JP2008010029A - スライダの検査方法および検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スライダへの影響を抑えながら、スライダの外観検査を効率的におこなう。
【解決手段】スライダの検査方法は、概ね直方体形状をなすスライダの検査方法であって、媒体対向面または媒体対向面となるべき面である第1の面以外の面を下面としてスライダを支持しながら、スライダを上方に動かし、検査位置で止める移動ステップ(S2,S3)と、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置された第1のカメラによって第1の面を検査すると同時に、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置された第2のカメラによって、第1の面と異なり、かつ下面とも異なるスライダの第2の面を検査する検査ステップ(S4)と、を有している。
【選択図】図2

Description

本発明は、スライダの検査方法および検査装置に関し、特に、ハードディスクに用いられるスライダの光学的検査方法およびその装置に関する。
スライダは、アルティックなどのセラミクスウエハに薄膜技術を用いて記録再生素子を形成し、そのウエハを、媒体対向面となるべき面が長手方向に一列に配列したバーに切り出し、さらにバーを個々のスライダに切り出して形成される。ウエハ上に記録再生素子を形成する際には、成膜面に各スライダの番号を付記しており、ウエハの切断後は、スライダはこの番号によって管理される。スライダはウエハからの切断後、バーの状態、単体の状態、およびヘッドジンバルアッセンブリ(HGA)に組込まれた状態で、数回にわたり光学顕微鏡等による外観検査を受ける。スライダがHGAに組込まれた最終段階だけで検査をおこなうと、歩留まり損が大きく、原因究明も有効におこなうことができない。そこで、各工程での不良発生の割合を把握し、原因究明、改善につなげるために、工程ごとの検査が非常に重要である。
外観検査の対象は主に、媒体対向面またはラッピングによって媒体対向面となるべき面(以下、第1の面という。)へのごみの付着や欠落箇所のチェックであるが、スライダ番号は成膜面に付記されているため、第1の面を検査する際には成膜面も同時に検査する必要がある。また、バーの工程管理上、工程ごとにスライダ番号を確認する必要があり、実際に検査をおこなう機会は第1の面よりもむしろ成膜面の方が多い。スライダ番号の確認も顕微鏡によっておこなわれる。スライダの特定にはウエハ番号とスライダ番号の2つが必要となるが、ウエハ番号は成膜面の反対側の面(ウエハ裏面)に付記されることもあり、その場合は、第1の面を含めて計三面を顕微鏡で検査する必要がある。なお、本明細書では、スライダの検査とは第1の面等の点検検査、外観の状態検査だけでなく、スライダ番号やウエハ番号の確認をおこなうだけの作業も含む。
ところで、バーは非常に脆弱なため、通常は、ケース(トレイ)に入れて、保管および移動がおこなわれる。図7は従来用いられてきたトレイの一例を示す。トレイ121は枠体からなり、複数のバーが同時に収納できるようになっている。トレイの対向する2辺には段差部123が設けられ、バーBは段差部123に保持される。スライダ番号は上述のとおり頻繁にチェックされるため、バーBは、スライダ番号が見やすいように、スライダ番号が付記された成膜面を上向きにして収納される。
第1の面の外観検査をおこなうときは、まずトレイに入れた状態でスライダ番号を光学顕微鏡でチェックする。ウエハ番号がウエハ裏面に付記されているときは、トレイをひっくり返してウエハ番号を確認する。次にトレイからバーを1つずつ、ピンセットを使って取り出し、光学顕微鏡を備えた検査台に移動し、第1の面の検査をおこなう。しかし、この検査の質および効率は、作業者のスキル(位置決め、検査時間等)に大きく依存し、作業者によるばらつきが大きい。脆弱なバーを取り扱うため、バーを取り出し、検査した後トレイに戻す作業は高度な熟練を要し、失敗してバーを破損してしまったり、コンタミなどが付着することも多く、歩留まりの悪化や検査の長時間化の原因となっていた。第1の面に欠陥が見つかった場合、そのスライダを特定するため、そのままバーを90度傾けスライダ番号を再度チェックすることもあり、不良品が多いと検査時間がさらに長くなる。検査時間を短縮するためには作業者の数を増やさなければならない。
このような問題を解決するため、これまでもスライダの検査方法の合理化を図る努力がなされてきた。特許文献1には、スライダを複数方向から検査する方法が開示されている。具体的には、多数のスライダを回転する支持体の外周面に固定し、支持体を回転させながらスライダの向きを変え、固定カメラで外観検査をおこなう。スライダを固定する方法として、あらかじめスライダをテープに固定し、テープを支持体に巻きつけることも記載されている。
特許文献2には、鏡を使ってスライダの複数の面を同時に検査する方法が開示されている。具体的には、検査対象であるスライダの側方に45度の角度の鏡を設置する。鏡を光学顕微鏡の視野内に設置すれば、光学顕微鏡の視野にはスライダとともに、鏡に映ったスライダ側方の様子が写し出され、スライダの正面だけでなく側方の様子を同時に検査することができる。
特開1993−223534号公報 特開2002−048716号公報
特許文献1,2に記載の技術は、バーからスライダを切り出し、切り出されたスライダを改めて専用の支持具に装着する必要があり、作業効率の点で課題がある。支持具に装着する際に接着剤を用いる場合、接着剤がスライダに付着したままになる可能性もあり、スライダの信頼性に影響を及ぼす可能性もある。
本発明は、スライダへの影響を抑えながら、スライダの外観検査を効率的におこなうことのできる検査方法および検査装置を提供することを目的とする。
本発明のスライダの検査方法は、概ね直方体形状をなすスライダの検査方法であって、媒体対向面または媒体対向面となるべき面である第1の面以外の面を下面としてスライダを支持しながら、スライダを上方に動かし、検査位置で止める移動ステップと、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置された第1のカメラによって第1の面を検査すると同時に、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置された第2のカメラによって、第1の面と異なり、かつ下面とも異なるスライダの第2の面を検査する検査ステップと、を有している。
このように、本発明のスライダの検査方法では、スライダの下面を支持しながらスライダを所定の検査位置まで上方に持ち上げる。すなわち、スライダは重力のみによって支持されるため、あらかじめスライダを専用の治具に固定するなどの手順が不要となる。また、スライダが支持される下面は第1の面以外の面であるため、検査中に第1の面に不要な力がかかったり、付着物が生じたりすることもなく、媒体対向面の保護が容易である。
検査ステップは、第1のカメラによって第1の面を検査すると同時に、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置された第3のカメラによって、第1の面と異なり、下面とも異なり、かつ第2の面とも異なるスライダの第3の面を検査することを含んでいてもよい。
移動ステップは、複数個のスライダが長手方向に一列に配列されたスライダ集合体を上方に動かし、検査位置で止めることを含み、検査ステップの後に、検査されたスライダ以外のスライダが検査位置に来るようにスライダ集合体を長手方向に動かし、検査位置に来たスライダを対象に検査ステップを繰り返すステップを有していてもよい。
スライダ集合体は、スライダが多数形成されたバーとすることができる。
移動ステップは、両端部のみが自重によって支持体に支持されるバーの下面に移動ステージを当接させ、移動ステージを上方に動かすことによってバーを支持体から分離し上方に動かすことを含み、検査ステップの後に、移動ステージを下降させ、バーを支持体に支持させるステップを有していてもよい。
スライダ集合体は、スライダが多数形成されたバーから切断分離され、切断用治具によって一体に保持された複数のスライダとすることができる。
移動ステップは、貫通孔を底面に有するトレイに収納されたスライダの下面に、貫通孔を通して移動ステージを当接させ、移動ステージを上方に動かすことによってスライダをトレイから分離し上方に動かすことを含み、検査ステップの後に、移動ステージを下降させ、スライダをトレイに収納するステップを有していてもよい。
検査ステップは、同時に検査したスライダの各面の状況を一つの画像表示装置に同時に表示することを含むことができる。
スライダは第1の面が上面となるように支持されることが望ましい。また、スライダはスライダ番号が付記された面が第2の面となるように支持されることが望ましい。
本発明のスライダの検査装置は、スライダが長手方向に多数形成されたバーの両端部のみが自重によって支持されるようにされた支持体を備えた、第1のステージと、バーの下方からバーの下面に当接し、バーを支持体から分離して検査位置まで動かすように上下運動が可能な第2のステージと、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、スライダの媒体対向面または媒体対向面となるべき面である第1の面を撮影可能な第1のカメラと、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、第1の面と異なり、かつ下面とも異なるスライダの第2の面を撮影可能な第2のカメラと、を有している。
このように、本発明のスライダの検査装置では、スライダの多面検査をバーの状態、すなわちバーの単位でおこなうことができる。このため、検査のためにスライダを改めて一つずつ治具に装着する必要がなく、検査手順の合理化が可能となる。また、スライダが支持される下面は第1の面以外の面であるため、検査中に第1の面に不要な力がかかったり、付着物が生じたりすることもない。
検査装置は、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、第1の面と異なり、下面とも異なり、かつ第2の面とも異なるスライダの第3の面を撮影可能な第3のカメラを有していてもよい。
検査装置は、各カメラの撮像データを同時に表示することのできる画像表示装置を有有していてもよい。
第1および第2のステージは、バーの長手方向に連動して移動することができるようにすることが好ましい。
支持体は複数個のバーが互いに平行に載置されるようにされ、第1のステージは、水平面内を、長手方向と直交する方向に移動することができるようにすることが望ましい。
本発明のさらに別の実施態様によれば、スライダの検査装置は、スライダの検査装置底面に貫通孔を備え、スライダが収納可能なトレイと、貫通孔を通してスライダ下面に当接し、スライダをトレイから分離して検査位置まで動かすように上下運動が可能な移動ステージと、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、スライダの媒体対向面または媒体対向面となるべき面である第1の面を撮影可能な第1のカメラと、検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、第1の面と異なり、かつ下面とも異なるスライダの第2の面を撮影可能な第2のカメラと、を有している。
以上説明したように、本発明によれば、スライダへの影響を抑えながら、スライダの外観検査を効率的におこなうことのできる検査方法および検査装置を提供することができる。
まず、本発明の実施形態の一つであるスライダ検査装置について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るスライダ検査装置の全体構成図である。スライダ検査装置1は、第1のステージ2と、第2のステージ3と、検査位置Tに光軸を合せて設置された第1〜第3のカメラ11,12,13と、第1〜第3のカメラ11,12,13の撮像データを表示する画像表示装置14と、を備えている。
第1のステージ2は、バーBの支持体であるトレイ21と、トレイ21を支持するベース22と、を有している。トレイ21は、適宜の方法でベース22に固定され、かつベース22から分離することができる。トレイ21およびベース22はともに枠状で、トレイ21はベース22の枠体に合せて固定される。このため、トレイ21がベース22に固定された状態では、その内部は開口部となっている。トレイ21は、スライダSが長手方向に多数形成されたバーBが自重によって支持されるようになっている。具体的には、トレイ21の対向する2辺にはバーBが載置される段差部23が形成され、バーBは、両端部B1,B2が段差部23に載置されることによって、自重により保持される。トレイ21は、真空チャックでバーBを固定する機能を有していてもよい。トレイ21は複数個のバーBを互いに平行な位置関係で保持する。
ベース22には図示しない移動手段が連結され、第1のステージ2は、水平面内を、バーの長手方向x、およびそれと直交する方向yに移動することができる(図中、白抜き矢印参照)。
トレイ21はバーBを保管する機能も有しており、従来用いられてきたトレイと同様の構造を備えている。ただし、本実施形態では、トレイ21はスライダの第1の面が上方を向くように構成されている。トレイ21はスライダ製造工程の多くの期間は単独で用いられ、スライダの外観検査が必要となったときのみ、スライダ検査装置1に組込まれる。
第2のステージ3は第1のステージ2の開口部内に設けられ、バーBの下方からバーBの下面に当接し、バーBをトレイ21から分離して検査位置Tまで動かすように上下方向zに移動可能である。第2のステージ3は、第1のステージ2と連動して、バーの長手方向xにも移動することができる(以上、図中の黒塗矢印参照)。
第2のステージ3の上方には、第1〜第3のカメラ11,12,13が設置されている。第1のカメラ11は検査位置Tにあらかじめ光軸を合せて設置され、媒体対向面または媒体対向面となるべき面であるスライダの第1の面M1(図3参照)を撮影するように、鉛直方向下向きを向いて設けられている。第1のカメラ11は、一つのスライダの第1の面全体と素子(ポール)周辺とを、各々適切な倍率で検査できるように、200倍と500倍の2つの倍率を切り替えることができる。
第2のカメラ12も検査位置Tにあらかじめ光軸を合せて設置され、スライダの成膜面を撮影するように、水平方向を向いて設けられている。第2のカメラ12は、一つのスライダの成膜面全体を検査できるように、200倍の倍率で検査することができる。ただし、第2のカメラ12が撮影するスライダの面はスライダの成膜面である必要はなく、スライダ番号が別の面に付記されている場合はその面でもよいし、スライダのある特定の面を検査する必要がある場合にはその面でもよい。つまり、第2のカメラ12が撮影可能なスライダの面は、第1の面M1および下面とは異なる任意の第2の面M2とすることができる。
第3のカメラ13も検査位置Tにあらかじめ光軸を合せて設置され、スライダの裏面(ウエハ裏面側)を撮影するように、水平方向を向いて設けられている。第3のカメラ13は、一つのスライダの裏面全体を検査できるように、200倍の倍率で検査することができる。ウエハ裏面を撮影する必要がないときは第3のカメラ13は省略してもよい。また、第3のカメラ13が撮影するスライダの面はウエハ裏面である必要はなく、スライダのある特定の面を検査する場合にはその面でもよい。つまり、第3のカメラ13が撮影可能なスライダの面は、スライダの第1の面M1、下面、および第2の面M2とは異なる第3の面M3である。
各カメラ11,12,13は例えばCCD(Charge-Coupled Device)を搭載したデジタルカメラを用いることができるが、これに限定されず、任意の撮像手段を用いることができる。倍率は上記のものに限定されず、可変倍率であってもよい。
各カメラ11,12,13は画像表示装置14に接続されている。画像表示装置14は、各カメラ11,12,13で撮像したデータを、一画面を分割するなどの手法によって同時に表示することができる。カメラ11,12,13および画像表示装置14は、画像処理および画像表示用の計算機(図示せず)に接続されていてもよい。
次に、以上説明した検査装置を用いたスライダの検査方法について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。図3はスライダの検査中の状況を示す模式図であり、同図(a)は図1のa−a方向から見た側面図、同図(b)は図1のb−b方向から見た側面図である。
(ステップS1)まず、ウエハから切り出した複数個のバーBを、図1のように、第1の面を上向きにしてトレイ21に載置する。前述のように、バーBは複数個のスライダが長手方向xに一列に配列されたスライダの集合体である。スライダは概ね直方体形状をなし、一方の面に、媒体対向面またはラッピングによって媒体対向面が形成されるべき面である第1の面M1が形成されている。
(ステップS2)次に、検査対象のバーBが検査位置Tの直下(第2のステージ3の直上)にくるまで、第1のステージ2をy方向に動かす(図3(a)の白抜き矢印)。
(ステップS3)この状態で、第2のステージ3を上昇させる。第2のステージ3がベース22の内部を通って図3(a)の黒塗矢印の向きに上昇すると、その上端部が検査対象のバーBの下面に当接する。第2のステージ3は引き続き上昇し、バーBは、第1の面M1の裏面が第2のステージ3に支持されながら上方に動かされ、検査位置Tで止められる。バーBは、その両端部B1,B2のみが自重によってトレイ21に支持されているため、第2のステージ3の上端部がバーBの下面に当接し、第2のステージ3がさらに上方に移動することによって、トレイ21から容易に分離する。
(ステップS4)次に、図3(b)の白抜き矢印および黒塗矢印に示すように、第1のステージ2および第2のステージ3を長手方向xに移動し、検査対象のスライダが検査位置Tにきた時点で止める。第1のステージ2および第2のステージ3は長手方向xに同じ距離だけ移動するようにあらかじめ調整されている。なお、第2のステージ3だけを動かして、検査対象のスライダが検査位置Tにくるようにしてもよい。この場合、第1のステージ2と干渉しないように、第2のステージ3の形状を定めておくことが望ましい。
(ステップS5)検査位置Tにあらかじめ光軸を合せて設置された第1のカメラ11によって検査対象のスライダの第1の面M1を検査する。第1のカメラ11は、倍率を自動操作またはマニュアル操作によって切り替えて、第1の面M1の全体画像と、ポール付近の拡大画像を取得する。全体画像を観察することによって、第1の面M1のスクラッチやコンタミの有無を検査することができる。ポール付近はスライダの機能上特に重要な部位であり、また高倍率での検査が必要とされる部位である。倍率を切り替えて適切な範囲を撮像することによって、検査の精度を向上させることができる。第1のカメラ11での撮像と同時に、検査位置Tにあらかじめ光軸を合せて設置された第2のカメラ12によって、第2の面M2の全体画像を取得する。第2の面M2は、例えばスライダ番号が付記された成膜面である。成膜面にはボンディングパッド(図示せず)も設けられており、洗浄後のコンタミやチッピングが問題となりやすいため、検査の必要性は大きい。これと同時に、検査位置Tにあらかじめ光軸を合せて設置された第3のカメラ13によって、第3の面M3の全体画像を取得する。第3の面M3は、例えばウエハ裏面側の面(成膜面の裏面)とすることができる。この面には、ウエハ番号が付記されている場合がある。なお、同時に画像を取得、あるいは同時に検査するという意味は、厳密に同時刻ということではなく、多少の時間ずれを伴っていてもかまわないことはいうまでもない。
図4は、画像表示装置に表示された各カメラの撮影画像の概念図である。画像表示装置14のディスプレイ画面は4分割され、各区画に、上述した第1の面M1の全体画像(右下)、ポール付近(図中A部)の拡大画像(右上)、第2の面M2の全体画像(左上)、および第3の面M3(左下)の全体画像が同時に表示される。チッピング等の欠陥部C1,C2は同時に表示され、スライダ番号N1、ウエハ番号N2も同時に表示されるので、欠陥の有無と、スライダの特定が容易である。4つの画像を同時に表示する代わりに、一つ一つの画像をディスプレイ画面全体に順次表示してもよく、2つまたは3つの画像のみを選択して同時に表示してもよい。また、第3の面M3の画像が不要な場合、カメラによる撮像自体を省略してもかまわない。
(ステップS6)次のスライダを検査する場合、次の検査対象のスライダが検査位置Tに来るように第1のステージ2および第2のステージ3を長手方向xに移動し(図3(b)の白抜き矢印および黒塗矢印)、バーBを長手方向に動かす。その後、検査位置Tに来たスライダを対象にステップ5を繰り返す。
(ステップS7)一つのバーBの検査が終了すると、第2のステージ3を下降させ、バーBをトレイ21に支持させる。前述のように、バーBは、その両端部B1,B2のみが自重によってトレイ21に支持されるため、第2のステージ3を下降させることによって、バーBは自動的にトレイ21の元の位置に載置される。
(ステップS8)さらに別のバーBの検査を行うときは、上述のステップS2〜S7を必要回数繰り返す。
以上説明したように、本実施形態のスライダの検査装置および検査方法によれば、効率的かつ信頼性の高い方法でスライダの多面を同時に検査することが可能である。すなわち、バーはトレイに収納された状態から、媒体対向面の裏側を持ち上げられようにして上下移動するので、ピンセット等の接触により媒体対向面に検査による損傷が生じるおそれが少ない。各面の検査結果を同時に画像表示装置に表示することができるため、不良スライダの特定が容易であり、作業効率も高まる。チッピングやコンタミの不良は、検査する各面で相関がある場合が多いが、各面の検査情報が同時に表示されるためも解析や原因究明も容易となる。作業効率が向上することから、光学顕微鏡を用いた検査装置を多数設置する必要性も減り、作業スペースの削減にも寄与する。
また、本実施形態では、スライダの第1の面が上方を向いた状態でバーを保管することができる。スライダの第1の面を上方に向けた状態での工程は比較的多いため、このようなバーの保管方法を採用できることはメリットがある。従来は、スライダ番号を頻繁に確認する必要があったことから、それを優先して成膜面を上に向ける方法が取られることが多かった。しかし、本実施形態では、成膜面に付記されたスライダ番号を容易に識別することができるため、成膜面を上に向けて保管する必要性は小さく、プロセス上有利な第1の面を上方に向けた保管が可能となる。
以上の説明ではスライダはバーの状態で検査されたが、バーからスライダに切り出された後でも本発明を適用した検査が可能である。図5はバーをスライダに切断する際に用いられる切断治具の外形図である。切断治具31は、支持板33と、支持板33に直角に取り付けられたスライダ支持部32と有し、スライダ支持部32の間にはギャップ34が設けられている。バーは切断治具31に接着剤によって固定され、所定の切断具で分離される。ギャップ34の上部はバーの切り代となり、切断具はギャップ34を通過しながらバーの切り代を切断し、切断されたバーの各部(スライダS)はスライダ支持部32に保持される。このため、バーの切断後も、スライダSは切断治具31を介して依然として一体の集合体となっている。そこで、切断治具31に固定されたスライダSを上述したバーと同様にトレイ21に取り付けることで、同様の検査方法を適用することができる。
また、スライダが切断治具から剥離され、完全に独立した状態になった後でも同様の方法を適用することができる。図6は、スライダ検査装置の他の実施形態を示す概略構成図である。第1のステージ2aはスライダトレイ25を支持するトレイ受け26を備えている。スライダトレイ25は個々のスライダを収納するポケット28を備え、各ポケット28の底面には貫通孔27を有している。貫通孔27はスライダトレイ25ごとスライダを洗浄する際の洗浄水の排水孔としても用いられる。第2のステージ3aは上端部にピン24を有し、貫通孔27を通してスライダ下面に当接し、スライダをスライダトレイ25から分離して検査位置Tまで動かすように上下運動可能に設けられている。
スライダの第1の面M1を撮影可能な第1のカメラ11が、検査位置Tにあらかじめ光軸を合せて設置され、同様に、スライダの第2の面M2を撮影可能な第2のカメラ12が、検査位置Tにあらかじめ光軸を合せて設置されている。さらに、スライダの第3の面M3を撮影可能な第3のカメラ13が、検査位置Tにあらかじめ光軸を合せて設置されている。各カメラ11,12,13は画像表示装置14に接続されている。これらのカメラ11,12,13および画像表示装置14の構成は、上述の実施形態と同様である。
スライダを検査するには、貫通孔27を底面に有するスライダトレイ25に収納されたスライダの下面に、貫通孔27を通して第2のステージ3aのピン24を当接させ、第2のステージ3aを上方に動かすことによって、スライダをスライダトレイ25から持ち上げ上方に動かせばよい。カメラ11,12,13による撮像、および画像表示装置14による画像表示は上述の実施形態と全く同様におこなうことができる。
本発明に係るスライダ検査装置の全体構成図である。 本発明に係るスライダの検査方法のフローチャートである。 スライダの検査中の状況を示す模式図である。 画像表示装置に表示された各カメラの撮影画像の概念図である。 バーをスライダに切断する際に用いられる切断治具の外形図である。 スライダ検査装置の他の実施形態を示す概略構成図である。 従来用いられてきたトレイの一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 スライダ検査装置
2 第1のステージ
3 第2のステージ
11 第1のカメラ
12 第2のカメラ
13 第3のカメラ
14 画像表示装置
21 トレイ
22 ベース
23 段差部
24 ピン
25 スライダトレイ
26 トレイ受け
27 貫通孔
28 ポケット
31 切断治具
32 スライダ支持部
33 支持板
34 ギャップ
B バー
T 検査位置
M1 第1の面
M2 第2の面
M3 第3の面
S スライダ

Claims (19)

  1. 概ね直方体形状をなすスライダの検査方法であって、
    媒体対向面または媒体対向面となるべき面である第1の面以外の面を下面として前記スライダを支持しながら、該スライダを上方に動かし、検査位置で止める移動ステップと、
    前記検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置された第1のカメラによって前記第1の面を検査すると同時に、前記検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置された第2のカメラによって、該第1の面と異なり、かつ前記下面とも異なる前記スライダの第2の面を検査する検査ステップと、
    を有する、スライダの検査方法。
  2. 前記検査ステップは、前記第1のカメラによって前記第1の面を検査すると同時に、前記検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置された第3のカメラによって、該第1の面と異なり、前記下面とも異なり、かつ前記第2の面とも異なる前記スライダの第3の面を検査することを含む、請求項1に記載のスライダの検査方法。
  3. 前記移動ステップは、複数個の前記スライダが長手方向に一列に配列されたスライダ集合体を上方に動かし、前記検査位置で止めることを含み、
    前記検査ステップの後に、検査されたスライダ以外のスライダが前記検査位置に来るように前記スライダ集合体を前記長手方向に動かし、該検査位置に来たスライダを対象に該検査ステップを繰り返すステップを有する、
    請求項1または2に記載のスライダの検査方法。
  4. 前記スライダ集合体は、スライダが多数形成されたバーである、請求項3に記載のスライダの検査方法。
  5. 前記移動ステップは、両端部のみが自重によって支持体に支持される前記バーの前記下面に移動ステージを当接させ、該移動ステージを上方に動かすことによって該バーを該支持体から分離し上方に動かすことを含み、
    前記検査ステップの後に、前記移動ステージを下降させ、前記バーを前記支持体に支持させるステップを有する、
    請求項4に記載のスライダの検査方法。
  6. 前記スライダ集合体は、スライダが多数形成されたバーから切断分離され、切断用治具によって一体に保持された複数のスライダである、請求項3に記載のスライダの検査方法。
  7. 前記移動ステップは、貫通孔を底面に有するトレイに収納された前記スライダの下面に、該貫通孔を通して移動ステージを当接させ、該移動ステージを上方に動かすことによって該スライダを該トレイから分離し上方に動かすことを含み、
    前記検査ステップの後に、前記移動ステージを下降させ、前記スライダを前記トレイに収納するステップを有する、
    請求項1または2に記載のスライダの検査方法。
  8. 前記検査ステップは、同時に検査した前記スライダの各面の状況を一つの画像表示装置に同時に表示することを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のスライダの検査方法。
  9. 前記スライダは前記第1の面が上面となるように支持される、請求項1から8のいずれか1項に記載のスライダの検査方法。
  10. 前記スライダはスライダ番号が付記された面が前記第2の面となるように支持される、請求項1から9のいずれか1項に記載のスライダの検査方法。
  11. スライダが長手方向に多数形成されたバーの両端部のみが自重によって支持されるようにされた支持体を備えた、第1のステージと、
    前記バーの下方から該バーの下面に当接し、該バーを該支持体から分離して検査位置まで動かすように上下運動が可能な第2のステージと、
    前記検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、前記スライダの媒体対向面または媒体対向面となるべき面である第1の面を撮影可能な第1のカメラと、
    前記検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、前記第1の面と異なり、かつ前記下面とも異なる前記スライダの第2の面を撮影可能な第2のカメラと、
    を有する、スライダの検査装置。
  12. 前記検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、前記第1の面と異なり、前記下面とも異なり、かつ前記第2の面とも異なる前記スライダの第3の面を撮影可能な第3のカメラを有する、請求項11に記載のスライダの検査装置。
  13. 前記各カメラの撮像データを同時に表示することのできる画像表示装置を有する、請求項11または12に記載のスライダの検査装置。
  14. 前記第1のカメラは複数の倍率を有している、請求項11から13のいずれか1項に記載のスライダの検査装置。
  15. 前記支持体は前記バーが載置される段差部を有している、請求項11から14のいずれか1項に記載のスライダの検査装置。
  16. 前記支持体は前記第1の面が上面となるように前記バーを支持する、請求項11から15のいずれか1項に記載のスライダの検査装置。
  17. 前記第1および第2のステージは、前記バーの前記長手方向に連動して移動することができる、請求項11から16のいずれか1項に記載のスライダの検査装置。
  18. 前記支持体は複数個のバーが互いに平行に載置されるようにされ、
    前記第1のステージは、水平面内を、前記長手方向と直交する方向に移動することができる、
    請求項17に記載のスライダの検査装置。
  19. 底面に貫通孔を備え、スライダが収納可能なトレイと、
    前記貫通孔を通して前記スライダ下面に当接し、該スライダを該トレイから分離して検査位置まで動かすように上下運動が可能な移動ステージと、
    前記検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、前記スライダの媒体対向面または媒体対向面となるべき面である第1の面を撮影可能な第1のカメラと、
    前記検査位置にあらかじめ光軸を合せて設置され、前記第1の面と異なり、かつ前記下面とも異なる前記スライダの第2の面を撮影可能な第2のカメラと、
    を有する、スライダの検査装置。
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