JP2008023874A - 未加硫ゴム組成物の製造方法,シール材の製造方法及び未加硫ゴム組成物の製造装置 - Google Patents

未加硫ゴム組成物の製造方法,シール材の製造方法及び未加硫ゴム組成物の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法精度の高い未加硫ゴム組成物を製造することを可能とする未加硫ゴム組成物の製造方法,シール材の製造方法及び未加硫ゴム組成物の製造装置を提供する。
【解決手段】一定断面を有する中実の未加硫ゴム組成物10を製造する製造方法であって、押出成形により内層11を成形する工程と、内層11を冷却によって硬化させる工程と、硬化された内層11に対して重ねるように、押出成形によって外層12を成形する工程と、外層12を冷却によって硬化させる工程と、を備え、複数の層からなる未加硫ゴム組成物10を製造することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の層からなる未加硫ゴム組成物を製造する未加硫ゴム組成物の製造方法,当該製造方法により製造された未加硫ゴム組成物からシール材を製造するシール材の製造方法及び未加硫ゴム組成物の製造装置に関するものである。
例えば積層パイプのように、複数層からなる熱可塑性の樹脂成形品を製造する方法として、多層共押出しによる成形方法が知られている(特許文献1参照)。これは、ダイ内部において異なる樹脂材料を合流させることによって、複数層からなる樹脂成形品を製造する方法である。
この方法の場合、合流する各樹脂材料の粘度差や肉厚差が大きいと、材料同士の相互作用の影響により、界面あれが発生し易い。そのため、内層側の樹脂成形部分の寸法精度が低いばかりか、外層側の樹脂成形部分の寸法精度も低くなってしまうという難点がある。
そして、複数の層からなる未加硫ゴム組成物を製造する場合に、上記の成形方法を用いることも考えられ得るが、この場合にも、同様の理由により寸法精度を高くすることができないという問題がある。従って、このような製法によって製造された未加硫ゴム組成物を用いてシール製品を製造した場合には、シール性が低くなってしまい、品質の高いシール製品を得ることができない。
特開昭56−155727号公報
本発明の目的は、寸法精度の高い未加硫ゴム組成物を製造することを可能とする未加硫ゴム組成物の製造方法,シール材の製造方法及び未加硫ゴム組成物の製造装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明の未加硫ゴム組成物の製造方法は、
一定断面を有する中実の未加硫ゴム組成物を製造する製造方法であって、
押出成形により第1未加硫ゴム組成物を成形する工程と、
第1未加硫ゴム組成物を冷却によって硬化させる工程と、
硬化された第1未加硫ゴム組成物に対して重ねるように、押出成形によって第2未加硫ゴム組成物を成形する工程と、
第2未加硫ゴム組成物を冷却によって硬化させる工程と、
を備え、複数の層からなる未加硫ゴム組成物を製造することを特徴とする。
この製造方法によれば、第1未加硫ゴム組成物が冷却により硬化された後に、第2未加硫ゴム組成物が第1未加硫ゴム組成物に重なるように成形される。これにより、第1未加硫ゴム組成物と第2未加硫ゴム組成物の材料同士の相互作用を抑制できる。従って、第1未加硫ゴム組成物の部分の寸法精度、及び第2未加硫ゴム組成物の部分の寸法精度のいずれをも高くすることができる。
また、冷却によって硬化された未加硫ゴム組成物に対して重ねるように、押出成形によって次の未加硫ゴム組成物を成形する工程を繰り返すことによって、3層以上の未加硫ゴム組成物を製造することもできる。
更に、押出成形時に押出成形の成形型を加熱制御すると好適である。
これにより、成形直後における加硫ゴム組成物の応力緩和を制御でき、ダイスウェリングによる径の拡大量を調整できる。従って、加熱制御及び引取り速度によって未加硫ゴム組成物の寸法を簡単に制御できる。また、これに伴い、寸法精度をより高くすることができる。
また、本発明のシール材の製造方法は、上記の未加硫ゴム組成物の製造方法により製造された未加硫ゴム組成物を加硫することによって、シール材を製造することを特徴とする。
これにより、寸法精度の高い未加硫ゴム組成物を加硫することでシール材が得られるので、シール材の寸法精度も高くなる。
また、本発明の未加硫ゴム組成物の製造装置は、
一定断面を有する中実の未加硫ゴム組成物を製造する製造装置において、
第1未加硫ゴム組成物を成形する第1段押出機と、
第1段押出機によって成形された第1未加硫ゴム組成物を冷却により硬化させる第1冷却機と、
第1冷却機によって硬化された第1未加硫ゴム組成物に対して重ねるように第2未加硫ゴム組成物を成形する第2段押出機と、
第2段押出機によって成形された第2未加硫ゴム組成物を冷却により硬化させる第2冷却機と、
少なくとも第1段押出機によって押し出す位置から第2冷却機によって冷却する位置まで、未加硫ゴム組成物が直線状になるように、第1未加硫ゴム組成物と第2未加硫ゴム組成物を含む複数の層からなる未加硫ゴム組成物を引き取る引取りと、
を備えることを特徴とする。
この製造装置によれば、第1未加硫ゴム組成物が冷却により硬化された後に、第2未加硫ゴム組成物が第1未加硫ゴム組成物に重なるように成形される。これにより、第1未加硫ゴム組成物と第2未加硫ゴム組成物の材料同士の相互作用を抑制できる。従って、第1未加硫ゴム組成物の部分の寸法精度、及び第2未加硫ゴム組成物の部分の寸法精度のいずれをも高くすることができる。
また、第2段押出機はクロスヘッド方式の押出機であるとよい。
また、第2段押出機におけるクロスヘッドの内部には、第1冷却機によって硬化された第1未加硫ゴム組成物が通る貫通孔を有する中間ニップルが設けられているとよい。
第2冷却機と引取りとの間に、押出機と冷却機からなる組が1組以上備えられることによって、3層以上の未加硫ゴム組成物を製造することも好適である。
また、各押出機には、成形型を加熱制御する加熱装置が設けられているとよい。
このようにすれば、加熱装置により加熱制御を行うことにより、成形直後における加硫ゴム組成物の応力緩和を制御でき、ダイスウェリングによる径の拡大量を調整できる。従
って、加熱制御及び引取り速度によって未加硫ゴム組成物の寸法を簡単に制御できる。また、これに伴い、寸法精度をより高くすることができる。
そして、前記加熱装置は、誘導加熱方式による加熱装置であるとよい。
これにより、所望の箇所を局所的に加熱することができ、温度精度も高くすることができる。
また、製造される未加硫ゴム組成物が、加硫されることでシール材となる中間製品であるとよい。
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
以上説明したように、本発明によれば、寸法精度の高い未加硫ゴム組成物を製造することができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係る未加硫ゴム組成物の製造方法及び製造装置について説明する。図1は本発明の実施例1に係る未加硫ゴム組成物の製造装置の概略構成図である。図2は本発明の実施例1に係る製造装置により製造される未加硫ゴム組成物の外観図である。
本実施例に係る製造装置100は、例えば、加硫することによってシール材を製造するための中間製品である未加硫ゴム組成物10を製造するためのものである。
<未加硫ゴム組成物>
本実施例に係る製造方法及び製造装置100により製造される未加硫ゴム組成物10について説明する。本実施例に係る製造方法及び製造装置100により製造される未加硫ゴム組成物10は、一定断面を有する中実のものであり、長細い紐状のものである。また、未加硫ゴム組成物10の断面形状は、本実施例では円形である。ただし、本実施例に係る製造装置100によれば、当該断面形状が、楕円形,多角形,星型など、各種の形状のものを製造するのに応用することもできる。
また、未加硫ゴム組成物10は2層構造となっている。すなわち、この未加硫ゴム組成物10は、断面が円形の内層11と、この内層11の外周を覆うように、かつ内層11と同心的に設けられる断面がリング状の外層12とから構成される。これら内層11と外層12の材料は異なるものが用いられる。なお、内層11は第1未加硫ゴム組成物に相当し、外層12は第2未加硫ゴム組成物に相当する。
<製造装置>
特に図1を参照して、本実施例に係る製造装置100について説明する。製造装置100は、内層11を成形する第1段押出機111と、第1段押出機111に設けられる第1ダイ121と、第1段押出機111によって成形された内層11を冷却する第1冷却機1
31と、外層12を成形する第2段押出機112と、第2段押出機112に設けられる第2ダイ122と、第2段押出機112によって成形された外層12を冷却する第2冷却機132と、未加硫ゴム組成物10を引き取る引取り140とを備えている。
第1段押出機111は、シリンダ内に設けられ材料を送るためのスクリュ、及びシリンダの外側に設けられ材料を溶融するためのヒータなどから構成される。この第1段押出機111自体については、一般的な押出機と同様であるので、その詳細な説明は省略する。第1ダイ121は、第1段押出機111のスクリュの先端側に設けられている。この第1ダイ121によって、スクリュにより送り出された溶融状態にあるゴム材料の形状を整え、内層11を成形する。すなわち、第1ダイ121には、成形する内層11の外径と略同径の貫通孔が設けられており、溶融状態にあるゴム材料がこの貫通孔を通ることによって断面が円形の内層11が成形される。
第2段押出機112は、クロスヘッド方式の押出機である。すなわち、第2段押出機112の場合には、第1段押出機111と同様の構成部を有し、かつ、スクリュの先端側にクロスヘッド112aが設けられている。また、クロスヘッド112aの内部には、紐状の未加硫ゴム組成物である内層11が通る貫通孔を有する中間ニップル112bが設けられている。そして、クロスヘッド112aの先端側に第2ダイ122が設けられている。この第2ダイ122によって、溶融状態にあるゴム材料の形状を整え、内層11に重ねるようにして外層12を成形する。すなわち、第2ダイ122には、成形する外層12の外径と略同径の貫通孔が設けられており、溶融状態にあるゴム材料が、この貫通孔と内層11との間の隙間を通ることによって断面がリング状の外層12が成形される。
第1冷却機131と第2冷却機132は、いずれも、槽内を低温に保つことのできる冷却槽を備えている。これら第1冷却機131及び第2冷却機132によって、軟化状態にある未加硫ゴム組成物を冷却により硬化させることができる。
引取り140は、第1段押出機111によって押し出す位置から第2冷却機132によって冷却する位置まで、内層11及び未加硫ゴム組成物10が直線状になるように、未加硫ゴム組成物10を引き取る。なお、引取り140によって引き取られた未加硫ゴム組成物10は、例えば、引取り140よりも下流側に設けられる不図示の巻き取り機によって巻き取られる。
<製造方法>
上述した製造装置100による製造方法を説明する。
第1段押出機111に内層11の材料(未加硫ゴム組成物の素材)を入れると、スクリュの回転に伴って材料は搬送される。搬送の過程で、ヒータによる加熱によって、材料は可塑化され、更に溶融状態になる。そして、第1ダイ121によって、溶融状態にある材料の形が整えられて内層11が連続的に成形される。ここで、第1段押出機111による加熱温度は、未加硫ゴム組成物である内層11がスコーチを開始しない温度(本実施例では70℃)に設定している。
第1ダイ121から押し出される内層11は、第1ダイ121から第1冷却機131に送られる過程で、空冷及び第1冷却機131によって冷却される。この過程で、内層11は、溶融状態から軟化状態になり、第1冷却機131から送り出される際には硬化した状態になる。
硬化した内層11は、第2段押出機112における中間ニップル112bに設けられた貫通孔を通っていく。一方、第2段押出機112に外層12の材料(未加硫ゴム組成物の
素材)を入れると、スクリュの回転に伴って材料は搬送される。搬送の過程で、ヒータによる加熱によって、材料は可塑化され、更に溶融状態になる。そして、溶融状態にある材料は、クロスヘッド112aに送られ、更に、中間ニップル112bの先端から送り出される内層11の外周面側に送られる。そして、この溶融状態にある材料が、第2ダイ122の貫通孔と内層11との間の隙間によって形が整えられて、外層12が連続的に成形される。ここで、第2段押出機112による加熱温度は、未加硫ゴム組成物である外層12がスコーチを開始しない温度(本実施例では70℃)に設定している。
外層12は、第2ダイ122から第2冷却機132に送られる過程で、空冷及び第2冷却機132によって冷却される。この過程で、外層12は、溶融状態から軟化状態になり、第2冷却機132から送り出される際には硬化した状態になる。
このように、内層11と、内層11に重ねるように成形された外層12とからなる未加硫ゴム組成物10が得られ、未加硫ゴム組成物10は引取り140によって引き取られる。
<本実施例の優れた点>
本実施例に係る製造方法及び製造装置100によれば、内層11が冷却により硬化された後に、外層12が内層11に重なるように成形される。これにより、内層11と外層12の材料同士の相互作用を抑制でき、内層11の部分の寸法精度、及び外層12の部分の寸法精度を高くすることができる。従って、寸法精度の高い未加硫ゴム組成物10を製造することができる。
また、このように製造された未加硫ゴム組成物10を加硫することによって最終製品を製造する場合においても、未加硫ゴム組成物10の寸法精度が高いことから最終製品の寸法精度も高くすることができる。従って、未加硫ゴム組成物10がシール材の中間製品である場合には、この未加硫ゴム組成物10を加硫することで得られるシール材の寸法精度も高くすることができ、品質の高いシール製品を得ることができる。
(実施例2)
図3及び図4には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、2層構造の未加硫ゴム組成物を製造する場合を示したが、本実施例では、3層構造の未加硫ゴム組成物を製造する場合を示す。押出機による成形工程と冷却機による冷却工程が、実施例1よりも1回分だけ多くなった以外は、上記実施例1と同一である。従って、同一の構成部分については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図3は本発明の実施例2に係る未加硫ゴム組成物の製造装置の概略構成図である。図4は本発明の実施例2に係る製造装置により製造される未加硫ゴム組成物の外観図である。
本実施例に係る製造方法及び製造装置200によって製造される未加硫ゴム組成物20は3重構造となっている。すなわち、この未加硫ゴム組成物30は、断面が円形の内層21と、この内層21を覆うように、かつ内層21と同心的に設けられる断面がリング状の中間層22と、中間層22を覆うように、かつ内層21及び中間層22と同心的に設けられる断面がリング状の外層23とから構成される。
そして、本実施例に係る製造装置200においては、上記実施例1に係る製造装置100の構成に加えて、第2冷却機132と引取り140との間に、第3段押出機213と、第3ダイ223と、第3冷却機233とを備えている。
第3段押出機213は、第2段押出機112と同様の構成であり、クロスヘッド213
a及び中間ニップル213bを備えている。第3ダイ223についても第1ダイ121や第2ダイ122と同様の構成であり、第3冷却機233についても第1冷却機131や第2冷却機132と同様の構成であるので、これらの詳細説明は省略する。
本実施例の場合には、第1段押出機111によって内層21を成形し、内層21を第1冷却機131によって冷却により硬化した後に、第2段押出機112により中間層22を成形する。そして、この中間層22を第2冷却機132によって冷却により硬化した後に、第3段押出機213により外層23を成形する。そして、この外層23を第3冷却機233によって冷却により硬化させる。このようにして、3層構造の未加硫ゴム組成物20を製造することができる。
本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様に、内層21と中間層22の各材料同士の相互作用、及び中間層22と外層23の各材料同士の相互作用を抑制でき、内層21の部分の寸法精度,中間層22の部分の寸法精度及び外層23の部分の寸法精度を高くすることができる。従って、寸法精度の高い未加硫ゴム組成物20を製造することができる。
なお、クロスヘッド方式の押出機と冷却機からなる組を更に増やせば、4層以上の層からなる未加硫ゴム組成物を製造することができることは言うまでもない。そして、その場合において、各層の部分の寸法精度を高くすることができることも言うまでもない。
(実施例3)
図5〜図7には、本発明の実施例3が示されている。本実施例においては、上記実施例1の構成に対して、更に、押出機における成形型を加熱制御する構成が付加された構成を示す。その他の基本的な構成については、上記実施例1と同様であるので、同一の構成部分については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図5は本発明の実施例3に係る未加硫ゴム組成物の製造装置の概略構成図である。図6は本発明の実施例3に係る製造装置により製造される未加硫ゴム組成物の外観図である。図7は本発明の実施例3に係る製造装置において引取り速度と押出成形により得られる未加硫ゴム組成物の線径との関係を示すグラフである。
上記実施例1,2に示すように、未加硫ゴム組成物を冷却によって硬化させた後に、次の未加硫ゴム組成物を重ねるように成形することによって、各層の材料同士の相互作用を抑制することで、各層の部分の寸法精度を高くすることができる。しかし、当然のことながら、押出成形によって得られる未加硫ゴム組成物の寸法精度は、押出機のダイの寸法精度にも影響される。
上記実施例1,2の場合、押出成形によって得られる未加硫ゴム組成物の形状及び寸法は、基本的に、押出機のダイの貫通孔のみにより決定付けられる。つまり、当該ダイの貫通孔の孔内周の形状及び内径が、未加硫ゴム組成物の外形及び外径となる。従って、ダイの貫通孔の寸法精度が、未加硫ゴム組成物の寸法精度に大きく影響する。また、押出機の機内圧力が大きいと、未加硫ゴム組成物の形状や寸法が不安定になってしまうため、機内圧力はできる限り小さいほうが望ましい。
以上のように、実施例1,2において、未加硫ゴム組成物の寸法精度を高くするためには、押出機のダイの貫通孔の寸法精度を高くしなければならない。従って、上記実施例1,2においては、材料同士の相互作用を抑制することによる寸法精度の向上を図ることはできるものの、実際上は、ダイの加工精度を高めなければ、十分に寸法精度を高めることはできない。また、未加硫ゴム組成物の寸法調整を行うためには、ダイの貫通孔の寸法や
形状を調整しなければならず、面倒な作業が生じてしまう。
そこで、本実施例では、押出機のダイを加熱制御することによって、未加硫ゴム組成物の寸法を、加熱制御及び引き取り速度によって制御できる構成を採用した。以下、より詳細に説明する。
本実施例に係る製造方法及び製造装置300によって製造される未加硫ゴム組成物30も、実施例1の場合と同様に、内層31と外層32とから構成される。
本実施例に係る製造装置300においては、実施例1の場合と同様に、第1段押出機311,第1冷却機131,クロスヘッド312a及び中間ニップル312bを具備する第2段押出機312,第2冷却機132及び引取り140を備えている。
これらの基本的な構成は、上記実施例1の場合と同様であるが、本実施例の場合には、第1段押出機311に設けられた第1ダイ321を加熱制御する第1加熱装置351と、第2段押出機312に設けられた第2ダイ322を加熱制御する第2加熱装置352を備えている点が実施例1の場合と異なっている。製造装置におけるその他の構成については実施例1の場合と同一であるのでその説明は省略する。また、製造方法についても、ダイを加熱制御する点以外は、実施例1の場合と同一であるのでその説明は省略する。
ここで、本実施例においては、第1加熱装置351及び第2加熱装置352として、誘導加熱方式による加熱装置を採用した。これにより、バンドヒータなどに比べて、所望の箇所を局所的に加熱することができ、温度精度を高くすることができる。
本実施例によれば、第1加熱装置351によって第1ダイ321を加熱制御することができる。これにより、第1段押出機311により成形される内層31の成形直後における応力緩和を制御することができる。従って、加熱制御によって、ダイスウェリングによる径の拡大量を調整できる。また、第1ダイ321を加熱することにより、第1段押出機311の機内の圧力を低下させることもできるため、より一層、内層31の形状や寸法を安定化させることができる。
以上のことから、第1加熱装置351によって第1ダイ321を加熱制御すると共に、引取り140による引取り速度を調整すれば、内層31の寸法を制御することができる。従って、第1ダイ321の貫通孔の寸法精度を高くしなくても、加熱制御と引取り速度の調整によって内層31の寸法を簡単に制御することができる。また、第1段押出機311の機内の圧力を低下させることができるため、内層31の寸法を簡単に制御できることと相俟って、相乗的に内層31の寸法精度を高めることができる。
外層32の寸法についても、第2加熱装置352による加熱制御と引取り速度の調整により簡単に制御することができることは言うまでもない。
なお、図7は、本実施例に係る製造装置300によって未加硫ゴム組成物30を製造する際に、引取り140による引取り速度を変えた場合における引取り速度と未加硫ゴム組成物30の線径との関係を示したものである。この図から分かるように、引取り速度を速くするほど、線径を小さくすることができる。
また、本実施例によれば、一つのダイで複数種類の径の未加硫ゴム組成物を製造することができるという利点もある。
(実際に製造したサンプルの寸法の測定結果について)
上述した実施例に基づいて、実際に製造したサンプルの寸法の測定結果について説明する。
<実施例1について>
実施例1に基づいて製造したサンプルの寸法と、比較例として、多層共押出しによる成形方法を利用して製造したサンプルの寸法の測定結果について説明する。まず、比較例である多層共押出しによる成形方法について、図11及び図12を参照して説明する。図11は比較例1に係る未加硫ゴム組成物の製造装置の概略構成図である。図12は比較例1に係る製造装置により製造される未加硫ゴム組成物の外観図である。
比較例1に係る製造装置500は、第1段押出機511と、第2段押出機512と、ダイ520と、冷却機530と、引取り540とを備えている。この製造装置500の場合には、第1段押出機511の先端と第2段押出機512の先端が、それぞれダイ520に連結されている。そして、この製造装置500によれば、第1段押出機511により送り出される溶融状態にあるゴム材料と、第2段押出機512により送り出される溶融状態にあるゴム材料が、ダイ520の内部で合流する。そして、2層の状態でダイ520から押し出されて、冷却機530によって2層同時に冷却される。このようにして、本発明の実施例1の場合と同様に、内層51と外層52からなる2層構造の未加硫ゴム組成物50が製造される。
図8は本発明の実施例1に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果と、比較例1に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果を示したものである。実施例1−1,実施例1−2は、いずれも本発明の実施例1に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果を示しており、比較例1−1,比較例1−2は、いずれも比較例に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果を示している。また、実施例1−1,比較例1−1は、外径が3.2mm(内層は2.0mm)となるように製造したサンプルの寸法の測定結果を示しており、実施例1−2,比較例1−2は、外径が2.8mm(内層は2.0mm)となるように製造したサンプルの寸法の測定結果を示している。そして、図8には、それぞれ20個分の寸法測定結果の平均値と標準偏差を示している。
図8から、比較例1に比べて実施例1の場合の方が、寸法バラツキが小さいことが分かる。また、内層の中心と外層の中心との位置ずれが、実施例1に比べて比較例1のほうが大きいことも確認できた。
<実施例3について>
実施例3に基づいて製造したサンプルの寸法と、実施例1に基づいて製造したサンプルの寸法の測定結果について説明する。
図9は製造時の設定値とダイスウェリングについて、実施例3の場合と実施例1の場合を比較したものである。図示のように、実施例3の場合は、押出機のダイ温度を90℃(押出機の機内温度は実施例1と同じ70℃)に制御した。一方、実施例1の場合のダイ温度は、70℃に制御した。押出機における回転数(スクリュの回転数)はいずれも5rpmとした。また、押出機からの未加硫ゴム組成物の押出し速度は、実施例3の場合は200mm/min,実施例1の場合は155mm/minとした。その結果、ダイスウェリングは、実施例1の場合には1.09であるのに対して、実施例3の場合には1.02と非常に小さくなるように制御することができた。
図10は本発明の実施例3に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果と、実施例1に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果を示したもので
ある。実施例3−1,実施例3−2は、いずれも本発明の実施例3に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果を示しており、実施例1−1,実施例1−2は、いずれも本発明の実施例1に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果を示している。また、実施例3−1,実施例1−1は、外径が3.2mm(内層は2.0mm)となるように製造したサンプルの寸法の測定結果を示しており、実施例3−2,実施例1−2は、外径が2.8mm(内層は2.0mm)となるように製造したサンプルの寸法の測定結果を示している。そして、図10には、それぞれ20個分の寸法測定結果の平均値と標準偏差、及び押出機の機内圧力を示している。
図10、実施例3の場合には実施例1の場合に比べて押出機の機内圧力を小さくすることができ、かつ、寸法精度をより高めることができることが分かる。
<その他>
一般的なタンデム押出成形で、多層構造の未加硫ゴムを成形した場合、未加硫ゴムの押出が不安定になり易く、内層と外層との界面で剥離(隙間)が生じてしまうことを確認できた。これに対して、上記のようにダイのみを加熱(誘導加熱による加熱)すると、内層と外層が密着した状態での安定した押出成形を行うことができることが確認できた。なお、上記の剥離(隙間)の発生原因は主としてダイスウェリングの違いによると考えられ、その影響を局所的な加熱(誘導加熱)により緩和させる効果があると考えられる。なお、押出機の加熱温度自体をより高くすることによって、同様に密着性のよい成形が可能になることも考えられ得るが、未加硫ゴムの場合には、スクリュ中でスコーチしてしまう問題があるため、本実施例のように、ダイのみを局所的に加熱するのが最適であると言える。
図1は本発明の実施例1に係る未加硫ゴム組成物の製造装置の概略構成図である。 図2は本発明の実施例1に係る製造装置により製造される未加硫ゴム組成物の外観図である。 図3は本発明の実施例2に係る未加硫ゴム組成物の製造装置の概略構成図である。 図4は本発明の実施例2に係る製造装置により製造される未加硫ゴム組成物の外観図である。 図5は本発明の実施例3に係る未加硫ゴム組成物の製造装置の概略構成図である。 図6は本発明の実施例3に係る製造装置により製造される未加硫ゴム組成物の外観図である。 図7は本発明の実施例3に係る製造装置において引取り速度と押出成形により得られる未加硫ゴム組成物の線径との関係を示すグラフである。 図8は本発明の実施例1に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果と、比較例1に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果を示したものである。 図9は製造時の設定値とダイスウェリングについて、実施例3の場合と実施例1の場合を比較したものである。 図10は本発明の実施例3に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果と、実施例1に係る製造装置によって製造したサンプルの寸法の測定結果を示したものである。 図11は比較例1に係る未加硫ゴム組成物の製造装置の概略構成図である。 図12は比較例1に係る製造装置により製造される未加硫ゴム組成物の外観図である。
符号の説明
10 未加硫ゴム組成物
11 内層
12 外層
20 未加硫ゴム組成物
21 内層
22 中間層
23 外層
30 未加硫ゴム組成物
31 内層
32 外層
100 製造装置
111 第1段押出機
112 第2段押出機
112a クロスヘッド
112b 中間ニップル
121 第1ダイ
122 第2ダイ
131 第1冷却機
132 第2冷却機
200 製造装置
213 第3段押出機
213a クロスヘッド
213b 中間ニップル
223 第3ダイ
233 第3冷却機
300製造装置
311 第1段押出機
312 第2段押出機
312a クロスヘッド
312b 中間ニップル
321 第1ダイ
322 第2ダイ
351 第1加熱装置
352 第2加熱装置

Claims (11)

  1. 一定断面を有する中実の未加硫ゴム組成物を製造する製造方法であって、
    押出成形により第1未加硫ゴム組成物を成形する工程と、
    第1未加硫ゴム組成物を冷却によって硬化させる工程と、
    硬化された第1未加硫ゴム組成物に対して重ねるように、押出成形によって第2未加硫ゴム組成物を成形する工程と、
    第2未加硫ゴム組成物を冷却によって硬化させる工程と、
    を備え、複数の層からなる未加硫ゴム組成物を製造することを特徴とする未加硫ゴム組成物の製造方法。
  2. 冷却によって硬化された未加硫ゴム組成物に対して重ねるように、押出成形によって次の未加硫ゴム組成物を成形する工程を繰り返すことによって、3層以上の未加硫ゴム組成物を製造することを特徴とする請求項1に記載の未加硫ゴム組成物の製造方法。
  3. 押出成形時に押出成形の成形型を加熱制御することを特徴とする請求項1または2に記載の未加硫ゴム組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つの未加硫ゴム組成物の製造方法により製造された未加硫ゴム組成物を加硫することによって、シール材を製造することを特徴とするシール材の製造方法。
  5. 一定断面を有する中実の未加硫ゴム組成物を製造する製造装置において、
    第1未加硫ゴム組成物を成形する第1段押出機と、
    第1段押出機によって成形された第1未加硫ゴム組成物を冷却により硬化させる第1冷却機と、
    第1冷却機によって硬化された第1未加硫ゴム組成物に対して重ねるように第2未加硫ゴム組成物を成形する第2段押出機と、
    第2段押出機によって成形された第2未加硫ゴム組成物を冷却により硬化させる第2冷却機と、
    少なくとも第1段押出機によって押し出す位置から第2冷却機によって冷却する位置まで、未加硫ゴム組成物が直線状になるように、第1未加硫ゴム組成物と第2未加硫ゴム組成物を含む複数の層からなる未加硫ゴム組成物を引き取る引取りと、
    を備えることを特徴とする未加硫ゴム組成物の製造装置。
  6. 第2段押出機はクロスヘッド方式の押出機であることを特徴とする請求項5に記載の未加硫ゴム組成物の製造装置。
  7. 第2段押出機におけるクロスヘッドの内部には、第1冷却機によって硬化された第1未加硫ゴム組成物が通る貫通孔を有する中間ニップルが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の未加硫ゴム組成物の製造装置。
  8. 第2冷却機と引取りとの間に、押出機と冷却機からなる組が1組以上備えられることによって、3層以上の未加硫ゴム組成物を製造することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の未加硫ゴム組成物の製造装置。
  9. 各押出機には、成形型を加熱制御する加熱装置が設けられていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の未加硫ゴム組成物の製造装置。
  10. 前記加熱装置は、誘導加熱方式による加熱装置であることを特徴とする請求項9に記載
    の未加硫ゴム組成物の製造装置。
  11. 製造される未加硫ゴム組成物が、加硫されることでシール材となる中間製品であることを特徴とする請求項5〜10のいずれか一つに記載の未加硫ゴム組成物の製造装置。
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