JP2007329382A - GaN系発光ダイオード素子 - Google Patents

GaN系発光ダイオード素子 Download PDF

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浩一 谷口
Susumu Hiraoka
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Abstract

【課題】加工基板の上に発光素子構造を含むGaN系半導体層を形成したGaN系発光ダイオード素子のような、屈曲した屈折率界面を利用して光取出し効率の向上を図るGaN系発光ダイオード素子における、光取出し効率の更なる改善を目的とする。
【解決手段】GaN系半導体層20は、凹部および凸部を有する主面Sと発光層22との間であって、該主面Sからの距離が、該主面Sから該発光層22までの距離Dの1/2以下である領域に、該主面Sの側に向かって屈折率が上昇する部分を有している。
【選択図】図1

Description

本発明はGaN系発光ダイオード素子に関し、特に発光出力の改善されたGaN系発光ダイオード素子に関する。
一般式AlInGa1−a−bN(0≦a<1、0≦b<1、0≦a+b<1)で表されるGaN(窒化ガリウム)系半導体が公知である。GaN系半導体は、GaN、InGaN、AlGaN、AlInGaNなど、任意の組成のものを含む。上記化学式において、Ga(ガリウム)の一部をB(ホウ素)、Tl(タリウム)などで置換したもの、また、N(窒素)の一部をP(リン)、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)などで置換したものも、GaN系半導体に含まれる。
GaN系半導体で発光ダイオード構造を構成したGaN系発光ダイオード素子(以下「GaN系LED」ともいう。)が実用化されている。特に、p型伝導性層とn型伝導性層とで発光層を挟んだダブルヘテロpn接合型の発光ダイオード構造を有するGaN系LEDは高出力を示し、表示用・装飾用の光源として広く用いられている。かかるGaN系LEDは、典型的には、サファイア基板上に、バッファ層を介して、SiドープGaNからなるn型コンタクト層(兼クラッド層)、InGaN層を井戸層として含む量子井戸構造の発光層、MgドープAlGaNからなるp型クラッド層、MgドープGaNからなるp型コンタクト層を、この順に積層し、n型コンタクト層上に負電極、p型コンタクト層上に正電極を形成することにより構成される。サファイア基板上にGaN系半導体層を形成する方法としては、工業的には、MOVPE法(有機金属化合物気相成長法)が一般的である。
近年、結晶成長面を加工して凹凸面とした基板(以下、「加工基板(Patterned Substrate)」ともいう。)の上に、発光ダイオード構造を含むGaN系半導体層を形成したGaN系LED(以下「PS−LED」ともいう。)が開発され、注目を集めている(特許文献1)。図8は、従来技術に係るPS−LEDの構造例を模式的に示す断面図で、サファイア基板を加工してなる加工基板100の表面には、エッチング加工によって幅3μm、深さ1μmの溝が3μm間隔で多数形成され、その上にMOVPE法により成長されたGaN系半導体層200が形成されている。GaN系半導体層200は、加工基板100側から順に、n側層201、発光層202、p側層203を含んでいる。n側層201は、発光層から見て負電極が形成される側に位置する層であり、加工基板100上に形成された低温GaNバッファ層(図示せず)と、その上に、加工基板の表面の溝を埋め込んで成長したアンドープGaN層201aと、その上に積層されたSiドープn型GaNコンタクト層201bとから構成されている。p側層203は、発光層から見て正電極が形成される側に位置する層であり、Mgドープp型AlGaNクラッド層203aと、Mgドープp型GaNコンタクト層203bとから構成されている。発光層202は、膜厚10nmのGaN障壁層と膜厚3nmのInGaN井戸層とを交互に10層ずつ積層してなるMQW層である。300は負電極であり、エッチングにより部分的に露出したSiドープn型GaNコンタクト層201bの表面に形成されている。400は正電極であり、Mgドープp型GaNコンタクト層の上面に形成されている。
図8に示すPS−LEDでは、低温GaNバッファ層およびアンドープGaN層201aが、加工基板100の表面の凹部を充填している。そのために、このGaN系半導体層200の下面は、加工基板100の表面形状に対応した屈曲面となっている。そして、GaN系半導体層200と加工基板100との間には、GaN系半導体層200側を高屈折率側とする、屈曲した屈折率界面(屈折率が不連続的に変化する界面)が形成されている。この屈曲した屈折率界面の影響によって、GaN系半導体層200の内部を横方向(層の厚さ方向に直交する方向)に伝播する光の進行方向が変わり、素子の光取出し面に向かう光の量が増加する。
特開2002−280611号公報
しかしながら、図8に示すPS−LEDでは、上記屈曲した屈折率界面が十分有効に利用されているとはいえない。なぜなら、このPS−LEDでは、GaN系半導体層200の内部を横方向に伝播する光が発光層202に強く閉じ込められるために、上記屈曲した屈折率界面とこの光との相互作用が大きくないからである。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、発光出力の改善されたGaN系LEDを提供することを目的とする。本発明は、特に、PS−LEDのような、屈曲した屈折率界面を利用して光取出し効率の向上を図るGaN系LEDにおける、光取出し効率の更なる改善を目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、次の特徴を有するGaN系LEDを提供する。
(1)発光層と、該発光層を挟むn側層およびp側層と、からなるGaN系半導体層を備え、該GaN系半導体層が、その少なくとも一方の主面に凹部および凸部を有し、かつ、該凹部および凸部を有する主面の側においてGaN系半導体以外の透明物質と接しており、該GaN系半導体層と該透明物質との間に、該GaN系半導体層側を高屈折率側とする、屈曲した屈折率界面が形成されているGaN系発光ダイオード素子であって、前記GaN系半導体層は、前記凹部および凸部を有する主面と前記発光層との間であって、該主面からの距離が、該主面から該発光層までの距離の1/2以下である領域に、該主面の側に向かって屈折率が上昇する部分を有している、GaN系発光ダイオード素子。
(2)前記透明物質が基板である、前記(1)に記載のGaN系発光ダイオード素子。
(3)前記透明物質が、透明導電膜、絶縁保護膜、封止材または空気から選ばれる1つ以上の物質を含む、前記(1)に記載の系発光ダイオード素子。
(4)前記屈折率が上昇する部分が、異なる非超格子層の積層により形成されている、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード素子。
(5)前記異なる非超格子層がGaN層とInGaN層である、前記(4)に記載のGaN系発光ダイオード素子。
(6)前記屈折率が上昇する部分が、異なる超格子層の積層により形成されている、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード素子。
(7)前記屈折率が上昇する部分が、超格子層の内部に形成されている、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード素子。
(8)前記屈折率が上昇する部分が、超格子層と非超格子層との積層により形成されている、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード素子。
(9)前記超格子層がGaN/InGaN超格子層であり、前記非超格子層がGaN層である、前記(8)に記載のGaN系発光ダイオード素子。
(10)前記超格子層がGaN/AlGaN超格子層であり、前記非超格子層がGaN層である、前記(8)に記載のGaN系発光ダイオード素子。
図8に示す従来のPS−LEDでは、GaN系半導体層200が、InGaN井戸層とGaN障壁層とからなる発光層203を有しており、この発光層を、GaNからなるn側層201と、AlGaNおよびGaNからなるp側層203とが挟んでいる。GaNもAlGaNも、InGaNとGaNとからなる発光層203より低い屈折率を有しているために、GaN系半導体層200の内部を横方向に伝播する光の電磁界強度分布(層の厚さ方向の分布)は、発光層202の位置において最大となり、発光層から離れるにつれて指数関数的に減衰する。一方、n側層201は、加工基板の凸部上において5μm以上の膜厚を有している。これは、加工基板の表面の凹部を埋め込むために、アンドープGaN層を凸部上の膜厚が2μmを超えるまで成長させる必要があり、また、Siドープn型GaNコンタクト層は、そのシート抵抗が十分に低くなるように、3μm以上の厚さに形成する必要があるからである。その結果、GaN系半導体層200の下面と発光層202との距離dは5μm以上となっている。この距離は、GaN系半導体層200の内部を横方向に伝播する光の波長(=発光層で生じる光のGaN系半導体中における波長)に比べてずっと大きいことから、この光の電磁界強度分布は、GaN系半導体層200の下面の近傍では、発光層202の近傍に比べて著しく小さくなる。そのために、この光が屈曲した屈折率界面(基板100とGaN系半導体層200との界面)から受ける影響は小さく、光取出し効率の改善効果が十分に得られない。
これに対して、本発明に係るGaN系LEDでは、GaN系半導体層内部を横方向に伝播する光の電磁界強度分布が、屈曲した屈折率界面の側に寄るように、GaN系半導体層内部の屈折率分布を設定している。そうすることによって、該光と該屈折率界面との相互作用が強くなるので、該屈折率界面の影響によって光取出し面に向かう光の割合が増加し、LEDの光取出し効率が改善される。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るGaN系LEDの構造例を模式的に示す断面図である。このGaN系LEDはPS−LEDであり、加工基板10の表面には、エッチング加工によって、溝状の凹部が多数形成され、その表面上にGaN系半導体層20が形成されている。GaN系半導体層20は、加工基板10側から順に、n側層21、発光層22、p側層23を含んでいる。
n側層21は加工基板10の表面に形成された溝を埋め込んでおり、そのために、その下面(GaN系半導体層20の下面でもある)は、加工基板10の表面形状を反映した凹部および凸部を有する屈曲面となっている。
n側層21と加工基板10の間には、n側層21側を高屈折率側とする屈曲した屈折率界面が形成されている。
30は負電極であり、部分的に露出したn側層21の表面に形成されている。40は正電極であり、p側層23の上面に形成されている。
以下では、GaN系半導体層が、GaN系半導体以外の透明物質との間で屈曲した屈折率界面を構成する側の主面を、「構造化主面」と呼ぶことにする。図面においては、この構造化主面を記号Sで表すことにする。図1の例では、n側層21の下面が構造化主面Sである。
また、GaN系半導体層において、発光層に対し構造化主面の側に位置する層を「構造化層」と呼ぶことにする。図1の例では、構造化層はn側層21である。
図1に示すGaN系LEDの特徴は、構造化層(n側層21)の内部に、構造化主面S(n型層21の下面)の側に向かって屈折率が上昇する部分(以下「屈折率上昇部」という。)が設けられていることである。かかる構成によって、GaN系半導体層20の内部を横方向に伝播する光の電磁界強度分布が構造化主面S側、すなわち、屈曲した屈折率界面に近づく方向に寄せられる。なぜなら、光は屈折率の高い領域を伝播しようとする傾向を有しているからである。
ところで、図1に示すGaN系LEDにおいて、n側層、発光層、p側層の各層は、その一部に超格子層を含む構成としたり、または、その全部を超格子層とすることができる。ここで、超格子層とは、結晶組成の異なる膜厚数十nm以下のGaN系半導体薄膜を複数積層してなる層をいうものとする。超格子層を構成する薄膜のそれぞれの膜厚は、LEDの発光波長(GaN系半導体中での波長)に比べて小さいことから、超格子層を伝播する光が感じる屈折率は、各薄膜の屈折率ではなく、各薄膜の屈折率が平均化された屈折率となる。この平均化された屈折率については次のことがいえる。
(イ)Ala1Inb1Ga1−a1−b1N(屈折率:n)/Ala2Inb2Ga1−a2−b2N(屈折率:n)からなる超格子層における平均化された屈折率は、nが高いほど高く、また、nが高いほど高い。
(ロ)Ala1Inb1Ga1−a1−b1N(屈折率:n)/Ala2Inb2Ga1−a2−b2N(屈折率:n)からなる超格子層における平均化された屈折率は、n<nであるとき、nよりも高く、nよりも低い。
(ハ)Ala1Inb1Ga1−a1−b1N(屈折率:n)/Ala2Inb2Ga1−a2−b2N(屈折率:n)からなる超格子層における平均化された屈折率は、n1<n2であるとき、Ala1Inb1Ga1−a1−b1Nの体積分率が高いほど低く、Ala1Inb1Ga1−a1−b1Nの体積分率が低いほど高い。
図2および図3に、本発明に係るGaN系LEDの構造化層における屈折率分布の例を示す。図2(a)〜(d)、図3(e)〜(h)のそれぞれにおいて、横軸は構造化主面S(n側層21の下面)からの距離を示し、縦軸は屈折率を示す。Dは構造化主面Sから発光層22までの距離である。
図2(a)の例のように、屈折率上昇部は、構造化主面の側に向かって屈折率が連続的に上昇するものであってもよいし、図2(b)の例のように、構造化主面の側に向かって屈折率が段階的に上昇するものであってもよい。図2(c)の例のように、屈折率が段階的に上昇する屈折率上昇部を複数設けることもできる。屈折率上昇部は構造化層の内部に部分的に設けるだけでなく、図2(d)の例のように構造化層全体が屈折率上昇部となるようにしてもよい。図2(a)(d)の例では、屈折率が連続的に変化する屈折率上昇部における屈折率の変化率が一定であるが、変化させることもできる。
構造化層の内部には、構造化主面の側に向かって屈折率が下降する部分(以下「屈折率下降部」という。)が存在していてもよい。図3(e)の例では、屈折率上昇部よりも構造化主面側に、屈折率が連続的に変化している屈折率下降部が存在している。図3(f)の例では、屈折率上昇部よりも発光層側に屈折率下降部が存在している。図3(e)の例において、屈折率上昇部と屈折率下降部に挟まれた部分は、屈折率の極大部ということができる。図3(e)では極大部の数がひとつであるが、極大部は複数存在していてもよい。図3(g)の例では、極大部が2つ存在している。
構造化層(n側層21)内部の屈折率分布の好ましい態様として、構造化主面Sに近い側の領域、即ち、構造化主面Sからの距離が、該構造化主面Sから発光層までの距離Dの1/2以下である領域(領域21A)に、屈折率上昇部が存在している態様が挙げられる。図2(a)〜(d)、図3(e)〜(g)に示す態様は、いずれもこの態様に該当している。
GaN系半導体層の内部に屈折率分布を形成するには、層内部で半導体組成を変化させればよい。AlInGa1−a−bNで表されるGaN系半導体の屈折率が、AlN混晶比aを大きくするほど低くなり、InN混晶比bを大きくするほど高くなることは公知の事実である。MOVPE法を用いてGaN系半導体を形成する場合、半導体を成長させる際のトリメチルガリウムの供給量に対する、トリメチルアルミニウムの供給量およびトリメチルインジウムの供給量を調節することにより、その組成を制御することができる。また、InN混晶比は結晶成長温度によっても変化することから、インジウムを含むGaN系半導体の屈折率は、結晶成長温度によって制御することも可能である。
図4は、第1の実施形態に係るGaN系LEDのより具体的な構造例を示す断面図である。この図に示すGaN系LEDはPS−LEDであり、サファイア基板を加工してなる加工基板10の表面には、幅3μm、深さ1μmの溝が3μm間隔で多数形成され、その表面上にGaN系半導体層20がMOVPE法により形成されている。GaN系半導体層20は、加工基板側から順にn側層21、発光層22、p側層23を含んでいる。n側層21は、加工基板上に形成された低温GaNバッファ層(図示せず)と、その上に、加工基板の表面の溝を埋め込んで平坦に成長したアンドープGaN層21aと、その上に積層されたアンドープInGaN層21bと、その上に積層されたSiドープn型GaNコンタクト層21cとから構成されている。低温GaNバッファ層の膜厚は約0.04μm、アンドープGaN層の膜厚(加工基板の凸部上)は2μm、アンドープInGaN層の膜厚は0.3μm、Siドープn型GaNコンタクト層の膜厚は3μmである。Siドープn型GaNコンタクト層の上には、膜厚10nmのGaN障壁層と膜厚3nmのInGaN井戸層とを交互に10層ずつ積層してなるMQW構造の発光層22が形成され、その上には、膜厚0.03μmのMgドープp型AlGaNクラッド層23a、膜厚0.2μmのMgドープp型GaNコンタクト層23bが順次形成されている。エッチングにより部分的に露出したSiドープn型GaNコンタクト層21cの表面には、Ti層とAl層を積層し熱処理を施してなる負電極30が形成されている。Mgドープp型GaNコンタクト層23bの上面には、ITO(インジウム錫酸化物)からなる正電極40が形成されている。図示していないが、正電極の表面にはボンディングパッドが形成されている。
図4に示すGaN系LEDにおいて、構造化主面Sであるn側層21の下面から発光層22までの距離Dは、約5.3μmである。構造化層であるn側層21においては、アンドープInGaN層21bとSiドープn型GaNコンタクト層21cとの境界部分が、構造化主面S側に向かって屈折率が上昇する屈折率上昇部となっている。よって、構造化主面Sから屈折率上昇部までの距離は、約2.3μmである。このように、n側層21の内部でも、特に、構造化主面Sに近い側の領域に、屈折率の高いアンドープInGaN層21bを設けることによって、GaN系半導体層20の内部を横方向に伝播する光の電磁界強度分布を、効果的に構造化主面S側に寄せることができる。
第1の実施形態において、加工基板10は、発光層で生じる光を透過し、かつ、GaN系半導体層20との間で、GaN系半導体層20側を高屈折率側とする屈折率界面を形成するものであればよく、サファイア基板ベースのものに限定されない。サファイア基板のように、GaN系半導体結晶の成長に適した基板をベースとした加工基板を用いると、加工基板上にGaN系半導体層をMOVPE法などによって直接形成することができる。加工基板上にGaN系半導体結晶を成長させる場合、格子不整合を緩和するバッファ層を介在させることが好ましいが、本発明では、このバッファ層がGaN系半導体からなる場合は、これをGaN系半導体層に含め、GaN系半導体以外からなる場合には、これを基板の一部とみなす。
GaN系半導体層を、加工基板上に気相成長法によって直接形成することは必須ではない。例えば、平坦な表面を有するサファイア基板を成長用基板として用い、その上に、n側層、発光層、p側層を順次成長させてGaN系半導体層を形成した後、サファイア基板を剥離、研磨、溶解等によって除去する。そして、露出したn側層の表面を凹凸状に加工したうえで、その表面に低融点ガラスからなる支持基板を加熱圧着して接合することによっても、構造化主面を備えたGaN系半導体層を有するGaN系LEDを得ることができる。
GaN系半導体層の構造化主面には、好ましくは、凹部の深さが0.5μm以上となるように、凹部および凸部を設ける。凹部の深さが大きいほど、GaN系半導体層の内部を横方向に伝播する光と、構造化主面の位置に形成される屈曲した屈折率界面との相互作用が強くなる。よって、凹部の深さは、より好ましくは1.5μm以上であり、特に好ましくは2μm以上である。
屈折率上昇部の態様は図1の例に限定されるものではなく、例えば、加工基板上に形成したバッファ層の直上にInGaN層を成長させ、その上に、InGaNよりも屈折率の低いGaN層を積層することによって形成してもよい。その場合、InGaN層で加工基板の表面の凹凸を埋め込むことは必須ではなく、凹部の底面上と凸部の上面上のそれぞれにInGaN層を形成してもよい。また、InGaN層で加工基板の表面の凹凸を埋め込む場合には、当該InGaN層の表面が平坦となるように埋め込むことは必須ではなく、InGaN層の表面が非平坦面となってもよい。また、加工基板の表面の凹凸を、GaN層とInGaN層とを交互に積層してなる超格子層で埋め込み、その上にGaN層を形成することによって、屈折率上昇部を形成することなどもできる。屈折率上昇部は、このように超格子層と非超格子層を積層することにより形成することもできるし、異なる超格子層を積層することにより形成することもできる。また、超格子層の平均化された屈折率が構造化主面側に向かって高くなるように、超格子層を構成する薄膜の組成を変化させることによって、屈折率上昇部を超格子層の内部に形成することもできる。
図4に示すLEDは、正電極40が透明なITOからなるので、素子の上面(正電極40の表面)を光取出し面とすることができる。また、このLEDは、基板の下面を光取出し面として使用することも可能であり、いずれの面を光取出し面とするかは、任意に決定することができる。
図5は、第1の実施形態に係るGaN系LEDの、他の構造例を模式的に示す断面図である。この図に示すGaN系LEDはPS−LEDであるが、図4の例とは異なり、GaN系半導体層20が、発光層22から見て加工基板10側にp側層23を備えており、そのp側層23が構造化層となっている。
図5に示すGaN系LEDにおいて、加工基板10は図4の例に示したものと同じである。p側層23は、加工基板上に形成された低温GaNバッファ層(図示せず)と、その上に、加工基板の表面の溝を埋め込んで平坦に成長したアンドープGaN層23aと、その上に積層されたアンドープInGaN層23bと、その上に積層されたSiドープn型GaNコンタクト層23cと、その上に積層されたMgドープp型InGaN層23dと、その上に積層されたMgドープp型AlGaNクラッド層23eとから構成されている。低温GaNバッファ層の膜厚は約0.04μm、アンドープGaN層の膜厚は2μm(加工基板の凸部上)、アンドープInGaN層の膜厚は0.3μm、Siドープn型GaNコンタクト層の膜厚は3μm、Mgドープp型InGaN層の膜厚は0.1μm、Mgドープp型AlGaNクラッド層の膜厚は0.03μmである。発光層22の構成は図4のLEDと同じである。発光層22の上には、膜厚0.2μmのSiドープn型GaNコンタクト層21が形成されている。エッチングにより部分的に露出した、p側のSiドープn型GaNコンタクト層23cの表面には、Ti層とAl層を積層し熱処理を施してなる正電極40が形成されている。n側のSiドープn型GaNコンタクト層21の上面には、ITO(インジウム錫酸化物)からなる負電極30が形成されている。図示していないが、正電極の表面にはボンディングパッドが形成されている。
図5に示すGaN系LEDでは、p側のSiドープn型GaNコンタクト層23cとMgドープp型InGaN層23dとの間にトンネル接合が形成されており、正電極40に正電圧、負電極30に負電圧を印加したときには、p側のSiドープn型GaNコンタクト層23cからMgドープp型InGaN層dに正孔キャリアが注入される。
図5に示すGaN系LEDにおいて、構造化主面Sはp側層23の下面である。この構造化主面Sから発光層22までの距離Dは、約5.4μmである。構造化層であるp側層23では、アンドープInGaN層23bとSiドープn型GaNコンタクト層23cとの境界部分が屈折率上昇部となっている。構造化主面Sからこの屈折率上昇部までの距離は、約2.3μmである。
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るGaN系LEDの構造例を模式的に示す断面図である。このGaN系LEDは、導電性基板10の上に発光層22を含むGaN系半導体層20が形成されており、その上面が凹部および凸部を有する屈曲面とされている。このGaN系半導体層20の上面は空気と接しており、この上面側において、GaN系半導体層20と空気との間に屈曲した屈折率界面が形成されている。よって、このGaN系LEDでは、構造化主面SはGaN系半導体層20の上面であり、構造化層はn側層21である。そして、構造化層であるn側層21の内部には、構造化主面Sに向かって屈折率が上昇する屈折率上昇部が設けられている。それによって、GaN系半導体層20の内部を横方向に伝播する光の電磁界強度分布が、n側層21と空気との間に形成される屈曲した屈折率界面の側に寄せられる。
第2の実施形態においても、好ましくは、構造化主面Sからの距離が、該面から発光層22までの距離Dの1/2以下である領域(領域21A)に屈折率上昇部が存在するよう、構造化層(n側層21)内部の屈折率分布を設定する。
図7は、第2の実施形態に係るGaN系LEDのより具体的な構造例を示す断面図である。CuW基板10の表面には、接合層(図示せず)を介して、正電極40とGaN系半導体層20が順次積層されている。GaN系半導体層20は、基板側から順にp側層23、発光層22、n側層21を含んでいる。p側層21は、基板側から順に、MgドープGaNコンタクト層23a、MgドープAlGaNクラッド層23bを含んでいる。発光層22は、膜厚10nmのGaN障壁層と膜厚3nmのInGaN井戸層とを交互に10層ずつ積層してなるMQW層である。n側層21は、発光層22側から順に、膜厚2μmのSiドープn型GaN層21a、膜厚0.3μmのSiドープn型InGaN層21b、薄い部分の膜厚が約1μmであるSiドープn型GaNコンタクト層cを含んでいる。SiドープGaNコンタクト層は、膜厚約2.5μmのSiドープGaN層の表面に、エッチングによって深さ約1.5μmの凹部を設けることにより形成されている。該凹部を形成するためのエッチングによって同時に形成された負電極形成面の上に、負電極30が形成されている。
図7に示すGaN系LEDにおいて、構造化主面Sはn側層21の上面である。構造化主面Sから発光層22までの距離Dは、約3.3μmである。構造化層であるn側層21においては、Siドープn型GaN層21aとSiドープn型InGaN層21bとの境界部分が、構造化主面S側に向かって屈折率が上昇する屈折率上昇部となっている。構造化主面Sからこの屈折率上昇部までの距離は約1.3μmである。
図7に示すGaN系LEDは、次のようにして製造することができる。
まず、通常のサファイア基板上に低温GaNバッファ層を介して、GaN系半導体層20を成長させる。このとき、Siドープn型GaNコンタクト層21cを最下層(サファイア基板側)とし、最上層がMgドープp型GaNコンタクト層23aとなるように成長させる。
次に、Mgドープp型GaNコンタクト層23aの上面に、Ti層、Pt層、Au層をこの順に積層し、熱処理を行って、p側電極40を形成する。次に、ハンダ等の導電性接着材料からなる接合層を形成し、それを介して、p側電極40の表面にCuW基板10を接合する。
次に、レーザリフトオフ法を用いて、GaN系半導体層20からサファイア基板を剥離させる。
次に、剥離によって露出したGaN系半導体層20の表面を、Siドープn型GaNコンタクト層21cの膜厚が約2.5μmとなるまで、研磨する。
次に、ドライエッチングによってSiドープn型GaNコンタクト層21cの研磨面を加工し、深さ1.5μmの凹部を形成する。このとき同時に負電極形成面を形成する。
次に、負電極形成面上に、Ti層とAl層の積層膜を形成し、熱処理を施して、負電極を形成する。
図7に示すGaN系LEDを透明樹脂、低融点ガラス等の封止材で封止した場合には、GaN系半導体層22の上面はこれらの封止材と接することになるので、屈曲した屈折率界面は、GaN系半導体層22と封止材との間に形成されることになる。
図7に示すGaN系LEDにおいて、露出したGaN系半導体層22の表面を、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、スピネルなどからなる絶縁保護膜で被覆してもよい。その場合は、GaN系半導体層22と絶縁保護膜との間に屈曲した屈折率界面が形成されることになる。
図7に示すGaN系LEDにおいて、負電極30を、Ti/Alに代えて、ITO、酸化インジウム、酸化錫、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、酸化亜鉛などの透明導電膜材料で形成してもよい。透明導電膜材料からなる負電極は、Siドープn型GaNコンタクト層21cの上面を略全面的に覆うように形成してもよい。その場合には、GaN系半導体層22と透明導電膜との間で、屈曲した屈折率界面が形成されることになる。
本発明の第1の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子の構造例を模式的に示す断面図である。 本発明に係るGaN系発光ダイオード素子の構造化層における屈折率分布を例示する図である。 本発明に係るGaN系発光ダイオード素子の構造化層における屈折率分布を例示する図である。 本発明の第1の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子の構造例を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子の構造例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子の構造例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るGaN系発光ダイオード素子の構造例を示す断面図である。 従来技術に係るGaN系発光ダイオード素子の構造例を示す断面図である。
符号の説明
10、100 基板
20、200 GaN系半導体層
21、201 n側層
22、202 発光層
23、203 p側層
S 構造化主面

Claims (10)

  1. 発光層と、該発光層を挟むn側層およびp側層と、からなるGaN系半導体層を備え、
    該GaN系半導体層が、その少なくとも一方の主面に凹部および凸部を有し、かつ、該凹部および凸部を有する主面の側においてGaN系半導体以外の透明物質と接しており、該GaN系半導体層と該透明物質との間に、該GaN系半導体層側を高屈折率側とする、屈曲した屈折率界面が形成されているGaN系発光ダイオード素子であって、
    前記GaN系半導体層は、前記凹部および凸部を有する主面と前記発光層との間であって、該主面からの距離が、該主面から該発光層までの距離の1/2以下である領域に、該主面の側に向かって屈折率が上昇する部分を有している、GaN系発光ダイオード素子。
  2. 前記透明物質が基板である、請求項1に記載のGaN系発光ダイオード素子。
  3. 前記透明物質が、透明導電膜、絶縁保護膜、封止材または空気から選ばれる1つ以上の物質を含む、請求項1に記載のGaN系発光ダイオード素子。
  4. 前記屈折率が上昇する部分が、異なる非超格子層の積層により形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード素子。
  5. 前記異なる非超格子層がGaN層とInGaN層である、請求項4に記載のGaN系発光ダイオード素子。
  6. 前記屈折率が上昇する部分が、異なる超格子層の積層により形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード素子。
  7. 前記屈折率が上昇する部分が、超格子層の内部に形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード素子。
  8. 前記屈折率が上昇する部分が、超格子層と非超格子層との積層により形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード素子。
  9. 前記超格子層がGaN/InGaN超格子層であり、前記非超格子層がGaN層である、請求項8に記載のGaN系発光ダイオード素子。
  10. 前記超格子層がGaN/AlGaN超格子層であり、前記非超格子層がGaN層である、請求項8に記載のGaN系発光ダイオード素子。
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