JP2008012861A - 金属製スタンパ、金属製スタンパの製造方法、パターン転写成形システム - Google Patents
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Abstract
【課題】プレス成形の際に微細パターンを転写した熱可塑性プラスチックと容易に剥離する金属製スタンパを提供すること。
【解決手段】2層型の金属製スタンパ10の凹凸パターン4を有する信号面3側の第1金属層1と裏面5側の第2金属層2とが、線膨張率(β)が異なる2種類の金属によりそれぞれ構成され、プレス成形で素材シートに凹凸パターン4を転写後、押圧を解除すると、信号面3を下側にして凹型若しくは凸型に反る変形が生じ、素材シートと容易に剥離する。
【選択図】図1
【解決手段】2層型の金属製スタンパ10の凹凸パターン4を有する信号面3側の第1金属層1と裏面5側の第2金属層2とが、線膨張率(β)が異なる2種類の金属によりそれぞれ構成され、プレス成形で素材シートに凹凸パターン4を転写後、押圧を解除すると、信号面3を下側にして凹型若しくは凸型に反る変形が生じ、素材シートと容易に剥離する。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属製スタンパ等に関し、より詳しくは、シート状被転写物との剥離性が向上した金属製スタンパ等に関する。
近年、ナノメートルサイズの微細パターンを有し、極めて精密な形状が作製されたスタンパが、射出成型、加温成型(ホットエンボス)、加圧成型或いは鋳造成型(キャスティング)等、様々な手法でパターン転写用として用いられる。
微細なパターン転写技術はナノインプリント技術と称される。ナノインプリント技術は、半導体やMEMS(Micro Electro−Mechanical System)、或いはμ−TAS(Micro−Total Analysis System)と呼ばれる分野で使用されており、ナノメートルサイズの微細パターンを有するスタンパを樹脂等に押し付け、樹脂表面に微細パターンが転写される。
微細なパターン転写技術はナノインプリント技術と称される。ナノインプリント技術は、半導体やMEMS(Micro Electro−Mechanical System)、或いはμ−TAS(Micro−Total Analysis System)と呼ばれる分野で使用されており、ナノメートルサイズの微細パターンを有するスタンパを樹脂等に押し付け、樹脂表面に微細パターンが転写される。
なかでも、成形体中発生する残留応力が低減されるホットエンボス法と呼ばれるプレス成形法が提案されている(特許文献1参照)。また、プレス成形装置における成形用金型とヒータとを独立の別体に形成し、プレス成形のショットサイクルを高速化する方法が報告されている(特許文献2参照)。
ところで、プレス成形により樹脂表面に微細パターンを転写する場合は、例えば、ナノメートルサイズの微細パターンを有するスタンパを熱可塑性プラスチックの素材シートに押し付け、所定の押圧力をかけた状態で熱可塑性プラスチックのガラス転移温度以上に加熱する。そして、微細パターン転写後に、素材シートとスタンパとを剥離させる。
しかし、この場合、熱可塑性プラスチックとスタンパとが、押圧力と加熱によって強固に密着し、容易に剥離しないという問題がある。また、微細パターンを有するスタンパは、膜厚の均一性を高めるという観点から、その厚さが200μm〜400μm程度の金属製の薄い円盤である。そのため、熱可塑性プラスチックとスタンパとを強引に剥離しようとすると、素材シートが塑性変形しやすい。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、微細パターンを転写した熱可塑性プラスチックと容易に剥離する金属製スタンパを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、微細パターンを有する金属製スタンパの製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、金属製スタンパを用いる微細パターン複写成形システムを提供することにある。
即ち、本発明の目的は、微細パターンを転写した熱可塑性プラスチックと容易に剥離する金属製スタンパを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、微細パターンを有する金属製スタンパの製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、金属製スタンパを用いる微細パターン複写成形システムを提供することにある。
そこで本発明者は鋭意検討の結果、樹脂製シートとスタンパの密着部分の一部分が剥離すると、その後、樹脂製シートの残留応力により、シートとスタンパとが容易に剥離することを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成した。
かくして本発明によれば、熱可塑性プラスチックのシートに転写する微細パターンを有する金属製スタンパであって、微細パターンが形成された信号面と、信号面と反対側の裏面と、を有し、信号面側を構成する金属の線膨張率(β1)と、裏面側を構成する金属の線膨張率(β2)とが異なることを特徴とする金属製スタンパが提供される。
かくして本発明によれば、熱可塑性プラスチックのシートに転写する微細パターンを有する金属製スタンパであって、微細パターンが形成された信号面と、信号面と反対側の裏面と、を有し、信号面側を構成する金属の線膨張率(β1)と、裏面側を構成する金属の線膨張率(β2)とが異なることを特徴とする金属製スタンパが提供される。
ここで、金属製スタンパは、電気めっきにより形成されることが好ましく、その際、信号面側を構成する金属のイオン化傾向が、裏面側を構成する金属のイオン化傾向より小さい(貴)金属を用いることが好ましい。
また、信号面側を構成する金属と裏面側を構成する金属とが、少なくとも、銀Ag、金Au、カドミウムCd、コバルトCo、クロムCr、銅Cu、鉄Fe、ニッケルNi、錫Sn、亜鉛Znのいずれか1種を含むことが好ましい。
これらの中でも、信号面側を構成する金属が銅Cuであり、裏面側を構成する金属がニッケルNiであることがさらに好ましい。
また、信号面側を構成する金属と裏面側を構成する金属とが、少なくとも、銀Ag、金Au、カドミウムCd、コバルトCo、クロムCr、銅Cu、鉄Fe、ニッケルNi、錫Sn、亜鉛Znのいずれか1種を含むことが好ましい。
これらの中でも、信号面側を構成する金属が銅Cuであり、裏面側を構成する金属がニッケルNiであることがさらに好ましい。
次に、本発明によれば、樹脂製シートに微細パターンを転写する金属製スタンパの製造方法であって、電気めっきにより、微細な凹凸パターンを有するガラス原盤表面に第1金属層を形成する第1次めっき工程と、第1金属層表面に、電気めっきにより、第1金属層を構成する金属の線膨張率(β1)とは異なる線膨張率(β2)の金属からなる第2金属層を形成する第2次めっき工程と、第1金属層及び第2金属層からなるめっき膜を剥離する剥離工程と、を有することを特徴とする金属製スタンパの製造方法が提供される。
ここで、第2層目の金属めっき膜を形成する第2次めっき工程は、第1金属層の金属と比較してイオン化傾向が大きい(卑)金属を電気めっきすることが好ましい。
さらに、第1次めっき工程は、銅めっき膜からなる第1金属層を形成し、第2次めっき工程は、ニッケルめっき膜からなる第2金属層を形成することが好ましい。
さらに、第1次めっき工程は、銅めっき膜からなる第1金属層を形成し、第2次めっき工程は、ニッケルめっき膜からなる第2金属層を形成することが好ましい。
また、本発明によれば、ディスク状の金属製スタンパを用いて樹脂シートに微細パターンを転写するパターン転写成形システムにおいて、金属製スタンパ及び樹脂シートを所定の圧力で押圧する押圧手段と、金属製スタンパ及び樹脂シートを所定の温度に加熱する加熱手段と、を備え、金属製スタンパ及び樹脂シートの押圧を解除した後、金属製スタンパの内周側もしくは外周側から、金属スタンパと樹脂シートとの剥離が開始することを特徴とするパターン転写成形システムが提供される。
本発明の金属製スタンパを用いると、微細パターンを転写した熱可塑性プラスチックのシートと容易に剥離することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
図1は、本実施の形態が適用される金属製スタンパの一例を説明するための図である。図1(a)に示す金属製スタンパ10は、2種類の異なる金属からそれぞれ形成された2層型構造を有し、微細な凹凸パターン4を有する信号面3側の第1金属層1と、信号面3と反対側の裏面5を有する第2金属層2とから構成されている。
図1は、本実施の形態が適用される金属製スタンパの一例を説明するための図である。図1(a)に示す金属製スタンパ10は、2種類の異なる金属からそれぞれ形成された2層型構造を有し、微細な凹凸パターン4を有する信号面3側の第1金属層1と、信号面3と反対側の裏面5を有する第2金属層2とから構成されている。
金属製スタンパ10の厚さ(a)は、通常、100μm〜600μm、好ましくは、200μm〜500μm、さらに好ましくは300μmである。
また、第1金属層1の厚さ(a1)は、通常、金属製スタンパ10の厚さ(a)の(5/6)以下、好ましくは、(2/3)以下である。第2金属層2の厚さ(a2)は、通常、金属製スタンパ10の厚さ(a)の(1/6)以上、好ましくは、(1/3)以上である。
信号面3に微細な凹凸パターンを有する金属製スタンパ10は、プレス成形時の押圧力に耐えられる強度があればよい。このため、金属製スタンパ10の厚さ(a)が過度に厚いと、厚さ(a)分布が生じ、熱可塑性プラスチックに加わる転写時の圧力にムラが発生し、均一な転写が困難になる場合がある。
また、第1金属層1の厚さ(a1)は、通常、金属製スタンパ10の厚さ(a)の(5/6)以下、好ましくは、(2/3)以下である。第2金属層2の厚さ(a2)は、通常、金属製スタンパ10の厚さ(a)の(1/6)以上、好ましくは、(1/3)以上である。
信号面3に微細な凹凸パターンを有する金属製スタンパ10は、プレス成形時の押圧力に耐えられる強度があればよい。このため、金属製スタンパ10の厚さ(a)が過度に厚いと、厚さ(a)分布が生じ、熱可塑性プラスチックに加わる転写時の圧力にムラが発生し、均一な転写が困難になる場合がある。
第1金属層1と第2金属層2とをそれぞれ形成する金属としては、特に限定されないが、通常、後述する電気めっきが可能な金属が挙げられる。具体的には、銀Ag、金Au、カドミウムCd、コバルトCo、クロムCr、銅Cu、鉄Fe、ニッケルNi、錫Sn、亜鉛Zn等が挙げられる。これらの中でも、銅Cu、ニッケルNiが好ましい。
本実施の形態が適用される金属製スタンパ10は、第1金属層1を構成する金属の線膨張率(β1)と、第2金属層2を構成する線膨張率(β2)とは異なっている。
ここで、所定の温度(T)における固体金属の線膨張率(β)は、下記式により定義される。尚、下記式中、l0は0℃における固体金属の長さである。
ここで、所定の温度(T)における固体金属の線膨張率(β)は、下記式により定義される。尚、下記式中、l0は0℃における固体金属の長さである。
前述した金属の線膨張率(β)は、化学便覧(改訂3版)基礎編II第21〜22頁(発行所:丸善株式会社 昭和59年6月25日発行)によれば、以下の通りである。
即ち、銀Ag(0.913)、金Au(0.1424)、カドミウムCd(0.526)、コバルトCo(0.126)、クロムCr(0.084)、銅Cu(0.162)、鉄Fe(0.1375)、ニッケルNi(0.125)、錫Sn(0.685)、亜鉛Zn(0.530)である。
即ち、銀Ag(0.913)、金Au(0.1424)、カドミウムCd(0.526)、コバルトCo(0.126)、クロムCr(0.084)、銅Cu(0.162)、鉄Fe(0.1375)、ニッケルNi(0.125)、錫Sn(0.685)、亜鉛Zn(0.530)である。
ここで、金属製スタンパ10を構成する第1金属層1の金属の線膨張率(β1)と、第2金属層2の金属の線膨張率(β2)とが異なるとは、2個の線膨張率の差(Δβ=|β1−β2|)が、少なくとも、0.01以上、好ましくは0.03以上であることを意味する。ここで(|β1−β2|)は、β1とβ2との差の絶対値である。
本実施の形態では、金属製スタンパ10の第1金属層1は銅Cu(β1:0.162)を用いて形成され、第2金属層2はニッケルNi(β2:0.125)を用いて形成されている。即ち、第1金属層1の銅Cuの線膨張率(β1)と、第2金属層2のニッケルNiの線膨張率(β2)との差は(Δβ=|β1−β2|)は、0.037(0.162−0.125)となる。
本実施の形態では、金属製スタンパ10の第1金属層1は銅Cu(β1:0.162)を用いて形成され、第2金属層2はニッケルNi(β2:0.125)を用いて形成されている。即ち、第1金属層1の銅Cuの線膨張率(β1)と、第2金属層2のニッケルNiの線膨張率(β2)との差は(Δβ=|β1−β2|)は、0.037(0.162−0.125)となる。
このように、本実施の形態が適用される金属製スタンパ10は、線膨張率(β)が異なる2種類の金属を用いた2層構造とすることにより、後述するように、所定のプレス成形において素材シートとの剥離性が向上する。
即ち、金型に取り付けた金属製スタンパ10を用い、加熱・加圧により素材シートに微細な凹凸パターンを転写した後、金型の押圧を解除すると、線膨張率が異なる2種類の金属の作用により、信号面3を下側にして、凹型若しくは凸型に反る変形が生じる。
即ち、金型に取り付けた金属製スタンパ10を用い、加熱・加圧により素材シートに微細な凹凸パターンを転写した後、金型の押圧を解除すると、線膨張率が異なる2種類の金属の作用により、信号面3を下側にして、凹型若しくは凸型に反る変形が生じる。
ここで、図1(b)に示すように、信号面3を下側にして、金属製スタンパ10を椀状の凹型に反らせる場合、上側の第2金属層2を、下側の第1金属層1の金属より相対的に線膨張率が小さい金属を用いて形成する(β1>β2)。
また、図1(c)に示すように、信号面3を下側にして、金属製スタンパ10を凸型に反らせる場合、上側の第2金属層2を、下側の第1金属層1の金属より相対的に線膨張率が大きい金属を用いて形成する(β1<β2)。
また、図1(c)に示すように、信号面3を下側にして、金属製スタンパ10を凸型に反らせる場合、上側の第2金属層2を、下側の第1金属層1の金属より相対的に線膨張率が大きい金属を用いて形成する(β1<β2)。
このような金属製スタンパ10を構成する線膨張率(β)が異なる2種類の金属の組み合わせは、特に限定されないが、例えば、銅Cu(β:0.162)/ニッケルNi(β:0.125)、鉄Fe(β:0.1375)/銅Cu(β:0.162)、鉄Fe(β:0.1375)/ニッケルNi(β:0.125)等が好ましい。
次に、金属製スタンパの製造方法について説明する。
図2は、金属製スタンパの製造方法を説明するための図である。
(ガラス原盤調製)
先ず、図2(a)に示すようにディスク状のガラス基板11上にシランカップリング剤12をスピンコートし、ポジ型のフォトレジスト13を塗布する。次に、図2(b)に示すように、露光装置を用いてレーザ光でフォトレジスト13にランド/グルーブの潜像を形成する。次に、図2(c)に示すように、アルカリ現像液を用いる現像処理により、ガラス基板11上にフォトレジストパターン14を顕在化させる。
図2は、金属製スタンパの製造方法を説明するための図である。
(ガラス原盤調製)
先ず、図2(a)に示すようにディスク状のガラス基板11上にシランカップリング剤12をスピンコートし、ポジ型のフォトレジスト13を塗布する。次に、図2(b)に示すように、露光装置を用いてレーザ光でフォトレジスト13にランド/グルーブの潜像を形成する。次に、図2(c)に示すように、アルカリ現像液を用いる現像処理により、ガラス基板11上にフォトレジストパターン14を顕在化させる。
続いて、図2(d)に示すように、フォトレジストパターン14をエッチングマスクとして反応性イオンエッチング(RIE)処理を行い、さらに、図2(e)に示すように、ガラス基板11表面に残ったフォトレジスト13を苛性ソーダにより除去し、フォトレジストパターン14が転写されたガラス原盤15を調製する。
(電気めっき)
次に、2段階の電気めっきにより、ガラス原盤15上に異なる2種の金属からなるめっき膜を形成する。先ず、図2(f)に示すように、フォトレジストパターン14が転写されたガラス原盤15上に、例えば、銅Cuをスパッタして導電膜16を形成する。続いて、図2(g)に示すように、導電膜16が形成されたガラス原盤15上に、電鋳により、銅めっき膜17−1(第1金属層)を形成する。
次に、図2(h)に示すように、銅めっき膜17−1上に、電鋳により、ニッケルめっき膜17−2(第2金属層)を形成する。
その後、図2(i)に示すように、銅めっき膜17−1(第1金属層)及びニッケルめっき膜17−2(第2金属層)を剥離し、洗浄、打ち抜き加工を行い、微細な凹凸パターン18aを有する金属製スタンパ18を作製する。
次に、2段階の電気めっきにより、ガラス原盤15上に異なる2種の金属からなるめっき膜を形成する。先ず、図2(f)に示すように、フォトレジストパターン14が転写されたガラス原盤15上に、例えば、銅Cuをスパッタして導電膜16を形成する。続いて、図2(g)に示すように、導電膜16が形成されたガラス原盤15上に、電鋳により、銅めっき膜17−1(第1金属層)を形成する。
次に、図2(h)に示すように、銅めっき膜17−1上に、電鋳により、ニッケルめっき膜17−2(第2金属層)を形成する。
その後、図2(i)に示すように、銅めっき膜17−1(第1金属層)及びニッケルめっき膜17−2(第2金属層)を剥離し、洗浄、打ち抜き加工を行い、微細な凹凸パターン18aを有する金属製スタンパ18を作製する。
ここで、一般に、被めっき物上に金属を析出させ、被めっき物とめっき膜が一体であり、その析出した金属が付着したままの状態で製品になるものを一般にめっきと呼んでいる。
これに対し、電気めっきにより作製した被めっき物から、めっき部分を剥がし、析出した金属部分を製品として使用する場合がある。本実施の形態では、このめっき方法を電鋳と定義し、電鋳により作製されためっき膜を電鋳物と称する。
これに対し、電気めっきにより作製した被めっき物から、めっき部分を剥がし、析出した金属部分を製品として使用する場合がある。本実施の形態では、このめっき方法を電鋳と定義し、電鋳により作製されためっき膜を電鋳物と称する。
電気めっき(電鋳)において使用されるめっき液は、通常、溶媒に、1種又は2種類以上の金属塩、有機電解質、リン酸等の酸、アルカリ物質等の各種電解質を溶解させたものが用いられる。
溶媒としては、極性溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の直鎖状カーボネート類、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
溶媒としては、極性溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の直鎖状カーボネート類、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
金属塩としては、析出させる金属、合金等を考慮して適宜選択される。金属塩の金属としては、例えば、Cu、Zn、Ga、As、Cr、Se、Mn、Fe、Co、Ni、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ru、Rh、Pd、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、W、Po、Re、Os、Ir、Pt等が挙げられる。これらの中でも、Ni、Ag、Au、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Sn、Znが好ましく、さらに、Niが特に好ましい。尚、これらの金属は、それぞれ単独で、または、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
めっき液の主成分である金属塩の具体例としては、例えば、ニッケルめっき液としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル等;銅めっき液としては、結晶硫酸銅、ホウフッ化銅、シアン化銅、ピロリン酸銅等;クロムめっき液としては、クロム酸等;亜鉛めっき液としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛等;カドミウムめっき液としては、酸化カドミウム等;スズめっき液としては、硫酸第一スズ、スズ酸カリ等;銀めっき液としては、シアン化銀等;金めっき液としては、金;白金めっき液としては、塩化白金酸等;ロジウムめっき液としては、ロジウム、リン酸ロジウム等;ルテニウムめっき液としては、ルテニウム錯体等;黄銅めっき液としては、シアン化第一銅等が挙げられる。
尚、電気めっき(電鋳)においては、電流密度の調整または応力緩和剤の添加により、電着応力を制御している。このような、応力緩和剤としては、通常、めっき膜に圧縮応力を生じさせる添加剤(一次添加剤)としては、例えば、サッカリン、1,5−ナフタリンジスルホン酸ナトリウム、1,3,6−トリスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホンアミド等が挙げられる。また、めっき膜17に引張り応力を生じさせる添加剤(二次添加剤)、例えば、クマリン、2−ブチン−1,4−ジオール、エチレンシアンヒドリン、プロパギルアルコール、ホルムアルデヒド、チオ尿素、キノリン、ピリジン等が挙げられる。
図2に示すように、金属製スタンパ18の製造方法において、金属製スタンパ18の微細な凹凸パターン18aが形成された第1金属層(銅めっき膜17−1)は、後に電気めっきされる第2金属層(ニッケルめっき膜17−2)の金属と比較して、イオン化傾向が小さい(貴)金属を用いて形成されることが好ましい。
後から電気めっきされる第2金属層の金属が、第1金属層の金属よりイオン化傾向が大きい(卑)金属の場合、めっき液に浸漬した際に置換めっきにより、密着力が小さいめっき膜が形成される傾向がある。このため、置換めっきを防ぐ表面処理を行う必要が生じる。
後から電気めっきされる第2金属層の金属が、第1金属層の金属よりイオン化傾向が大きい(卑)金属の場合、めっき液に浸漬した際に置換めっきにより、密着力が小さいめっき膜が形成される傾向がある。このため、置換めっきを防ぐ表面処理を行う必要が生じる。
ここで卑金属は、水素原子よりイオン化傾向が大きい(卑)金属原子を言い、K、Ca、Na、Mg、Al、Zn、Fe、Ni、Sn、Pbが挙げられる。また、貴金属は、水素原子よりイオン化傾向が小さい(貴)金属原子を言い、Cu、Hg、Ag、Pt、Auが挙げられる。
また、微細な凹凸パターンを熱可塑性プラスチックシートに転写する際の加熱・加圧による金属製スタンパ18の変形を考慮する必要がある。通常、金属製スタンパ18は、熱により膨張するので、微細な凹凸パターンは、目的とするパターンよりも熱膨張率を考慮して、若干小さめに作製しておく必要がある。
また、通常、熱可塑性プラスチックシートも温度変化により、膨張・収縮する場合があるため、使用する熱可塑性プラスチック及び金属の材質と使用する温度範囲を考慮して、凹凸パターンを作製しておく必要がある。
また、通常、熱可塑性プラスチックシートも温度変化により、膨張・収縮する場合があるため、使用する熱可塑性プラスチック及び金属の材質と使用する温度範囲を考慮して、凹凸パターンを作製しておく必要がある。
本実施の形態で説明したように、線膨張率が異なる2種類の金属からなる金属製スタンパ10,18(図1(a)または図2(i))を用いて、シート状の熱可塑性プラスチックにナノインプリントを行うことができる。
以下に、実施例に基づき本実施の形態をさらに詳細に説明する。なお、本実施の形態は実施例に限定されるものではない。
1.金属製スタンパの調製
(1)ガラス原盤の調製
先ず、微細な凹凸パターンを有するガラス原盤を作製した。次に、ガラス原盤の凹凸パターン表面に銅をスパッタし、厚さ100nm程度の導電膜を形成した。尚、スパッタ以外の導電膜の形成方法としては、蒸着或いは無電解めっきが挙げられる。また、導電性を有する材料を用いて原盤を作製する場合は導電膜を形成する必要はない。
(2)電気めっき
(2−1) 次に、表1に示す組成の硫酸銅めっき浴を用いて、ガラス原盤の凹凸パターン上に第1層目の銅めっき膜を形成した。ここで、銅の線膨張率(β1:0〜101℃)は0.162である。
1.金属製スタンパの調製
(1)ガラス原盤の調製
先ず、微細な凹凸パターンを有するガラス原盤を作製した。次に、ガラス原盤の凹凸パターン表面に銅をスパッタし、厚さ100nm程度の導電膜を形成した。尚、スパッタ以外の導電膜の形成方法としては、蒸着或いは無電解めっきが挙げられる。また、導電性を有する材料を用いて原盤を作製する場合は導電膜を形成する必要はない。
(2)電気めっき
(2−1) 次に、表1に示す組成の硫酸銅めっき浴を用いて、ガラス原盤の凹凸パターン上に第1層目の銅めっき膜を形成した。ここで、銅の線膨張率(β1:0〜101℃)は0.162である。
尚、表1中の添加剤として、ポリエチレングリコールを主成分とする市販のめっき用添加剤を用いた。このような添加剤を用いることで、電気めっきの際に発生する銅元素の異常析出を抑え、平滑なめっき膜を形成することができる。また、チオ尿素、ゼラチン、β−ナフチルキノリン、ロッシェル塩、ナフタレンジスルフォン酸等を添加剤として用いても良い。
金属製スタンパが、常温(通常、25℃程度)において平坦な形状を保つようにする場合は、第1層目を構成する銅めっき膜の応力が0付近になるように電気めっきを行う。
また、金属製スタンパが、目的とする所定の温度において、平坦な形状を保つようにする場合は、所定の温度における線膨張率(β)と応力とを調整し、その温度で反りが発生しないようにすることが必要である。
応力を調整する方法としては、例えば、めっき浴に応力減少剤を添加する方法、電気めっき温度や電流密度を調整する方法等が挙げられる。本実施例では、めっき浴温度を25℃に設定し、電流密度を2.5A/dm2にして電鋳を行った。
また、金属製スタンパが、目的とする所定の温度において、平坦な形状を保つようにする場合は、所定の温度における線膨張率(β)と応力とを調整し、その温度で反りが発生しないようにすることが必要である。
応力を調整する方法としては、例えば、めっき浴に応力減少剤を添加する方法、電気めっき温度や電流密度を調整する方法等が挙げられる。本実施例では、めっき浴温度を25℃に設定し、電流密度を2.5A/dm2にして電鋳を行った。
(2−2) 次に、表2に示す組成のスルファミン酸ニッケルめっき浴を用いて、第1層目の銅めっき膜上に第2層目のニッケルめっき膜を形成した。ニッケルは銅よりイオン化傾向が大きい(卑)な卑金属であるため、銅めっき膜が形成されたガラス原盤をニッケルめっき浴に浸漬しても、第1層目の銅とニッケルとの置換めっきが発生せず、表面処理の必要が無い。ここで、ニッケルの線膨張率(β2:0〜100℃)は、0.125である。
金属製スタンパが、常温(通常、25℃程度)において反りが発生しないようにするためには、第1層目を構成する銅めっき膜の場合と同様に、第2層目のニッケル膜の応力が0付近になるように電気めっきを行う。
また、金属製スタンパが、目的とする所定の温度において、平坦な形状を保つようにする場合は、所定の温度における、第1層目及び第2層目の線膨張率(β)と応力とのバランスを考慮して電気めっきを行う。
また、金属製スタンパが、目的とする所定の温度において、平坦な形状を保つようにする場合は、所定の温度における、第1層目及び第2層目の線膨張率(β)と応力とのバランスを考慮して電気めっきを行う。
応力を調整する方法としては、前述したように、めっき浴に所定の添加剤を添加する方法、電気めっき温度や電流密度を調整する方法等が挙げられる。添加剤は種類により、めっき膜の応力を圧縮応力にするものと引っ張り応力にするものがあるため、めっき浴やめっき液温度及び攪拌等を考慮し調整する必要がある。本実施例では、電流密度を5A/dm2とし、めっき液の温度は55℃とした。
(2−3) 電気めっきは、初めに、銅めっき膜(第1層)の膜厚が表3に示す厚さになるまで銅めっきを行い、その後、ニッケルめっき膜(第2層)の膜厚が表3に示す厚さになるまでニッケルめっきを行った。尚、銅めっき膜とニッケルめっき膜との合計膜厚が305μm程度になるように、ニッケルめっき膜の厚さを5μm程度余分にめっきし、その後の研磨工程において合計膜厚を300μmに調製する。
また、比較のため、銅めっき膜のみを作製した。この場合も、銅めっき膜の膜厚が305μm程度になるように余分にめっきし、その後の研磨工程において膜厚を300μmに調製する。
また、比較のため、銅めっき膜のみを作製した。この場合も、銅めっき膜の膜厚が305μm程度になるように余分にめっきし、その後の研磨工程において膜厚を300μmに調製する。
(3)めっき膜の剥離
電気めっきが終了後、ガラス原盤から2層構造のめっき膜(金属部分)を剥離した。次に、凹凸パターンが形成された信号面に保護テープを貼り付けて保護し、機械的な研磨処理を行った。
本実施例では、遊離砥粒を用いて金属製スタンパを研磨処理した。先ず、ラッピング処理により表面層を荒削りし、その後ポリッシング処理を施し表面粗さを低減した。
遊離砥粒として粒径3μmのダイヤモンド砥粒を選択し、これを鉱物油に分散させたスラリーを用いてラッピング処理を行った。
電気めっきが終了後、ガラス原盤から2層構造のめっき膜(金属部分)を剥離した。次に、凹凸パターンが形成された信号面に保護テープを貼り付けて保護し、機械的な研磨処理を行った。
本実施例では、遊離砥粒を用いて金属製スタンパを研磨処理した。先ず、ラッピング処理により表面層を荒削りし、その後ポリッシング処理を施し表面粗さを低減した。
遊離砥粒として粒径3μmのダイヤモンド砥粒を選択し、これを鉱物油に分散させたスラリーを用いてラッピング処理を行った。
ポリッシング処理は、粒径0.9μmのアルミナ砥粒を酸性分散剤に分散させたものを用いた。工具の材質は発泡ウレタンを用いた。研磨装置の運動様式は回転運動とし、回転速度は70rpmとした。研磨圧力は、それぞれ5kPaとした。このような研磨処理により、金属製スタンパの膜厚が300μmになるように研磨処理を行い、その後、内外径を所定の大きさになるように切削加工した。
尚、表3に示すように、銅めっき膜とニッケルめっき膜とからなる7種類の金属製スタンパを調製した。尚、銅めっき膜(膜厚300μm)のみからなる金属製スタンパも1種類調製した。
尚、表3に示すように、銅めっき膜とニッケルめっき膜とからなる7種類の金属製スタンパを調製した。尚、銅めっき膜(膜厚300μm)のみからなる金属製スタンパも1種類調製した。
2.金属製スタンパを用いたプレス成形
(1) 表3に示す8種類の2層型金属製スタンパを用い、図3に示すプレス成形装置により、熱可塑性プラスチック表面に微細な凹凸パターンを転写した。
ここで、図3は、プレス成形装置を説明するための図である。プレス成形装置100は、金属製スタンパ103と、金属製スタンパ103を加熱するヒータ101と、金属製スタンパ103にかかる押圧力(5t)を均等にするための上部鏡面板102と、素材シート104の下側に設けられた下部鏡面板106と、を備えている。金属製スタンパ103は、信号面に微細な凹凸パターンが形成された銅めっき膜103A及び裏面のニッケル膜103Bから構成されている。尚、素材シート104は金属製スタンパ103の外側に設けたリング状のシート押さえ105により固定される。
(1) 表3に示す8種類の2層型金属製スタンパを用い、図3に示すプレス成形装置により、熱可塑性プラスチック表面に微細な凹凸パターンを転写した。
ここで、図3は、プレス成形装置を説明するための図である。プレス成形装置100は、金属製スタンパ103と、金属製スタンパ103を加熱するヒータ101と、金属製スタンパ103にかかる押圧力(5t)を均等にするための上部鏡面板102と、素材シート104の下側に設けられた下部鏡面板106と、を備えている。金属製スタンパ103は、信号面に微細な凹凸パターンが形成された銅めっき膜103A及び裏面のニッケル膜103Bから構成されている。尚、素材シート104は金属製スタンパ103の外側に設けたリング状のシート押さえ105により固定される。
ここで、プレス成形装置100において、上部鏡面板102が重り、さらに、押圧力(5t)により金属製スタンパ103の反りが強制されている。押圧力(5t)解除後、素材シート104を構成する熱可塑性プラスチックのガラス転移温度以下で常温以上となったときに上部鏡面板102を取り除くと、金属製スタンパ103が徐々に反り、熱可塑性プラスチックシートからなる素材シート104から剥離する。
尚、素材シート104の固定方法としては、機械的チャッキングの他に、真空吸着等が挙げられ、金属製スタンパ103と素材シート104との密着力より大きい力で固定することが必要である。また、押圧力(5t)解除後、金属製スタンパ103を持ち上げて素材シート104から剥離する。この場合、金属製スタンパ103自体に磁性がある場合は磁石を使用することができる。
尚、素材シート104の固定方法としては、機械的チャッキングの他に、真空吸着等が挙げられ、金属製スタンパ103と素材シート104との密着力より大きい力で固定することが必要である。また、押圧力(5t)解除後、金属製スタンパ103を持ち上げて素材シート104から剥離する。この場合、金属製スタンパ103自体に磁性がある場合は磁石を使用することができる。
(2) このような構成で、素材シート104を押圧力5tでプレスし、ヒータ101により150℃に加熱して、素材シート104表面に金属製スタンパ103の信号面に形成された微細な凹凸パターンを転写した。その後、ヒータ101及び上部鏡面板102を取り除き、金属製スタンパ103と素材シート104とを剥離した。
上述した工程を、表3に示す8種類の金属製スタンパ103を用いて、それぞれ100回繰り返し、金属製スタンパ103から剥離する素材シート104の枚数を調べた。結果を表3に示す。
上述した工程を、表3に示す8種類の金属製スタンパ103を用いて、それぞれ100回繰り返し、金属製スタンパ103から剥離する素材シート104の枚数を調べた。結果を表3に示す。
表3の結果から、信号面側を銅めっき膜103A(線膨張率β1:0.162)で構成し、裏面側をニッケルめっき膜103B(線膨張率β2:0.125)で構成した2層型の金属製スタンパ103は、ニッケルめっき膜103Bの厚さが10μm以上の場合に、プレス成形において、素材シート104との剥離性が向上することが分かる。
(3) 本実施例では、信号面側の第1層目を構成する銅めっき膜103Aの銅Cuの線膨張率(β1:0.162)が、裏面側の第2層目を構成するニッケルめっき膜103BのニッケルNiの線膨張率(β2:0.125)より相対的に大きい。このため、プレス成形後、押圧力(5t)が解除されると、金属製スタンパ103全体が、信号面を下側にして椀状の凹型に反る変形が生じる。その結果、金属製スタンパ103の外周部分から素材シート104の剥離が始まった。
特に、金属製スタンパ103のニッケルめっき膜103Bの厚さが50μm以上の場合は、プレス成形後、素材シート104との剥離性が飛躍的に向上することが分かる。この場合、100回繰り返して行ったプレス成形後の全てにおいて、金属製スタンパ103の外周部分から素材シート104の剥離が始まり、金属製スタンパ103と素材シート104とが効率良く剥離した。
この結果、信号面側を構成する銅より相対的に線膨張率(β)が低いニッケルで第2層目を構成する場合、ニッケルめっき膜103Bの膜厚は10μm以上でバイメタルの効果を示し、50μm以上が好ましいことが分かる。
ここで、図4は、表3の結果を示すグラフである。
この結果、信号面側を構成する銅より相対的に線膨張率(β)が低いニッケルで第2層目を構成する場合、ニッケルめっき膜103Bの膜厚は10μm以上でバイメタルの効果を示し、50μm以上が好ましいことが分かる。
ここで、図4は、表3の結果を示すグラフである。
(4) 尚、本実施例では、2層構造の金属製スタンパ103において、信号面側の第1層を、裏面側のニッケルめっき膜103Bの線膨張率(β2)より相対的に大きい線膨張率(β1)を有する銅めっき膜103Aで形成したため、金属製スタンパ103全体が、信号面を下側にして椀状の凹型に反る変形が生じた。
一方、2層構造の金属製スタンパにおいて、信号面側の第1層を、裏面側のめっき膜の線膨張率(β2)より相対的に小さい線膨張率(β1)を有するめっき膜で形成すると、金属製スタンパ全体のプロファイルが、信号面を下側にして凸状に変形する。
このような場合、金属製スタンパ、上部鏡面板及び下部鏡面版、ヒータの形状をリング状とし、素材シートの内周部分を保持する構成とするのが好ましい。
一方、2層構造の金属製スタンパにおいて、信号面側の第1層を、裏面側のめっき膜の線膨張率(β2)より相対的に小さい線膨張率(β1)を有するめっき膜で形成すると、金属製スタンパ全体のプロファイルが、信号面を下側にして凸状に変形する。
このような場合、金属製スタンパ、上部鏡面板及び下部鏡面版、ヒータの形状をリング状とし、素材シートの内周部分を保持する構成とするのが好ましい。
尚、上部鏡面板102は、素材シート104と金属製スタンパ103とを平行に保ち、圧力分布を均一にする役目を果たし、さらに、ヒータ101からの熱を金属製スタンパ103に伝えるために、熱伝導性のよい金属から選ばれる。
(5) 次に、図5は、両面型プレス成形装置を説明するための図である。プレス成形装置300は、素材シート304の上下両側にそれぞれ配置した上部金属製スタンパ303及び下部金属製スタンパ306を有する。そして、2個の金属製スタンパ(上部金属製スタンパ303及び下部金属製スタンパ306)をそれぞれ加熱する上部ヒータ301と下部ヒータ308、上部ヒータ301と上部金属製スタンパ303の間に設けた上部鏡面板302と、下部ヒータ308と下部金属製スタンパ306の間に設けた下部鏡面板307とを有する。
2個の金属製スタンパ(上部金属製スタンパ303及び下部金属製スタンパ306)は、微細な凹凸パターンが形成された信号面側の第1金属層303A,306Aと裏面側の第2金属層303B,306Bとが、それぞれ線膨張率(β)の異なる金属を用いて構成されている。
図5に示すように、プレス成形装置300は、素材シート304の上下両側に、異なる線膨張率(β)を有する金属を用いた2層型金属製スタンパ(上部金属製スタンパ303及び下部金属製スタンパ306)を設置している。このように、素材シート304の上下両面側から、上部ヒータ301及び下部ヒータ308により熱と圧力を加え、プレス成形により、素材シート304の上下両面に微細な凹凸パターンを転写する場合も、素材シート304と上部金属製スタンパ303及び下部金属製スタンパ306とが効率よく剥離する。尚、素材シート304は金属製スタンパ303,306の外側に設けたリング状のシート押さえ305により固定される。
上述したように、本実施例では、常温で金属製スタンパをプレス成形装置にセットし、プレス成形による加熱のため温度が上昇したままの状態で金属製スタンパから素材シートを剥離する例を説明した。
尚、金属製スタンパを予め所定の温度に加熱し、その状態で平坦な形状になるようにし、その後、プレス成形装置に素材シート及び下部鏡面板をセットしてプレス成形し、冷却後の取り出し時に金属製スタンパを反らせることによっても、同様の効果を得ることができる。
また、本実施例では、例えば、光情報記録媒体用ディスクの表面に、微細な凹凸パターンを形成する例について説明したが、さらに、光学フィルム用のレンズ状パターンの形成、MEMS等の微細なパターンニングの場合にも適用することができる。
尚、金属製スタンパを予め所定の温度に加熱し、その状態で平坦な形状になるようにし、その後、プレス成形装置に素材シート及び下部鏡面板をセットしてプレス成形し、冷却後の取り出し時に金属製スタンパを反らせることによっても、同様の効果を得ることができる。
また、本実施例では、例えば、光情報記録媒体用ディスクの表面に、微細な凹凸パターンを形成する例について説明したが、さらに、光学フィルム用のレンズ状パターンの形成、MEMS等の微細なパターンニングの場合にも適用することができる。
以上、詳述したように、本実施例で調製した線膨張率が異なる2種類の金属を用いた金属製スタンパは、従来、プレス成形後に鋭利な金具等を用いて金属製スタンパと素材シートとを剥離する作業が不要となる。このため、シート状の薄い基板を傷付けることなく金属製スタンパから剥離できるので、基板製造の歩留まりが向上する。
1…第1金属層、2…第2金属層、3…信号面、4,18a…凹凸パターン、5…裏面、10,18,103…金属製スタンパ、11…ガラス基板、12…シランカップリング剤、13…フォトレジスト、14…フォトレジストパターン、15…ガラス原盤、16…導電膜、17−1…銅めっき膜、17−2…ニッケルめっき膜、101…ヒータ、102,302…上部鏡面板、104,304…素材シート、105,305…シート押さえ、106,307…下部鏡面板、301…上部ヒータ、303…上部金属製スタンパ、306…下部金属製スタンパ、308…下部ヒータ
Claims (8)
- 熱可塑性プラスチックのシートに転写する微細パターンを有する金属製スタンパであって、
前記微細パターンが形成された信号面と、
前記信号面と反対側の裏面と、を有し、
前記信号面側を構成する金属の線膨張率(β1)と、前記裏面側を構成する金属の線膨張率(β2)とが異なることを特徴とする金属製スタンパ。 - 前記信号面側を構成する金属のイオン化傾向が、前記裏面側を構成する金属のイオン化傾向より小さい(貴)ことを特徴とする請求項1記載の金属製スタンパ。
- 前記信号面側を構成する金属と前記裏面側を構成する金属とが、少なくとも、銀Ag、金Au、カドミウムCd、コバルトCo、クロムCr、銅Cu、鉄Fe、ニッケルNi、錫Sn、亜鉛Znのいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1記載の金属製スタンパ。
- 前記信号面側を構成する金属が銅Cuであり、前記裏面側を構成する金属がニッケルNiであることを特徴とする請求項1記載の金属製スタンパ。
- 樹脂製シートに微細パターンを転写する金属製スタンパの製造方法であって、
電気めっきにより、微細な凹凸パターンを有するガラス原盤表面に第1金属層を形成する第1次めっき工程と、
前記第1金属層表面に、電気めっきにより、当該第1金属層を構成する金属の線膨張率(β1)とは異なる線膨張率(β2)の金属からなる第2金属層を形成する第2次めっき工程と、
前記第1金属層及び前記第2金属層からなるめっき膜を剥離する剥離工程と、を
有することを特徴とする金属製スタンパの製造方法。 - 前記第2次めっき工程は、前記第1金属層の金属と比較してイオン化傾向が大きい(卑)金属を電気めっきすることを特徴とする請求項5記載の金属製スタンパの製造方法。
- 前記第1次めっき工程は、銅めっき膜からなる前記第1金属層を形成し、前記第2次めっき工程は、ニッケルめっき膜からなる前記第2金属層を形成することを特徴とする請求項5記載の金属製スタンパの製造方法。
- ディスク状の金属製スタンパを用いて樹脂シートに微細パターンを転写するパターン転写成形システムにおいて、
前記金属製スタンパ及び前記樹脂シートを所定の圧力で押圧する押圧手段と、
前記金属製スタンパ及び前記樹脂シートを所定の温度に加熱する加熱手段と、を備え、
前記金属製スタンパ及び前記樹脂シートの押圧を解除した後、当該金属製スタンパの内周側もしくは外周側から、当該金属スタンパと当該樹脂シートとの剥離が開始することを特徴とするパターン転写成形システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006188444A JP2008012861A (ja) | 2006-07-07 | 2006-07-07 | 金属製スタンパ、金属製スタンパの製造方法、パターン転写成形システム |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008012861A true JP2008012861A (ja) | 2008-01-24 |
Family
ID=39070356
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006188444A Withdrawn JP2008012861A (ja) | 2006-07-07 | 2006-07-07 | 金属製スタンパ、金属製スタンパの製造方法、パターン転写成形システム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008012861A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010058316A (ja) * | 2008-09-02 | 2010-03-18 | Toshiba Mach Co Ltd | 微細パターン転写用型、微細パターン転写用型の製造方法及び転写方法 |
KR101344065B1 (ko) | 2012-02-08 | 2013-12-24 | 주식회사 호진플라텍 | 구리 도금용액 |
JP2016037642A (ja) * | 2014-08-08 | 2016-03-22 | メルテックス株式会社 | 金属被膜及び金属被膜形成方法 |
-
2006
- 2006-07-07 JP JP2006188444A patent/JP2008012861A/ja not_active Withdrawn
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