JP2008021886A - 窒化物半導体発光ダイオード素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】ストライプ状の凹凸構造を含む窒化物LEDにおける、光取出し効率の更なる改善を図ること。
【解決手段】窒化物半導体発光ダイオード素子10は、透明基板11Aと複数の窒化物半導体層11B、12A、12B、12Cとからなる積層体構造を有しており、該積層体構造の透明基板11Aを除く部分に、pn接合型の発光素子構造を構成する複数の窒化物半導体層12A、12B、12Cが含まれている。上記積層体構造は、一方の面にストライプ状の凹凸構造が形成されたベース層と、該凹凸構造を埋め込んで、該一方の面を覆っており、かつ、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペアであって、ベース層に形成されたストライプ状の凹凸構造のストライプ方向どうしが直交している、2つのベース層/埋め込み層ペア(11A/11B)、(11B/12A)を含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体を用いて形成されたpn接合型の発光素子構造を備える窒化物半導体発光ダイオード素子(以下、「窒化物LED」ともいう。)に関し、特に、窒化物LEDの光取出し効率を改善するための技術に関する。
窒化物半導体は、一般式AlInGa1−a−bN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦a+b≦1)で表される化合物半導体であり、3族窒化物半導体などとも呼ばれている。上記化学式において、3族元素の一部をB(ホウ素)、Tl(タリウム)などで置換したもの、また、N(窒素)の一部をP(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)などで置換したものも、窒化物半導体に含まれる。現在、窒化物LEDは表示装置用の光源として広く使用されているが、照明装置用の光源としても期待されており、そのために、窒化物LEDの発光効率の更なる改善を目的とした研究開発が盛んに行われている。
図3は窒化物LEDの典型的な構造を例示する断面図である。この図に示す窒化物LED100は、サファイア基板101の上に、図示しないバッファ層(膜厚約20nm)を介して、発光素子構造を構成するn型GaNクラッド層102A、InGaN発光層102Bおよびp型GaNクラッド層102Cを含むエピタキシャル成長層102を積層し、ドライエッチングにより形成したn型GaNクラッド層102Aの露出面に負電極P101を形成し、p型GaNクラッド層102C上のほぼ全面に透光性を有する金属薄膜(膜厚約10nm)からなる正電極P102を形成することにより、構成されている。この窒化物LED100は、窒化物半導体層S(=エピタキシャル成長層102)をコア(導波部)とする面状の導波路構造の形成を原因とする、光取出し効率の低下という問題を有している。これは、窒化物半導体層Sを挟むサファイア基板および空気が(空気は薄い正電極を介して窒化物半導体層Sを挟んでいる。)、いずれも窒化物半導体より低い屈折率を有しているからである。発光層22Bで生じる光は、この導波路構造中に形成される導波モードが安定である程、窒化物半導体層Sに閉じ込められる傾向が強くなり、素子外に取出される確率が低くなる。
表面に凹凸構造を形成した結晶基板を用いて、窒化物半導体層をコアとする導波路構造中を伝播する光の導波モードを不安定化することにより、光取出し効率の改善を図った窒化物LEDが知られている(特許文献1)。図4は、このような窒化物LEDの構造を例示する断面図である。この図に示す窒化物LED200は、ストライプ状の溝が複数、平行に形成されたサファイア基板201A上に、この溝を埋め込むようにAlN層201Bを成長させてなるエピタキシャル成長用基板201を用いて、その上に、発光素子構造を構成するn型GaNクラッド層202A、InGaN発光層202Bおよびp型GaNクラッド層202Cを含むエピタキシャル成長層202を形成することにより、構成されている(特許文献2)。なお、図4(a)は、サファイア基板201の表面に形成されたストライプ状の溝のストライプ方向に直交する断面を見た断面図、図4(b)は、上記ストライプ方向に平行な断面を見た断面図である。
特開2002−280611号公報 特開2001−210598号公報
本発明者等の経験によれば、表面に凹凸構造を形成した結晶基板上に窒化物半導体結晶層を成長させる場合、図4に示す窒化物LED200に含まれるサファイア基板201Aのように、凹凸構造をストライプ状とすると、その上に窒化物半導体結晶を成長させて該凹凸構造を埋め込む際に不良が発生し難く、製造歩留りが良好となる。ここで、不良とは、例えば、凹部から成長した結晶と凸部から成長した結晶との融合が不完全となる不良である。その一方で、サファイア基板201Aの表面の凹凸構造がストライプ状であるために、窒化物LED200においては光取出し効率の改善が不十分となる。従って、本発明の目的は、ストライプ状の凹凸構造を含む窒化物LEDにおける、光取出し効率の更なる改善を図ることである。
本発明者等は、図4に示す窒化物LED200における、上述の導波モードの不安定化による光取出し効率の改善が不十分である理由について、次のように考えた。
窒化物LED200では、サファイア基板201の表面に形成されたストライプ状の凹凸構造の、ストライプ方向に直交する方向に沿って、窒化物半導体層Sの厚さが変動している。つまり、窒化物半導体層Sをコアとする導波路の構造が、この方向に沿って変動している。よって、この導波路構造中を、この方向に伝播する光成分の導波モードは不安定となる。一方、上記凹凸構造のストライプ方向について見ると、窒化物半導体層Sの厚さは一定であって、導波路構造に変動はなく、そのために、この方向に伝播する光成分の導波モードは不安定化されない。
そこで、本発明者等は、窒化物LED200の光取出し効率を改善するには、このストライプ方向に伝播する光成分の導波モードを不安定化させる構造を付与すればよいと考えた。
本発明は、このような考察に基づき、完成されたものである。
本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子は次の特徴を有する。
(1)透明基板と複数の窒化物半導体層とからなる積層体構造を有し、該積層体構造の透明基板を除く部分に、pn接合型の発光素子構造を構成する複数の窒化物半導体層が含まれている、窒化物半導体発光ダイオード素子であって、上記積層体構造が、下記(A)のベース層/埋め込み層ペアであって、ベース層に形成されたストライプ状の凹凸構造のストライプ方向どうしが平行でない、2つのベース層/埋め込み層ペアを含んでいる、窒化物半導体発光ダイオード素子。
(A)一方の面にストライプ状の凹凸構造が形成されたベース層と、該凹凸構造を埋め込んで、該一方の面を覆っており、かつ、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペア。
(2)素子を上面視したとき、ベース層に形成されたストライプ状の凹凸構造のストライプ方向どうしがなす角が90度である、2つの上記(A)のベース層/埋め込み層ペアを含む、上記(1)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
(3)上記積層体構造に含まれる上記(A)のベース層/埋め込み層ペアの数が2つである、上記(1)または(2)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
(4)ベース層が透明基板であり、埋め込み層が窒化物半導体層である、上記(A)のベース層/埋め込み層ペアを含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
(5)上記透明基板が結晶基板であり、上記窒化物半導体層が、該結晶基板上に直接またはバッファ層を介して成長した窒化物半導体層である、上記(4)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
(6)上記透明基板がガラス基板である、上記(4)に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
(7)上記(A)のベース層/埋め込み層ペアが、下記(B)のベース層/埋め込み層ペアである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
(B)一方の面にストライプ状の溝が形成されたベース層と、該溝を埋め込んで、該一方の面を覆っており、かつ、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペア。
(8)透明基板と複数の窒化物半導体層とからなる積層体構造を有し、該積層体構造の透明基板を除く部分に、pn接合型の発光素子構造を構成する複数の窒化物半導体層が含まれている、窒化物半導体発光ダイオード素子であって、上記積層体構造が、下記(C)のベース層/埋め込み層ペアおよび下記(D)のベース層/埋め込み層ペアを含んでいる、窒化物半導体発光ダイオード素子。
(C)一方の面にストライプ状の凹凸構造が形成されたベース層と、該凹凸構造を埋め込んで、該一方の面を覆っており、かつ、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペア。
(D)一方の面にドット状の凹凸構造またはランダムな凹凸構造が形成されたベース層と、該凹凸構造を埋め込んで、該一方の面を覆っており、かつ、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペア。
本発明の窒化物半導体発光ダイオード素子は、ベース層の表面に形成された凹凸構造がストライプ状の凹凸構造である、ベース層/埋め込み層ペアを有するものであるために、歩留りよく製造することができる。そして、光取出し効率の改善によって高い発光効率を示すので、照明装置用の光源として好適に用いることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る窒化物LEDの構造を示す図である。この図に示す窒化物LED10は、ストライプ状の溝T11が複数形成されたサファイア基板11A上に、この溝を埋め込むようにアンドープのAlN層11Bを成長させてなるエピタキシャル成長用基板11を用いており、図1(a)は、このストライプ状の溝T11のストライプ方向に直交する断面を見た断面図、図1(b)は、該ストライプ方向に平行な断面を見た断面図である。AlN層11Bの表面には、溝T11のストライプ方向と直交するストライプ方向を有する、溝T12が複数形成されている。エピタキシャル成長用基板11の上には、このストライプ状の溝T12を埋め込んで、発光素子構造を構成するn型GaNクラッド層12A、InGaN発光層12Bおよびp型GaNクラッド層12Cを含むエピタキシャル成長層12が形成されている。p型GaNクラッド層12C上のほぼ全面には、透光性を有する金属薄膜からなる正電極P12が形成されている。
図1に示すように、窒化物LED10の内部には、一方の面にストライプ状の凹凸構造が形成されたベース層と、この凹凸構造を埋め込んで、この一方の面を覆っている、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペアが、2つ形成されている。第1のベース層/埋め込み層ペアは、サファイア基板11AとAlN層11Bとから構成されており、第2のベース層/埋め込み層ペアは、AlN層11Bとn型GaNクラッド層12Aとから構成されている。素子を上面視すると、これら2つのベース層/埋め込み層ペアのベース層に形成されたストライプ状の溝T11、T12の、それぞれのストライプ方向は、互いに直交している。そのために、この窒化物LED10の光取り出し効率は、図4に示す従来の窒化物LED200のそれよりも高くなる。なぜなら、窒化物半導体層Sをコアとする導波路構造中を伝播する光のうち、溝T11のストライプ方向に直交する方向に伝播する光成分の導波モードが、第1のベース層/埋め込み層ペアを設けたことによって不安定化されるのに加えて、溝T11のストライプ方向に伝播する光成分の導波モードが、第2のベース層/埋め込み層ペアを設けたことによって不安定化されるからである。
窒化物LED10では、AlN層11Bの上面にストライプ状の溝T12が設けられ、n型GaNクラッド層12Aがこれを埋め込んでいることから、窒化物半導体層Sに占めるAlN層11Bの比率とn型GaNクラッド層12Aの比率が、溝T12のストライプ方向に直交する方向(=溝T11のストライプ方向)に沿って変動している。これは、窒化物半導体層Sの光学特性が、この方向に沿って変動しているということである(AlNとGaNとは屈折率が異なるため)。従って、この窒化物半導体層Sをコアとする導波路構造も、この方向に沿って変動しており、そのために、この導波路構造中を、溝T12のストライプ方向に直交する方向に伝播する光成分の導波モードは不安定となる。よって、この光成分は該導波路構造から漏れ出し易くなり、素子外部に取出される確率が高くなる。
図1に示す窒化物LEDは、次のようにして製造することができる。
サファイア基板11AやAlN層11Bの表面にストライプ状の溝T11を形成する方法としては、ドライエッチング、ウェットエッチングなどのエッチング法が挙げられる。好ましい方法は、反応性イオンエッチング法であり、使用するエッチングガスとしては、塩素系ガス(塩素置換した炭化水素を含む)、フッ素系ガス(フッ素置換した炭化水素を含む)が挙げられる。
サファイア基板11A上に、溝T11を埋め込んでAlN層11Bを成長させる方法としては、MOVPE法(有機金属化合物気相成長法)、HVPE法(ハイドライド気相成長法)、MBE法(分子ビームエピタキシー法)などの、窒化物半導体の結晶成長技術の分野でよく知られた気相エピタキシャル成長法が挙げられる。また、液相成長法を用いることもできる。AlN層11Bの成長面の平坦性が高い場合には、成長したままのAlN層11Bの表面に溝T12の加工を行ってよい。成長したままのAlN層11Bの表面の平坦性が低い場合には、化学機械研磨などの方法で平坦性を高くしたうえで、溝T12の加工を行うことが好ましい。
AlN層11Bの上にエピタキシャル成長層12を成長させる方法としては、上記の気相エピタキシャル成長法が挙げられる。特に好ましい方法は、MOVPE法である。InGaNはGaNよりも最適成長温度が低いことは、この分野ではよく知られている。負電極P11、正電極P12の形成は、窒化物LEDの技術分野で通常用いられている方法により行うことができる。図1には示していないが、正電極P12上などへの接点用電極(ボンディングパッド)の形成は、適宜行うことができる。ウェハからチップを切り出す方法についても、この分野における周知の技術を参照することができる。
次に、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に示す窒化物LED10で用いられているサファイア基板11Aは、SiC、GaN、AlGaN、AlN、GaP、スピネル、ZnO、NGO(NdGaO)、LGO(LiGaO)、LAO(LaAlO)、ZrB、TiBなどからなる単結晶基板に置き換えることができる。これらの単結晶基板は、いずれも窒化物半導体結晶のエピタキシャル成長に適した透明基板である。単結晶基板上に窒化物半導体結晶を成長させる際には、周知のバッファ層技術を適宜用いることができる。SiC基板、GaN基板、ZnO基板などの導電性基板(半導体基板)を用いる場合には、素子に設ける電極の一方を基板の表面に形成し、基板を経由して窒化物半導体層に電流を供給する構成を採用することもできる。
窒化物LED10において、サファイア基板11Aをガラス基板に置換することもできる。この置換は、サファイア基板上に窒化物半導体層の成長を行った後、リン酸を用いてサファイア基板を溶解除去し、露出した窒化物半導体層の表面に、ガラス部材を熱圧着により接合することによって行う。ガラス部材の材料や熱圧着の方法については、特開2005−347700号公報、特開2006−41479号公報などを参照することができる。ガラス基板への置換を行う場合には、窒化物半導体層を成長させる際に用いる結晶基板は、透明基板である必要はない。よって、結晶基板としてSi基板、GaAs基板、ZnO基板など、窒化物半導体層に殆ど影響を与えることのない条件下で、選択的にエッチングまたは溶解して除去することのできる基板を、好ましく用いることができる。
窒化物LED10では、ベース層/埋め込み層ペアのベース層の表面に、ストライプ状の溝が複数加工されているが、ベース層に形成するストライプ状の凹凸構造はこれに限定されない。このストライプ状の凹凸構造は、例えば、平坦面にストライプ状の溝が1本だけ加工されたものや、平坦面上にストライプ状のリッジが1本または数本、設けられたものであってもよい。溝やリッジの断面形状としては、図2(a)に示す矩形状、図2(b)に示す台形状、図2(c)に示すV字状、図2(d)に示す半円状など、種々の形状が例示される。複数の溝またはリッジを平行に形成してなる凹凸構造の場合、それぞれの溝またはリッジの形状およびサイズ、隣接する溝またはリッジの間の間隔を一定として、凹凸パターンを周期的なものとすることが好ましい。そうした方が、窒化物半導体を成長させて凹凸構造を埋め込む際に、不良が発生し難くなるからである。
ベース層に形成するストライプ状の凹凸構造における、溝の深さまたはリッジの高さ、凹凸パターンを周期的パターンとする場合の周期(ストライプに直交する方向の周期)は、窒化物半導体層を伝播する光の導波モードに対して、凹凸構造が影響を与え得る大きさに設定する必要がある。典型的な窒化物LEDを例にすると、窒化物半導体の屈折率が2〜3、発光波長が360nm〜560nmであるから、窒化物半導体層中を伝播する光の波長範囲は120nm〜280nmとなる。よって、溝の深さまたはリッジの高さ、凹凸パターンの周期は、好ましくは、0.2μm以上である。凹凸構造が上記導波モードに与える影響を十分大きくするには、溝の深さまたはリッジの高さは0.5μm以上とすることがより好ましく、1μm以上とすることが、更に好ましい。溝の深さまたはリッジの高さが同じである場合には、ベース層と埋め込み層の屈折率差が大きい程、凹凸構造が上記導波モードに与える影響は大きくなる。溝の深さまたはリッジの高さは、大きくし過ぎると、加工が難しくなる他、加工に要する時間やエネルギーが過大となるので、5μm以下とすることが好ましい。凹凸パターンの周期は、小さ過ぎると加工が難しくなり、大き過ぎると凹凸構造が上記導波モードに与える影響が小さくなることから、好ましくは1μm〜10μmである。
ベース層にストライプ状の凹凸構造を形成した2つのベース層/埋め込み層ペアを設ける場合、図1に示す窒化物LED10のように、素子を上面視したときの、各ベース層の凹凸構造のストライプ方向どうしがなす角を90度としたとき、光取出し効率の改善効果が最大となる。一方、このストライプ方向どうしがなす角度が0度に近づく程、光取出し効率の改善効果は低くなる。この角度が10度未満では、2つのストライプは実質的に平行となり、大きな光取出し効率の改善効果は望めなくなる。窒化物半導体層の結晶方位との関係におけるストライプ方向は任意であってよいが、窒化物半導体層がC軸配向している場合(結晶層の厚さ方向がC軸方向である場合)には、ストライプ方向を窒化物半導体結晶の〈11−20〉方向または〈1−100〉方向とすると、凹凸構造を埋め込む際に不良が発生し難くなる。
図1に示す窒化物LED10では、素子中に設けられたベース層/埋め込み層ペアの数が2つであるが、2つ以上のベース層/埋め込み層ペアを設けてもよい。例えば、3つのベース層/埋め込み層ペアを、任意の2つのベース層に形成されたストライプ状の凹凸構造のストライプ方向を素子の上面側から見たとき、それらのなす角度が60度となるように設けることができる。ただし、ベース層/埋め込み層ペアの数を多くすると、LEDの製造に要する時間が長くなり、製造コストが高くなることから、ひとつの素子に設けるベース層/埋め込み層ペアの数は、好ましくは、2つである。
図1に示す窒化物LED10では、ベース層/埋め込み層ペアのひとつが、透明基板と窒化物半導体層とで構成されているが、かかる構成は必須ではなく、本発明の窒化物LEDは、屈折率の異なる窒化物半導体層どうしの間で構成されたベース層/埋め込み層ペアのみを含むように構成してもよい。しかし、透明基板と窒化物半導体層との間には、大きな屈折率差を容易に設けることができるので、ベース層/埋め込み層ペアのひとつは、透明基板と窒化物半導体層とで構成することが好ましい。
図1に示す窒化物LED10では、2つのベース層/埋め込み層ペアのいずれにおいても、ベース層に形成された凹凸構造がストライプ状であるが、一方のベース層に形成する凹凸構造を、ドット状の凹凸構造あるいはランダムな凹凸構造としても、光取出し効率を改善できる。ドット状の凹凸構造とは、その上面形状が、円形、楕円形、正方形、方形、ひし形、平行四辺形、正多角形、多角形、その他これに類似した形状である、凸部または凹部が、規則的に配置された凹凸パターンを備えた凹凸構造である。このような凹凸構造は、ストライプ状の凹凸構造を形成する場合と同様に、フォトリソグラフィのようなパターニング手法を利用して、ベース層の表面を加工することにより形成することができる。ランダムな凹凸構造は、例えば、窒化物半導体結晶を、成長面が平坦となる成長温度よりも低温で成長させたときに得られる凹凸構造で、一定形状のピットが不規則的に分散してなる凹凸構造や、先端の尖った突起状の結晶体が密集してなる凹凸構造が挙げられる。ドット状の凹凸構造やランダムな凹凸構造は、ストライプ状の凹凸構造と比べて、窒化物半導体で埋め込む際に不良が発生する確率が高い。
本発明の窒化物LEDにおいて、複数の窒化物半導体層によって構成する発光素子構造はpn接合型とする。発光素子構造は、好ましくは、ダブルヘテロ型とし、より好ましくは、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造の発光層を備えたものとする。発光素子構造の詳細な構成については、この分野における周知の技術を適宜参照して設定することができる。
図1に示す窒化物LED10では、正電極P12を金属薄膜からなる透光性電極としているが、これに限定されるものではなく、開口部を通して光を透過させる開口電極や、光を透過せずに反射する金属電極、あるいは、ITO(インジウム錫酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等の透明導電性酸化物からなる透明電極に置換することができる。開口電極を用いた場合には、開口部において窒化物半導体層と空気との屈折率差による光反射が生じ、光を透過せずに反射する金属電極を用いた場合には、金属電極の下面で光反射が生じ、透明導電性酸化物からなる電極を用いた場合には、窒化物半導体と透明導電性酸化物との界面で屈折率差による反射が生じるので、いずれの電極に置換した場合であっても、窒化物半導体層Sを導波部とする導波路構造が形成されることに変わりはない。従って、窒化物LED10と同様に、第1および第2のベース層/埋め込み層ペアを設けることにより、該導波路構造内を伝播する光の導波モードの不安定化を促進することによって、その光取出し効率を改善することができる。
本発明の実施形態に係る窒化物LEDの構造を例示する図である。 ストライプ状の凹凸構造に含まれる溝またはリッジの断面形状を例示する図である。 従来の窒化物LEDの構造を例示する図である。 従来の窒化物LEDの構造を例示する図である。
符号の説明
10 窒化物半導体発光ダイオード素子
11 エピタキシャル成長用基板
11A サファイア基板
11B AlN層
12 エピタキシャル成長層
12A n型GaNクラッド層
12B InGaN発光層
12C p型GaNクラッド層
P11 負電極
P12 正電極
S 窒化物半導体層
T11、T12 ストライプ状の溝

Claims (8)

  1. 透明基板と複数の窒化物半導体層とからなる積層体構造を有し、
    該積層体構造の透明基板を除く部分に、pn接合型の発光素子構造を構成する複数の窒化物半導体層が含まれている、窒化物半導体発光ダイオード素子であって、
    上記積層体構造が、下記(A)のベース層/埋め込み層ペアであって、ベース層に形成されたストライプ状の凹凸構造のストライプ方向どうしが平行でない、2つのベース層/埋め込み層ペアを含んでいる、窒化物半導体発光ダイオード素子。
    (A)一方の面にストライプ状の凹凸構造が形成されたベース層と、該凹凸構造を埋め込んで、該一方の面を覆っており、かつ、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペア。
  2. 素子を上面視したとき、ベース層に形成されたストライプ状の凹凸構造のストライプ方向どうしがなす角が90度である、2つの上記(A)のベース層/埋め込み層ペアを含む、請求項1に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
  3. 上記積層体構造に含まれる上記(A)のベース層/埋め込み層ペアの数が2つである、請求項1または2に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
  4. ベース層が透明基板であり、埋め込み層が窒化物半導体層である、上記(A)のベース層/埋め込み層ペアを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
  5. 上記透明基板が結晶基板であり、上記窒化物半導体層が、該結晶基板上に直接またはバッファ層を介して成長した窒化物半導体層である、請求項4に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
  6. 上記透明基板がガラス基板である、請求項4に記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
  7. 上記(A)のベース層/埋め込み層ペアが、下記(B)のベース層/埋め込み層ペアである、請求項1〜6のいずれかに記載の窒化物半導体発光ダイオード素子。
    (B)一方の面にストライプ状の溝が形成されたベース層と、該溝を埋め込んで、該一方の面を覆っており、かつ、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペア。
  8. 透明基板と複数の窒化物半導体層とからなる積層体構造を有し、
    該積層体構造の透明基板を除く部分に、pn接合型の発光素子構造を構成する複数の窒化物半導体層が含まれている、窒化物半導体発光ダイオード素子であって、
    上記積層体構造が、下記(C)のベース層/埋め込み層ペアおよび下記(D)のベース層/埋め込み層ペアを含んでいる、窒化物半導体発光ダイオード素子。
    (C)一方の面にストライプ状の凹凸構造が形成されたベース層と、該凹凸構造を埋め込んで、該一方の面を覆っており、かつ、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペア。
    (D)一方の面にドット状の凹凸構造またはランダムな凹凸構造が形成されたベース層と、該凹凸構造を埋め込んで、該一方の面を覆っており、かつ、ベース層とは異なる屈折率を有する埋め込み層と、からなるベース層/埋め込み層ペア。
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