JP2008019443A - 高分子発光体およびそれを用いた高分子発光素子 - Google Patents

高分子発光体およびそれを用いた高分子発光素子 Download PDF

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秀行 池平
Takahiro Kamioka
隆宏 上岡
Hideji Doi
秀二 土居
Yasuyuki Kurita
靖之 栗田
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Abstract

【課題】三重項発光錯体構造を分子内に有し、塗布法により発光層を形成しうる新規な発光体、その製造方法および該発光体用いた発光素子を提供する。
【解決手段】ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜108である高分子発光体であって、該発光体がその側鎖に3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有することを特徴とする高分子発光体。
3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造が下記式(6)で示される構造である高分子発光体。

Figure 2008019443

(式中、Mは、原子番号50以上の原子で、スピン−軌道相互作用により本錯体において1重項状態と3重項状態間の項間交差が起きうる金属を示す。Arは、窒素原子、酸素原子、炭素原子、硫黄原子または燐原子の1つ以上でMと結合する配位子である。Lは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環配位子等である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子発光体、その製造方法、その製造に用いる単量体となりうる
錯体および該高分子発光体を用いた高分子発光素子(以下高分子LEDというこ
とがある。)に関する。
発光素子の発光層に用いる発光材料として、3重項励起状態からの発光を示す
金属錯体(以下、3重項発光錯体ということがある)を発光層に用いた素子が発
光効率が高いことが知られている。
3重項発光錯体としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)3、(A
ppl.Phys.Lett.,75,4 (1999))、白金を中心金属とする、PtOEP(Nature,395,151
(1998))、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)3phen(Jpn.J.Appl.Phys.,34, 1
883 (1995))等が知られている。


Figure 2008019443

Figure 2008019443

Figure 2008019443
しかしながら、上記公知の3重項発光錯体を用いて発光層を形成するのには、
通常真空蒸着法等の方法しか使用されず、塗布法により発光層を形成することが
難しかった。
本発明の目的は、3重項発光錯体構造を分子内に有し、塗布法により発光層を
形成しうる新規な発光体、その製造方法、その製造に用いる単量体となりうる新
規な錯体および該発光体用いた発光素子を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリスチレン換算の
数平均分子量が103〜108である高分子発光体であって、該発光体がその主鎖
または側鎖に3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する高分子発光
体は、3重項発光錯体構造を分子内に有し、該発光体を用いて塗布法により発光
層を形成しうることを見出し、本発明に至った。
本発明の高分子発光体は、3重項発光錯体構造を分子内に有し、工業的に簡便
な、スピンコート法、インクジェット法、印刷法などの塗布法により発光層を形
成しうる。また、本発明の高分子発光体は、3重発光錯体を含んでおり、高い発
光効率を示しうる。したがって、本発明の高分子発光体は高分子LEDの発光材
料などに好適に用いることができる。また、本発明の製造方法によって、該高分
子発光体を容易に製造することができる。また、本発明の高分子LEDは、液晶
ディスプレイのバックライトまたは照明用としての曲面状や平面状の光源、セグ
メントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等
の装置に好ましく使用できる。
本発明の高分子発光体はポリスチレン換算の数平均分子量が103〜108であ
る高分子発光体であって、該発光体がその主鎖または側鎖に3重項励起状態から
の発光を示す金属錯体構造を有する高分子発光体である。
ここに3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造とは、3重項発光錯体か
ら誘導された構造をいう。
本発明において、3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造の母体である
3重項発光錯体について説明する。
3重項発光錯体とは通常重金属錯体であり、例えば、該錯体から燐光発光を発
生し得る錯体をいう。ただし、この燐光発光に加えて蛍光発光が観測される錯体
も含まれる。
3重項発光錯体としては、従来から低分子系のEL発光性材料として利用されて
きたものであり、これらの材料は例えばNature, (1998), 395, 151、Appl. Phys
. Lett. (1999), 75(1), 4、Proc. SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. (2001), 4105(Or
ganic Light-Emitting Materials and DevicesIV), 119、J. Am. Chem. Soc.,
(2001), 123, 4304、Appl. Phys. Lett., (1997), 71(18), 2596、Syn. Met.,
(1998), 94(1), 103、Syn. Met., (1999), 99(2), 1361、Adv. Mater., (1999),
11(10), 852 に開示されている。
3重項発光錯体の中心金属としては、通常、原子番号50以上の原子で、該錯
体にスピン−軌道相互作用があり、1重項状態と3重項状態間の項間交差が起き
うる金属である。
3重項発光錯体の中心金属としては、例えば、レニウム、イリジウム、オスミ
ウム、スカンジウム、イットリウム、白金、金、およびランタノイド類のユーロ
ピウム、テルビウム、ツリウム、ディスプロシウム、サマリウム、プラセオジウ
ム、ガドリニウムなどが挙げられ、イリジウム、白金、金、ユーロピウムが好ま
しく、イリジウムが特に好ましい。
3重項発光錯体の配位子は、通常有機配位子であり、その炭素数は、通常4〜
60程度である。
3重項発光錯体の配位子としては、例えば、8−キノリノールおよびその誘導
体、ベンゾキノリノールおよびその誘導体、2−フェニル−ピリジンおよびその
誘導体、2−フェニル−ベンゾチアゾールおよびその誘導体、2−フェニル−ベ
ンゾキサゾールおよびその誘導体、ポルフィリンおよびその誘導体などが挙げら
れる。
3重項発光錯体としては、例えば、以下のものがあげられる。

Figure 2008019443

Figure 2008019443

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Figure 2008019443


Figure 2008019443
ここで、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アル
キルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキ
シ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、ア
リールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基およびシアノ基からな
る群から選ばれる基を示す。溶媒への溶解性を高めるためには、が好ましく、ま
た置換基を含めた繰り返し単位の形状の対称性が少ないことが好ましい。
アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜2
0程度であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基
、ブチル基、 i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロ
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシ
ル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基などが挙げられ、ペンチル基、
ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチル
オクチル基が好ましい。
アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜
20程度であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、
i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、 i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペン
チルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基
、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオ
キシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げられ
、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシ
ルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1
〜20程度であり、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基
、 i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、 i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ
基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基
、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、
3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げられ、ペンチルチ
オ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチ
オ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
アルキルシリル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常
1〜60程度であり、具体的には、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピル
シリル基、 i−プロピルシリル基、ブチルシリル基、i−ブチルシリル基、t
−ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、シクロヘキシルシリ
ル基、ヘプチルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、ノ
ニルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ラウリル
シリル基、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシ
リル基、 i−プロピルジメチルシリル基、ブチルジメチルシリル基、t−ブチ
ルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、
ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−
ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7
−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基などが挙げ
られ、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘ
キシルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ペンチ
ルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、
2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジ
メチルオクチル−ジメチルシリル基が好ましい。
アルキルアミノ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、モノアルキル
アミノ基でもジアルキルアミノ基でもよく、炭素数は通常1〜40程度であり、
具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルア
ミノ基、プロピルアミノ基、 i−プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、 i−
ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、
シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘ
キシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチル
アミノ基、ラウリルアミノ基などが挙げられ、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミ
ノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、デシルアミノ基、3,
7−ジメチルオクチルアミノ基が好ましい。
アリール基は、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェニル基、
1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示
す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、
2−ナフチル基などが例示され、 C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12
アルキルフェニル基が好ましい。
アリールオキシ基は、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェノ
キシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、
1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが例示され、 C1〜C12
ルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
アリールアルキル基は、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フェ
ニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキ
ル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1
〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが例示され、C1
12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−
1〜C12アルキル基が好ましい。
アリールアルコキシ基は、炭素数は通常7〜60程度であり、具体的には、フ
ェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12
ルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチ
ル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが例示
され、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アル
キルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
アリールアルケニル基は、炭素数は通常8〜60程度であり、具体的にはcis-
フェニルアルケニル基、trans−フェニルアルケニル基、cis−トリルアルケニル
基、transu−トリルアルケニル基、cis−1−ナフチルアルケニル基、trans―1
−ナフチルアルケニル基、cis−2−ナフチルアルケニル基、trans−2−ナフチ
ルアルケニル基などが例示される。
アリールアルキニル基は、炭素数は通常8〜60程度であり、具体的にはフェ
ニルアルキニル基、トリルアルキニル基、1−ナフチルアルキニル基、2−ナフ
チルアルキニル基などが例示される。
アリールアミノ基は、炭素数は通常6〜60程度であり、フェニルアミノ基、
ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12
ルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1
−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基などが例示され、C1〜C12アルキ
ルフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基が好ましい。
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を
いい、炭素数は通常4〜60程度であり、具体的には、チエニル基、C1〜C12
アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキル
ピリジル基などが例示され、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリ
ジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
Rの例のうち、高分子発光体の溶媒への溶解性を高めるためには、1つ以上に
環状または長鎖のあるアルキル鎖が含まれることが好ましくは、シクロペンチル
基、シクロへキシル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキ
シル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が例示される。また、2つの置
換基が連結されて環を形成していても良い。さらに、アルキル鎖の一部の炭素原
子がヘテロ原子を含む基で置き換えられていてもよく、それらのヘテロ原子とし
ては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが例示される。
さらに、R中の、アリール基や複素環基は、それらがさらに1つ以上の置換基
を有していてもよい。
3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造の中では、下記式(6)の構造が
望ましい。

Figure 2008019443
式中、Mは、原子番号50以上の原子で、スピン−軌道相互作用により本錯体に
おいて1重項状態と3重項状態間の項間交差が起きうる金属を示す。
Mは例えば、レニウム、イリジウム、オスミウム、スカンジウム、イットリウ
ム、白金、金、およびランタノイド類のユーロピウム、テルビウム、ツリウム、
ディスプロシウム、サマリウム、プラセオジウム、ガドリニウムなどが挙げられ
、イリジウム、白金、金、ユーロピウムが好ましく、イリジウムが特に好ましい
Mは、少なくとも1つの炭素原子と結合することが望ましい。
Arは、窒素原子、酸素原子、炭素原子、硫黄原子または燐原子の1つ以上でM
と結合する配位子であり、かつ、任意の位置でポリマーと結合する。
Arとしてはたとえば、ピリジン環、チオフェン環、ベンゾオキサゾール環な
どの複素環類やベンゼン環が結合して構成された配位子で、具体的には、フェニ
ルピリジン、2-(パラフェニルフェニル)ピリジン、7−ブロモベンゾ[h]キノ
リン、2−(4−チオフェン−2−イル)ピリジン、2−(4−フェニルチオフェ
ン−2−イル)ピリジン、2−フェニルベンゾオキサゾール、2-(パラフェニル
フェニル)ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−(パラフェ
ニルフェニル)ベンゾチアゾール、2−(ベンゾチオフェン−2−イル)ピリジン
7,8,12,13,17,18-ヘキサキスエチル-21H,23H-ポルフィリンなどが例示され、こ
れらに置換基を有していてもよい。
Arの置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキ
ル基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、環状アルケニル基、アルコキシ
基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボ
ニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基、1価の複素環基が挙げられ
、その具体例としては上記R18およびR19において例示されるものと同様である
中でもArが、窒素原子、酸素原子、炭素原子、硫黄原子または燐原子の何れ
か4つの原子でMと結合する4座配位子であることが好ましい。たとえば、4つ
のピロール環が環状につながった配位子として、具体的には、7,8,12,13,17,18
-ヘキサキスエチル-21H,23H-ポルフィリンが挙げられる。
また、上記(6)式中、Arが、窒素原子、酸素原子、炭素原子、硫黄原子ま
たは燐原子の何れか2つの原子で、Mと結合して5員環を形成する2座配位子で
あることが望ましく、 Mが少なくとも1つの炭素原子と結合するとさらに好ま
しく、Arが下記式(7)で示される2座配位子である時、より好ましい。

Figure 2008019443
(7)
式中、R3〜R10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ア
ルケニル基、アラルキル基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、環状アル
ケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、ア
ラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはアリール基
を示す。R3〜R10のうち少なくとも1つはポリマー鎖との結合基である。
Lは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環配位子、カルボキシル基、ハロ
ゲン原子、アミド基、イミド基、アルコキシ基、アルキルメルカプト基、カルボ
ニル配位子、アルケン配位子、アルキン配位子、アミン配位子、イミン配位子、
ニトリル配位子、イソニトリル配位子、ホスフィン配位子、ホスフィンオキシド
配位子、ホスファイト配位子、エーテル配位子、スルホン配位子、スルホキシド
配位子またはスルフィド配位子である。mは、1〜5の整数を示す。oは、0〜
5の整数を示す。
上記一般式(6)のLにおいて、アルキル基としては、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基などが例示され、アリール基としては
フェニル基、トリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示され、複素
環配位子としては、0価でも1価でもよく、0価のものとしては例えば、2,2
‘−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、2−(4−チオフェン−2−イ
ル)ピリジン、2−(ベンゾチオフェン−2−イル)ピリジンなどが例示され、
1価のものとしては例えば、フェニルピリジン、2-(パラフェニルフェニル)ピ
リジン、7−ブロモベンゾ[h]キノリン、2−(4−フェニルチオフェン−2−
イル)ピリジン、2−フェニルベンゾオキサゾール、2-(パラフェニルフェニル)
ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−(パラフェニルフェ
ニル)ベンゾチアゾールなどが例示される。
カルボキシル基としては特に限定されるものではないが、例えば、アセトキシ基
、ナフテネート基または2−エチルヘキサノエート基等が挙げられる。ハロゲン
原子としては特に限定されるものではないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子またはヨウ素原子等が挙げられる。アミド基としては特に限定されるも
のではないが、例えば、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピル
アミド基、ジオクチルアミド基、ジデシルアミド基、ジドデシルアミド基、ビス
(トリメチルシリル)アミド基、ジフェニルアミド基、N−メチルアニリドまた
はアニリド基等が挙げられる。イミド基としては特に限定されるものではないが
、例えば、ベンゾフェノンイミド等が挙げられる。アルコキシ基としては特に限
定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブ
トキシ基またはフェノキシ基等が挙げられる。アルキルメルカプト基としては特
に限定されるものではないが、例えば、メチルメルカプト基、エチルメルカプト
基、プロピルメルカプト基、ブチルメルカプト基またはフェニルメルカプト基等
が挙げられる。カルボニル配位子としては、一酸化炭素やアセトン、べンゾフェ
ノンなどのケトン類、アセチルアセトン、アセナフトキノンなどのジケトン類、
アセチルアセトナート、ジベンゾメチラート、テノイルトリフルオロアセトナー
トなどのアセトナート配位子などが例示される。アルケン配位子としては特に限
定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンま
たはデセン等が挙げられる。アルキン配位子としては特に限定されるものではな
いが、例えば、アセチレン、フェニルアセチレンまたはジフェニルアセチレン等
が挙げられる。アミン配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、
トリエチルアミンまたはトリブチルアミン等が挙げられる。イミン配位子として
は特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾフェノンイミンまたはメチル
エチルケトンイミン等が挙げられる。ニトリル配位子としては特に限定されるも
のではないが、例えば、アセトニトリルまたはベンゾニトリル等が挙げられる。
イソニトリル配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、t−ブチ
ルイソニトリルまたはフェニルイソニトリル等が挙げられる。ホスフィン配位子
としては特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルホスフィン、ト
リトリルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンまたはトリブチルホスフィ
ン等が挙げられる。ホスフィンオキシド配位子としては特に限定されるものでは
ないが、例えば、トリブチルホスフィンオキシドまたはトリフェニルホスフィン
オキシド等が挙げられる。ホスファイト配位子としては特に限定されるものでは
ないが、例えば、トリフェニルホスファイト、トリトリルホスファイト、トリブ
チルホスファイトまたはトリエチルホスファイト等が挙げられる。エーテル配位
子としては特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチ
ルエーテルまたはテトラヒドロフラン等が挙げられる。スルホン配位子としては
特に限定されるものではないが、例えば、ジメチルスルホンまたはジブチルスル
ホン等が挙げられる。スルホキシド配位子としては特に限定されるものではない
が、例えば、ジメチルスルホキシドまたはジブチルスルホキシド等が挙げられる
。スルフィド配位子としては特に限定されるものではないが、例えば、エチルス
ルフィドまたはブチルスルフィド等が挙げられる。
本発明の高分子発光体は、3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造をそ
の主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよく、また、主鎖の末端に有し
ていてもよい。
3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造をその主鎖に有する高分子発光
体とは、3重項励起状態から発光を示す錯体に配位した芳香環またはその縮環部
が主鎖に含まれる場合、または主鎖に金属が含まれる場合を意味する。
また、本発明の高分子発光体の金属錯体構造に含まれる配位子のうち少なくと
も1つが、高分子主鎖に含まれる繰返し単位と同一の構造を含む場合、金属含量
を制御できる点で好ましい。
すなわち、配位子の構造を主鎖に有する場合、高分子化合物を製造した後に錯
体化をおこなうことにより、本発明の高分子発光体を製造することができる。
具体的には、以下の構造が例示される。

Figure 2008019443

3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造をその側鎖に有する高分子発光
体とは、3重項励起状態から発光を示す錯体に配位した芳香環またはその縮環部
が主鎖と結合を介して連結する場合を意味する。ここでいう結合とは、単結合、
2重結合などの直接結合;酸素原子、硫黄原子、セレン原子などの原子を介した
結合;またはメチレン基、アルキレン基、アリーレン基などの2価の結合基を介
した結合を示す。
中でも、共役のつながった側鎖に3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構
造を有することが好ましい。
3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を側鎖に有している場合、該金
属錯体構造の少なくとも1つの配位子に含まれる芳香族環と、高分子主鎖に含ま
れる芳香族環とが炭素−炭素単結合で連結されていることが望ましい。
中でも、高分子発光体が共役系高分子発光体であるものが好ましい。
ここに、共役系高分子発光体とはポリマーの主鎖骨格に沿って非局在π電子対が
存在している高分子発光体即ち、主鎖が共役系高分子である高分子発光体を意味
する。この非局在電子としては、2重結合のかわりに不対電子または孤立電子対
が共鳴に加わる場合もある。
本発明の1つの実施形態としては、3重項励起状態からの発光を示す金属錯体
構造を2種類以上有する高分子発光体すなわち、その主鎖、側鎖または末端のい
ずれか2つ以上に3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する高分子発
光体である。それぞれの金属錯体構造は、互いに同じ金属を有していてもよいし
、異なる金属を有していても良い。また、それぞれの金属錯体構造は、互いに異
なる発光色を有していても良い。例えば、緑色に発光する金属錯体構造と、赤色
に発光する金属錯体構造の両方が1つの高分子発光体に含まれている場合などが
例示される。このとき、適度な量の金属錯体構造が含まれるように設計すること
により、発光色を制御することができるので、好ましい。
本発明の高分子発光体としては、3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構
造を有する繰り返し単位を含むものが挙げられる。
ここに、3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する繰り返し単位
としては、上述の3重項発光錯体の配位子から二つの水素が脱離した残りの、結
合手を持つ基が例示される。
また、3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する繰り返し単位と
して、後記式(1)の繰り返し単位のAr1の置換基またはR1、R2が3重項励起状
態からの発光を示す金属錯体構造を有する1価の基であるもの等も挙げられる。
ここに3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する1価の基とは、
上述の3重項発光錯体の配位子から一つの水素が脱離した残りの結合手が1本の
基である。
上記式(1)の繰返し単位のAr1の置換基等が3重項励起状態からの発光を示
す金属錯体構造を有する1価の基である繰返し単位の具体例としては、例えば、
下図のものが挙げられる。

Figure 2008019443

Figure 2008019443
式中、Rは上記と同じである。
なお、本発明の高分子発光体は、主鎖の末端が3重項励起状態からの発光を示
す金属錯体構造を有する1価の基を有していても良い。
本発明の高分子発光体としては、一般式(1)で示される繰り返し単位を含
むことが望ましい。

Figure 2008019443
(1)
〔式中、Ar1は、アリーレン基または2価の複素環基を示す。R1、R2は、そ
れぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ
基を示す。nは0または1である。〕
上記一般式(1)におけるAr1は、アリーレン基または2価の複素環基である
。該Ar1はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、
アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリ
ールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールア
ミノ基、1価の複素環基、シアノ基等の置換基を有していてもよい。該置換基の
例は、上述のRと同様である。
該Ar1は高分子発光体の3重項発光を阻害しないものが好ましい。
Ar1 としては、従来からEL発光性材料として利用されてきたすべての材料
に含まれるアリーレン基または2価の複素環基であればよく、3重項発光を阻害
しないモノマーであれば好ましい。これらの材料は例えば、WO99/12989 WO00/55
927 WO01/49769A1 WO01/49768A2 、WO98/06773 US5,777,070 WO99/54385 WO00/4
6321 US6,169,163B1に開示されている。
アリーレン基は、ベンゼン環、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環または
縮合環が2個直接またはビニレン等の基を介して結合したものが含まれ、通常炭
素数6〜60、好ましくは6〜20であり、フェニレン基(例えば、下図の式1
〜3)、ナフタレンジイル基(下図の式4〜13)、アントラセニレン基(下図
の式14〜19)、ビフェニレン基(下図の式20〜25)、トリフェニレン基
(下図の式26〜28)、縮合環化合物基(下図の式29〜38)などが例示さ
れる。なおアリーレン基の炭素数には、置換基Rの炭素数は含まれない。

Figure 2008019443
Figure 2008019443
Figure 2008019443
Figure 2008019443

Figure 2008019443
本発明において、2価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子2個を除い
た残りの原子団をいい、炭素数は、通常4〜60、好ましくは4〜20である。
なお2価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元
素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素などのヘテロ原子を
環内に含むものをいう。
2価の複素環基としては、例えば以下のものが挙げられる。
ヘテロ原子として、窒素を含む2価の複素環基;ピリジンージイル基(下図の
式39〜44)、ジアザフェニレン基(下図の式45〜48)、キノリンジイル
基(下図の式49〜63)、キノキサリンジイル基(下図の式64〜68)、ア
クリジンジイル基(下図の式69〜72)、ビピリジルジイル基(下図の式73
〜75)、フェナントロリンジイル基(下図の式76〜78)、など。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含みフルオレン構造を有す
る基(下図の式79〜93)。また、窒素原子を含む式82〜84のカルバゾー
ルやトリフェニルアミンジイル基などの芳香族アミンモノマーを有していること
が発光効率の点で望ましい。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基:(
下図の式94〜98)が挙げられる。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環縮合複素環基
:(下図の式99〜109)、ベンゾチアジアゾール-4,7-ジイル基やベンゾオ
キサジアゾール-4,7-ジイル基などがが挙げられる。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそ
のヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基:(下図の式1
10〜118)が挙げられる。
ヘテロ原子としてけい素、窒素、硫黄、セレンなどを含む5員環複素環基でそ
のヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基:(下図の式112〜118
)が挙げられる。

Figure 2008019443





Figure 2008019443

Figure 2008019443
Figure 2008019443


Figure 2008019443
Figure 2008019443


Figure 2008019443

Figure 2008019443
Figure 2008019443
ここで、Rは、上述と同様の基を示す。
上記式(1)におけるnは0または1である。
上記式(1)におけるR1、R2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、ア
リール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。
1、R2が、水素原子、シアノ基以外である場合について述べると、アルキル
基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度であ
り、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基などが挙
げられ、メチル基、エチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基が好ましい。
アリール基は、炭素数は通常6〜60程度であり、具体的には、フェニル基、
1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示
す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、
2−ナフチル基などが例示され、 C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12
アルキルフェニル基が好ましい。
1価の複素環基は、炭素数は通常4〜60程度であり、具体的には、チエニル
基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1
12アルキルピリジル基などが例示され、チエニル基、C1〜C12アルキルチエ
ニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
本発明の高分子発光体が、上記式(1)で示される繰り返し単位以外繰り返し単
位として、好ましくは、下記式(2)で示される繰り返し単位を含むことは、発
光効率の点で望ましい。
Figure 2008019443
(2)
式中、Ar2およびAr3はそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基で
あり、Ar2とAr3は架橋しない。またR11は、アルキル基、アリール基、1価
の複素環基、下記(3)で示される基、または下記(4)で示される基を示す。
tは1〜4の整数である。
Figure 2008019443
(3)
式中、Ar4はアリーレン基または2価の複素環基である。R12は、水素原子、
アルキル基、アリール基、1価の複素環基、または下記式(4)で示される基を
示す。Z1は、 −CR13=CR14−または−C≡C−を表す。R13およびR14
それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシア
ノ基を示す。uは0〜2の整数である。
Figure 2008019443
(4)
式中、Ar5およびAr6はそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基で
ある。また、R15はアルキル基、アリール基または1価の複素環基を示す。R16
は水素原子、アルキル基、アリール基または1価の複素環基を示す。vは1〜4
の整数である。
上記式(2)で示される繰り返し単位の好ましい具体例としては、下図のもの
が挙げられる。




Figure 2008019443







Figure 2008019443
式中、Rは上記と同じ。
Ar2〜Ar6におけるアリーレン基、2価の複素環基としては、上記Ar1に例
示されるものと同様である。
11〜R16におけるアルキル基、アリール基、1価の複素環基としては、上記R
1およびR2に例示されるものと同様である。
また、本発明の高分子発光体は、上記式(1)で示される繰り返し単位以外繰り
返し単位として、下記式(5)で示される繰り返し単位を含むことは、発光効率
の点で望ましい。



Figure 2008019443
(5)
式中、R11は前記と同じ。R18およびR19は芳香環上の置換基を表し、ハロゲン
原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリールチオ基、アリールア
ルケニル基、環状アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオ
キシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル
基、アリール基または、1価の複素環基を示す。a、bはそれぞれ独立に0〜3
の整数であり、aまたはbが2以上の時、各R18またはR19は同一であっても、
異なっていてもよく、また、互いに結合して環を形成してもよい。
18およびR19における1価の複素環基としては、上記R1およびR2に例示され
るものと同様である。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子などが、
アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、ネオペンチル基、n−ヘ
キシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、2,3,4−トリメチ
ル−3−ペンチル基、2,4−ジメチル−3−ペンチル基などが、
アルケニル基としては2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基などが、
アラルキル基としてはベンジル基、2−フェニルエチル基、2−ナフチルエチル基
、ジフェニルメチル基などが、アリールチオ基としてはチオフェニル基などが、
アリールアルケニル基としてはトランスβスチリル基、3−フェニル−1−プロペ
ニル基などが、環状アルケニル基としては、1−シクロヘキセニル基などが、ア
ルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基
などが、アリールオキシ基としてはフェノキシ基、ナフチルオキシ基、ジフェニ
ルオキシ基などが、アルキルオキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基
、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカ
ルボニル基としてはベンジルオキシカルボニル基などが、アリールオキシカルボ
ニル基としては、フェニルオキシカルボニル基などが、アリール基としてはフェ
ニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フリル基などが、それぞれ例示される。
本発明の高分子発光体の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子
にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護され
ていても良い。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく
、例えば、ビニレン基を介してアリール基または複素環基と結合している構造が
例示される。具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基
等が例示される。
なお、本発明の高分子発光体は、発光特性や電荷輸送特性を損なわない範囲で
、式(1)、(2)または(5)で示される繰り返し単位および3重項励起状態から
の発光を示す金属錯体構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでい
てもよい。また、式(1)、(2)または(5)で示される繰り返し単位、3重項励
起状態からの発光を示す錯体構造を有する繰り返し単位、他の繰り返し単位が、
非共役の単位で連結されていてもよいし、繰り返し単位にそれらの非共役部分が
含まれていてもよい。結合構造としては、以下に示すもの、以下示すものとビニ
レン基を組み合わせたもの、および以下に示すもののうち2つ以上を組み合わせ
たものなどが例示される。ここで、Rは前記のものと同じ置換基から選ばれる基
であり、Arは炭素数6〜60個の炭化水素基を示す。

Figure 2008019443
本発明の高分子発光体は一般式(1)、(2)または(5)で示される繰り返
し単位と,3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する繰り返し単位
との合計に対して、3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する繰り
返し単位を0.01モル%以上10モル%以下含むことが好ましい。
また、該高分子発光体は、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であっ
てもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びた
ランダム共重合体であってもよい。発光の量子収率の高い高分子発光体を得る観
点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブ
ロックまたはグラフト共重合体が好ましい。
本発明の高分子発光体は、数平均分子量がポリスチレン換算で103〜108
ある。その繰り返し構造の合計数は、繰り返し構造やその割合によっても変わる
。成膜性の点から一般には繰り返し構造の合計数が、好ましくは20〜1000
0、さらに好ましくは30〜10000、特に好ましくは50〜5000である
また、薄膜からの発光を利用するので該高分子発光体は、固体状態で発光を有
するものが好適に用いられる。
該高分子発光体に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジク
ロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリ
ン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。高分子発光体の構造や分
子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができ
る。
本発明の高分子発光体は、3重項発光錯体から誘導された重合活性基を有する
単量体を原料として使用して重合することにより製造することができる。また、
重合条件下で、3重項発光錯体から誘導された重合活性基を有する単量体が分解
する可能性がある場合は、3重項発光錯体から誘導された重合活性基を有する単
量体を原料として使用して重合して重合体を得、該重合体を、該3重項発光錯体
の中心金属と反応させてもよい。
ここで使われる重合活性基としては、重合方法により異なるが、例えば、ホル
ミル基、ホスホニウム基、臭素、よう素、塩素などのハロゲン原子、ビニル基、
ハロメチル基、アセトニトリル基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等の
アルキルスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホ
ニルオキシ基が挙げられる。
本発明の高分子発光体の製造方法としては、主鎖にビニレン基を有する場合に
は、3重項発光錯体から誘導された重合活性基を有する単量体と、必要に応じて
その他の単量体を用いて、例えば特開平5−202355号公報に記載の方法に
より製造し得る。
すなわち、〔1〕アルデヒド基を有する化合物とホスホニウム塩基を有する化合
物とのWittig反応による重合、〔2〕アルデヒド基とホスホニウム塩基と
を有する化合物のWittig反応による重合、〔3〕ビニル基を有する化合物
とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応による重合〔4〕ビニル基とハ
ロゲン原子とを有する化合物のHeck反応による重合、〔5〕ルデヒド基を有
する化合物とアルキルホスホネート基を有する化合物とのHorner−Wad
sworth−Emmons法による重合〔6〕アルデヒド基とアルキルホスホ
ネート基とを有する化合物のHorner−Wadsworth−Emmons
法による重合、〔7〕ハロゲン化メチル基を2つ以上有する化合物の脱ハロゲン
化水素法による重縮合、〔8〕スルホニウム塩基を2つ以上有する化合物のスル
ホニウム塩分解法による重縮合、〔9〕アルデヒド基を有する化合物とアセトニ
トリル基を有する化合物とのKnoevenagel反応による重合〔10〕ア
ルデヒド基とアセトニトリル基とを有する化合物のKnoevenagel反応
による重合などの方法、〔11〕アルデヒド基を2つ以上有する化合物のMcM
urry反応による重合などの方法が例示される。
上記〔1〕〜〔11〕の重合について以下に式で示す。


〔1〕

Figure 2008019443
〔2〕
Figure 2008019443

〔3〕

Figure 2008019443
〔4〕
Figure 2008019443

〔5〕
Figure 2008019443

〔6〕
Figure 2008019443

〔7〕
Figure 2008019443

〔8〕
Figure 2008019443
〔9〕
Figure 2008019443

〔10〕

Figure 2008019443
〔11〕
Figure 2008019443
また、本発明の高分子発光体の製造方法としては、主鎖にビニレン基を有しな
い場合には、主鎖にビニレン基を有する場合には、3重項発光錯体から誘導され
た重合活性基を有する単量体と、必要に応じてその他の単量体を用いて、例えば
〔12〕Suzukiカップリング反応により重合する方法、〔13〕Grig
nard反応により重合する方法、〔14〕Ni(0)触媒により重合する方法
、〔15〕FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合す
る方法、あるいは〔16〕適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法
などが例示される。
上記〔12〕〜〔16〕までの重合法について、以下に式で示す。
〔12〕
Figure 2008019443

〔13〕
Figure 2008019443

〔14〕
Figure 2008019443
〔15〕
Figure 2008019443
〔16〕
Figure 2008019443
これらのうち、 Wittig反応による重合、Heck反応による重合、H
orner−Wadsworth−Emmons法による重合、Knoeven
agel反応による重合、およびSuzukiカップリング反応により重合する
方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合す
る方法が、構造制御がしやすいので好ましい。さらにSuzukiカップリング
反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0
)触媒により重合する方法が原料の入手しやすさと重合反応操作の簡便さから好
ましい。
単量体を、必要に応じ、有機溶媒に溶解し、例えばアルカリや適当な触媒を用い
、有機溶媒の融点以上沸点以下で、反応させることができる。例えば、“オルガ
ニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻
,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley
&Sons,Inc.),1965年、“オルガニック リアクションズ(Or
ganic Reactions)”,第27巻,345−390頁,ジョンワ
イリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),19
82年、“オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)
”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),40
7−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&So
ns,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),
第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック
ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147
頁(1999年)、ジャーナル オブ プラクティカル ケミストリー(J.P
rakt.Chem.),第336巻,247頁(1994年)、マクロモレキ
ュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Makromol
.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(198
7年)などに記載の公知の方法を用いることができる。
有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般に副反応を
抑制するために、用いる溶媒は十分に脱酸素処理を施し、不活性雰囲気化で反応
を進行させることが好ましい。また、同様に脱水処理を行うことが好ましい。(
但し、Suzukiカップリング反応のような水との2相系での反応の場合には
その限りではない。)
反応させるために適宜アルカリや適当な触媒を添加する。これらは用いる反応
に応じて選択すればよい。該アルカリまたは触媒は、反応に用いる溶媒に十分に
溶解するものが好ましい。アルカリまたは触媒を混合する方法としては、反応液
をアルゴンや窒素などの不活性雰囲気下で攪拌しながらゆっくりとアルカリまた
は触媒の溶液を添加するか、逆にアルカリまたは触媒の溶液に反応液をゆっくり
と添加する方法が例示される。
本発明の高分子発光体を高分子LEDの発光材料として用いる場合、その純度
が発光特性に影響を与えるため、重合前の単量体を蒸留、昇華精製、再結晶等の
方法で精製したのちに重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマ
トグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。

本発明の高分子発光体の製造方法において、それぞれの単量体は、一括混合して
反応させてもよいし、必要に応じ、分割して混合してもよい。
より具体的に、反応条件について述べると、Wittig反応、Horner
反応、Knoevengel反応などの場合は、単量体の官能基に対して当量以
上、好ましくは1〜3当量のアルカリを用いて反応させる。アルカリとしては、
特に限定されないが、例えば、カリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ブ
トキシド、ナトリウムエチラート、リチウムメチラートなどの金属アルコラート
や、水素化ナトリウムなどのハイドライド試薬、ナトリウムアミド等のアミド類
等を用いることができる。溶媒としては、 N、N−ジメチルホルムアミド、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン等が用いられる。反応の温度は、通常
は室温から150℃程度で反応を進行させることができる。反応時間は、例えば
、5分間〜40時間であるが、十分に重合が進行する時間であればよく、また反
応が終了した後に長時間放置する必要はないので、好ましくは10分間〜24時
間である。反応の際の濃度は、希薄すぎると反応の効率が悪く、濃すぎると反応
の制御が難しくなるので、約0.01wt%〜溶解する最大濃度の範囲で適宜選
択すればよく、通常は、0.1wt%〜20wt%の範囲である。Heck反応
の場合は、パラジウム触媒を用い、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、単
量体を反応させる。N、N−ジメチルホルムアミドやN−メチルピロリドンなど
の比較的沸点の高い溶媒を用い、反応温度は、80〜160℃程度、反応時間は
、1時間から100時間程度である。
Suzukiカップリング反応の場合は、触媒として、例えばパラジウム[テ
トラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類などを用い、
炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等の無機塩基、トリエチルアミ
ン等の有機塩基、フッ化セシウムなどの無機塩を単量体に対して当量以上、好ま
しくは1〜10当量加えて反応させる。無機塩を水溶液として、2相系で反応さ
せてもよい。溶媒としては、 N、N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメ
トキシエタン、テトラヒドロフランなどが例示される。溶媒にもよるが50〜1
60℃程度の温度が好適に用いられる。溶媒の沸点近くまで昇温し、環流させて
もよい。反応時間は1時間から200時間程度である。
Grignard反応の場合は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジ
メトキシエタンなどのエーテル系溶媒中でハロゲン化物と金属Mgとを反応させ
てGrignard試薬溶液とし、これと別に用意した単量体溶液とを混合し、
ニッケルまたはパラジウム触媒を過剰反応に注意しながら添加した後に昇温して
環流させながら反応させる方法が例示される。Grignard試薬は単量体に
対して当量以上、好ましくは1〜1.5当量、より好ましくは1〜1.2当量用
いる。これら以外の方法で重合する場合も、公知の方法に従って反応させること
ができる。
本発明の高分子発光体の製造方法は、X1−A−X2で示される単量体(ここに
1、X2はそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシまたはアリ
ールスルホニルオキシ基を示す。−A−は、3重項励起状態からの発光を示す金
属錯体構造を有する繰り返し単位を示す。)とX3−D−X4(ここにX3、X4
それぞれ独立にハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスル
ホニルオキシ基を示す。DはA以外の繰返し単位を示す。)とをNi触媒の存在
下反応させる製造方法である。
また、本発明の高分子発光体の製造方法は、Y1−A−Y2(ここにY1、Y2はそ
れぞれ独立にホウ酸基またはホウ酸エステル基を示す。)で示される単量体と、
1−D−Z2で示される単量体(Z1、Z2はハロゲン原子、アルキルスルホニルオ
キシ基またはアリールスルホニルオキシ基を示す。Dは前記と同じ。)とをPd
触媒の存在下反応させる製造方法である。
さらに、本発明の高分子発光体の製造方法は、Y3−D−Y4(ここにY3、Y4
それぞれ独立にホウ酸基またはホウ酸エステル基である。Dは前記と同じ。)で
示される単量体と、Z3−A−Z4で示される単量体(Z1、Z2はそれぞれ独立にハ
ロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基を
示す)とをPd触媒の存在下反応させる高分子発光体の製造方法である。
中でも、X1−A−X2で示される単量体、Y1−A−Y2で示される単量体また
はZ3−A−Z4で示される単量体が単量体全体に対して、0.01モル%以上1
0モル%以下であることが好ましい。
上記において、−A−は、3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有す
る繰り返し単位であり、具体的には構造式で例示すると、前記で例示の3重項発
光錯体のRのうち、何れか2個が隣接する繰り返し単位との結合手となった2価
の基等が挙げられる。
上記において、−D−は、−A−以外の繰返し単位であり、具体的には、上記
式(1)や(2)で示される構造が挙げられる。
1、X2、X3、X4、Z1、Z2、Z3、Z4で示されるハロゲン原子としては、よう
素、臭素、塩素、などが例示される。また、アリールスルホニルオキシ基として
は、ペンタフルオロフェニルスルホニルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキ
シ基などが、アルキルスルホニルオキシ基としては、メタンスルホニルオキシ基
トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、などが例示される。
Y1、Y2、Y3、Y4で示されるホウ酸基、ホウ酸エステル基としては、ホウ酸基
、ジメチルホウ酸エステル、エチレンホウ酸エステル、トリメチレンホウ酸エス
テルなどが例示される。
Ni触媒の存在下反応させる例としては例えば上述のNi(0)触媒により重
合する方法が挙げられる。
ニッケル触媒としては、エチレンビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル錯体
、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル錯体、ビス(シクロオクタジエ
ニル)ニッケル錯体、などが例示される。
Pd触媒の存在下反応させる例としては、例えば、上記Suzukiカップリ
ング反応が挙げられる。
パラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、パラジウム[テトラキス(トリフ
ェニルホスフィン)]錯体、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム錯
体などが例示される。
本発明の高分子発光体の製造方法により、3重項励起状態からの発光を示す金
属錯体構造をポリマーの主鎖あるいは側鎖に有する高分子発光体が容易に合成で
き、工業的に非常に有利である。
次に本発明の錯体について説明する。
本発明の錯体は、反応性官能基としての臭素原子、塩素原子、よう素原子、ア
リールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等を有する配位子を持
ち、イリジウム、白金、ユーロピウムまたは金を中心金属とする新規な錯体であ
り、本発明の高分子発光体の原料の単量体となりうる錯体である。該錯体は上記
公知の錯体が反応性官能基を有さず、誘導体に変換したり、ポリマー合成のため
の単量体として用いることが困難であるという問題を解決したものである。
本発明の錯体は、一般式(8)

Figure 2008019443
(式中、L、M、Ar、m、oは、前記と同じ。Xは、ハロゲン原子、アリール
スルホニルオキシ基、またはアルキルスルホニルオキシ基である。)で示される
錯体である。
Xで示されるハロゲン原子としては、よう素、臭素、塩素、などが例示される。
また、アリールスルホニルオキシ基としては、ペンタフルオロフェニルスルホニ
ルオキシ基、パラトルエンスルホニルオキシ基などが、アルキルスルホニルオキ
シ基としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキ
シ基、などが例示される。
中でも、一般式(8)で表される錯体のXを全て水素原子とした錯体の1重項状
態と3重項状態のエネルギーを、B3LYP法で計算したとき、1重項状態と3
重項状態のエネルギーの差が6eV以下であることを特徴とする錯体が好ましくよ
り好ましくは4eV以下、さらに好ましくは2eV以下である。
中でも、一般式(9)
Figure 2008019443
(式中、M’はイリジウム原子、白金原子または金原子を示す。Ar’は、同一ま
たは相異なり、窒素原子と炭素原子でM’と結合して5員環を形成する2座配位
子であって、少なくとも1つの臭素原子を有する2座配位子である。L’はそれ
ぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、複素環配位子、カルボキシル基
、ハロゲン原子、アミド基、イミド基、アルコキシ基、アルキルメルカプト基、
カルボニル配位子、アルケン配位子、アルキン配位子、アミン配位子、イミン配
位子、ニトリル配位子、イソニトリル配位子、ホスフィン配位子、ホスフィンオ
キシド配位子、ホスファイト配位子、エーテル配位子、スルホン配位子、スルホ
キシド配位子またはスルフィド配位子である。qは、1〜3の整数を示す。rは、
0〜2の整数を示す。)で表される錯体が好ましい。
一般式(9)で示される錯体の配位子Ar’の具体例としては、Mと結合する炭
素原子に水素原子が付加した形(Ar’H)で例示すると、
2-メタブロモフェニルピリジン、2-(メタブロモ-パラフェニルフェニル)ピ
リジン、7−ブロモベンゾ[h]キノリン、2−(5−ブロモ−4−チオフェン−
2−イル)ピリジン、2−(5−ブロモ−4−フェニルチオフェン−2−イル)ピ
リジン、2−メタブロモフェニルベンゾオキサゾール、2-(メタブロモ-パラフ
ェニルフェニル)ベンゾオキサゾール、2−メタブロモフェニルベンゾチアゾー
ル、2−-(メタブロモ-パラフェニルフェニル)ベンゾチアゾール、2−(6−ブ
ロモベンゾチオフェン−2−イル)ピリジン、2-ブロモ-7,8,12,13,17,18-ヘキ
サキスエチル-21H,23H-ポルフィリン、6-ブロモ-1,10-フェナントロリン、ベン
ゾイル-パラブロモベンゾイル-メタン、(4-ブロモテノイル)トリフルオロアセト
ン、などが例示され、2-メタブロモフェニルピリジン、7−ブロモベンゾ[h]
キノリン、2−メタブロモフェニルベンゾオキサゾール、2−メタブロモフェニ
ルベンゾチアゾールなどが好ましい。
一般式(9)で示される錯体の配位子Ar’はハロゲン原子、アルキル基、アル
ケニル基、アラルキル基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、環状アルケ
ニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アラ
ルキルオキシカルボニル基、アリール基等の置換基を有していてもよい。
Ar’の置換基の具体例としては以下のとおりである。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが、ア
ルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブ
チル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、ネオペンチル基、n−ヘキ
シル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、2,3,4−トリメチル
−3−ペンチル基、2,4−ジメチル−3−ペンチル基などが、
アルケニル基としては2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基などが、
アラルキル基としてはベンジル基、2−フェニルエチル基、2−ナフチルエチル基
、ジフェニルメチル基などが、アリールチオ基としてはチオフェニル基などが、
アリールアルケニル基としてはトランスβスチリル基、3−フェニル−1−プロペ
ニル基などが、環状アルケニル基としては、1−シクロヘキセニル基などが、ア
ルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基
などが、アリールオキシ基としてはフェノキシ基、ナフチルオキシ基、ジフェニ
ルオキシ基などが、アルキルオキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基
、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカ
ルボニル基としてはベンジルオキシカルボニル基などが、アリールオキシカルボ
ニル基としては、フェニルオキシカルボニル基などが、アリール基としてはフェ
ニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フリル基などが、それぞれ例示される。
また、上記のハロゲン原子以外の置換基は、たとえば、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子、沃素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポ
キシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキ
シ基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イ
ソブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基など
の低級アルキル基;n−プロピルチオ基、t−ブチルチオ基などの低級アルキルチ
オ基;フェニルチオ基などのアリールチオ基、ニトロ基、水酸基などで置換され
ていてもよい。
また、上記式(9)のL’において、アルキル基、アリール基、複素環配位子
、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミド基、イミド基、アルコキシ基、アルキ
ルメルカプト基、カルボニル配位子、アルケン配位子、アルキン配位子、アミン
配位子、イミン配位子、ニトリル配位子、イソニトリル配位子、ホスフィン配位
子、ホスフィンオキシド配位子、ホスファイト配位子、エーテル配位子、スルホ
ン配位子、スルホキシド配位子またはスルフィド配位子で示される配位子として
は、上記式(6)中のLに例示のものと同様である。
本発明の錯体(9)の具体例としては、例えば、中心金属M’がイリジウム原
子のものとしては、トリス(2-メタブロモフェニルピリジン)イリジウム(III)、
ビス(2-メタブロモフェニルピリジン)(フェニルピリジン)イリジウム(III)、 (
2-メタブロモフェニルピリジン)ジ(フェニルピリジン)イリジウム(III)、ビス(
7−ブロモベンゾ[h]キノリン) アセチルアセトナートイリジウム(III)、ビス{
2−(5−ブロモチオフェン−2−イル)ピリジン}アセチルアセトナートイリジ
ウム(III)、ビス(2−(3−ブロモフェニル)ベンゾオキサゾール)アセチルアセ
トナートイリジウム(III)、ビス(2−(3−ブロモフェニル)ベンゾチアゾール)
アセチルアセトナートイリジウム(III)、ビス{2−(5−ブロモベンゾチオフェ
ン−2−イル)ピリジン}アセチルアセトナートイリジウム(III)等が挙げられる
また、中心金属M’が白金原子のものとしては、ビス(2-メタブロモフェニル
ピリジン)プラチナ(II)、(2-メタブロモフェニルピリジン)(フェニルピリジン)
プラチナ(II)、(7−ブロモベンゾ[h]キノリン) アセチルアセトナートプラチ
ナ(II) 、{2−(5−ブロモチオフェン−2−イル)ピリジン}アセチルアセトナ
ートプラチナ(II)、(2−(3−ブロモフェニル)ベンゾオキサゾール)アセチルア
セトナートプラチナ(II)、(2−(3−ブロモフェニル)ベンゾチアゾール)アセチ
ルアセトナートプラチナ(II)、{2−(5−ブロモベンゾチオフェン−2−イル)
ピリジン}アセチルアセトナートプラチナ(II) 等が挙げられる。
また、中心金属M’が金原子のものとしては、トリス(2-メタブロモフェニル
ピリジン)金(III)、ビス(2-メタブロモフェニルピリジン)(フェニルピリジン)
金(III)、 (2-メタブロモフェニルピリジン)ジ(フェニルピリジン)金(III)、ビ
ス(7−ブロモベンゾ[h]キノリン) アセチルアセトナート金(III)、ビス{2−(
5−ブロモチオフェン−2−イル)ピリジン}アセチルアセトナート金(III)、ビ
ス(2−(3−ブロモフェニル)ベンゾオキサゾール)アセチルアセトナート金(III
)、ビス(2−(3−ブロモフェニル)ベンゾチアゾール)アセチルアセトナート金(
III)、ビス{2−(5−ブロモベンゾチオフェン−2−イル)ピリジン}アセチルア
セトナート金(III)等が挙げられる。
また、中心金属M’がユーロピウム原子のものとしては、(6-ブロモ-1,10-フ
ェナントロリン)トリス(ジベンゾイルメタン)ユーロピウム(III)、(6-ブロモ-1,
10-フェナントロリン) トリス[(4-ブロモテノイル)トリフルオロアセトン]ユ
ーロピウム(III)、などが挙げられる。
中でもAr'が一般式(10)で示される2座配位子であり、R21〜R28 の1つ
以上が臭素原子であるものがより好ましく、R23が臭素原子で、他が水素原子で
あるものが特に好ましい。





Figure 2008019443

(式中、R21〜R28は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基
、アルケニル基、アラルキル基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、環状
アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基
、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはアリー
ル基を示す。R21〜R28のうち少なくとも1つは臭素原子である。)

21〜R28の具体例は、前述の一般式(9)で示される錯体の配位子Ar’の置
換基の具体例と同じである。
次に本発明の錯体の製造方法について一般式(8)の錯体の製造方法を例にと
り説明する。
一般式(8)の錯体は
一般式(11)

Figure 2008019443


(式中L'は、式(9)のL'と同じ意味である。sは、0〜3の整数を示す。)
で示される錯体と、
Ar’H (12)
(式中、Ar’は式(9)のAr’と同じ意味であり、Ar’Hは Ar’のM'
と結合する炭素原子に水素原子が付加していることを意味する。)
で示される化合物
とを反応させることにより製造できる。
L’としては、カルボキシル基、ジケトナート配位子、アミド基、イミド基、
カルボニル配位子、アレーン配位子、アルケン配位子、アルキン配位子、イミン
配位子、ニトリル配位子、エーテル配位子、スルホン配位子、スルホキシド配位
子、スルフィド配位子など、比較的弱く中心金属に結合しているため、交換反応
がスムーズに進行する配位子が好ましい
上記Ar’Hは市販の試薬を用いてもよいし、また、公知の方法により製造す
ることもできる。
本発明の製造方法において、錯体(11)と配位子(12)の量比は、調製す
る目的の錯体によって異なるが、モル比で、およそ錯体/配位子=1/0.5〜1
/10での範囲である。
また、反応は、通常溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、ジエチルエー
テル、テトラヒドロフラン、ターシャリーブチルメチルエーテル、ジオキサン、
などのエーテル系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの
炭化水素系溶媒、酢酸エチルエステル、プロピオン酸メチルエステル、などのエ
ステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、などのハ
ロゲン系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトンなどのケト
ン系溶媒、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリンなどのア
ルコール系溶媒、などが用いられる。溶媒の使用量は、特に制限されないが、通
常、原料である錯体類と配位子類の合計重量に対して通常重量比で10〜500倍程
度である。
反応温度は、特に限定されないが、通常50〜350℃付近で反応させる。
反応時間は、特に限定されないが、通常30分間から30時間程度である。
合成操作としては、フラスコ内に溶媒を投入しこれを攪拌しながら、不活性ガ
ス、例えば、窒素ガスやアルゴンガス、でバブリングなどにより脱気した後、錯
体(11)と配位子(12)を投入する。攪拌しながら不活性ガス雰囲気下で配
位子交換される温度まで昇温し、保温攪拌する。反応の終点は、TLCモニター
や高速液体クロマトグラフィーにより原料の減少が停止することや、どちらかの
原料の消失をもって決定することができる。
反応混合液からの目的物の取り出しと精製については、錯体によって異なり、
通常の錯体精製の手法が使われる。
例えば、錯体に対して貧溶媒である1規定の塩酸水溶液を投入し錯体を析出さ
せ、これをろ過して取りこの固体をジクロロメタンやクロロホルムなどの有機溶
媒に溶かす。この溶液をろ過して不溶物を除去し再度濃縮し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(ジクロロメタン溶出)により精製し、目的物の分画溶液を集
め、例えば、メタノール(貧溶媒)を適当量加え、濃縮し目的物錯体を析出させ、
これをろ過して乾燥させ錯体を得る。尚、本発明の錯体(9)および(10)の
製造法は上記方法に限定されない。
本発明の錯体を単量体として用いることにより、高分子発光体を製造すること
ができる。
次に、本発明の高分子LEDについて説明する。本発明の高分子LEDは、陽
極および陰極からなる電極間に発光層を有する高分子LEDであり、該発光層が
本発明の高分子発光体を含むことを特徴とする。
また、本発明の高分子LEDとしては、陰極と発光層との間に、電子輸送層を
設けた高分子LED、陽極と発光層との間に、正孔輸送層を設けた高分子LED
、陰極と発光層との間に、電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に、正孔
輸送層を設けた高分子LED等が挙げられる。
また、上記少なくとも一方の電極と発光層との間に該電極に隣接して導電性高
分子を含む層を設けた高分子LED;少なくとも一方の電極と発光層との間に該
電極に隣接して平均膜厚2nm以下のバッファー層を設けたLEDが挙げられる
具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
ここで、発光層とは、発光する機能を有する層であり、正孔輸送層とは、正孔
を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有す
る層である。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。
発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改
善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入
層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接
して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面
の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファ
ー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を
勘案して適宜用いることができる。
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子LE
Dとしては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子LED、陽極に隣接して
電荷注入層を設けた高分子LEDが挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電荷輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層
との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値
のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設け
られ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力
を有する材料を含む層などが例示される。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度
は、10-5S/cm以上103S/cm以下であることが好ましく、発光画素間
のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102S/cm以下が
より好ましく、10-5S/cm以上101S/cm以下がさらに好ましい。
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-5S/cm以上103S/cm以下
とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であれ
ばカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、ア
ルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチ
オンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テト
ラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50
nmが好ましい。
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すれ
ばよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポ
リピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリ
チエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキ
ノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体
などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボン
などが例示される。
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上
記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げら
れる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDとしては、陰極に隣接して
膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LED、陽極に隣接して膜厚2nm以下
の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶
縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶
縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚
2nm以下の絶縁層/陰極
高分子LED作成の際に、本発明の有機溶媒可溶性の高分子発光体を用いるこ
とにより、溶液から成膜する場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去する
だけでよく、また電荷輸送材料や発光材料を混合した場合においても同様な手法
が適用でき、製造上非常に有利である。溶液からの成膜方法としては、スピンコ
ート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バ
ーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプ
レーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インク
ジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光
効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり
、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nm
である。
本発明の高分子LEDにおいては、発光層に上記高分子発光体以外の発光材料
を混合して使用してもよい。また、本発明の高分子LEDにおいては、上記高分
子発光体以外の発光材料を含む発光層が、上記高分子発光体を含む発光層と積層
されていてもよい。
該発光材料としては、公知のものが使用できる。低分子化合物では、例えば、
ナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘
導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8
−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフ
ェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエ
ンもしくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報
に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
本発明の高分子LEDが正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料と
しては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその
誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラ
ゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミ
ン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導
体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしく
はその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体
などが例示される。
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63
−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号
公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−15218
4号公報に記載されているもの等が例示される。
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾ
ールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に
芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはそ
の誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン
)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはそ
の誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカル
バゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主
鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料
の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカ
チオン重合またはラジカル重合によって得られる。
ポリシランもしくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.R
ev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号
公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用
いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性が
ほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するも
のが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有す
るものが例示される。
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バ
インダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸
送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれ
ば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタ
ン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒
、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が
例示される。
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法
、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート
法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン
印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗
布法を用いることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ま
しく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バ
インダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレー
ト、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサ
ン等が例示される。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と
発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発
生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好
ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmで
あり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200
nmである。
本発明の高分子LEDが電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料と
しては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン
もしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくは
その誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジ
メタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン
もしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンも
しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサ
リンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、
特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−20998
8号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されてい
るもの等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、
アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはそ
の誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもし
くはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビ
フェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾー
ル、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム
、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉
末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が、高
分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示
される。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用しても
よい。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バ
インダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホル
ム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチ
ルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブ
アセテート等のエステル系溶媒が例示される。
溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティン
グ法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコ
ート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリ
ーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等
の塗布法を用いることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ま
しく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子
バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはそ
の誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン
)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導
体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリシロキサンなど
が例示される。
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と
発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発
生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好
ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmで
あり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200
nmである。
本発明の高分子LEDを形成する基板は、電極を形成し、該高分子LEDの各
層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、
高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反
対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
通常、陽極および陰極からなる電極のうち少なくとも一方が透明または半透明で
あり、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。
該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられ
る。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体
であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイ
ド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金
、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好
ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティ
ング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくは
その誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用い
てもよい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することがで
きるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであ
り、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電
性高分子、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機
絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
本発明の高分子LEDで用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が
好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニ
ウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム
、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、および
それらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金
、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以
上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金
の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネ
シウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金
、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アル
ミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが
、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さ
らに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱
圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性
高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からな
る平均膜厚2nm以下の層を設けても良く、陰極作製後、該高分子LEDを保護
する保護層を装着していてもよい。該高分子LEDを長期安定的に用いるために
は、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着す
ることが好ましい。
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物
などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透
水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹
脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。ス
ペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である
。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防
止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することに
より製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易
となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
本発明の高分子発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリッ
クス表示装置または液晶表示装置のバックライトに用いることができる。
本発明の高分子LEDを用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極
が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、
前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非
発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰
極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これ
らのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFF
できるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセ
グメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするた
めには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すれば
よい。複数の種類の発光色の異なる高分子発光体を塗り分ける方法や、カラーフ
ィルターまたは発光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マル
チカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能で
あるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動しても良い。これらの表示素
子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデ
オカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックラ
イト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる
。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用
できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
ここで、数平均分子量については、クロロホルムを溶媒として、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量
を求めた。
実施例1
<2−(ブロモフェニル)ピリジンの製造>
2−フェニルピリジン3g(19.3mmol)と鉄粉40mg(0.716m
mol)を混合し攪拌した。0℃に冷却し攪拌しながら臭素4.0g(25mm
ol)を発熱に注意しながら滴下し、90℃まで昇温して10時間攪拌した。反
応終了後この反応混合液を、クロロホルムに溶かし溶液にし、5%チオ硫酸ナト
リウム水溶液で洗浄した。クロロホルム溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、
濃縮し、残滓をシリカゲルカラムクロマトにより精製し目的の2−(ブロモフェ
ニル)ピリジンを得た。
収量は1.6g(6.83mmol)で、収率は35.4%であった。LC−M
SによりM+は234.0であった。
<トリス(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III)の製造>
トリスアセチルアセトナートイリジウム(III)錯体50mg(0.1021m
mol)と2−ブロモフェニルピリジン95.6mg(0.4084mmol)
およびグリコール20mlを50mlのナスフラスコに投入し10時間還流した
。この反応液に1規定塩酸水溶液100mlを加え、30分間攪拌した。析出し
た固体をろ過して取り、再び再少量の塩化メチレンに溶かして溶液にした。この
溶液をシリカゲルカラムクロマトろ過し、余ったイリジウム錯体由来の金属分解
物を除去した。この後、得られた溶液を途中まで濃縮しメタノールを加え析出し
てくる黄色固体をろ過して回収した。
目的物であるトリス(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III)1
0.12mg(0.0113mmol)を得た。収率は11.1%であった。F
D−MSによりM+は893であった。
実施例2
<ビス(2−(フェニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニル)ピリジン)
イリジウム(III)の製造>
トリスアセチルアセトナートイリジウム(III)錯体0.642g(1.31
mmol)と2−(ブロモフェニル)ピリジン0.41g(1.75mmol)
と2−(フェニル)ピリジン0.54g(3.5mmol)およびグリコール5
0mlを100mlのナスフラスコに投入し10時間還流した。この反応液に1
規定塩酸水溶液100mlを加え、30分間攪拌した。析出した固体をろ過して
取り、再び再少量の塩化メチレンに溶かして溶液にした。この溶液をシリカゲル
カラムクロマトろ過し、余ったイリジウム錯体由来の金属分解物を除去した。こ
の後、得られた溶液を途中まで濃縮しメタノールを加え析出してくる黄色固体を
ろ過して回収した。
ビス(2−(フェニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニル)ピリジン)
イリジウム(III)が主成分となる混合物0.13g(0.177mmol相当
)を得た。収率は、約13.5%であった。FD−MSより、主成分のM+は、
733であった。この混合物とは、トリス(2−(ブロモフェニル)ピリジン)
イリジウム(III)錯体(錯体4)、モノ(2−(フェニル)ピリジン)ビス(
2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III)錯体(錯体3)、ビス(
2−(フェニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウ
ム(III)錯体(錯体2)、トリス(2−(フェニル)ピリジン)イリジウム(I
II)錯体(錯体1)の混合物である。FD−MSにより、それぞれの比率を求め
ると、以下の表1のとおりであった。
Figure 2008019443
実施例3
<高分子発光体1の合成>
9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン0.403g(0.735m
mol)とN−オクチル−3,6−ジブロモカルバゾ−ル0.321g(0.7
35mmol)とビス(2−(フェニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニ
ル)ピリジン)イリジウム(III) 0.022g(0.03mmol:この化合
物はトリス(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III)錯体、モノ
(2−(フェニル)ピリジン)ビス(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジ
ウム(III)錯体、ビス(2−(フェニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェ
ニル)ピリジン)イリジウム(III)錯体、トリス(2−(フェニル)ピリジン
)イリジウム(III)錯体の混合物であり、仕込みに際しては、ビス(2−(フ
ェニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III
)の分子量733を用いた。)と2,2’−ビピリジル0.55g(3.5mm
ol)を反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あら
かじめアルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒
)40mlを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエ
ン)ニッケル(0)を0.96g(3.5mmol)加え、室温で10分間攪拌
した後、60℃で8時間反応した。なお、反応は、窒素雰囲気中で行った。反応
後、この溶液を冷却した後、25%アンモニア水10ml/メタノール150m
l/イオン交換水50ml混合溶液中にそそぎ込み、約30分攪拌した。次に、
生成した沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を乾燥した後、クロロホルムに溶解
した。この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液をメタノール中にそそ
ぎ込み、再沈して、生成した沈殿を回収した。この沈殿を減圧乾燥して、重合体
0.11gを得た。この重合体を高分子発光体1と呼ぶ。
高分子発光体1のポリスチレン換算重量平均分子量は、4.4×105であり
、数平均分子量は、1.9×105であった。
高分子発光体1は、9,9−ジオクチル−2,7−フルオレン、N−オクチル
−3,6−カルバゾ−ル、およびトリス(2−(フェニル)ピリジン)イリジウ
ム(III)錯体を繰り返し単位とする共重合体である。
実施例4
<高分子発光体2の合成>
9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン0.403g(0.735
mmol)とN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチル−4−ブロモ
フェニル)ベンジジン0.496g(0.735mmol)とビス(2−(フェ
ニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III)
0.022g(0.03mmol:この化合物はトリス(2−(ブロモフェニル
)ピリジン)イリジウム(III)錯体、モノ(2−(フェニル)ピリジン)ビス
(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III)錯体、ビス(2−(フ
ェニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III
)錯体、トリス(2−(フェニル)ピリジン)イリジウム(III)錯体の混合物
であり、仕込みに際しては、ビス(2−(フェニル)ピリジン)モノ(2−(ブ
ロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III)の分子量733を用いた。)と2
,2’−ビピリジル0.55g(3.5mmol)を反応容器に仕込んだ後、反
応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめアルゴンガスでバブリングし
て、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)40mlを加えた。次に、この混
合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)を0.96g(
3.5mmol)加え、室温で10分間攪拌した後、60℃で8時間反応した。
なお、反応は、窒素雰囲気中で行った。反応後、この溶液を冷却した後、25%
アンモニア水10ml/メタノール150ml/イオン交換水50ml混合溶液
中にそそぎ込み、約30分攪拌した。次に、生成した沈殿を濾過し、回収した。
この沈殿を乾燥した後、クロロホルムに溶解した。この溶液を濾過し、不溶物を
除去した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み、再沈して、生成した沈殿を
回収した。この沈殿を減圧乾燥して、重合体0.35gを得た。この重合体を高
分子発光体2と呼ぶ。
高分子発光体2のポリスチレン換算重量平均分子量は、3.6×105であり
、数平均分子量は、1.8×104であった。
高分子発光体2は、9,9−ジオクチル−2,7−フルオレン、N、N‘−ジ
フェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)ベンジジン、およびトリス(
2−(フェニル)ピリジン)イリジウム(III)錯体を繰り返し単位とする共重
合体である。
実施例5
<高分子発光体3の合成>
9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン0.806g(1.47m
mol)とビス(2−(フェニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニル)ピ
リジン)イリジウム(III) 0.022g(0.03mmol:この化合物はト
リス(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III)錯体、モノ(2−
(フェニル)ピリジン)ビス(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(
III)錯体、ビス(2−(フェニル)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニル)
ピリジン)イリジウム(III)錯体、トリス(2−(フェニル)ピリジン)イリ
ジウム(III)錯体の混合物であり、仕込みに際しては、ビス(2−(フェニル
)ピリジン)モノ(2−(ブロモフェニル)ピリジン)イリジウム(III)の分
子量733を用いた。)と2,2’−ビピリジル0.55g(3.5mmol)
を反応容器に仕込んだ後、反応系内を窒素ガスで置換した。これに、あらかじめ
アルゴンガスでバブリングして、脱気したテトラヒドロフラン(脱水溶媒)40
mlを加えた。次に、この混合溶液に、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニ
ッケル(0)を0.96g(3.5mmol)加え、室温で10分間攪拌した後
、60℃で8時間反応した。なお、反応は、窒素雰囲気中で行った。反応後、こ
の溶液を冷却した後、25%アンモニア水10ml/メタノール150ml/イ
オン交換水50ml混合溶液中にそそぎ込み、約30分攪拌した。次に、生成し
た沈殿を濾過し、回収した。この沈殿を乾燥した後、クロロホルムに溶解した。
この溶液を濾過し、不溶物を除去した後、この溶液をメタノール中にそそぎ込み
、再沈して、生成した沈殿を回収した。この沈殿を減圧乾燥して、重合体0.1
1gを得た。この重合体を高分子発光体3と呼ぶ。
高分子発光体3のポリスチレン換算重量平均分子量は、7.6×104であり、
数平均分子量は、1.2×104であった。
高分子発光体3は、9,9−ジオクチル−2,7−フルオレンおよびトリス(
2−(フェニル)ピリジン)イリジウム(III)錯体を繰り返し単位とする共重
合体である。
実施例6
<高分子LED>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジ
オキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、Baytron)を用
いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で120℃で5分間
乾燥した。次に、高分子発光体1の0.5wt%クロロホルム溶液を用いてスピンコー
トにより約70nmの厚みで成膜した。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した
後、陰極バッファー層として、フッ化リチウムを0.4nm、陰極として、カルシウ
ムを25nm、次いでアルミニウムを40nm蒸着して、高分子LEDを作成した。蒸着の
ときの真空度は、すべて1〜8×10-6Torrであった。得られた素子に電圧を印
加することにより、高分子発光体1からのEL発光が得られた。EL発光の強度
は電流密度にほぼ比例していた。
実施例6
<項間交差の計算実施例>
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体の最低3重項励起状態の構造を
、B3LYP法により、LANL2MB基底関数を用いて求めた。その構造について、さらに
B3LYP/LANL2MBレベルのTDDFT法により、最低一重項励起状態―最低3重項励起状
態間のエネルギー差を求めたところ、 0.87eVであった。計算にはGaussian98プ
ログラムを用いた。

Claims (15)

  1. ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜108である高分子発光体であって、該発光体がその側鎖に下記式(6−1)で示される構造である3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する高分子発光体と溶媒とを含む溶液。
    Figure 2008019443
    (式中、Mは、原子番号50以上の原子で、スピン−軌道相互作用により本錯体において1重項状態と3重項状態間の項間交差が起きうる金属を示す。Ar”は、フェニルピリジン、2-(パラフェニルフェニル)ピリジン、7−ブロモベンゾ[h]キノリン、2−(4−チオフェン−2−イル)ピリジン、2−(4−フェニルチオフェン−2−イル)ピリジン、2−フェニルベンゾオキサゾール、2-(パラフェニルフェニル)ベンゾオキサゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、2−(パラフェニルフェニル)ベンゾチアゾール、2−(ベンゾチオフェン−2−イル)ピリジン7,8,12,13,17,18-ヘキサキスエチル-21H,23H-ポルフィリンであり、これらに置換基を有していてもよい。Lは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環配位子、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミド基、イミド基、アルコキシ基、アルキルメルカプト基、カルボニル配位子、アルケン配位子、アルキン配位子、アミン配位子、イミン配位子、ニトリル配位子、イソニトリル配位子、ホスフィン配位子、ホスフィンオキシド配位子、ホスファイト配位子、エーテル配位子、スルホン配位子、スルホキシド配位子またはスルフィド配位子である。mは、1〜5の整数を示す。oは、0〜5の整数を示す。)
  2. 上記式(6−1)で示される金属錯体構造を2種以上含むことを特徴とする請求項1に記載の溶液。
  3. Mがレニウム原子、オスミウム原子、イリジウム原子、白金原子、金原子、サマリウム原子、ユーロピウム原子、ガドリニウム原子、テルビウム原子またはジスプロシウム原子であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶液。
  4. Mがイリジウム原子、白金原子、金原子またはユーロピウム原子であることを特徴とする請求項3に記載の溶液。
  5. 高分子発光体が、一般式(1)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶液。
    Figure 2008019443

    (1)

    〔ここで、Ar1は、アリーレン基または2価の複素環基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。nは0または1である。〕
  6. 高分子発光体が、下記式(2)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項5に記載の溶液。

    Figure 2008019443
    (2)
    〔式中、Ar2およびAr3はそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基であり、Ar2とAr3は架橋しない。また、R11は、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、下記(3)で示される基、または下記(4)で示される基を示す。tは1〜4の整数である。
    Figure 2008019443
    (3)
    (式中、Ar4はアリーレン基または2価の複素環基である。R12は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、または下記式(4)で示される基を示す。Z1は、 −CR13=CR14−または−C≡C−を表す。R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基またはシアノ基を示す。uは0〜2の整数である。)

    Figure 2008019443
    (4)
    (式中、Ar5およびAr6はそれぞれ独立にアリーレン基または2価の複素環基である。また、R15はアルキル基、アリール基または1価の複素環基を示す。R16は水素原子、アルキル基、アリール基または1価の複素環基を示す。vは1〜4の整数である。)〕
  7. 高分子発光体が下記式(5)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項5に記載の溶液。

    Figure 2008019443
    (5)
    (式中、R11は、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、前記(3)で示される基、または前記(4)で示される基を示す。R18およびR19は芳香環上の置換基を表し、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリールチオ基、アリールアルケニル基、環状アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基または、1価の複素環基を示す。a、bはそれぞれ独立に0〜3の整数であり、aまたはbが2以上の時、各R18またはR19は同一であっても、異なっていてもよい。)
  8. ポリスチレン換算の数平均分子量が103〜108である高分子発光体であって、該発光体がその側鎖に3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有し、かつ前記式(1)で示される繰り返し単位および前記式(2)で示される繰り返し単位を有する高分子発光体と溶媒とを含む溶液。
  9. 一般式(1)、(2)または(5)で示される繰り返し単位と,3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する繰り返し単位との合計に対して、3重項励起状態からの発光を示す金属錯体構造を有する繰り返し単位が0.01モル%以上10モル%以下であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の溶液。
  10. 溶媒がクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンのいずれかを含む請求項1〜9のいずれかに記載の溶液。
  11. 高分子発光体を溶媒に0.1重量%以上溶解している請求項1〜10のいずれかに記載の溶液。
  12. 塗布法を用いる請求項1〜11のいずれかに記載の溶液からの膜の成膜方法。
  13. 塗布法がスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法またはインクジェットプリント法である請求項12に記載の成膜方法。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の溶液から溶媒を除去することにより得られる膜。
  15. 膜厚が1nmから1μmである請求項14に記載の膜。
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