JP2008016459A - 堆積膜形成装置および堆積膜の形成方法 - Google Patents

堆積膜形成装置および堆積膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エッチングガスなどを用いた装置内部のクリーニングの頻度を少なくできるようにしつつ、膜厚が均一な膜を形成できるようにする。
【解決手段】堆積膜形成対象物3を収容するための成膜室20と、成膜室20に原料ガスを供給するための原料ガス供給手段5と、原料ガスを堆積種とするための1または複数の発熱体6と、を備えた堆積膜形成装置1において、発熱体6を、原料ガス供給手段5により供給された原料ガスが通過し、通過する原料ガスの少なくとも一部が分解して堆積種となるための内部空間61と、内部空間61に存在する堆積種を堆積膜形成対象物3に向けて放出するための1または複数の放出口62と、を備えたものとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、発熱体により原料ガスを堆積種とし、その堆積種を堆積形成対象物に堆積させて成膜を行う堆積膜形成装置および堆積膜の形成方法に関するものである。
各種半導体デバイスの成膜には、Chemical Vapor Deposition(CVD)法が多く用いられている。CVD法には、プラズマCVD法、熱CVD法、および発熱体CVD法がある。これらのCVD法のうち、発熱体CVD法は、原料ガスを発熱体の熱によって分解し、これを基体上に成膜するという成膜方法である(たとえば特許文献1−3参照)。そのため、発熱体CVD法は、熱CVD法に比べて成膜中の基体の温度を低くできるために基体材料の使用範囲を広くすることができる上、プラズマCVD法のように基体上の膜がプラズマによってダメージを受けることもないといった利点を有している。このようなことから、発熱体CVD法は、種々の基体上に良質の膜を得ることができる成膜方法として注目されている。
図16に示したように、一般的な発熱体CVD装置9は、基体90の表面(被堆積面)91に薄膜(堆積膜)を形成するように構成されたものである。発熱体CVD装置9では、基体保持部92に基体90を保持させた状態において図外のガス供給手段によって成膜室93に原料ガスを供給する一方で、その原料ガスを複数の発熱体94によって分解し、そのときの分解成分を基体90の表面に堆積させることで成膜するように構成されている。
複数の発熱体94は、線条ワイヤであり、被堆積面91が平面状である場合には、図17に示したように、それらの軸心が互いに平行となるように並んで配置される。隣接する発熱体94は、相互に導体95により連結されており、複数の発熱体94の全体としては、電気的に直列に配置される。
特許第2692326号公報 特開2005−48273号公報 特開2005−133162号公報
しかしながら、発熱体CVD装置9においては、発熱体94の表面から周囲に向かって、ほぼ等方向に活性になったガス種が放射される。そのため、被堆積面91以外にも堆積膜が形成される。また、ガスを均一に触媒体表面に供給するために、シャワー状のガス供給ヘッド96を設けることも多いが、この面は距離的に触媒体に近いために特に膜が付きやすい問題点があった。
被堆積面91以外に堆積膜が形成された場合には、その堆積膜が剥離するなどして、成膜欠陥につながることがある。そのため、被堆積面91以外に付着した堆積膜は、三フッ化窒素(NF)、三フッ化塩素(ClF)などのエッチングガスを用いたクリーニングにより取り除く必要があるが、クリーニング回数が多くなると、成膜のタクトダウンにつながる。
一方、被堆積面91以外に堆積膜が形成されるのを抑制するために、ガスを比較的、触媒体から離れた位置から供給する方法も提案されているが、供給源から遠い位置ではガスが触媒体に対して均等に供給されがたいため膜厚が不均一になりやすいのに加え、膜厚が薄くなりやすく、成膜速度が小さいといった欠点があった。また、成膜速度を上げる手段としては、触媒体の数を増やす、ガス圧を上げるなどの手段が考えられるが、そのような手段を採用すると更に膜厚分布が悪化してしまう。その一方で、近年においては、大画面平面ディスプレイあるいは太陽電池のために、大面積に均一な膜を形成できる技術を構築することが望まれている。
本発明は、エッチングガスなどを用いた装置内部のクリーニングの頻度を少なくできるようにしつつ、膜厚が均一な膜を形成できるようにすることを課題としている。
本発明の第1の側面においては、堆積膜形成対象物を収容するための成膜室と、前記成膜室に原料ガスを供給するための原料ガス供給手段と、前記原料ガスを堆積種とするための1または複数の発熱体と、を備えた堆積膜形成装置であって、前記発熱体は、前記原料ガス供給手段により供給された原料ガスが通過し、通過する原料ガスの少なくとも一部が分解して堆積種となるための内部空間と、前記内部空間に存在する前記堆積種を前記堆積膜形成対象物に向けて放出するための1または複数の放出口と、を備えていることを特徴とする、堆積膜形成装置が提供される。
発熱体は、たとえば筒状に形成されている。好ましくは、発熱体は、中空ワイヤである。この中空ワイヤは、たとえば線条の形態を有している。この場合、複数の発熱体は、それらの軸心が互いに平行または略平行となるように並んで配置される。
堆積膜形成対象物における被堆積面が平面である場合において、複数の発熱体は、たとえば被堆積面と平行または略平行な同一平面上に並んで配置される。
堆積膜形成対象物における被堆積面が円筒面である場合において、複数の発熱体は、たとえば被堆積面を囲む同心円または略同心円上に並んで配置される。
複数の発熱体は、たとえば電気的に直列接続される。複数の発熱体は、電気的に並列接続してもよい。
中空ワイヤは、渦巻状または蛇行状に形成してもよい。
発熱体は、外観形状が直方体であってもよい。
複数の放出口は、互いに異なる方向に堆積種を放出するための第1および第2放出口群を含んだものであってもよい。
発熱体は、融点が1600℃以上に形成するのが好ましい。
本発明の第2の側面においては、成膜室に収容された堆積膜形成対象物に堆積膜を形成する方法であって、発熱体内に形成された内部空間に原料ガスを供給する工程と、前記発熱体から発せられる熱により、前記内部空間に供給された原料ガスの少なくとも一部を分解して堆積種とする工程と、前記内部空間に存在する前記堆積種を前記堆積膜形成対象物に向けて放出する工程と、を含むことを特徴とする、堆積膜の形成方法が提供される。
発熱体の発熱温度は、たとえば1600℃以上2300℃以下とされる。
本発明の第3の側面においては、環状をなす加熱面で囲まれた空間の一端側より該空間内に原料ガスを供給するとともに、この供給された原料ガスの少なくとも一部を前記加熱面の発する熱により分解して堆積種とし、この堆積種を前記空間の他端側より堆積膜形成対象物に向けて放出することによって、前記堆積膜形成対象物に堆積膜を形成することを特徴とする、堆積膜の形成方法が提供される。
加熱面の発熱温度は、たとえば1600℃以上2300℃以下とされる。
本発明によれば、発熱体の内部空間(加熱面により囲まれる空間)で原料ガスの分解、活性化、結合等の反応が起こって堆積種が生成される。発熱体の内部空間で生成された堆積種は、放出口を介して堆積膜形成対象物に向けて放出される。すなわち、発熱体の外部(成膜室内)において堆積種が進行する方向を、放出口によって規定することができる。そのため、発熱体の配置、あるいは放出口の形状や位置を、堆積膜形成対象物の被堆積面の形状などに応じて適宜設定することにより、堆積種が被堆積面以外の部分に向けて放射されるのを抑制し、不必要に堆積膜が形成されるのを抑制することができる。一方、発熱体の内部においては、発熱体が加熱されるために発熱体の熱輻射によってガスが分解されるため、発熱体自体には堆積種がほとんど堆積することはない。したがって、本発明では、被堆積面以外に堆積膜は形成されるのが抑制されているために、不要な膜が剥離して成膜欠陥が生じることを抑制することができる。
また、被堆積面以外に堆積膜が形成されるのを抑制できれば、エッチングガスなどを用いたクリーニングを行なう頻度を小さくできるため、成膜処理効率が向上し、製造コストを抑制することが可能となる。
さらに、放出口によって堆積種の放射方向を規制できるために、被堆積面に対して均一に堆積種を接触させることができる。その結果、膜厚ムラの小さい均質な膜を形成することが可能となるばかりか、発熱体の配置や形状、放出口の配置や形状などを適宜選択することにより、大面積な被堆積面に対しても膜厚ムラの少ない膜を形成することが可能となる。
本発明において、複数の発熱体を電気的に直列接続するようにすれば、各発熱体における電流値が一定となるために複数の発熱体における発熱状態を均一化させ、複数の発熱体の相互における堆積種の放射状態を均一化できる。そのため、複数の発熱体を電気的に直列接続するようにすれば、堆積膜形成対象物に対して均一な膜を形成することが可能となる。一方、複数の発熱体を電気的に並列接続するようにすれば、多数の発熱体を使用する場合であっても、各発熱体における電位差を小さくすることが可能となる。そのため、大面積の被堆積面に堆積膜を形成する場合には、複数の発熱体を並列接続するほうが有利となる。
本発明において、複数の放出口を互いに異なる方向に前記堆積種を吐き出すための第1および第2放出口群を含むようにすれば、複数の堆積膜形成対象物に対して同時に堆積膜を形成することができるため、処理効率を向上させることができる。
本発明において、融点が1600℃以上にとなるように発熱体を形成すれば、発熱体は蒸発することもなく、また発熱体に曲がりや歪が生じ、あるいは放出口の形状が変化してしまうことを抑制することができる。その結果、発熱体の繰り返し使用した場合であっても、安定した成膜を繰り返し行うことができる。
以下、本発明に係る堆積膜形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る堆積膜形成装置について、図1ないし図3を参照して説明する。
図1ないし図3に示した堆積膜形成装置1は、容器2によって規定される成膜室20において、平板状基体3に対して堆積膜を形成するためのものであり、基体支持体4、ガス供給手段5、および複数の発熱体6を備えている。
容器2は、成膜室20への平板状基体3の出し入れが可能なように、その一部が開閉可能に形成されているとともに、ガス排気口21を有している。このガス排気口21は、成膜室20のガスを外部に排出するためのものであり、図外のポンプ(たとえばメカニカルブースタポンプやロータリーポンプ)に接続されている。成膜室20は、図外のポンプによりガス排気口21を介して成膜室20からガスを排出させることにより真空化が図られる。成膜室20の圧力は、成膜時においては、たとえば1.0Pa以上100Pa以下とされる。また、成膜室20は、成膜前において、予め10−3Pa程度の高真空としておくのが好ましい。そうすれば、成膜前において成膜室20から水分や残留不純物ガスが充分に除去されるため、成膜室20に残留した水分や残留不純物ガスが分解されて平板状基体3に被着されるのを充分に抑制することができる。
基体支持体4は、平板状基体3を保持するためのものであり、その内部に温度調整手段40が設けられている。
温度調整手段40は、平板状基体3の温度を目的温度に維持するものであり、加熱・冷却機構および温度検出機構を有している。加熱機構としては、たとえばニクロム線、シーズヒーターおよびカートリッジヒーターなどの電気的なもの、あるいは油などを熱媒体とするものが使用され、冷却機構としては、たとえば空気および窒素ガスなどの気体、水あるいは油などを冷却媒体とするものが使用される。加熱・冷却機構において、液体や気体を伝熱媒体とするものについては、伝熱媒体が基体支持体4の内部を循環流動するように構成するのが好ましい。また、温度検出機構としては、サーミスタや熱電対などが用いられる。
このような温度調整手段40では、温度検出機構によって基体支持体4の温度をモニタリングしながら、図外の制御手段によって加熱・冷却機構を制御することにより、成膜前および成膜中において基体支持体4(平板状基体3)の温度が目的温度に調整される。
ここで、平板状基体3の温度は、平板状基体3の表面に形成すべき堆積膜の組成や平板状基体3の材質などにより決定されるが、たとえばアモルファスシリコン(a−Si)系の堆積膜を形成する場合には、100℃以上400℃以下、好適には200℃以上350℃以下における略一定温度に制御される。
ガス供給手段5は、成膜室20(発熱体6の内部)に対して原料ガスを供給するためのものであり、ガスボンベ50、減圧弁51およびマスフローコントローラ52を備えている。
ガスボンベ50は、成膜室20(発熱体6の内部)に供給すべき原料ガスが充填されたものであり、配管53を介して発熱体6に接続されている。ここで、平板状基体3の表面にa−Si系の堆積膜を形成する場合には、Si原子を含むガス、たとえばSiH、Si、Si、SiF、SiCl、あるいはSiClなどを用いることができる。
減圧弁51およびマスフローコントローラ52は、成膜室20に導入する各原料ガス成分の流量およびガス圧を調整するためのものである。
複数の発熱体6は、原料ガスを分解するためものであり、電源60からの電力供給により発熱したときに生じるジュール熱により、原料ガスを分解するように構成されている。複数の発熱体6は、内部空間61および複数の放出口62を有する中空ワイヤにより、線条の抵抗体として形成されている。
発熱体6を形成するための材料としては、その反応生成物を堆積種とでき、かつ比較的融点が大きく(たとえば融点が1600℃以上)、発熱体自身が昇華や蒸発により堆積される膜中に混入しにくいものが用いられる。このような材料としては、たとえばタンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)およびレニウム(Re)からなる群より選択される少なくとも1種を主成分または合金成分とする材料を挙げることができる。発熱体6を形成するための材料としては、金属や合金材料に代えて、炭化珪素(SiC)等の導電性セラミックス等も使用することができる。
発熱体6の線径は、各発熱体6は、その外径D1が0.3mm以上10.0mm以下、内径が0.1mm以上9.0mm以下とされている。本実施形態において複数の発熱体6は、その軸方向が互いに平行となるように等間隔で同一平面状に配置されている。複数の発熱体6は、隣接するものどうしが導体63により接続されているとともに、最も端に位置する発熱体6は電源60に接続されており、複数の発熱体6は電気的に直列接続となるようになされている。複数の発熱体6を直列接続した場合には、各発熱体6における電流値が一定となるために複数の発熱体6における発熱状態を均一化させることができる。その結果、複数の発熱体6を直列接続した場合には、複数の発熱体6の相互における堆積種の放射状態を均一化できるために平板状基体3に対して均一な膜を形成することが可能となる。
電源60としては、通常は直流電源が用いられるが、交流電源を用いてもよい。交流電源を用いる場合には、必要に応じて、マッチング回路が別途設けられる。各発熱体6は、その下端が絶縁部材64を介して容器2に固定されており、絶縁部材64により封止されている。一方、発熱体6の上端は、セラミックパイプなどの絶縁材により形成された配管65を介して容器2に固定されている。
ここで、各発熱体6と平板状基体3との間の距離L1は、原料ガスの分解により生成された堆積種(分解成分)を平板状基体3に向けて効率的に輸送するため、あるいは、発熱体6からの輻射熱による平板状基体3や堆積膜への損傷を防止するために、たとえば3mm以上100mm以下、好適には5mm以上50mm以下、更に好適には10mm以上40mm以下に設定される。また、隣接する発熱体6相互の距離L2は、発熱体6のサイズ、放出口62のサイズ、あるいは平板状基体3のサイズなどに応じて決定されるが、たとえば10mm以上100mm以下、10mm以上75mm以下に設定される。
内部空間61は、ガス供給手段5により原料ガスが供給される部分であり。配管53を介してガスボンベ50の内部に連通している。内部空間61においては、発熱体6の内面である加熱面より発する熱により原料ガスが加熱・分解される。
複数の放出口62は、平板状基体3の被堆積面30に対面するように、その軸方向に並んで設けられている。各放出口62は、内部空間61に連通しており、内部空間61において原料ガスを分解したときに生じる堆積種を平板状基板3に向けて放出することができるようになされている。放出口62は、円形状に形成されており、その径Dは、たとえば0.1mm以上1.0mm以下とされており、隣接する放出口60の間のピッチPは、たとえば0.5mm以上25.0mm以下とされている。
もちろん、放出口62の構成は種々に変更可能であり、円形以外に、三角形、正方形、長方形、菱形あるいは六角形などの種々の形状を採用することができる。
次に、発熱体CVD装置1を用いて、図3に示した平板状基体3の被堆積面30に薄膜(堆積膜)を形成する場合について説明する。
発熱体CVD装置1を用いて平板状基体3に目的とする膜を形成する場合には、まず基体支持体4に対して平板状基体3をセットする。平板状基体3は、被堆積面30が発熱体6の放出口62に対面した状態で基体支持体4にセットされる。
基体支持体4に対して平板状基体3をセットした場合には、真空ポンプを用いてガス排気口21から成膜室20のガスを排気して成膜室20を真空状態に保持した状態で、ガス供給手段5を用いて原料ガスを各発熱体6の内部空間61に供給する一方で、各発熱体6を発熱させることにより行なわれる。
原料ガスとしては、減圧弁51およびマスフローコントローラ52により流量およびガス圧が調整された状態で発熱体6の内部空間61に供給される。一方、発熱体6の発熱温度は、たとえば1600℃以上2300℃以下の範囲に設定される。
このようにして発熱体6の内部空間61に原料ガスを供給しつつ発熱体6を発熱させることにより、原料ガスは、発熱体6の内面(加熱面)からの熱によって内部空間61において加熱・分解される。このときに生じた分解成分は、放出口62を介して内部空間61から外部に放出される。放出口62は、平板状基体3に対面して配置されているために、放出口62から放出された堆積種は、平板状基体3の被堆積面30に堆積させられ、a−Si層が形成される。
以上に説明した発熱体CVD装置1によれば、発熱体6の内部空間61で生成された堆積種を、放出口62を介して平板状基体3の被堆積面30に向けて放出するため、発熱体6の外部において堆積種が進行する方向を、放出口62によって規定することができる。そのため、発熱体6の配置、あるいは放出口62の形状や位置を、平板状基体3の被堆積面30の形状などに応じて適宜設定することにより、堆積種が被堆積面30以外の部分に向けて放射されるのを抑制し、不必要に堆積膜が形成されるのを抑制することができる。
一方、発熱体6の内部空間61においては、発熱体6が加熱されるために発熱体6の熱輻射によってガスが分解されるため、発熱体6自体には堆積種がほとんど堆積することはない。したがって、本発明では、被堆積面30以外に堆積膜は形成されるのが抑制されているために、不要な膜が剥離して成膜欠陥が生じることを抑制することができる。
また、被堆積面30以外に堆積膜が形成されるのを抑制できれば、エッチングガスなどを用いたクリーニングを行なう頻度を小さくできるため、成膜処理効率が向上し、製造コストを抑制することが可能となる。
さらに、放出口62によって堆積種の放射方向を規制できるために、被堆積面30に対して均一に堆積種を接触させることができる。その結果、膜厚ムラの小さい均質な膜を形成することが可能となるばかりか、発熱体6の配置や形状、放出口62の配置や形状などを適宜選択することにより、大面積な被堆積面30に対しても膜厚ムラの少ない膜を形成することが可能となる。
本実施の形態における発熱体CVD装置1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更・改良が可能である。たとえば、本発明に係る発熱体CVD装置1は、図4ないし図6に示した構成とすることもできる。
図4に示した発熱体CVD装置1Aは、複数の発熱体6Aを、その軸心が水平方向を向くように配置したものである。図5に示した発熱体CVD装置1Bは、各発熱体6における複数の放出口62(図1および図3参照)に代えて、発熱体6Bの軸方向に延びるスリット62Bを設けたものである。図6に示した発熱体CVD装置1Cは、複数の発熱体6Cを電気的に並列に配置したものである。複数の発熱体を電気的に並列接続するようにすれば、多数の発熱体を使用する場合であっても、各発熱体における電位差を小さくすることが可能となる。そのため、大面積の被堆積面に堆積膜を形成する場合には、複数の発熱体を並列接続するほうが有利となる。
また、発熱体の加熱方法は、電気的手段によるものが一般的ではあるが、原料ガスを活性化させるのに必要な温度まで発熱体の温度を上昇できる方法ならば、加熱以外の方法、たとえば放射熱源によるもの、燃焼体による直接加熱などを採用することもできる
次に、本発明の第2の実施の形態に係る発熱体CVD装置7Aについて、図7を参照して説明する。ただし、先に説明した本発明の第1の実施の形態に係る発熱体CVD装置1(図1ないし図3参照)と同様な要素については同一の符号を付してあり、以下における重複説明は省略する。
図7に示した発熱体CVD装置7Aは、1つの発熱体70Aにより平板状基体3に対して堆積膜を形成するように構成されたものである。発熱体70Aは、円筒状ワイヤを渦巻き状に加工した形態を有している。
発熱体70Aは、平面状基体3に対面する部分に複数の放出口71Aが設けられている。複数の放出口71Aは、全体としてマトリックス状に配置されている。そのため、平面状基体3に対しては、被堆積面の全体に対して略均一に堆積種を接触させることができる。また、このような発熱体70Aは、大面積の平板状基体3の被堆積面に堆積膜を形成する場合に好適に採用することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る発熱体CVD装置7Bについて、図8を参照して説明する。
図8に示した発熱体CVD装置7Bは、図7を参照して先に説明した発熱体CVD装置7Aと同様に、1つの発熱体70Bにより平板状基体3に対して堆積膜を形成するように構成されたものである。発熱体70Bは、円筒状を蛇行状に加工した形態を有している。
発熱体70Bは、平面状基体3に対面する部分に複数の放出口71Bが設けられている。複数の放出口71Bは、全体としてマトリックス状に配置されている。そのため、平面状基体3に対しては、被堆積面の全体に対して略均一に堆積種を接触させることができる。また、このような発熱体70Bは、大面積の平板状基体3の被堆積面に堆積膜を形成する場合に好適に採用することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態に係る発熱体CVD装置7Cについて、図9および図10を参照して説明する。
図9および図10に示した発熱体CVD装置7Cは、図7を参照して先に説明した発熱体CVD装置7Aと同様に、1つの発熱体70Cにより平板状基体に対して堆積膜を形成するように構成されたものである。
発熱体70Cは、外観において直方体形状を呈するものであり、内部空間71Cを有する中空状に形成されている。発熱体70Cの背面壁72Cには貫通孔73Cが形成されており、貫通孔73Cを介して内部空間71Cに原料ガスを導入できるように構成されている、発熱体70Cの正面壁74Cには、複数の放出口75Cがスリット状に設けられている。複数の放出口75Cは、上下方向に延びており、内部空間71Cにおいて生成された堆積種を平板状基体3に向けて放出できるようになされている。発熱体70Cの側面壁76Cは、導体ワイヤ77Cにより囲まれている。導体ワイヤ77Cは、高周波電源78Cに接続されており、発熱体70Cは導体ワイヤ77Cに対する高周波の印加によって発熱するように構成されている。
もちろん、内部空間71Cに原料ガスを導入するための貫通孔73Cは、必ずしも背面壁72Cに設ける必要はなく、側面壁76Cなどに設けてよい。また、発熱体70Cの加熱は高周波印加以外の方法により行なってもよい。さらに、図11に示したように、発熱体70Cの放出口75Cは、必ずしもスリット状に設ける必要はなく、マトリックス状に配置された複数の貫通孔として形成してもよい。
次に、本発明の第5の実施の形態に係る発熱体CVD装置7Dについて、図12を参照して説明する。
図12に示した発熱体CVD装置7Dは、複数の発熱体70Dにより2つの平板状基体3A,3Bに対して同時に堆積膜を形成するように構成されたものである。この発熱体CVD装置7Dは、2つの平板状体3A,3Bを個別に支持できるように2つの基体支持体71D,72Dを備えている。これらの基体支持体71D,72Dは、2つの平板状基体3A,3Bを、それらの被堆積面30A,30Bが互いに対面した状態となるように支持することができる。2つの基体支持体3A,3Bの間には、複数の発熱体70D(図面上は1つ)が配置されている。複数の発熱体70Dは、図面上からは明確には分からないが、被堆積面30A,30Bと平行または略平行な同一平面上において並んで配置されている。各発熱体70Dは、内部空間73Dを有する円筒状ワイヤとして形成されており、内部空間73Dに連通する複数の放出口74D,75Dを有している。複数の放出口74D,75Dは、互いに異なる方向に堆積種を放出できるように構成されており、複数の放出口74Dが平板状基体3Aの被堆積面30Aに対面し、複数の放出口75Dが平板状基体3Bの被堆積面30Bに対面している。
発熱体CVD装置7Dでは、発熱体70Dの内部空間73Dに供給された原料ガスが発熱体70Dによって内部空間73Dにおいて堆積種とされる。この堆積種は、複数の放出口74D,75Dを介して放出される。複数の放出口74D,75Dは、平板状基体3Aの被堆積面30Aに対向する第1放出口74Dと、平板状基体3Bの被堆積面30Bに対向する第2放出口75Dと、を含んでいるため、2つの平板状基体3A,3Bの被堆積面30A,30Bのそれぞれに対して堆積種が接触させられる。その結果、発熱体CVD装置7Dでは、2つの平板状基体3A,3Bに対して同時に堆積膜を形成することができる。
次に、本発明の第6の実施の形態に係る発熱体CVD装置1′について、図13ないし図15を参照して説明する。
図13および図14に示した発熱体CVD装置1′は容器2′によって規定される成膜室20′において、円筒状基体80に対して堆積膜を形成するためのものであり、基体支持体4′、回転手段8′、ガス供給手段5′、発熱体6′を備えている。
容器2′は、図外のポンプに接続されたガス排気口21′を有している点において図1ないし図3を参照して説明した発熱体CVD装置1の容器2と同様であるが、円筒状に形成されている点において異なっている。
基体支持体4′は、円筒状基体80を保持するためのものであり、回転手段8′によって容器2′に対して回転可能に支持されている。円筒状基体80は、その内部に基体支持体4′が挿通された状態で基体支持体4′に保持される。各基体支持体4′は、中空の円筒状に形成されており、その内部に温度調整手段(図示せず)が設けられている。温度調整手段は、円筒状基体80の温度を目的温度に維持するものであり、加熱・冷却機構および温度検出機構を有している。このような温度調整手段では、温度検出機構によって基体支持体4′の温度をモニタリングしながら、図外の制御手段によって加熱・冷却機構を制御することにより、成膜前および成膜中において基体支持体4′(円筒状基体80)の温度が目的温度に調整される。
ここで、円筒状基体80の温度は、円筒状基体80の表面に形成すべき堆積膜の組成や円筒状基体80の材質などにより決定されるが、たとえばa−Si系あるいはアモルファスシリコンカーバイト(a−SiC)系の堆積膜を形成する場合には、100℃以上400℃以下、好適には200℃以上350℃以下における略一定温度に制御される。
回転手段8′は、各基体支持体4′を回転させるためのものであり、真空中で接続や切り離しが可能なように構成されている。このような接続機構としては、電気的な配線については電流接続端子とソレノイドの組合せやスリップリングとブラシの組合せ等が用いられ、媒体についてはクイックカップリングとソレノイドの組合せ等が用いられる。また、回転動力の伝達については、ギヤ同士の組合せやギヤとソレノイドの組合せ等が用いられる。なお、回転手段8′と容器2′との接点には、成膜室20′の真空を維持できる回転機構が設けられる。このような回転機構としては、回転軸を二重もしくは三重構造としたオイルシールやメカニカルシール等の真空シール手段を用いることができる。また、円筒状基体80の温度制御のために円筒状基体80の温度を検出するように構成する場合には、回転軸を中空に形成するとともに、回転軸の内部に温度検出機構やその配線などを設けることもできる。
このような回転手段8′により基体支持体4′を回転させた場合には、基体支持体4′に保持させた円筒状基体80を回転させることができるため、発熱体6′によって分解された原料ガスの分解成分を円筒状基体80の表面の全体にわたり略一様な膜厚に被着させることができる。なお、回転手段8′による基体支持体4′の回転速度は、たとえば1〜10rpmとされる。
ガス供給手段5′は、成膜室20′に対して原料ガスを供給するためのものであり、複数(図面上は4つ)のガスボンベ51A′,51B′,51C′,51D′を備えている。
複数のガスボンベ51A′,51B′,51C′,51D′は、成膜室20′に供給すべき原料ガスが充填されたものであり、配管52A′,52B′,52C′,52D′,53′を介して成膜室20′に接続されている。ここで、図13においては、円筒状基体80の表面にa−Si系およびa−SiC系の堆積膜を形成する場合のガスボンベ51A′〜51D′の例を示してある。すなわち、ガスボンベ51A′〜51′Dは、それぞれがSi源ガス、C源ガス、荷電子制御源ガス、あるいは希釈ガスが充填されたものである。配管52A′〜52D′,53′の途中には、減圧弁54A′,54B′,54C′,54D′およびマスフローコントローラ55A′,55B′,55C′,55D′が設けられており、これらによって成膜室20′に導入する各原料ガス成分の流量、ガス圧および組成を調整することが可能とされている。
Si源ガスとしては、SiとHとからなる化合物、たとえばSiH、Si、Siの他、シリコンとハロゲン元素とからなる化合物、たとえばSiF、SiCl、あるいはSiClなどを用いることができる。
C源ガスとしては、たとえばCH、C、C、CO、あるいはCOなど、Cを含んだ化合物が使用される。
価電子制御ガス(膜中の価電子数を制御するガス)としては、P型不純物あるいはN型不純物を使用することができる。P型不純物としては、元素周期律表第13族の元素(B、Al、Gaなど)を含む化合物、たとえばB、B(CH、Al(CH、Al(C、およびGa(CHなどを用いることができる。一方、N型不純物としては、元素周期律表第15族の元素(P、As、Sbなど)を含む化合物、たとえばPH、P、AsH、SbHなどを用いることができる。
希釈用ガスとしては、たとえばH、N、He、Ar、NeおよびXeを用いることができる。
また、必要に応じて、バンドギャップ調整用ガスを用いてもよい。バンドギャップ調整用ガスとしては、バンドギャップを大きくする場合には、C、N、Oを含む化合物、たとえばCH、C、C、N、NH、NO、NO、NO、O、CO、およびCOを用いることができ、バンドギャップを小さくする場合には、たとえばGeあるいはSnを含む化合物、たとえばGeH、SnH、Sn(CHを用いることができる。
発熱体6′は、加熱により生じるジュール熱によって原料ガスを分解するためのものであり、図1ないし図3を参照して説明した発熱体CVD装置1の発熱体6と同様な構成とされている。すなわち、発熱体6′は、内部空間61′および複数の放出口62′を有する線条の中空ワイヤとして形成されている。
発熱体6′と円筒状基体80との距離は、原料ガスの分解により生成された堆積種(分解成分)を円筒状基体80に向けて効率的に輸送するため、あるいは、発熱体6′からの輻射熱による円筒状基体80や堆積膜への損傷を防止するために、たとえば3mm以上100mm以下、好適には5mm以上50mm以下、更に好適には10mm以上40mm以下に設定される。
次に、発熱体CVD装置1を用いて、図15に示した電子写真感光体8を作製する場合を例にとって説明する。なお、図15に示した電子写真感光体8は、円筒状基体80の表面に、キャリア注入阻止層81、光導電層82および表面保護層83を順次積層したものである。
発熱体CVD装置1を用いて円筒状基体80に目的とする膜を形成する場合には、まず基体支持体4′に対して円筒状基体80をセットする。
円筒状基体80としては、導電性または絶縁性のものが採用され、あるいは絶縁性基体の表面に導電層を形成したものが用いられる。
導電性基体としては、たとえばアルミニウム(Al)、ステンレススチール(SUS)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、およびチタン(Ti)などの金属またはこれらの合金により形成されたものを挙げることができる。
絶縁性基体としては、たとえばガラス(ホウ珪酸ガラスやソーダガラスなど)、セラミックス、石英、およびサファイヤなどの無機絶縁物、あるいはフッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ビニロン、エポキシ、およびマイラーなどの合成樹脂絶縁物を挙げることができる。
絶縁性基体に形成される導電層としては、たとえば絶縁性基体の表面にITO(インジウム・スズ・酸化物)、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、およびヨウ化銅などの導電層の他、Al、Ni、および金(Au)などの金属層を採用することができる。また、導電層は、たとえば真空蒸着法、活性反応蒸着法、イオンプレーティング法、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、熱CVD法、プラズマCVD法、スプレー法、塗布法、あるいは浸漬法などにより形成することができる。
基体支持体4′に対して円筒状基体80を支持させた場合には、円筒状基体80に対してキャリア注入阻止層81および光導電層82をa−Si層として形成する。この工程は、真空ポンプを用いてガス排気口21′から成膜室20′のガスを排気して成膜室20′を真空状態に保持した状態で、ガス供給手段5′を用いて原料ガスを成膜室20′に供給する一方で、発熱体6′を発熱させることにより行なわれる。
a−Si層としてキャリア注入阻止層81および光導電層82を形成する場合には、原料ガスとしては、たとえばSi源ガスとしてのSiHおよび希釈ガスとしてのHを所望比で混合した混合ガスが用いられる。また、SiHとHとの混合比は、減圧弁53A′〜53D′およびマスフローコントローラ54A′〜54D′を用いて調整される。また、混合ガスには、必要に応じて、価電子制御ガスやバンドギャップ調整ガスなどが混入される。一方、発熱体6′の発熱温度は、たとえば1600℃以上1800℃以下の範囲に設定される。
このようにして成膜室20′に原料ガスを供給しつつ発熱体6′を発熱させることにより、原料ガスが発熱体6′に接触させられて加熱・分解される。このときに生じた分解成分は、円筒状基体80の表面に堆積させられ、a−Si層が形成される。そして、原料ガスの組成を適宜変更することにより、円筒状基体80の表面にはキャリア注入阻止層81および光導電層82としてのa−Si層が順次形成される。
円筒状基体80の表面に、キャリア注入阻止層81および光導電層82をとしてa−Si層を形成した場合には、次いで表面保護層83をa−SiC層として形成する。この工程においては、まず原料ガスなどの供給を一旦中断し、原料ガスを成膜室20′に供給するための準備が行なわれる。次いで、真空ポンプを用いてガス排気口21′から成膜室20′のガスを排気して成膜室20′の真空状態を維持した状態で、ガス供給手段5′を用いて原料ガスを成膜室20′に供給するするとともに発熱体6′を発熱させる。
a−SiC層として表面保護層83を形成する場合の原料ガスとしては、たとえばSi源としてのSiH、C源としてのCおよび希釈ガスとしてのH2を所望比で混合した混合ガスが用いられる。また、SiH、CおよびHの混合比は、減圧弁53A′〜53D′およびマスフローコントローラ54A′〜54D′を用いて調整され、また、混合ガスには、必要に応じて、価電子制御ガスやバンドギャップ調整ガスなどが混入される。発熱体6′の発熱温度は、たとえば1800℃以上2300℃以下の範囲に設定される。
このようにして成膜室20′に原料ガスを供給しつつ発熱体6′を発熱させることにより、原料ガスが発熱体6′に接触させられて加熱・分解される。このときに生じた分解成分は、円筒状基体80の表面に堆積させられ、円筒状基体80の表面には表面保護層33としてのa−Si層が形成される。
以上に説明した発熱体CVD装置1′によれば、発熱体6′の内部空間61′において原料ガスにより生成された堆積種が、放出口62′によってその放射方向が規制されつつ、放出口62′を介して円筒状基体80に向けて放出される。そのため、電子写真感光体8を製造する場合のように、円筒状基体80に対して堆積膜を形成する場合であっても、堆積種が円筒状基体8の表面以外の部分に向けて放射されるのを適切に抑制でき、円筒状基体8の表面以外に不必要に堆積膜が形成されるのを抑制することができ、また発熱体6′自体に堆積膜が形成されるのを抑制することができる。その結果、不要な膜が剥離して成膜欠陥が生じることを抑制することができるとともに、エッチングガスなどを用いて発熱体6′や成膜室20の内部のクリーニングを行なう頻度を小さくできるため、成膜処理効率が向上し、製造コストを抑制することが可能となる。
本実施例では、図1ないし図3に示した発熱体CVD装置1を用いて平板状基体3に対して繰り返し成膜を行なった場合(本案)について、平板状基体3における成膜欠陥の発生状態について検討した。
平板状基体3としては150mm×150mm×1mmであるガラス板を用いた。この平板状基体3には、膜厚が5μmシリコン膜を下記条件にて、5μm/hourの成膜速度で形成した。このようなシリコン膜の成膜は、10枚のガラス板について連続して行なった。
Figure 2008016459
成膜欠陥については、シリコン膜上に発生した直径が0.1mm以上のピンホールの数を目視によりカウントすることにより行なった。ピンホールの発生数については、下記表2に示した。
一方、比較例として、図16に示した従来の発熱体CVD装置9を用いて、本案と同様にしてガラス板にシリコン膜を形成したときのピンホールの発生数を検討した。その結果は、本案の結果と同時に下記表2に示した。
Figure 2008016459
表2から分かるように、比較例では、3枚目のガラス板にシリコン膜を形成したときから、ピンホールの数が急激に増加し始め、10枚目のガラス板にシリコン膜を形成するときには、1枚目のガラス板にシリコン膜を形成したときの約20倍の数のピンホールがカウントされた。これは、比較例では、シャワープレート96の表面に堆積膜が形成され、あるいは粉体が形成され、それが、ガラス板上に落下して多くのピンホールが発生したものと考えられる。
一方、本実施例(本案)においては、10枚目のガラス板にシリコン膜を形成する場合であっても、ピンホールの数が1枚目のガラス板にシリコン膜を形成したときの2倍以内に収まっている。このように、本実施例においては、繰り返しの成膜処理によっても成膜欠陥が生じることが適切に抑制されている。そのため、本実施例によれば、クリーニングを行なう頻度を小さくできるため、成膜処理効率が向上し、製造コストを抑制することが可能となる。
本発明の第1の実施の形態に係る発熱体CVD装置を示す縦断面図である。 図1のII−II線に沿う断面図である。 図1のIII−III線に沿う断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る発熱体CVD装置を示す図3に相当する断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る発熱体CVD装置を示す図3に相当する断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る発熱体CVD装置を示す図3に相当する断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る発熱体CVD装置を示す図3に相当する断面図である。 本発明の第6の実施の形態に係る発熱体CVD装置を示す図3に相当する断面図である。 本発明の第7の実施の形態に係る発熱体CVD装置を説明するための発熱体の周りを示す斜視図である。 図9のX−X線に沿う断面図である。 本発明の第8の実施の形態に係る発熱体CVD装置を説明するための発熱体の周りを示す正面図である。 本発明の第9の実施の形態に係る発熱体CVD装置を示す図1に相当する断面図である。 本発明の第10の実施の形態に係る発熱体CVD装置を示す図1に相当する断面図である。 図13のXIV−XIV線に沿う断面図である。 図13に示した発熱体CVD装置において製造される電子写真感光体の断面図およびその要部拡大図である。 従来の発熱体CVD装置を説明するための縦断面図である。 図16のXVII−XVII線に沿う断面図である。
符号の説明
1,1′,1A,1B,1C,7A,7B,7C,7D 発熱体CVD装置
20,20′ 成膜室
3,3A,3B 平板状基体
30,30A,30B (平板状基体の)被堆積面
5,5′ ガス供給手段
80 円筒状基体
6,6′,6A,6B,6C,6D,6E,70A,70B,70C,70D 発熱体
61 (発熱体の)内部空間
62,62′,62B,71A,71B,75C,75D (発熱体の)放出口

Claims (16)

  1. 堆積膜形成対象物を収容するための成膜室と、
    前記成膜室に原料ガスを供給するための原料ガス供給手段と、
    前記原料ガスを堆積種とするための1または複数の発熱体と、
    を備えた堆積膜形成装置であって、
    前記発熱体は、前記原料ガス供給手段により供給された原料ガスが通過し、通過する原料ガスの少なくとも一部が分解して堆積種となるための内部空間と、前記内部空間に存在する前記堆積種を前記堆積膜形成対象物に向けて放出するための1または複数の放出口と、を備えていることを特徴とする、堆積膜形成装置。
  2. 前記発熱体は、筒状に形成されている、請求項1に記載の堆積膜形成装置。
  3. 前記発熱体は、中空ワイヤである、請求項2に記載の堆積膜形成装置。
  4. 前記中空ワイヤは、線条の形態を有しており、
    前記複数の発熱体は、それらの軸心が互いに平行または略平行となるように並んで配置されている、請求項3に記載の堆積膜形成装置。
  5. 前記堆積膜形成対象物における被堆積面が平面である場合において、
    前記複数の発熱体は、前記被堆積面と平行または略平行な同一平面上に並んで配置されている、請求項4に記載の堆積膜形成装置。
  6. 前記堆積膜形成対象物における被堆積面が円筒面である場合において、
    前記複数の発熱体は、前記被堆積面を囲む同心円または略同心円上に並んで配置されている、請求項4に記載の堆積形成装置。
  7. 前記複数の発熱体は、電気的に直列接続されている、請求項4ないし6のいずれか1つに記載の堆積膜形成装置。
  8. 前記複数の発熱体は、電気的に並列接続されている、請求項4ないし6のいずれか1つに記載の堆積膜形成装置。
  9. 前記中空ワイヤは、渦巻状または蛇行状に形成されている、請求項3に記載の堆積膜形成装置。
  10. 前記発熱体は、外観形状が直方体である、請求項1に記載の堆積膜形成装置。
  11. 前記複数の放出口は、互いに異なる方向に前記堆積種を放出するための第1および第2放出口群を含んでいる、請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の堆積膜形成装置。
  12. 前記発熱体は、融点が1600℃以上に形成されている、請求項1ないし請求項11のいずれか1つに記載の堆積膜形成装置。
  13. 成膜室に収容された堆積膜形成対象物に堆積膜を形成する方法であって、
    発熱体内に形成された内部空間に原料ガスを供給する工程と、
    前記発熱体から発せられる熱により、前記内部空間に供給された原料ガスの少なくとも一部を分解して堆積種とする工程と、
    前記内部空間に存在する前記堆積種を前記堆積膜形成対象物に向けて放出する工程と、を含むことを特徴とする、堆積膜の形成方法。
  14. 前記発熱体の発熱温度は1600℃以上2300℃以下である、請求項13に記載の堆積膜の形成方法。
  15. 環状をなす加熱面で囲まれた空間の一端側より該空間内に原料ガスを供給するとともに、この供給された原料ガスの少なくとも一部を前記加熱面の発する熱により分解して堆積種とし、この堆積種を前記空間の他端側より堆積膜形成対象物に向けて放出することによって、前記堆積膜形成対象物に堆積膜を形成することを特徴とする、堆積膜の形成方法。
  16. 前記加熱面の発熱温度は1600℃以上2300℃以下である、請求項15に記載の堆積膜の形成方法。
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