JP2008013080A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自動変速機のダウンシフト時に、スロットル開度を補正してエンジン出力トルクを増加させると共に、ニュートラル又は目標変速段よりも低速側の変速段に一時的に変速させることで、自動変速機の入力軸回転速度(タービン回転速度)を、変速後の入力軸回転速度にまで早期に上昇させる。
【選択図】図2
Description
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、自動変速機の入力軸回転速度の上昇を早めることができ、以って、変速ショックのないダウンシフトをより短い時間で行わせることができる自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
上記発明によると、変速機の変速比を目標変速段よりも大きくすることで、エンジンの外部負荷(駆動負荷)を減らし、以って、入力軸回転速度を変速後の速度に向けて上昇させる。
請求項2記載の発明では、目標変速段よりも変速比の大きな状態を、ニュートラル状態とすることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、目標変速段よりも変速比の大きな状態を、目標変速段よりも低速側の変速段とすることを特徴とする。
尚、自動変速機の変速段を一時的に目標変速段よりも低速側の変速段又はニュートラル状態にする制御は、目標変速段よりも低速側の変速段に向けての操作や、ニュートラル状態に向けての操作を行うものであれば良く、目標変速段よりも低速側の変速段に完全に切り換り、又は、ニュートラル状態に完全に切り換ることを要件とするものではない。
図1は、本発明に係る自動変速機の制御装置を含む車両のパワー・トレイン・システムを示す。
図1において、車両に搭載されるエンジン(内燃機関)1の発生トルクが、自動変速機2を介して図外の駆動輪に伝達される。
前記自動変速機2は、前記エンジン1の出力軸にポンプ側が連結されるトルクコンバータ21と、このトルクコンバータ21のタービン側に連結される歯車式変速機22と、前記変速機22に含まれる各変速要素(クラッチ等)の締結・解放操作を行う油圧制御機構23とを備える。
前記油圧制御機構23は、自動変速機コントロールユニット24(ATCU)によって制御される。
また、各コントロールユニット13,24には、各種センサからの検出信号が入力される。
前記自動変速機コントロールユニット24は、自動変速モードでは、アクセル開度APOと車速VSPとに応じて目標変速段を決定し、また、手動変速モードでは、運転者のシフトレバー操作に応じて目標変速段を決定し、そのときの実際の変速段と前記目標変速段とが異なる場合に変速要求の発生を判断し、前記目標変速段に変速させるべく前記油圧制御機構23(ソレノイド)を制御する。
図2のフローチャートは、上記のダウンシフト時の変速ショックを低減させるための制御の詳細を示す。
ダウンシフト判定中でない場合には、変速ショックを低減するための制御は不要であるので、そのまま本ルーチンを終了させる。
尚、ダウンシフト判定がなされると通常の変速制御が行われ、例えば3速→2速のダウンシフト時であれば、図3に示すように、3速圧(3速での摩擦係合要素の締結圧)をステップ的に所定の中間値にまで減少させた後徐々に低下させ、タービン回転速度Nt(変速機22の入力軸回転速度)が変速後の目標タービン回転速度NtDに一致した時点で前記3速圧をステップ的に最小値にまで低下させる。
ステップS2では、タービン回転速度Ntが増大変化し始めたか否かを判断することで、2速への変速開始時点を検出する。
タービン回転速度Ntが増大変化し始めたことが検出されるまでは、ステップS3へ進む。
尚、前記スロットル開度の増大補正においては、目標タービン回転速度に基づいて開度補正量(トルク増大量)をフィードバック制御することができ、また、開度補正量(トルク増大量)をそのときのエンジン回転速度や変速後の変速段に基づいて可変に設定することができる。
次のステップS4では、変速機22の変速段を一時的に、ニュートラル状態とするか、又は、目標変速段よりも低速側の変速段にする油圧制御を行う。
変速機22を目標変速段よりも変速比の大きなニュートラル状態又は低速段にすると、エンジン1の外部負荷が減り、更に、エンジン出力トルクを増加させてあるので、エンジン回転を早期に吹き上がらせることができる。
これにより、タービン回転速度Ntを早期に吹け上がらせることができ、エンジン出力トルクの増大のみを行う場合に比べて変速時間を短くできる(図3参照)。
また、目標変速段よりも低速側の変速段にする場合には、ダウンシフトの目標変速段よりも更に低速側の変速段に向けた油圧制御を行えばよく、目標変速段よりも低速側の変速段に向けた締結・解放制御を完遂させる必要はない。
ステップS5では、スロットル開度TVO(エンジン出力トルク)をアクセル開度等に基づく通常値TVOACに戻してエンジン出力トルクの増大補正を停止させる。
更に、次のステップS6では、各変速要素の油圧を通常値にまでステップ的に戻して、回転上昇のためのニュートラル状態をキャンセルさせる。
尚、タービンセンサ54を備えない場合には、クランク角センサ52で検出されるエンジン回転速度をタービン回転速度に代えて用いることができる。
ダウンシフト判定中でない場合には、変速ショックを低減するための制御は不要であるので、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、ダウンシフト判定中であれば、変速ショックを低減するための制御を実行すべく、ステップS13以降へ進む。
ステップS13では、車速センサ53で検出される現在の車速VSPと今回のダウンシフトにおける目標変速段(ダウンシフト後の変速段)とから、変速後におけるタービン回転速度NtD(変速機22の入力軸回転速度)を推定する。
ステップS15では、前記時間tcが閾値th未満であるか否かを判断する。
るための制御を継続することで、変速時間の短縮を図れると判断して、ステップS16へ進む。
一方、前記時間tcが閾値th未満であるときには、変速後のタービン回転速度NtDに実際のタービン回転速度Ntが達するまでの時間が僅かであり、現時点以降にタービン回転速度Ntを高くするための制御を停止させたのでは、応答遅れによってタービン回転を高くするための制御が過剰に継続されることになって、かえって変速ショックを増大させる可能性があると判断して、ステップS18へ進む。
自動変速機2の作動油(ATF)の温度が高く、作動油(ATF)の粘性が低い場合には、前記油圧制御機構23が高いレスポンスで動作することが可能であり、温度が低いときに比べて、変速を短時間で完了させることができる。
一方、自動変速機2の作動油(ATF)の温度が低く粘性が高いと、変速を完了させるのに時間を要するため、タービン回転速度Ntが変速後のタービン回転速度NtDに充分に近づいてから回転上昇手段の作動を停止させると、回転速度が大きく落ち込んでから、変速動作で回転上昇を促すことになって、大きな変速ショックを発生させる可能性がある。
また、変速機22の入力軸トルクが低いためにライン圧が比較的低く設定されている場合には、大きなトルク変化がない条件であるために運転者がショックに敏感となるが、変速機22の入力軸トルクが高いためにライン圧が比較的高く設定されている場合には、大きなトルク変化が発生し得る条件であるために、運転者がショックを許容する傾向となる。
更に、変化速度ΔNtが早いほど、過剰にタービン回転を上昇させる可能性が高くなるので、前記閾値thを大きく変更する。
尚、前記スロットル開度の増大補正においては、目標タービン回転速度に基づいて開度補正量(トルク増大量)をフィードバック制御することができ、また、開度補正量(トルク増大量)をそのときのエンジン回転速度や変速後の変速段に基づいて可変に設定することができる。
次のステップS17では、変速機22を一時的にニュートラル状態とする油圧制御を行
う。
変速機22をニュートラル状態にすると、エンジン1の外部負荷が減り、更に、エンジン出力トルクを増加させてあるので、エンジン回転を早期に吹き上がらせることができる。
これにより、同期回転であるタービン回転速度NtDにまで短時間で上昇させることができ、変速ショックを低減しつつ、エンジン出力トルクの増大のみを行う場合に比べて変速時間を短くできる。
上記のように、エンジン出力トルクの増加と、ニュートラル状態への変更とを行うことでタービン回転速度を早期に上昇させ、このときの上昇速度で変速後のタービン回転速度NtDに到達すると予測される時間tcが閾値th未満になると、ステップS16からステップS18へ進む。
次のステップS19では、変速機22をニュートラル状態とする油圧制御を停止し、ダウンシフト後の目標変速段にすべく油圧を制御する。
ここでは、ダウンシフト後の目標変速段を実現するために締結させる変速要素の指示油圧を、ステップ的に増大させても良いし、タービン回転速度NtDに到達する時間tcが推定されているので、前記時間tcで完全締結状態に移行させるべく、そのときの指示油圧と完全締結時の目標圧との差を前記時間tcで除算して、指示油圧の変化速度を求め、前記変化速度に従って指示油圧を漸増させることができる。
アクセルを全閉にした減速に伴う車速の低下により目標変速段が3速から2速に切り換ると、目標スロットル開度をアクセル開度に対応する全閉から所定値TVODにまで増大させることで、エンジン出力トルクを強制的に増加させる。
また、前記エンジン出力トルクの増加に並行して、3速→2速の変速要求に対応させるべく、3速で締結し2速で解放されるべき変速要素の油圧(3速圧)を最大圧からステップ的に減少変化させた後に更に漸減させるようにし、また、同時に、変速前後で最大圧に保持されるべき締結圧(2速圧)も最大圧から所定値にまで低下させて保持させることで、実質的なニュートラル状態とする。
。
ここで、2速圧を最大圧にまで戻すときに、前記時間tcで最大圧にまで増大変化させることができる。
また、エンジン出力トルクの増大制御と、ニュートラル状態又は目標変速段よりも低速段への変速(目標変速段よりも変速比が大きい状態への変速)とを併用せずに、ニュートラル状態又は目標変速段よりも低速段への一時的な変速のみを行って、エンジン回転速度(変速機22の入力軸回転速度)の上昇を図ることも可能である。
次に、上記の実施形態から把握し得る請求項に記載以外の発明について、以下にその作用効果と共に記載する。
(イ)ダウンシフト時に、変速比を一時的に目標変速段よりも変速比の大きな状態にすると共に、エンジン出力トルクを増大させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置。
従って、変速ショックの発生を回避しつつ、変速時間を最大限に短くできる。
(ロ)実際の入力軸回転速度が変速後の目標入軸回転速度に到達するまでの時間を予測し、前記変速後の目標入軸回転速度に到達する所定時間前に、前記目標変速段よりも変速比の大きな状態をキャンセルすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置。
(ハ)変速後の目標入軸回転速度と実際の入力軸回転速度と実際の入力軸回転速度の変化速度とから、前記変速後の目標入軸回転速度に到達するのに要する時間を逐次予測し、該予測時間が閾値未満になった時点で、前記目標変速段よりも変速比の大きな状態をキャンセルすることを特徴とする請求項(ロ)記載の車両用自動変速機の制御装置。
(ニ)前記閾値を、変速機の作動油の温度、変速機の入力軸トルク、実際の入力軸回転速度の変化速度のうちの少なくとも1つに応じて可変に設定することを特徴とする請求項(ハ)記載の車両用自動変速機の制御装置。
Claims (3)
- 自動変速機のダウンシフト時に、前記自動変速機の変速比を一時的に目標変速段よりも変速比の大きな状態にして、変速機の入力軸回転速度を上昇させることを特徴とする自動変速機の制御装置。
- 前記目標変速段よりも変速比の大きな状態が、ニュートラル状態であることを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御装置。
- 前記目標変速段よりも変速比の大きな状態が、目標変速段よりも低速側の変速段であることを特徴とする請求項1記載の自動変速機の制御装置。
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