第三級アミン類が好ましく、具体的に例示すると、第二級アミンとしてはN−メチルアニリン、N−メチル−p−トルイジン等が挙げられ、第三級アミンとしてはN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル、N,N−ジメチルアンスラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、p−ジメチルアミノスチルベン、N,N−ジメチル−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメチル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2,2’−(n−ブチルイミノ)ジエタノール等が挙げられる。
本発明の重合開始剤はそれぞれ単独で配合するのみならず、必要に応じて複数の種類を組み合わせて配合することもできる。これらの配合量は、重合性単量体を100質量部としたときに、0.01〜10質量部の範囲であるのが好ましい。0.01質量部未満では接着材の硬化性が低下する傾向にあり、逆に10質量部を超えると、接着材の硬化体強度が低下する傾向にある。重合開始剤の上記配合量は、0.1〜8質量部の範囲であるのがより好ましい。
本発明の歯科用接着材に使用する重合性組成物には、保存時の安定性、歯質へ塗布する際の操作性を良好なものにする為に、(D)揮発性有機溶媒が配合される。
該揮発性の有機溶媒としては、室温で揮発性を有すものであれば公知の有機溶媒が何等制限なく使用できる。ここで言う揮発性とは、760mmHgでの沸点が100℃以下であり、且つ20℃における蒸気圧が1.0KPa以上であることを言う。このような揮発性の有機溶媒として具体的に例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−プロパノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;ベンゼン等の芳香族系溶媒;ヘキサン等のハイドロカーボン系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等の塩素系溶媒等が挙げられる。これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能であるが、生体に対する為害性を考慮すると、エタノール、2−プロパノール、酢酸エチル又はアセトンが好ましい。
こうした揮発性有機溶媒の配合量は、重合性単量体を100質量部として、25〜100質量部の範囲であるのが好ましい。25質量部未満の場合には、液の粘度が高すぎて操作性の悪化や歯質への浸透性が低下する傾向がある。また、100質量部を超えると、コンポジットレジンの接着材面への付着性が低下する虞がある他、歯質に塗布してエアブローなどで溶媒を除去した後に残る接着材成分も少なくなり接着強度が低下する傾向がみられる。揮発性有機溶媒の上記配合量は、30〜80質量部であるのが特に好ましい。
本発明の歯科用接着材に使用する(E)水は、酸性基含有重合性単量体と共に歯質脱灰作用を持たせる為に必要である。このように水が含有された接着材では、前記したとおり、コンポジットレジンの当該接着材面への付着性が悪化する問題が顕著に発生するが、本発明の接着材では、前述の(B)ガラス転移温度が270K以下である軟質樹脂成分の配合により、このような問題が良好に改善される。
該水は、保存安定性、生体適合性および接着性に有害な不純物を実質的に含まないことが好ましく、例としては脱イオン水、蒸留水等が挙げられる。その使用量は、通常、重合性単量体を100質量部として、5〜30質量部の範囲であるのが好ましい。5質量部未満の場合には、歯質脱灰作用が十分でなくなりエッチング処理を施さなかった際の接着力が低下する虞が生じる。また、30質量部を超えると、コンポジットレジンの当該接着材面への付着性の改善効果が若干低下する傾向がある。水の上記配合量は、7〜25質量部であるのが特に好ましい。
本発明の歯科用接着材において、特に好適に使用される重合性組成物は、(A)酸性基含有重合性単量体5〜30質量%含む重合性単量体100質量部、(B)ガラス転移温度が270K以下である軟質樹脂5〜45質量部、(C)重合開始剤0.01〜10質量部、(D)揮発性有機溶媒25〜100質量部、および(E)水5〜30質量部を含むものである。
なお、本発明の歯科用接着材には、上記説明した各成分が配合されていればその効果を発現するが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて歯科用接着剤の配合成分として公知の他の成分、例えば、無機充填材、有機充填材、無機−有機複合充填材、紫外線吸収剤、重合禁止剤、重合抑制剤、染料、顔料などが配合されていてもよい。
本発明の歯科用接着材の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の歯科用接着材の製造方法に従って均一な重合性組成物を得ればよく、一般的には、赤色光などの不活性光下に、配合される全成分を秤取り、均一溶液になるまでよく混合すればよい。
本発明の歯科用接着材の使用方法を例示すると、齲蝕部を取り除くなどした被着体となる歯質に、本発明の接着材を塗布、5〜60秒程度放置後にエアブローによって圧縮空気を軽く吹きつけて揮発成分を揮発させ、ついで光重合型の接着材の場合には歯科用照射器を用いて可視光を照射し重合、硬化させればよい。この硬化させた接着材面に、次いで、充填器具を用いてコンポジットレジン等の充填修復材料を着接させるが、前記したとおり本発明の歯科用接着材は、こうしたコンポジットレジンとの付着性が良いため、係る操作を容易に行うことができる。なお、本発明の接着材は、上記の使用方法から明らかなように、前処理不要でも高い接着力が得られる接着材として良好に使用できるが、必要により予め、エッチングやプライミング等の前処理を施してから使用することも可能である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例および比較例で使用した化合物とその略称を(1)に、本発明の歯科用接着材へのコンポジットレジンの充填性の測定方法、及び歯質接着強度測定方法を(2)に示す。
(1)略称及び構造
(A)成分;重合性単量体
(A−1)酸性基含有重合性単量体
PM;2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
MDP;10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MAC−10;11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカンボン酸
(A−2)酸性基を含有していない重合性単量体
BisGMA;ビスフェノールAジグリシジルメタクリレート
3G;トリエチレングリコールジメタクリレートD−2.6E;
HEMA;2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(B)成分;ガラス転移温度270K以下の軟質樹脂
PAA;ポリアミノアミド樹脂(トーマイド210、富士化成工業、ガラス転移温度 184K)
EVA;エチレン−酢酸ビニル共重合体(エバフレックスEV220、三井・デュポンポリケミカル、ガラス転移温度 245K)
SB;スチレン−ブタジエン共重合体(アサプレンT438、旭化成ケミカルズ、ガラス転移温度 195K)
(C)成分;重合開始剤
CQ;カンファーキノン
DMBE;N,N−ジメチルp−安息香酸エチル
TPO;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
その他成分
PVAC;ポリ酢酸ビニル(アルドリッチ、ガラス転移温度 305K)
PSA;ポリ(スチレン−アクリル)共重合体(エスフレックP SE−0020、積水化学工業、ガラス転移温度 336K)
PMM;ポリメチルメタクリレート(MB−C、積水化成品工業、ガラス転移温度 403K)
(2−1)コンポジットレジン充填性測定方法
屠殺後抜歯した牛前歯を、注水下、P600のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質を削り出した。次にこの面に5cmの距離を空けて圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。乾燥させた面に本発明の歯科用接着材を塗布し、20秒放置後、塗布面と5cmの距離から圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。次に、可視光線照射器(トクソーパワーライト、(株)トクヤマデンタル社製)にて10秒間光照射し接着材を硬化させ評価面とした。
歯科用コンポジットレジン(エステライトシグマ、(株)トクヤマデンタル社製)0.05gを充填器具(レジン充填形成器#2、(株)YDM社製)を用いて上記評価面に押し付け、下記評価基準に従って評価した。
<評価基準>
◎;1度押し付けるのみで充填器具から離れ、接着材面に付着する。
○;3回以内の押し付けで充填器具から離れ、接着材面に付着する。
×;充填器具から離れるのに4回以上の押し付けを要するか、或いは離れない。
(2−2)歯質接着強度測定方法
屠殺後抜歯した牛前歯を、往水下、P600のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質を削り出した。次にこの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この平面に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、ついで厚さ0.5mm、直径8mmの孔の開いたパラフィンワックスを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩洞を形成した。
次で、本発明の歯科用接着材を塗布し、20秒放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。次に、可視光線照射器(トクソーパワーライト、(株)トクヤマデンタル社製)にて10秒間光照射し接着材を硬化させた。更にその上に歯科用コンポジットレジン(エステライトシグマ、(株)トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して接着試験片を作製した。上記接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード2mm/minにて引張り、歯牙とコンポジットレジンの引張り接着強度を測定した。1試験当り、4本の引張り接着強さを上記方法で測定し、その平均値を接着強度とした。
(2−3)ガラス転移温度の測定方法
試料10mgを示差走査熱測定装置(EXTAR6000DSC/SII社製)にセットし、毎分20℃で加熱し吸熱曲線を求め、この吸熱曲線から定法に従ってガラス転移温度を求めた。即ち、発熱量(吸熱量)の変化する前後のベースラインから各々の延長線を引き、Y軸方向の距離がこの両直線から等しい直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点をガラス転移温度とした。
実施例1
(A)成分として2gのPM、3gのBisGMA、3gの3Gおよび2gのHEMA、(B)成分として0.7gのPAA、(C)成分として0.1gのCQと0.1gのDMBE、(D)成分として5gのアセトン、及び(E)成分として1gの水を量り取り、均一に混合して歯科用接着材を調製した。該接着材を用いて、(2−1)および(2−2)に示した方法に従って、コンポジットレジンの充填性および歯質接着強度を測定した。結果を表2に示すが、コンポジットレジンの付着性は良好であり、また歯質に対する接着強度も高い値であった。
実施例2〜14
実施例1の方法に準じて接着材を調製し評価を行った。接着材の組成を表1に、評価結果を表2に示す。いずれも良好な結果が得られた。
Figure 2008024668
Figure 2008024668
比較例1〜8
実施例の1の方法に準じて接着材を調製した。該接着材を用いて、(2−1)および(2−2)に示した方法に従って、コンポジットレジンの充填性および歯質接着強度を測定した。組成を表3、評価結果を表4に示す。
比較例1は軟質樹脂が配合されていないためコンポジットレジンの付着性は良くなかった。比較例2〜4はガラス転移温度が270Kよりも高い樹脂を配合した例であるが、これらの場合にも良好なコンポジットレジン付着性は得られなかった。比較例5は重合開始剤が配合されておらず接着材が硬化しなかった。比較例6、7は酸性基含有重合性単量体または水が配合されていない例であるが、これらは歯質に対するエッチング効果がないために高い接着力は得られなかった。比較例8は軟質樹脂及び水の両者が配合されていない例である。軟質樹脂を配合しなくてもコンポジットレジンの付着性は悪くはないが、これは水を含んでいないためと推測される。しかし、水を含んでいないために、前処理を施さないような本実施例では歯質に対する接着力は低かった。比較例9は、有機溶媒が配合されていないため、歯質に対する浸透性が不足し高い接着力は得られなかった。
Figure 2008024668
Figure 2008024668

Claims (3)

  1. (A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体、(B)ガラス転移温度が270K以下である軟質樹脂、(C)重合開始剤、(D)揮発性有機溶媒、および(E)水を含む重合性組成物からなる歯科用接着材。
  2. ガラス転移温度が270K以下である軟質樹脂が、スチレンブタジエン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミノアミド樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の歯科用接着材。
  3. 重合性組成物が、(A)酸性基含有重合性単量体5〜30質量%を含む重合性単量体100質量部、(B)ガラス転移温度が270K以下である軟質樹脂5〜45質量部、(C)重合開始剤0.01〜10質量部、(D)揮発性有機溶媒25〜100質量部、および(E)水5〜30質量部を含むものである請求項1または請求項2記載の歯科用接着材。
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