JP2008024554A - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】単結晶の基板に含まれる転位が、基板上の成長層へ伝播することを抑えることができ、また成長層での新たな転位の発生を抑制することができる単結晶の製造方法を提供すること。
【解決手段】単結晶の表面にアルカリエッチングによってエッチピットを形成する工程と、前記エッチピットを形成した表面に、熱酸化処理により酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜上に保護膜を形成する工程と、前記エッチピット外部の保護膜及び酸化膜を除去する工程と、前記保護膜を形成した面に、単結晶を成長させる工程と、を有する単結晶の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、単結晶の製造方法に関する。
これまで単結晶の形成方法の1つとして、昇華再析出法などを適用して種結晶面上に単結晶を成長させる方法が用いられてきたが、単結晶を成長させるときに種結晶表面に転位が存在すると、種結晶上の成長層にも転位が伝播し、その結果、成長層の表面欠陥が多くなるという問題があった。
この問題を解決するため、成長層への転位の伝播を抑制する方法が幾つか報告されている。例えば、窒化物半導体については、基板上に第1の窒化物半導体層を成長させた後、エッチングにより第1の窒化物半導体層に生じた転位部にエッチピットを形成し、該エッチピット内に保護膜を設け、第2の窒化物半導体層を成長させてエッチピットを埋め込むことによって、転位の伝播を防ぎ、第2の窒化物半導体中の転位を低減させる成長方法が提示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法は、転位部分の結晶性が低いことに着目し、転位部分が選択的にエッチングされてエッチピットを形成することを利用したものであり、形成されたエッチピット内部を保護膜で埋め込むことで、複数の転位が第2の窒化物半導体層へ伝播するのを防ぐことができるというものである。
特開2003−142414号公報
しかしながら、上記の方法では、形成したエッチピットから新たな転位が発生してしまうことが明らかとなった。この原因の詳細は明らかとなっていないが、エッチピットの形状に起因するのではないかと推測される。エッチングでは、結晶の障壁面が優先的に削られて露出するために、形成されたエッチピットの端部は鋭く角張っているので、このエッチピットの鋭角な端部を起点として、新たな転位が発生しているのではないかと思われる。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、単結晶の基板に含まれる転位が、基板上の成長層へ伝播するのを抑え、エッチピット端部から新たな転位が発生するのを抑制できる単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、第1の単結晶の表面にアルカリエッチングによってエッチピットを形成する工程と、前記エッチピットを形成した表面に、熱酸化処理により酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜上に保護膜を形成する工程と、前記エッチピット外部の保護膜及び酸化膜を除去する工程と、前記保護膜を形成した面に、第2の単結晶を成長させる工程と、を有する単結晶の製造方法である。
単結晶基板の転位部分では、エッチピットが選択的に形成される。この形成されたエッチピット内部を保護膜で埋めることで、エッチピット形成面が平坦となり、且つ転位の存在しない面を得ることができる。この面上に単結晶を成長させれば、基板の転位の伝播が抑えられると期待される。
しかしながら、アルカリエッチングでは結晶の障壁面を優先的に削り取るため、形成したエッチピットの端部は鋭く角張った形状となっている。この上にそのまま保護膜や成長層を形成すると、この鋭角なエッチピット端部を起点として新たな転位が発生してしまうことが明らかとなった。
そこで、請求項1に記載の発明では、エッチピットを形成した後、熱酸化処理を施して、新たな転位を発生させ得るエッチピットの端部の角を丸めることで、その上に形成する成長層での新たな転位の発生を抑制する。
したがって、請求項1に記載の発明によれば、炭化珪素単結晶の基板に含まれる転位が、その上で成長し形成される成長層へ伝播することを抑えることができる。また、エッチピット端部から新たな転位が発生するのを抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、前記保護膜及び酸化膜を除去する工程の後であって、前記第2の単結晶を成長させる工程の前に、高温アニール処理の工程を有することを特徴とする請求項1に記載の単結晶の製造方法である。
エッチピット内に形成された保護膜に高温アニール処理を施すと、保護膜中の内部ひずみが緩和される。その結果、保護膜上に結晶を成長させる工程において、成長結晶の内部ひずみを低減することができる。
請求項3に記載の発明は、前記保護膜及び酸化膜を除去する工程では、異方性ドライエッチングによって保護膜を除去することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶の製造方法である。
保護膜の除去方法として異方性ドライエッチングを用いると、異方性であるがゆえに、エッチング後の面状が平坦となり、エッチピットが存在する部分と存在しない部分での高低差を生じさせない。
また、除去後の面が粗いと、凹凸を起点とした新たな転位を発生させるが、ドライエッチングの場合には、条件設定によってエッチング面を平滑にすることができるため、新たな転位を発生させ難い。
請求項4に記載の発明は、前記第1の単結晶が、炭化珪素又は珪素の単結晶であり、前記第2の単結晶が、炭化珪素、珪素、又は窒化ガリウムの単結晶であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の単結晶の製造方法である。
本発明の単結晶の製造方法では、エッチピットの鋭く尖った端部を熱酸化処理によって丸めて、エッチピット端部からの新たな転位の発生を抑える。そのため、熱酸化処理によってエッチピット端部を丸めることのできる単結晶材料に対しては、本発明の方法は極めて有益である。
このような第1の単結晶材料は、炭化珪素又は珪素、第2の単結晶は、炭化珪素、珪素、又は窒化ガリウムである。
本発明によれば、単結晶の基板に含まれる転位が、その上で成長し形成する成長層へ伝播することを抑えることができ、また成長層での新たな転位の発生を抑制することができる。
<製造方法>
本発明の単結晶の製造方法は、第1の単結晶の表面にアルカリエッチングによってエッチピットを形成する工程と、前記エッチピットを形成した表面に、熱酸化処理により酸化膜を形成する工程と、前記酸化膜上に保護膜を形成する工程と、前記エッチピット外部の保護膜及び酸化膜を除去する工程と、前記保護膜を形成した面に、第2の単結晶を成長させる工程と、を有する単結晶の製造方法である。
好ましくは、更に、前記保護膜及び酸化膜を除去する工程の後に、高温アニール処理工程を備える方法である。
以下、図1を参照しながら、本発明の単結晶の製造方法を説明する。
−エッチピット形成工程−
図1(A)に示すように、転位10を含む第1の単結晶の基板12の表面に、アルカリエッチングを施し、エッチピット14を形成する。基板の転位部は結晶性が低いために選択的にエッチングされるので、エッチピット14が形成される。
なお、図1に示す結晶面はオフ角を有していないが、本発明ではオフ角度を有していてもよい。
後述する工程において、第1の単結晶の基板12表面から第2の単結晶をホモエピ成長させる場合、第2の単結晶は、種結晶となる第1の単結晶から成長するので、第1の単結晶の基板12が広く露出していることが望ましく、エッチピット径はできるだけ小さくすることが好ましい。具体的には、エッチピット径は1μm以下であることが好ましい。
ホモエピ成長する単結晶物質としては、例えば、炭化珪素、珪素、などを挙げることができる。
一方、異種材料の上で第2の単結晶を成長させる結晶の場合には、基板物質と成長させる単結晶物質との間では格子定数の違いが大きく、また転位源となる箇所が非常に多い。そのため、エッチピット径をできるだけ大きくし、転位を埋め込むエッチピット部分を広くする必要がある。具体的には、エッチピット径は、0.5μm〜5μmであることが好ましい。
このような単結晶物質としては、炭化珪素、窒化ガリウムなどを挙げることができる。
また、アルカリエッチングされた第1の単結晶の基板12表面は、荒れが小さいことが望ましい。荒れによる表面の凹凸は、新たな転位の起点となり得る。このため、アルカリエッチングの条件は、低温で、且つ短時間であることが好ましい。
例えば、炭化珪素単結晶を溶融した水酸化カリウムでエッチングする場合には、420℃〜490℃程度で行うことが好ましい。珪素単結晶を水酸化カリウム水溶液でエッチングする場合には、20℃〜100℃程度で行うことが好ましい。
エッチングの時間は、所望のエッチピット径に合わせて、また単結晶の種類やエッチング温度などの条件に応じて、適宜調節することが好ましい。
また、アルカリに浸漬した後は、超純水で充分に洗浄し、乾燥する。
−熱酸化処理工程−
図1(B)に示すように、エッチピット形成工程によってエッチピット14を形成した表面に熱酸化処理を施し、酸化膜16を形成する。アルカリエッチングによって形成したエッチピット14の鋭く角張った端部は、第2の単結晶を成長させるときに新たな転位を発生させ得るが、熱酸化処理を施すことによってエッチピット14の端部の角を丸めることができ、第2の単結晶の成長時に新たな転位の発生を抑えることができる。
熱酸化処理により形成した酸化膜16の膜厚は、エッチピット14端部の角が丸められる程度であればよいので、一概に規定することはできないが、概ね20nm〜200nm程度である。
熱酸化処理は、熱酸化炉などによって実施することができる。熱酸化処理の温度や時間などの処理条件は特に限定されず、エッチピット14端部が丸められるよう、適宜調節することが好ましい。
なお、本発明は、エッチピット14端部の角を熱酸化処理によって丸めることのできる単結晶材料の場合に適する。
このような単結晶材料としては、炭化珪素単結晶、珪素単結晶、などを挙げることができる。
−保護膜形成工程−
図1(C)に示すように、熱酸化処理により形成した酸化膜16上に、保護膜18を形成する。
保護膜18の種類は、SiO、Si、W、Mo、アモルファスSiCなどを適用することができる。WやMoなどの金属からなる保護膜の場合、得られた単結晶に電流を流した際に、発熱や抵抗が低くなるため好ましい。SiO、Si、アモルファスSiCからなる保護膜の場合には、第2の単結晶成長時に、保護膜からの拡散や蒸発が起こり難く、不純物の少ない高品質な単結晶が成長できるため好適である。
また、保護膜18は、これら物質の複数種からなる多層膜であってもよく、多層膜とすることでエッチピット内の保護膜の剥離を抑えることができる。
保護膜18の製膜方法は、スパッタ法や、CVD法、蒸着法、スピンオングラス(湿式塗布)法などを用いることができる。保護膜18の製膜は、ステップカバレッジが良好となる条件で行うことが望ましく、製膜後の表面ができる限り平坦に近いことが好ましい。
エッチピット14によって形成された空間(エッチピット内部)を保護膜18で埋め込むために、保護膜の厚さは、少なくともエッチピット14の深さよりも厚くする。
−膜除去工程−
図1(D)に示すように、前記エッチピット外部の保護膜18及び酸化膜16を除去する。
エッチピット内部のみに保護膜18及び酸化膜16を残し、それ以外の部分については、第1の単結晶基板12の表面が表出するまで、保護膜18及び酸化膜16を除去する。本発明においてエッチピット外部とは、エッチピット14の窪みによって形成される空間以外の部分をいう。なお、保護膜及び酸化膜を除去した後の状態において、エッチピット14の底部にある結晶転位部分が保護膜18及び酸化膜16で覆われていて、且つエッチピット形成面が平坦となるのであれば、エッチピット外部だけでなく、エッチピット内部にある保護膜18及び酸化膜16の一部を除去してもよい。
このようにエッチピット内部を保護膜18で埋め込むことで、エッチピット形成面が平坦となるので、表面の段差による転位の発生を防ぐことができる。
エッチピット外部の保護膜18及び酸化膜16の除去方法としては、ドライエッチング、ウエットエッチング、研磨、研削、ブラスト加工、エキシマレーザの照射などを適用することができる。
この中でも、ICPやRIEなどの異方性ドライエッチングを適用すると、エッチング後の基板面状が平坦となるため好適である。また、除去後の基板表面が粗いと、凹凸を起点とした新たな転位を発生させるので、ドライエッチングの条件を適宜調節し、エッチング面を平滑にすることが望ましい。
エッチング条件は、第1の単結晶に対する保護膜のエッチング選択比(保護膜/第1の単結晶)ができる限り大きくなるように、適宜調節することが望ましい。
例えば、SiO/SiCエッチング選択比を高くするためには、CHFガスを用い、圧力、バイアス電圧などの条件を調節することが好ましい。保護膜としてアモルファスSiC膜を堆積した場合には、SFガスを用いることが好適である。
以降の工程で、第1の単結晶を種結晶として第2の単結晶を成長させるため、この工程において保護膜18及び酸化膜16を除去する際には、エッチピット外部では第1の単結晶の基板12表面が表出するようにしなければならない。加えて、エッチピット形成面が平坦となるよう、エッチピット内部には保護膜18が残っているように、保護膜18及び酸化膜16を除去しなければならない。
−高温アニール処理工程−
膜除去工程の後に、高温アニール処理を行ってもよい。エッチピット内に形成された保護膜に高温アニール処理を施すと、保護膜18中の内部ひずみが緩和されるので、第2の単結晶を成長させる際に、成長結晶の内部ひずみを低減することができる。
アニール処理温度は、保護膜18の種類に応じて適宜調節することが望ましく、例えば、アモルファスSiCを保護膜18に用いたときには、1400℃〜1700℃であり、SiOを用いたときには1000℃〜1300℃であり、Wを用いたときには1000℃〜1300℃である。
アニール処理時間は、アニール処理温度や保護膜18の種類に応じて、保護膜18中の内部ひずみが緩和され、残留する不純物が除去されるよう、適宜調節することが望ましい。
アニール処理は、還元ガス又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
−単結晶成長工程−
図1(E)に示すように、第1の単結晶基板12の前記保護膜18を形成した面に、第2の単結晶を成長させて成長層20を形成する。本発明では、第1の単結晶基板12表面にまで達した転位10部分にはエッチピット14を形成しているため、第2の単結晶を成長させる際には第1の単結晶基板12表面には転位10が存在せず、その結果、成長層20への転位の伝播を抑えることができる。
また、エッチピット内部は保護膜18で埋められているので、エッチピット形成面は平坦であり、表面の段差による転位の発生を防ぐことができる。
更に、エッチピット14の鋭く角張った部分は、熱酸化処理によって丸められているので、第2の単結晶を成長させる際にエッチピット14からの新たな転位の発生を抑えることができる。
第2の単結晶の成長方法は特に制限されず、昇華法など全ての結晶成長法を適用することができる。いずれの結晶成長法を採用しても、本発明によれば、転位の少ない高品質な単結晶を得ることができる。
−その他の工程−
本発明の単結晶の製造方法では、適宜、その他の工程を加えてもよい。
例えば、更に、本発明によって得られた第2の単結晶(成長層20)を新たな種結晶として、第3の単結晶を作製することができる。第2の単結晶を種結晶とすると、転位の少ない結晶を種結晶に用いることができるので、いずれの結晶成長法を適用しても、高品質な結晶を得ることができる。
第2の単結晶(成長層20)を種結晶として新たな第3の単結晶を作製する場合、上記第2の単結晶表面をそのまま用いて新たな第3の単結晶を作製してもよいし、上記第2の単結晶を切断して新たな結晶面を表出させて、この面から第3の単結晶を作製してもよい。
加えて、第2の単結晶(成長層20)を新たな種結晶として第3の単結晶を作製する際に、本発明の方法を適用すると、つまり、第2の単結晶に転位が存在する場合、その転位部分にエッチピットを形成して、その後、熱酸化処理、保護膜形成、エッチピット外部の保護膜及び酸化膜の除去、を行ってから、第3の単結晶を成長させると、成長させた単結晶において転位の数を更に低減することができる。したがって、本発明の方法を複数回繰り返すことにより、転位をより低減させることができる。
<用途>
本発明の単結晶の製造方法によって得られた単結晶は、転位が少なく高品質であるため、この単結晶を半導体素子に適用すると、欠陥の少ない半導体素子となる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
実施例1は、SiC基板にSiCをエピタキシャル成長させる場合である。使用したSiC基板は、n型4H−SiCで、8°のオフ角を有する(0001)面の2インチウェハである。
<アルカリエッチング>
溶融KOHに上記SiC基板を470℃で30秒間浸漬し、エッチングを行い、エッチピットを形成した。浸漬後、超純水で充分に超音波洗浄し、乾燥した。形成した貫通らせん転位のエッチピット径をノマルスキー型光学顕微鏡で確認したところ、約1μmであった。
<熱酸化処理>
引き続き、熱酸化炉にて、1200℃で2時間、ドライ酸化で熱酸化処理を行った。
処理後の酸化膜の厚さをエリプソメトリによって測定したところ、85nmであった。
<保護膜形成>
プラズマCVD法により、酸化膜の上にSiO膜を堆積し、保護膜を形成した。原料として、テトラエトキシシラン(Si(OC)を用いた。保護膜の膜厚は、約2μmであった。
<表面層の除去>
融合結合型(ICP)プラズマエッチングにより、表面層を除去した。SiO/SiCエッチング選択比を高くするために、エッチングにはCHFガスを用いた。以下のエッチング条件で行った。
・圧力:1Pa
・バイアス電圧:50W
・ステージ温度:常温(20℃)
このとき、SiOエッチング速度は170nm/分で、SiO/SiCエッチング選択比は10であった。
上記条件下で、13分間エッチングを行い、エッチピット外部に形成したSiO膜(熱酸化処理により形成したSiO膜(酸化膜)およびプラズマCVD法により形成したSiO膜(保護膜))を除去した。
<エピタキシャル成長>
エッチピット形成面側(アルカリエッチングを施した面側)のSiC基板表面に、熱CVDによってSiCをエピタキシャル成長させた。条件は以下の通りである。
・成長圧力:11kPa
・温度:1450℃
・キャリアガス:水素
・原料ガス:SiH、C
成長速度は2μm/hrであり、5時間行った。
<評価>
エピタキシャル成長後の表面に、溶融KOHエッチングを施し、エッチピットの密度を確認した。転位が多く存在すれば、エッチピットの密度が高くなる。
実施例1で得られたエピタキシャル成長後の表面は、2インチウェハ内で、6×10個/cmのエッチピット密度であった。
[実施例2]
実施例1と同様のSiC基板を用い、実施例1と同様の方法で、アルカリエッチング及び熱酸化処理を行った。
<保護膜形成>
プラズマCVD法により、酸化膜の上にアモルファスSiC膜を堆積し、保護膜を形成した。原料として、SiHとCHを用いた。保護膜の膜厚は、約2μmであった。
<表面層の除去>
融合結合型(ICP)プラズマエッチングにより、表面層を除去した。エッチングにはSFガスを用いた。エッチングは以下の条件で行った。
・圧力:0.1Pa
・バイアス電圧:50W
・ステージ温度:常温(20℃)
このとき、アモルファスSiCのエッチング速度は150nm/分であった。
上記条件下で、15分間エッチングを行い、エッチピット外部の、アモルファスSiC膜と熱酸化処理により形成したSiO膜を除去した。
その後、Ar常圧雰囲気下で、1600℃、5分間、アニール処理を施した。
<エピタキシャル成長>
エッチピット形成面側(アルカリエッチングを施した面側)のSiC基板表面に、熱CVDによってSiCをエピタキシャル成長させた。条件は以下の通りである。
・成長圧力:11kPa
・温度:1500℃
・キャリアガス:水素
・原料ガス:SiH、C
成長速度は3μm/hrであり、5時間行った。
<評価>
実施例1と同様の方法で評価したところ、2インチウェハ内で、5×10個/cmのエッチピット密度であった。
[比較例1]
実施例1と同様のSiC基板を用いて、但し、アルカリエッチング、熱酸化処理、保護膜形成、表面層の除去、の工程を行わずに、SiCを直接エピタキシャル成長させた。エピタキシャル成長の条件は、実施例1と同様である。
実施例1と同様の方法によって評価したところ、2インチウェハ内で、1×10個/cmのエッチピット密度であった。
[比較例2]
実施例1と同様の方法で、但し、熱酸化処理の工程を行わずに、アルカリエッチング、保護膜形成、表面層の除去を行って、SiCをエピタキシャル成長させた。
実施例1と同様の方法によって評価したところ、2インチウェハ内で、2×10個/cmのエッチピット密度であった。
本発明の単結晶の製造方法の工程を説明する図であり、(A)はエッチピット形成、(B)は熱酸化処理、(C)は保護膜形成、(D)は膜除去、(E)は単結晶成長の工程を示す。
符号の説明
10 転位
12 第1の単結晶基板
14 エッチピット
16 酸化膜
18 保護膜
20 成長層(第2の単結晶)

Claims (4)

  1. 第1の単結晶の表面にアルカリエッチングによってエッチピットを形成する工程と、
    前記エッチピットを形成した表面に、熱酸化処理により酸化膜を形成する工程と、
    前記酸化膜上に保護膜を形成する工程と、
    前記エッチピット外部の保護膜及び酸化膜を除去する工程と、
    前記保護膜を形成した面に、第2の単結晶を成長させる工程と、
    を有する単結晶の製造方法。
  2. 前記保護膜及び酸化膜を除去する工程の後であって、前記第2の単結晶を成長させる工程の前に、高温アニール処理の工程を有することを特徴とする請求項1に記載の単結晶の製造方法。
  3. 前記保護膜及び酸化膜を除去する工程では、異方性ドライエッチングによって保護膜を除去することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶の製造方法。
  4. 前記第1の単結晶が、炭化珪素又は珪素の単結晶であり、前記第2の単結晶が、炭化珪素、珪素、又は窒化ガリウムの単結晶であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の単結晶の製造方法。
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