JP2008019149A - 低吸水パーライト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】真珠岩、松脂岩、黒曜石などの精石を原料とする、フライアッシュバルーンと同等の特性を有する気密型の低吸水パーライトを提供すること
【解決手段】精石から生成された気密型の低吸水パーライトであって、内部に形成された多数の気泡と、当該パーライトの外郭表面に存在する前記気泡の開口孔を塞ぐ外装殻と、を備えることによってバルーン形状を成し、前記外装殻は、外郭表面が溶融して形成された構成とする。前記表面溶融処理は、精石を加熱して発泡させた発泡パーライトに対して、さらに加熱による処理を行うことによって行う。このように、当該低吸水パーライトは、中空のバルーン形状であるため、フライアッシュバルーンと同等の特性を有する。
【選択図】図2
【解決手段】精石から生成された気密型の低吸水パーライトであって、内部に形成された多数の気泡と、当該パーライトの外郭表面に存在する前記気泡の開口孔を塞ぐ外装殻と、を備えることによってバルーン形状を成し、前記外装殻は、外郭表面が溶融して形成された構成とする。前記表面溶融処理は、精石を加熱して発泡させた発泡パーライトに対して、さらに加熱による処理を行うことによって行う。このように、当該低吸水パーライトは、中空のバルーン形状であるため、フライアッシュバルーンと同等の特性を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、気密型の低吸水パーライト及びその製造方法に関し、特に、例えば真珠岩や松脂岩などの天然流紋岩系ガラス質の精石から生成された発泡パーライトに対して、加熱による表面溶融処理を行うことによってバルーン形状に形成された低吸水パーライトに関する。
モルタルグラウト材などに用いられる軽量骨材として、フライアッシュバルーンが広く知られている。フライアッシュバルーンは、粒径が5〜800μm程度の球形微粒子であり、軽量であって、かつ、殆ど吸水しないという特性を有しているため、軽量骨材として使用するのに非常に適している。
しかしながら、フライアッシュバルーンは、火力発電所から副産物として生成されたフライアッシュを水に投入し、ごく微量発生する浮いたものだけを収集するといった手法で製造されるため、市場に安定供給するのが難しい。しかも、近年においては、環境汚染が問題視されたこともあって生産量が低下し、価格が高騰する傾向にある。このような事情を考慮すると、今後はフライアッシュバルーンの入手が益々困難になることが予測されるため、その代替品となり得る軽量骨材の早期開発が求められている。
また、他の軽量骨材としては、例えば、真珠岩,松脂岩,黒曜石などを粉砕した精石を、焼成することにより発泡させた発泡パーライトが知られている。このような発泡パーライトは、原料となる石の種類によって発泡具合が異なり、特に結晶水を多く含む真珠岩や松脂岩などは気泡同士が互いに連通し、かつ、表面がポーラスになり易い。そのため、これら発泡パーライトは、フライアッシュバルーンのような軽量骨材として使用するには適しておらず、むしろ、その吸水特性を利用して土壌改良剤として使用されていた。
すなわち、一例として真珠岩から製造された発泡パーライトのSEM写真(図6及び図7)を見れば分かるように、従来の発泡パーライトは、表面に開口孔10が存在してポーラスになっているため、この開口孔10を通じて水を吸水してしまう。通常、軽量骨材として使用する際には、セメント及び適量の混練水と混合するため、吸水性を有していると、混練水を吸収してしまい施工できなくなってしまうという問題が発生することがある。特に、例えばポンプ移送する場合には、ポンプの吐出圧により加圧状態となるため、ますます水を吸水し易い条件下におかれるため、スランプロスが発生し易い。
このような、軽量骨材として使用する発泡パーライトの問題点を解決するため、従来においても種々の考案がなされている。その一つとして、発泡パーライトの表面を撥水性の樹脂でコーティングすることにより、表面の開口孔を塞いで低吸水性を実現する手法が提案されている。しかしながら、この場合には、セメント及び混練水と混ぜてミキサーなどで攪拌した際に、剪断力が作用してコーティングが剥がれてしまうという問題がある。
また、低吸水性を実現する他の手法の一つに、特許文献1に開示された手法が知られている。具体的には、最大粒径が100μm以下で、かつ、平均粒径が10〜20μmであり、さらに、粒度分布(Rosin-Rammler式のN値)が0.7〜1.2のガラス質原料に、発泡剤及び粘着材を添加して造粒物を形成し、この造粒物を1230℃で焼成することによって発泡させ、さらに該発泡造粒物を少なくとも800℃までは300℃/min 以下の速度で徐冷することにより製造する手法である。
上記のように造粒物にしてから発泡させると、生成された発泡造粒物は、見かけ上、内部の気泡が連通しない独立気泡が形成されることは公知の事実であり、これにより特許文献1の発明は低吸水性を実現している。その上で、特許文献1の発明は、発泡後に所定の徐冷工程を行うことによって表面のポアの数を少なくし、さらなる低吸水性を図っている。
しかしながら、造粒する手法を採用すると、最終結果物である発泡パーライトの粒径が大きくなってしまい(実施例では粒径14mmと記載されている)、フライアッシュバルーンの代替品としては使用できない。仮に特許文献1の製法を採用して粒径800μmの発泡パーライトを製造しようとすると、単純な比例計算でも原料の粒径を0.5μm以下にしなくてはならず、その粒度を揃えることは現実的に難しい。加えて、特許文献1のように徐冷を行っても、表面のポアを完全になくすには至っておらず、100個ものポアが未だ残っている。
特開平11−189447号公報
本発明はこのような事情に基づきなされたものであり、その目的は、フライアッシュバルーンと同等の特性を有する気密型の低吸水パーライトを提供することにある。より具体的には、真珠岩、松脂岩、黒曜石などの精石(すなわち、造粒を行わず、独立した単一粒子である)から生成される軽量骨材として好適に使用することのできる、バルーン形状を成す気密型の低吸水パーライトを提供することにある。
本発明の低吸水パーライトは、精石から生成された気密型の低吸水パーライトであって、内部に形成された多数の気泡と、当該パーライトの外郭表面に存在する前記気泡の開口孔を塞ぐ外装殻と、を備えることによってバルーン形状を成し、前記外装殻は、外郭表面が溶融して形成されたものであることを特徴とする。
また、精石を加熱処理して生成された多数の気泡を有する発泡パーライトに対して、加熱による表面溶融処理を行うことにより得られる気密型の低吸水パーライトであって、前記表面溶融処理により形成された、前記発泡パーライトの外郭表面に存在する前記気泡の開口孔を塞ぐ外装殻を、備えたことによってバルーン形状を成すことを特徴とする。
前記低吸水パーライトは、浮水率が少なくとも85%以上である。ここで、浮水率は、軽量かつ気密性が高いことを示す指標の一つであって、中空のバルーン形状なものほど、その浮水率が高いということになる。また、前記低吸水パーライトは、粒径が40μm〜800μmである。
また、本発明の低吸水パーライトの製造方法は、バルーン形状を成す気密型の低吸水パーライトを製造する方法であって、精石を加熱処理して生成された多数の気泡を有する発泡パーライトを取得する工程と、前記発泡パーライトに対し、新たな工程として加熱により再度外郭表面を溶融させて、前記発泡パーライトの外郭表面に存在する前記気泡の開口孔を塞ぐ外装殻を形成する工程と、を有することを特徴とする。
前記発泡パーライトを取得する工程は、粒径が2μm〜200μmの独立微粒子をなす精石を加熱して発泡させることにより発泡パーライトを生成する工程である。さらに、前記加熱による表面溶融処理の温度は、前記精石を発泡させる際の加熱温度以上である。さらには、前記加熱による表面溶融処理は、縦型の加熱炉で行うことができる。また、前記発泡処理と前記表面溶融処理は、共通の加熱炉を用いて連続的に行うこともでき、あるいは、各工程で別個の加熱炉を用いて行うことができる。
本発明の低吸水パーライトによれば、精石から生成され、内部に形成された多数の気泡と、当該パーライトの外郭表面が溶融して形成され、当該外郭表面に存在する前記気泡の開口孔を塞ぐ外装殻と、を備えることによってバルーン形状を成していることにより、フライアッシュバルーンと同等の特性を有している。すなわち、フライアッシュバルーンの代替品としての軽量骨材として、好適に使用することができる。
以下、本発明に係る低吸水パーライト(以下、単に「パーライト」と称す)の実施形態について、図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。なお、図1は、本実施形態によるパーライトの断面構造を模式的に示す図である。また図2及び図3は、本実施形態によるパーライトのSEM写真の一例である。
図1に示すように、略球形の微粒子をなすパーライト20は、その内部に多数の気泡21が形成されている。当該パーライト20は、天然の流紋岩系ガラス質鉱物、例えば真珠岩、松脂岩、黒曜石などを粉砕して粒度分布を揃えた精石を原料にしており、気泡21は、原料である精石を焼成した際に、精石中に含まれる結晶水が蒸気となって放出されることによって形成されるものである。なお、どのような気泡が形成されるかは原料石の種類によって異なり、真珠岩や松脂岩を用いた場合には、連通気泡が形成されるので、図1の模式図では連通気泡の例を記載してある。
さらに、パーライト20の外郭表面には、従来であれば表面に存在するであろう開口孔22を塞ぐ外装殻23が形成されている。この外装殻23は、詳しくは後述するが、加熱により発泡させた後のパーライトの表面に対して、さらに加熱による表面溶融処理を行うことによって形成されたものであって、必ずしも外郭表面の全てを覆うように形成されていなくともよく、少なくとも開口孔22を塞ぐように形成されている。すなわち、本実施形態のパーライト20は、外装殻23によって開口孔22が塞がれたことにより、気泡が外部から密閉されたバルーン形状をなしている。なお、図1は発明の理解を容易にするため、便宜上、外装殻23とパーライト20の外郭表面との間に境界を設けているに過ぎず、外装殻は表面の溶融によって形成されるので、実際にその境界を視認できるとは限らない。
前記パーライト20の粒径は、例えば40〜800μmである。粒径が800μmより大きい場合は、例えば窯業系もしくは樹脂系の屋根材および内外装材の軽量骨材として使用したときにパーライト20が表面に露出してしまい、外観不良、耐凍結融解性の低下などの問題が生じる。反対に、粒径が40μmより小さい場合、原料となる精石の粒度を揃えることが事実上困難となってしまう。すなわち、精石を焼成すると、通常は10倍(大きいものでは25倍)に膨張して発泡体となるので、粒径を40μmよりも小さくするためには、2μmよりも小さい精石を準備する必要がある。このような微細なものになると、篩いによる分級技術では粒度を揃えることが困難であり、加えて、精石が小さすぎると発泡しない場合がある。
また、パーライト20の嵩比重は例えば0.15〜0.35と軽量であり、さらに図2及び図3に示すSEM写真を見ても分かるように、開口孔22が表面に存在しない。これにより、パーライト20は、少なくとも85%以上の浮水率を有し、後述する試験で用いたパーライト20は92%以上の浮水率を有している。参考までに、フライアッシュバルーンの嵩比重は0.35〜0.50であり、また、浮水率は通常95%である。
さらに、図2及び図3を見れば分かるように、本実施形態のパーライト20の表面には、加熱による表面溶融により生成された外装殻による多少の起伏が認められるものの、凹凸の少ない形状をなしており、加えて各粒子の形状が揃っている。比較として図6及び図7を参照すると、従来の発泡パーライトでは、凹凸が多く蜂の巣状となっているものがある上に、各粒子の形状がばらついてしまっている。
さらに、図2及び図3を見れば分かるように、本実施形態のパーライト20は割れが非常に少なく、破片も殆どない。一方、図6及び図7を見れば分かるように、従来の発泡パーライトは、割れが非常に多く発生し、その破片が散乱している。割れがどうして起きたかについては定かでないが、結論として、パーライト20は、従来の発泡パーライトよりも高い強度、及び、製品として高い安定性を有することが分かる。
上述のような構造を有する本実施形態のパーライト20は、表面の開口孔22を塞ぐ外装殻23を備えることによって、中空のバルーン形状を実現している。加えて、造粒を行わず、精石を原料にして生成されるので、粒径を小さく設定することができる。さらに、従来のパーライトに比べて、割れが少なく、各粒子の形状が揃っていることが明らかである。以上のことからも、当該パーライト20は、軽量骨材として好適に使用することができ、フライアッシュバルーンの代替品となり得るものである。
さらに、本実施形態のパーライト20は、外郭表面を溶融させて外装殻を形成しているので、つまり外装殻はケミカル的に一体に形成されているので、応力が加えられても剥離することがないか、或いは剥離することがあったとしてもその割合は極めて少ない。その結果、セメントと混合してミキシング、ポンプ移送を良好に行うことが可能となる。
なお、以上の説明では、モルタルグラウト材の軽量骨材として好適に使用可能なパーライトを例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の低吸水パーライトの用途は、モルタルグラウト材の軽量骨材に限られず、窯業系建材、屋根材、樹脂モルタル系の建材や屋根材、注入材などの軽量骨材として用いることができる。すなわち、各用途に応じて最適な粒径があれば、800μmよりも大きい粒径、例えば1mmであってもよい。
なお、本実施形態のパーライト20の原料は、天然の流紋岩系ガラス質鉱物(例えば真珠岩、松脂岩、黒曜石など)に限られず、ガラス質物質であればよい。但し、真珠岩、松脂岩、黒曜石などのように加熱により自己発泡しないものを選択する場合には、適宜発泡剤を添加するのが好ましい。
最後に、上述の低吸水パーライトを製造する一連の工程について図4を参照しながら説明する。先ず、ステップS100に示すように、原料石を粉砕してなる精石を篩により分級し、所望の粒度分布に調整する。上述したように、原料石は天然の流紋岩系ガラス質、例えば真珠岩、松脂岩、黒曜石などを用いることができる。さらに、精石の粒度は、用途に応じて任意に設定することができるが、フライアッシュバルーンの代替品として使用する場合には、2〜200μmの粒径に揃えるようにする。
続いて、ステップS101に示すように、この粒度を揃えた精石を第1の加熱炉にて予備加熱する。予備加熱は、例えば300〜900℃、好ましくは600〜850℃、滞留時間を10〜40分、好ましくは30分に設定して行う。予備加熱された精石は、バッファ貯槽に一旦貯留してから次工程である発泡処理を行ってもよく、予備加熱後すぐに発泡処理を行うようにしてもよい。ここで、予備加熱は、次工程である発泡処理に先立ち、精石に含まれる水(結晶水の他、付着水も含む)の量を予め調整するために行う処理である。精石の種類によっては、予備加熱を行わない場合もあるが、一般的には予備加熱を行うことで発泡を良好に行うことができる。
さらに続いて、ステップS102ないしS104に示すように、予備加熱した精石を第2の加熱炉である縦型の焼成炉3に供給し、この焼成炉3内を上端から下端に向かって自重で落下する精石に対して仮焼成、発泡、表面溶融の3段階の処理を連続的に行う。焼成炉3の概略構成は、例えば図5に示すように、その上端及び下端が投入口及び排出口として形成されている縦の加熱通路31を有する円筒形であって、縦方向に沿って複数段、例えば4段(32A,32B,32C,32D)に多段化された構成である。各段(32A,32B,32C,32D)には、例えば図示しない電気式のバーナーがそれぞれ設けられており、各段別に温度設定が可能に構成されている。このとき、どのような温度設定にするかは、精石の種類や大きさ、水分量などに応じて適宜選択可能であるが、基本的に第1段加熱炉32Aから第4段加熱炉32Dの順に加熱温度の設定値を高くする。そしてこれにより、第1段加熱炉32Aには、仮焼成を行う役割を割り当て、第2段加熱炉32Bには、発泡を行う役割を割り当て、第3段及び第4段加熱炉32C及び32Dには、表面溶融を行う役割を割り当てている。
上述の加熱炉3を用いて、例えば真珠岩の精石を処理する場合の設定を一例に挙げておくと、先ず、前段の工程にて予備加熱され、その温度が例えば850℃となっている精石を前記第1段加熱炉32Aに投入し、例えば850〜970℃に設定した当該加熱炉にて仮焼成を行い、精石の水分を調整する。即ち、発泡直前の精石に対する最終的な水分調整を行う。ここで仮焼成された精石は、自重により落下して第2段加熱炉32Bに移行し、例えば850〜970℃に設定した当該加熱炉にて精石が発泡して気泡が形成される(ステップS103)。なお、当該加熱炉32Bから出て、次の第3段加熱炉32Cに移行する発泡パーライトの温度が、例えば970℃となるように温度設定するのが好ましい。
続いて、第3段加熱炉32C及び、次の第4段加熱炉32Dにてさらに加熱することにより、発泡パーライトの外郭表面が溶融して外装殻が形成される。この表面溶融処理の温度は、発泡処理の温度以上であって、かつ、融点よりも低い温度(真珠岩の融点は、一般に1250℃程度と認識されている)に設定する。すなわち、真珠岩の場合には、第3段加熱炉32C及び第4段加熱炉32Dの温度を、例えば970〜1200℃、好ましくは970〜1060℃に設定している。ここで、前記一連の加熱処理、特に表面溶融処理は短時間に行う必要がある。何故なら、既に結晶水が放出された発泡パーライトに対して行うので、さらなる加熱は気泡を潰してしまう可能性が高いからである。そのため、本実施形態では、一連の加熱処理時間、すなわち上端から投入された精石が自重により落下して下端から排出されるまでの時間が例えば12秒となるように加熱炉の高さを設計し、これにより瞬間的に発泡処理および表面溶融処理を行っている。
なお、以上の例では、仮焼成、発泡、表面溶融の一連の処理を共通の加熱炉3で連続的に行う構成を説明したが、各処理別に別個の加熱炉で処理するようにしてもよい。さらには、表面溶融処理を行う加熱炉のみ別個にし、仮焼成と発泡は共通の加熱炉で連続的に行うようにしてもよい。また、上述の例では発泡と表面溶融の処理を行う焼成炉を4段として記載しているが、焼成炉の段数は精石の種類や大きさ、水分量、落下時間(つまり処理時間)等を考慮して任意に設定することができる。さらに、表面溶融処理のための添加剤として、アルミナ粉等を使用してもよい。添加剤は使用してもしなくともよいが、添加剤を使用することによって、より確実に外装殻を形成させることができる。
このようにして生成された低吸水パーライトは、加熱炉から排出され、例えば水による急冷、あるいは徐冷により冷却したあと、必要に応じて篩いによる分級を行い、製品として種々のグレードに分類されることとなる。なお、以上の説明では、一連の製造工程について説明したが、必ずしも発泡処理を行う必要はなく、例えば市販の発泡パーライトを購入し、ステップS103に示す表面溶融処理を行って低吸水パーライトを製造するようにしてもよい。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
図2及び図3のSEM写真に示す低吸水パーライト(実施例1)について、浮水率、及び吸水率の評価試験を行った。比較例1として、図6及び図7のSEM写真に示す発泡パーライト(太平洋マテリアル(株)製;パーライトグレードS)を用いて同様の評価試験を行った。試験に使用した本発明品と比較品の嵩比重、及び粒度分布を表1に記す。
(浮水率)
浮水率は、次のように算出した。まず、分液漏斗に水250ml、試料5gを投入し、攪拌して一時間放置した後、沈降物、水を除いた。次に、分液漏斗内に再度水250mlを投入し、同様の作業を繰り返した。残った浮水物を乾燥機にて乾燥した後、その重量を測定した。測定した浮水物の重量と最初に投入した試料の重量から、以下の式に基づき浮水率(重量%)を算出した。
浮水率は、次のように算出した。まず、分液漏斗に水250ml、試料5gを投入し、攪拌して一時間放置した後、沈降物、水を除いた。次に、分液漏斗内に再度水250mlを投入し、同様の作業を繰り返した。残った浮水物を乾燥機にて乾燥した後、その重量を測定した。測定した浮水物の重量と最初に投入した試料の重量から、以下の式に基づき浮水率(重量%)を算出した。
浮水率(重量%)=浮水物乾燥重量×20
(吸水率)
また、吸水率は、次のように算出した。まず、漏斗に濾紙を敷き、この濾紙に十分な量の水を給水した。漏斗から落ちる水滴の間隔が2〜3秒になるまで真空ポンプで吸引した後、漏斗と吸水濾紙の重量(風袋重量)を測定した。続いて、試料20gを水200mlに水没させて十分に攪拌した後、該漏斗に注ぎ、漏斗から落ちる水滴の間隔が2〜3秒になるまで真空ポンプで吸引した。その後、試料、漏斗、吸水濾紙の総重量(吸水後総重量)を測定した。この吸水後総重量と風袋重量、及び試験に供した試料の重量(20g)から、以下の式に基づき吸水率を算出した。表1の吸水率は、水没前の試料の重量を100重量%とした場合の指数で吸水した水の量を表している。すなわち、試料が重量の2倍の水を吸収した場合は、吸水率は200重量%となる。
(吸水率)
また、吸水率は、次のように算出した。まず、漏斗に濾紙を敷き、この濾紙に十分な量の水を給水した。漏斗から落ちる水滴の間隔が2〜3秒になるまで真空ポンプで吸引した後、漏斗と吸水濾紙の重量(風袋重量)を測定した。続いて、試料20gを水200mlに水没させて十分に攪拌した後、該漏斗に注ぎ、漏斗から落ちる水滴の間隔が2〜3秒になるまで真空ポンプで吸引した。その後、試料、漏斗、吸水濾紙の総重量(吸水後総重量)を測定した。この吸水後総重量と風袋重量、及び試験に供した試料の重量(20g)から、以下の式に基づき吸水率を算出した。表1の吸水率は、水没前の試料の重量を100重量%とした場合の指数で吸水した水の量を表している。すなわち、試料が重量の2倍の水を吸収した場合は、吸水率は200重量%となる。
吸水率(重量%)=[{吸水後総重量−(風袋重量+20)}/20]×100
表1に示す結果から明らかなように、実施例1の低吸水パーライトは、浮水率が93.2%、吸水率が52.5%であった。これに対し比較例1の発泡パーライトは、嵩比重浮水率が70.6%、吸水率が185%であった。すなわち、本発明の低吸水パーライトは、高い浮水特性、低吸水特性を有していることは明らかである。その結果、当該低吸水パーライトは、フライアッシュバルーンの代替品として、モルタルグラウト材の軽量骨材として使用することが可能であることが分かる。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1の低吸水パーライトは、浮水率が93.2%、吸水率が52.5%であった。これに対し比較例1の発泡パーライトは、嵩比重浮水率が70.6%、吸水率が185%であった。すなわち、本発明の低吸水パーライトは、高い浮水特性、低吸水特性を有していることは明らかである。その結果、当該低吸水パーライトは、フライアッシュバルーンの代替品として、モルタルグラウト材の軽量骨材として使用することが可能であることが分かる。
20 低吸水パーライト
21 気泡
22 開口孔
23 外装殻
3 焼成炉
21 気泡
22 開口孔
23 外装殻
3 焼成炉
Claims (8)
- 精石から生成された気密型の低吸水パーライトであって、
内部に形成された多数の気泡と、当該パーライトの外郭表面に存在する前記気泡の開口孔を塞ぐ外装殻と、を備えることによってバルーン形状を成し、
前記外装殻は、外郭表面が溶融して形成されたものであることを特徴とする低吸水パーライト。 - 精石を加熱処理して生成された多数の気泡を有する発泡パーライトに対して、加熱による表面溶融処理を行うことにより得られる気密型の低吸水パーライトであって、
前記表面溶融処理により形成された、前記発泡パーライトの外郭表面に存在する前記気泡の開口孔を塞ぐ外装殻を、備えたことによってバルーン形状を成すことを特徴とする低吸水パーライト。 - 浮水率が少なくとも85%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低吸水パーライト。
- 粒径が40μm〜800μmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の低吸水パーライト。
- バルーン形状を成す気密型の低吸水パーライトを製造する方法であって、
精石を加熱処理して生成された多数の気泡を有する発泡パーライトを取得する工程と、
前記発泡パーライトに対し、新たな工程として加熱により再度外郭表面を溶融させて、前記発泡パーライトの外郭表面に存在する前記気泡の開口孔を塞ぐ外装殻を形成する工程と、を有することを特徴とする低吸水パーライトの製造方法。 - 前記発泡パーライトを取得する工程は、粒径が2μm〜200μmの独立微粒子をなす精石を加熱して発泡させることにより発泡パーライトを生成する工程であることを特徴とする請求項5又は6に記載の低吸水パーライトの製造方法。
- 前記加熱による表面溶融処理の温度は、前記精石を発泡させる際の加熱温度以上であることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一つに記載の低吸水パーライトの製造方法。
- 前記加熱による表面溶融処理は、縦型の加熱炉で行うことを特徴とする請求項5ないし8のいずれか一つに記載の低吸水パーライトの製造方法。
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