JP2008016336A - 有機半導体装置の製造方法、有機半導体装置、有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法及び有機エレクトロルミネセンス装置 - Google Patents

有機半導体装置の製造方法、有機半導体装置、有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法及び有機エレクトロルミネセンス装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機半導体層を構成する材料の幅を広くすることの可能な有機半導体装置の製造方法、有機半導体装置、有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法及び有機エレクトロルミネセンス装置を提供すること。
【解決手段】基板上に蒸着法によって有機膜を形成し当該有機膜を有機溶媒に溶解しないように変質させて正孔注入層を形成し、この正孔注入層上に当該有機溶媒を用いたインクジェット法によって発光層を形成するので、発光層の形成時に正孔輸送層が有機溶媒に溶解するのを回避することができる。これにより、正孔輸送層の構成材料として有機溶媒に溶解しない材料の他に有機溶媒に溶解する材料をも用いることができ、材料の選択の幅が広くなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機半導体装置の製造方法、有機半導体装置、有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法及び有機エレクトロルミネセンス装置に関する。
ディスプレイなどの表示装置に用いられている有機エレクトロルミネセンス装置(以下、「有機EL装置」という。)は、一般的に、発光性を有する発光層と正孔輸送性を有する正孔輸送層とを含んだ有機層と、この有機層を挟持する陰極及び陽極とが基板上に設けられた構成になっている。有機EL装置の発光層と正孔輸送層とは積層された構成になっている。有機EL装置は、陰極からの電子と陽極からの正孔とが発光層で結合することで発光するようになっている。
発光層、正孔輸送層の2つの有機層を形成する手法として、発光層及び正孔輸送層を構成する材料を有機溶媒に溶解又は分散させた液状組成物を作製し、この液状組成物を基板上に成膜した後、有機溶媒を蒸発させる手法(ウェットプロセス)が知られている。ウェットプロセスとして代表的なものは、例えばインクジェット法である。インクジェット法によれば、大面積の基板上にも容易に有機層を形成することが可能であるため、近年大型化しているディスプレイ用の有機EL装置などの製造において、特に期待されている。
一方で、このインクジェット法は、画素一つ一つに液状組成物を塗布する手法であるため、正孔輸送層、発光層の全ての層をインクジェット法により形成する場合、位置合わせが必要であり、層毎に異なるインクジェットのノズルヘッドが必要となるなど、プロセスが煩雑になってしまう。また、インクジェット法によって複数の有機層を積層する場合、下層の有機層を構成する材料が上層を形成する際の溶媒に溶解又は分散しないように、適切な材料を選択したり、上層の溶媒に下層が溶解・分散しないように変質させたりする必要がある。さらに、基板上の撥液性や親液性の違いにより、平坦な膜を形成するのが困難な場合がある。
これに対して、正孔輸送層を構成する材料を蒸着法によって基板上に成膜する手法(ドライプロセス)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ドライプロセスでは、ウェットプロセスに比べてプロセス自体が簡易であり、撥液性・親液性の違いなどの問題も無く、平坦な膜を形成するのが容易である。
特開2005−339949号公報
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、ドライプロセスによって正孔輸送層を形成した後、ウェットプロセスによって発光層を形成するものであるため、正孔輸送層を構成する材料が限定されてしまう。すなわち、正孔輸送層の材料として、発光層を形成する際の溶媒に溶解又は分散しない材料しか選択できないという問題がある。有機EL装置のみならず、有機膜を積層させたデバイス、例えば有機トランジスタなど、他の有機半導体装置においても同様の問題が考えられる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、有機半導体層を構成する材料の選択の幅を広くすることの可能な有機半導体装置の製造方法、有機半導体装置、有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法及び有機エレクトロルミネセンス装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る有機半導体装置の製造方法は、基板上に複数の有機半導体層が積層されてなる有機半導体装置の製造方法であって、前記基板上に気相法によって有機半導体膜を形成し、前記有機半導体膜を所定の溶媒に溶解しないように変質させて第1有機半導体層を形成する第1有機半導体層形成工程と、前記第1有機半導体層上に前記所定の溶媒を用いた液相法によって第2有機半導体層を形成する第2有機半導体層形成工程とを具備することを特徴とする。
本発明によれば、基板上に気相法によって有機半導体膜を形成し当該有機半導体膜を所定の溶媒に溶解しないように変質させて第1有機半導体層を形成し、この第1有機半導体層上に所定の溶媒を用いた液相法によって第2有機半導体層を形成するので、第2有機半導体層の形成時に第1有機半導体層が所定の溶媒に溶解するのを回避することができる。これにより、第1有機半導体層の構成材料として所定の溶媒に溶解しない材料の他に所定の溶媒に溶解する材料をも用いることができ、材料の選択の幅が広くなる。
本発明に係る有機半導体装置は、上記の有機半導体装置の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、有機半導体装置の製造の際に有機半導体層の材料の選択の幅が広がるため、有機半導体装置の目的・用途に応じて有機半導体層の材料として所望の最適材料を選択することができる。これにより、高性能の有機半導体装置を得ることができる。
本発明に係る有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法は、少なくとも正孔輸送性を有する第1有機層と発光性を有する第2有機層とを含んだ複数の有機層と、前記複数の有機層を挟持する陰極及び陽極とを基板上に備えた有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法であって、前記基板上に気相法によって有機膜を形成し、前記有機膜を所定の溶媒に溶解しないように変質させて前記第1有機層を形成する第1有機層形成工程と、前記第1有機層上に前記所定の溶媒を用いた液相法によって前記第2有機層を形成する第2有機層形成工程とを具備することを特徴とする。
本発明によれば、基板上に気相法によって有機膜を形成し当該有機膜を所定の溶媒に溶解しないように変質させて第1有機層を形成し、この第1有機層上に所定の溶媒を用いた液相法によって第2有機層を形成するので、第2有機層の形成時に第1有機層が所定の溶媒に溶解するのを回避することができる。これにより、第1有機層の構成材料として所定の溶媒に溶解しない材料の他に所定の溶媒に溶解する材料をも用いることができ、材料の選択の幅が広くなる。
また、前記第1有機層形成工程では、キャリア輸送性を有すると共にシロキサン骨格を有する架橋性有機化合物を前記基板上に蒸着して前記有機膜を形成し、前記有機膜に含まれる前記架橋性有機化合物を熱処理によって架橋させることが好ましい。
有機膜を所定の溶媒に溶解させない方法として、有機膜に架橋性を有する有機化合物を含ませ、有機膜内で架橋反応を発生させて有機膜の構成材料の分子を架橋させる手法がある。本発明によれば、第1有機層形成工程では、キャリア輸送性を有すると共にシロキサン骨格を有する架橋性有機化合物を前記基板上に蒸着して有機膜を形成し、有機膜に含まれる架橋性有機化合物を熱処理によって架橋させることとしたので、有機膜において架橋反応を確実に発生させることができる。
また、前記第1有機層形成工程では、キャリア輸送性有機化合物と、シロキサンからなる架橋性有機化合物とを前記基板上に同時に蒸着して前記有機膜を形成し、前記有機膜に含まれる前記架橋性有機化合物を熱処理によって架橋させることが好ましい。
本発明によれば、第1有機層形成工程では、キャリア輸送性有機化合物と、シロキサンからなる架橋性有機化合物とを基板上に同時に蒸着して有機膜を形成し、有機膜に含まれる架橋性有機化合物を熱処理によって架橋させることとした。このように、キャリア輸送性有機化合物と架橋性有機化合物とが別の材料であり、これらを混合させて同時に蒸着して有機膜を形成した場合であっても、有機膜に熱処理を施すことによって有機膜内で架橋反応を発生させることができる(蒸着重合)。
また、前記第1有機層形成工程では、トリフェニルアミン誘導体及びポリチオフェン誘導体のうち少なくとも一方を含んだキャリア輸送性有機化合物と、シランカップリング化合物を含む架橋性有機化合物とを前記基板上に同時に蒸着して前記有機膜を形成し、前記有機膜に含まれる前記架橋性有機化合物を熱処理によって架橋させることが好ましい。
本発明によれば、第1有機層形成工程では、トリフェニルアミン誘導体及びポリチオフェン誘導体のうち少なくとも一方を含んだキャリア輸送性有機化合物と、シランカップリング化合物を含む架橋性有機化合物とを基板上に同時に蒸着して有機膜を形成し、有機膜に含まれる架橋性有機化合物を熱処理によって架橋させることとした。キャリア輸送性有機化合物と架橋性有機化合物とをこのように選択することで、一層効果的に架橋反応を発生させることができる。
また、前記第1有機層形成工程では、キャリア輸送性有機化合物と、二重結合基、エポキシ基及び環状エーテル基のうち少なくとも1種類を含む架橋性有機化合物とを前記基板上に同時に蒸着して前記有機膜を形成し、前記有機膜に含まれる前記架橋性有機化合物を熱処理する、前記架橋性有機化合物に紫外線を照射する、前記架橋性有機化合物に電子ビームを照射する又は前記架橋性有機化合物にプラズマを照射することによって架橋させることが好ましい。
本発明によれば、第1有機層形成工程では、キャリア輸送性有機化合物と、二重結合基、エポキシ基及び環状エーテル基のうち少なくとも1種類を含む架橋性有機化合物とを基板上に同時に蒸着して有機膜を形成し、有機膜に含まれる架橋性有機化合物を熱処理する、架橋性有機化合物に紫外線を照射する、架橋性有機化合物に電子ビームを照射する又は架橋性有機化合物にプラズマを照射することによって架橋させることとした。このように、二重結合基、エポキシ基及び環状エーテル基のうち少なくとも1種類を含む架橋性有機化合物を用いる場合、熱処理の他に紫外線の照射、電子ビームの照射及びプラズマの照射などによっても、架橋反応を発生させることができる。
本発明に係る有機エレクトロルミネセンス装置は、上記の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、有機エレクトロルミネセンス装置の製造の際に有機層の材料の選択の幅が広がるため、有機エレクトロルミネセンス装置の目的・用途に応じた有機層の材料、例えば明るい光を発光し寿命の長い材料などを選択することができる。これにより、高性能の有機エレクトロルミネセンス装置を得ることができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づき説明する。
(有機EL装置)
図1は、有機EL装置1の概略的な構成を示す断面図である。以下の図では、各部材を認識可能な大きさとするため、縮尺を適宜変更している。本実施形態の有機EL装置1は、スイッチング素子として薄膜トランジスタが設けられたアクティブマトリクス型の有機EL装置である。
有機EL装置1は、素子基板2と、有機EL層3と、封止用基板4とを主体として構成されている。この有機EL装置1は、素子基板2上に有機EL層3が形成され、当該有機EL層3を覆うように封止用基板4が形成された構成になっている。封止用基板4は、例えば熱硬化型あるいは紫外線硬化型の接着剤4aによって素子基板2に貼り合わされている。本実施形態では、有機EL層3からの光が素子基板2の方向に射出される、いわゆるボトムエミッション型の有機EL装置を例に挙げて説明する。
素子基板2は、基板5と、表面層6と、半導体層7と、ゲート絶縁層8と、ゲート電極9と、第1絶縁層10と、ソース電極11と、第2絶縁層12とを有している。
基板5は、例えばガラスや石英などの光を透過可能な材料からなる矩形の基板である。
表面層6は、基板5の表面に形成されており、例えば酸化シリコンや窒化シリコンなどからなる絶縁層である。
半導体層7は、例えばアモルファスシリコンからなる層であり、5つの領域に区分されている。半導体層7の図中左右方向の中央にはチャネル領域7aが設けられている。チャネル領域7aを基準としてソース側(図中右側)には、当該チャネル領域7aの図中右隣に低濃度ソース領域7bが設けられており、当該低濃度ソース領域7bの図中右隣に高濃度ソース領域7cが設けられている。チャネル領域7aのドレイン側(図中左側)には、当該チャネル領域7aの図中左隣に低濃度ドレイン領域7dが設けられており、当該低濃度ドレイン領域7dの図中左隣に高濃度ドレイン領域7eが設けられている。
ゲート絶縁層8は、表面層6及び半導体層7を覆うように設けられた絶縁層である。
ゲート電極9は、ゲート絶縁層8上に設けられた電極であり、半導体層7のチャネル領域7aに平面視で重なる位置に配置されている。図示を省略するが、ゲート電極9は例えば金属層が3層重なった多層構造になっており、下層(ゲート絶縁層8の直上)が窒化チタン層、中層がアルミニウム・銅の混合層、上層がチタン層になっている。
半導体層7、ゲート絶縁層8及びゲート電極9は、有機EL装置1のスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)を構成している。
第1絶縁層10は、例えば酸化シリコンや窒化シリコンからなり、ゲート絶縁層8及びゲート電極9を覆うように設けられている。
ソース電極11は、第1絶縁層10上に設けられた電極であり、第1絶縁層10及びゲート絶縁層8を貫通して形成されたコンタクトホール13を介して半導体層7の高濃度ソース領域7cに接続されている。ソース電極11は、単層の金属、あるいはゲート電極9と同様に、金属層が多層重なった構造になっており、例えば3層の場合、下層(第1絶縁層10の直上)がチタン層(又は窒化チタン層)、中層がアルミニウム・銅の混合層、上層がチタン層になっている。
第2絶縁層12は、例えば酸化シリコンや窒化シリコンからなり、第1絶縁層10及びソース電極11を覆うように設けられている。
素子基板2の第2絶縁層12上には、有機EL層3が設けられている。有機EL層3は、陽極21と、正孔輸送層(第1有機層)22と、発光層(第2有機層)23と、陰極24と、隔壁25と、絶縁層27とを主体として構成されている。
陽極21は、素子基板2の第2絶縁層12の直上に薄膜状に設けられており、導電性を有する金属酸化物で光を透過可能な材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの材料からなる。この陽極21は、第2絶縁層12、第1絶縁層10及びゲート絶縁層8の3つの絶縁層を貫通するコンタクトホール14を介して半導体層7の高濃度ドレイン領域7eに接続されている。
絶縁層27は、例えば窒化シリコンなどの絶縁部材からなり、陽極21を含めた素子基板2の第2絶縁層12の表面上に設けられている。この絶縁層27には、平面視でマトリクス状に配列された開口部26が設けられている。開口部26は、陽極21の一部を露出するように設けられている。
正孔輸送層22は、陽極21からの正孔を発光層23に注入する層であり、陽極21上に設けられている。
この正孔輸送層22は、キャリア輸送性の有機化合物と架橋性の有機化合物とからなる。キャリア輸送性の有機化合物としては、例えばN,N’−di(1−naphtyl)−N,N’−diphenylbenzidine(αNPD)などの芳香族第三級アミン化合物やスチルベン化合物などが好適に用いられる。他の例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール等を挙げることができる。正孔輸送層22の材料として、芳香族ジメチリディン系化合物も使用することができる。この他にも、特開平2−191694号に記載の材料などを好適に使用することができる。
本発明における架橋性の有機化合物としては、蒸着重合可能なモノマーが好適であり、たとえばエポキシ系モノマー、光重合をするケイ皮酸エステル類モノマー、および熱重合をするカルベン類モノマーからなる群から選ばれる一以上のモノマーからなるものを挙げることができる。たとえば、エポシキ系モノマーとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、ケイ皮酸エステル類モノマーとしてはケイ皮酸エチル、ケイ皮酸ベンゾエイト等を挙げることができ、カルベン類モノマーとしては、イソシアノ酢酸エチル、フェニルイソシアナート、ジアゾブタン等を挙げることができる。シランカップリング剤としては、[化1]に示すγグリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを用いることができる。
Figure 2008016336
本実施形態では、正孔輸送層22の構成材料として、例えばキャリア輸送性の有機化合物としてαNPDを、架橋性の有機化合物としてフェニルイソシアナートを選択して用いている。両者の成分比は重量比で95:5程度になっている。この組み合わせに限らず、他の組み合わせであっても勿論構わない。
発光層23は、正孔輸送層22からの正孔と陰極24からの電子とが結合して発光する層であり、正孔輸送層22上に設けられている。
この発光層23は発光性の有機化合物からなり、例えば(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
陰極24は、導電率及び光反射率の高い金属、例えばアルミニウムやカルシウムなどからなる電極であり、発光層23に電子を注入する電極である。本実施形態では、発光層23上にカルシウム(下層)が形成され、その上にアルミニウム(上層)が形成された、Ca/Alの積層構造になっている。陰極24は、発光層23で発光する光を基板5の側(図中下側)に反射する反射層としての機能も有している。この陰極24は、絶縁層27、隔壁25及び発光層23を含めた有機EL層3の表面全体に形成されている。
(有機EL装置の製造方法)
次に、上記のように構成された有機EL装置1の製造方法を説明する。
まず、基板5上に表面層6、半導体層7、ゲート絶縁層8、ゲート電極9を順に形成し、第1絶縁層10、コンタクトホール13及びソース電極11、第2絶縁層、コンタクトホール14を形成して、素子基板2を形成する。その後、コンタクトホール14の表面に重なるように陽極21を成膜し、パターニング後隔壁25を形成する。
次に、隔壁25内に正孔輸送層22を形成する(第1有機層形成工程)。この工程について具体的に説明する。
図2に示すように、素子基板2を真空蒸着装置50内に配置し、キャリア輸送性の有機化合物であるαNPDと、架橋性の有機化合物であるフェニルイソシアネートとを真空蒸着装置50内に配置する。配置が完了したら、真空蒸着装置50内を加熱して重量比で95:5程度の比率で同時に蒸着を行う(共蒸着)。共蒸着により、陽極21上に有機膜51が形成される。例えば図示しないマスクを用いることで、開口部26、28に選択的に有機膜51を形成することができる。
共蒸着後、図3に示すように、有機膜51を真空蒸着装置50内において150℃程度で30分程度加熱する。有機膜51に含まれる架橋性の有機化合物のフェニルイソシアネートが架橋反応を起こし、有機膜51が有機溶媒に対して不溶化する。このように不溶化処理された有機膜51が正孔輸送層23となる。この加熱処理は、真空蒸着装置50内以外でも、例えばグローブボックス内や大気中のホットプレート上で行っても良い。
不溶化処理の後、素子基板2を真空蒸着装置から取り出し、インクジェット法によって発光層23を形成する(第2有機層形成工程)。具体的には、図4に示すように、上述した発光材料を有機溶媒に溶解させた液状組成物52を開口部28内の正孔輸送層22上に形成する。不溶化処理を行うことにより正孔輸送層22が有機溶媒に対して不溶化されているので、正孔輸送層22が有機溶媒に溶け出すことは無い。この状態から、図5に示すように、液状組成物の有機溶媒を蒸発させて発光層23を形成する。
発光層23の形成後、Ca/Alの積層構造からなる陰極24をEL素子上に全面形成して有機EL層3を形成する。さらに、基板5に熱硬化樹脂又は紫外線硬化樹脂からなる接着剤を塗布し、接着剤上に当該有機EL層3を覆うように封止用基板4を重ねる。この接着剤を加熱又はこの接着剤に紫外線を照射して接着剤を硬化させて、有機EL装置1が完成する。
このように、本実施形態によれば、基板5上に蒸着法によって有機膜51を形成し当該有機膜51を有機溶媒に溶解しないように変質させて正孔注入層22を形成し、この正孔注入層22上に当該有機溶媒を用いたインクジェット法によって発光層23を形成するので、発光層23の形成時に正孔輸送層22が有機溶媒に溶解するのを回避することができる。これにより、正孔輸送層22の構成材料として有機溶媒に溶解しない材料の他に有機溶媒に溶解する材料をも用いることができ、材料の選択の幅が広くなる。
本実施形態では、キャリア輸送性の有機化合物であるαNPDと、架橋性の有機化合物であるフェニルイソシアネートとを共蒸着して正孔輸送層22を形成し、変質工程で正孔輸送層22に含まれるフェニルイソシアネートを熱処理によって架橋させることとした。このように、キャリア輸送性の有機化合物と架橋性有機の化合物とが別の材料であり、これらを混合させて同時に蒸着して有機膜51を形成した場合であっても、その後有機膜51に熱処理を施すことによって有機膜51内に架橋反応を発生させることができる(蒸着重合)。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態においては、有機EL装置について説明したが、これに限られることは無く、例えば有機トランジスタにおいても本発明の適用は可能である。
また、上記実施形態では、ボトムエミッション型の有機EL装置を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、発光層からの光が基板と反対側に射出されるトップエミッション型の有機EL装置であっても、本発明の適用は勿論可能である。さらに、有機EL装置や有機トランジスタだけではなく、有機半導体層を有する太陽電池などのデバイスにも本発明の適用は可能である。
また、上記実施形態で述べた方法のほかに、シロキサン骨格や二重結合基、エポキシ基、環状エーテル基を付与した芳香族第三級アミン化合物を真空蒸着法等の気相法によって素子基板2上に形成し、紫外線照射、電子ビーム照射、プラズマ照射又は熱処理により架橋不溶化させることも可能である。
本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の全体構成を示す断面図。 本実施形態に係る有機EL装置の製造過程を示す工程図。 同、工程図。 同、工程図。 同、工程図。
符号の説明
1…有機EL装置 2…素子基板 3…有機EL層 21…陽極 22…正孔輸送層 23…発光層 24…陰極 25…隔壁 26…開口部 27…絶縁層 28…開口部 51…有機膜

Claims (8)

  1. 基板上に複数の有機半導体層が積層されてなる有機半導体装置の製造方法であって、
    前記基板上に気相法によって有機半導体膜を形成し、前記有機半導体膜を所定の溶媒に溶解しないように変質させて第1有機半導体層を形成する第1有機半導体層形成工程と、
    前記第1有機半導体層上に前記所定の溶媒を用いた液相法によって第2有機半導体層を形成する第2有機半導体層形成工程と
    を具備することを特徴とする有機半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の有機半導体装置の製造方法によって製造されたことを特徴とする有機半導体装置。
  3. 少なくとも正孔輸送性を有する第1有機層と発光性を有する第2有機層とを含んだ複数の有機層と、前記複数の有機層を挟持する陰極及び陽極とを基板上に備えた有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法であって、
    前記基板上に気相法によって有機膜を形成し、前記有機膜を所定の溶媒に溶解しないように変質させて前記第1有機層を形成する第1有機層形成工程と、
    前記第1有機層上に前記所定の溶媒を用いた液相法によって前記第2有機層を形成する第2有機層形成工程と
    を具備することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
  4. 前記第1有機層形成工程では、
    キャリア輸送性を有すると共にシロキサン骨格を有する架橋性有機化合物を前記基板上に蒸着して前記有機膜を形成し、
    前記有機膜に含まれる前記架橋性有機化合物を熱処理によって架橋させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
  5. 前記第1有機層形成工程では、
    キャリア輸送性有機化合物と、シロキサンからなる架橋性有機化合物とを前記基板上に同時に蒸着して前記有機膜を形成し、
    前記有機膜に含まれる前記架橋性有機化合物を熱処理によって架橋させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
  6. 前記第1有機層形成工程では、
    トリフェニルアミン誘導体及びポリチオフェン誘導体のうち少なくとも一方を含んだキャリア輸送性有機化合物と、シランカップリング化合物を含む架橋性有機化合物とを前記基板上に同時に蒸着して前記有機膜を形成し、
    前記有機膜に含まれる前記架橋性有機化合物を熱処理によって架橋させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
  7. 前記第1有機層形成工程では、
    キャリア輸送性有機化合物と、二重結合基、エポキシ基及び環状エーテル基のうち少なくとも1種類を含む架橋性有機化合物とを前記基板上に同時に蒸着して前記有機膜を形成し、
    前記有機膜に含まれる前記架橋性有機化合物を熱処理する、前記架橋性有機化合物に紫外線を照射する、前記架橋性有機化合物に電子ビームを照射する又は前記架橋性有機化合物にプラズマを照射することによって架橋させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法。
  8. 請求項3乃至請求項7のうちいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法によって製造されたことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス装置。
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