JP2008014601A - 排ガス冷却設備およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 壁面冷却能力に優れ、壁面への塩類の付着成長、水分の付着とそれに伴う腐食を防止でき、かつ入口側の排ガスの性状や温度、流量の変動の影響を受けにくい排ガス冷却設備およびその制御方法を提供する。
【解決手段】 高温の排ガスの排ガスの排出経路(2)に減温塔(1)を備え、前記減温塔の上部(11)から導入された排ガス(c)を冷却して下部(13)から下流側に送出する排ガス冷却設備において、前記減温塔の上部(11)には水噴霧ノズル(18)を設け、前記水噴霧ノズルより下方の周壁(10)には、略接線方向に空気を吹込み前記周壁に沿って上昇または下降する旋回気流(a,b)を生じさせる空気吹込みノズル(17)を設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、灰溶融炉等で発生する高温の排ガスを冷却する排ガス冷却設備及びその制御方法に関する。
従来から、下水汚泥、都市ごみ及び産業廃棄物等の焼却灰は、その資源化、減容化及び無害化を図るために、灰溶融炉で溶融されスラグとして取り出され、種々の利用に供されている。例えば、図8に示すようなプラズマアーク式灰溶融炉51では、前処理を経て灰供給ホッパ53から炉本体52内に投入された焼却灰を、プラズマ電極54の高温プラズマで溶融して溶融スラグ55を生成し、この溶融スラグ55は、出滓口56から出滓樋57を通って排出され、排出コンベヤ58などを経てスラグ排出系に導かれる。
一方、灰溶融炉51の炉本体52内で発生した排ガス59は、排ガスダクト60を通じて二次燃焼室61に導かれ、二次燃焼室61で排ガス中の可燃成分を燃焼した後、減温塔62に導入され、所定の温度まで冷却された状態でバグフィルタ63、洗煙塔64を経て浄化され煙突65から大気中に放出される。
ところで、前記焼却灰中には塩類が多く含まれているため、二次燃焼室61から減温塔62に導入される排ガスには、塩類の濃度の高いダストが含まれている。二次燃焼室61の温度は、ダイオキシン分解と耐火物保護のために800〜1200℃に維持されているので、前記ダストに含まれる塩類は溶融し揮散しているが、減温塔62では排ガスを150〜200℃程度まで冷却するので、減温塔62の壁面温度が300〜800℃の範囲では、排ガス中の塩類が壁面に付着成長したり、閉塞させたりすることがある。
そこで、上記の壁面温度域が少なくなるようにするためには、冷却水と冷却空気とを併用して排ガスの冷却を行ない、減温塔62の冷却効果を高めることが有利である(特許文献1、2参照)。しかし、冷却水の気化が不充分であったり水滴が粗大化したりして減温塔62の内壁面に水粒子が衝突すると、減温塔62のハウジングが腐食する問題がある。
さらに、灰溶融炉51で多場所から収集された灰を溶融する場合など入口灰性状の変化や、灰溶融炉51からの溶融スラグ55の排出状態の変化に伴い、二次燃焼室61の排ガス温度やガス流量が変化するので、このような入口変動の影響を受けないロバストな運転方法が求められている。しかし、二次燃焼室61や減温塔62の内部は高温であり、排ガス温度やガス流量を入口側で正確に検知することは困難であるうえ、冷却水と冷却空気とは相互に冷却特性が異なるため、制御の如何によってはハンチングなどの問題を生じる虞もあった。
特開2002−58948号公報 特許第3643775号公報
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、冷却水と冷却空気とを併用し冷却能力に優れ、壁面温度が低く維持されることで壁面への塩類の付着成長を抑制できるとともに、水粒子の壁面への付着とそれに伴う腐食を防止することができ、しかも、入口側での排ガスの性状や温度、流量の変動の影響を受けにくい排ガス冷却設備およびその制御方法を提供することにある。
上記従来技術の有する課題を解決するため、本発明は、高温の排ガスの排出経路に減温塔を備え、前記減温塔の上部から導入された排ガスを冷却して下部から下流側に送出する排ガス冷却設備において、前記減温塔の上部に水噴霧ノズルを設け、前記水噴霧ノズルより下方の周壁には、前記減温塔内に略接線方向に空気を吹込み前記周壁に沿った旋回気流を生じさせる空気吹込みノズルを設けたことを特徴とする。
本発明の好適な態様において、前記水噴霧ノズルは、前記減温塔の略中央下方に向けて配向されている。また、前記水噴霧ノズルは、前記減温塔の周壁に周方向に離間して複数設けられている。また、前記空気吹込みノズルは、前記減温塔の上方に向けて斜めに配向されている。さらに、前記空気吹込みノズルは、前記減温塔の周方向に等間隔で複数設けられている。
また本発明は、前記減温塔の出口温度に応じて前記空気吹込みノズルの空気量と前記水噴霧ノズルの水量を調節し、前記減温塔の出口温度を一定に保持する制御方法であって、
前記空気吹込みノズルの空気量が上限値に達するまでは、前記水噴霧ノズルからの水噴霧は行なわずに吹込み空気量のみを増減し、前記空気吹込みノズルの空気量が上限値に達した場合には、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を、水粒子を適正に生成できる下限値の水量において開始し、該水量を下限値と上限値の間で増減する制御方法を採用した。
前記制御方法において、前記空気吹込みノズルの空気量が上限値に達し、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を開始した後に、吹込み空気量を一旦減少させ、吹込み空気量が再度上限値に達するまでは、前記水噴霧ノズルの水量を下限値に維持し、前記空気吹込みノズルの空気量が再度上限値に達した場合には、前記水噴霧ノズルの水量を下限値と上限値の間で増減することが好適である。
また、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を開始した後に、前記空気吹込みノズルの空気量が上限値を下回った場合には、吹込み空気量が上限値に満たない閾値以下となるまでは、前記水噴霧ノズルの水量を下限値に維持し、吹込み空気量が閾値以下となった場合に、水噴霧を停止することが好適である。
さらに、前記空気吹込みノズルの空気量が閾値以下となって、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を停止した後に、吹込み空気量を一旦増加させることが好適である。
本発明は、高温の排ガスの排出経路に減温塔を備え、前記減温塔の上部から導入された排ガスを冷却して下部から下流側に送出する排ガス冷却設備において、前記減温塔の上部に水噴霧ノズルを設け、前記水噴霧ノズルより下方の周壁には、前記減温塔内に略接線方向に空気を吹込み前記周壁に沿った旋回気流を生じさせる空気吹込みノズルを設けたので、前記旋回気流が減温塔の周壁に沿って上下に拡散し、螺旋状に旋回しながら上昇する気流と下降する気流とを生じ、前記上昇気流によって減温塔の壁面温度が低く抑えられ、壁面への塩類の付着成長が抑制される。
また、主排ガス流および前記下降気流による誘引と前記周壁に沿った空気の吹込みによって減温塔の中心部の圧力が相対的に低くなり、減温塔に上部から導入された高温の排ガスが主に減温塔の中心部を流下し、それに伴い減温塔の上部に噴霧された水粒子が減温塔の中心部に誘導され、減温塔の中心部で気化することによって、効率良く冷却がなされると共に、水粒子の壁面への付着とそれに伴うハウジングの腐食が防止される。さらに、冷却用空気が減温塔の壁面に沿った旋回気流を形成し壁面温度が低く抑えられることにより、入口側での排ガスの性状や温度、流量の変動に壁面温度が影響を受けにくく、これら入口変動が吸収されることで安定した冷却効果を得ることができる。
前記水噴霧ノズルが、前記減温塔の略中央下方に向けて配向されている態様では、水粒子が減温塔内の排ガスの流れに沿って高温の中心部に確実に誘導され、一層効率良く冷却がなされ、水粒子の壁面への付着とそれに伴うハウジングの腐食を防止することができる。また、前記水噴霧ノズルが、前記減温塔の周壁に周方向に離間して複数設けられている態様では、各水噴霧ノズルに水量が分散され、減温塔内に最適な分布で水噴霧が行える。
また、前記空気吹込みノズルが、前記減温塔の上方に向けて斜めに配向されている態様では、排ガスの流れに逆向する前記旋回上昇気流を、より上方まで遡上させることができ、減温塔内の広範囲に亘って壁面冷却効果を得ることができる。さらに、前記空気吹込みノズルが、前記減温塔の周方向に等間隔で複数設けられている態様では、複数の空気吹込みノズルに空気量が分散され、減温塔の壁面に沿って周方向に均等な旋回気流を形成でき、周方向に均等な壁面冷却効果を得ることができる。
そして、前記減温塔の出口温度に応じて前記空気吹込みノズルの空気量と前記水噴霧ノズルの水量を調節し、前記減温塔の出口温度を一定に保持する制御方法であって、
前記空気吹込みノズルの空気量が上限値に達するまでは、前記水噴霧ノズルからの水噴霧は行なわずに吹込み空気量のみを増減し、前記空気吹込みノズルの空気量が上限値に達した場合には、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を、水粒子を適正に生成できる下限値の水量において開始し、該水量を下限値と上限値の間で増減する制御方法を採用したので、極力空気で冷却がなされ、ランニングコストを低く抑えることができるとともに、冷却水の使用が必要最小限となり、排ガス中の水分が必要最小限となるため、水粒子の壁面への付着とそれに伴うハウジングの腐食をさらに防止することができる。また、水噴霧ノズルからの水噴霧を、水粒子を適正に生成できる下限値以上で行なうことにより、水滴の粗大化による壁面への水分の付着を防止できる。
前記制御方法において、前記空気吹込みノズルの空気量が上限値に達し、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を開始した後に、吹込み空気量を一旦減少させ、吹込み空気量が再度上限値に達するまでは、前記水噴霧ノズルの水量を下限値に維持し、前記空気吹込みノズルの空気量が再度上限値に達した場合には、前記水噴霧ノズルの水量を下限値と上限値の間で増減する制御を行なうことにより、水噴霧開始時における冷却能力の急激な増加とそれに伴う出口温度の変動を抑制し、冷却効率の連続性を維持できる。
また、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を開始した後に、前記空気吹込みノズルの空気量が上限値を下回った場合には、吹込み空気量が上限値に満たない閾値以下となるまでは、前記水噴霧ノズルの水量を下限値に維持し、吹込み空気量が閾値以下となった場合に、水噴霧を停止する制御を行なうことにより、水噴霧停止時におけるハンチングを防止でき、出口温度を即座に目標値に追従させることができる。
さらに、前記空気吹込みノズルの空気量が閾値以下となって、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を停止した後に、吹込み空気量を一旦増加させる制御を行なうことにより、水噴霧停止時における冷却能力の急激な減少とそれに伴う出口温度の変動を抑制し、冷却効率の連続性を維持できる。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係わる減温塔1の概略を示す縦断面図であり、図2はそのA−A断面図、図3はB−B断面図である。図において減温塔1は、円筒状の本体部12の上側に、本体部12に向けて拡径した切頭円錐形状の上部11が接合され、上部11の上端部11aには、上流側の二次燃焼室(図示せず)に連通される排ガスダクト2が接続されている。また、本体部12の下側には、ホッパを構成する漏斗状の下部13が接合され、下部13の上端の一側は本体部12の側方に張出しており、この張出部分に斜上方に向けて出口ダクト14が接続され、該出口ダクト14には下流側のバグフィルタに連なる排ガスダクト(図示せず)が接続される。なお、下部13の下端はダスト排出部15であり、その内部には排出口16にダストを排出するスクリューコンベアが付設されている。
減温塔1の上部11および本体部12の内壁部10は耐火材で覆われている。減温塔1の上流側の排ガスダクト2は、二次燃焼室側から上方に向かう直線部20と、それに続く上り傾斜部21、下り傾斜部22、減温塔1に接続する直線部23で構成され、水平部分や緩傾斜部分を含まず内壁部にダストが滞留しないように構成されている。出口ダクト14とその下流側の排ガスダクトも同様である。
そして、減温塔1の本体部12の下端近傍には空気吹込みノズル17が設けられている。空気吹込みノズル17は、図2に示すように、本体部12の周方向に等間隔で6箇所設けられ、かつ、それぞれが本体部12の接線方向に空気を吹込み、本体部12の周壁面に沿った旋回気流を生じさせるように配向されている。即ち、空気吹込みノズル17は、そのノズル口径に対応した一定の幅を有して吹込まれた空気流が、その幅を維持して本体部12の周壁面に沿って旋回気流を形成したと仮定した場合の、前記旋回気流の中心円の接線上に空気吹込みノズル17の中心軸が配置されており、周壁面の接線方向に対しては適宜の傾斜角αをなして斜めに配向されている。各空気吹込みノズル17は、図示しない空気量調整弁(ダンパ)を介してブロワなどの空気供給源に接続されている。
さらに、減温塔1の上部11の周壁には、冷却水を噴霧する水噴霧ノズル18が設けられている。水噴霧ノズル18は、図3に示すように、上部11の周壁の片側に等間隔で4箇所設けられ、それぞれが減温塔1の中心部に向けて、減温塔1略中央下方に向けて配向されている。水噴霧ノズル18の上記配置は、排ガスダクト2を通じて図1中右側上方から流下する排ガス流に対向して冷却水を噴霧することを考慮したものであるが、水噴霧ノズル18の配置はこの限りではない。各水噴霧ノズル18は、図示しない水量調整弁を介して冷却水供給源に接続されている。
次に、上記実施形態に基づき減温塔1の基本的な冷却作用を説明する。
図1において、二次燃焼室側からの排ガス流cは、上端部11aから減温塔1上部11に導引され、後述する理由により減温塔1内の主に中心部を流下して本体部12から下部13に至り、出口ダクト14から下流側のバグフィルタに排出される。一方、空気吹込みノズル17から減温塔1内に吹込まれた冷却用の空気は、減温塔1の周壁面に沿った旋回気流を形成するが、加圧された空気流が減温塔1の周壁面に吹き当たることで周壁面に沿って上下に拡散され、図1および図4に模式的に示すように、減温塔1の周壁面に沿って螺旋状に旋回しながら上昇する上昇気流aと、旋回しながら下降する下降気流bとを生じ、これら上昇気流aと下降気流bとによって減温塔1の壁面が冷却され、壁面温度が低く抑えられる。
そして上昇気流aは、空気吹込みノズル17からの吹込み空気量(空気圧)に応じた到達度で上方に遡上しながら徐々に排ガス流cに合流し、排ガスの冷却がなされる。この際、減温塔1の周辺部への空気の吹込みにより減温塔1の中心部の圧力が相対的に低くなるため、排ガス流cは減温塔1の中心部に誘導され、主に中心部を流下する。これにより排ガス流cと減温塔内壁面との接触が抑制され、壁面温度の上昇が抑制される。即ち、空気吹込みノズル17からの旋回気流は、壁面に沿って吹込まれることによる直接的な壁面冷却効果と、高温の排ガス流と壁面との接触を抑制する間接的な壁面冷却効果との、複合的な壁面冷却効果を有している。
なお、図示例では空気吹込みノズル17の直ぐ下側に非回転体形状の下部13が配置され、かつ出口ダクト14が連通しているので、下降気流bは直ちに排ガス流cに合流するが、本体部12がさらに下方に延長されているか、本体部12の高さ方向の中間部に空気吹込みノズル17が設けられている場合には、下降気流bは壁面に沿って旋回しながら下降し、減温塔の下方の壁面が冷却される。また、図示例の空気吹込みノズル17は水平面内に配設され、減温塔1の軸方向に向かう方向成分はないが、空気吹込みノズル17を上方に向けて斜めに配向し、吹込み空気量が上昇気流aの形成により多く配分されるようにしても良い。
さらに、二次燃焼室側からの排ガス流cの熱量が上昇し、より強力な冷却が必要な場合には、減温塔1の上部11において水噴霧ノズル18から冷却水が噴霧され、空気吹込みノズル17から吹込まれる空気と併用して冷却が行なわれる。この冷却水は、減温塔1の中心部下方に向けて斜めに噴霧されるが、壁面に沿って遡上した上昇気流aとともに減温塔1の中心部に誘導され、排ガス流cと高温部において混合され、効率良く冷却がなされると共に、減温塔1の中心部で確実に気化され、冷却水の水粒子が壁面に衝突するのが防止される。
以上のような旋回気流の複合的な冷却作用と、併用される冷却水の冷却作用により、減温塔1の壁面温度が低く抑えられ、排ガス流cの冷却が減温塔1の中心部で進行することにより、壁面に300〜800℃の温度域が生じにくく、排ガス中の塩類の壁面への付着およびその成長が防止されるとともに、壁面への水分の付着とそれに伴うハウジングの腐食が防止される。また、入口側での排ガスの性状や温度、流量の変動に壁面温度が影響を受けにくく、これら入口変動が吸収されることで安定した冷却効果を得ることができる。
次に、上記実施形態に基づき減温塔1の運転方法ついて説明する。
水噴霧ノズル18の水量には、水粒子を適正に生成するための下限値が存在する。また、減温塔1の下流側に設けた排ガス誘引ファン(図示せず)の容量にも限界があるため、吹込み空気量には上限値が存在する。さらに、ランニングコストや壁面への水分付着を防止する点では、冷却水の使用を控えることが有利である。これらを勘案すると、減温塔1の具体的な運転方法は以下のようになる。
基本的には、減温塔1の出口ダクト14に設けたセンサ19(熱電対など)の計測値から排ガス熱量Hの変動を判断し、それに基づいて、空気吹込みノズル17の空気量(空気量調整弁の開度)と水噴霧ノズル18の水量(水量調整弁の開度)を制御し、出口温度を一定に保持する。
その際、
(1)空気吹込みノズル17の空気量が上限値Qaに達するまでは、水噴霧ノズル18からの水噴霧は行なわず、排ガス熱量Hに応じて吹込み空気量のみを増減する。
(2)空気吹込みノズル17の空気量が上限値Qaに達した場合には、水噴霧ノズル18から下限値の水量Qwにおいて水噴霧を開始する。
上記運転方法に基づく排ガス熱量Hと空気吹込みノズル17の空気量、水噴霧ノズル18の水量の関係を図5に示す。図において、H1−H2間の破線は理想的な直線を表している。理想的には空気吹込みノズル17の空気量が上限値Qaに達した場合に、上限値Qaを保持することが好ましいが、水噴霧ノズル18から下限値の水量Qwで水噴霧を開始すると、冷却能力が急激に増加し、出口温度が不必要に降下する虞がある。
そこで、
(3)上記水噴霧開始時に、空気量を一旦減少させ、再度空気量が上限値Qaに達するまでは、水量を下限値Qwに保持し、空気量を増加させることで旋回気流による壁面冷却効果をできるだけ引き出し、再度空気量が上限値Qaに達した場合には、水噴霧ノズル18の水量を下限値Qwと上限値Qaの間で増減する。
一方、排ガス熱量Hが減少し水噴霧ノズル18からの水噴霧を停止する際に、下限値の水量Qwから直ちに水量調整弁を全閉にすると、冷却能力が急激に減少し、ハンチングを起こして出口温度が変動する虞がある。
そこで、
(4)水噴霧ノズル18からの水噴霧を開始した後に、排ガス熱量Hの減少により空気吹込みノズル17の吹込み空気量が上限値Qaを下回った場合には、空気量が閾値Qb以下となるまで水量を下限値Qwに維持し、空気量が閾値Qb以下となった場合に、水噴霧ノズル18からの水噴霧を停止する。
さらに、
(5)空気吹込みノズル17の空気量が閾値Qb以下となって、水噴霧を停止した際に、空気量を一旦増加させる。
以上のような吹込み空気量と水量の制御は、基本的には減温塔1の出口温度を一定に保持するPID制御により行う。すなわち、図6(a)に示すように、出口温度のPV値とSV値の偏差に比例した比例動作(P動作)、偏差の継続時間に比例した積分動作(I動作)、偏差の変化率に比例した微分動作(D動作)を組み合わせたPID制御の出力を開度指令とし、図6(b)のダイヤグラムに従って空気量調整弁(ダンパ)と水量調整弁の開度調整を行なう。上記(4)のハンチング防止を実現する制御ロジックとしては、以下のようなロジックを用いる。
即ち、空気量調整弁の開度が100%となった場合には、水量調整弁の下限値の開度qwに対応した開度指令T1を発し、水噴霧ノズル18からの冷却水噴霧を開始する。開度指令T1が出た後では、空気量調整弁の開度が上限値qa(100%)未満となっても、直ちに水量調整弁を全閉にせず、図7に示すロジックに従って下限値開度qwを保持し、空気量調整弁の開度が閾値qb(例えば90%、可変)以下になった場合に水量調整弁を全閉にする開度指令T2を発し、水噴霧ノズル18からの水噴霧を停止する。
このロジックにより減温塔1の出口温度が上昇して水噴霧ノズル18を開始した際に、一時的に冷却能力が上がり減温塔出口温度が低くなるが、上記(3)のようにPID制御で空気量を下げるため即時に温度が目標値に追従する。逆に、減温塔出口温度が低下して水噴霧ノズル18を停止した際には、一時的に冷却能力が下がり減温塔出口温度が高くなるが、上記(5)のようにPID制御で空気量を上げるため即時に温度が目標値に追従する。このように、水噴霧の開始/停止に伴う冷却能力の増減を空気量で補償する制御をPID制御(特にD動作)で賄うことにより、例えば水噴霧の開始/停止時期が排ガス熱量Hの変動と重なった場合には、結果的に空気量を増減しないで冷却能力を維持するような対応も可能となる。
なお、上記実施形態では空気吹込みノズル17を6箇所設ける場合を示したが、空気吹込みノズル17の数および配置はこれに限定されるものではない。但し、良好な旋回気流を形成するためには、周方向に等間隔で複数設けることが有利である。また、空気吹込みノズル17、水噴霧ノズル18をそれぞれに共通の調整弁により一斉に開度調節する場合、それぞれに個別に設けた調整弁により個別に開度調節する場合、それぞれ複数を組にして設けた調整弁により各組毎に開度調節する場合があり、さらに、個別あるいは組毎の開度調節には、一部の調整弁が全閉である場合が含まれ、下限値の開度には、1つの調整弁のみが下限値の開度で他が全閉である場合が含まれる。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
本発明の実施形態に係わる排ガス冷却設備の概略を示す縦断面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 本発明の実施形態に係わる減温塔内部の旋回気流および排ガス流を示す模式的な斜視図である。 本発明の実施形態に係わる排ガス冷却設備の制御方法を示すダイヤグラムである。 (a)は、開度指令の出力を示すブロック図、(b)は、空気量調整弁および水量調整弁の制御方法を示すダイヤグラムである。 水量調整弁の開閉ロジックを示すフローチャートである。 従来の灰溶融炉における排ガス処理設備を示す概略図である。
符号の説明
1 減温塔
2 排ガスダクト
11 上部
12 本体部
13 下部(ホッパ)
14 出口ダクト
17 空気吹込みノズル
18 水噴霧ノズル
19 センサ

Claims (9)

  1. 高温の排ガスの排出経路に減温塔を備え、前記減温塔の上部から導入された排ガスを冷却して下部から下流側に送出する排ガス冷却設備において、前記減温塔の上部に水噴霧ノズルを設け、前記水噴霧ノズルより下方の周壁には、前記減温塔内に略接線方向に空気を吹込み前記周壁に沿った旋回気流を生じさせる空気吹込みノズルを設けたことを特徴とする排ガス冷却設備。
  2. 前記水噴霧ノズルは、前記減温塔の略中央下方に向けて配向されていることを特徴とする請求項1記載の排ガス冷却設備。
  3. 前記水噴霧ノズルは、前記減温塔の周壁に周方向に離間して複数設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス冷却設備。
  4. 前記空気吹込みノズルは、前記減温塔の上方に向けて斜めに配向されていることを特徴とする請求項1記載の排ガス冷却設備。
  5. 前記空気吹込みノズルは、前記減温塔の周方向に等間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項1または4に記載の排ガス冷却設備。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載された排ガス冷却設備において、前記減温塔の出口温度に応じて前記空気吹込みノズルの空気量と前記水噴霧ノズルの水量を調節し、前記減温塔の出口温度を一定に保持する制御方法であって、
    前記空気吹込みノズルの空気量が上限値に達するまでは、前記水噴霧ノズルからの水噴霧は行なわずに吹込み空気量のみを増減し、前記空気吹込みノズルの空気量が上限値に達した場合には、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を、水粒子を適正に生成できる下限値の水量において開始し、該水量を下限値と上限値の間で増減することを特徴とする排ガス冷却設備の制御方法。
  7. 前記空気吹込みノズルの空気量が上限値に達し、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を開始した後に、吹込み空気量を一旦減少させ、吹込み空気量が再度上限値に達するまでは、前記水噴霧ノズルの水量を下限値に維持し、前記空気吹込みノズルの空気量が再度上限値に達した場合には、前記水噴霧ノズルの水量を下限値と上限値の間で増減することを特徴とする請求項6に記載の排ガス冷却設備の制御方法。
  8. 前記水噴霧ノズルからの水噴霧を開始した後に、前記空気吹込みノズルの空気量が上限値を下回った場合には、吹込み空気量が上限値に満たない閾値以下となるまでは、前記水噴霧ノズルの水量を下限値に維持し、吹込み空気量が閾値以下となった場合に、水噴霧を停止することを特徴とする請求項6に記載の排ガス冷却設備の制御方法。
  9. 前記空気吹込みノズルの空気量が閾値以下となって、前記水噴霧ノズルからの水噴霧を停止した後に、吹込み空気量を一旦増加させることを特徴とする請求項8に記載の排ガス冷却設備の制御方法。
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