JP2008009201A - 投影装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、表示体の表示画像をスクリーン上に斜めに投影する斜め投影型の投影装置に関する。
従来、表示体の表示画像を台形歪みを生じることなくスクリーン上に斜めに投影する斜め投影型の投影装置が知られている。このような斜め投影型の投影装置は、例えば、スクリーン背後から表示画像を投影し、該画像をスクリーン正面から観察することができるいわゆるリアプロジェクターを小型化する場合に非常に好適な構成とされる。なお、本明細書において単に投影装置と記した場合には、斜め投影型を指すものとする。
一般に投影装置は、投影画像を生成する投影光学系と、投影光学系から照射された光束を偏向してスクリーンに導くミラーとを有している。該装置を小型化するという観点からは、装置内部において、装置の接地面側換言すればスクリーンに投影された画像の下方側に上記投影光学系を設置し、装置の天板側換言すればスクリーンに投影された画像の上方側に上記ミラーを配設することが好ましい。このような投影装置は、例えば、以下の特許文献1に記載される。
なお、以下の本文においては、投影装置を説明するにあたり、便宜上、該投影装置を接地面が地面に水平となるように設置した状態(通常使用状態)を基準として各方向を説明する。
ここで、特許文献1に例示される従来の投影装置では、装置の天板側にミラーを配設する際、スクリーンに対するミラーの傾き角度の調整が必要になる。そのため、一般的にミラーの水平方向両端は傾き調整用に加工されており、ミラー自体は水平方向に沿う端部で装置本体に固定されることが多い。
しかし、上記のようにしてミラーを固定すると、スクリーン面に直交する面での断面において、自重によるたわみが発生してしまう。また場合によっては、ミラーを加工した際に個体差が生じて固定前の段階で既に上記と同様のたわみが生じているおそれもある。該たわみを看過していては、ピントずれといった結像性能の劣化原因を招くことになる。
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、小型化に寄与しつつもミラーのたわみに起因する結像性能の劣化を効果的に防ぐことができる投影装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の投影装置は、スクリーン下方に配設される投影光学系と、スクリーン上方に配設され、投影光学系から照射された光束を偏向してスクリーンに投影するミラーと、を有し、ミラーとスクリーンのなす角度αが以下の条件(1)を満たすことを特徴とする。
ただし、Dはミラーにおけるスクリーンから最も遠い位置にある端部とスクリーン間の距離、Hはスクリーンの通常使用状態における鉛直方向の長さ、をそれぞれ表す。
請求項1に記載の投影装置のように、上記条件(1)を満たすようにミラーを傾けて配置することにより、ピントずれを効果的に防ぐことができる。
さらに請求項3に記載の投影装置によれば、以下の条件(3)、
を満たすことが望ましい。条件(3)を満たすことにより、スクリーンにおいて上端よりも下端での像の鉛直方向への歪み量が大きくなる現象を抑え、表示画像全体の結像性能の維持を図ることができる。
請求項4に記載の投影装置によれば、通常使用状態における水平方向において、ミラーの一端は、スクリーン上端に近接配置することが好ましい。これにより、装置全体の小型化に寄与することができる。
上記のような構成は、投影光学系およびミラーがスクリーン背後に配設され、スクリーン背後から投影された像がスクリーン正面から観察される、いわゆるリアプロジェクターに好適である(請求項5)。
以上のように、本発明によれば、所定の条件を満たすように装置内におけるミラーを配設することにより、ピントずれを最小限に抑えて結像性能を良好に保つことができる。
図1は、通常使用状態における実施形態の投影装置100の概略構成を示す図である。投影装置100は、ハウジング50内に、投影光学システム10、ミラー20、スクリーン30を有する。なお図1に示すように、以下の説明では、通常使用状態における投影装置100において、スクリーンの厚み方向をX方向、スクリーン5の鉛直方向をY方向、スクリーン5の水平方向をZ方向という。また、X方向の長さを(装置あるいは各部材の)奥行、Y方向の長さを(装置あるいは各部材の)高さ、Z方向の長さを(装置あるいは各部材の)幅という。すなわち図1は、X−Y平面での断面図である。
投影光学システム10は、図示しないが、光源、液晶素子、複数のレンズ等からなる投影光学系を有する。投影光学システム10から照射される光束は発散しつつハウジングの天板部に取り付けられたミラー20に入射する。ミラー20は、スクリーン30と略同一の幅を持つ略矩形状を有している。ミラー20は、X−Y平面で所定量傾けられた状態でハウジング50に取り付けられている。詳しくは、ミラー20は、Z方向に沿う一対の端部20a、20bがハウジング50に固定されることにより取り付けられている。
ミラー20で反射した光束は、スクリーン30の背面30bに像を投影する。投影された像は、スクリーン30の前面30aを介して観察される。
本実施形態の投影装置100は、ミラー20のX−Y平面でのたわみの量を有効に低減して、スクリーンの所定の場所に投影される像のピントずれを防止するために、以下のように構成される。
本実施形態の投影装置100のような斜め投影型の装置の場合、上記ピントずれの量は、上記たわみに起因して発生するミラー20の曲率Cと、ミラー20で偏向されスクリーン上の所定の場所で点像を形成する光束(以下、説明の便宜上、光束成分という)がミラー20に入射したときの径(光束成分径)の二乗と、の積で算出される。ただし、該光束成分径は、光束がスクリーンで形成する点像におけるY方向に対応する方向(図1中yで示す方向)での径をいう。従って、上記曲率Cおよびy方向の光束成分径の二乗を小さく抑えるように構成すれば、ピントずれが少なく結像性能が高い投影装置100が提供されることになる。
なお、スクリーン30で形成される点像は無数に存在する。従って、点像が形成される所定の場所が変われば光束成分径の二乗値も変化する。つまり、ピントずれの量は、スクリーン20の場所により異なる。
図2は、投影装置100の光学的配置を説明するためのX−Y平面での断面図である。図2において、破線はミラー20で反射する光束の光路を展開して示すものである。よって、部材10’は、光路を展開したときにおける投影光学システム10の配置を示す。
まず、ミラー20の曲率Cについて検討する。ミラー20が撓むことによって発生する曲率Cは、ミラー20のy方向の長さWとミラー20の重量に比例する。図2に示すように、ミラー20の長さWは、ミラー20とスクリーン30がなす角度をαとすると、1/sinαに比例する。また、ミラー20の重量は、ミラー20の長さWに依存する、つまり1/sinαに比例する。ここで投影装置100において、ミラー20は、スクリーン30に対して上記角度αをなすように傾けて配置されていることを踏まえると、ミラー20のたわみに起因する曲率Cは、長さWに鉛直方向(Y方向)にかかる力を乗じた値に比例することが分かる。つまり、
となり、曲率Cは、1/sinαに比例することがわかる。
次にy方向の光束成分径について検討する。一般にミラーの撓みによって生じるピントずれ量は、ミラー20で反射後スクリーンの最下部に入射する光束成分において最大になる。従って該光束成分におけるy方向の径を検討すれば、ピントずれ量を最小に抑える構成が導出される。そこで、ミラー20で反射後スクリーンの最下部に入射する光束成分の中心線とミラー20とがなす角度をβとする。図2より、光束成分径は、1/sinβに比例することがわかる。
上記の検討に基づくと、スクリーン30上の所定の場所におけるピントずれ量は、
に比例することがわかる。つまり、数8の値を小さくするように各部材を配置構成することにより、スクリーン上のいずれの場所においてもピントずれの少ない投影装置100が提供される。
なお、投影装置100は、必ずしも通常使用状態にあるわけではない。例えば、スクリーン30が図1に示すY−Z平面に対して傾いた状態で該装置100を使用することも考えられる。上記のような使用状態では、ミラー20がX−Z平面(水平面)に対して略平行になる場合も考えられる。この場合、数7は以下の数9、
に変換され、数8は以下の数10、
に変換される。つまり、ミラー20がX−Z平面に対して略平行な状態で投影装置100を使用するときが最も大きくたわみが発生し、結果としてピントずれ量も大きく発生することがわかる。
ここで、実際の投影装置100のサイズと、該サイズの装置100においてピントずれが最小になる角度αとの組合せを複数サンプリングして直線近似した結果、ミラー20がスクリーン30に対してなす最適な角度αは、以下の数11、数12によって規定される。数11は、スクリーン30の高さがH、ハウジング50の奥行がDである投影装置について、通常使用状態で使用することを前提にしたときの最適な角度αである。数12は、サイズを上記HおよびDで規定される投影装置について、ミラー20がX−Z平面に対して略平行な状態で使用することを前提にしたときの最適な角度αである。
さらに、数8と数10を比較すると、ミラー20がX−Z平面に対して略平行な状態で使用される場合の方がピントずれ量は大きいことが分かる。そこで、ミラー20は角度αがさらに以下の条件(2)を満たすように配置されるとよい。
また図2に示すように、Y−Z平面での断面において、最周辺光束成分の中心線LLに着目し、中心線LLとX−Z平面とがなす角度をΨ、中心線LLとY−Z平面(スクリーン30)とがなす角度をθとする。ここで、角度Ψが90度のとき奥行Dが最小になり投影装置100の小型化が達成され、かつスクリーン30上で非点収差が発生して像がY方向に延びる現象を有効に防止する効果が得られる。
上記式(1)、(2)のみならず、式(3)も満たすように角度αを設定することにより、上記効果を奏することができる。
以上説明した実施形態の投影装置100に関する具体的実施例を2例提示する。図2は実施例1の投影装置100の光学的配置を示す図である。図3は実施例2の投影装置100の光学的配置を示す図である。また、図4は、比較例として、既述の特許文献1に記載の投影装置と同一の構成における光学的配置を示す図である。
各実施例1、2および比較例の具体的数値構成を以下の表1に示す。なお、いずれの例の投影装置において使用されるミラーも厚みが3.00mm、比重が2.52g/cm3、ヤング率が800.00 108N/m2である。また、各例において、スクリーン側のFナンバは300を想定する。
表1に示すように、実施例1は上記式(1)を満たす。これに対して比較例は式(1)〜(3)のいずれも満たしていない。そのため、比較例に比べて、実施例1はたわみによる曲率C(=1/R)が小さく、ピントずれ量が小さく抑えられていることが分かる。さらに、実施例2は上記式(1)〜(3)を全て満たす。よって、実施例2はより一層ピントずれ量が小さく抑えられていることが分かる。
10 投影光学システム
20 ミラー
30 スクリーン
50 ハウジング
100 投影装置
20 ミラー
30 スクリーン
50 ハウジング
100 投影装置
Claims (5)
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の投影装置において、
通常使用状態における水平方向において、前記ミラーの一端は、前記スクリーン上端に近接配置していることを特徴とする投影装置。 - 前記投影光学系および前記ミラーは、前記スクリーン背後に配設され、前記スクリーン背後から投影された像が前記スクリーン正面から観察されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の投影装置。
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