JP2008010695A - インダクタンス部品 - Google Patents

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仁 石本
Shinya Matsutani
伸哉 松谷
Shusuke Uematsu
秀典 植松
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Abstract

【課題】本発明は、磁性体層を有するインダクタンス部品において、その渦電流の発生を抑制することを目的とする。
【解決手段】本発明は、素体6と、この素体6内に形成されたコイルと、このコイルに電気的に接続された端子8A、8Bと、コイルの上方あるいは下方に設けられた磁性体層9Aとを備え、磁性体層9Aには、その曲折部から磁性体層9Aの外周方向へ向けて広がる略くの字形状のスリット10Aを複数並走させて形成したインダクタンス部品としたものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば携帯電話の電源回路に用いられるインダクタンス部品に関するものである。
従来、この種のインダクタンス部品は、図5に示すごとく、シート状の素体1内にはコイル2が形成され、このコイル2には端子3が電気的に接続されており、素体1の上面、下面には磁性体層4が形成されて構成されていた。
そして、この磁性体層4には、図6に示すごとく、磁性体層4の中央部から放射状に広がるスリット5を設けることにより渦電流の発生を防止していた。
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2003−203813号公報
このような従来のインダクタンス部品は渦電流を防止しきれていないことが問題となっていた。
すなわち、上記従来の構成においては、磁性体層4における外周部付近において、複数のスリット5の間隔が広がってしまう。その結果として、磁性体層4における外周部付近における渦電流の発生を防止しきれていなかった。
そこで本発明は、磁性体層を有するインダクタンス部品において、その渦電流の発生の抑制効果を高めることを目的とする。
そして、この目的を達成するために本発明は、素体と、この素体内に形成されたコイルと、このコイルに電気的に接続された端子と、前記コイルの上方あるいは下方に設けられた磁性体層とを備え、前記磁性体層には、その曲折部から前記磁性体層の外周方向へ広がる略くの字形状のスリットを複数並走させて形成したインダクタンス部品としたものである。
本発明のインダクタンス部品は、磁性体層に、その曲折部から磁性体層の外周方向へ広がる略くの字形状のスリットを複数並走させて形成する構成としたため、スリット間隔を磁性体層中央部と外周部とで均一とすることができ、磁性体層外周部付近での渦電流の発生を大幅に抑制することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品について図面を参照しながら説明する。
図1において、シート状の素体6内には渦巻状のコイル7を形成し、このコイル7の最外周部には端子8A、8Bを電気的に接続し、コイル7を構成する平面コイル7A、7B間にはビア7Cを形成している。そして、コイル7の上方、及び下方に磁性体層9A、9Bを素体6内に形成しており、磁性体層9A、9Bには、図2に示すごとく、その曲折部から磁性体層9A、9Bの外周方向へ向けて広がる略くの字形状のスリット10Aを複数並走させて形成して構成している。
ここで、図1に示すごとく、磁性体層9A、9Bはコイル7の巻回平面に対して略平行に配置している。コイル7の中心部分から発生した磁束が、コイル7の上方、あるいは下方に発散する際に、その通り道に高透磁率の磁性体層9A、9Bを配置するためである。
ここで、コイル7は一層でも構わないが、本実施の形態においては2層の平面コイル7A、7Bにより構成している。上層の平面コイル7Aは端子8Bから内周方向へ渦巻状に巻回し、この平面コイル7Aの最内周部と下層の平面コイル7Bの最内周部とをビア7Cにより接続し、この平面コイル7Bを端子8Aへ向かう方向(外周方向)へ渦巻状に巻回してコイル7を構成している。
ここで、平面コイル7A、7Bは互いに同方向に巻回することが望ましい。これは、平面コイル7Aで発生した磁束と、平面コイル7Bで発生した磁束とを打ち消し合わされることがなく、大きなインダクタンス値を実現することができるためである。
ここで、各磁性体層9A、9Bの厚みは、その厚み方向における渦電流の発生を防止するために、スキンデプスの2倍未満の厚みにしている。
さらに、図2に示す略くの字形状のスリット10Aの間隔も、磁性体層9A、9Bの形成平面方向における渦電流の発生を防止するために、スキンデプスの2倍未満の厚みにしている。
このように、磁性体層9A、9Bに、図2に示すごとく、その曲折部から磁性体層9A、9Bの外周方向へ向けて広がる略くの字形状のスリット10Aを複数並走させて形成する構成としたため、スリット10A間隔を磁性体層9A、9B中央部と外周部とで均一とすることができ、磁性体層9A、9B外周部付近での渦電流の発生を大幅に抑制することができる。
さらに、略くの字形状のスリット10Aを、その曲折部から外周方向へ向けて広がる構成とすることにより、図1に示すコイル7中央部から発生した磁束が、磁性体層9A、9Bを介してその曲折部から外周方向へ発散されるのを、図2に示すスリット10Aの存在により妨げることが少なく、高いインダクタンス値を得ることができる。
さらに、図3に示すような構成、即ち、略十字形状のスリット10Bに、複数の略くの字形状のスリット10Aを並走させた構成により、磁性体層9A全体におけるその中央部分の渦電流をさらに低減することができる。
さらに、図4に示すような構成、即ち、略十字形状のスリット10Bに、複数の略くの字形状のスリット10Aを並走させ、さらにこの複数の略くの字形状のスリット10Aの曲折部を横断するスリット10Cを設けた構成とすることにより、複数の略くの字形状のスリット10A間に形成された磁性体層9Aにおける中央部(くの字の曲折部)の渦電流をさらに低減することができる。
なお、磁性体層9A、9Bにおけるスリットの形状及びその配置は、互いに同一とすることが望ましい。一部でも磁束が通りにくい部分があると、その部分にインダクタンス値が制限されてしまうからである。
なお、磁性体層9A、9Bを素体6内ではなく、その上面あるいは下面に形成する構成にしてもかまわないが、図1に示すごとく、磁性体層9A、9Bを素体6内に形成するとともに、この磁性体層9A,9Bに設けたスリット10A、10Bを素体6の一部で充填する構成とすることにより、各磁性体層9A、9Bの全体を熱収縮率の均一な素体6で覆う構成とすることができ、半田実装時等、コイル部品全体に熱が加わるような状況下においても、磁性体層9A、9Bに対して応力が局所的にかかることがなく、高い信頼性を得ることができる。
さらに、スリット10A、10Bを設けるとともに、このスリット10A,10Bを図1に示すごとく素体6の一部で充填することにより、磁性体層9A、9Bと素体6との接触面積が増し、それらの密着性を高めることができる。
なお、図2において、複数のくの字形状のスリット10Aの曲折部を、磁性体層9A、9Bにおけるコイル7Aの中心部に対応する位置に向かせることが望ましい。コイル7の中心部から発生した磁束が磁性体層9A、9B外周方向へ発散される際に、その磁束がスリット10Aの存在により妨げることが最も少なくなるためである。
また、平面コイル7A,7Bをそれぞれ同一平面状において巻回する構成にすることにより、低背型のインダクタンス部品を実現することができる。
なお、本実施の形態においては、コイル7の上方、下方にそれぞれ1枚の磁性体層9A、9Bを配置する構成としているが、それ以上の層数で構成することにより、高いインダクタンス値を得ることができる。また、コイル7の上方と下方とで、形成する磁性体層の層数を異ならせてもかまわないが、コイル7の上方、下方の一方に磁束が流れにくい部分があると、その部分にインダクタンス値が制限されてしまうため、同じ厚みの磁性体層を用いるのであれば、コイル7の上方、下方とも同じ層数に、異なる厚みの磁性体層を用いるのであれば、その厚みの合計がコイル7の上方と下方とで等しくなるように配置することが望ましい。
なお、コイル7は単層でも構わないが、本実施の形態の図1に示すごとく平面コイル7A、7Bを2層以上積層させた構造とすることにより、より大きなインダクタンス値を実現することができ望ましい。
なお、平面コイル7A、7Bの断面は方形ではなく円形でもかまわないが、方形の方がコイル断面積を大きくとることができるため、その結果として銅損を低減することができるため望ましい。
なお、平面コイル7A、7Bの厚みを10μm以上とすることにより大電流に対応することができ望ましい。
なお、磁性体層9A、9Bの材料としては、鉄または鉄合金からなる組成の金属磁性材料を用いることが、磁束密度、磁気損失の観点から好ましい。この磁性体層9A、9Bに鉄合金を用いた場合、鉄の組成比を30質量%以上とすることが望ましい。これは磁性体層9A、9Bに含まれる鉄の含有量を30質量%以上にすることで、高飽和磁束密度、かつ低保磁力という磁気特性を実現することができるためである。また、ニッケル量を80%付近にすると高透磁率とすることができ、大きなインダクタンス値を得ることができ望ましい。
また、磁性体層9A、9Bに用いる鉄合金としては、FeNi,FeNiCo,FeCoのうちいずれか一つを含む組成からなる金属磁性材料を用いることが、高磁束密度、低磁気損失の観点からより好ましい。
この磁性体層9A、9Bの作製には、例えば電気めっき法を使用することができる。
このとき、電気めっき工程に用いるめっき浴にはFeイオンあるいはその他の金属イオンを含有させておく。
なお、めっき浴の各種添加剤として、応力緩和剤、ピット防止剤、錯化剤を入れておくことが好ましい。この応力緩和剤としては例えばサッカリンが挙げられる。サッカリンは、スルホン酸塩を含有する物質であるため、その効果を発揮することができる。このような応力緩和剤を入れることで、磁性体層9A、9Bを厚く形成してもクラックが発生しない、均一性に優れた磁性体層9A、9Bを形成することができる。例えば、応力緩和剤としてサッカリンを用いた場合、めっき浴中に0.1〜5g/L含有させておくことでその効果を見ることができるが、電流密度等のめっき条件によって応力緩和作用を発揮する量は変化するので適宜条件設定をすることで制御することが可能である。
また、錯化剤としては、各種金属イオンを安定化するために、アミノ酸、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸をはじめとした有機分子や無機分子を含有させることで金属イオンと安定な錯体を形成することができる。
このようなめっき浴を用いて電解めっき法によって鉄合金膜を形成するが、陽極を分離しためっき装置を用いる、あるいは磁場中でめっきを行う等の工夫をすることにより、磁気特性に優れた鉄合金膜を形成することが可能となる。
本発明のインダクタンス部品は、磁性体層外周部付近における渦電流を抑制することができるという特徴を有し、携帯電話等の各種電気機器において有用である。
本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品の断面図 本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品の上面図 本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品の上面図 本発明の実施の形態1におけるインダクタンス部品の上面図 従来のインダクタンス部品の断面図 従来のインダクタンス部品の上面図
符号の説明
6 素体
8A、8B 端子
9A 磁性体層
10A スリット

Claims (10)

  1. 素体と、
    この素体内に形成されたコイルと、
    このコイルに電気的に接続された端子と、
    前記コイルの上方あるいは下方に設けられた磁性体層とを備え、
    前記磁性体層には、その曲折部から前記磁性体層の外周方向へ広がる略くの字形状のスリットを複数並走させて形成したインダクタンス部品。
  2. スリットの間隔をスキンデプスの2倍未満にした請求項1に記載のインダクタンス部品。
  3. 磁性体層を素体内に形成した請求項1に記載のインダクタンス部品。
  4. 磁性体層に設けたスリットを素体の一部で充填した請求項3記載のインダクタンス部品。
  5. 磁性体層におけるコイル中心部に対応する位置に、略くの字形状のスリットの曲折部を向かせた請求項1に記載のインダクタンス部品。
  6. 素体と、
    この素体内に形成されたコイルと、
    このコイルに電気的に接続された端子と、
    前記コイルの上方あるいは下方に設けられた磁性体層とを備え、
    前記磁性体層には、略十字形状の第1のスリットを形成するとともに、この第1のスリットに並走させるとともにその曲折部から前記磁性体層の外周方向へ広がる略くの字形状の第2のスリットを複数並走させて形成したインダクタンス部品。
  7. 第2のスリットの間隔をスキンデプスの2倍未満にした請求項5に記載のインダクタンス部品。
  8. 磁性体層を素体内に形成した請求項5に記載のインダクタンス部品。
  9. 磁性体層に設けたスリットを素体の一部で充填した請求項8記載のインダクタンス部品。
  10. 磁性体層におけるコイル中心部に対応する位置に、略くの字形状のスリットの曲折部を向かせた請求項1に記載のインダクタンス部品。
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