JP2008022355A - 信号検出装置及び信号検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
入力信号が含む周波数成分中における所望の周波数帯域の周波数成分を、簡易に検出する。
【解決手段】
信号源910からの信号C0の同相信号C1及びその直交信号S1、並びに制御部170Aが指定したシフト周波数を有する局部発振信号C2及びその直交信号S2に基づいて、制御部170Aが指定したシフト方向に信号C1,S1をシフト周波数だけシフトさせた信号C3,S3を生成する。そして、信号C3,S3における固定的な周波数帯域をフィルタ部150における固定的なフィルタで抽出する。そして、フィルタ部150により抽出された信号を、検出部160が検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、信号検出装置及び信号検出方法に関する。
従来から、入力信号における所望の周波数帯域を選択して検出することが広く行われている。かかる信号検出を行う装置の代表例としては、チューナ部を備えるラジオ受信装置等が挙げられる。こうしたラジオ受信装置では、チューナ部が、まず、アンテナで受信された高周波信号を、当該受信高周波信号について検出対象となり得る周波数範囲から大きく離れた周波数範囲であって、希望局からの放送波の中心周波数が所定の周波数となるように周波数変換を行う。かかる周波数変換は、希望局の種類に応じて定まる周波数の局部発振信号と、受信高周波信号とのスーパーヘテロダイン混合によって行われる。
この後、チューナ部が、当該所定の周波数を中心周波数とする所定の周波数幅の信号をバンドパスフィルタ(以下、「BPF」とも記す)により抽出する。そして、ラジオ受信装置では、信号抽出バンドパスフィルタを通過した信号を検出部が検出するようになっている(特許文献1参照)。これと同様な技術は、携帯電話等の移動通信端末装置の多くで採用されている直接変換受信機においても採用されている(特許文献2参照)。
一方、入力信号について検出対象となり得る周波数範囲内における特定周波数帯域の信号成分を検出するためには、上記のスーパーヘテロダイン混合によって生成される2つの周波数信号が検出対象となり得る周波数範囲内において混じり合うため、当該特定周波数帯域の信号を選択的に透過させるフィルタによって抽出された信号を検出することが一般に行われている。例えば、ラジオ放送受信について、チューナ部で抽出された信号における隣接妨害を検出するために、チューナ部で抽出された希望局信号候補における隣接局信号帯域の信号を固定的なフィルタで抽出後に検出している(以下、「従来例1」という;特許文献1参照)。また、隣接妨害等の妨害信号の検出に際して、妨害信号の周波数帯域を変更する場合には、当該フィルタのパラメータを変更する技術も提案されている(以下、「従来例2」という;特許文献2参照)。
特許第3335411号公報 特許第3568102号公報
上述した従来例1の技術では、予め定められた隣接局信号帯域という固定の周波数帯域の信号については簡易な構成で信号検出を行うことができる。しかしながら、固定の周波数帯域以外の周波数帯域の信号を検出しようとすると、その周波数帯域に対応するフィルタを新たに用意することが必要となる。すなわち、従来例1の技術では、検出しようとする周波数帯域の種類が増えると、互いに異なる特性のフィルタを、検出しようとする周波数帯域の種類の数だけ用意することが必要となっていた。
従来例2の技術では、検出しようとする周波数帯域の種類が増えてもフィルタの種類を増やす必要はないが、当該フィルタの特性を変化させることが必要となる。しかしながら、フィルタの特性を変更するには、回路規模が大きくなる、又は、デジタル演算量が多くなる可変フィルタを利用することが必要となる。
上記の従来例1及び従来例2の技術における様々な周波数帯の信号を検出するに際して発生するフィルタ部分の構成の複雑化を解消することが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、入力信号が含む周波数成分中における所望の周波数帯域の周波数成分を、簡易に検出することができる信号検出装置及び信号検出方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、第1信号及び前記第1信号の直交信号である第2信号に関する周波数のシフト量であるシフト周波数及びシフト方向に基づいて、前記第1信号の周波数成分の周波数が前記シフト方向に前記シフト周波数だけシフトされた第3信号、及び、前記第2信号の周波数成分の周波数が前記シフト方向に前記シフト周波数だけシフトされた第4信号を生成する周波数シフト手段と;前記第3信号及び前記第4信号に含まれる予め定められた範囲の周波数の信号成分を選択的に通過させるフィルタ手段と;前記フィルタ手段を通過した信号を検出する信号検出手段と;を備えることを特徴とする信号検出装置である。
請求項5に記載の発明は、第1信号及び前記第1信号の直交信号である第2信号に関する周波数のシフト量であるシフト周波数及びシフト方向に基づいて、前記第1信号の周波数成分の周波数が前記シフト方向に前記シフト周波数だけシフトされた第3信号、及び、前記第2信号の周波数成分の周波数が前記シフト方向に前記シフト周波数だけシフトされた第4信号を生成する周波数シフト工程と;前記第3信号及び前記第4信号に含まれる予め定められた範囲の周波数の信号成分を選択するフィルタリング工程と;前記フィルタリング工程において選択された信号成分を検出する信号検出工程と;を備える信号検出方法である。
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図8を参照しつつ説明する。
<構成>
図1には、本実施形態に係る信号検出装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。この信号検出装置100Aは、信号源910から出力された信号C0における所望の周波数帯の信号を検出する装置であり、図1に示されるように、信号検出装置100Aは、信号生成手段としての直交信号生成部110と、信号検出部120Aと、周波数シフト制御手段としての制御部170Aとを備えている。
なお、本実施形態においては、説明を簡略化するため、信号C0は、次の(1)式によって表されるものとする。
C0(t)∝F(t)・cos(ωC・t+φ) …(1)
かかる(1)式で表される信号としては、例えば、一般的なラジオ受信機におけるチューナ部から出力される中間周波数信号等を挙げることができる。この場合には、F(t)には、角周波数ωCよりも十分に低い角周波数の成分のみが含まれる。
直交信号生成部110は、図2に示されるように、直交変調器111を備えている。この直交信号生成部110は、信号C0と同相の信号であり、下記の(2)式で表される信号C1と、信号C0が直交変調された信号であり、下記の(3)式で表される信号S1とが出力されるようになっている。
C1(t)=F(t)・cos(ωC・t+φ) …(2)
S1(t)=F(t)・sin(ωC・t+φ) …(3)
図1に戻り、信号検出部120Aは、制御部170Aによる制御のもとで、直交信号生成部110から出力された信号C1,S1における所望の周波数帯域の信号を検出する。この信号検出部120Aについては、後述する。
制御部170Aは、中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び周辺回路等を備えて構成される。この制御部170Aには、不図示のキーボード等の操作入力デバイスや、液晶表示デバイス等の表示デバイスが接続されるようになっている。
制御部170Aは、操作入力デバイスに入力された検出すべき信号の周波数帯域の指定に応じて、信号C1,S1に関する周波数シフトの量に対応するシフト角周波数ωSをシフト周波数指定SFAとして信号検出部120Aへ送るとともに、シフト方向をシフト方向指定SDCとして信号検出部120Aへ送る。また、制御部170Aは、信号検出部120Aからの検出結果D1,D2を受ける。そして、制御部170Aは、検出結果D1,D2に対して予め定められた処理を行い、処理結果を表示デバイスに表示する等する。
なお、当該検出結果D1,D2に対して予め定められた処理としては、例えば、検出結果D1と検出結果D2との加算や、次の(4)式による信号パワーDPの算出等がある。
DP(t)=(D1(t)2+D2(t)2)1/2 …(4)
信号検出部120Aは、発振手段としての局部発振部130と、周波数シフト手段としての周波数シフト部190Aと、フィルタ手段としてのフィルタ部150と、信号検出手段としての検出部160とを備えている。ここで、周波数シフト部190Aは、局部発振部130と、シフト算出部140Aとを備えている。
局部発振部130は、図3に示されるように、発振器131と、90°移相器132とを備える。ここで、発振器131は電圧制御発振素子等を備えて構成され、制御部170Aからのシフト周波数指定SFAに従って、シフト周波数指定SFAに対応する角周波数ωSを有する信号を発生する。また、90°移相器132は、発振器131によって発生された信号の位相を90°だけ移動させる。
上記の発振器131と、90°移相器132とを利用して、局部発振部130は、次の(5)式で表される信号C2、及び、信号C2の直交信号であり、次の(6)式で表される信号S2を発生し、シフト算出部140Aへ出力する。
C2(t)=G・cos(ωS・t) …(5)
S2(t)=G・sin(ωS・t) …(6)
ここで、Gは定数である。
シフト算出部140Aは、図4に示されるように、乗算器141〜144を備えている。また、シフト算出部140Aは、加減算器146,147とを備えている。
乗算器141〜144のそれぞれは、端子Aで受けた信号と、端子Bで受けた信号との各時点における積を算出し、端子Cから算出結果を出力する。すなわち、乗算器141は、直交信号生成部110から出力された信号C1と、局部発振部130から出力された信号C2との各時点における積を算出して出力する。乗算器142は、直交信号生成部110から出力された信号S1と、局部発振部130から出力された信号S2との各時点における積を算出して出力する。乗算器143は、直交信号生成部110から出力された信号S1と、局部発振部130から出力された信号C2との各時点における積を算出して出力する。乗算器144は、直交信号生成部110から出力された信号C1と、局部発振部130から出力された信号S2との各時点における積を算出して出力する。
加減算器146は、端子I1で乗算器141による算出結果を受けるとともに、端子I2で乗算器142による算出結果を受ける。そして、制御部170Aからのシフト方向指定SDCに従って、端子I1で受けた信号と、端子I2で受けた信号との各時点における差又は和を算出する。
具体的には、制御部170Aからのシフト方向指定SDCによって+側への周波数シフトが指定されると、加減算器146は、端子I1で受けた信号の値から端子I2で受けた信号の値を減算する。この結果、次の(7)式で表される信号が、信号C3として生成される。
C3(t)=C1(t)・C2(t)−S1(t)・S2(t)
=G・F(t)・cos((ωC+ωS)・t+φ) …(7)
すなわち、上述した信号C1に関してシフト角周波数ωSだけ+側に周波数シフトした信号が、信号C3として生成される。こうして生成された信号C3は、加減算器146の端子Oからフィルタ部150へ出力される。
また、制御部170Aからのシフト方向指定SDCによって−側への周波数シフトが指定されると、加減算器146は、端子I1で受けた信号の値に端子I2で受けた信号の値を加算する。この結果、次の(8)式で表される信号が、信号C3として生成される。
C3(t)=C1(t)・C2(t)+S1(t)・S2(t)
=G・F(t)・cos((ωC−ωS)・t+φ) …(8)
すなわち、上述した信号C1に関してシフト角周波数ωSだけ−側に周波数シフトした信号が、信号C3として生成される。こうして生成された信号C3は、加減算器146の端子Oからフィルタ部150へ出力される。
加減算器147は、端子I1で乗算器143による算出結果を受けるとともに、端子I2で乗算器144による算出結果を受ける。そして、制御部170Aからのシフト方向指定SDCに従って、端子I1で受けた信号と、端子I2で受けた信号との各時点における和又は差を算出する。
具体的には、制御部170Aからのシフト方向指定SDCによって+側への周波数シフトが指定されると、加減算器147は、端子I1で受けた信号の値に端子I2で受けた信号の値を加算する。この結果、次の(9)式で表される信号が、信号C3として生成される。
S3(t)=S1(t)・C2(t)+C1(t)・S2(t)
=G・F(t)・sin((ωC+ωS)・t+φ) …(9)
すなわち、上述した信号S1に関してシフト角周波数ωSだけ+側に周波数シフトした信号が、信号S3として生成される。こうして生成された信号S3は、加減算器147の端子Oからフィルタ部150へ出力される。
また、制御部170Aからのシフト方向指定SDCによって−側への周波数シフトが指定されると、加減算器147は、端子I1で受けた信号の値から端子I2で受けた信号の値を減算する。この結果、次の(10)式で表される信号が、信号S3として生成される。
S3(t)=S1(t)・C2(t)−C1(t)・S2(t)
=G・F(t)・sin((ωC−ωS)・t+φ) …(10)
すなわち、上述した信号S1に関してシフト角周波数ωSだけ−側に周波数シフトした信号が、信号S3として生成される。こうして生成された信号S3は、加減算器147の端子Oからフィルタ部150へ出力される。
フィルタ部150は、図5に示されるように、フィルタ151と、フィルタ152とを備えている。これらのフィルタ151と、フィルタ152とは同一の周波数成分に対しては、同一の所定の透過特性を有している。フィルタ151は、シフト算出部140Aからの信号C3における所定の周波数成分を選択的に通過させ、信号C4として検出部160へ出力する。また、フィルタ152は、シフト算出部140Aからの信号S3における所定の周波数成分を選択的に通過させ、信号S4として検出部160へ出力する。
ここで、フィルタ151及びフィルタ152は、ローパスフィルタ(LPF)、バンドパスフィルタ(BPF)及びハイパスフィルタ(HPF)、並びにこれらの組合せの内の任意のものとすることができる。なお、本実施形態では、フィルタ151及びフィルタ152として、図6に示されるような透過特性(カットオフ角周波数=ωHP)を有するハイパスフィルタを採用している。
検出部160は、図7に示されるように、信号検出器161と、信号検出器162とを備えている。信号検出器161は、フィルタ部150からの信号C4を検出し、検出結果D1として制御部170Aへ出力する。また、信号検出器162は、フィルタ部150からの信号S4を検出し、検出結果D2として制御部170Aへ出力する。
<動作>
次に、上記のように構成された信号検出装置100Aにおける信号検出動作について説明する。なお、以下においては、周波数シフト量が0から、徐々に−方向側への周波数シフト量を増やしていく場合に主に着目して説明する。
まず、操作入力デバイス(不図示)からの周波数シフト量に対応するシフト角周波数ωSを0とする指令入力に従って、制御部170Aが、シフト周波数指定SFAにより、シフト角周波数ωSが0である旨を信号検出部120Aの局部発振部130へ通知する。なお、シフト角周波数ωSが0である場合には、シフト方向の指定は+方向及び−方向のいずれの指定あっても同様であるが、上述したように、今後、徐々に−方向側へのシフト角周波数ωSを増やしていくことから、制御部170Aは、シフト方向指定SDCにより、シフト方向が−方向である旨をシフト算出部140Aへ通知するものとする。この場合には、シフト角周波数ωSが0であるので、局部発振部130は、信号C2として一定値Gの信号を生成するとともに、信号S2として値0の信号を生成し(上述の(5)及び(6)式参照)、シフト算出部140Aへ送る。
一方、直交信号生成部110は、信号源910からの信号C0から、信号C1と、信号C1の直交信号S1を生成する(上述の(2)及び(3)式参照)。直交信号生成部110は、こうして生成された信号C1,S1をシフト算出部140Aへ送る。
この結果、シフト算出部140Aでは、次の(11)及び(12)式で表わされる信号C3,S3が生成される。
C3(t)=G・F(t)・cos(ωC・t+φ) …(11)
S3(t)=G・F(t)・sin(ωC・t+φ) …(12)
すなわち、シフト算出部140Aでは、信号C1,S1に対して周波数シフトが行われていないものが、信号C3,S3として出力される(図8(A)参照)。そして、信号C3,S3における角周波数ωHPよりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分が、フィルタ部150を通過して検出部160において検出される。この結果、信号源910からの入力信号C0における角周波数ωHPよりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分に相当する信号の検出が検出部160において行われる。こうして得られた検出結果は、制御部170Aにおいて所定の処理が施された後に、表示デバイス(不図示)に表示される等する。
次に、操作入力デバイスからのシフト角周波数をωS1とし、シフト方向を−方向とする指令入力に従って、制御部170Aが、シフト周波数指定SFAにより、シフト角周波数がωS1である旨を局部発振部130へ通知するとともに、シフト方向指定SDCにより、シフト方向が−方向である旨をシフト算出部140Aへ通知する。この結果、局部発振部130は、角周波数ωS1の信号C2,S2が生成され、シフト算出部140Aへ送られる。
一方、シフト算出部140Aへは、上述のように、直交信号生成部110から信号C1,S1が送られているので、シフト算出部140Aでは、次の(13)及び(14)式で表わされる信号C3,S3が生成される。
C3(t)=G・F(t)・cos((ωC−ωS1)・t+φ) …(13)
S3(t)=G・F(t)・sin((ωC−ωS1)・t+φ) …(14)
すなわち、シフト算出部140Aでは、信号C1,S1に対して−方向へ角周波数ωS1だけ周波数シフトが行われたものが、信号C3,S3として出力される(図8(B)参照)。そして、信号C3,S3における角周波数ωHPよりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分が、フィルタ部150を通過して検出部160において検出される。この結果、信号源910からの入力信号C0における角周波数(ωS1+ωHP)よりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分に相当する信号の検出が検出部160において行われる。こうして得られた検出結果は、制御部170Aにおいて所定の処理が施された後に、表示デバイスに表示される等する。
次いで、操作入力デバイスからのシフト角周波数をωS2(>ωS1)とし、シフト方向を−方向とする指令入力に従って、制御部170Aが、シフト周波数指定SFAにより、シフト角周波数がωS2である旨を局部発振部130へ通知するとともに、シフト方向指定SDCにより、シフト方向が−方向である旨をシフト算出部140Aへ通知する。この結果、局部発振部130は、角周波数ωS2の信号C2,S2が生成され、シフト算出部140Aへ送られる。
一方、シフト算出部140Aへは、上述のように、直交信号生成部110から信号C1,S1が送られているので、シフト算出部140Aでは、次の(15)及び(16)式で表わされる信号C3,S3が生成される。
C3(t)=G・F(t)・cos((ωC−ωS2)・t+φ) …(15)
S3(t)=G・F(t)・sin((ωC−ωS2)・t+φ) …(16)
すなわち、シフト算出部140Aでは、信号C1,S1に対して−方向へ角周波数ωS2だけ周波数シフトが行われたものが、信号C3,S3として出力される(図8(C)参照)。そして、信号C3,S3における角周波数ωHPよりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分が、フィルタ部150を通過して検出部160において検出される。この結果、信号源910からの入力信号C0における角周波数(ωS2+ωHP)よりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分に相当する信号の検出が検出部160において行われる。こうして得られた検出結果は、制御部170Aにおいて所定の処理が施された後に、表示デバイスに表示される等する。
以後、操作入力デバイスからのシフト角周波数及びシフト方向の指令入力に従って、上記の場合と同様にして、当該指令入力及びフィルタ部150の特性に対応する信号C0の周波数帯域の信号成分に相当する信号が検出される。そして、検出結果に対する所定の処理結果が表示デバイスに表示される等する。
なお、上記では、周波数シフト量が0から、徐々に−方向側への周波数シフト量を増やしていく場合について説明したが、周波数シフト量の変化のさせ方は、いかなる態様であってもよい。
以上説明したように、本実施形態では、信号源910からの信号C0の同相信号C1及びその直交信号S1、並びに制御部170Aが指定したシフト周波数を有する局部発振信号C2及びその直交信号S2に基づいて、制御部170Aが指定したシフト方向に信号C1,S1をシフト周波数だけシフトさせた信号C3,S3を生成する。そして、信号C3,S3における固定的な周波数帯域を固定的なフィルタで抽出して検出する。したがって、信号源910が含む周波数成分中における所望の周波数帯域の周波数成分を、簡易に検出することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図9及び図10を参照しつつ説明する。
<構成>
図9に示されるように、本実施形態の信号検出装置100Bは、上述した第1実施形態の信号検出装置100Aと比べて、信号検出部120Aに代えて信号検出部120Bを備える点、及び、制御部170Aに代えて制御部170Bを備える点のみが異なっている。ここで、制御部170Bは、制御部170Aが、シフト周波数指定SFAにより必ず正のシフト周波数を指定し、シフト方向指定SDCによりシフト方向を指定するのに対して、シフト周波数指定SFBにより符号付のシフト周波数を指定することにより、シフト周波数及びシフト方向を指定するようになっている。
信号検出部120Bは、信号検出部120Aと比べて、周波数シフト部190Aに代えて周波数シフト部190Bを備える点のみが異なっている。そして、周波数シフト部190Bは、周波数シフト部190Aと比べて、シフト算出部140Aに変えてシフト算出部140Bを備える点のみが異なっている。このシフト算出部140Bは、図10に示されるように、上述のシフト算出部140Aと比べて、加減算器146に代えて減算器148を備える点、及び、加減算器147に代えて加算器149を備える点のみが異なっている。
<動作>
上記のように構成された信号検出装置100Bでは、操作入力デバイス(不図示)からの周波数シフト量及びシフト方向の指令入力に従って、制御部170Bが、シフト周波数指定SFBにより、符号付のシフト角周波数ωSを信号検出部120Bに送る。以後、上述の信号検出装置100Aの場合と同様にして、信号検出動作を行う。
このため、本実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、信号源910からの信号C0の同相信号C1及びその直交信号S1を周波数シフトした後、固定的な周波数帯域を固定的なフィルタで抽出して検出する。したがって、信号源910が含む周波数成分中における所望の周波数帯域の周波数成分を、簡易に検出することができる。
また、シフト方向の切り換えのために上述の第1実施形態の場合のようにシフト方向指令を切り換える必要がないので、シフト方向を−方向から+方向へ、又は、+方向から−方向へ連続的に変化させることを容易に制御することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を、図11及び図12を主に参照しつつ説明する。
<構成>
図11に示されるように、本実施形態の信号検出装置100Cは、上述した第1実施形態の信号検出装置100Aと比べて、制御部170Aに代えて制御部170Cを備える点のみが異なっている。この制御部170Cは、検出部160による検出結果を考慮して、シフト角周波数ωSを自動的に変更するようになっている。
本実施形態では、信号源910からの信号C0のスペクトル分布において、角周波数ωCよりも角周波数が高い周波数帯域に、ピークが存在する場合に、当該ピークに対応する信号成分の殆ど全てがフィルタ部を通過するようになるまで、−方向において、十分に大きなシフト角周波数から徐々にシフト角周波数を小さくしていくように変化させるようになっている。
<動作>
上記のように構成された信号検出装置100Cでは、以下のようにして信号検出を行う。
まず、制御部170Cが、シフト周波数指定SFAにより、シフト角周波数ωSが十分に大きな角周波数ωS3である旨を局部発振部130へ通知するとともに、シフト方向指定SDCにより、シフト方向が−方向である旨をシフト算出部140Aへ通知する。この結果、局部発振部130は、角周波数ωS3の信号C2,S2が生成され、シフト算出部140Aへ送られる。
一方、シフト算出部140Aへは、上述のように、直交信号生成部110から信号C1,S1が送られているので、シフト算出部140Aでは、信号C1,S1に対して−方向へ角周波数ωS3だけ周波数シフトが行われたものが、信号C3,S3として出力される(図12(A)参照)。そして、信号C3,S3における角周波数ωHPよりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分が、フィルタ部150を通過して検出部160において検出される。この結果、信号源910からの入力信号C0における角周波数(ωS3+ωHP)よりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分に相当する信号の検出が検出部160において行われる。こうして得られた検出結果は、制御部170Cに報告される。
以後、制御部170Cは、シフト方向として−方向を維持して、シフト角周波数ωSを徐々に小さくしていきつつ、フィルタ部150によって抽出された信号成分が検出部150により検出されて、制御部170Cに報告される。こうして得られた検出結果の変化に基づいて、制御部170Cは、信号C0のスペクトル分布において角周波数ωCよりも角周波数が高い周波数帯域にピークが存在し、かつ、当該ピークに対応する信号成分の殆ど全てがフィルタ部を通過するようになったかを判定する。
そして、図12(B)に示されるように、シフト角周波数ωSがωS4となり、当該判定が肯定的となると、制御部170Cは、シフト角周波数ωSの変更を中止する。そして、この時点におけるシフト角周波数ωS4及び検出部160による検出結果に対する所定の処理結果が表示デバイスに表示される等する。
なお、検出結果を考慮したシフト角周波数ωSの変更の態様は、上記に限定されるものではなく、任意の態様とすることができる。
以上説明したように、本実施形態では、第1及び第2実施形態の場合と同様に、信号源910からの信号C0の同相信号C1及びその直交信号S1を周波数シフトした後、固定的な周波数帯域を固定的なフィルタで抽出して検出する。したがって、信号源910が含む周波数成分中における所望の周波数帯域の周波数成分を、簡易に検出することができる。
また、制御部170Cが、検出部160における検出結果を考慮して、シフト角周波数ωSを自動的に変更する。このため、信号源910からの信号C0において予め定められた条件を満たす周波数帯域の信号成分を自動的に検出することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を、図13〜図16を主に参照しつつ説明する。
<構成>
図13に示されるように、本実施形態の信号検出装置100Dは、直交信号生成部110と、信号検出部120A1と、信号検出部120A2と、制御部170Dとを備えている。ここで、信号検出部120A1は、上述した第1及び第2実施形態における信号検出部120Aと同様に構成されている。また、信号検出部120A2は、信号検出部120A1と比べて、フィルタ部の特性が異なっている点のみが相違している。なお、本実施形態では、信号検出部120A1のフィルタ部は、信号検出部120Aの場合と同様に、図14に示されるハイパスフィルタ特性を有しているのに対して、信号検出部120A2におけるフィルタ部は図15に示されるようなローパスフィルタ特性を有するようになっている。
制御部170Dは、操作入力デバイス(不図示)に入力された検出すべき信号の周波数帯域の指定に従って、信号C1,S1に関する信号検出部120A1における周波数シフトの量に対応するシフト角周波数ωSHをシフト周波数指定SFA1として信号検出部120A1へ送るとともに、信号検出部120A1におけるシフト方向をシフト方向指定SDC1として信号検出部120A1へ送る。また、制御部170Dは、信号C1,S1に関する信号検出部120A2における周波数シフトの量に対応するシフト角周波数ωSLをシフト周波数指定SFA2として信号検出部120A2へ送るとともに、信号検出部120A2におけるシフト方向をシフト方向指定SDC2として信号検出部120A2へ送る。なお、制御部170Dも、上記の制御部170Aの場合と同様に、信号検出部120A1,120A2における検出結果に対して所定の処理を施して、表示デバイス(不図示)に表示する等するようになっている。
<動作>
上記のように構成された信号検出装置100Dでは、以下のようにして信号検出を行う。
まず、制御部170Dが、操作入力デバイスからの周波数帯域指定に従って、信号検出部120A1へシフト角周波数ωSH及びシフト方向を、シフト周波数指定SFA1及びシフト方向指定SDC1として送るとともに、信号検出部120A2へシフト角周波数ωSL及びシフト方向を、シフト周波数指定SFA2及びシフト方向指定SDC2として送る。
一方、信号検出部120A1及び信号検出部120A2へは、直交信号生成部110から信号C1,S1が送られている。この結果、信号検出部120A1では、信号C1,S1に対してシフト方向指定SDC1により指定されたシフト方向にシフト角周波数ωSHだけ周波数シフトされた信号における角周波数ωHPよりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分が検出される。また、信号検出部120A2では、信号C1,S1に対してシフト方向指定SDC2により指定されたシフト方向にシフト角周波数ωSLだけ周波数シフトされた信号における角周波数ωLPよりも低い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分が検出される。
この結果、例えば、シフト方向指定SDC1のシフト方向が−側であり、シフト方向指定SDC2のシフト方向が+側であった場合には、図16に示されるように、信号源910から出力された信号C0における角周波数(ωHP+ωSH)よりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分、及び、信号C0における角周波数(ωLP−ωSL)よりも低い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分に相当する信号が、信号検出部120A1及び信号検出部120A2により同時に検出される。そして、これらの検出結果が、制御部170Dにおいて所定の処理が施された後、表示デバイス(不図示)に表示する等される。
なお、シフト方向指定SDC1のシフト方向が+側であった場合には、信号検出部120A1においては、信号C0における角周波数(ωHP−ωSH)よりも高い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分が検出される。また、シフト方向指定SDC2のシフト方向が−側であった場合には、信号検出部120A2においては、信号C0における角周波数(ωLP+ωSL)よりも低い角周波数に対応する周波数帯域の信号成分が検出される。
以上説明したように、本実施形態では、第1〜第3実施形態の場合と同様に、信号源910からの信号C0の同相信号C1及びその直交信号S1を周波数シフトした後、固定的な周波数帯域を固定的なフィルタで抽出して検出する。したがって、信号源910が含む周波数成分中における所望の周波数帯域の周波数成分を、簡易に検出することができる。
また、2つの信号検出部120A1及び信号検出部120A2により並行して信号検出を行うので、信号源910からの信号C0における所望の2つの異なる周波数帯の信号成分を同時に検出することができる。例えば、希望局からの放送波の周辺における妨害波に由来する信号を検出することができる。
[実施形態の変形]
本発明は、上記の第1〜第4実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記の第1〜第4実施形態では、信号源910の信号C0が上述の(1)式で表されるものとしたが、より一般的な次の(17)式で表される場合であっても、上記の第1〜第3実施形態の場合と同様に、所望の周波数帯域の信号成分を検出することができる。
C0(t)=F1・cos(ω1・t+φ1)+F2・cos(ω2・t+φ2)+・・・
…(17)
この場合には、直交信号生成部110は、90°移相器又はヒルベルト変換器等を備え、信号C0の同相信号C1と、信号C1の直交信号S1を生成するようにすればよい。
また、上記の第1〜第4実施形態では、信号源910の信号C0から信号C0の同相信号C1及びその直交信号S1を生成するようにしたが、信号源から同相信号及びその直交信号が出力される場合には、直交信号生成部110を省略することができる。
また、上記の第1〜第3実施形態では、フィルタ部150がハイパス特性を有するようにしたが、ローパス特性、バンドパス特性、又はこれらの組合せ特性を有するようにすることもできる。
また、上記の第1実施形態では、操作入力デバイスからは、個別のシフト周波数とシフト方向が入力されるようにしたが、周波数シフト量の範囲を入力できるようにし、その範囲内で周波数シフト量を自動的に変化させつつ、信号検出を行うようにすることもできる。
また、第1実施形態に対する第2実施形態への変形、すなわち、符号付のシフト周波数の指定の採用を、第3及び第4実施形態に適用することもできる。
また、第1実施形態に対する第3実施形態への変形、すなわち、検出結果を考慮したシフト周波数量の自動的な変更の採用を、第2及び第4実施形態に適用することもできる。
また、上記の第1〜第3実施形態では1つの信号検出部120Aを備え、上記の第4実施形態では2つの信号検出部120A1,120A2を備えるようにしたが、信号検出部120Aと同等な信号検出部を3つ以上備えるようにして、信号検出装置を構成するようにしてもよい。
また、上記の第1〜第4実施形態では、信号源910の信号C0を直交変調した信号S1を上述の(3)式で表される信号としたが、下記(18)式で表される場合であっても、シフト算出部における乗算又は加減算等を変更することにより、上記の第1〜第4実施形態の場合と同様に、所望の周波数帯域の信号成分を検出することができる。
S1(t)=F(t)・(−sin(ωC・t+φ)) …(18)
また、第1〜第4実施形態における直交信号生成部及び信号検出部の機能は、信号源910からデジタル形式で信号C0が出力される場合には、DSP(Digital Signal Processor)におけるプログラムの実行によっても実現することができる。かかる場合には、上記の局部発振部130の機能は、位相又は角周波数の指定に従って、sin及びcosのテーブル参照をすることにより、上記C2,S2信号を発生させるようにすることができる。なお、これらのプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
本発明の第1実施形態に係る信号検出装置の概略的な構成を示すブロック図である。 図1の装置における直交信号生成部の構成を示すブロック図である。 図1の装置における局部発振部の構成を示すブロック図である。 図1の装置におけるシフト算出部の構成を示すブロック図である。 図1の装置におけるフィルタ部の構成を示すブロック図である。 図5のフィルタの特性の例を説明するための図である。 図1の装置における検出部の構成を示すブロック図である。 図1の装置による信号検出動作を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る信号検出装置の概略的な構成を示すブロック図である。 図9の装置におけるシフト算出部の構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る信号検出装置の概略的な構成を示すブロック図である。 図11の装置による信号検出動作を説明するための図である。 本発明の第4実施形態に係る信号検出装置の概略的な構成を示すブロック図である。 図13の装置におけるフィルタの特性の例を説明するための図(その1)である。 図13の装置におけるフィルタの特性の例を説明するための図(その2)である。 図13の装置による信号検出動作を説明するための図である。
符号の説明
100A〜100D … 信号検出装置
110 … 直交信号生成部(信号生成手段)
150 … フィルタ部(フィルタ手段)
160 … 検出部(信号検出手段)
170A〜170D … 制御部(周波数シフト制御手段)
190A,190B … 周波数シフト部(周波数シフト手段)

Claims (5)

  1. 第1信号及び前記第1信号の直交信号である第2信号に関する周波数のシフト量であるシフト周波数及びシフト方向に基づいて、前記第1信号の周波数成分の周波数が前記シフト方向に前記シフト周波数だけシフトされた第3信号、及び、前記第2信号の周波数成分の周波数が前記シフト方向に前記シフト周波数だけシフトされた第4信号を生成する周波数シフト手段と;
    前記第3信号及び前記第4信号に含まれる予め定められた範囲の周波数の信号成分を選択的に通過させるフィルタ手段と;
    前記フィルタ手段を通過した信号を検出する信号検出手段と;を備えることを特徴とする信号検出装置。
  2. 前記周波数シフト手段に対して前記シフト周波数及び前記シフト方向を指定する周波数シフト制御手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の信号検出装置。
  3. 前記周波数シフト制御手段は、前記検出手段による検出結果を考慮して、前記シフト周波数及び前記シフト方向を決定する、ことを特徴とする請求項2に記載の信号検出装置。
  4. 外部からの入力信号から、前記第1信号を前記入力信号の同相信号として生成するとともに、前記第2信号を前記入力信号の直交信号として生成する信号生成手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の信号検出装置。
  5. 第1信号及び前記第1信号の直交信号である第2信号に関する周波数のシフト量であるシフト周波数及びシフト方向に基づいて、前記第1信号の周波数成分の周波数が前記シフト方向に前記シフト周波数だけシフトされた第3信号、及び、前記第2信号の周波数成分の周波数が前記シフト方向に前記シフト周波数だけシフトされた第4信号を生成する周波数シフト工程と;
    前記第3信号及び前記第4信号に含まれる予め定められた範囲の周波数の信号成分を選択するフィルタリング工程と;
    前記フィルタリング工程において選択された信号成分を検出する信号検出工程と;を備える信号検出方法。




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