JP2008019319A - 高熱伝導性コンパウンド - Google Patents

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Abstract

【課題】 湿度の高い環境下でも安定性が高く、ちょう度低下を抑えることができる高熱伝導性コンパウンドを提供する。
【解決手段】(A)無機粉末充填剤を87〜96質量%、
(B)基油を2〜13質量%、
(C)炭素数8〜28の不飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸を0.08〜4質量%、含有する高熱伝導性コンパウンド。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い熱伝導率を有する高熱伝導性コンパウンドに関し、塗布性に優れ、かつ耐湿性に優れた高熱伝導性コンパウンドに関する。
電子機器に使用されている半導体部品の中には、コンピュータのCPUや電源制御用のパワー半導体のように使用中に発熱をともなう部品がある。これらの半導体部品を熱から保護し、正常に機能させるためには、発生した熱をヒートシンク等の放熱部品へ伝導させ放熱する方法がある。熱伝導性コンパウンドは、これら半導体部品と放熱部品を密着させるように両者の間に塗布され、半導体部品の熱を放熱部品に効率よく伝導させるために用いられる。したがって、熱伝導性コンパウンドには、高い熱伝導性が求められると共に、良好な塗布性のために高いちょう度を有することも求められる。
熱伝導性コンパウンドは、液状炭化水素やシリコーン油等の基油に、金属酸化物や金属窒化物や金属粉末等の熱伝導率の高い充填剤が多量に分散されたグリース状組成物である。また、この組成物中の充填剤の分散性を良好に保ち、さらにちょう度と塗布性を高める目的で、種々の表面改質剤を配合することが検討されている(例えば特許文献1、2参照)。
特開平9−97988公報 特開2006−96973号公報
しかし、熱伝導性コンパウンドは湿度の高い環境に置かれた場合、充填剤の材質によっては、充填剤が吸湿して金属水酸化物等に変質してしまう場合があり、その結果、熱伝導性等の性能低下が懸念される。また、熱伝導性コンパウンド中での充填剤の分散状態によっては、湿度の高い環境に置かれた場合、水分の影響により熱伝導性コンパウンドの充填剤の分散性が悪くなり、その結果、熱伝導性コンパウンドのちょう度が低下し硬化する可能性がある。このようなちょう度低下や硬化が塗布前の保存中に生じた場合、熱伝導性コンパウンドの塗布がしづらくなる場合がある。また、放熱材料として実装使用時にちょう度低下や硬化が起こるとクラックの発生等により、放熱性能が低下する場合がある。
本発明の目的は、湿度の高い環境下でも安定性が高く、ちょう度低下を抑えることができる高熱伝導性コンパウンドを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、特定の充填剤と特定の表面改質剤を配合することで、湿度の高い環境下でも変質せずちょう度低下を抑えられる熱伝導性コンパウンドが得られることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、(A)無機粉末充填剤を87〜96質量%、
(B)基油を2〜13質量%未満、
(C)炭素数8〜28の不飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸を0.08〜4質量%、をそれぞれ含有する高熱伝導性コンパウンドを提供するものである。
また、本発明は、上記高熱伝導性コンパウンドにおいて、無機粉末充填剤が酸化亜鉛粉末、酸化アルミニウム粉末及び金属アルミニウム粉末より選ばれる少なくとも1種以上である高熱伝導性コンパウンドを提供するものである。
さらに本発明は、上記高熱伝導性コンパウンドにおいて、無機粉末充填剤が平均粒径5〜50μmの粗粒と平均粒径0.15〜2μmの細粒の組合せであり、それらの質量比が20:80〜85:15の範囲である高熱伝導性コンパウンドを提供するものである。
さらに、本発明は、(D)アルケニルコハク酸イミド及びそのホウ素誘導体から選ばれる1種以上を0.005質量%〜0.1質量%含有する高熱伝導性コンパウンドを提供するものである。
本発明の高熱伝導性コンパウンドは、無機粉末充填剤と特定の表面改質剤の効果により、湿度環境下でも変質しにくく、ちょう度低下を抑え、かつ優れた熱伝導性を実現するものである。本発明の高熱伝導性コンパウンドを使用することで、熱対策の必要な電子部品の放熱性を向上でき、特にCPUやパワー半導体等の放熱材料として好適である。
本発明に用いられる無機粉末充填剤(A)は、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、金属アルミニウム、金属銅、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカなどの粉末が好適に使用でき、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、金属アルミニウムなどの粉末が特に好ましい。これらは1種単独で用いても良く、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。
無機粉末充填剤は、電気絶縁性を求める場合には、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカなどの粉末が好適に使用でき、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、シリカの粉末がより好ましく、酸化亜鉛、酸化アルミニウムの粉末が特に好ましい。また、電気絶縁性を求めず、より高熱伝導性を求める場合には、金属アルミニウム、金属銅などの金属粉末が好適に使用でき、金属アルミニウムの粉末が好ましい。
また、上記無機粉末充填剤は、平均粒径が5〜50μmの粗粒の無機粉末充填剤と平均粒径が0.15〜2μmの細粒の無機粉末充填剤からなることが好ましい。粗粒の無機粉末充填剤の平均粒径は、50μmを越えると塗膜が厚くなり熱伝導性が低下する傾向にある。また、細粒の無機粉末充填剤の平均粒径は、0.15μm未満の場合には、充填剤の表面積が大きすぎて、液体成分(基油と表面改質剤)が不足し、ちょう度が低くなったり熱伝導性コンパウンドを調製できなくなる傾向にある。一方、粗粒の無機粉末充填剤の平均粒径が5μm未満の場合や、細粒の無機粉末充填剤の平均粒径が2μmを超える場合には、いずれも無機粉末充填剤が最密充填できなくなる場合があり、結果として十分な熱伝導率が得られなくなる傾向にある。粗粒無機粉末充填剤の平均粒径は、好ましくは5〜40μmであり、特に好ましくは8〜30μmである。細粒無機粉末充填剤の平均粒径は、好ましくは0.2〜1.8μmであり、特に好ましくは0.3〜1.5μmである。
また、粗粒の無機粉末充填剤と細粒の無機粉末充填剤の混合比率は、質量比で20:80〜85:15の範囲で混合するのが好ましい。細粒の無機粉末充填剤が多すぎると、充填剤の表面積が大きくなりすぎて液体成分(基油と表面改質剤)が不足しちょう度が低くなったり熱伝導性コンパウンドを調製できなくなる場合がある。一方、細粒の無機粉末充填剤が不足すると、無機粉末充填剤を最密充填できない場合があり、結果として十分な熱伝導率が得られない場合がある。
無機粉末充填剤の含有率は87〜96質量%であるが、含有率が高いほど熱伝導性に優れ、好ましくは90〜95質量%である。87質量%未満では熱伝導性が低くなったり、また離油を生じ基油の滲み出しを生じることがある。一方、96質量%を越えるとちょう度が低くなり十分な塗布性を保てなくなったり、熱伝導性コンパウンドが調製できなくなる。
基油(B)としては、種々の基油が使用でき、例えば、鉱油、合成炭化水素油などの炭化水素系基油、エステル系基油、ポリグリコール、リン酸エステル、シリコーン油及びフッ素油などが挙げられ、炭化水素系基油、エステル系基油が好ましい。基油の分離を防止する点においては、表面張力の低いシリコーン油及びフッ素油は、あまり好ましくない。基油は1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
鉱油としては、例えば、鉱油系潤滑油留分を溶剤抽出、溶剤脱ロウ、水素化精製、水素化分解、ワックス異性化などの精製手法を適宜組み合わせて精製したもので、150ニュートラル油、500ニュートラル油、ブライトストック、高粘度指数基油などが挙げられる。鉱油は、高度に水素化精製された高粘度指数基油が好ましい。
合成炭化水素油としては、例えば、エチレンやプロピレン、ブテン、及びこれらの誘導体などを原料として製造されたアルファオレフィンを、単独または2種以上混合して重合したものが挙げられる。アルファオレフィンとしては、炭素数6〜14のものが好ましく挙げられる。
具体的には、1−デセンのオリゴマーであるポリアルファオレフィン(PAO)や、1−ブテンやイソブチレンのオリゴマーであるポリブテン、エチレンとアルファオレフィンのコオリゴマー等が挙げられる。また、アルキルベンゼンやアルキルナフタレン等を用いることもできる。
エステル系基油としては、ジエステルやポリオールエステルが挙げられる。
ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸としては、炭素数4〜36の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4〜26の一価アルコール残基が好ましい。
ポリオールエステルとしては、β位の炭素上に水素原子が存在していないネオペンチルポリオールのエステルで、具体的にはネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のカルボン酸エステルが挙げられる。エステル部を構成するカルボン酸残基は、炭素数4〜26のモノカルボン酸残基が好ましい。
また、上記以外にも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2,4−ジエチル−ペンタンジオール等の脂肪族二価アルコールと、直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸とのエステルも用いることができる。直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸としては、炭素数4〜30の一価の直鎖または分岐鎖の飽和脂肪酸が好ましい。
ポリグリコールとしては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
リン酸エステルとしては、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が挙げられる。
熱伝導性コンパウンドは発熱部に塗布されるため、長時間高温にさらされる。このため、基油としては熱酸化安定性に優れることが望ましい。基油の動粘度は、40℃で10mm/s〜600mm/sであることが好ましい。粘度が低すぎると、高温になった時に、蒸発、離油などが生じる恐れがある。また、粘度が高すぎるとちょう度が低くなり熱伝導性コンパウンドが硬くなる恐れがある。
ジエステルやポリオールエステルは、他の基油成分と組み合わせて用いることでちょう度を高くすることができる。その際、組み合わせるジエステルやポリオールエステルは、1種であってもよいし、2種以上組み合わせてもよい。また、ジエステルやポリオールエステルの割合は、ジエステルやポリオールエステルを含む全ての基油成分100質量%に対して2〜90質量%が好ましく、より好ましくは2〜50質量%であり、さらに好ましくは4〜30質量%である。上記範囲でジエステルやポリオールエステルを配合することで、より高いちょう度とすることができる。
基油の含有量としては2〜13質量%であり、含有量がこれ以上の場合は、ちょう度が高くなりすぎ、熱伝導性コンパウンドが流れ出てしまう場合がある。さらに離油を生じたり、熱伝導性が低下する場合がある。
本発明に用いられる不飽和脂肪酸(C)は、無機粉末充填剤の表面に吸着して基油との親和性を向上させることにより、無機粉末充填剤の充填量を増加させ熱伝導性を向上させたり、ちょう度を高めて塗布性を向上させる、表面改質剤としての働きを持つ。本発明に用いられる不飽和脂肪酸(C)は、従来の表面改質剤として用いられている物質と比較して耐湿効果が良好で、湿度環境下でも充填剤の熱伝導性コンパウンド中への分散を維持でき、熱伝導性コンパウンドのちょう度低下を抑え硬化を防止することができる。
なお、本発明においては、不飽和脂肪酸を用いることで、塗膜をより一層薄くすることができ、発熱部品から放熱部品への熱伝導を効率よく行うことができる。そのため、例えば4W/m・K未満の熱伝導性コンパウンドであっても、本発明に用いる表面改質剤を用いることにより、薄膜化することで効率のよい熱伝導が可能となる。
不飽和脂肪酸の種類としては、炭素数8〜28の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数12〜26が更に好ましく、炭素数14〜24が特に好ましく、炭素数18〜22が最も好ましい。炭素数をこの範囲にすることで、高いちょう度と良好な耐湿性を得ることができる。
不飽和脂肪酸は、不飽和基が炭素−炭素二重結合であるものが好ましい。炭素−炭素二重結合の数は、1〜4個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が特に好ましい。
また、二重結合を2個以上持つ場合には、共役二重結合と活性メチレン基を持たないものが好ましい。不飽和脂肪酸は、カルボキシル基については一価もしくは二価の不飽和脂肪酸が好ましく、一価の不飽和脂肪酸がより好ましく、炭化水素基については、炭素数8以上の直鎖または分岐鎖を持つ不飽和脂肪酸が好ましい。
不飽和脂肪酸の具体例としては、例えば、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ゾーマリン酸、ペテロセリン酸、ペテロセライジン酸、オレイン酸、エライジン酸、パセニン酸、コドイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、セラコレイン酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸などが挙げられる。
これら不飽和脂肪酸は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせても良い。なお、上記不飽和脂肪酸に代えて飽和脂肪酸を用いた場合には、高いちょう度が得られず、十分な耐湿性を得ることもできない。
本発明に用いる不飽和脂肪酸は、0.08質量%〜4.0質量%含有することが好ましい。さらに好ましくは0.1〜3.0質量%であり、特に好ましくは0.1〜2.0質量%である。含有量が0.08質量%より少ない場合、効果が小さく、含有量が4.0質量%より多くても効果の向上は期待できない。
本発明では、さらにアルケニルコハク酸イミド及びそのホウ素誘導体からなる1種以上(D)を配合することで、無機粉末充填剤の分散性を高めて熱伝導性コンパウンドのちょう度をより一層高め、塗布性を向上させることができる。
アルケニルコハク酸イミド及びそのホウ素誘導体は、一般式(1)で表わされる化合物である。
Figure 2008019319
一般式(1)においてR11は平均分子量300〜10000のアルケニル基又はポリアルケニル基であり、2個のR11は同一でも異なっていてもよい。アルケニル基としては、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられ、ポリアルケニル基としては、ポリプロペニル基、ポリブテニル基、ポリペンテニル基などが挙げられる。R12は炭素数2〜5のアルキレン基である。nは1〜10であり、n+1個のR12は同一でも異なっていてもよい。Xはホウ素含有置換基であるものがアルケニルコハク酸イミドのホウ素誘導体であり、Xが導入されていないものがアルケニルコハク酸イミドである。Xのホウ素含有置換基としては、例えば化学式(2)の基が例示できる。
Figure 2008019319
このとき、R11の平均分子量は500〜5000程度のものが好ましく、700〜3000がより好ましい。
本発明に用いるコハク酸イミド及びそのホウ素誘導体は、0.005質量%〜0.1質量%含有することが好ましい。さらに好ましくは0.008〜0.05質量%である。含有量を0.005質量%以上とすることで充填剤の分散性をより高めることができ、より高いちょう度を得ることができるが、含有量を0.1質量%より多く配合してさらなる効果の向上は期待できない。アルケニルコハク酸イミドまたはそのホウ素誘導体は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いても良く、アルケニルコハク酸イミドとそのホウ素誘導体の両方を組み合わせてもよい。
不飽和脂肪酸(C)とアルケニルコハク酸イミド及びそのホウ素誘導体からなる1種以上(D)とを組み合わせる場合には、その質量比は50:1〜2:1が好ましく、20:1〜5:1がより好ましい。
また、本発明の高熱伝導性コンパウンドには必要に応じて、その他の公知の添加剤を適宜配合することができる。これらとしては、例えば、酸化防止剤としてはフェノール系、アミン系、イオウ・リン系等の化合物が、さび止め剤としてはスルホン酸塩、カルボン酸、カルボン酸塩等の化合物が、腐食防止剤としてはベンゾトリアゾールおよびその誘導体等の化合物、チアジアゾール系化合物が、増粘剤・増ちょう剤としてはポリブテン、ポリメタクリレート、脂肪酸塩、ウレア化合物、石油ワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。これらの添加剤の配合量は、通常の配合量であればよい。
本発明の高熱伝導性コンパウンドの製造に関しては、均一に成分を混合できればその方法にはよらない。一般的な製造方法としては、乳鉢、プラネタリーミキサー、2軸式押出機などにより混練りを行い、グリース状にした後、さらに三本ロールにて均一に混練りする方法がある。
本発明の高熱伝導性コンパウンドのちょう度は200以上であれば使用可能であるが、塗布性、拡がり性、付着性、離油防止性などの点から250〜400であることが好ましい。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた充填剤と基油及び表面改質剤を表1〜3に示す。
Figure 2008019319
Figure 2008019319
Figure 2008019319
(実施例1〜6)
下記表4に実施例1〜6の組成と熱伝導性コンパウンドの性能・性状を示す。表4の組成の成分を配合して、熱伝導性コンパウンドを以下の方法で調製した。なお、表4中の組成の数値の単位は質量%であり、無機粉末充填材のカッコ内の数値は、平均粒径である。
基油に表面改質剤、酸化防止剤等の各種添加剤を溶解し、無機粉末充填剤とともにプラネタリーミキサーまたは自動乳鉢に入れた。室温〜60℃で30分混練りを行いよく混合し、グリース状とした。その後、三本ロールによる混練りを2回実施して熱伝導性コンパウンドを調製した。
得られた熱伝導性コンパウンドを用いて、以下に示す性能を評価した。ちょう度は、JIS−K2220に準拠して不混和ちょう度を測定した。ちょう度の値が大きいほど熱伝導性コンパウンドが軟らかくなり、逆に小さいほど硬くなる。熱伝導率は、京都電子工業(株)製迅速熱伝導率計QTM−500により25℃にて測定した。恒温恒湿試験は、温度60度、相対湿度90%の環境下に熱伝導性コンパウンドを72時間放置し、試験前後の不混和ちょう度を測定した。
Figure 2008019319
(比較例1〜5)
下記表5に比較例1〜5の組成と熱伝導性コンパウンドの性能・性状を示す。
実施例1と同様にして表5の組成を配合し、熱伝導性コンパウンドを調製し、不混和ちょう度、熱伝導率、恒温恒湿試験後の不混和ちょう度を測定した。
Figure 2008019319
実施例1〜6からわかるように、本願発明にかかる熱伝導性コンパウンドは熱伝導性とちょう度が高く、耐湿試験後においても高いちょう度を維持しており、耐湿性が良好であることがわかる。
一方、比較例1〜5からわかるように、本願発明(C)成分である炭素数8〜28の不飽和脂肪酸を含まない場合には、耐湿試験後にちょう度が極度に悪化し硬化していることがわかる。
本発明の高熱伝導性コンパウンドは、熱対策の必要な電子部品の放熱性を向上でき、特にCPUやパワー半導体の放熱材料として好適である。

Claims (4)

  1. (A)無機粉末充填剤を87〜96質量%、
    (B)基油を2〜13質量%、
    (C)炭素数8〜28の不飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸を0.08〜4質量%、
    それぞれ含有することを特徴とする高熱伝導性コンパウンド。
  2. 無機粉末充填剤が、酸化亜鉛粉末、酸化アルミニウム粉末及び金属アルミニウム粉末から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1に記載の高熱伝導性コンパウンド。
  3. 無機粉末充填剤が平均粒径5〜50μmの粗粒と平均粒径0.15〜2μmの細粒の組合せであり、それらの質量比が20:80〜85:15の範囲である請求項1又は2に記載の高熱伝導性コンパウンド。
  4. (D)アルケニルコハク酸イミド及びそのホウ素誘導体から選ばれる1種以上を0.005質量%〜0.1質量%含有する請求項1〜3に記載の高熱伝導性コンパウンド。
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