JP2008019988A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シールの摩耗を防止して密封性を向上させ、軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】外方部材4と内輪5との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシール9を備え、軸受内部に所定量のグリースが封入された車輪用軸受装置において、シール9が複数のリップ13a、13b、13cを有し、これらのリップに軸受内部に封入されたグリースと同一のグリース14が予め塗布されると共に、このグリース14が、軸受の馴らし運転により、未使用状態で複数のリップ13a、13b、13cと、これらのリップが摺接するスリンガ11との間に略均一に介在されているので、リップ摩耗、取り分け、リップの初期摩耗を防止して密封性を向上させると共に、軸受内部に封入されたグリースが運転中にシール9に塗布されたグリース14と混ざって軟化や硬化してグリース14が劣化することはない。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、シールの摩耗を防止して密封性を向上させ、軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置に関するものである。
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を複列の転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、一般的に、所望の軸受剛性を有し、ミスアライメントに対しても耐久性を発揮すると共に、何よりも燃費向上の観点から回転トルクが小さい複列アンギュラ玉軸受が多用されている。一方、オフロードカーやトラック等、車体重量が嵩む車両には複列円錐ころ軸受が使用されている。
また、車輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と称される構造から、外方部材の外周に直接車体取付フランジまたは車輪取付フランジが形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周に一方の内側転走面が直接形成された第3世代構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直接形成された第4世代構造とに大別されている。
これらの軸受部には、軸受内部に封入されたグリースの漏れを防止すると共に、外部から雨水やダスト等の侵入を防止するためにシールが装着されている。近年、自動車のメンテナンスフリー化が進み、車輪用軸受装置においてもさらなる長寿命化が要求されるようになっているが、市場回収品の軸受損傷状況を検証すると、剥離等の本来の軸受寿命よりも、シール不具合による損傷が多くを占めている。したがって、シールの密封性と耐久性を高めることにより、軸受寿命の向上を確実に図ることができる。
こうしたシールが装着された従来の車輪用軸受装置の代表的な一例を図5に示す。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
この車輪用軸受装置は駆動輪側の第2世代と称され、図5(a)に示すように、一端部に車輪取付フランジ51を一体に有し、外周にこの車輪取付フランジ51から軸方向に延びる小径段部52と、内周にトルク伝達用のセレーション53が形成されたハブ輪50、およびこのハブ輪50の小径段部52に圧入された車輪用軸受54からなる。車輪用軸受54は、小径段部52の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部55によって軸方向に固定されている。
車輪用軸受54は、外周に車体取付フランジ(図示せず)を一体に有し、内周にテーパ状の複列の外側転走面56a、56aが形成された外方部材56と、外周に複列の外側転走面56a、56aに対向するテーパ状の内側転走面57aが形成された一対の内輪57、57と、両転走面間に保持器58を介して転動自在に収容された複列の円錐ころ59、59とからなる。そして、図5(b)に示すように、外方部材56と内輪57との間に形成される環状空間の開口部には、断面略L字状に形成され、互いに対向配置された環状のシール板60aとスリンガ60bとからなる複合型シール、所謂パックシール60が装着されている。これにより、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水や泥水等が軸受内部に侵入するのを防止している。
こうしたパックシール60は、シール板60aとスリンガ60bとの間の摺接によるリップ摩耗を防止して密封性を確保するために、予めリップ間にグリース61が塗布されている。しかし、係る先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
こうした従来の車輪用軸受装置において、パックシール60のリップ間には廉価な汎用グリースが塗布されるのに対し、軸受内部に封入されるグリースとしては、用途や使用条件によって種々なものが使用されている。例えば、乗用車用の軸受グリースにおいては、基油に鉱油系、添加剤に防錆剤が含まれたものが使用され、トラック用の軸受グリースでは、基油に合成炭化水素油等の合成油、添加剤に防錆剤と有機金属化合物等の極圧剤が含まれたものが使用される。
然しながら、乗用車用の軸受シールをトラック用の軸受に兼用した場合、異種グリースが混合される、すなわち、軸受内部に封入されたグリース、特に、リチウム系やウレア系等からなる増ちょう剤が異なるグリースが運転中にパックシール60のリップ間に塗布されたグリース61と混合し、軟化や硬化あるいは耐熱性の低下等、グリースの性能が劣化し、シールリップからグリース漏れが発生したり、シールリップが異常摩耗する恐れがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、シールの摩耗を防止して密封性を向上させ、軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複数の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備え、軸受内部に所定量のグリースが封入された車輪用軸受装置において、前記シールが複数のリップを有し、これらのリップに前記軸受内部に封入されたグリースと同一のグリースが予め塗布されると共に、このグリースが、軸受の馴らし運転により、軸受が未使用状態で前記複数のリップと、これらのリップが摺接するシールランドとの間に略均一に介在されている構成を採用した。
このように、外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールを備え、軸受内部に所定量のグリースが封入された車輪用軸受において、シールが複数のリップを有し、これらのリップに軸受内部に封入されたグリースと同一のグリースが予め塗布されると共に、このグリースが、軸受の馴らし運転により、軸受が未使用状態で複数のリップと、これらのリップが摺接するシールランドとの間に略均一に介在されているので、リップ摩耗、取り分け、リップの初期摩耗を防止して密封性を向上させると共に、軸受内部に封入されたグリースが運転中にシールに塗布されたグリースと混ざって軟化や硬化してグリースが劣化することはない。したがって、リップからグリース漏れが発生したり、各リップが異常摩耗することはなく、長期間に亘って密封性を確保し、軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記シールのリップに摺接するシールランドに前記グリースが予め塗布されていれば、各リップとの間に全周に亙ってグリースを均一に介在させることができ、リップ初期摩耗を一層防止することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記内方部材が、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入固定され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪で構成されていても良いし、また、請求項4に記載の発明のように、前記内方部材が、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入固定され、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪で構成されていても良い。
また、請求項5に記載の発明のように、前記軸受内部に封入されたグリースに固体潤滑剤が添加されていれば、馴らし運転により、少なくとも転動体と各転走面との接触部にグリースが行き届き、グリースによる油膜層が形成される。これにより、輸送時に各部品相互が振動あるいは衝撃荷重により発生するフレッティングを抑制し、軸受の耐久性を一層向上させることができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複数の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備え、軸受内部に所定量のグリースが封入された車輪用軸受装置において、前記シールが複数のリップを有し、これらのリップに前記軸受内部に封入されたグリースと同一のグリースが予め塗布されると共に、このグリースが、軸受の馴らし運転により、軸受が未使用状態で前記複数のリップと、これらのリップが摺接するシールランドとの間に略均一に介在されているので、リップ摩耗、取り分け、リップの初期摩耗を防止して密封性を向上させると共に、軸受内部に封入されたグリースが運転中にシールに塗布されたグリースと混ざって軟化や硬化してグリースが劣化することはない。したがって、リップからグリース漏れが発生したり、各リップが異常摩耗することはなく、長期間に亘って密封性を確保し、軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入固定された車輪用軸受からなる車輪用軸受装置であって、前記車輪用軸受が、外周に車体に取り付けられる車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、これら内輪と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内輪との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備え、軸受内部に所定量のグリースが封入された車輪用軸受装置において、前記シールが複数のリップを有し、これらのリップおよびこれらのリップに摺接するシールランドに前記軸受内部に封入されたグリースと同一のグリースが予め塗布されると共に、このグリースが、軸受の馴らし運転により、軸受が未使用状態で前記複数のリップと、これらのリップが摺接するシールランドとの間に略均一に介在されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の要部拡大図である。
この車輪用軸受装置は駆動輪用で第2世代と称され、ハブ輪1と、このハブ輪1に圧入固定された車輪用軸受2とからなる。ハブ輪1は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ3を一体に有し、外周に肩部1aを介して軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成され、内周にはトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)1cが形成されている。また、車輪取付フランジ3の周方向等配位置にハブボルト3aが植設されている。このハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、車輪取付フランジ3の基部3bから肩部1aおよび小径段部1bに亙って高周波焼入れによって58〜64HRCの範囲に表面が硬化処理されている。なお、後述する加締部8は鍛造後の生のままとされている。
車輪用軸受2は、外周に車体(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ4bを一体に有し、内周に複列のテーパ状の外側転走面4a、4aが形成された外方部材4と、外周に複列の外側転走面4a、4aに対向するテーパ状の内側転走面5aが形成された一対の内輪5、5と、両転走面間に保持器6を介して転動自在に収容された複列の転動体(円錐ころ)7、7とを備えている。内輪5の内側転走面5aの大径側には転動体7を案内するための大鍔5bが形成されると共に、小径側には転動体7の脱落を防止するための小鍔5cが形成され、一対の内輪5、5の正面側端面(小鍔側)が突き合された状態でセットされた背面合せタイプの複列の円錐ころ軸受を構成している。
外方部材4、内輪5および転動体7はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、外方部材4および内輪5は、高炭素クロム鋼に限らず、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼あるいは肌焼鋼(浸炭鋼)で形成され、少なくとも複列の外側転走面4a、4aが高周波焼入れによって58〜64HRCの範囲に表面が硬化処理されていても良い。
車輪用軸受2は、ハブ輪1の肩部1aに内輪5の大端面が当接した状態で小径段部1bに所定のシメシロを介して圧入されている。そして、小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部8によって予圧が付与された状態で軸方向に固定されている。こうしたセルフリテイン構造により、従来のようにナットの締付トルク等を調整して予圧を管理することなく、長期間に亘って安定した予圧を維持することができる。
また、外方部材4と内輪5との間に形成される環状空間の開口部にはシール9、9が装着されている。これらシール9、9は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ11とからなるパックシールを構成している。これらシール9、9により、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
スリンガ11は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工によって形成され、図2に拡大して示すように、内輪5の外径に圧入される円筒部11aと、この円筒部11aから径方向外方に延びる立板部11bとからなる。
一方、シール板10はスリンガ11に対向して外方部材4に装着され、外方部材4の端部内周に圧入された芯金12と、この芯金12に加硫接着により一体に接合されたシール部材13とからなる。芯金12は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて形成されている。
また、シール部材13はニトリルゴム等の合成ゴムからなり、スリンガ11の立板部11bに摺接するサイドリップ13aと、円筒部11aに摺接する一対のラジアルリップ13b、13cを有している。なお、スリンガ11の立板部11bの外縁は、シール部材13と僅かな径方向すきまを介して対峙しラビリンスシールを構成している。
ここで、車輪用軸受2の内部には耐熱性に優れたグリースが所定量封入されている。このグリースは、基油が合成炭化水素油等の合成油系、増ちょう剤がウレア等の非石鹸系、添加剤としてスルフォネート系の防錆剤およびフェノール系の酸化防止剤からなる。
特に、この種の車輪用軸受2においては、ハブ輪1に圧入され、揺動加締による加締部8の形成段階にて所定の予圧量が設定される。したがって、軸受単体の状態では転動体7と両転走面4a、5aとの接触部にすきまが存在し、輸送時に各部品相互が振動することにより、接触部の油膜層が排除されてフレッティングが発生する恐れがあった。このフレッティングにより、両転走面4a、5aおよび転動体7に微細な傷ができ、異音または早期剥離に繋がることがある。したがって、本実施形態では、グリースに有機モリブデン化合物等の固体潤滑剤が添加され、耐フレッティングを向上させている。ここで、フレッティングとは、例えば、小振幅な振動荷重が加わることにより発生する微細な圧痕で、例えば、転走面に転動体ピッチのくぼみが発生する現象で、ブリネル圧痕とも言われている。
一方、シール9において、スリンガ11に摺接するサイドリップ13aおよび一対のラジアルリップ13b、13c間には、軸受内部に封入されるグリースと同一のグリース14が予め塗布されている。さらに、グリース封入後に車輪用軸受2の馴らし工程が付加されている。この馴らし運転により、各リップ13a、13b、13cとスリンガ11のシールランド(摺接面)との間に均一に介在されている。これにより、リップ摩耗、取り分け、リップの初期摩耗を防止して密封性を向上させると共に、軸受内部に封入されたグリースが運転中にシール9に塗布されたグリース14と混ざって軟化や硬化してグリース14が劣化することはない。したがって、サイドリップ13aからグリース漏れが発生したり、各リップ13a、13b、13cが異常摩耗することはなく、長期間に亘って密封性を確保し、軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することができる。なお、軸受組立前にシールランドとなるスリンガ11の表面に予めグリース14を塗布することにより、各リップ13a、13b、13cのとスリンガ11との間に全周に亙ってグリース14を均一に介在させることができ、リップ初期摩耗を一層防止することができる。
また、前記シール9の馴らし運転により、シール9だけでなく、少なくとも転動体7と、外方部材4および内輪5の両転走面4a、5aとの接触部、および転動体7と内輪5の大鍔5bとの接触部にグリースが行き届き、グリースによる油膜層が形成される。これにより、輸送時の振動あるいは衝撃荷重によるフレッティングを防止し、軸受の耐久性を一層向上させることができる。
なお、ここでは、転動体7に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受を例示したが、本発明はこれに限らず、転動体7にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受であっても良い。また、本発明に係る車輪用軸受装置は、例示した第2世代構造に限らず、例えば、第1世代構造乃至第4世代構造に適用することができる。
図3は、本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図、図4は、図3の要部拡大図である。なお、この実施形態は、前述した実施形態と基本的には軸受の構成が異なるのみで、前述した実施形態と同一部品同一部位あるいは同一機能を有する部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
この車輪用軸受装置は駆動輪用で、ハブ輪15と複列の転がり軸受16とをユニット化して構成されている。複列の転がり軸受16は、外方部材4と、この外方部材4に複列の転動体7、7を介して内挿された内方部材17とを備えている。内方部材17は、ハブ輪15と、このハブ輪15に圧入固定された内輪18とからなり、第3世代と称される構成を備えている。
ハブ輪15は、一端部に車輪取付フランジ3を一体に有し、外周に一方(アウター側)のテーパ状の内側転走面15aと、この内側転走面15aから軸方向に延びる円筒状の小径段部15bが形成されている。そして、内輪18がこの小径段部15bに所定のシメシロを介して圧入されている。また、ハブ輪15はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、車輪取付フランジ3の基部3bから内側転走面15aおよび小径段部15bに亙って高周波焼入れによって58〜64HRCの範囲に表面が硬化処理されている。
内輪18はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、ハブ輪15および内輪18の内側転走面15a、5aの大径側にころ案内用の大鍔15c、5bが一体に形成されている。一方、内側転走面15a、5aの小径側にはころ保持用の小鍔は形成されておらず、内側転走面15a、5aの小径端部からストレートに延びる小径円筒部15d、5dが形成されている。そして、この複列の転がり軸受16は、これらの小径円筒部15d、5dが突き合された状態でセットされた背面合せタイプの複列の円錐ころ軸受を構成している。
また、両転走面間に保持器19を介して複列の転動体7、7が転動自在に収容されているが、この保持器19は、PA(ポリアミド)66等の熱可塑性樹脂をベースにGF(グラスファイバー)等の強化材が添加され、射出成形によって形成されている。そして、転動体7が内径側へ脱落しないように転動体7を包持する構造をなしている。こうした構成を採用することにより、予め保持器19で転動体7を保持した状態でこのユニットを外方部材4に嵌合させ、ハブ輪15および内輪18を軸方向から嵌挿させるだけで複列の転がり軸受16を組み立てることができる。したがって、加工性を向上させると共に、組立工程を一段と簡便化することができる。
また、外方部材4と内方部材17との間に形成される環状空間の開口部にはシール20、21が装着されている。アウター側のシール20は、車輪取付フランジ3の基部3bに摺接する一体のシールで構成され、インナー側のシール21は、外方部材4の端部内周と内輪18の外径にそれぞれ装着されるパックシールで構成されている。これらのシール20、21によって、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
ここで、インナー側のシール21は、図4(a)に拡大して示すように、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板22とスリンガ11とからなる。このシール板22は、芯金12と、この芯金12に加硫接着により一体に接合されたシール部材23とからなる。このシール部材23はニトリルゴム等の合成ゴムからなり、スリンガ11の立板部11bに摺接する一対のサイドリップ23a、23bと、円筒部11aに摺接するラジアルリップ23cを有している。
ここで、インナー側のシール21において、前述した実施形態と同様、一対のサイドリップ23a、23bおよびラジアルリップ23cのスリンガ11との摺接部に、軸受内部に封入されるグリースと同一のグリース14が予め塗布されている。そして、このグリース14が、馴らし運転により、各リップ23a、23b、23cとスリンガ11のシールランドとの間に均一に介在されている。これにより、リップ初期摩耗を防止して、密封性を向上させると共に、軸受内部に封入されたグリースが運転中にシール21に塗布されたグリース14と混ざって劣化するのを防止することができる。なお、軸受組立前にシールランドとなるスリンガ11の表面に予めグリース14を塗布することにより、各リップ23a、23b、23cとスリンガ11との間に全周に亙ってグリース14を均一に介在させることができ、リップ初期摩耗を一層防止することができる。
一方、アウター側のシール20は、図4(b)に拡大して示すように、芯金24と、この芯金24に加硫接着により一体に接合されたシール部材25とからなる。芯金24は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略コの字状に形成されている。また、シール部材25は、一対のサイドリップ25a、25bおよびラジアルリップ25cが一体に形成され、円弧状の曲面に形成され、シールランドとなる車輪取付フランジ3の基部3bに直接摺接している。
ここで、アウター側のシール20において、一対のサイドリップ25a、25bおよびラジアルリップ25cの摺接部に軸受内部に封入されるグリースと同一のグリース14が予め塗布されている。そして、前記した馴らし運転によって、各リップ25a、25b、25cと基部3bのシールランドとの間に均一に介在されている。これにより、リップ初期摩耗を防止して、密封性を向上させると共に、軸受内部に封入されたグリースが運転中にシール20に塗布されたグリース14と混ざって劣化するのを防止することができる。なお、本実施形態においても、軸受組立前にこのシールランドとなる基部3bの表面に予めグリース14が塗布されていれば、各リップ25a、25b、25cと基部3bとの間に全周に亙ってグリース14を均一に介在させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、開口端部にシールが装着され、車輪を回転自在に支承する第1乃至第4世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 (a)は、図3のインナー側のシールを示す要部拡大図である。 (b)は、図3のアウター側のシールを示す要部拡大図である。 (a)は、従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 (b)は、(a)の要部拡大図である。
符号の説明
1、15・・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a・・・・・・・・・・・・・・・・・・・肩部
1b、15b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
1c・・・・・・・・・・・・・・・・・・・セレーション
2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
3a・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
3b・・・・・・・・・・・・・・・・・・・基部
4・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
4a・・・・・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
4b・・・・・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
5、18・・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
5a、15a・・・・・・・・・・・・・・・内側転走面
5b、15c・・・・・・・・・・・・・・・大鍔
5c・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小鍔
5d、15d・・・・・・・・・・・・・・・小径円筒部
6、19・・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
7・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
8・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加締部
9・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シール
10、22・・・・・・・・・・・・・・・・シール板
11・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
11a・・・・・・・・・・・・・・・・・・円筒部
11b・・・・・・・・・・・・・・・・・・立板部
12、24・・・・・・・・・・・・・・・・芯金
13、23、25・・・・・・・・・・・・・シール部材
13a、23a、23b、25a、25b・・サイドリップ
13b、13c、23c、25c・・・・・・ラジアルリップ
14・・・・・・・・・・・・・・・・・・・グリース
16・・・・・・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
17・・・・・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
20・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アウター側のシール
21・・・・・・・・・・・・・・・・・・・インナー側のシール
50・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
51・・・・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
52・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
53・・・・・・・・・・・・・・・・・・・セレーション
54・・・・・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
55・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加締部
56・・・・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
56a・・・・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
57・・・・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
57a・・・・・・・・・・・・・・・・・・内側転走面
58・・・・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
59・・・・・・・・・・・・・・・・・・・円錐ころ
60・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パックシール
60a・・・・・・・・・・・・・・・・・・シール板
60b・・・・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
61・・・・・・・・・・・・・・・・・・・グリース

Claims (5)

  1. 内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複数の転動体と、
    前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備え、
    軸受内部に所定量のグリースが封入された車輪用軸受装置において、
    前記シールが複数のリップを有し、これらのリップに前記軸受内部に封入されたグリースと同一のグリースが予め塗布されると共に、このグリースが、軸受の馴らし運転により、軸受が未使用状態で前記複数のリップと、これらのリップが摺接するシールランドとの間に略均一に介在されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記シールのリップに摺接するシールランドに前記グリースが予め塗布されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記内方部材が、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入固定され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪で構成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記内方部材が、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入固定され、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪で構成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記軸受内部に封入されたグリースに固体潤滑剤が添加されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
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