JP2008013349A - 群管理エレベータのデータ表示方法および装置 - Google Patents

群管理エレベータのデータ表示方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の割当て評価項目を含む割当て評価指標により、乗り場呼びにエレベータかごを選択する割当て制御において、割当て動作が適正に実施されているかどうかを評価、検証できるデータ表示方法または装置を提供する。
【解決手段】群管理制御の性能指標の予測値と実際値またはこれら予測値と実際値の関係を時間軸上で表示する。
【選択図】図6

Description

本発明は、複数台のエレベータの運行を統括管理する群管理エレベータのデータ表示方法および装置に関係する。
エレベータ群管理システムは、複数のエレベータかごを1つのグループとして扱うことで、利用者に対してより効率的な運行サービスを提供する。具体的には、複数のエレベータかご(通常3台から8台)を1つのグループとして管理し、ある階床にて乗り場呼びが登録された場合に、このグループの中から最適なかごを1つ選択して、そのかごに上記乗り場呼びを割当てる処理を実施する。
現行の群管理システムでは、複数の評価項目からなる評価関数による割当てかごの選択を基本にしている。ファジー制御のメンバーシップ関数や、ニューラルネットの入出力関係も評価関数の一つと見なすことができる。新たに乗り場呼びが登録された場合に、各かごを仮にその呼びに割当てた場合の評価値を評価関数に基づいて計算して、最も評価値の良いかごにその乗り場呼びを割当てる。例えば、新たに登録された乗り場呼びに対する予測待ち時間のみで評価すると仮定すれば、その呼びに対しての各かごの予測待ち時間(その階への到着予測時間に同じ)を計算して、この値が最も小さいかごにその呼びを割当てる。
このような制御を実施するエレベータの群管理システムに対して、運行状態・制御状態を分かり易く示す方法が特許文献1等において開示されている。
特許文献1には、各エレベータの現在位置と進行方向のデータからエレベータかごの位置の偏り度合いを示す指標値を算出して、この指標値の時間経過に対する推移を、各エレベータかごの運行状態を示す運行線図と組合せて表示する方法が開示されている。
また、特許文献2には、運行決定に利用した予測評価値と、この予測評価値に対応する実際値とを同時に表示する例が開示されている。この予測評価値とは、乗り場呼び割当て時の予測値のことであり、具体的には、予測停止回数、予測走行時間、予測ドア開閉時間、並びに予測乗降時間が挙げられている。
:特開平6−100249号公報 :特開2001−139248号公報
上記従来技術では、エレベータ群管理の基本となる割当て制御に対して、割当て動作が適正に実施されているかどうかを評価、検証することは難しい。
特許文献1では、各エレベータの現在位置と進行方向より算出したエレベータの偏り度合いを示す指標値と運行線図とを組合せて表示しており、割当て制御の結果として現れたエレベータの偏り度合いを示す指標値および運行線図は分かる。しかし、これだけでは、割当て制御がどのように有効に作用したかは分からない。例えば、偏りを示す指標と運行線図が共に、各エレベータがほぼ等間隔になっていることを示しているとする。しかし、この好結果は、割当て制御によってそうなったのか、たまたまそうなったのか、また、割当て制御による好結果であるとしても、複数ある評価項目のどの項目が有効に作用したのか等については、想像でしか分からない。特に、実際のケースでは、常にエレベータかごが等間隔な位置関係を保つことは難しいと考えられ、ある時間では偏った位置関係が発生する可能性がある。この場合、現在位置による偏りを示す指標と運行線図では、制御の結果を示すだけであり、何故そのような結果が生じたかを知ることは難しい。
また、特許文献2では、運行決定に利用した予測評価値と、この予測評価値に対応する実際値とを同時に表示している。しかし、ここでの予測評価値とは、具体的には、予測停止回数、予測走行時間、予測ドア開閉時間、および予測乗降時間を挙げている。これらは、エレベータ群管理の運行に関するデータであって、このデータからは、割当て制御が適正に実施されているかどうかを判断することは困難である。例えば、予測停止回数と実際の停止回数を比較して、仮に両者が一致したとしても、割当て制御が適正に働いたから一致した訳ではない。両者の比較は、単に予測精度を示すものである。繰り返すと、この従来技術で述べられている予測評価値と実際値とを比較しても、その予測精度が分かるだけで、例えば、その差に対して、割当て制御がどう影響したかを示すものではない。両者の差は割当て制御の作用によって生じたものではない。従って、この従来技術で述べられている方法を用いても、割当て制御が適正に実施されているかどうかを評価、検証することは難しい。
本発明の目的は、複数の割当て評価項目を含む割当て評価指標により、乗り場呼びにエレベータかごを選択する割当て制御において、割当て動作が適正に実施されているかどうかを評価、検証できるデータ表示方法または装置を提供することである。
本発明は、その一面において、複数台のエレベータの運行を管理し、登録された乗り場の呼びに割当てるエレベータかごを複数の評価項目を含む割当て評価指標に基づいて選択する群管理エレベータのデータ表示において、群管理制御の性能指標の予測値と実際値またはこれら予測値と実際値の関係を時系列的に表示することを特徴とする。
本発明は、他の一面において、群管理制御の性能指標の予測値と実際値またはこれら予測値と実際値の関係を時間軸上で表示することを特徴とする。
本発明の望ましい実施態様においては、前記予測値と実際値の関係として、前記予測値と実際値の差を演算し、この差に応じた幅を時系列的に表示する。
本発明は、さらに他の一面において、群管理の性能指標を時系列的に表示するとともに、乗り場呼びに対する割当てへの、前記評価項目の寄与度を時系列的に表示することを特徴とする。
本発明の望ましい実施態様によれば、複数の割当て評価項目を含む割当て評価指標によって適正なエレベータかごを選択する割当て制御において、割当て動作が適正に実施されているかどうかを分かり易く評価、検証することが可能となる。
より具体的実施形態によれば、割当て制御によって、群管理の動作がどのように改善されたかを示すことができ、かつ、この改善結果に対して、評価指標における各評価項目がどのように働いたかを分かり易く明確に示すことが可能となる。
これらの結果、ビルで稼動中のエレベータ群管理システムの割当て動作を容易に評価、検証することができ、万一望ましくない動作が発生している場合は容易にこれを判断でき、性能の改善へとつなげることができる。
また、エレベータ群管理の専門知識の無い人でも容易に割当て動作が適正かどうかを評価できるようになり、性能評価が容易となり、多数の群管理に対しても、より安定した性能を出すエレベータ群管理システムを提供することができるようになる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施例による群管理エレベータのデータ表示装置を備えたエレベータ群管理システムの構成図である。主な構成から述べると、まず、それぞれが、エレベータかご、駆動装置、おもり、およびロープなどから構成されるn台のエレベータ装置61、62、…6nを備えている。これらのエレベータ装置は、それぞれエレベータ制御装置71、72、…7nによって制御される。各階の乗り場には、乗り場呼び登録装置81、82、83、…が設置されている。尚、図1では、n台のエレベータ装置61、62、…、6nを縦方向に分けて図示しているが、実際にはn台のエレベータは水平方向に並んで設置されている。
さて、これらn台のエレベータを統括して制御するために、エレベータ群管理装置10が設けられている。エレベータ群管理装置10は、制御盤、マイコン等を載せた制御基板、制御用コンピュータ等によって構成される。このエレベータ群管理装置10内には、本実施例に関連する機能部として、群管理制御部101、制御データ演算部102、統計処理演算部103、時刻データ部104、及び記録部105を備えている。
一方、本発明の一実施例を構成するために、コンピュータ(パソコンを含む)、携帯端末、卓上端末などによって構成される制御データ表示装置20を設けている。この制御データ表示装置20は、表示出力部21および表示条件設定部22からなる。
この制御データ表示装置20と、前記エレベータ群管理装置10との間でのデータ転送のための記録媒体3と、通信回線4、および制御データ表示装置20での表示結果を印刷する印刷装置5を配置している。
以上の構成の中で、エレベータ群管理装置10内の制御データ演算部102、統計処理演算部103と、制御データ表示装置20内の表示出力部21が、本実施例の群管理エレベータのデータ表示装置の特徴をなす要素であり、詳細は後述する。
まず、各階のエレベータ乗り場において、利用客が乗り場呼び登録装置81、82、83、…を押して、自分の行きたい方向の呼びを登録する。例えば、3階上方向の乗り場呼びが登録されたとする。この乗り場呼び情報は、エレベータ群管理装置10に伝送される。群管理装置10では、各エレベータ制御装置71、72、…7nからの情報を基にして、群管理制御部101にて、割当て評価関数により、各エレベータかごがその呼びにサービスした場合の評価値、すなわち、割当て評価指標を求める。上記各エレベータ制御装置71、72、…7nからの情報としては、各エレベータの位置、速度などの動作状態、かご呼び、乗り人数、既に割当てられている呼びの継続時間、並びに乗車時間等がある。
この割当て評価指標が最も良いかごを選択して、そのかごに乗り場呼びに割当てる。
割当て評価指標は、複数の評価項目を含んだ多目的評価関数であり、例えば、式(1)のように表される。
Figure 2008013349
式(1)において、F(k)はk番目のかご(以下、k号機と呼ぶ)の総合評価値、fi(k)はk号機に対するi番目の評価項目の評価値、wiはi番目の評価項に対する重み係数、Mは評価項目の総数を表している。評価項目としては、例えば、(1)予測待ち時間すなわち、新規に登録された乗り場呼びに対する予測待ち時間、既に割当て済みの乗り場呼びに対する予測待ち時間、(2)各かごの時間的な位置関係がある。さらに、(3)かご内の混雑率、(4)乗車時間、および(5)将来発生する可能性のある乗り場呼びの待ち時間…などが挙げられる。各かごに対して、総合評価値F(k)を計算して、最も良い(一般には最小)値となるかごを割当てかごに選択する。
エレベータ群管理装置10内の制御データ演算部102では、割当て評価に用いた各種の情報を基にして、後述する性能指標値や評価値寄与度といった制御データを算出する。これらの制御データが、割当て動作が適正に実施されているかどうかを評価するための指標となる。統計処理演算部103では、制御データ演算部102で算出された各制御データに対して、統計処理を行う。記録部105では、時刻データ部104、群管理制御部101からのエレベータ運行に関するデータと合わせて、これらの結果を記録する。
記録部105に記録されたデータは、メモリカード、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクなどの記録媒体3、もしくは通信回線4を介して、制御データ表示装置20に転送される。
制御データ表示装置20では、転送された制御データ(統計処理を受けている)、運行データ、時刻データを基にして、表示出力部21において、各種制御データの時間的な推移を時間軸上のグラフにて画面に表示出力する。表示条件設定部22では、表示するグラフの形態などを設定する。印刷装置5は、表示出力部21で表示された各種制御データの時間軸上のグラフを紙などに印刷する。
以上が本発明の一実施例による群管理エレベータのデータ表示装置を備えたエレベータ群管理システムの構成である。この実施例のポイントは、繰り返すが、エレベータ群管理装置10内の制御データ演算部102、統計処理演算部103と、制御データ表示装置20内の表示出力部21である。
まず、図2により、本発明の背景となるエレベータ群管理制御における割当て評価指標に含まれる評価項目の特徴と、本実施例の狙いであるそれぞれの評価項目の働きを知るための指標について説明する。
図2は、本発明の背景となるエレベータ群管理制御における割当て評価指標に含まれる評価項目の特徴とそれぞれの働きを知るための指標について整理した図である。割当て評価指標は、式(1)のように複数の評価項目を含んでいるが、基本性能である待ち時間に関係する評価項目は、2つのグループに大別することができる。これは、1)登録されている乗り場呼びに対する評価群と、2)未発生の乗り場呼びに対する評価群の2つになる。巨視的な視点で捉えると、割当て評価関数は式(2)のように、上記の2つの評価群によって構成されると見なすことができる。
割当て評価関数=登録されている乗り場呼びに対する評価群に属する評価項目
+未発生の乗り場呼びに対する評価群に属する評価項目……………………………(2)
登録されている乗り場呼びに対する評価群では、登録されている呼びに対する待ち時間評価がその主な要素となる。このような評価の例として、a)登録されている呼びに対する待ち時間の中の最大値を求め、これが最小となるように割当てを決定する方式、b)登録されている全ての呼びに対しての平均待ち時間を求めて、これが最小となるように割当てかごを決定する方式、あるいは、c)登録されている全ての呼びに対して待ち時間の2乗和を求めて、これが最小となるように割当てかごを決定する方式…などがある。
この登録されている乗り場呼びに対する評価群は、呼びが既に発生しているため、割当て制御の働きが、運行線図の情報によって比較的容易に理解することができる。例えば、特公平5−57193号公報に、時間軸上で各エレベータかごの軌跡や登録された呼び情報を示した運行線図の例が記載されている。
未発生の乗り場呼びに対する評価群は、まだ発生していない乗り場呼び、潜在的な乗り場呼びに対しての評価となり、これには次の2つの要素がある。即ち、1)先の時点(将来のある時点)における近接するかご間の空間的または時間的間隔に対する評価と、2)未発生の乗り場呼びに対する待ち時間、特に長待ち時間の評価になる。これらは、共に未発生の乗り場呼びに対する潜在的な待ち時間を評価するものであり、前者は、これを各かご間の間隔によって評価するものであり、近接するかご間の時間的間隔≧そのかご間で今後発生する乗り場呼びに対する待ち時間となる関係に基づいている。後者は、そのまま待ち時間またはその階への到着予測時間で評価するものとなる。
先に述べた既に登録されている乗り場呼びに対する評価群とは異なり、これらの評価項目は、その時点ではまだ発生しておらず、発生しないかも知れない乗り場呼びを対象としているため、その評価の働きが分かりにくいという課題がある。例えば、運行線図を用いても、どの時点のかご間隔を評価したものか、またはどの未発生呼びを対象に評価したのかは情報が無く分からない。
そこで、未発生の乗り場呼びに対する評価群に属する2つの主な評価項目のそれぞれについて、「性能指標」と呼ぶ指標を用いて、各評価項目の働きを明示しようとするのが本実施例の狙いである。具体的には、図2の表中に記述されるような指標を用いる。
まず、先の時点における近接するかご間の空間的または時間的間隔に対する評価に対しては、近接する各かご間の空間的または時間的間隔の偏り具合に対する指標の予測値と実際値とを指標として用いる。この間隔の偏り具合の予測値と実際値の差が、先の時点における近接するかご間の間隔評価の作用を表している。つまり、間隔の偏り具合の予測値は現状のままの場合、かご間隔の偏りがどうなるかを表す予測値である。これに対して、先の時点におけるかご間隔を評価して割当てることによって、実際のかご間隔が改善されて、その結果が間隔の偏り具合の実際値となって現れる。従って、両者の差を見ることにより、どの程度、予測値(制御前の状態に対応)に対して、実際値(制御後の状態に対応)が改善されたかを評価することができる。
同様に、未発生の乗り場呼びに対する待ち時間の評価に対しては、未発生の乗り場呼びに対する潜在的な長待ち時間の指標と発生した乗り場呼びに対する実際の長待ち時間の指標とを用いる。簡単に言えば、前者は潜在的な長待ち時間の予測値を表し、後者は実際の長待ち時間の値を表している。この両指標の差は、未発生の乗り場呼びに対する待ち時間評価の作用を表している。もし、未発生の乗り場呼びに対する待ち時間評価の作用が無ければ、潜在的な長待ち時間の予測値に相当する長待ち時間が発生した所、実際には評価作用によって、実際の長待ち時間に示された結果に改善されたと評価することができる。
以上に説明した2つの評価項目のそれぞれに対する性能指標の内容を図4に整理する。先の時点における近接するかご間の空間的または時間的間隔に対する評価と、未発生の乗り場呼びに対する待ち時間の評価のそれぞれに対して、予測性能指標と実際の性能指標が、図4のように整理される。
以上に述べた図2を基にした本実施例のポイントをまとめる。未発生の乗り場呼びに対する評価群について、実在しない呼びを対象にするため、制御の働きが分かりにくいという課題があった。これに対して、本実施例では、図2に示すように、先の時点における近接するかご間の空間的または時間的間隔に対する評価に対しては、近接する各かご間の空間的または時間的間隔の偏り具合に対する指標の予測値と実際値を指標として用いる。また、未発生の乗り場呼びに対する待ち時間の評価に対しては、未発生の乗り場呼びに対する潜在的な長待ち時間の指標と発生した乗り場呼びに対する実際の長待ち時間の指標を用いる。これにより、それぞれの値の差によって、未発生の乗り場呼びに対する評価の働きを明示することが可能となり、課題を解決することが可能となる。
以下、図3、図5により、本実施例のポイントとなる、図1に示した制御データ演算部102と統計処理演算部103の詳細を説明する。
まず、図3により、図1の制御データ演算部102の詳細を説明する。制御データ演算部102は、性能指標値演算部1021、登録されている呼びに対する評価値の寄与度演算部1024、未発生呼びに対する評価値の寄与度演算部1027の大きく3つの演算部に分かれる。
性能指標値演算部1021では、図2で説明した、未発生乗り場呼びに対する評価群を成す評価項目に対する性能指標を演算する。この性能指標には予測性能指標値と実際の性能指標値の2つがある。具体的には、先の時点における近接するかご間の空間的または時間的間隔に対する評価の場合、予測性能指標値演算部1022にて、近接する各かご間の空間的または時間的間隔の偏り具合に対する指標の予測値を算出する。実際の性能指標値演算部1023では、上記指標の実際値を算出する。同様に、未発生の乗り場呼びに対する待ち時間の評価の場合は、予測性能指標値演算部1022にて、未発生の乗り場呼びに対する潜在的な長待ち時間の指標を算出する。潜在的な長待ち時間は、予測される長待ち時間に対応する。実際の性能指標値演算部1023では、発生した乗り場呼びに対する実際の長待ち時間の指標を算出する。
登録されている呼びに対する評価値の寄与度演算部1024と未発生呼びに対する評価値の寄与度演算部1027では、それぞれ図2に示した2つの評価群に属する評価値がそれぞれ割当て決定にどれ程度寄与したかを示す寄与度を算出する。この寄与度を算出する狙いは、性能指標値演算部1021で算出された予測性能指標値と実際の性能指標値との差の様相を詳しく分析するために、2つの評価群に属する評価値がそれぞれどのように働いたかを明示することを狙いとしている。もう少し具体的に述べると、予測性能指標値と実際の性能指標値は、共に未発生乗り場呼びに対する評価項目の性能指標であり、もし前者(予測)>後者(実際)ならば、未発生乗り場呼びに対する評価が適正に作用したことを表している。しかし、実際の割当て評価関数は式(2)のように表され、必ずしも未発生乗り場呼びに対する評価のみで割当てが決まるわけではない。従って、登録されている乗り場呼びに対する評価の影響と未発生の乗り場呼びに対する評価の影響とを合わせて示すことによって、予測性能指標値と実際の性能指標値との差の様相に対して、それぞれがどのように影響しているかを詳しく分析することができる。例えば、予測性能指標値>と実際の性能指標値であれば、未発生の乗り場呼びに対する評価の影響が強いはずであり、予測性能指標値<と実際の性能指標値であれば、未発生の乗り場呼びに対する評価の影響は弱い。代わりに登録されている乗り場呼びに対する評価の影響が強くなっているはずである。未発生の乗り場呼びに対する評価の影響をその評価値の寄与度として、また、登録されている乗り場呼びに対する評価の影響を、その評価値の寄与度としてそれぞれ定量化する。
まず、登録されている乗り場呼びに対する評価値の寄与度演算部1024では、割当てが決まったかごに対して、登録されている乗り場呼びに対する評価値におけるそのかごの順位を算出する。割当て決定かごに対する登録されている呼びに対する評価値の順位演算部1025が、この計算を実行する。この順位を基にして、登録されている呼びに対する評価値の寄与度を計算する。登録されている呼びに対する評価値の寄与度演算部1026が、この演算を実行する。順位が高ければ、評価値の寄与度も高くなる。例えば、順位が1位ならば寄与度は100%となる。こうなるように寄与度を定義するものとする。
同様に、未発生の乗り場呼びに対する評価値の寄与度演算部1027では、割当てが決まったかごに対して、未発生の乗り場呼びに対する評価値におけるそのかごの順位を算出する。割当て決定かごに対する未発生呼びに対する評価値の順位演算部1028が、この演算を実行する。この順位を基にして、未発生呼びに対する評価値の寄与度を計算する。未発生呼びに対する評価値の寄与度演算部1029が、この演算を実行する。
それぞれの寄与度に対する計算方法の詳細は後ほど説明する。
次に、図5により、図1に示した統計処理演算部103の詳細を説明する。図5の統計処理演算部103では、制御データ演算部102(図3)で算出された結果に対して、平均値を計算する処理を行う。すなわち、予測性能指標値、実際の性能指標値、登録されている呼びに対する評価値の寄与度、並びに、未発生呼びに対する評価値の寄与度の各データ系列(時系列データ)に対して、平均値を計算する。この狙いは、制御データ演算部で算出された上記の各データ系列の値は時間的な変化が激しく、このままでは各データの様相の把握が難しいため、平均化処理(ローパスフィルタと同じ作用)により、大域的な特性を抽出することにある。
具体的には、まず予測性能指標値のデータ系列に対しては、対象データのふるい分け処理をふるい分け処理部1031で実施して、ふるい分けされたデータに対して、所定時間に対するデータ系列の平均値を平均値演算部1032で算出する。
ここで、ふるい分け処理は、対象として望ましくないデータを除く処理である。例えば、予測性能指標が近接する各かご間の空間的または時間的間隔の偏り具合に対する指標の予測値の場合、待機しているかご(受持っている呼びが無く停止しているかご)が存在すると、時間的な偏りの指標の値が大きく変化する。これは、待機かごは上下両方向にサービスできるため、近接するかごの位置関係が単純ではなくなることによる。この変化の影響を避けるため、待機かごが存在する場合は、それを判定して、その時のデータを除く処理をふるい分け処理部1031で実施する。同様に、予測性能指標が未発生の乗り場呼びに対する潜在的な長待ち時間の指標の場合も、待機かごが存在する場合、潜在的長待ちは発生しにくく、その値が大きく変化する可能性があり、そのデータを除く処理をふるい分け処理部1031で実施する。尚、待機かごの存在による性能指標の変化は、必ずしも誤った変化ではなく、むしろ実際の状況、すなわち、待機エレによって未発生呼びへのサービス性が向上したことを反映したものと考えると、ふるい分け処理を外してもよい。
平均値演算部1032では、所定時間範囲内でのデータ系列の数に応じて平均値を取る。例えば、5分間平均とした場合は、5分間毎に平均値を計算する。尚、所定時間毎の平均値を計算する代わりに所定サンプル数毎の平均値を計算してもよい。このような平均化処理によって、時間的な変化の激しい予測性能指標のデータ系列を平滑化でき、大域的な特性を抽出することができる。
実際の性能指標値のデータ系列に対しても同様に、ふるい分け処理(処理部1033で実施)と所定時間に対する平均値をその演算部1034で計算する。
評価値の寄与度(登録されている呼びに対する評価値、および未発生の呼びに対する評価値)のデータ系列に対しても、上記と同様に所定時間に対する平均値を演算部1035と1036で計算する。評価値の寄与度のデータ系列についても、その値は時間的な変化が激しいため、平均化処理によってデータ系列を平滑化でき、大域的な特性を抽出することができる。
図1に戻ると、図1の制御データ演算部102と統計処理演算部103の詳細を上記で説明した。この結果が伝送されて、制御データ表示装置20の表示出力部21にてグラフ化されて表示される。この表示の例が図6である。
以下、表示出力部(図1の符号21の処理)の表示結果について、説明する。
図6は、本発明の一実施例による群管理エレベータのデータ表示装置の画面表示例である。性能指標等の制御データを演算して、平均化処理をした上で、図6のような表示をすることが本実施例のポイントである。これによって、分かりづらい未発生の乗り場呼びに対する評価項目(図2で説明)の働きを分かり易く示すことができ、割当て動作が適正に実施されているかどうかを分かり易く評価、検証することが可能となる。
図6に示す画面もしくは印刷された紙に対応する表示領域FG01内に、4つのグラフが示されており、上からそれぞれ、次の4つを表している。
1)群管理されている各かご(かごは合計3台)の運行軌跡のグラフFG02、
2)かご間隔偏り指標の予測値と実際値、または未発生呼びの潜在的長待ちの指標の予測値と実際の長待ち指標の値について、時間的様相を示すグラフFG03、
3)登録されている呼びに対する待ち時間評価値の寄与度の時間的様相を示すグラフFG04、および
4)かご間隔評価値の寄与度、または未発生呼びの潜在的長待ちに対する評価値の寄与度について、時間的様相を示すグラフFG05。
まず、各かごの運行軌跡のグラフFG02は、横軸に時間、縦軸にかごの位置(階床を単位)を取ったグラフ上で、各かごの時間的な動きを示している。これにより、各かごの空間的な間隔などを確認することができる。
かご間隔偏り指標の予測値と実際値、または未発生呼びの潜在的長待ちの指標の予測値と実際の長待ち指標の値についての時間的様相を示すグラフFG03は、横軸に時間、縦軸にかご間隔偏り指標を取っている。そして、かご間隔偏り指標の予測値の線FG03Aと実際値の線FG03Bとを並べて示している。ここで、かご間隔偏り指標は、近接する各かごの間隔の分散に基づいて算出される。分散は、ばらつきの大きさを表す指標であり、間隔のばらつきが大きい(偏りが大きい)ほど、分散は大きくなる。従って、かご間隔偏り指標も大きくなる。図6のグラフFG03を見ると、予測値の線FG03Aに対して、実際値の線FG03Bは、かご間隔偏り指標が減少している。つまり、予測に対して実際のかご間隔の偏りが改善されたことを表しており、これは、かご間隔の偏りに対する評価が有効に作用した結果であることが分かる。かご間隔の偏りに対する評価を行わなければ予測値の線FG03Aのような結果になるのに対して、かご間隔の偏りに対する評価が働いたため、実際値の線FG03Bのような結果に改善されたことが分かる。このようにして、かご間隔偏り指標という性能指標の予測値と実際値を時間軸上で並べて表示することにより、この性能指標に関係するかご間隔の偏りに対する評価の働きを分かり易く示すことが可能となる。
ここでは、性能指標の予測値と実際値を時間軸上で並べて表示した。しかし、制御による性能の改善効果を分かりやすくする他の工夫を施すこともできる。例えば、性能指標の予測値と実際値の差を、時間軸上で幅として表示すれば、改善度合いを直接に感じ取ることができる。また、この差分を、その極性によって色分け表示すれば、改善と非改善とが一目瞭然となる。
また、図6では時間軸上に表示したが、横軸を時刻通りに展開しなくても、乗り場呼びへの割当てが発生する度に、横軸を展開して表示するなど、時系列的であれば、表示効果を達成できる。
尚、ここでは、かご間隔偏り指標とかご間隔の偏りに対する評価を例に挙げたが、未発生呼びの潜在的な長待ち指標と未発生呼びの潜在的な長待ちに対する評価の場合でも同様の効果を得ることができる。
登録呼びに対する待ち時間評価値の寄与度の様相を示すグラフFG04は、横軸に時間、縦軸に登録呼びに対する待ち時間評価値の寄与度を取り、登録呼びに対する待ち時間評価値の寄与度の時間的推移を線FG04Aで示している。また、かご間隔評価値の寄与度、または未発生呼びの潜在的長待ちに対する評価値の寄与度の時間的様相を示すグラフFG05は、横軸に時間、縦軸に、かご間隔評価値の寄与度、または未発生呼びの潜在的長待ちに対する評価値の寄与度を取っている。これにより、かご間隔評価値の寄与度、または未発生呼びの潜在的長待ちに対する評価値の寄与度の時間的推移を線FG05Aで表している。
これら2つのグラフによって、性能指標のグラフFG03の予測値と実際値との差について、その差に対して各評価項がどのように作用したかを明確に分析することができる。例えば、性能指標のグラフFG03において、グラフの横軸の10:10付近の時間帯(グラフの左端から約1/3過ぎた時点の付近)で、かご間隔の偏り指標の予測値を実際値が上回っている。つまり、かご間隔の偏り評価が適正に働いていない可能性が疑われる。そこで、その時間帯で割当て評価がどのような状態になっているかを、登録されている呼びに対する待ち時間評価値の寄与度のグラフFG04とかご間隔評価値の寄与度のグラフFG05で確認してみる。各グラフの10:10付近の時間帯を見ると、登録されている呼びに対する待ち時間評価値の寄与度は値が大きくなっており、これに対して、かご間隔評価値の寄与度は値が小さくなっている。従って、この時間帯は、登録されている呼びに対する待ち時間を最優先にして割当ててため、かご間隔評価の結果はあまり反映されず、その結果、かご間隔の偏り指標も実際値が予測値よりも悪くなったと分析できる。言い換えると、その時間帯では、未発生の呼びよりも実際に発生している呼びを優先しなければならない状況、つまり実際に発生している呼びの待ち時間が長くなっている状況となっている。したがって、実際に発生している呼びの待ち時間を下げる制御を優先したという状況であったことが分かる。
このように、かご間隔の偏り指標の予測値と実際値の比較だけでは、割当て評価が適正に働いているか分からない場合がある。そのとき、登録されている呼びに対する待ち時間評価値の寄与度とかご間隔評価値の寄与度の様相を合わせて示すことによって、評価の作用の詳細を分かり易く理解することができる。
尚、上記は、かご間隔の偏り指標とかご間隔評価値の寄与度の場合を例に挙げたが、未発生呼びの潜在的な長待ち指標と未発生呼びの潜在的な長待ちに対する評価の場合でも同様の効果を得ることができる。
図7は、本発明の他の実施例による群管理エレベータのデータ表示装置の画面表示例であり、図6の制御データのグラフに対して、統計処理演算部103(図5)による平均化処理を実施しなかった場合の例を表している。図7の4つの各グラフFG02、FG03、FG04、FG05は、図6と同じ内容を示すグラフであるが、制御データは平均化処理を実施していない。このため、予測値と実際値のグラフFG03、寄与度のグラフFG04、およびFG05のそれぞれは、波形の時間的変動が激しく、グラフの特徴が分かりにくい。これに対して、図6のグラフでは、平均化処理により、大域的な特徴が分かり易く抽出されている。このように大域的な特徴を抽出することが、統計処理演算部103(図5)による平均化処理の効果である。
図8は、本発明の一実施例による制御データ演算部(図3)の処理フローチャートを表している。以下、処理の流れを説明する。性能指標値は所定の周期で値が更新される。性能評価の更新時間となった場合には(ST1)、予測性能指標値を演算して(ST2)、実際の性能指標値を演算する(ST3)。評価値の寄与度は割当て評価を実施毎に値が算出される。従って、新規の乗り場呼びが発生したかどうかを判定して(ST4)、乗り場呼びが発生して割当て評価が実行されると、この評価結果に基づいて、まず登録されている呼びに対する評価値の寄与度を算出する(ST5)。次に、未発生呼びに対する評価値の寄与度を算出する(ST6)。
図9は、本発明の一実施例による性能指標値の演算処理のフローチャートを表している。性能指標値は、図2のように割当て評価項目によって2種類に大別できるが、図9では、近接するかご間の間隔の偏り具合に対する指標を例にとる。処理の流れは、予測かご間隔指標値の計算処理と現時点のかご間隔指標値(実際のかご間隔指標値)の計算処理の2つから成る。以下、処理の流れを説明する。まず、かご間隔を予測する予測時点を入力する(ST21A)。この予測時点は例えばかごの1周時間先のようになる。次に、この予測時点における各かごの位置と方向の情報、もしくは各かごの予測軌跡の情報を入力する(ST22A)。これらの情報から、予測時点における近接する各かご間の間隔が算出して、さらに各かご間隔の値からかご間隔の偏り指標の予測値が算出できる(ST23A)。このかご間隔の偏り指標は、各かご間隔のばらつきを表す指標であり、例えば、各かご間隔の値の分散に基づいて算出できる。次に、現時点(その処理を行う時点)のかご間隔指標値の算出となるが、まず各かごの現在位置と方向の情報を入力する(ST31A)。この情報を基にして、現時点における近接する各かご間の間隔を算出でき、各かごの間隔値から現時点でのかご間隔の偏り指標を算出できる(ST32A)。
図10は、本発明の一実施例による性能指標値の演算処理のフローチャートを表しており、ここでは、性能指標値として、未発生呼びに対する長待ち時間の指標を例に取っている。処理全体は、未発生呼びに対する長待ち指標の算出処理と実際に発生した長待ち指標の算出処理から成る。以下、処理の流れを説明する。まず、現時点(その処理を行う時点)において、潜在的な長待ち発生の予想階を検索する(ST21B)。これは、例えば、乗り場呼びが発生していない各階に対して、各かごの到着予測時間を計算して、その時間が長い階が潜在的な長待ち発生の予想階として検索できる。次に、潜在的な長待ち予想階の検索結果を基に、未発生呼びに対する長待ち指標が計算される(ST22B)。この指標は、例えば、長待ち予想階の中の最大長待ち時間、長待ち予想階の数または割合、長待ち予想階の待ち時間の平均値などによって算出できる。次に、乗り場呼び階にサービスしたかごが発生したかどうかを判定し(ST31B)、そのようなかごが発生した場合は、その乗り場呼びに対する実際の待ち時間を算出する(ST32B)。この値を、その乗り場呼び発生時点の情報と共に記録する(ST33B)。このようにして記録していった実際の待ち時間記録を基にして、過去のある時間における実際の長待ち指標が算出できる(ST34B)。実際の長待ち指標についても、未発生呼びに対する長待ち指標と同様に、最大長待ち時間、所定時間以上の長待ち発生率、長待ち時間の平均値などによって算出することができる。
図11は、本発明の一実施例による登録されている呼びに対する待ち時間評価値の寄与度に対しての算出法の処理フローチャートを表している。以下、処理の流れを説明する。まず、乗り場呼び割当てが発生したかどうかを判定する(ST51)。乗り場呼び割当てが発生した場合は、次に各かごに登録されている呼びの待ち時間評価値に対して、小さい順にソーティングして、順位を計算する(ST52)。ここで、k号機のかごの順位をkw(k)とおく。割当て評価によって、最終的に割当て決定したかごをka号機とする。このka号機の順位はkw(ka)となる。このka号機の順位kw(ka)を用いて、登録されている呼びに対する待ち時間評価値の寄与度Vw(ka)は式(3)によって算出できる。
Vw(ka)=(N−kw(ka))×100/(N−1)……………………(3)
ここで、Nは群管理されているエレベータ台数を表している。
例えば、群管理台数が3台で、割当て決定かご(3号機とする)の本評価値における順位kw(ka=3)を1(1位)とすると、式(3)より、寄与度Vw(ka=3)=100(%)となる。実際、割当て決定かごは登録されている呼びに対する待ち時間評価値で1位であるため、この評価値の割当て評価への寄与度は高い値となるはずであり、そのようになっている。同様に、kw(ka=3)を2(2位)、kw(ka=3)を3(3位)とすると、それぞれ、Vw(ka=3)=50(%)、Vw(ka=3)=0(%)となる。このように、割当て決定かごの順位を基にすることで、その割当て評価項目の割当て決定への寄与度を式(3)により定量評価することできる。
図12は、本発明の一実施例によるかご間隔の偏りの評価に対する寄与度の算出法の処理フローチャートを表している。評価値が異なるだけで、寄与値算出の流れは図11と同じになる(処理の流れの説明は省略する)。かご間隔の偏りの評価に対する寄与度の算出式は式(4)のようになる。
Vi(ka)=(N−ki(ka))×100/(N−1)……………………(4)
ここで、kaは割当て決定かご号機名、Vi(ka)はかご間隔の偏りの評価に対する寄与度、ki(ka)はka号機のかご間隔偏り評価における順位、Nは群管理されているエレベータ台数を表している。式(4)を用いることにより、式(3)の場合と同様に、かご間隔の偏り評価の割当て決定への寄与度を定量評価することできる。
図13は、本発明の一実施例による未発生の乗り場呼びに対する長待ち評価に対しての寄与度の算出法の処理フローチャートを表している。評価値が異なるだけで、寄与値算出の流れは図11と同じになるので、処理の流れの説明は省略する。未発生の乗り場呼びに対する長待ち評価に対しての寄与度の算出式は式(5)のようになる。
Vl(ka)=(N−kl(ka))×100/(N−1)……………………(5)
ここで、kaは割当て決定かご号機名、Vl(ka)は未発生の乗り場呼びに対する長待ち評価に対しての寄与度、kl(ka)はka号機の未発生の乗り場呼びに対する長待ち評価における順位、Nは群管理されているエレベータ台数を表している。式(5)を用いることにより、式(3)の場合と同様に、未発生の乗り場呼びに対する長待ち評価の割当て決定への寄与度を定量評価することできる。
図14は、本発明による群管理エレベータのデータ表示装置の他の実施例構成図であり、実際の群管理エレベータ装置ではなく、データ表示装置をもつ計算機シミュレータを想定した構成図である。従って、印刷装置5を除いた全ての要素が群管理シミュレータ9に含まれている。このシミュレータは、計算機(コンピュータ、マイコン、パソコン等)上でソフトウエアによって実現される。シミュレータのため、図14の各要素は図1と機能的には同じになる。ハードウエアの装置については、ソフトウエアで模擬される。例えば、図1のエレベータ装置61、62、…6n、エレベータ制御装置71、72、…7n、乗り場呼び登録装置81,82、…がそれぞれの模擬部61S、62S、…6nS、模擬部71S、72S、…7nS、模擬部81S、82S、…となる。さらに、図1のエレベータ群管理装置10、制御データ表示装置20といったハードウエアによる切り分けは、図14では無くなっている。この他、データ伝送は、シミュレータ内部で直接実施できるため、記録媒体や通信回線を経由せず、記録部105と表示出力部21の間で直接データが伝送される。
図14に示したエレベータ群管理システムの例はシミュレータであり、図1と構成要素の実態がハードウエアかソフトウエアかの違いはあるが、各要素の働きは全く同じであり、これまで述べてきたものと同じ働きをして、同じ効果を得ることができる。
図15は、本発明による群管理エレベータのデータ表示装置が使用される状況を表している。その状況は、計画時と稼動時の2つのフェーズに大きく分けることができる。
計画時は、ビルがまだ計画段階であり、エレベータを購入するお客様に対して、エレベータ製造・販売事業者が、エレベータ群管理システムの特徴、仕様、性能などを説明する場合が考えられる。この時に、仮想的にビルが竣工した後の群管理の運行状況、特に制御の性能を説明するような場面も発生することが考えられる。このような場合には、図14に示したシミュレータによる実施形態が適用できる。群管理シミュレータ9により、図6のような画面やプリントアウト結果を示すことで、群管理制御の特徴である割当て評価の働きを分かりやすく示すことができる。
製品が納入され、エレベータおよび群管理が既に稼動している状態では、エレベータの保守サービス事業者が、群管理の運行状態をチェックしたり、エレベータを購入したお客様に稼動の状況・効果を説明するような場合が考えられる。このような場合は、図1の実施形態が当てはまる。実際に稼動している群管理エレベータに対して、実測の制御データを収集して、図6のような画面やプリントアウト結果を示すことで、割当て評価の働きを分かりやすく示すことができ、評価が適正に働いているかどうかを評価できる。万一、適正でない場合も、図6の結果からすぐにそれを判断できるため、性能の改善へとつなげることができる。また、群管理の不明な動きに対して、お客様(エレベータの所有者)から説明を求められた場合でも、図6のような結果を示すことで、分かり易く制御の働きを説明することができる。
最後に、図1の実施例について補足すると、図1の実施例の構成では統計処理演算部103をエレベータ群管理装置10内に設けていたが、制御データ表示装置20内に設けることも可能である。この場合、平均値を計算する時間範囲またはサンプル数を制御データ表示装置側で自由に設定できる利点があり、状況に応じて上記の時間範囲を調整するなどして、より柔軟にいろいろな平均の取り方による分析が可能となる。
本発明の一実施例による群管理エレベータのデータ表示装置を備えたエレベータ群管理システムの構成図。 エレベータ群管理制御における割当て評価指標に含まれる評価項目の特徴と働きの指標について整理した図。 本発明の一実施例による制御データ演算部の詳細機能構成図。 本発明の一実施例において、先の時点でのかご間隔評価と、未発生乗り場呼びの待ち時間評価に対して、予測性能指標と実際の性能指標を整理した図。 本発明の一実施例による統計処理演算部の詳細機能構成図。 本発明の一実施例による群管理エレベータのデータ表示装置の画面表示例。 本発明の他の実施例による群管理エレベータのデータ表示装置の画面表示例。 本発明の一実施例による制御データ演算部(図3)の処理フローチャート。 本発明の一実施例によるかご間隔性能指標値の演算処理のフローチャート。 本発明の一実施例による長待ち性能指標値の演算処理のフローチャート。 本発明の一実施例による登録されている呼びに対する待ち時間評価値の寄与度に対しての算出法の処理フローチャート。 本発明の一実施例によるかご間隔の偏りの評価に対する寄与度の算出法の処理フローチャート。 本発明の一実施例による未発生の乗り場呼びに対する長待ち評価に対しての寄与度の算出法の処理フローチャート。 本発明による群管理エレベータのデータ表示装置の他の実施例であるデータ表示装置をもつ計算機シミュレータの構成図。 本発明による群管理エレベータのデータ表示装置が使用される状況図。
符号の説明
61〜6n…エレベータ装置、71〜7n…エレベータ制御装置、81〜83…乗り場呼び登録装置、10…エレベータ群管理装置、101…群管理制御部、102…制御データ演算部、103…統計処理演算部、104…時刻データ部、105…記録部、20…制御データ表示装置、21…表示出力部、22…表示条件設定部、3…記録媒体、4…通信回線、5…印刷装置、FG01…表示画面例、9…データ表示装置をもつ計算機シミュレータ。

Claims (24)

  1. 複数台のエレベータの運行を管理し、登録された乗り場の呼びに割当てるエレベータかごを複数の評価項目を含む割当て評価指標に基づいて選択する群管理エレベータのデータ表示方法において、群管理制御の性能指標の予測値と実際値またはこれら予測値と実際値の関係を時系列的に表示することを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  2. 複数台のエレベータの運行を管理し、登録された乗り場の呼びに割当てるエレベータかごを複数の評価項目を含む割当て評価指標に基づいて選択する群管理エレベータのデータ表示方法において、群管理制御の性能指標の予測値と実際値またはこれら予測値と実際値の関係を時間軸上で表示することを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  3. 請求項1または2において、前記予測値と実際値の差を演算し、この差に応じた幅を時系列的に表示することを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  4. 複数台のエレベータの運行を管理し、登録された乗り場の呼びに割当てるエレベータかごを複数の評価項目を含む割当て評価指標に基づいて選択する群管理エレベータのデータ表示方法において、群管理の性能指標を時系列的に表示するとともに、乗り場呼びに対する割当てへの、前記評価項目の寄与度を時系列的に表示することを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  5. 請求項4において、前記性能指標の時系列的表示は、性能指標の予測値および/または実際値を表示することを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  6. 請求項4または5において、前記評価項目の寄与度は、当該評価項目における全かご中の評価順位に基づくことを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  7. 請求項4〜6のいずれかにおいて、前記評価項目の寄与度として、待ち時間を評価項目とする寄与度を時系列的に表示することを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  8. 請求項7において、前記待ち時間は、発生した乗り場呼びおよび/または未発生の予測乗り場呼びに対する待ち時間であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  9. 請求項4〜6のいずれかにおいて、前記評価項目の寄与度として、近接するかご間の時間的または空間的間隔を評価項目とする寄与度を時系列的に表示することを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかにおいて、前記性能指標は、近接する各かごの時間的または空間的な間隔の偏り具合を表す指標であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  11. 請求項1〜9のいずれかにおいて、前記性能指標は、乗り場での待ち時間または乗り場への到着時間に対する指標であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかにおいて、前記性能指標の予測値と実際値は、それぞれ時間平均された値であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示方法。
  13. 複数台のエレベータの運行を管理し、登録された乗り場の呼びに割当てるエレベータかごを複数の評価項目を含む割当て評価指標に基づいて選択する群管理エレベータのデータ表示装置において、群管理制御の性能指標の予測値を演算する手段と、前記性能指標の実際値を計測する手段と、前記性能指標の予測値と実際値またはこれら予測値と実際値の関係を時系列的に表示する表示手段を備えたことを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  14. 複数台のエレベータの運行を管理し、登録された乗り場の呼びに割当てるエレベータかごを複数の評価項目を含む割当て評価指標に基づいて選択する群管理エレベータのデータ表示装置において、群管理制御の性能指標の予測値を演算する手段と、前記性能指標の実際値を計測する手段と、前記性能指標の予測値と実際値またはこれら予測値と実際値の関係を時間軸上で表示する表示手段を備えたことを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  15. 請求項13または14において、前記予測値と実際値の差を演算する手段と、この予測値と実際値の差に応じた幅を時系列的に表示する手段を備えたことを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  16. 複数台のエレベータの運行を管理し、登録された乗り場の呼びに割当てるエレベータかごを複数の評価項目を含む割当て評価指標に基づいて選択する群管理エレベータのデータ表示装置において、群管理制御の性能指標を演算する手段と、この性能指標を時系列的に表示する手段と、乗り場呼びへの割当てに対する前記評価項目の寄与度を演算する手段と、この評価項目の寄与度を時系列的に表示する手段を備えたことを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  17. 請求項16において、前記性能指標を時系列的に表示する手段は、性能指標の予測値および/または実際値を表示する手段であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  18. 請求項16または17において、前記評価項目の寄与度を演算する手段は、当該評価項目における全かご中の評価順位に基づいて演算する手段であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  19. 請求項16〜18のいずれかにおいて、前記評価項目の寄与度を時系列的に表示する手段は、待ち時間を評価項目とする寄与度を時系列的に表示する表示手段であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  20. 請求項19において、前記待ち時間は、発生した乗り場呼びおよび/または未発生の予測乗り場呼びに対する待ち時間であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  21. 請求項16〜18のいずれかにおいて、前記評価項目の寄与度を時系列的に表示する手段は、近接するかご間の時間的または空間的間隔を評価項目とする寄与度を時系列的に表示する表示手段であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  22. 請求項13〜21のいずれかにおいて、前記性能指標は、近接する各かごの時間的または空間的な間隔の偏り具合を表す指標であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  23. 請求項13〜21のいずれかにおいて、前記性能指標は、乗り場での待ち時間または乗り場への到着時間に対する指標であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
  24. 請求項13〜23のいずれかにおいて、前記性能指標の予測値と実際値は、それぞれ時間平均された値であることを特徴とする群管理エレベータのデータ表示装置。
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