JP2008013627A - 蛍光体の製造方法、蛍光体原料用合金粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】合金を原料として、不純物が少なく、輝度の高い蛍光体を工業的に有利に製造する。
【解決手段】下記(a)〜(d)の工程を有する蛍光体の製造方法。
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを溶融させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程、及び、
(d)該凝固させて得られた合金粉末を窒素含有雰囲気下で焼成する焼成工程
合金の粉砕工程における不純物の混入を防止して、輝度の高い蛍光体を、原料金属から蛍光体の製造までを一貫した工程として、工業的に有利に製造することができる。
【選択図】図3
【解決手段】下記(a)〜(d)の工程を有する蛍光体の製造方法。
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを溶融させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程、及び、
(d)該凝固させて得られた合金粉末を窒素含有雰囲気下で焼成する焼成工程
合金の粉砕工程における不純物の混入を防止して、輝度の高い蛍光体を、原料金属から蛍光体の製造までを一貫した工程として、工業的に有利に製造することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、蛍光体の製造方法と、蛍光体原料用合金粉末、及びその製造方法に関する。
蛍光体は、蛍光灯、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、可視光線、電子線などの高いエネルギーを有する励起源により励起されて、紫外線、可視光線、赤外線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に長時間曝されると、蛍光体の輝度が低下するという問題があった。
そこで、近年、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ホウ酸塩蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、三元系以上の窒化物について多くの新規物質が合成されている。特に最近、窒化珪素をベースとした多成分窒化物や酸窒化物において優れた特性を有する蛍光体が開発されている。
特許文献1には、一般式MxSiyNz:Eu[ここでMはCa,Sr,Baからなる群から選択される少なくとも一つのアルカリ土類金属元素であり、かつz=2/3x+4/3yである]で表される蛍光体が開示されている。これらの蛍光体は、アルカリ土類金属を窒化してアルカリ土類金属の窒化物を合成し、これに窒化珪素を加えて合成するか、又はアルカリ土類金属及び珪素のイミドを原料としてN2又はAr気流中で加熱することによって合成されている。いずれも空気や水分に敏感なアルカリ土類金属を原料として使用しなくてはならず、工業的な大量合成には問題があった。
また、特許文献2には、構造M16Si15O6N32のオキシニトリド、構造MSiAl2O3N2、M13Si18Al12O18N36、MSi5Al2ON9及びM3Si5AlON10のサイアロンから由来する酸窒化物蛍光体が開示されている。特に、MがSrの場合に、SrCO3とAlN、Si3N4とを1:2:1の割合で混合し、還元雰囲気中(N2/H2)で加熱し、SrSiAl2O3N2:Eu2+が得られたことが記載されている。
この場合、得られる蛍光体は、酸窒化物のみであり、酸素を含まない窒化物は得られていない。
この場合、得られる蛍光体は、酸窒化物のみであり、酸素を含まない窒化物は得られていない。
また、上記窒化物又は酸窒化物蛍光体は、使用される原料粉末の反応性がいずれも低いことから、焼成時に原料混合粉末の間の固相反応を促進する目的で高温において圧縮成形した状態、すなわち原料粉末間の接触面積を多くして加熱されるために、非常に硬い焼結体の状態で合成される。よって、この様にして得られた焼結体は蛍光体の使用目的に適した微粉末状態まで粉砕する必要がある。ところが、硬い焼結体からなる蛍光体を通常の機械的粉砕方法、例えばジョークラッシャーやボールミルなどを使用して長時間と多大なエネルギーをかけて粉砕すると、蛍光体の結晶母体中に多数の欠陥を発生させてしまい、蛍光体の発光強度を著しく低下させてしまうという不都合が生じていた。
このために、加熱時に圧縮成形せずに粉末状態で焼成する方法が試みられたが、低温では原料の窒化物粉末間での固相反応が促進せずに目的の蛍光体が生成しないため、1800℃以上の高温で蛍光体を合成する必要があった。ところが、この様な高温での焼成時には窒化物原料からの窒素の脱離を伴う分解反応が起こるという不都合が発生するために、それを抑制する目的で5気圧以上の窒素ガス雰囲気下で焼成する必要があり、高い焼成エネルギーが必要とされるだけでなく、非常に高価な高温高圧焼成炉が必要となり、蛍光体の製造コストを上昇させる原因となっていた。
また、酸素濃度の低い窒化物を合成する際には、アルカリ土類金属酸化物の原料粉末を使用する代わりに窒化カルシウム(Ca3N2)、窒化ストロンチウム(Sr3N2)などアルカリ土類金属窒化物を使用することが必要であるが、一般に2価の金属窒化物は水分含有雰囲気下で不安定であり、水分と反応して水酸化物を生成しやすく、特にSrの場合はこの傾向が著しい。このため、合成される蛍光体に含有される酸素濃度を低く抑えることが難しかった。
このようなことから、これらの金属窒化物を原料として使用しない新たな製造方法が求められていた。
近年、金属を出発原料とした窒化物蛍光体の製造方法に関し、特許文献3が報告された。特許文献3には窒化アルミニウム系蛍光体の製造方法の一例が開示され、原料として、遷移元素、希土類元素、アルミニウム及びその合金が使用できる旨が記載されている。しかし、実際に合金を原料として用いた実施例は記載されておらず、Al源としてAl金属を用いることを特徴としている。また、原料に着火し、瞬時に高温(3000K)まで上昇させる燃焼合成法を用いる点で、本発明と大きく異なり、この方法で高特性の蛍光体を得ることは困難であると推測される。すなわち、瞬時に3000Kという高温まで昇温させる方法では付活元素を均一に分布させることは出来ず、特性の高い蛍光体を得ることは困難である。また、合金原料から得られるアルカリ土類元素を含む窒化物蛍光体、更に珪素を含む窒化物蛍光体に関する記載は無い。
特表2003−515665号公報
特開2003−206481号公報
特開2005−54182号公報
原料の少なくとも一部として、合金を用いて蛍光体を製造する場合、該合金を、例えば窒素含有雰囲気下で加熱して窒化処理を行うことになる。この窒化工程において、窒化反応を円滑に進行させるためには、該合金を特定の粒径範囲の合金粉末としてから加熱する必要がある。
合金粉末を得るには、通常、機械的に合金塊を粉砕する方法が採用されるが、この場合、粉砕装置から不純物が混入し、この結果、この不純物を含む合金粉末を原料として得られる蛍光体の輝度は低いものとなる。また、通常、合金粉末の流動性が低いため、取り扱い性が悪いという問題点もある。
合金粉末を得るには、通常、機械的に合金塊を粉砕する方法が採用されるが、この場合、粉砕装置から不純物が混入し、この結果、この不純物を含む合金粉末を原料として得られる蛍光体の輝度は低いものとなる。また、通常、合金粉末の流動性が低いため、取り扱い性が悪いという問題点もある。
本発明は、合金を原料として、不純物が少なく、輝度の高い蛍光体を工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、高純度で流動性に優れた蛍光体原料用合金粉末を提供することを目的とする。
本発明はまた、高純度で流動性に優れた蛍光体原料用合金粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは、合金を原料として蛍光体を製造するに当たり、該合金を粉末化する方法について検討した結果、該合金を不活性ガス中で微細化して凝固させるという方法を採用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 合金を原料とする蛍光体の製造方法であって、
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを溶融させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程、及び、
(d)該凝固させて得られた合金粉末を窒素含有雰囲気下で焼成する焼成工程
を有することを特徴とする蛍光体の製造方法。
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを溶融させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程、及び、
(d)該凝固させて得られた合金粉末を窒素含有雰囲気下で焼成する焼成工程
を有することを特徴とする蛍光体の製造方法。
[2] [1]に記載の蛍光体の製造方法であって、前記微細化工程において、前記合金溶湯をアトマイズ法により微細化することを特徴とする蛍光体の製造方法。
[3] [2]に記載の蛍光体の製造方法であって、前記微細化工程において、前記合金溶湯に粉砕ガスを吹き付けるガスアトマイズ法により前記合金溶湯を微細化することを特徴とする蛍光体の製造方法。
[4] [3]に記載の蛍光体の製造方法であって、前記粉砕ガスが窒素含有ガスであることを特徴とする蛍光体の製造方法。
[5] [1]ないし[4]のいずれかに記載の蛍光体の製造方法であって、前記凝固工程において、前記微細化した合金溶湯を窒素含有雰囲気中で凝固させることを特徴とする蛍光体の製造方法。
[6] 蛍光体原料用合金粉末の製造方法であって、
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを融解させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、及び、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程
を有することを特徴とする蛍光体原料用合金粉末の製造方法。
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを融解させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、及び、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程
を有することを特徴とする蛍光体原料用合金粉末の製造方法。
[7] 蛍光体原料用としての合金粉末であって、該合金粉末が少なくとも1種の金属元素と、少なくとも1種の付活元素M1とを含有し、該合金粉末の安息角が45度以下であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[8] [7]に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、タップ密度が1.9g/ml以上であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[9] [7]又は[8]に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、炭素含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[10] [7]ないし[9]のいずれかに記載の蛍光体原料用合金粉末であって、少なくともSiを含む4価の金属元素M4と、Si以外の金属元素の1種類以上とを含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[11] [10]に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、付活元素M1、2価の金属元素M2、及び少なくともSiを含む4価の金属元素M4を含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[12] [11]に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[13] [11]又は[12]に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、更に3価の金属元素M3を含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[14] [7]ないし[13]のいずれかに記載の蛍光体原料用合金粉末であって、付活元素M1がCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[15] [13]又は[14]に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、2価の金属元素M2がMg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、3価の金属元素M3がAl、Ga、In、及びScからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、少なくともSiを含む4価の金属元素M4がSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[16] [15]に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、2価の金属元素M2の50モル%以上がCa及び/又はSrであり、3価の金属元素M3の50モル%以上がAlであり、少なくともSiを含む4価の金属元素M4の50モル%以上がSiであることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
[17] [15]又は[16]に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、付活元素M1としてEuを、2価の金属元素M2としてCa及び/又はSrを、3価の金属元素M3としてAlを、少なくともSiを含む4価の金属元素M4としてSiを含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
本発明の蛍光体の製造方法によれば、合金を原料とする蛍光体の製造において、合金の粉砕工程における不純物の混入を防止して、輝度の高い蛍光体を、原料金属から蛍光体の製造までを一貫した工程として、工業的に有利に製造することができる。
また、本発明によれば、炭素等の不純物含有量が非常に少なく、流動性に優れ、高輝度の蛍光体を効率的に製造し得る蛍光体原料用合金粉末を提供することができる。
また、本発明によれば、炭素等の不純物含有量が非常に少なく、流動性に優れ、高輝度の蛍光体を効率的に製造し得る蛍光体原料用合金粉末を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、合金粉末とは、合金粒子の集合体を指す。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、合金粉末とは、合金粒子の集合体を指す。
[蛍光体原料用合金粉末]
〈合金組成〉
本発明の蛍光体原料用合金粉末の好適な合金組成は、少なくとも1種の金属元素と、少なくとも1種の付活元素M1とを含むものである。ここで、付活元素M1とは、蛍光体としての機能を発現させるために、或いはその発現性向上のために必要とされる元素であり、蛍光体の母体結晶中に微量配合させるものである。
〈合金組成〉
本発明の蛍光体原料用合金粉末の好適な合金組成は、少なくとも1種の金属元素と、少なくとも1種の付活元素M1とを含むものである。ここで、付活元素M1とは、蛍光体としての機能を発現させるために、或いはその発現性向上のために必要とされる元素であり、蛍光体の母体結晶中に微量配合させるものである。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の合金組成は、好ましくは少なくともSiを含む4価の金属元素M4とSi以外の金属元素の1種類以上とを含む合金であって、より好ましくは、付活元素M1、2価の金属元素M2、少なくともSiを含む4価の金属元素M4を含むものである。ここで、2価の金属元素M2としてはアルカリ土類金属元素を含むものが好ましく、このような合金組成であれば、Siとアルカリ土類金属元素とを含む(Sr,Ca)2Si5N8:Eu,Ce、CaAlSiN3:Eu,Ce等の工業的に有用な黄色乃至橙色、もしくは橙色乃至赤色発光蛍光体を製造するための原料として有用である。
本発明に係る合金は、特に、付活元素M1、2価の金属元素M2、3価の金属元素M3、及び少なくともSiを含む4価の金属元素M4を含み、下記一般式[1]で表されることが好ましく、このような蛍光体原料用合金粉末は、下記一般式[2]で表される窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体の製造に好適である。
M1 aM2 bM3 cM4 d [1]
M1 aM2 bM3 cM4 dNeOf [2]
(但し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
a+b=1
0.5≦c≦1.5
0.5≦d≦1.5
2.5≦e≦3.5
0≦f≦0.5 )
M1 aM2 bM3 cM4 d [1]
M1 aM2 bM3 cM4 dNeOf [2]
(但し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
a+b=1
0.5≦c≦1.5
0.5≦d≦1.5
2.5≦e≦3.5
0≦f≦0.5 )
付活元素M1としては、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体を構成する結晶母体に含有可能な各種の発光イオンを使用することができるが、Cr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbよりなる群から選ばれる1種以上の元素を使用すると、発光特性の高い蛍光体を製造することが可能なので好ましい。また、付活元素M1としては、Mn、Ce、Pr及びEuの1種又は2種以上を含むことが好ましく、特にCe及び/又はEuを含むことが高輝度の赤色発光を示す蛍光体を得ることができるので更に好ましい。また、輝度を上げることや蓄光性を付与するなど様々な機能を持たせるために、付活元素M1としてはCe及び/又はEu以外に共付活元素を1種又は複数種含有させても良い。
付活元素M1以外の元素としては、各種の2価、3価、4価の金属元素が使用可能であるが、2価の金属元素M2がMg、Ca、Sr、Ba、及びZnよりなる群から選ばれる1種以上の元素、3価の金属元素M3がAl、Ga、In、及びScよりなる群から選ばれる1種以上の元素、4価の金属元素M4がSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfよりなる群から選ばれる1種以上の元素であることが、発光特性の高い蛍光体を得ることができるので好ましい。
また、2価の金属元素M2の50モル%以上がCa及び/又はSrとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、M2の80モル%以上をCa及び/又はSrとするのがより好ましく、90モル%以上をCa及び/又はSrとするのが更に好ましく、M2の全てをCa及び/又はSrとするのが最も好ましい。
また、3価の金属元素M3の50モル%以上がAlとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、M3の80モル%以上をAlとするのが好ましく、90モル%以上をAlとするのがより好ましく、M3の全てをAlとするのが最も好ましい。
また、少なくともSiを含む4価の金属元素M4の50モル%以上がSiとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、M4の80モル%以上をSiとするのが好ましく、90モル%以上をSiとするのがより好ましく、M4の全てをSiとするのが好ましい。
特に、M2の50モル%以上がCa及び/又はSrであり、かつ、M3の50モル%以上がAlであり、かつ、M4の50モル%以上がSiとなるようにすることにより、発光特性が特に高い蛍光体が製造できるので好ましい。
また、前記一般式[1],[2]におけるa〜fの数値範囲の好適理由は次の通りである。
aが0.00001より小さいと十分な発光強度が得られない傾向にあり、aが0.15より大きいと濃度消光が大きくなって発光強度が低くなる傾向にある。従って、aは0.00001≦a≦0.15の範囲となるように原料を混合する。同様の理由で、0.0001≦a≦0.1が好ましく、0.001≦a≦0.05がより好ましく、0.002≦a≦0.04がさらに好ましく、0.004≦a≦0.02とするのが最も好ましい。
aとbの合計は、蛍光体の結晶母体中において付活元素M1が金属元素M2の原子位置を置換するので、1となるように原料混合組成を調整する。
cが0.5より小さい場合も、cが1.5より大きい場合も、製造時に異相が生じ、前記蛍光体の収率が低くなる傾向にある。従って、cは0.5≦c≦1.5の範囲となるように原料を混合する。発光強度の観点からも0.5≦c≦1.5が好ましく、0.6≦c≦1.4がより好ましく、0.8≦c≦1.2が最も好ましい。
dが0.5より小さい場合も、dが1.5より大きい場合も、製造時に異相が生じ、前記蛍光体の収率が低くなる傾向にある。従って、dは0.5≦d≦1.5の範囲となるように原料を混合する。また、発光強度の観点からも0.5≦d≦1.5が好ましく、0.6≦d≦1.4がより好ましく、0.8≦d≦1.2が最も好ましい。
eは窒素の含有量を示す係数であり、
となる。この式に0.5≦c≦1.5,0.5≦d≦1.5を代入すれば、eの範囲は
1.84≦e≦4.17
となる。しかしながら、前記一般式[2]で表される蛍光体組成において、窒素の含有量を示すeが2.5未満であると蛍光体の収率が低下する傾向にある。また、eが3.5を超えても蛍光体の収率が低下する傾向にある。従って、eは通常2.5≦e≦3.5である。
1.84≦e≦4.17
となる。しかしながら、前記一般式[2]で表される蛍光体組成において、窒素の含有量を示すeが2.5未満であると蛍光体の収率が低下する傾向にある。また、eが3.5を超えても蛍光体の収率が低下する傾向にある。従って、eは通常2.5≦e≦3.5である。
前記一般式[2]で表される蛍光体中の酸素は、原料金属中の不純物として混入する場合、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に導入される場合などが考えられる。酸素の割合であるfは蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で0≦f≦0.5が好ましい。
合金の組成の具体例としては、EuSrCaAlSi合金、EuSrAlSi合金、EuCaAlSi合金、EuSrMgAlSi合金、EuCaMgAlSi合金、EuCaSi合金、EuSrCaSi合金、EuSrSi合金等が挙げられ、より具体的にはEu0.008Sr0.792Ca0.2AlSi、Eu0.008Sr0.892Ca0.1AlSi、Eu0.008Sr0.692Ca0.3AlSi、Eu0.008Ca0.892Mg0.1AlSi等が挙げられる。
蛍光体の組成の具体例としては、(Sr,Ca,Mg)AlSiN3:Eu、(Sr,Ca,Mg)AlSiN3:Ce、(Sr,Ca)2Si5N8:Eu、(Sr,Ca)2Si5N8:Ce等が挙げられる。
ただし、本発明の蛍光体原料用合金粉末は、上述の窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体の原料に限らず、酸化物、硫化物、酸硫化物、炭化物等を母体とする蛍光体の原料にも用いることができる。
〈合金粉末の特性〉
(流動性)
流動性を示す指標として、安息角、崩潰角、差角がある。これらの測定は、Carrら、Chemical Engineering,Jan.18,(1965)166−167に記載される方法に従って行うことができ、例えば、パウダテスタPT−N型(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定することができる。
(流動性)
流動性を示す指標として、安息角、崩潰角、差角がある。これらの測定は、Carrら、Chemical Engineering,Jan.18,(1965)166−167に記載される方法に従って行うことができ、例えば、パウダテスタPT−N型(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定することができる。
安息角とは、粉粒体を漏斗等から静かに平面状に落下させ、円錐状に堆積させた時に、前記円錐の母線と水平面とのなす角をいう。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の安息角は、通常45度以下、好ましくは40度以下であり、より好ましくは35度以下であり、小さいほど好ましい。安息角が小さいほど流動性が高く、工業的に操作する場合、取り扱い性が良いからである。一方、安息角が大きすぎると、流動性が低く、輸送、運搬が困難となる傾向にある。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の安息角は、通常45度以下、好ましくは40度以下であり、より好ましくは35度以下であり、小さいほど好ましい。安息角が小さいほど流動性が高く、工業的に操作する場合、取り扱い性が良いからである。一方、安息角が大きすぎると、流動性が低く、輸送、運搬が困難となる傾向にある。
崩潰角とは、安息角を作っている粉粒体に一定の衝撃を与えて崩壊した後、残る山の角度をいう。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の崩潰角は、通常25度以下、好ましくは20度以下、より好ましくは15度以下であり、小さいほど好ましい。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の崩潰角は、通常25度以下、好ましくは20度以下、より好ましくは15度以下であり、小さいほど好ましい。
また、安息角から崩潰角をひいた角度を差角という。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の差角は20度以下が好ましい。差角が大きすぎると、フラッシング現象が起こりやすく、制御が困難になる傾向にあり、好ましくないからである。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の差角は20度以下が好ましい。差角が大きすぎると、フラッシング現象が起こりやすく、制御が困難になる傾向にあり、好ましくないからである。
安息角、崩潰角、差角が小さく、流動性が高い合金粉末を原料として使用すると、取り扱い性が向上し、輸送・運搬しやすくなるという効果が得られる。
(形状)
本発明の蛍光体原料用合金粉末の合金粒子の形状については、球状性を数量的に表す指標として平均円形度を用いることができる。
ここで、平均円形度は、以下の式で求められ、粒子の投影図において各粒径の真円との近似程度を表す。
円形度=粒子の投影面積に等しい真円の周囲長さ/粒子の投影図の周囲長さ
本発明の蛍光体原料用合金粉末の合金粒子の形状については、球状性を数量的に表す指標として平均円形度を用いることができる。
ここで、平均円形度は、以下の式で求められ、粒子の投影図において各粒径の真円との近似程度を表す。
円形度=粒子の投影面積に等しい真円の周囲長さ/粒子の投影図の周囲長さ
本発明の蛍光体原料用合金粉末の平均円形度は、通常0.7以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、1に近いほど好ましい。
また、本発明の合金粉末において、平均円形度が0.9以上である真球状の合金粒子の個数割合は、通常20%以上、好ましくは40%以上である。
また、本発明の合金粉末において、平均円形度が0.9以上である真球状の合金粒子の個数割合は、通常20%以上、好ましくは40%以上である。
(重量メジアン径D50)
本発明の蛍光体原料用合金粉末の重量メジアン径D50は、合金粉末を構成する金属元素の活性度により粒径を調整する必要があり、通常の場合、0.1μm以上、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上、また100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。また、Srを含有する場合は、雰囲気ガスとの反応性が高いため、合金粉末の重量メジアン径D50は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは13μm以上とすることが望ましい。
前述の重量メジアン径D50の範囲よりも小さいと、窒化等の反応時の発熱速度が大きくなり、反応の制御が困難となるおそれがある。一方で前述の重量メジアン径D50の範囲よりも大きいと、合金粒子内部での窒化等の反応が不十分となり、輝度が低下する場合がある。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の重量メジアン径D50は、合金粉末を構成する金属元素の活性度により粒径を調整する必要があり、通常の場合、0.1μm以上、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上、また100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。また、Srを含有する場合は、雰囲気ガスとの反応性が高いため、合金粉末の重量メジアン径D50は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは13μm以上とすることが望ましい。
前述の重量メジアン径D50の範囲よりも小さいと、窒化等の反応時の発熱速度が大きくなり、反応の制御が困難となるおそれがある。一方で前述の重量メジアン径D50の範囲よりも大きいと、合金粒子内部での窒化等の反応が不十分となり、輝度が低下する場合がある。
(タップ密度)
タップ密度とは、一定の振動(タッピング)を加えた場合の密度をいう。即ち、本明細書において、タップ密度とは、次のように測定して得た値である。
合金粉末約10gを容量10mlのガラス製メスシリンダーに入れて、高さ約1〜5cmの位置からテーブル上に50〜500回/分程度の間隔で、体積が変化しなくなるまで(通常200〜800回)手動でタッピングした後、合金粉末の体積(V)を測定する。総重量からメスシリンダーの風袋重量を差し引き、合金粉末の正味の重量(W)を測定し、下式[3]で計算した値をタップ密度と言う。
タップ密度(g/ml)=W(g)/V(ml) ・・・[3]
タップ密度とは、一定の振動(タッピング)を加えた場合の密度をいう。即ち、本明細書において、タップ密度とは、次のように測定して得た値である。
合金粉末約10gを容量10mlのガラス製メスシリンダーに入れて、高さ約1〜5cmの位置からテーブル上に50〜500回/分程度の間隔で、体積が変化しなくなるまで(通常200〜800回)手動でタッピングした後、合金粉末の体積(V)を測定する。総重量からメスシリンダーの風袋重量を差し引き、合金粉末の正味の重量(W)を測定し、下式[3]で計算した値をタップ密度と言う。
タップ密度(g/ml)=W(g)/V(ml) ・・・[3]
本発明の蛍光体原料用合金粉末のタップ密度は、通常1.9g/ml以上、好ましくは2g/ml以上、また通常4g/ml以下であり、好ましくは3g/ml以下である。タップ密度が低すぎると、蛍光体の製造において、反応容器に充填しにくく、生産性が低下する恐れがある。タップ密度が高過ぎると、焼成工程において合金粒子と窒素等の焼成雰囲気との接触効率が低下する場合がある。
(酸素及び炭素含有量)
本発明の蛍光体原料用合金粉末の酸素含有量は、通常2重量%以下であり、1重量%以下が好ましい。下限は通常0.05重量%以上であり、0.1重量%以上が好ましい。
本発明の合金粉末の炭素含有量は、0.2重量%以下であり、0.1重量%以下がさらに好ましい。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の酸素含有量は、通常2重量%以下であり、1重量%以下が好ましい。下限は通常0.05重量%以上であり、0.1重量%以上が好ましい。
本発明の合金粉末の炭素含有量は、0.2重量%以下であり、0.1重量%以下がさらに好ましい。
合金粉末の酸素及び炭素含有量がこの範囲を外れると、得られる蛍光体の発光特性が低下する傾向にあり、好ましくない。
本発明では、後述する方法で合金の粉末化を行っているため、ジェットミル等を用いて合金を機械的に粉砕する場合と比較して、不純物の混入が少なくなる。不純物が少ない合金粉末を原料として使用すると、得られる蛍光体の輝度が向上するという効果が得られる。
本発明では、後述する方法で合金の粉末化を行っているため、ジェットミル等を用いて合金を機械的に粉砕する場合と比較して、不純物の混入が少なくなる。不純物が少ない合金粉末を原料として使用すると、得られる蛍光体の輝度が向上するという効果が得られる。
また、合金の粉末化に、特に後述するガスアトマイズ法を用いると、均一に溶融された合金の湯を瞬間的に液滴化すると共に冷却することができるため、均一な微細組織を有する合金粉末が得られる。また、同じ溶湯から連続的に液滴をつくるため、粒子間の組成差が極めて小さい合金粉末を得ることができるという効果も得られる。しかも、流動性が高く、不純物の少ない合金粉末を得ることができる。
[蛍光体原料用合金粉末の製造方法]
上述した本発明の蛍光体原料用合金粉末の製造方法には特に制限はないが、例えば、本発明の蛍光体原料用合金粉末の製造方法に従って、次の(a)〜(c)の工程を経て製造することが好ましい。
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを溶融させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程
上述した本発明の蛍光体原料用合金粉末の製造方法には特に制限はないが、例えば、本発明の蛍光体原料用合金粉末の製造方法に従って、次の(a)〜(c)の工程を経て製造することが好ましい。
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを溶融させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程
<合金の製造>
まず、蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1を融解して、これらの元素を含有する合金の溶湯を得る方法について説明する。
なお、本発明においては、このようにして得られる合金溶湯をそのまま(b)微細化工程に供しても良く、この合金溶湯を一旦冷却して鋳造し、合金の鋳塊(インゴット)を得、これを再度融解して(b)微細化工程に供しても良い。
この合金を製造するには、例えば前記一般式[1]の組成となるように、原料となる金属やその合金を秤量し、これを融解させて合金化する。その際、例えばSiとアルカリ土類金属元素を含む合金を製造する場合であれば、高融点(高沸点)のSi金属及び/又はSiを含む合金を融解させた後、低融点(低沸点)のアルカリ土類金属を融解させることが好ましい。また、融解時に揮発やルツボ材質との反応等により損失する金属元素については、必要に応じて、予め過剰に秤量し添加してもよい。
まず、蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1を融解して、これらの元素を含有する合金の溶湯を得る方法について説明する。
なお、本発明においては、このようにして得られる合金溶湯をそのまま(b)微細化工程に供しても良く、この合金溶湯を一旦冷却して鋳造し、合金の鋳塊(インゴット)を得、これを再度融解して(b)微細化工程に供しても良い。
この合金を製造するには、例えば前記一般式[1]の組成となるように、原料となる金属やその合金を秤量し、これを融解させて合金化する。その際、例えばSiとアルカリ土類金属元素を含む合金を製造する場合であれば、高融点(高沸点)のSi金属及び/又はSiを含む合金を融解させた後、低融点(低沸点)のアルカリ土類金属を融解させることが好ましい。また、融解時に揮発やルツボ材質との反応等により損失する金属元素については、必要に応じて、予め過剰に秤量し添加してもよい。
(原料金属の純度)
合金の製造に使用する金属の純度は、合成される蛍光体の発光特性の点から、付活元素M1の金属原料としては不純物が0.1モル%以下、好ましくは0.01モル%以下まで精製された金属を使用することが好ましい。付活元素M1としてEuを使用する場合には、Eu原料としてEu金属を使用することが好ましい。付活元素M1以外の元素の原料としては、2価、3価、4価の各種金属等を使用するが、同様の理由から、いずれも含有される不純物濃度は0.1モル%以下が好ましく、0.01モル%以下の高純度の金属原料を使用することが発光特性の高い蛍光体を製造できる点で好ましい。
合金の製造に使用する金属の純度は、合成される蛍光体の発光特性の点から、付活元素M1の金属原料としては不純物が0.1モル%以下、好ましくは0.01モル%以下まで精製された金属を使用することが好ましい。付活元素M1としてEuを使用する場合には、Eu原料としてEu金属を使用することが好ましい。付活元素M1以外の元素の原料としては、2価、3価、4価の各種金属等を使用するが、同様の理由から、いずれも含有される不純物濃度は0.1モル%以下が好ましく、0.01モル%以下の高純度の金属原料を使用することが発光特性の高い蛍光体を製造できる点で好ましい。
(原料金属の形状)
原料金属の形状に制限は無いが、通常、直径数mmから数十mmの粒状又は塊状のものが用いられる。
2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を用いる場合、その原料としては、粒状、塊状など形状は問わないが、原料の化学的性質に応じて適切な形状を選択するのが好ましい。例えば、Caは粒状、塊状のいずれでも大気中で安定であり、使用可能であるが、Srは化学的により活性であるため、塊状の原料を用いることが好ましい。
原料金属の形状に制限は無いが、通常、直径数mmから数十mmの粒状又は塊状のものが用いられる。
2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を用いる場合、その原料としては、粒状、塊状など形状は問わないが、原料の化学的性質に応じて適切な形状を選択するのが好ましい。例えば、Caは粒状、塊状のいずれでも大気中で安定であり、使用可能であるが、Srは化学的により活性であるため、塊状の原料を用いることが好ましい。
(原料金属の融解)
原料金属の融解にあたっては、特に、Siと2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を含む蛍光体原料用合金を製造する場合、次の問題点がある。
原料金属の融解にあたっては、特に、Siと2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を含む蛍光体原料用合金を製造する場合、次の問題点がある。
Siの融点は1410℃であり、アルカリ土類金属の沸点と同程度である(例えば、Caの沸点は1494℃、Srの沸点は1350℃、Baの沸点は1537℃である)。特に、Srの沸点がSiの融点より低いため、SrとSiを同時に融解させることは極めて困難である。
そこで、本発明ではSi金属を先に融解させて好ましくは母合金を製造し、次いでアルカリ土類金属を融解することによって、この問題点を解決する。
さらに、このようにSi金属を融解後アルカリ土類金属の融解を行うことにより、得られる合金の純度が向上し、それを原料とする蛍光体の特性が著しく向上するという効果も奏される。
さらに、このようにSi金属を融解後アルカリ土類金属の融解を行うことにより、得られる合金の純度が向上し、それを原料とする蛍光体の特性が著しく向上するという効果も奏される。
本発明における原料金属の融解法については、特に制限はないが、通常、抵抗加熱法、電子ビーム法、アーク融解法、高周波誘導加熱法(以下、「高周波融解法」と称する場合がある。)等を用いることができる。中でも、アーク融解法、高周波融解法が好ましく、高周波融解法が特に好ましい。
以下、(1)アーク融解・電子ビーム融解の場合、(2)高周波融解の場合を例に更に詳しく説明する。
以下、(1)アーク融解・電子ビーム融解の場合、(2)高周波融解の場合を例に更に詳しく説明する。
(1)アーク融解・電子ビーム融解の場合
アーク融解・電子ビーム融解の場合は、以下の手順で融解を行う。
i)Si金属又はSiを含む合金を電子ビームあるいはアーク放電により融解し、
ii)次いで間接加熱によりアルカリ土類金属を融解し、Siとアルカリ土類金属を含む合金を得る。
ここで、Siを含む溶湯にアルカリ土類金属が溶け込んだ後、電子ビームあるいはアーク放電により加熱・攪拌して混合を促進しても良い。
アーク融解・電子ビーム融解の場合は、以下の手順で融解を行う。
i)Si金属又はSiを含む合金を電子ビームあるいはアーク放電により融解し、
ii)次いで間接加熱によりアルカリ土類金属を融解し、Siとアルカリ土類金属を含む合金を得る。
ここで、Siを含む溶湯にアルカリ土類金属が溶け込んだ後、電子ビームあるいはアーク放電により加熱・攪拌して混合を促進しても良い。
(2)高周波融解の場合
アルカリ土類金属元素を含む合金は酸素との反応性が高いため、大気中ではなく真空あるいは不活性ガス中で融解する必要がある。このような条件では通常、高周波融解が好ましい。しかしながら、Siは半導体であり、高周波を用いた誘導加熱による融解が困難である。例えば、アルミニウムの20℃における比抵抗率は2.8×10−8Ω・mであるのに対し、半導体用多結晶Siの比抵抗率は105Ω・m以上である。このように比抵抗率が大きいものを直接高周波融解することはできないため、一般に導電性のサセプタを用い、熱伝導や放射によりSiに熱移動を行って融解する。サセプタは、ディスク状、管状なども可能であるが坩堝を用いるのが好ましい。サセプタの材質は、黒鉛、モリブデン、炭化珪素などが一般に用いられるが、これらはアルカリ土類金属と反応しやすいという問題点がある。一方、アルカリ土類金属を融解可能な坩堝(アルミナ、カルシアなど)は絶縁体であり、サセプタとして使用することができない。従って、アルカリ土類金属と珪素を坩堝に仕込んで高周波融解するにあたり、公知の導電性の坩堝(黒鉛など)をサセプタとして使用して、間接的な加熱によりSi金属とアルカリ土類金属を同時に融解することは不可能である。そこで、次のような順序で融解することで、この問題点を解決する。
i)Si金属を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解する。
ii)次に、絶縁性の坩堝を使用して、アルカリ土類金属を融解することにより、Siとアルカリ土類金属元素を含む合金を得る。
アルカリ土類金属元素を含む合金は酸素との反応性が高いため、大気中ではなく真空あるいは不活性ガス中で融解する必要がある。このような条件では通常、高周波融解が好ましい。しかしながら、Siは半導体であり、高周波を用いた誘導加熱による融解が困難である。例えば、アルミニウムの20℃における比抵抗率は2.8×10−8Ω・mであるのに対し、半導体用多結晶Siの比抵抗率は105Ω・m以上である。このように比抵抗率が大きいものを直接高周波融解することはできないため、一般に導電性のサセプタを用い、熱伝導や放射によりSiに熱移動を行って融解する。サセプタは、ディスク状、管状なども可能であるが坩堝を用いるのが好ましい。サセプタの材質は、黒鉛、モリブデン、炭化珪素などが一般に用いられるが、これらはアルカリ土類金属と反応しやすいという問題点がある。一方、アルカリ土類金属を融解可能な坩堝(アルミナ、カルシアなど)は絶縁体であり、サセプタとして使用することができない。従って、アルカリ土類金属と珪素を坩堝に仕込んで高周波融解するにあたり、公知の導電性の坩堝(黒鉛など)をサセプタとして使用して、間接的な加熱によりSi金属とアルカリ土類金属を同時に融解することは不可能である。そこで、次のような順序で融解することで、この問題点を解決する。
i)Si金属を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解する。
ii)次に、絶縁性の坩堝を使用して、アルカリ土類金属を融解することにより、Siとアルカリ土類金属元素を含む合金を得る。
上記i)、ii)の工程の間でSi金属を冷却しても良いし、冷却せず連続してアルカリ土類金属を融解しても良い。連続して行う場合には導電性の容器にアルカリ土類金属の融解に適したカルシア、アルミナなどで被覆した坩堝を使用することもできる。
更に具体的な工程を記述すると、以下の通りである。
i)高周波融解にあたり、Si金属と金属M(例えばAl、Ga)を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解し、導電性の合金(母合金)を得る。
ii)次いで、アルカリ土類金属耐性坩堝を使用して、i)の母合金を融解させた後、アルカリ土類金属を融解させることにより、Siとアルカリ土類金属元素を含む合金を得る。
i)高周波融解にあたり、Si金属と金属M(例えばAl、Ga)を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解し、導電性の合金(母合金)を得る。
ii)次いで、アルカリ土類金属耐性坩堝を使用して、i)の母合金を融解させた後、アルカリ土類金属を融解させることにより、Siとアルカリ土類金属元素を含む合金を得る。
Si金属あるいはSiを含む母合金を先に融解させ、次いでアルカリ土類金属を融解させる具体的方法としては、例えば、Si金属あるいはSiを含む母合金を先に融解させ、そこにアルカリ土類金属を添加する方法等が挙げられる。
Siを2価の金属元素M2以外の金属Mと合金化して導電性を付与することもできる。この場合、得られる合金の融点がSiより低いことが好ましい。SiとAlの合金は、融点が1010℃付近と、アルカリ土類金属元素の沸点より融点が低くなるので特に好ましい。
Siと2価の金属元素M2以外の金属Mとの母合金を用いる場合、その組成には特に制限はないが、母合金が導電性を有していることが好ましく、通常、モル比でSi:M=1:0.01〜5の範囲として、アルカリ土類金属元素の沸点よりも融点の低い母合金を製造することが好ましい。
なお、Siを含む母合金に、さらにSi金属を加えることもできる。
Siと2価の金属元素M2以外の金属Mとの母合金を用いる場合、その組成には特に制限はないが、母合金が導電性を有していることが好ましく、通常、モル比でSi:M=1:0.01〜5の範囲として、アルカリ土類金属元素の沸点よりも融点の低い母合金を製造することが好ましい。
なお、Siを含む母合金に、さらにSi金属を加えることもできる。
本発明において、Si金属を融解させた後にアルカリ土類金属を融解させること以外に、他の原料金属の融解時期には特に制限はないが、通常、量が多いもの、もしくは、融点が高いものを先に融解させる。
付活元素M1を均一に分散させるため、また、付活元素M1の添加量は少量であるため、Si金属を融解させた後に付活元素M1を融解させることが好ましい。
付活元素M1を均一に分散させるため、また、付活元素M1の添加量は少量であるため、Si金属を融解させた後に付活元素M1を融解させることが好ましい。
前述の一般式[1]で表され、少なくともSiを含む4価の金属元素M4がSiであり、2価の金属元素M2として少なくともSrを含む蛍光体原料用合金を製造する場合、次のような手順で融解させることが好ましい。
(1) Siと3価の金属元素M3との母合金を製造する。この際、好ましくはSiとM3とは、一般式[1]におけるSi:M3比で合金化する。
(2) (1)の母合金を融解させた後、Srを融解させる。
(3) その後、Sr以外の2価の金属元素、付活元素M1を融解させる。
(1) Siと3価の金属元素M3との母合金を製造する。この際、好ましくはSiとM3とは、一般式[1]におけるSi:M3比で合金化する。
(2) (1)の母合金を融解させた後、Srを融解させる。
(3) その後、Sr以外の2価の金属元素、付活元素M1を融解させる。
このような原料金属の融解時の雰囲気は、不活性雰囲気が好ましく、中でもArが好ましい。
また、圧力は、通常、1×103Pa以上、1×105Pa以下が好ましく、安全性の面から、大気圧以下で行うことが望ましい。
(溶湯の鋳造)
前述の如く、原料金属の融解により製造された合金溶湯は、そのまま(b)微細化工程に供しても良いが、好ましくは原料金属の融解により製造された合金溶湯を金型に注入して成型する鋳造工程を経て、凝固体を得、これを(b)微細化工程に供する。ただし、この鋳造工程において溶融金属の冷却速度によって偏析が生じ、溶融状態で均一組成であったものが組成分布に偏りが生じることもある。従って、冷却速度はできるだけ速いことが望ましい。また、金型は銅などの熱伝導性のよい材料を使用することが好ましく、熱が放散しやすい形状であることが好ましい。また、必要に応じて水冷などの手段により金型を冷却する工夫をすることも好ましい。
前述の如く、原料金属の融解により製造された合金溶湯は、そのまま(b)微細化工程に供しても良いが、好ましくは原料金属の融解により製造された合金溶湯を金型に注入して成型する鋳造工程を経て、凝固体を得、これを(b)微細化工程に供する。ただし、この鋳造工程において溶融金属の冷却速度によって偏析が生じ、溶融状態で均一組成であったものが組成分布に偏りが生じることもある。従って、冷却速度はできるだけ速いことが望ましい。また、金型は銅などの熱伝導性のよい材料を使用することが好ましく、熱が放散しやすい形状であることが好ましい。また、必要に応じて水冷などの手段により金型を冷却する工夫をすることも好ましい。
このような工夫により、例えば厚さに対して底面積の大きい金型を用い、溶湯を金型へ注湯後、できるだけ早く凝固させることが好ましい。
また、合金の組成によって偏析の程度は異なるので必要な分析手段、例えばICP発光分光分析法などによって、得られた凝固体の数箇所より試料を採取して組成分析を行い、偏析の防止に必要な冷却速度を定めることが好ましい。
この鋳造は、合金ないし金属の酸化を防ぐために不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
不活性雰囲気としてはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類元素が挙げられるが、中でもアルゴンが好ましい。
不活性雰囲気としてはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類元素が挙げられるが、中でもアルゴンが好ましい。
<合金の粉末化>
本発明の蛍光体原料用合金粉末の製造方法では、上述のようにして得られた蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1を含有する合金溶湯又はその鋳塊(インゴット)を再度融解して得られた合金溶湯を、合金粉末化(前記(b)微細化工程、(c)凝固工程)することにより、蛍光体原料用合金粉末を製造する。
本発明の蛍光体原料用合金粉末の製造方法では、上述のようにして得られた蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1を含有する合金溶湯又はその鋳塊(インゴット)を再度融解して得られた合金溶湯を、合金粉末化(前記(b)微細化工程、(c)凝固工程)することにより、蛍光体原料用合金粉末を製造する。
本発明では、前記(b)工程及び(c)工程に記載した通り、合金溶湯を不活性ガス中で微細化し、これを凝固させて粉末を得ることを特徴とするものであるが、この工程は、具体的には、合金溶湯を噴霧する方法、ロールやガス流により急冷し、リボン状に微細化する方法やアトマイズ法等により粉末化することが好ましく、中でもアトマイズ法を用いることが好ましい。
本発明では、蛍光体の構成成分の原料金属を融解し、得られた合金溶湯を鋳造して合金を製造し、これを微細化し、次いで冷却して蛍光体原料用合金粉末を製造しても良く、また、蛍光体の構成成分の金属原料を融解して得られた合金溶湯をそのまま微細化し、次いで冷却して蛍光体原料用合金粉末を製造しても良い。
即ち、前述の(a)融解工程は、金属原料を融解して合金溶湯を得る工程であっても良く、予め蛍光体の構成成分の金属原料を融解して合金溶湯を得、これを鋳造して得た鋳塊を再度融解させて合金溶湯を得る工程であっても良い。
また、(b)微細化工程と(c)凝固工程とを一工程で行っても良く、ガスアトマイズ法であれば、これらの工程を一工程で容易に実施することができる。
本発明では、蛍光体の構成成分の原料金属を融解し、得られた合金溶湯を鋳造して合金を製造し、これを微細化し、次いで冷却して蛍光体原料用合金粉末を製造しても良く、また、蛍光体の構成成分の金属原料を融解して得られた合金溶湯をそのまま微細化し、次いで冷却して蛍光体原料用合金粉末を製造しても良い。
即ち、前述の(a)融解工程は、金属原料を融解して合金溶湯を得る工程であっても良く、予め蛍光体の構成成分の金属原料を融解して合金溶湯を得、これを鋳造して得た鋳塊を再度融解させて合金溶湯を得る工程であっても良い。
また、(b)微細化工程と(c)凝固工程とを一工程で行っても良く、ガスアトマイズ法であれば、これらの工程を一工程で容易に実施することができる。
アトマイズ法とは、液体を滴下またはノズルで吹き出し、ジェット流体によって粉砕して液滴とし、凝固させて粉末化する方法を指す。アトマイズ法としては、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、遠心力アトマイズ法等が挙げられる。中でも、酸素等の不純物の混入が少なく、生成する合金粉末が球状になることから、ガスアトマイズ法が最も好ましい。なお、レビアトマイズ法も使用可能である。レビアトマイズ法とは、ガスアトマイズ法にレビテーション溶解を組み合わせたもので、これを用いると、ルツボと原料との接触を避けることができる。
以下、ガスアトマイズ法を例に説明する。
図3にガスアトマイズ法による合金粉末化装置の模式図を例示する。
この装置では、誘導コイル102を設けた溶解室101において、原料合金及び/又は原料金属(前述の如く、原料金属を融解して合金溶湯を調製し、これをそのままガスアトマイズ法により粉末化する場合と、この合金溶湯を一旦凝固、鋳造し、これを融解する場合とがあるが、以下においてこれらを単に「原料合金」と称す。)を融解し、得られた合金溶湯を、溶解室101内のルツボ103の底部に設けた細穴から流し、溶湯の流れ又は液滴を作る。流出した溶湯に、噴射ノズル104から粉砕ガスのジェット流を吹き付けて、その粉砕ガスのジェット流のエネルギーで、流下してくる溶湯を順次、微細化し、生成した微細な液滴を噴射室105内で凝固させて合金粉末を作製する。通常、得られた合金の粗粒子は回収室106で直接回収し、細粒子はサイクロン107にて回収する。なお、未粉砕の溶湯を除去する溶湯受けを噴射室105に設けることもできる。
図3にガスアトマイズ法による合金粉末化装置の模式図を例示する。
この装置では、誘導コイル102を設けた溶解室101において、原料合金及び/又は原料金属(前述の如く、原料金属を融解して合金溶湯を調製し、これをそのままガスアトマイズ法により粉末化する場合と、この合金溶湯を一旦凝固、鋳造し、これを融解する場合とがあるが、以下においてこれらを単に「原料合金」と称す。)を融解し、得られた合金溶湯を、溶解室101内のルツボ103の底部に設けた細穴から流し、溶湯の流れ又は液滴を作る。流出した溶湯に、噴射ノズル104から粉砕ガスのジェット流を吹き付けて、その粉砕ガスのジェット流のエネルギーで、流下してくる溶湯を順次、微細化し、生成した微細な液滴を噴射室105内で凝固させて合金粉末を作製する。通常、得られた合金の粗粒子は回収室106で直接回収し、細粒子はサイクロン107にて回収する。なお、未粉砕の溶湯を除去する溶湯受けを噴射室105に設けることもできる。
溶解室101の圧力は、通常、1×103Pa以上、1×105Pa以下が好ましく、安全性の面から、大気圧以下で行うことが望ましい。また、溶解室101の雰囲気としては、金属の酸化を防ぐため不活性雰囲気が好ましい。不活性雰囲気としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類元素が挙げられ、中でもアルゴンが好ましい。
ルツボ103の材質としては、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ホウ素等が使用でき、不純物の混入を避けることができることから、酸化アルミニウム又は窒化ホウ素が好ましい。
原料合金は、前述の原料金属の融解工程と同様に、高周波融解法で融解することが好ましい。ルツボ103内の溶湯は、高周波誘導コイル102に電力を供給することにより、原料として用いる合金又は金属の凝固点以上、好ましくは1450℃以上、さらに好ましくは1480℃以上、また、通常1800℃以下、好ましくは1700℃以下、さらに好ましくは1600℃以下で保持する。
噴射ノズル104は、通常、耐熱性の高いセラミックスが使用され、中でも酸化アルミニウム、酸化カルシウム、窒化ホウ素製が好ましい。また、ノズルの内径は、溶湯の粘性等により適宜選択されるが、通常0.5mm以上、好ましくは1mm以上、また5mm以下、好ましくは3mm以下である。
粉砕ガスは、溶湯に直接衝突させることから、不活性ガスが好ましい。不活性ガスの中でも、窒素あるいはアルゴン等の希ガスが好ましい。
粉砕ガスの温度は、通常、室温である。
また、粉砕ガスの噴射圧は、通常10kg/cm2(0.98MPa)以上、好ましくは20kg/cm2(1.96MPa)以上、通常100kg/cm2(9.8MPa)以下、80kg/cm2(7.84MPa)以下である。噴射圧がこの範囲を外れると、収率が低下する傾向にある。
粉砕ガスの温度は、通常、室温である。
また、粉砕ガスの噴射圧は、通常10kg/cm2(0.98MPa)以上、好ましくは20kg/cm2(1.96MPa)以上、通常100kg/cm2(9.8MPa)以下、80kg/cm2(7.84MPa)以下である。噴射圧がこの範囲を外れると、収率が低下する傾向にある。
噴射室105及び回収室106の雰囲気は、不活性雰囲気であることが好ましく、経済的な理由から含窒素不活性雰囲気であることがさらに好ましい。
噴射室105及び回収室106の窒素濃度は、通常0.1%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、また、通常100%以下である。窒素濃度が低すぎると、粉末化工程、及び合金粉末の回収過程で粒子表面から揮発性の高い金属成分が揮発して表面の組成がずれる恐れがある。
噴射室105及び回収室106の窒素濃度は、通常0.1%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、また、通常100%以下である。窒素濃度が低すぎると、粉末化工程、及び合金粉末の回収過程で粒子表面から揮発性の高い金属成分が揮発して表面の組成がずれる恐れがある。
噴射室105及び回収室106の圧力は、通常、大気圧付近であり、また、噴射室105及び回収室106の温度については、原料合金の融点以下であれば特に制限はない。噴射室105の温度は通常950℃以下、0℃以上であり、回収室106の温度は通常400℃以下、0℃以上であり、20℃以上、40℃以下であることが好ましい。
このような合金溶湯の微細化工程において、粉砕ガス、及び/又は噴射室105や回収室106の雰囲気中の窒素濃度等を制御することにより、後述する焼成工程における窒素との反応性を制御することができる。例えば、後述の焼成工程において、大量生産を行う等の理由により、窒化反応の急激な進行を抑制したい場合は、下記1)のようにすることが好ましく、下記1)及び2)とすることがさらに好ましい。
1)粉砕ガス、噴射室105及び回収室106のうちいずれか1つ以上を高濃度の窒素含有雰囲気とする。この時の窒素濃度は、100%に近いことが好ましく、通常90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。
2)噴射ノズル104やルツボ103の底部の温度を、合金の融点によっても異なるが、通常900℃以上、好ましくは1000℃以上、また通常1300℃以下、好ましくは1200℃以下にする。この場合、例えば、高周波融解法で加熱しても良いし、溶解室101からの熱伝導で上述の温度となるように設計しても良い。
本工程において、ジェット流体によって生成した溶湯の液滴を急冷することが好ましい。急冷とは高温度より急速に冷却する操作のこという。本発明において、溶湯の液滴が凝固するまでにかかる時間は、通常1分以下、好ましくは30秒以下、より好ましくは10秒以下であり、さらに好ましくは3秒以下である。ガスアトマイズ法では、細穴を通して落下させた溶湯に粉砕ガスを衝突させることにより、粉砕させて合金粉末を製造している。この際、微粒子に粉砕された瞬間から、表面からの熱幅射と粉砕ガスにより急速に冷却される状態となり、体積に対して、熱が放散する表面積が大きいので急冷凝固が可能となり、好ましい。
〈合金粉末の分級〉
このようにして製造された合金粉末は、必要に応じて分級処理を行って、後述の蛍光体の製造に用いられる。例えばバイブレーティングスクリーン、シフターなどの網目を使用した篩い分け装置、エアセパレータ等の慣性分級装置、サイクロン等の遠心分離機を使用して、前述の所望の重量メジアン径D50及び粒度分布に調整される。
このようにして製造された合金粉末は、必要に応じて分級処理を行って、後述の蛍光体の製造に用いられる。例えばバイブレーティングスクリーン、シフターなどの網目を使用した篩い分け装置、エアセパレータ等の慣性分級装置、サイクロン等の遠心分離機を使用して、前述の所望の重量メジアン径D50及び粒度分布に調整される。
この分級工程についても、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、不活性ガス雰囲気中の酸素濃度は10%以下、特に5%以下が好ましい。不活性ガスの種類に特に制限はないが、通常、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの1種又は2種以上が用いられ、特に経済性の観点から窒素が好ましい。
このような蛍光体原料用合金粉末の製造方法によれば、(a)融解工程で得られる合金溶湯を粉末化することにより、原料金属から蛍光体原料用合金粉末の製造までを一貫した工程で行うことができる。また、更に、得られた合金粉末を後述の焼成工程で用いる焼成装置まで移送する設備(パイプライン、ベルトコンベア等)を設けることにより、原料金属から蛍光体の製造までを一貫して行うことも可能である。
[蛍光体の製造]
本発明の蛍光体原料用合金粉末を用いて蛍光体を製造する方法には特に制限はなく、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、炭化物など蛍光体の種類に応じて反応条件が設定されるが、以下に窒化反応を例に説明する。
蛍光体原料用合金の窒化処理は例えば以下の(d)焼成工程で行われる。
本発明の蛍光体原料用合金粉末を用いて蛍光体を製造する方法には特に制限はなく、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、炭化物など蛍光体の種類に応じて反応条件が設定されるが、以下に窒化反応を例に説明する。
蛍光体原料用合金の窒化処理は例えば以下の(d)焼成工程で行われる。
<焼成工程>
焼成工程では、まず窒化処理原料である本発明の蛍光体原料用合金粉末を、ルツボ、或いはトレイに充填する。ここで使用するルツボ或いはトレイの材質としては、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、タングステン等が挙げられるが、窒化ホウ素が耐食性に優れることから好ましい。
焼成工程では、まず窒化処理原料である本発明の蛍光体原料用合金粉末を、ルツボ、或いはトレイに充填する。ここで使用するルツボ或いはトレイの材質としては、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、タングステン等が挙げられるが、窒化ホウ素が耐食性に優れることから好ましい。
この合金粉末を充填したルツボ或いはトレイを、雰囲気制御が可能な加熱炉に納めた後、窒素を含むガスを流通して系内を十分にこの窒素含有ガスで置換する。必要に応じて、系内を真空排気した後、窒素含有ガスを流通しても良い。
窒化処理の際に使用する窒素含有ガスとしては、窒素を含むガス、例えば窒素、アンモニア、或いは窒素と水素の混合気体等が挙げられる。系内の酸素濃度は製造される蛍光体の酸素含有量に影響し、余り高い含有量となると高い発光が得られなくなるため、窒化処理雰囲気中の酸素濃度は、低いほど好ましく、通常1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下とする。また、必要に応じて、炭素、モリブデン等の酸素ゲッターを系内加熱部分に入れて、酸素濃度を低下させても良い。
窒化処理は、窒素含有ガスを充填した状態或いは流通させた状態で加熱することにより行うが、その圧力は大気圧よりも幾分減圧、大気圧或いは加圧の何れの状態でも良い。大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上とするのが好ましい。大気圧未満にすると加熱炉の密閉性が悪い場合には多量の酸素が混入して特性の高い蛍光体を得ることができないおそれがある。窒素含有ガスの圧力は少なくともゲージ圧で0.2MPa以上が好ましく、10MPaから200MPaが最も好ましい。
合金粉末の加熱は、通常800℃以上、好ましくは1000℃以上、更に好ましくは1200℃以上で、通常2200℃以下、好ましくは2100℃以下、更に好ましくは2000℃以下の温度で実施する。加熱温度が800℃より低いと、窒化処理に要する時間が非常に長くなり好ましくない。一方、加熱温度が2200℃より高いと、生成する窒化物が揮発或いは分解し、得られる窒化物蛍光体の化学組成がずれて、特性の高い蛍光体が得られず、また、再現性も悪いものとなるおそれがある。
窒化処理時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、合金粉末と窒素との反応に必要な時間で良いが、通常1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上とする。加熱時間が1分より短いと窒化反応が完了せず特性の高い蛍光体が得られない。加熱時間の上限は生産効率の面から決定され、通常24時間以下である。
このように合金を窒化処理することにより、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体を得ることができるが、得られた窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体は必要に応じて、高い発光を得ることが可能となるので、再度、加熱処理することにより粒子成長させても良い。
窒化処理によって得られる窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体を再加熱処理する場合の加熱条件としては、好ましくは1200℃以上2200℃以下とする。この温度が1200℃未満では再加熱しても粒子成長させる効果が少ない。一方、2200℃を超える温度で加熱すると、無駄な加熱エネルギーを消費してしまうだけでなく、蛍光体の分解が起こり、雰囲気ガスの一部となる窒素の圧力を非常に高くしないと目的の蛍光体を製造できない。同様の理由で、加熱処理温度は1300℃以上が好ましく、1400℃以上が更に好ましく、1500℃以上が最も好ましい。また、2100℃以下が好ましく、2000℃以下が更に好ましく、1900℃以下が最も好ましい。
窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体を再加熱処理する際の雰囲気は、基本的には窒素含有ガス等の不活性雰囲気又は還元性雰囲気とする。雰囲気中の酸素濃度は、通常1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下とする。酸素濃度が1000ppmを越えるような酸素含有ガス中や大気中など酸化雰囲気下で再加熱処理すると、蛍光体が酸化されてしまい、目的の蛍光体を得ることができない。ただし、0.1ppm〜10ppmの微量酸素を含有する雰囲気とすることで比較的低温での蛍光体の合成が可能となるので好ましい。
再加熱処理時の圧力は、大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上の圧力とするのが好ましい。大気圧未満の圧力とすると、窒化処理時の加熱工程と同様に加熱炉の密閉性が悪い場合には多量の酸素が混入して特性の高い蛍光体を得ることができないおそれがある。
再加熱処理時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、通常1分間以上100時間以下とする。保持時間が短すぎると粒子成長が十分に進まず、また、保持時間が長すぎる場合には、無駄な加熱エネルギーが消費されるだけではなく、蛍光体の表面から窒素が脱離して発光特性が低下する傾向がある。同様の理由により、保持時間は10分間以上とするのが好ましく、30分間以上とするのがより好ましく、24時間以下とするのが好ましく、12時間以下とするのがより好ましい。
[蛍光体の特性]
例えば、本発明の製造方法により得られる蛍光体は、以下のような特性を有する。
例えば、本発明の製造方法により得られる蛍光体は、以下のような特性を有する。
<発光スペクトル>
例えば本発明の製造方法により得られるEu付活SCASN蛍光体は、橙色ないし赤色蛍光体としての用途に鑑みて、波長465nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
例えば本発明の製造方法により得られるEu付活SCASN蛍光体は、橙色ないし赤色蛍光体としての用途に鑑みて、波長465nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
まず、本発明の方法により製造された蛍光体(以下「本発明の蛍光体」と称す。)は、上述の発光スペクトルにおけるピーク波長λp(nm)が、通常590nmより大きく、中でも600nm以上、また、通常650nm以下、中でも640nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると黄味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると暗赤味を帯びる傾向があり、何れも橙色ないし赤色光としての特性が低下するおそれがあるので好ましくない。
また、本発明の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅(full width at half maximum。以下適宜「FWHM」と略称する。)が、通常50nmより大きく、中でも70nm以上、更には75nm以上、また、通常120nm未満、中でも100nm以下、更には90nm以下の範囲であることが好ましい。この半値幅FWHMが狭過ぎると発光強度が低下するおそれがあり、広過ぎると色純度が低下するおそれがあるので、何れも好ましくない。
なお、本発明の蛍光体を波長465nmの光で励起するには、例えば、GaN系発光ダイオードを用いることができる。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定、並びにその発光ピーク波長、ピーク相対強度及びピーク半値幅の算出は、例えば、日本分光社製蛍光測定装置等の装置を用いて行なうことができる。
<重量メジアン径D50>
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径D50が、通常3μm以上、中でも5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径D50が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向があり好ましくない。一方、重量メジアン径D50が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向があり好ましくない。
なお、本発明における蛍光体の重量メジアン径D50は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径D50が、通常3μm以上、中でも5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径D50が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向があり好ましくない。一方、重量メジアン径D50が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向があり好ましくない。
なお、本発明における蛍光体の重量メジアン径D50は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
<その他>
本発明の蛍光体は、その内部量子効率が高いほど好ましい。その値は、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。内部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
本発明の蛍光体は、その内部量子効率が高いほど好ましい。その値は、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。内部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
本発明の蛍光体は、その吸収効率も高いほど好ましい。その値は通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。吸収効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
[蛍光体の用途]
本発明の蛍光体は、高輝度であり、演色性が高いという特性を生かして、各種の発光装置に好適に用いることができる。例えば、本発明の蛍光体が、橙色ないし赤色蛍光体である場合、緑色蛍光体、青色蛍光体等を組み合わせれば、高演色性の白色発光装置を実現することができる。こうして得られた発光装置を、画像表示装置の発光部(特に液晶用バックライトなど)や照明装置として使用することができる。
本発明の蛍光体は、高輝度であり、演色性が高いという特性を生かして、各種の発光装置に好適に用いることができる。例えば、本発明の蛍光体が、橙色ないし赤色蛍光体である場合、緑色蛍光体、青色蛍光体等を組み合わせれば、高演色性の白色発光装置を実現することができる。こうして得られた発光装置を、画像表示装置の発光部(特に液晶用バックライトなど)や照明装置として使用することができる。
[蛍光体含有組成物]
本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液状媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液状媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液状媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液状媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
本発明の蛍光体含有組成物に使用可能な液状媒体としては、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させると共に、好ましくない反応等を生じないものであれば、任意のものを目的等に応じて選択することが可能である。液状媒体の例としては、硬化前の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられ、例えば、付加反応型シリコーン樹脂、縮合反応型シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、無機系材料、例えば、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液を用いることができる。これらの液状媒体は一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
液状媒体の使用量は、用途等に応じて適宜調整すればよいが、一般的には、本発明の蛍光体に対する液状媒体の重量比で、通常3重量%以上、好ましくは5重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは15重量%以下の範囲である。
また、本発明の蛍光体含有組成物は、本発明の蛍光体及び液状媒体に加え、その用途等に応じて、その他の任意の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、拡散剤、増粘剤、増量剤、干渉剤等が挙げられる。具体的には、アエロジル等のシリカ系微粉、アルミナ等が挙げられる。
[発光装置]
次に、本発明の蛍光体を用いた発光装置(以下「本発明の発光装置」と称す。)について説明する。本発明の発光装置は、励起光源としての第1の発光体と、第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを、少なくとも備えて構成される。
次に、本発明の蛍光体を用いた発光装置(以下「本発明の発光装置」と称す。)について説明する。本発明の発光装置は、励起光源としての第1の発光体と、第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを、少なくとも備えて構成される。
(第1の発光体)
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、具体的数値としては、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下のピーク発光波長を有する発光体が使用される。この第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光ダイオード(light emitting diode。以下、適宜「LED」と略称する。)や半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。以下、適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、具体的数値としては、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下のピーク発光波長を有する発光体が使用される。この第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光ダイオード(light emitting diode。以下、適宜「LED」と略称する。)や半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。以下、適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。
中でも、第1の発光体としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlXGaYN発光層、GaN発光層、又はInXGaYN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でInXGaYN発光層を有するものが発光強度が非常に強いので、特に好ましく、GaN系LDにおいては、InXGaYN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlXGaYN層、GaN層、又はInXGaYN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高く、好ましく、さらにヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率がさらに高く、より好ましい。
(第2の発光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、後述する第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(緑色蛍光体、青色蛍光体等)を含有する。
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、後述する第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(緑色蛍光体、青色蛍光体等)を含有する。
蛍光体の組成には特に制限はないが、結晶母体であるY2O3、Zn2SiO4等に代表される金属酸化物、Sr2Si5N8等に代表される金属窒化物、Ca5(PO4)3Cl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物に、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが好ましい。
結晶母体の好ましい例としては、例えば、(Zn,Cd)S、SrGa2S4、SrS、ZnS等の硫化物、Y2O2S等の酸硫化物、(Y,Gd)3Al5O12、YAlO3、BaMgAl10O17、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al10O17、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al10O17、BaAl12O19、CeMgAl11O19、(Ba,Sr,Mg)O・Al2O3、BaAl2Si2O8、SrAl2O4、Sr4Al14O25、Y3Al5O12等のアルミン酸塩、Y2SiO5、Zn2SiO4等の珪酸塩、SnO2、Y2O3等の酸化物、GdMgB5O10、(Y,Gd)BO3等の硼酸塩、Ca10(PO4)6(F,Cl)2、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2等のハロリン酸塩、Sr2P2O7、(La,Ce)PO4等のリン酸塩等を挙げることができる。
ただし、上記の結晶母体及び付活元素又は共付活元素は、元素組成には特に制限はなく、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は近紫外から可視領域の光を吸収して可視光を発するものであれば用いることが可能である。
具体的には、蛍光体として以下に挙げるものを用いることが可能であるが、これらはあくまでも例示であり、本発明で使用できる蛍光体はこれらに限られるものではない。なお、以下の例示では、構造の一部のみが異なる蛍光体を、適宜省略して示している。例えば、「Y2SiO5:Ce3+」、「Y2SiO5:Tb3+」及び「Y2SiO5:Ce3+,Tb3+」を「Y2SiO5:Ce3+,Tb3+」と、「La2O2S:Eu」、「Y2O2S:Eu」及び「(La,Y)2O2S:Eu」を「(La,Y)2O2S:Eu」とまとめて示している。省略箇所はカンマ(,)で区切って示す。
<第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)>
本発明の発光装置における第2の発光体は、橙色ないし赤色蛍光体(これを以下適宜「第1の蛍光体」と呼ぶ。)として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、本発明の蛍光体以外に、その他の一種又は二種以上の橙色ないし赤色蛍光体を、第1の蛍光体として併用してもよい。
本発明の発光装置における第2の発光体は、橙色ないし赤色蛍光体(これを以下適宜「第1の蛍光体」と呼ぶ。)として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、本発明の蛍光体以外に、その他の一種又は二種以上の橙色ないし赤色蛍光体を、第1の蛍光体として併用してもよい。
赤色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「赤色蛍光体」という)が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、ピーク波長が、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、また、通常700nm以下、好ましくは680nm以下が望ましい。
本発明の蛍光体以外の橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)2O2S:Euで表わされるユウロピウム付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
さらに、特開2004−300247号公報に記載された、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、及びMoよりなる群から選ばれる少なくも1種の元素を含有する酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体であって、Al元素の一部又は全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も、本実施形態において用いることができる。なお、これらは酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体である。
また、そのほか、赤色蛍光体としては、(La,Y)2O2S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O4:Eu、Y2O3:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu,Mn、(Ba,Mg)2SiO4:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO3:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、LiY9(SiO4)6O2:Eu、Ca2Y8(SiO4)6O2:Eu、(Sr,Ba,Ca)3SiO5:Eu、Sr2BaSiO5:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、(Tb,Gd)3Al5O12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)SiN2:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Eu等のEu付活窒化物蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Ce等のCe付活窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、(Ba3Mg)Si2O8:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)3(Zn,Mg)Si2O8:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)2O3:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)2O2S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO4:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY2S4:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa2S4:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP2O7:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)2P2O7:Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)2WO6:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)xSiyNz:Eu,Ce(但し、x、y、zは、1以上の整数)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO4)6(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1−xScxCey)2(Ca,Mg)1−r(Mg,Zn)2+rSiz−qGeqO12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、又は、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料を用いることも可能である。
また、赤色蛍光体のうち、ピーク波長が580nm以上、好ましくは590nm以上、また、620nm以下、好ましくは610nm以下の範囲内にあるものは、橙色蛍光体として好適に用いることができる。このような橙色蛍光体の例としては、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Sr,Mg)3(PO4)2:Sn2+等が挙げられる。
<第2の蛍光体>
更に、本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体(本発明の蛍光体)とは発光波長の異なる蛍光体を含有していてもよい(これを以下適宜「第2の蛍光体」と呼ぶ。)。第2の蛍光体としては、一種類の蛍光体を単独で使用してもよく、二種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に、本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体(本発明の蛍光体)とは発光波長の異なる蛍光体を含有していてもよい(これを以下適宜「第2の蛍光体」と呼ぶ。)。第2の蛍光体としては、一種類の蛍光体を単独で使用してもよく、二種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)と併用する第2の蛍光体の例としては、緑色の発光を発する蛍光体(以下適宜「緑色蛍光体」という。)、及び、青色の発光を発する蛍光体(以下適宜「青色蛍光体」という。)が挙げられる。
{緑色蛍光体}
緑色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「緑色蛍光体」という)が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、ピーク波長が、通常490nm以上、好ましくは500nm以上、また、通常570nm以下、好ましくは550nm以下が望ましい。
緑色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「緑色蛍光体」という)が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、ピーク波長が、通常490nm以上、好ましくは500nm以上、また、通常570nm以下、好ましくは550nm以下が望ましい。
このような緑色蛍光体として、例えば、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si2O2N2:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Ba,Ca,Sr,Mg)2SiO4:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、緑色蛍光体としては、Sr4Al14O25:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al2O4:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)Al2Si2O8:Eu、(Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si2O7:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)9(Sc,Y,Lu,Gd)2(Si,Ge)6O24:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Y2SiO5:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr2P2O7−Sr2B2O5:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si3O8−2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、Zn2SiO4:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl11O19:Tb、Y3Al5O12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca2Y8(SiO4)6O2:Tb、La3Ga5SiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga2S4:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)3(Al,Ga)5O12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、Ca3Sc2Si3O12:Ce、Ca3(Sc,Mg,Na,Li)2Si3O12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc2O4:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、SrSi2O2N2:Eu、(Sr,Ba,Ca)Si2O2N2:Eu、Eu付活βサイアロン、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl10O17:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl2O4:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)2O2S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO4:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO3:Ce,Tb、Na2Gd2B2O7:Ce,Tb、(Ba,Sr)2(Ca,Mg,Zn)B2O6:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、Ca8Mg(SiO4)4Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)2S4:Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)8(Mg,Zn)(SiO4)4Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、テルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
{青色蛍光体}
青色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「青色蛍光体」という)が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、ピーク波長が、通常420nm以上、好ましくは440nm以上、また、通常480nm以下、好ましくは470nm以下が望ましい。
青色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜、「青色蛍光体」という)が発する蛍光の具体的な波長の範囲を例示すると、ピーク波長が、通常420nm以上、好ましくは440nm以上、また、通常480nm以下、好ましくは470nm以下が望ましい。
このような青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なうBaMgAl10O17:Euで表わされるユウロピウム付活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)5(PO4)3Cl:Euで表わされるユウロピウム付活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)2B5O9Cl:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al2O4:Eu又は(Sr,Ca,Ba)4Al14O25:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr2P2O7:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、Sr4Al14O25:Eu、BaMgAl10O17:Eu、BaAl8O13:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa2S4:Ce、CaGa2S4:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu、BaMgAl10O17:Eu,Tb,Sm等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu、(Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAl2Si2O8:Eu、(Sr,Ba)3MgSi2O8:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr2P2O7:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、Y2SiO5:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO4等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO4)6・nB2O3:Eu、2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si3O8・2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラリゾン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。
なお、上述のような蛍光体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
(第2の蛍光体の選択)
本発明の発光装置において、以上説明した第2の蛍光体(赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体等)の使用の有無及びその種類は、発光装置の用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、本発明の発光装置を橙色ないし赤色発光の発光装置として構成する場合には、第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)のみを使用すればよく、第2の蛍光体の使用は通常は不要である。
本発明の発光装置において、以上説明した第2の蛍光体(赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体等)の使用の有無及びその種類は、発光装置の用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、本発明の発光装置を橙色ないし赤色発光の発光装置として構成する場合には、第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)のみを使用すればよく、第2の蛍光体の使用は通常は不要である。
一方、本発明の発光装置を白色発光の発光装置として構成する場合には、所望の白色光が得られるように、第1の発光体と、第1の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)と、第2の蛍光体を適切に組み合わせればよい。具体的に、本発明の発光装置を白色発光の発光装置として構成する場合における、第1の発光体と、第1の蛍光体と、第2の蛍光体との好ましい組み合わせの例としては、以下の(i)〜(iii)の組み合わせが挙げられる。
(i)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する。
(ii)第1の発光体として近紫外発光体(近紫外LED等)を使用し、第1の蛍光体として赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として青色蛍光体及び緑色蛍光体を併用する。
(iii)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として
橙色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する。
橙色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する。
(第2の蛍光体の物性)
本発明の発光装置に使用される第2の蛍光体の重量メジアン径は、通常10μm以上、中でも15μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向があり好ましくない。一方、重量メジアン径が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向があり好ましくない。
本発明の発光装置に使用される第2の蛍光体の重量メジアン径は、通常10μm以上、中でも15μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向があり好ましくない。一方、重量メジアン径が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向があり好ましくない。
(発光装置の構成)
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていればよく、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、赤色蛍光体は、青色蛍光体、緑色蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、青色蛍光体と緑色蛍光体を含有する層の上に赤色蛍光体を含有する層が積層されていてもよい。
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていればよく、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、赤色蛍光体は、青色蛍光体、緑色蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、青色蛍光体と緑色蛍光体を含有する層の上に赤色蛍光体を含有する層が積層されていてもよい。
上述の第1の発光体、第2の発光体及びフレームに加えて、通常は封止材料が用いられる。具体的に、この封止材料は、上述の第1の蛍光体及び/又は第2の蛍光体を分散させて第2の発光体を構成したり、第1の発光体、第2の発光体及びフレーム間を接着したりする目的で採用される。
使用される封止材料としては、通常、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液又はこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料を用いることができる。
(発光装置の実施形態)
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
図4は、本発明の一実施形態に係る発光装置の構成を模式的に示す図である。本実施形態の発光装置1は、フレーム2と、光源である青色LED(第1の発光体)3と、青色LED3から発せられる光の一部を吸収し、それとは異なる波長を有する光を発する蛍光体含有部(第2の発光体)4からなる。
フレーム2は、青色LED3、蛍光体含有部4を保持するための樹脂製の基部である。フレーム2の上面には、図4中上側に開口した断面台形状の凹部(窪み)2Aが形成されている。これにより、フレーム2はカップ形状となっているため、発光装置1から放出される光に指向性をもたせることができ、放出する光を有効に利用できるようになっている。更に、フレーム2の凹部2A内面は、銀などの金属メッキにより、可視光域全般の光の反射率を高められており、これにより、フレーム2の凹部2A内面に当たった光も、発光装置1から所定方向に向けて放出できるようになっている。
フレーム2の凹部2Aの底部には、光源として青色LED3が設置されている。青色LED3は、電力を供給されることにより青色の光を発するLEDである。この青色LED3から発せられた青色光の一部は、蛍光体含有部4内の発光物質(第1の蛍光体及び第2の蛍光体)に励起光として吸収され、また別の一部は、発光装置1から所定方向に向けて放出されるようになっている。
また、青色LED3は前記のようにフレーム2の凹部2Aの底部に設置されているが、ここではフレーム2と青色LED3との間は銀ペースト(接着剤に銀粒子を混合したもの)5によって接着され、これにより、青色LED3はフレーム2に設置されている。更に、この銀ペースト5は、青色LED3で発生した熱をフレーム2に効率よく放熱する役割も果たしている。
更に、フレーム2には、青色LED3に電力を供給するための金製のワイヤ6が取り付けられている。つまり、青色LED3の上面に設けられた電極(図示省略)とは、ワイヤ6を用いてワイヤボンディングによって結線されていて、このワイヤ6を通電することによって青色LED3に電力が供給され、青色LED3が青色光を発するようになっている。なお、ワイヤ6は青色LED3の構造にあわせて1本又は複数本が取り付けられる。
更に、フレーム2の凹部2Aには、青色LED3から発せられる光の一部を吸収し異なる波長を有する光を発する蛍光体含有部4が設けられている。蛍光体含有部4は、蛍光体と透明樹脂とで形成されている。蛍光体は、青色LED3が発する青色光により励起されて、青色光よりも長波長の光である光を発する物質である。蛍光体含有部4を構成する蛍光体は一種類であっても良いし、複数からなる混合物であってもよく、青色LED3の発する光と蛍光体発光部4の発する光の総和が所望の色になるように選べばよい。色は白色だけでなく、黄色、オレンジ、ピンク、紫、青緑等であっても良い。また、これらの色と白色との間の中間的な色であっても良い。また、透明樹脂は蛍光体含有部4の封止材料であり、ここでは、上述の封止材料を用いている。
モールド部7は、青色LED3、蛍光体含有部4、ワイヤ6などを外部から保護するとともに、配光特性を制御するためのレンズとしての機能を持つ。モールド部7には主にエポキシ樹脂を用いることができる。
図5は、図4に示す発光装置1を組み込んだ面発光照明装置の一実施例を示す模式的断面図である。図5において、8は面発光照明装置、9は拡散板、10は保持ケースである。
この面発光照明装置8は、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース10の底面に、多数の発光装置1を、その外側に発光装置1の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置したものである。発光の均一化のために、保持ケース10の蓋部に相当する箇所に、乳白色としたアクリル板等の拡散板9を固定している。
そして、面発光照明装置8を駆動して、発光装置1の青色LED3に電圧を印加することにより青色光等を発光させる。その発光の一部を、蛍光体含有部4において波長変換材料である本発明の蛍光体と必要に応じて添加した別の蛍光体が吸収し、より長波長の光に変換し、蛍光体に吸収されなかった青色光等との混色により、高輝度の発光が得られる。この光が拡散板9を透過して、図面上方に出射され、保持ケース10の拡散板9面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
また、本発明の発光装置において、特に励起光源(第1の発光体)として面発光型のものを使用する場合、蛍光体含有部(第2の発光体)を膜状とするのが好ましい。即ち、面発光型の発光体からの光は断面積が十分大きいので、第2の発光体をその断面の方向に膜状とすると、第1の発光体からの蛍光体への照射断面積が蛍光体単位量あたり大きくなるので、蛍光体からの発光の強度をより大きくすることができる。
また、第1の発光体として面発光型のものを使用し、第2の発光体として膜状のものを用いる場合、第1の発光体の発光面に、直接膜状の第2の発光体を接触させた形状とするのが好ましい。ここでいう接触とは、第1の発光体と第2の発光体とが空気や気体を介さないでぴたりと接している状態をつくることを言う。その結果、第1の発光体からの光が第2の発光体の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
図6は、このように、第1の発光体として面発光型のものを用い、第2の発光体として膜状のものを適用した発光装置の一例を示す模式的斜視図である。図6中、11は、前記蛍光体を有する膜状の第2の発光体、12は第1の発光体としての面発光型GaN系LD、13は基板を表す。相互に接触した状態をつくるために、第1の発光体12のLDと第2の発光体11とそれぞれ別個につくっておいてそれらの面同士を接着剤やその他の手段によって接触させても良いし、第1の発光体12の発光面上に第2の発光体11を製膜(成型)させても良い。これらの結果、第1の発光体12と第2の発光体11とを接触した状態とすることができる。
[発光装置の用途]
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、高輝度であり、且つ、演色性も高いことから、中でも画像表示装置や照明装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。なお、本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、高輝度であり、且つ、演色性も高いことから、中でも画像表示装置や照明装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。なお、本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
後述の各実施例及び比較例において、合金粉末及び蛍光体の各種評価は、以下の手法で行った。
後述の各実施例及び比較例において、合金粉末及び蛍光体の各種評価は、以下の手法で行った。
(粉体特性)
パウダテスタPT−N型(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、安息角、崩潰角、及び差角について測定を行なった。
パウダテスタPT−N型(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、安息角、崩潰角、及び差角について測定を行なった。
(タップ密度)
合金粉末約10gを容量10mlのガラス製メスシリンダーに入れて、高さ約1〜5cmの位置から木材製のテーブル上に50〜500回/分程度の間隔で、体積が変化しなくなるまで(通常200〜800回)手動でタッピングした。その後、合金粉末の体積(V)と、総重量からメスシリンダーの風袋重量を差し引いた合金粉末の正味の重量(W)を測定し、下式[3]によりタップ密度を求めた。
タップ密度(g/ml)=W(g)/V(ml) ・・・[3]
合金粉末約10gを容量10mlのガラス製メスシリンダーに入れて、高さ約1〜5cmの位置から木材製のテーブル上に50〜500回/分程度の間隔で、体積が変化しなくなるまで(通常200〜800回)手動でタッピングした。その後、合金粉末の体積(V)と、総重量からメスシリンダーの風袋重量を差し引いた合金粉末の正味の重量(W)を測定し、下式[3]によりタップ密度を求めた。
タップ密度(g/ml)=W(g)/V(ml) ・・・[3]
(重量メジアン径D50)
重量メジアン径D50は、気温25℃、湿度70%の環境下において、エチレングリコールに合金粉末を分散させ、レーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA−300」)により、粒径範囲0.1μm〜600μmにて測定して得られた重量基準粒度分布曲線から求め、積算値が50%のときの粒径値を重量メジアン径D50とした。
重量メジアン径D50は、気温25℃、湿度70%の環境下において、エチレングリコールに合金粉末を分散させ、レーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA−300」)により、粒径範囲0.1μm〜600μmにて測定して得られた重量基準粒度分布曲線から求め、積算値が50%のときの粒径値を重量メジアン径D50とした。
(元素分析)
酸素含有量は酸素窒素同時分析装置(Leco社製)により、炭素含有量は炭素・硫黄分析装置(堀場製作所社製)により、それぞれ分析した。
酸素含有量は酸素窒素同時分析装置(Leco社製)により、炭素含有量は炭素・硫黄分析装置(堀場製作所社製)により、それぞれ分析した。
(発光スペクトル及び輝度)
日本分光社製蛍光測定装置において、励起光源として150Wキセノンランプを用いた。キセノンランプの光を焦点距離10cmの回折格子分光器に通し、450nm〜475nmの光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により発生した光を焦点距離25cmの回折格子分光器により分光し、浜松フォトニクス社製マルチチャンネルCCD検出器「C7041」によって300nm〜800nmの各波長の発光強度を測定した。続いて、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。
また、JIS Z8724に準拠して算出したXYZ表色系における刺激値Yから、後述する参考例1における蛍光体の刺激値Yの値を100%とした相対輝度を算出した。
尚、輝度は、励起青色光をカットして測定した。
日本分光社製蛍光測定装置において、励起光源として150Wキセノンランプを用いた。キセノンランプの光を焦点距離10cmの回折格子分光器に通し、450nm〜475nmの光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により発生した光を焦点距離25cmの回折格子分光器により分光し、浜松フォトニクス社製マルチチャンネルCCD検出器「C7041」によって300nm〜800nmの各波長の発光強度を測定した。続いて、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。
また、JIS Z8724に準拠して算出したXYZ表色系における刺激値Yから、後述する参考例1における蛍光体の刺激値Yの値を100%とした相対輝度を算出した。
尚、輝度は、励起青色光をカットして測定した。
[実施例1]
(合金の製造)
金属元素組成比がAl:Si=1:1(モル比)となるように各金属を秤量し、黒鉛ルツボを用い、アルゴン雰囲気で高周波誘導式溶融炉を用いて原料金属を溶融した後、ルツボから金型へ注湯して凝固させ、元素比がAl:Si=1:1である合金(母合金)を得た。なお、合金の原料に用いた金属単体は、いずれも不純物濃度0.01モル%以下の高純度品である。また、原料金属の形状は、Srは塊状、その他は粒状である。
(合金の製造)
金属元素組成比がAl:Si=1:1(モル比)となるように各金属を秤量し、黒鉛ルツボを用い、アルゴン雰囲気で高周波誘導式溶融炉を用いて原料金属を溶融した後、ルツボから金型へ注湯して凝固させ、元素比がAl:Si=1:1である合金(母合金)を得た。なお、合金の原料に用いた金属単体は、いずれも不純物濃度0.01モル%以下の高純度品である。また、原料金属の形状は、Srは塊状、その他は粒状である。
Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.008:0.792:0.2:1:1(モル比)となるよう母合金、その他原料金属を秤量した。炉内を5×10−2Paまで真空排気した後、排気を中止し、炉内にアルゴンを所定圧まで充填した。この炉内でカルシアルツボ内の母合金を溶解し、次いでSr、Eu、Caを加えて、全成分が融解した溶湯が誘導電流により攪拌されるのを確認後、ルツボから水冷された銅製の金型(厚さ40mmの板状)へ溶湯を注湯して凝固させた。
得られた厚み40mmの板状合金についてICP法で組成分析を行った。板の重心付近一点と、板の端面付近一点から約10gサンプリングし、ICP法により元素分析を行ったところ、
板の中心部 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.782:0.212:1:0.986、
板の端面 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.756:0.210:1:0.962
であり、分析精度の範囲において実質的に同一組成であった。従って、Euを始め、各々の元素が均一に分布していると考えられた。
板の中心部 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.782:0.212:1:0.986、
板の端面 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.756:0.210:1:0.962
であり、分析精度の範囲において実質的に同一組成であった。従って、Euを始め、各々の元素が均一に分布していると考えられた。
得られた合金はSr(Si0.5Al0.5)2と類似した粉末X線回折パターンを示し、AlB2型のアルカリ土類シリサイドと呼ばれる金属間化合物と同定された。
(合金の粉末化)
得られた合金を、図3に示す構成の超小型ガスアトマイズ装置を用いて粉末化した。
即ち、この合金を酸化アルミニウム製ルツボに入れ、溶解室中で、真空中、1000℃まで加熱した後、アルゴン雰囲気下、約1530℃で融解した。溶解室101をゲージ圧で約0.05MPaの加圧として、合金を融解した溶湯を、内径2mmの酸化アルミニウム製噴射ノズル104から窒素雰囲気の噴射室(圧力大気圧)105に流出させた。これと同時に、粉砕ガス(窒素)を噴射圧50kgf/cm2(4.9MPa)で合金を融解した溶湯に噴射し、液滴を粉末化した。窒素雰囲気の回収室(圧力大気圧)106で捕集された粉末を目開き53μmの篩いに通過させて、合金粉末を得た。
得られた合金を、図3に示す構成の超小型ガスアトマイズ装置を用いて粉末化した。
即ち、この合金を酸化アルミニウム製ルツボに入れ、溶解室中で、真空中、1000℃まで加熱した後、アルゴン雰囲気下、約1530℃で融解した。溶解室101をゲージ圧で約0.05MPaの加圧として、合金を融解した溶湯を、内径2mmの酸化アルミニウム製噴射ノズル104から窒素雰囲気の噴射室(圧力大気圧)105に流出させた。これと同時に、粉砕ガス(窒素)を噴射圧50kgf/cm2(4.9MPa)で合金を融解した溶湯に噴射し、液滴を粉末化した。窒素雰囲気の回収室(圧力大気圧)106で捕集された粉末を目開き53μmの篩いに通過させて、合金粉末を得た。
得られた合金粉末の安息角、崩潰角、差角、タップ密度、重量メジアン径D50、酸素含有量、及び炭素含有量を表1に示した。
また、この金粉末の光学顕微鏡写真(図1)より、得られた合金粉末の大部分が真球状であることがわかった。
また、この金粉末の光学顕微鏡写真(図1)より、得られた合金粉末の大部分が真球状であることがわかった。
(蛍光体の製造)
この合金粉末32gを内径54mmの窒化ホウ素製ルツボに充填し、熱間等方加圧装置(HIP)内にセットし、装置内を5×10−1Paまで真空排気した後、300℃に加熱し、300℃で真空排気を1時間継続した。その後、窒素を1MPa充填し、冷却後に0.1MPaまで放圧し、再び1MPaまで窒素を充填する操作を二回繰り返した。加熱開始前に50MPaまで窒素を充填し、3時間で1800℃、180MPaまで昇温・昇圧し、この温度で1時間保持して蛍光体を得た。
この合金粉末32gを内径54mmの窒化ホウ素製ルツボに充填し、熱間等方加圧装置(HIP)内にセットし、装置内を5×10−1Paまで真空排気した後、300℃に加熱し、300℃で真空排気を1時間継続した。その後、窒素を1MPa充填し、冷却後に0.1MPaまで放圧し、再び1MPaまで窒素を充填する操作を二回繰り返した。加熱開始前に50MPaまで窒素を充填し、3時間で1800℃、180MPaまで昇温・昇圧し、この温度で1時間保持して蛍光体を得た。
得られた蛍光体の粉末X線回折測定の結果、CaAlSiN3と同型の斜方晶の結晶相が生成していた。
蛍光光度分光計で465nm励起による発光特性を測定し、相対輝度と発光波長を求め、結果を表1に示した。
蛍光光度分光計で465nm励起による発光特性を測定し、相対輝度と発光波長を求め、結果を表1に示した。
[実施例2]
サイクロン107で捕集された合金粉末を目開き53μmの篩いを通過させて、原料合金粉末としたこと以外は実施例1と同様にして蛍光体を得た。
原料合金粉末の粉体特性等の測定結果、及び蛍光体の相対輝度と発光波長の測定結果を表1に示した。
サイクロン107で捕集された合金粉末を目開き53μmの篩いを通過させて、原料合金粉末としたこと以外は実施例1と同様にして蛍光体を得た。
原料合金粉末の粉体特性等の測定結果、及び蛍光体の相対輝度と発光波長の測定結果を表1に示した。
[実施例3]
ガスアトマイズ装置のルツボ103及びノズル104を黒鉛製としたこと以外は、実施例2と同様にして原料合金粉末を得、同様に蛍光体を得た。
原料合金粉末の粉体特性等の測定結果、及び蛍光体の相対輝度と発光波長の測定結果を表1に示した。
ガスアトマイズ装置のルツボ103及びノズル104を黒鉛製としたこと以外は、実施例2と同様にして原料合金粉末を得、同様に蛍光体を得た。
原料合金粉末の粉体特性等の測定結果、及び蛍光体の相対輝度と発光波長の測定結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1と同様の方法で鋳造した合金を、ガスアトマイズ装置を用いずに、アルミナ乳鉢を用いて窒素雰囲気(酸素濃度4%以下)中で3時間粉砕し、目開き53μmの篩い下を回収した。
得られた合金粉末は、光学顕微鏡写真(図2)により、球状ではなく、不定形であることがわかった。
得られた合金粉末の粉体特性等の測定結果を表1に示した。
得られた合金粉末を用いて、実施例1と同様に熱間等方加圧装置(HIP)内で処理して蛍光体を製造しようとしたところ、黒色の固体が得られ、465nm励起による発光は認められなかった。
実施例1と同様の方法で鋳造した合金を、ガスアトマイズ装置を用いずに、アルミナ乳鉢を用いて窒素雰囲気(酸素濃度4%以下)中で3時間粉砕し、目開き53μmの篩い下を回収した。
得られた合金粉末は、光学顕微鏡写真(図2)により、球状ではなく、不定形であることがわかった。
得られた合金粉末の粉体特性等の測定結果を表1に示した。
得られた合金粉末を用いて、実施例1と同様に熱間等方加圧装置(HIP)内で処理して蛍光体を製造しようとしたところ、黒色の固体が得られ、465nm励起による発光は認められなかった。
[参考例1]
金属元素組成比がEu:Ca:Al:Si=0.008:0.992:1:1となるように、Eu2O3、Ca3N2、AlN及びSi3N4をアルゴン雰囲気中で秤量し、混合機を用いて混合した。この混合粉を窒化ホウ素製ルツボへ充填して、雰囲気加熱炉中にセットした。装置内を1×10−2Paまで真空排気した後、排気を中止し、装置内へ窒素を0.1MPaまで充填した後、1600℃まで加熱し、5時間保持して、蛍光体を得た。
金属元素組成比がEu:Ca:Al:Si=0.008:0.992:1:1となるように、Eu2O3、Ca3N2、AlN及びSi3N4をアルゴン雰囲気中で秤量し、混合機を用いて混合した。この混合粉を窒化ホウ素製ルツボへ充填して、雰囲気加熱炉中にセットした。装置内を1×10−2Paまで真空排気した後、排気を中止し、装置内へ窒素を0.1MPaまで充填した後、1600℃まで加熱し、5時間保持して、蛍光体を得た。
得られた蛍光体中に生成している結晶相を粉末X線回折法で同定した結果、CaAlSiN3の斜方晶系の結晶が生成していることが確認された。
蛍光分光光度計でこの蛍光体の波長465nm励起による発光特性を測定したところ、発光波長は648nmだった。また、この参考例1の蛍光体の輝度を100%として各実施例及び各比較例の相対輝度を求めた。
以上の結果から、本発明によれば、不純物の混入が少なく、また流動性の高い蛍光体原料用合金粉末を用いて、高輝度の蛍光体が得られることが分かる。
なお、実施例3では、黒鉛製のルツボ及びノズルから炭素が混入したために、実施例1,2のものと比較して蛍光体の輝度が低下したものと考えられる。
なお、実施例3では、黒鉛製のルツボ及びノズルから炭素が混入したために、実施例1,2のものと比較して蛍光体の輝度が低下したものと考えられる。
本発明により提供される蛍光体は、蛍光灯、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに好適に使用される。
1 発光装置
2 フレーム
2A フレームの凹部
3 青色LED(第1の発光体)
4 蛍光体含有部(第2の発光体)
5 銀ペースト
6 ワイヤ
7 モールド部
8 面発光照明装置
9 拡散板
10 保持ケース
11 第2の発光体
12 第1の発光体
13 基板
101 溶解室
102 誘導コイル
103 ルツボ
104 噴射ノズル
105 噴射室
106 回収室
107 サイクロン
2 フレーム
2A フレームの凹部
3 青色LED(第1の発光体)
4 蛍光体含有部(第2の発光体)
5 銀ペースト
6 ワイヤ
7 モールド部
8 面発光照明装置
9 拡散板
10 保持ケース
11 第2の発光体
12 第1の発光体
13 基板
101 溶解室
102 誘導コイル
103 ルツボ
104 噴射ノズル
105 噴射室
106 回収室
107 サイクロン
Claims (17)
- 合金を原料とする蛍光体の製造方法であって、
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを溶融させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程、及び、
(d)該凝固させて得られた合金粉末を窒素含有雰囲気下で焼成する焼成工程
を有することを特徴とする蛍光体の製造方法。 - 請求項1に記載の蛍光体の製造方法であって、前記微細化工程において、前記合金溶湯をアトマイズ法により微細化することを特徴とする蛍光体の製造方法。
- 請求項2に記載の蛍光体の製造方法であって、前記微細化工程において、前記合金溶湯に粉砕ガスを吹き付けるガスアトマイズ法により前記合金溶湯を微細化することを特徴とする蛍光体の製造方法。
- 請求項3に記載の蛍光体の製造方法であって、前記粉砕ガスが窒素含有ガスであることを特徴とする蛍光体の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蛍光体の製造方法であって、前記凝固工程において、前記微細化した合金溶湯を窒素含有雰囲気中で凝固させることを特徴とする蛍光体の製造方法。
- 蛍光体原料用合金粉末の製造方法であって、
(a)蛍光体を構成する少なくとも1種の金属元素及び少なくとも1種の付活元素M1とを融解させて、これらの元素を含む合金溶湯を得る融解工程、
(b)該合金溶湯を不活性ガス中で微細化する微細化工程、及び、
(c)該微細化した合金溶湯を凝固させる凝固工程
を有することを特徴とする蛍光体原料用合金粉末の製造方法。 - 蛍光体原料用としての合金粉末であって、該合金粉末が少なくとも1種の金属元素と、少なくとも1種の付活元素M1とを含有し、該合金粉末の安息角が45度以下であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項7に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、タップ密度が1.9g/ml以上であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項7又は8に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、炭素含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項7ないし9のいずれか1項に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、少なくともSiを含む4価の金属元素M4と、Si以外の金属元素の1種類以上とを含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項10に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、付活元素M1、2価の金属元素M2、及び少なくともSiを含む4価の金属元素M4を含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項11に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項11又は12に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、更に3価の金属元素M3を含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項7ないし13のいずれか1項に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、付活元素M1がCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項13又は14に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、2価の金属元素M2がMg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、3価の金属元素M3がAl、Ga、In、及びScからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、少なくともSiを含む4価の金属元素M4がSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素であることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項15に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、2価の金属元素M2の50モル%以上がCa及び/又はSrであり、3価の金属元素M3の50モル%以上がAlであり、少なくともSiを含む4価の金属元素M4の50モル%以上がSiであることを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
- 請求項15又は16に記載の蛍光体原料用合金粉末であって、付活元素M1としてEuを、2価の金属元素M2としてCa及び/又はSrを、3価の金属元素M3としてAlを、少なくともSiを含む4価の金属元素M4としてSiを含むことを特徴とする蛍光体原料用合金粉末。
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-
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