JP2008037074A - ホットエンボス成形用スタンパ、ディスクの製造方法、ディスク成形装置 - Google Patents

ホットエンボス成形用スタンパ、ディスクの製造方法、ディスク成形装置 Download PDF

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【課題】熱転写後の樹脂製基板との離型性が向上し、長寿命なホットエンボス成形用スタンパを提供すること
【解決手段】樹脂製基板の表面に熱転写される微細な凹凸が形成されたパターン面3a,3bを有するニッケルNi製基材1a,1bと、このパターン面3a,3bを被覆する高硬度離型層2a,2bと、好ましくはチタンTiを含む中間層4bを有し、高硬度離型層2a,2bは、ビッカース硬さ(JIS B7725)が2000(Hv)以上で窒化チタンTiN等のチタン化合物で形成され、厚さ0.3mm以下の光記録媒体用基板の成形に適したホットエンボス成形用スタンパ。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホットエンボス成形用スタンパ等に関し、より詳しくは、フレキシブル光ディスク等の製造に好適なホットエンボス成形用スタンパ等に関する。
近年、情報量の増大に伴い、高記録密度媒体への期待が高まっている。媒体の種類として、光記録、磁気記録、光磁気記録等複数有り、中でも信頼性と安価であることから光記録ディスクの需要が高い。CD、DVD、HD−DVD、Blu−rayへと高記録密度化になるにつれ、記録面パターンの微細化と、成形基板の厚みが薄くなってきている。このような表面に微細な記録面パターンを有する基板の成形方法としては、射出成形法、ホットエンボス成形法、ナノインプリント成形法などが挙げられる。
射出成形法は、微細凹凸形状を金型表面に形成し、加熱溶融した樹脂を閉じた金型に高圧で充填し、冷却・固化して離型し、取り出す方法である。
ホットエンボス成形法は、例えば熱可塑性樹脂を金型に装填し、金型を樹脂のガラス転移温度(Tg)近辺まで加熱し、金型で樹脂を加圧して樹脂を加熱・軟化させながら、金型の微細凹凸部に樹脂を加圧充填し、その後に樹脂を冷却、固化して離型する成形方法である。
ナノインプリント成形法は、ナノメートルスケールの微細な凹凸形状を持つモールド(型)を、ウエハー基板上に形成した樹脂レジストに押し付け、モールドの構造をレジストに転写してレジストに微細な凹凸形状を形成する方法である。
尤も、射出成形方法の場合、厚さ0.3mm以下程度の薄いディスクの成形が困難になる。このため、このような薄いディスクに超微細パターンを転写させる方法としてはホットエンボス成形法、ナノインプリント成形法が有効である。
これらの成形方法によれば、熱可塑性樹脂の場合は、樹脂をガラス転移温度以上に加熱して金型形状を転写する。また、熱硬化性樹脂の場合は、樹脂に金型を押付けながら硬化温度まで加熱保持して金型形状を転写する。さらに、光硬化性樹脂の場合は、樹脂に金型を押付け、UV照射により硬化させて金型形状を転写する。
金型の微細凹凸部は、金型に直接機械加工をする場合もあるが、表面に微細な凹凸形状を形成した板状のスタンパを予め形成し、これを金型に装着して使用する方法が一般的である(特許文献1、特許文献2参照)。
特開2004−358969号公報 特開平03−049057号公報
ところで、ホットエンボス成形法等では、使用するスタンパの表面に、フッ化物ポリマーを含む離型膜や離型層を形成し、熱転写後の樹脂製基板とスタンパとの離型性を向上させる場合がある。
このような離型膜等は、樹脂製基板を樹脂のガラス転移温度近傍まで過熱した後、スタンパと樹脂製基板とを剥離する際に、樹脂製基板に加わる熱ストレスや応力による樹脂製基板の変形や、或いは微細パターンの転写不良等を防止する目的で設けられている。また、熱転写の際に挟み込むゴミ等の除去にも有効である。
しかし、離型膜等を構成するフッ化物ポリマー材料の寿命が限られているため、熱転写工程を繰り返す度に、スタンパ表面のメンテナンスが必要となる。このため、生産コストがかかるばかりか、生産タクト性においても芳しくないという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、ホットエンボス成形法の際、熱転写後の樹脂製基板との離型性が向上し、長寿命なホットエンボス成形用スタンパを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、離型性が向上したスタンパを用いるディスクの製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、樹脂製基板との離型性が向上したスタンパを使用するホットエンボス成形装置を提供することにある。
かくして本発明によれば、光記録媒体用基板に転写する微細な凹凸が形成されたパターン面を有するニッケルNi製基材と、パターン面を被覆する高硬度離型層と、を有することを特徴とするホットエンボス成形用スタンパが提供される。
ここで、本発明が適用されるホットエンボス成形用スタンパにおいて、高硬度離型層のビッカース硬さが、2000(Hv)以上であることが好ましい。
また、高硬度離型層が、チタン化合物から構成されるものであることが好ましく、チタン化合物の中でも、特に、窒化チタンTiNを含むことが好ましい。
さらに、本発明が適用されるホットエンボス成形用スタンパは、ニッケルNi製基材の表面に形成されたパターン面と高硬度離型層との間にチタンTiを含む中間層をさらに有する積層構造体であることが好ましい。
次に、本発明によれば、樹脂シートにスタンパを押圧して微細な凹凸を転写するディスクの製造方法であって、スタンパは、凹凸が形成されたパターン面を有するニッケルNi製基材と、パターン面を被覆する高硬度離型層と、を有することを特徴とするディスクの製造方法が提供される。
ここで、スタンパのパターン面を被覆する高硬度離型層の厚さが10nm〜500nmであることが好ましい。
また、かかる製造方法においては、ディスクの厚さが0.3mm以下であることが好ましい。
さらに、本発明によれば、0.1Paから大気圧の条件でホットエンボス成形によりスタンパを用いて樹脂シートに微細パターンを転写するディスク成形装置であって、スタンパ及び樹脂シートを所定の圧力で押圧する押圧手段と、スタンパ及び樹脂シートを所定の温度に加熱する加熱手段と、を備え、スタンパは、微細パターン面を有するニッケルNi製基材と、パターン面を被覆する高硬度離型層と、を有することを特徴とするディスク成形装置が提供される。
ここで、ディスク成形装置における加熱手段は、スタンパを10℃〜300℃の範囲で加熱することが好ましい。
本発明によれば、ホットエンボス成形法の際、熱転写後の樹脂製基板との離型性が向上する。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
図1は、本実施の形態が適用されるホットエンボス成形用スタンパ(以下、単に「スタンパ」と記すことがある。)の一例を説明するための図である。
図1(a)に示すスタンパ10aは、微細な凹凸が形成されたパターン面3aを有するニッケルNi製基材1aと、パターン面3aを被覆するように形成された高硬度離型層2aとから構成されている。
ニッケルNi製基材1aは、後述するように、通常、ニッケルNiを用いた電気めっき(電鋳)により形成される。ニッケルNi製基材1aの厚さは、特に限定されないが、通常、1μm〜50μmである。
尚、スタンパ10aは、プレス成形時の押圧力に耐えられる強度があればよい。このため、ニッケルNi製基材1aの厚さが過度に大きいと厚さ分布が生じ、微細パターンを転写する熱可塑性プラスチック等の樹脂シートに加わる転写時の圧力にムラが発生し、均一な転写が困難になる場合がある。
また、ニッケルNi製基材1aは、ニッケルNi元素単独で形成する他、電気めっき可能な他の金属との積層体であってもよい。このような他の金属としては、例えば、銀Ag、金Au、カドミウムCd、コバルトCo、クロムCr、銅Cu、鉄Fe、錫Sn、亜鉛Zn等が挙げられる。
高硬度離型層2aは、後述するように、通常、スパッタリング法等の手法によりニッケルNi製基材1aのパターン面3aを被覆するように形成される。高硬度離型層2aの厚さは、特に限定されないが、通常、10nm〜500nm、好ましくは、300nm〜400nmである。高硬度離型層2aの厚さが過度に小さいと、高硬度離型層2aの膜が割れたり、ニッケルNi製基材1aと剥離しやすい傾向がある。高硬度離型層2aの厚さが過度に大きいと、パターン面3aの微細な凹凸が転写不良となる傾向がある。
本実施の形態が適用されるスタンパ10aにおいて、高硬度離型層2aは、ビッカース硬さ(JIS B7725)が、少なくとも2000(Hv)、好ましくは、2100(Hv)、さらに好ましくは、2500(Hv)以上であることが必要である。
ここで、ビッカース硬さ(Vickers hardness)は、工業材料の硬さを表す尺度の一つであり、押込み硬さの一種である。ビッカース硬さ(Hv)の測定法は、対面角136°の正四角錐ダイヤモンドで作られたピラミッド形をしている圧子を材料表面に押し込み、荷重を除いた後に残った窪みの対角線の長さから表面積を算出し試験荷重F(kg)を表面積D(mm)で割った値で表す。以下の式で求める。
Hv=2sin(α/2)(F/D
また、高硬度離型層2aは、高弾性であり、通常、ヤング率が、590GPa以上、好ましくは600GPa以上、さらに好ましくは、700GPa以上である。
ニッケルNi製基材1aのパターン面3a上に高硬度離型層2aを設ける理由は以下の通りである。即ち、ニッケルNi製基材1aを構成するニッケルNiのビッカース硬さは250(Hv)程度であり、ヤング率は約210GPa程度である。
このため、ホットエンボス成形のように、200℃程度の温度範囲で加熱・押圧を繰り返してパターン面3aの微細な凹凸パターンをポリカーボネート等の樹脂シートに転写すると、樹脂シートから放出される酸素等に起因するニッケルNi表面の酸化や変形が生じ易い。このような酸化や変形は、例えば、従来の射出成形方法等においては問題が少ないが、ホットエンボス成形の場合は、ニッケルNi表面の劣化が顕著になる傾向がある。
そこで、ニッケルNi製基材1aのパターン面3a上に高硬度離型層2aを設けることにより、樹脂シートがニッケルNi表面に貼り付くことの原因となる酸化等が抑制され、上述したニッケルNi表面の劣化を低減することが可能となる。
これによって、熱転写後のスタンパ10aに樹脂シートが貼り付く不具合が低減する。また、高硬度離型層2aはニッケルNi製基材1aよりも硬度、耐摩耗性に優れるので、スタンパ10aの長寿命化とそれに伴う低コスト化に貢献することが出来る。
高硬度離型層2aは、前述したように、ビッカース硬さが、少なくとも2000(Hv)であるように、所定の金属材料を用いて形成される。高硬度離型層2aを構成する材料としては、例えば、チタンTi化合物、炭素化合物等が挙げられる。
具体的には、チタンTi化合物としては、窒化チタン(TiN)、TiCrN、TiAlN等の窒化チタン化合物;TiC等の炭化チタン化合物等が挙げられる。炭素化合物としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)等が挙げられる。さらに、窒化クロム(CrN)等も有効である。
高硬度離型層2aは1層に限定されず、前述した材料からなる複数の層が積層された構造を有してもよい。
高硬度離型層2aを構成する材料としては、上述した材料の中でも、窒化チタンTiNが好ましい。窒化チタンTiNは、450℃程度の高温においても耐食性(耐酸化性)に優れ、且つ、ビッカース硬さ2100(Hv)、ヤング率590GPaと高硬度を示し、繰り返して行われる熱転写における耐久性に優れる。また、下地のニッケルNi金属層との密着性が良好である。
窒化チタンTiNは、これを用いて室温で形成した膜はピンク色を示し、また、365℃程度迄加熱して形成した膜は金色を示す特殊な材料であるため、色の変化により膜の変化が解り、メンテナンスにおいても容易である。これは、TiとNの化学両論比により色の変化が現れるためと考えられる。理想的な化学両論比としては、Ti:N=1:1であり、成膜温度としては365℃が好ましい。
次に、図1(b)に示すスタンパ10bは、微細な凹凸が形成されたパターン面3bを有するニッケルNi製基材1bと、パターン面3bを被覆するように形成された高硬度離型層2bとを有し、さらに、パターン面3bと高硬度離型層2bとの間にチタンTiを含む中間層4bを備えている。
中間層4bは、後述するように、通常、スパッタリング法等の手法によりニッケルNi製基材1aのパターン面3a上に形成される。中間層4bの厚さは、特に限定されないが、通常、0.1nm〜100nm、好ましくは、1nm〜10nmである。
中間層4bを設けることにより、ニッケルNi製基材1bと高硬度離型層2bとの密着性が向上し、スタンパ10bの耐久性が向上する。
中間層4bを構成する材料としては、例えば、アルミニウムAl等の周期表第3B族元素;ケイ素Si、ゲルマニウムGe等の周期表第4B族元素;チタンTi等の周期表第4A族元素;タンタルTa等の周期表第5A族元素;クロムCr、モリブデンMo、タングステンW等の周期表第6A族元素;レニウムRe等の周期表第7A族元素等が挙げられる。
これらの材料の中でも、チタンTiが好ましい。尚、中間層4bは1層に限定されず、前述した材料からなる複数の層が積層された構造を有してもよい。
次に、スタンパ10a,10bの調製方法について説明する。
初めに、表面研磨されたディスク状のガラス基板表面に塗布したフォトレジストにレーザ光を絞込み、電気工学素子等を使用して光のON/OFFを行いながら信号を露光させ、現像することにより、表面に微細な凹凸が形成されたガラス原盤を得る(ガラス原盤調製工程)。次に、この微細な凹凸面に導電性膜を形成した後、ニッケルメッキ処理を施してニッケルめっき膜を形成し(電気めっき(電鋳)工程)、その後、ガラス原盤からニッケルめっき膜を剥離して、微細な凹凸が転写されたニッケルNi製基材1a,1bを得る。続いて、ニッケルNi製基材1a,1bの微細な凹凸が転写されたパターン面3a,3b上に高硬度離型層2a,2bを形成する(スパッタリング工程)。
以下、各工程を説明する。
(ガラス原盤調製工程)
先ず、ディスク状のガラス基板上にシランカップリング剤をスピンコートし、ポジ型のフォトレジストを塗布する。次に、露光装置を用いてレーザ光でフォトレジストにランド/グルーブの潜像を形成し、続いて、アルカリ現像液を用いる現像処理により、ガラス基板にフォトレジストパターンを顕在化させる。
次に、例えば、フォトレジストパターンをエッチングマスクとして反応性イオンエッチング(RIE)処理を行い、さらに、ガラス基板表面に残ったフォトレジストを苛性ソーダにより除去し、フォトレジストパターンが転写されたガラス原盤を調製する。
(電気めっき工程)
次に、フォトレジストパターンが転写されたガラス原盤上に、例えば、ニッケルNiをスパッタして導電膜を形成した後、電気めっき(電鋳)によりガラス原盤上に、所定の厚さのニッケルめっき膜を形成する。
次に、ニッケルめっき膜をガラス原盤から剥離し、洗浄、打ち抜き加工を行い、微細な凹凸が転写されたパターン面3a,3bを有するニッケルNi製基材1a,1bを得る。
ここで、電気めっき(電鋳)において使用されるめっき液は、通常、溶媒に、1種又は2種類以上の金属塩、有機電解質、リン酸等の酸、アルカリ物質等の各種電解質を溶解させたものが用いられる。
溶媒としては、極性溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の直鎖状カーボネート類、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
ニッケルめっき液の具体例としては、例えば、ニッケルめっき液としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル等が挙げられる。
尚、ニッケルNi製基材1a,1bは、ニッケルNi元素単独で形成する他、電気めっき可能な他の金属との積層体であってもよい。このような他の金属のめっき膜を形成する際に使用するめっき液としては、例えば、銅めっき液としては、結晶硫酸銅、ホウフッ化銅、シアン化銅、ピロリン酸銅等;クロムめっき液としては、クロム酸等;亜鉛めっき液としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛等;カドミウムめっき液としては、酸化カドミウム等;スズめっき液としては、硫酸第一スズ、スズ酸カリ等;銀めっき液としては、シアン化銀等;金めっき液としては、金;白金めっき液としては、塩化白金酸等;ロジウムめっき液としては、ロジウム、リン酸ロジウム等;ルテニウムめっき液としては、ルテニウム錯体等;黄銅めっき液としては、シアン化第一銅等が挙げられる。
また、電気めっき(電鋳)においては、電流密度の調整または応力緩和剤の添加により、電着応力を制御している。このような、応力緩和剤としては、通常、めっき膜に圧縮応力を生じさせる添加剤(一次添加剤)としては、例えば、サッカリン、1,5−ナフタリンジスルホン酸ナトリウム、1,3,6−トリスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホンアミド等が挙げられる。また、めっき膜に引張り応力を生じさせる添加剤(二次添加剤)、例えば、クマリン、2−ブチン−1,4−ジオール、エチレンシアンヒドリン、プロパギルアルコール、ホルムアルデヒド、チオ尿素、キノリン、ピリジン等が挙げられる。
また、微細な凹凸パターンを熱可塑性プラスチック等の樹脂シートに転写する際の加熱・加圧によるスタンパの変形を考慮する必要がある。通常、金属製のスタンパは、熱により膨張するので、微細な凹凸パターンは、目的とするパターンよりも熱膨張率を考慮して、若干小さめに作製しておく必要がある。
また、通常、樹脂シートも温度変化により、膨張・収縮する場合があるため、使用する熱可塑性プラスチック及び金属の材質と使用する温度範囲を考慮して、凹凸パターンを作製しておく必要がある。
(スパッタリング工程)
続いて、ニッケルNi製基材1a,1bの微細な凹凸が転写されたパターン面3a,3b上に、所定の厚さの高硬度離型層2a,2bをそれぞれ形成する。
高硬度離型層2a,2bは、例えば、前述した窒化チタン(TiN)等の所定の材料を用いたRF(高周波)マグネトロンスパッタリング法、DC(直流)マグネトロンスパッタリング法、ECRマグネトロンスパッタリング法等により形成する。
尚、スタンパ10bの場合は、ニッケルNi製基材1bのパターン面3b上に、予め、チタンTi等の材料を用いたスパッタリング法により所定の厚さの中間層4bを形成し、その後、中間層4b上に高硬度離型層2bを形成する。
高硬度離型層2a,2bを成膜する場合の温度条件は、通常、室温〜365℃程度である。
ここで、マグネトロンスパッタリング法は、通常、減圧室内に基材と対向するように配置したターゲットと、ターゲットの表面近傍に磁界を形成するために配置した磁石とを備えた成膜装置を使用する。そして、放電用ガスの存在の下、ターゲットを一方の電極として放電用の電圧が印加されると、グロー放電が生じてこれによるプラズマが生成される。次に、このプラズマが磁石の磁界により閉じ込められてターゲットの表面近傍に高密度プラズマ領域が形成され、この高密度プラズマ領域から高エネルギのイオンが飛び出してターゲット表面に衝突し、それにより、ターゲットから成膜材料の原子がはじき出される(スパッタされる)。このスパッタされた成膜材料の原子が基材表面に付着して膜を形成する。
(ホットエンボス成形装置)
次に、上述したホットエンボス成形用スタンパを用いたホットエンボス成形装置について説明する。
ホットエンボス成形装置は、通常、微細な凹凸が形成されたスタンパ及びこの微細な凹凸が転写される熱可塑性プラステイック等の樹脂シートを所定の圧力で押圧する押圧手段と、スタンパ及び樹脂シートを所定の温度に加熱する加熱手段と、を備えている。そして、ホットエンボス成形装置には、樹脂シート及びスタンパと、樹脂シートの下に敷かれた金属製の鏡面板とを設置し、押圧力が均等にかかるように、これらを上下から挟むように設けた一対の金属板とを備えている。
ホットエンボス成形装置を用いたプレス成形に際しては、初めに、スタンパと鏡面板とを、通常、50℃〜120℃の温度範囲で前加熱処理する。続いて、樹脂シートを0.5kN〜1kNの押圧力でプレ加圧し、引き続き、温度範囲10℃〜300℃、好ましくは120℃〜170℃、押圧力10kN〜70kN、好ましくは40〜60kN、1秒間〜60秒間の条件で、樹脂シートにスタンパの微細パターンをインプリントする。その後、冷却し、スタンパと樹脂シートとを剥離する。尚、プレス成形は、通常、0.1Pa〜大気圧の条件で行われる。
このように、本実施の形態が適用されるスタンパ10a,10bを使用したホットエンボス成形装置により、厚さが0.3mm以下の、微細な凹凸パターンがナノインプリントされた光記録媒体用基板を成形することができる。
以下に、実施例に基づき本実施の形態をさらに詳細に説明する。なお、本実施の形態は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の操作により図1(a)に示す構造のホットエンボス成形用スタンパ(スタンパ1)を調製した。
先ず、微細な凹凸を有するガラス原盤を作製し、次に、この凹凸面に銅をスパッタし、厚さ100nm程度の導電膜を形成した後、所定の組成のスルファミン酸ニッケルめっき浴を用いて、電気めっき(電鋳)によりニッケルめっき膜を形成した。ニッケルめっき膜の厚さは、10μmである。
その後、ガラス原盤からニッケルめっき膜を剥離し、ガラス原盤の凹凸が転写されたパターン面に保護テープを貼り付けて保護し、機械的な研磨処理を行って、ニッケルNi製基材を調製した。ニッケルNi製基材のビッカース硬さは、250(Hv)であった。また、ニッケルNi製基材のヤング率は210GPaである。
続いて、ニッケルNi製基材の凹凸が形成されたパターン面に、RFマグネトロンスパッタリング法により、室温〜365℃の条件で、窒化チタンTiNからなる高硬度離型層を形成した。高硬度離型層の厚さは10nm〜300nmである。尚、高硬度離型層は、DCマグネトロンスパッタリング法によっても形成することができる。
高硬度離型層のビッカース硬さは、2200(Hv)であった。また、高硬度離型層のヤング率は600GPaである。
(実施例2)
実施例1で使用した微細な凹凸を有するガラス原盤を用いて、図1(b)に示す構造のホットエンボス成形用スタンパ(スタンパ2)を調製した。
即ち、実施例1と同様な操作により、ガラス原盤の凹凸が転写されたニッケルNi製基材を調製した。ニッケルNi製基材のビッカース硬さは、250(Hv)であった。また、ニッケルNi製基材のヤング率は210GPaである。
次に、ニッケルNi製基材の凹凸が形成されたパターン面に、スパッタリング法により、厚さ10nmのニッケルTi密着層を成膜した。さらに、ニッケルTi密着層上に、RFマグネトロンスパッタリング法により、窒化チタンTiNからなる高硬度離型層を形成した。高硬度離型層の厚さは10nm〜300nmである。
高硬度離型層のビッカース硬さは、2200(Hv)であった。また、高硬度離型層のヤング率は600GPaである。
(実施例3)
表1に示す2種類のスタンパ(スタンパ1、スタンパ2)と、比較のため、高硬度離型層を形成しないニッケルNi製スタンパ(スタンパ3)とを用い、図2に示すプレス成形装置により、ポリカーボネート製の樹脂シート(厚さ0.1mm)表面に微細な凹凸パターンを転写し、光記録媒体用基板を成形した。
ここで、図2は、プレス成形装置を説明するための図である。プレス成形装置100は、スタンパ90と、スタンパ90の凹凸パターンを転写する樹脂シート40の下に敷かれたステンレス製鏡面板50(厚さ2mm)と、これらにかかる押圧力を均等にするため上下に設けたアルミ板10,10’(厚さ10mm)と、上側のアルミ板10とスタンパ90との間に設けたシリコンシート20とを備えている。
初めに、スタンパ90とステンレス製鏡面板50とを、温度範囲70℃〜100℃で前加熱処理を行った。続いて、樹脂シート40を押圧力0.5kN〜1kNでプレ加圧し、引き続き、温度範囲160℃〜170℃、押圧力50kN、5秒間の条件で、樹脂シート40にスタンパ90の微細パターンをインプリントした。その後、20℃以下に冷却し、スタンパ90の側面からエアーブローを吹き付けて、樹脂シート40の側面からスタンパ90と樹脂シート40を剥離した。
上述した工程を、表1に示す3種類のスタンパ(スタンパ1、スタンパ2、スタンパ3)用いて、それぞれ100回繰り返し、100枚目のディスクの離型状態について、スタンパ90と樹脂シート40との離型性を、以下の基準に基づき評価した。
○:AFMによる観測でパターンの高さが180nm±5%以内で収まるもの。尚、180nmは目標とする値である。但し、スタンパにより異なる。
△:AFMによる観測でパターンの高さが180nm±10%以内で収まるもの。
×:AFMによる観測でパターンの高さが180nm±10%以上となるもの。
尚、スタンパ90と樹脂シート40との離型性は、ディスク状に形成した各スタンパ(スタンパ1、スタンパ2、スタンパ3)の内周(24mm)、中周(40mm)及び外周(58mm)のディスク観測位置においてそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008037074
表1に示す結果から、ニッケルNi製基材の凹凸が形成されたパターン面に高硬度離型層を設けたスタンパ1及びスタンパ2の場合は、各スタンパの内周(24mm)、中周(40mm)及び外周(58mm)のいずれの箇所においても、樹脂シート40との離型性が良好であることが分かる。
スタンパ1及びスタンパ2は共に、熱転写工程後、樹脂シート40と強く貼り付くことなく容易に離型し、その結果、所望の微細パターンが転写された光記録媒体用基板を得ることが出来た。
また、成形工程を繰り返して行ったところ、スタンパ1及びスタンパ2のそれぞれの表面に形成された高硬度離型層には、樹脂シート40の付着が認められなかった。さらに、ニッケルNi製基材と高硬度離型層との剥離も観測されず、スタンパ1,2の表面の離型性は非常に良好であった。
一方、高硬度離型層を設けないスタンパ3の場合は、成形工程を繰り返して行うと、スタンパの内周部(24mm)、中周部(40mm)の離型性が低下し、特に、外周部(58mm)における離型性が大幅に低下することが分かる。このため、樹脂シート40の表面に微細パターンの転写不良が生じた。
以上、本実施の形態で詳述したホットエンボス成形用スタンパは、従来技術と比べ、微細パターンを転写する樹脂シートとの離型性が良好であり、且つ、成形時間を短縮することができる。また、微細パターンの転写不良が大幅に低減される。
さらに、熱転写工程におけるスタンパ表面の耐磨耗性が向上し、スタンパの長寿命化、生産コスト削減、生産タクト削減に有益である。
本実施の形態が適用されるホットエンボス成形用スタンパの一例を説明するための図である。 プレス成形装置を説明する図である。
符号の説明
1a,1b…ニッケルNi製基材、2a,2b…高硬度離型層、3a,3b…パターン面、4b…中間層、10,10’…アルミ板、10a,10b,90…スタンパ、20…シリコンシート、40…樹脂シート、50…ステンレス製鏡面板、100…プレス成形装置

Claims (10)

  1. 光記録媒体用基板に転写する微細な凹凸が形成されたパターン面を有するニッケルNi製基材と、
    前記パターン面を被覆する高硬度離型層と、を有する
    ことを特徴とするホットエンボス成形用スタンパ。
  2. 前記高硬度離型層のビッカース硬さが、2000(Hv)以上であることを特徴とする請求項1記載のホットエンボス成形用スタンパ。
  3. 前記高硬度離型層が、チタン化合物からなることを特徴とする請求項1記載のホットエンボス成形用スタンパ。
  4. 前記チタン化合物が窒化チタンTiNを含むことを特徴とする請求項3記載のホットエンボス成形用スタンパ。
  5. 前記パターン面と前記高硬度離型層との間にチタンTiを含む中間層をさらに有することを特徴とする請求項1記載のホットエンボス成形用スタンパ。
  6. 樹脂シートにスタンパを押圧して微細な凹凸を転写するディスクの製造方法であって、
    前記スタンパは、前記凹凸が形成されたパターン面を有するニッケルNi製基材と、当該パターン面を被覆する高硬度離型層と、を有することを特徴とするディスクの製造方法。
  7. 前記高硬度離型層の厚さが10nm〜500nmであることを特徴とする請求項6記載のディスクの製造方法。
  8. 前記ディスクの厚さが0.3mm以下であることを特徴とする請求項6記載のディスクの製造方法。
  9. 0.1Paから大気圧の条件でホットエンボス成形によりスタンパを用いて樹脂シートに微細パターンを転写するディスク成形装置であって、
    前記スタンパ及び前記樹脂シートを所定の圧力で押圧する押圧手段と、
    前記スタンパ及び前記樹脂シートを所定の温度に加熱する加熱手段と、を備え、
    前記スタンパは、前記微細パターン面を有するニッケルNi製基材と、当該パターン面を被覆する高硬度離型層と、を有することを特徴とするディスク成形装置。
  10. 前記加熱手段は、前記スタンパを10℃〜300℃の範囲で加熱することを特徴とする請求項9記載のディスク成形装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010058301A (ja) * 2008-09-02 2010-03-18 Isamu Kuremoto 皮革様シートへの型押し加工方法及びこれによって得られる皮革様シート

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