この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に従う振動検出装置101の概略構成図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態1に従う振動検出装置101は、光伝送路3および4と、本体部1と、センサ部2とからなる。ここで、振動検出装置101では、本体部1から光伝送路3を介してセンサ部2へ第1の光信号が伝送され、センサ部2において外部から受けた振動に応じて、第1の光信号が第2の光信号に変換される。そして、変換された第2の光信号は、光伝送路4を介して本体部1へ伝送され、本体部1で電気信号に変換された後、検出信号として出力される。一例として、振動検出装置101は、音源から発生する音波による振動を検出する。
光伝送路3および4は、いずれも光ファイバで構成される。光伝送路3は、センサ部2と本体部1とを接続して、波長掃引光源20から射出される第1の光信号を伝搬する。一方、光伝送路4は、センサ部2と本体部1とを接続して、センサ部2から射出される第2の光信号を伝搬する。なお、光伝送路3および4は、それぞれ第1の光信号および第2の光信号の波長帯域において、損失および分散(波長分散、モード分散、偏波モード分散など)が小さいことが望ましい。
本体部1は、波長掃引光源20と、信号出力部10とからなる。
波長掃引光源20は、光伝送路3の一端と接続され、光信号の波長が周期的に変化する第1の光信号を発生して、光伝送路3へ射出する。なお、第1の光信号における各波長成分の光強度が略同一、すなわち波長スペクトルが平坦である必要はなく、少なくとも各波長の光強度は、波長掃引光源20からセンサ部2を経て信号出力部10に至るまでの経路における光損失に比較して、十分大きければよい。
信号出力部10は、光伝送路4の一端と接続され、光伝送路4を介して伝送される第2の光信号を受け、その波長変化に対応付けてそのレベルが変化するような検出信号を生成する。そして、信号出力部10は、光分岐部22と、光フィルタ24と、光電気変換部26および30と、パルス検出回路28と、演算部15とからなる。
光分岐部22は、光伝送路3の一端と波長掃引光源20との間に設けられ、光伝送路3に伝送される第1の光信号の一部を抽出して、抽出した第1の光信号を光フィルタ24へと導くこととする。
光フィルタ24は、光分岐部22から受けた第1の光信号のうち所定の波長に対応する第3の光信号を通過させる。具体的には、光フィルタ24は、入力する光信号の波長と対応付けられるような透過特性を有し、所定の波長の第3の光信号が光電気変換部26に与えられることとする。
光電気変換部26は、光フィルタ24から出力される光信号を受け、入力に応答した電気信号(パルス信号)を出力する。同様に、光電気変換部30は、光伝送路4から与えられる第2の光信号を受け、入力に応答した電気信号(パルス信号)を出力する。なお、光電気変換部26および30から出力される電気信号として一例としてパルス信号である場合について以下においては説明するが、デジタル信号でもよく、互いに同一の種類であることが望ましい。
パルス検出回路28は、それぞれ光電気変換部26および30から出力された電気信号(パルス信号)を受け、受けた第1および第2の光信号に基づくパルス信号のタイミング差を検出して、検出結果を出力部31に出力する。出力部31は、パルス検出回路28の検出結果に基づいて検出信号を出力する。具体的には、パルス検出回路28は、「H」レベルおよび「L」レベルとなる光電気変換部から入力されるパルス信号の信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングを検出するものとする。なお、後述するパルス検出回路28#,28#aについても同様である。
センサ部2は、振動子34と、光フィルタ部32とからなる。
振動子34は、外部の音源から音波を受け、その音波振動に応じた変位を発生する。そして、振動子34は、発生した変位を機械的に連結された光フィルタ部32へ与える。
光フィルタ部32は、光伝送路3の他端と光伝送路4の他端との間に配置され、振動子34から受けた変位に応じて、光伝送路3を介して伝送された第1の光信号のうち、所定の波長成分だけを透過させる。そして、光フィルタ部32は、透過させた光信号を第2の光信号として、光伝送路4へ射出する。すなわち、光フィルタ部32は、振動子34から与えられた振動の変位に対応付けられた波長をもつ第2の光信号を出力する。したがって、光源20から射出される第1の光信号は、周期的に波長が変化する光信号であるのに対して、光フィルタ部32から射出される第2の光信号は、振動子34における振動の変位に対応付けられた一意に定まる波長の光信号に相当する。
この発明の実施の形態1においては、「光信号供給手段」は、波長掃引光源20により実現され、振動子34が「変位発生部」に相当する。
図2は、本発明の実施の形態1に従う光フィルタ部32を実現するための構成の一例である。
図2(a)は、本発明の実施の形態1に従う光フィルタ部32の概略構成図である。
図2(b)は、本発明の実施の形態1に従う光フィルタ部32の動作状態を示す図である。
図2(c)は、本発明の実施の形態1に従う光フィルタ部32の別の動作状態を示す図である。
図2(a)を参照して、光フィルタ部32は、振動子34と連結され、その垂直断面が台形状の可動誘電体膜36を含む。そして、可動誘電体膜36は、振動子34から紙面横方向の変位を受けて紙面左側または紙面右側に駆動される。一方、光伝送路3を伝搬する第1の光信号は、紙面縦方向に沿って、可動誘電体膜36の可動方向と直交する向きに可動誘電体膜36へ入射する。さらに、可動誘電体膜36を透過した光信号は、第2の光信号として光伝送路4へ射出され、信号出力部10へ伝送される。すなわち、第1の光信号から変換される第2の光信号の波長は、第1の光信号が透過する可動誘電体膜36の膜厚に依存することになる。
具体的には、図2(b)を参照して、図示しない振動子34が紙面左側への変位を生じると、それに伴い可動誘電体膜36も紙面左側に移動する。この場合において、第1の光信号が透過する膜厚をd1とする。次に、図2(c)を参照して、図示しない振動子34が紙面右側への変位を生じると、それに伴い可動誘電体膜36も紙面右側に移動する。この場合において、第1の光信号が透過する膜厚をd2とする。
ここで、可動誘電体膜36を透過する波長は膜厚に略比例するので、第1の光信号が透過する可動誘電体膜36の膜厚がd1からd2(<d1)に変化すれば、それに応じて、第2の光信号の波長も変化する。なお、第1の光信号のうち透過する波長以外の波長成分については可動誘電体膜36により反射される。
このように、光フィルタ部32は、外部から受けた音波振動の変位に対応付けられた波長をもつ第2の光信号を生成する。なお、可動誘電体膜36の形状は、振動子34の変位に応じて実質的にその膜厚を変化させるような形状であればいずれの形状でもよいが、処理を簡素化するため、変位と波長変化との間に比例関係があることが望ましく、一例として、この発明の実施の形態1においては、可動誘電体膜36は、その垂直断面が台形となるように構成される。
上述したように、センサ部2において第1の光信号の入力を受けて振動子34の変位に対応付けられた波長を透過した第2の光信号が生成される。
次に、第2の光信号の波長変化に基づいて、振動子34の変位に応じた検出信号を生成する構成について説明する。
図3は、波長掃引光源20の出力に基づいてパルス信号が生成される場合を説明する図である。
図3(a)には、波長掃引光源20の一例として周期的に波長が変化する光信号の一例が示されている。この波長掃引光源20は、λ1〜λ3まで波長が周期的に変化するノコギリ波の第1の光信号を生成する。
図3(b)には、光フィルタ24を通過する第3の光信号に基づいてパルス信号が生成される場合が示されている。ここでは、光フィルタ24は、波長λ1の第3の光信号を通過させるものとする。そして、この波長λ1の第3の光信号に対応した第2のパルス信号が光電気変換部26において生成される。
図3(c)には、光フィルタ部32を通過する第2の光信号に基づいて第1のパルス信号が生成される場合が示されている。
光フィルタ部32は、センサ部2において振動子34の変位に対応付けられた波長λiの光信号を通過させるものとする。この波長λiは、外部から受けた音波振動の変位に応答して可動誘電体膜36の膜厚が変化することに伴い変化する。
したがって、光フィルタ部32は、音波振動の変位に応答して変化する波長λiの第2の光信号を透過させるものとする。そして、この波長λiの第2の光信号に対応した第1のパルス信号が光電気変換部30において生成される。
演算部15のパルス検出回路28は、光電気変換部26,30のパルス信号の入力を受けて入力されたパルス信号を検出して、光電気変換部30からの第1のパルス信号と光電気変換部26からの第2のパルス信号とのタイミング差を検知して、その結果を出力部31に出力する。
図4は、本発明の実施の形態1に従う演算部15での処理を説明する図である。
図4(a)は、パルス検出回路28に入力された第1のパルス信号と第2のパルス信号とのタイミングの差を説明する図である。図4(a)に示されるように光電気変換部26からの第2のパルス信号の入力が基準となって、光電気変換部30の第1のパルス信号との間のパルス間隔が検出される。
上述したように外部から受けた音波振動の変位に応答してセンサ部2においては、通過する波長λiが変動するため通過する波長λiの変動にともない光電気変換部30に入力される第2の光信号の入力タイミングも異なることになる。すなわち、波長λiの変動に伴い生成される第1のパルス信号の生成タイミングも異なることになる。
一方、光フィルタ24は、所定の波長に対応する第3の光信号を通過させるため、光電気変換部26に入力される第3の光信号の入力タイミングは周期的であり、第2のパルス信号の生成タイミングも周期的である。
したがって、周期的なタイミング信号である第2のパルス信号と波長変化に従って生成タイミングが変化する第1のパルス信号とのタイミング差Δtを検出することによりタイミング差Δtの変動に基づいて音源からの音波振動の情報を得ることができる。
図4(b)には、出力部31において、図4(a)で説明したパルス検出回路28において検出された第2のパルス信号と第1のパルス信号とのタイミング差Δtに基づいて生成される検出信号波形が示されている。ここでは、一例として縦軸を振幅、横軸を時間として、第1周期T〜第4周期4Tまでのタイミング差Δtに所定の係数を乗算した値を振幅値とした検出信号波形が示されている。なお、出力部31から出力される検出信号はタイミング差Δtに基づくアナログ信号であっても良いし、あるいはデジタル信号として出力することも可能である。また、後段の回路すなわちユーザの仕様に合わせて変調等の信号処理を実行した後に出力することも可能であり自由に設計することが可能である。
従来の方式においては、変動する波長の光強度を検出して、検出信号を生成していたが、光伝送路3および4が長距離化すると、光ファイバ自体に与えられる振動や偏波ゆらぎなどの影響を受け、光信号の光強度が損失して、時間的に変化してしまう。そのため、検出信号に誤差が生じる場合もあったが、本願構成のように、通過させる光信号の波長変化に伴い生成されるパルス信号の位置変化を検出する構成の場合には、振動や偏波ゆらぎなどによる光強度の影響に依存しない構成であるため、誤差が生じにくくパルス信号の位置変化に対して精度の高い振動情報の検出を実行することが可能である。
なお、上記においては、基準となる第2のパルス信号を生成するために用いられる第3の光信号の波長として、波長λ1の第3の光信号が光フィルタ24を通過する場合について説明したが、基準となる第2のパルス信号が生成される波長であれば特に波長λ1に限られる必要はなく、波長掃引光源20から射出される第1の光信号の波長λ1〜λ3のうちの任意の波長に設定することも可能である。
(実施の形態1の変形例1)
本発明の実施の形態1においては、光フィルタ部32の可動誘電体膜36が振動子34と機械的に連結される構成について説明したが、振動子34における変位に応じて電力を発生させ、その電力に応じて可動誘電体膜36を駆動させることも可能である。
図5は、本発明の実施の形態1の変形例1に従うセンサ部2#の概略構成図である。
図5を参照して、本発明の実施の形態1の変形例1に従うセンサ部2#は、センサ部2#は、光フィルタ部32と、振動子34と、磁石40と、コイル42と、圧電素子38とからなる。
光フィルタ部32および振動子34については、上述した本発明の実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
磁石40は、振動子34と連結され、振動子34が発生する変位に応じて、その位置を変化させる。
コイル42は、磁石40が振動子34の変位に応じて位置を変化する軸に沿って、磁石40の周囲に配置され、磁石40の移動によって生じる鎖交磁界の時間的変化に応じて、電力を発生する。
圧電素子38は、コイル42で発生した電力を受け、その電力に応じた圧電歪みを発生する。そして、圧電素子38は、その圧電歪みを連結された可動誘電体膜36に与える。すなわち、圧電素子38は、コイル42が発生する電力に応じた変位を可動誘電体膜36へ与える。一例として、圧電素子38は、チタン酸バリウムなどからなる。
本発明の実施の形態1の変形例1においては、磁石40およびコイル42が「変位電気変換部」に相当する。
なお、コイル42から出力される電力が小さい場合には、コイル42と圧電素子38との間に増幅器を挿入してもよい。
上述のように、本発明の実施の形態1の変形例1においては、振動子34が可動誘電体膜36を直接駆動しないので、振動子34の変位幅と可動誘電体膜36の可動幅とを一致させる必要がない。そのため、振動子34および光フィルタ部32を互いに独立して最適な大きさで製作することができ、大きさの制約を受けない。したがって、検出対象とする振動(振幅・音圧)に応じて振動子34を適切に選択することで、所望の感度を実現できる。さらに、増幅器を用いることで、微小な振動に対してもより高い感度の検出を実現できる。
(実施の形態1の変形例2)
本発明の実施の形態1およびその変形例1においては、第1の光信号の伝搬経路上における可動誘電体膜36の膜厚を変化させる構成について説明したが、干渉型のフィルタで構成することも可能である。
図6は、本発明の実施の形態1の変形例2に従うセンサ部2#aの概略構成図である。
図6を参照して、本発明の実施の形態1の変形例2に従うセンサ部2#aは、光フィルタ部44と、振動子34とからなり、光フィルタ部44は、反射膜46aおよび46bを含む。
振動子34については、変位を生じる方向が異なる点を除いて、上述したこの発明の実施の形態1と同様であるので、その詳細な説明は繰り返さない。
反射膜46aおよび46bは、互いにその面が平行するように対向して配置され、所定の光強度以下の光を反射する。そして、反射膜46aは、光フィルタ部44内で固定され、一方、反射膜46bは、振動子34からの変位を受けて、紙面縦方向に沿って移動する。すなわち、反射膜46bは、振動子34からの変位を受け、反射膜46aとの距離を変化させる。
光フィルタ部44における光信号の挙動について説明すると、光伝送路3を介して伝送される第1の光信号の一部は、反射膜46aを透過して反射膜46aと反射膜46bとの間で多重反射を生じる。ここで、反射膜46aと反射膜46bとの間隔をdとすると、nを正の整数として、nλ=2dが成立する波長のみが互いに強め合い、その他の波長は、互いに打消し合う。したがって、互いに干渉することによって強め合う波長の光信号だけが、反射膜46bを透過でき、光伝送路4へ射出される。
そのため、反射膜46aと反射膜46bとの間隔dを変化させることで、光フィルタ部44を透過する波長を変化させることができる。よって、光フィルタ部44は、第1の光信号を受け、振動子34の振動による変位に応じた波長成分を抽出して、第2の光信号を生成できる。
上述したように、本発明の実施の形態1の変形例2においては、光フィルタ部44を透過する波長が、互いに対向する反射膜46aと反射膜46bとの間隔に比例するので、第2の光信号の変動波長幅に応じた光フィルタ部44の設計が容易にできる。
上記説明したように本発明の実施の形態1によれば、センサ部は、周期的に波長が変化する第1の光信号のうち、振動子から受けた変位に応じた所定の波長成分だけを透過させて、第2の光信号を生成する。そして、本体部は、伝送路を介して伝送される第2の光信号のパルス信号の位置を検出して、その検出結果に基づいて検出信号を発生する。そのため、第1および第2の光伝送路において、光強度を変化させるような外乱が生じても、信号出力部から出力される信号には誤差が生じない。よって、伝送距離が長くなっても検出結果に誤差が生じず、精度の高い振動の検出が可能な振動検出装置を実現することができる。
また、本発明の実施の形態1によれば、信号出力部は、光信号を電気信号に変換して、生成されたパルス信号の間隔を検出して、波長変化に基づく振動の変位に応じた検出信号を生成するものであり、信号処理を容易に実行することが可能であり、検出信号を容易に生成することができる。
(実施の形態2)
上述した本発明の実施の形態1においては、光源から射出された第1の光信号から所定の波長だけを透過させることで第2の光信号を生成する構成について説明した。一方、この発明の実施の形態2においては、光源から射出された第1の光信号のうち所定の波長だけを反射することで第2の光信号を生成する構成について説明する。
図7は、本発明の実施の形態2に従う振動検出装置102の概略構成図である。
図7を参照して、本発明の実施の形態2に従う振動検出装置102は、図1に示すこの発明の実施の形態1に従う振動検出装置101と比較して、センサ部2をセンサ部5に代えた点で異なる。その他の点は、同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
本発明の実施の形態2に従う振動検出装置102では、本体部1から光伝送路3を介して伝送された第1の光信号のうち、センサ部5で所定の波長が選択的に反射され、第2の光信号が生成される。
センサ部5は、光サーキュレータ50と、振動子34と、ファイバブラッググレーティング(FBG:Fiber Bragg Gratings;以下、FBGと称す)52とを含む。
光サーキュレータ50は、3つのポートを備え、各ポートは、光伝送路3、FBG52、光伝送路4とそれぞれ接続される。また、光サーキュレータ50は、1つのポートに入射された光を、入力されたポートと反時計回りで次に位置するポートから放射する。つまり、光サーキュレータ50は、光伝送路3から入力された第1の光信号をFBG52へ導き、FBG52で反射された第2の光信号を光伝送路4へ導くことになる。
振動子34は、光サーキュレータ50がFBG52と接続される一端と反対側の端において、FBG52と連結され、自己の変位をFBG52へ与える。その他については、この発明の実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
FBG52は、軸方向に周期的な屈折率変化が形成された光ファイバであり、特定の波長をもつ光を選択的に反射し、それ以外の波長をもつ光を透過させる性質をもつ。このFBG52で反射される光の波長は、屈折率変化の周期によって定まるため、FBG52は、伸張されることによりその反射する光の波長をシフトさせる。また、FBG52は、振動子34が生じる変位に応じて伸張されるように配置される。
その他については、この発明の実施の形態1と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
この発明の実施の形態2においては、「光信号供給手段」は、波長掃引光源20により実現され、振動子34が「変位発生部」に相当し、FBG52が「光反射部」に相当し、光サーキュレータ50が「方向性結合部」に相当する。
以下、センサ部5についてより詳細に説明する。
光源20から射出された第1の光信号は、光伝送路3を伝搬してセンサ部5へ到達すると、光サーキュレータ50によりFBG52へ導かれる。ここで、FBG52は、その伸縮量に応じて所定の波長を反射するので、光サーキュレータ50から導かれた第1の光信号のうち、所定の波長成分だけが選択的に反射される。そして、FBG52で反射された所定の波長成分の光信号が第2の光信号として光サーキュレータ50を介して、光伝送路4へ射出される。
ここで、FBG52は、振動子34が発生する変位に応じて伸縮されるので、その反射する波長もその伸縮量、すなわち振動子34が生じる変位に応じて変化する。したがって、FBG52は、振動子34から与えられた振動の変位に対応付けられた波長をもつ第2の光信号を出力する。
なお、FBG52の反射特性は、屈折率変化の大きさ、屈折率変化の周期および光ファイバの長さに応じて決定されるので、振動子34の変位幅および第1の光信号の波長スペクトルなどに応じて決定される。
(実施の形態2の変形例1)
上述のこの発明の実施の形態2においては、FBG52が直接振動子34と連結される構成について説明したが、振動子34における変位に応じて電力を発生させ、その電力に応じてFBG52を伸縮させることも可能である。
図8は、本発明の実施の形態2の変形例1に従うセンサ部5#の概略構成図である。
図8を参照して、本発明の実施の形態2に従うセンサ部5#は、図5に示すセンサ部2#において、光フィルタ部32に代えてFBG52および光サーキュレータ50を用いたものと等価である。すなわち、本発明の実施の形態1の変形例1と同様に、振動子34が変位を発生すると、その変位に応じて磁石40がその位置を変化させ、コイル42に電力が生じさせる。そして、圧電素子38が、その電力に応じてFBG52に歪みを生じさせて、FBG52を伸張させる。したがって、センサ部5#は、振動子34が生じた振動の変位に対応付けられた波長をもつ第2の光信号を生成する。その他の点については、本発明の実施の形態1の変形例1と同様であるので、その詳細な説明は繰返さない。
本発明の実施の形態2の変形例1においては、磁石40およびコイル42が「変位電気変換部」に相当する。
上述のように、本発明の実施の形態2の変形例1においては、振動子34がFBG52を機械的に伸張しないので、振動子34の変位幅とFBG52の伸張幅とを一致させる必要がない。そのため、振動子34およびFBG52を互いに独立して最適な大きさで製作することができ、大きさの制約を受けない。したがって、検出対象とする振動(振幅・音圧)に応じて振動子34の大きさを自在に選択することで、所望の感度を実現できる。さらに、増幅器を用いることで、微小な振動に対しても高い感度で検出できる。
(実施の形態2の変形例2)
上述の本発明の実施の形態2およびその変形例1においては、FBG52に入射する第1の光信号のうち、FBG52で反射されなかった波長成分は、FBG52に吸収されてしまうが、この吸収される波長成分から電力を取出すように構成することも可能である。
図9は、本発明の実施の形態2の変形例2に従うセンサ部5#aの概略構成図である。
図9を参照して、本発明の実施の形態2に従うセンサ部5#aは、図8に示すセンサ部5#において、振動子34、磁石40およびコイル42に代えて、光電気変換部(O/E)54およびコンデンサマイク56を備えたものと等価である。
光電気変換部54は、FBG52と光サーキュレータ50との接続端と反対側の端において、FBG52と接続され、FBG52を透過する光信号を受けて電力に変換する。そして、光電気変換部54は、その変換した電力を駆動電力としてコンデンサマイク56へ供給する。
コンデンサマイク56は、コンデンサと同様に2枚の電極をもち、その一方の電極を振動子として機能させるマイクである。そして、外部からの音波振動に応じて振動子となる電極が変位し、電極間の距離を変化させる。電極間の距離変化に伴い、電極間の静電容量も変化するので、音波振動に応じた電気信号を出力できる。一般的なコンデンサマイクは、電極間に電荷を蓄えるための駆動電源を外部から供給する必要があり、そのような駆動電源は「ファンタム電源」などと称される。本発明の実施の形態2の変形例2においては、光電気変換部54が変換する電力を駆動電源としてコンデンサマイク56へ供給する。さらに、コンデンサマイク56は、音波振動に応じて出力される電気信号を圧電素子38へ与える。
圧電素子38は、コンデンサマイク56から与えられる電気信号に応じた圧電歪みを生じ、FBG52に連結された光電気変換部54にその圧電歪みを与えることで、間接的にFBG52を伸縮させる。
FBG52および光サーキュレータ50の機能については、上述したこの発明の実施の形態2に従うセンサ部5と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
このようにして、本発明の実施の形態2の変形例2に従うセンサ部5#aは、コンデンサマイク56が受けた音波振動の変位に対応付けられた波長をもつ第2の光信号を生成する。
なお、光電気変換部54において変換された電力をコンデンサマイクに供給する以外にも、他の周辺装置へ供給するように構成してもよい。たとえば、図5または図8に示すような、コイル42と圧電素子38とを含むセンサ部において、微小な振動に対する感度を向上させるためにコイル42と圧電素子38との間に挿入される増幅器に対して電力を供給してもよい。
また、電源を必要とするマイクロフォンの一例として、コンデンサマイクを用いる場合について説明したが、コンデンサマイク以外にも、電源を必要とするいずれもマイクロフォンを用いてもよい。
上述のように、本発明の実施の形態2の変形例2においては、光電気変換部54がFBG52で反射されなかった光信号から電力を取出す。すなわち、光源20から射出される第1の光信号を、振動の変位を伝送する信号光および電源を供給する供給源として用いることができるため、本体部1の構成を変更することなく、センサ部5#aの構成を比較的高い自由度で設計することができる。したがって、検出対象の音波に応じて、市販されているコンデンサマイクのうち所望の特性を有するものを比較的自由に選択でき、より汎用化および低価格化を実現できる。
上記説明したように本発明の実施の形態2によれば、センサ部は、その波長スペクトルが所定の波長帯域を含むような第1の光信号のうち、振動子から受けた変位に応じた所定の波長成分だけを反射して第2の光信号を生成する。そして、本体部は、伝送路を介して伝送される第2の光信号のパルス信号の位置を検出して、その検出結果に基づいて検出信号を発生する。なお、パルス信号の検出位置に基づく検出信号の発生については、上記の実施の形態1で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。そのため、第1および第2の光伝送路において、光強度を変化させるような外乱が生じても、信号出力部から出力される信号には誤差を生じない。よって、伝送距離が長くなっても検出結果に誤差を生じず、正確に振動を検出する振動検出装置を実現できる。
また、本発明の実施の形態2によれば、信号出力部は、光信号を電気信号に変換して、生成されたパルス信号の間隔を検出して、波長変化に基づいた振動の変位に応じた検出信号を生成するものであり、信号処理を容易に実行することが可能であり、検出信号を容易に生成することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3においては、周期的な光信号を射出する波長掃引光源の構成について説明する。
図10は、本発明の実施の形態3に従う波長掃引光源の概略図である。
図10(a)は、共振レーザ型波長掃引光源の概略ブロック図である。図10(b)は、リングレーザ型波長掃引光源の概略ブロック図である。
図10(a)を参照して、共振レーザ型波長掃引光源20aは、光フィルタ部65と、半導体光増幅器60と、反射板64と、発振器63とを含む。
光フィルタ部65は、一方側が第1の光伝送路と接続され、他方側が半導体光増幅器と接続される。また、半導体光増幅器60は、反射板64とFBG65との間に設けられ、FBG65と反射板64との間で反射される光信号を増幅して第1の光信号を光伝送路に射出する。
光フィルタ部65は、FBG61と、圧電素子62とを含み、FBG61と圧電素子62とにより外部信号に対応して透過させる光の波長を変化させる波長可変光フィルタを形成する。
FBG61は、上述したようにその伸縮量に応じて所定の波長を反射させる。ここで、FBG61は、軸方向に周期的な屈折率変化が形成された光ファイバであり、特定の波長をもつ光を選択的に反射し、それ以外の波長を持つ光を透過させるように配置する。
圧電素子62は、FBG61に対して歪みを生じさせてFBG61を伸張させる。ここで、この圧電素子62に対して発振器63により交流で駆動することにより周期的にFBG61で反射する波長が変化することになる。これにより、半導体光増幅器60から射出される光信号は、波長が周期的に変化する正弦波状の光信号として射出されることになる。
図10(b)を参照して、リングレーザ型波長掃引光源20bは、光フィルタ部67と、半導体光増幅器60と、光分岐部66と、発振器63とを含む。
半導体光増幅器60から射出される光信号は、光分岐部66により分岐され、循環経路を介して再び半導体光増幅器60に入力される、この循環により増幅出力される。
また、この循環経路に光フィルタ部67が設けられる。光フィルタ部67は、変位発生部66と、圧電素子62とを含み、変位発生部66と圧電素子62とにより外部信号に対応して透過させる光の波長を変化させる波長可変光フィルタを形成する。
変位発生部66は、例えば図2で説明したような可動誘電体膜で構成され、圧電素子62を用いて可動誘電体膜を変位させることにより、変位に応じた可動誘電体膜の膜厚にしたがって通過する光信号の波長が変化する。したがって、この圧電素子62に対して発振器63により交流で駆動することにより周期的に光フィルタ部67を通過する光信号の波長が変化することになる。これにより、半導体光増幅器60から射出される光信号は、波長が周期的に変化する正弦波状の光信号として射出されることになる。
図11は、波長掃引光源から波長が周期的に変化する正弦波状の光信号が射出された場合におけるパルス信号の生成について説明する図である。
図11(a)は、波長掃引光源から出力される第1の光信号の波形を説明する図である。図11(a)に示されるようにここでは、一例として波長λ0(<λ1)〜λ3の振幅を有する正弦波状の第1の光信号が生成される場合が示されている。
図11(b)は、光フィルタ24において、所定の波長λ1の第3の光信号に基づいてパルス信号が生成される場合が示されている。ここでは、光フィルタ24は、波長λ1の第3の光信号を通過させるものとする。そして、この波長λ1の第3の光信号に対応した第2のパルス信号が光電気変換部26において生成される。
また、同様にして図11(b)には、光フィルタ部32を通過する第2の光信号に基づいて第1のパルス信号が生成される場合が示されている。
光フィルタ部32は、センサ部2において振動子34の変位に対応付けられた波長λiの光信号を通過させるものとする。この波長λiは、上述したように外部から受けた音波振動の変位に応答して可動誘電体膜36の膜厚が変化することに伴い変化する。
したがって、光フィルタ部32は、音波振動の変位に応答して変化する波長λiの第2の光信号を透過させるものとする。そして、この波長λiの第2の光信号に対応した第1のパルス信号が光電気変換部30において生成される。
そうすると、光電気変換部26および30において、第1の光信号は、正弦波状の波形であるため、光電気変換部26および30において生成される第1および第2のパルス信号は、光信号の一周期間において、2つ出現することになる。
したがって、このような場合には、例えば出力部31において、第1および第2のパルス信号の奇数番目と偶数番目とを分けて、例えば第1および第2のパルス信号の奇数番目を用いて、第1のパルス信号と第2のパルス信号とのタイミングの差を検出することにより、図11(c)において示されるように上述したように光電気変換部26からの第2のパルス信号の入力が基準となって、光電気変換部30の第1のパルス信号との間のパルス間隔が検出され、このパルス間隔に相当するタイミング差Δtの変動に基づいて音源からの音波振動の情報を得ることができる。なお、ここでは、奇数番目の第1および第2のパルス信号を用いる場合について一例として示したが、偶数番目を用いることも当然に可能であり、タイミング差Δtを検出するために他の方式を採用することも当然に可能である。
(実施の形態3の変形例1)
上記の実施の形態3においては、第1および第2のパルス信号のタイミング差Δtを検出するために出力部31においてパルス信号についての信号処理を実行する構成について説明したが、パルス信号についての信号処理ではなく、射出する第1の光信号を制御する方式を採用することも可能である。
図12は、本発明の実施の形態3の変形例1に従う波長掃引光源20a(20b)およびその周辺回路を説明する図である。
図12(a)を参照して、ここでは、周辺回路として、波長掃引光源20aの出力側に対応して設けられる光ゲート70と、光ゲート70に対してゲート制御の指示を実行するタイミング制御回路71と、発振器63とを含む。ここで、光ゲート70は、タイミング制御回路71の指示においてゲートのオン/オフを実行する。具体的には、オンの場合には、光信号を通過させ、オフの場合には、光信号を遮断させる。タイミング制御回路71は、発振器63の発振信号の入力に応答して所定タイミングに従って光ゲート70のオン/オフを規定する指示信号を周期的に出力する。例えば、図11で説明した波長掃引光源の正弦波状の光信号に対して半周期に対応する期間光ゲート70をオンして、残りの半周期に対応する期間光ゲート70をオフさせる。これにより、図12(b)で示されるように半周期分の光信号の射出を抑制することができ、光電気変換部26および30において、光信号の一周期間において、第1および第2のパルス信号は1つ出現することになる。
当該構成により、特に出力部31において、パルス信号に対する信号処理を実行する必要がなく、簡易な構成で出力部を設計することができる。
(実施の形態3の変形例2)
上記の実施の形態においては、周期的に波長が変化する波長掃引光源の構成について説明してきたが、単一波長光源を用いた場合においても擬似的に周期的に波長が変化する光信号を生成することが可能である。
図13は、本発明の実施の形態3の変形例2に従う波長掃引光源20cを説明する図である。
図13を参照して、波長掃引光源20cは、単一波長光源80と、光ゲート81と、分岐部82と、光波長シフタ83と、光伝送路84とを含む。
単一波長光源80は、一定波長のレーザを出力する。光ゲート81は、一定波長のレーザを所定期間通過させる。
光ゲート81を通過した光信号は、分岐部82において所定の比率で光伝送路3と光波長シフタ83との経路に分岐される。分岐された光信号は、光波長シフタ83に入力される。光波長シフタ83は、入力される光信号の波長を一定比率で変化させて出力する。そして、光波長シフタ83から出力された光信号は、光伝送路83を介して循環して再び分岐部82に入力される。そして、上述したように所定の比率で分岐され、再び光波長シフタ83に入力される。したがって、光信号の循環回数に従って光波長シフタ83から出力される光信号の波長が変化し、分岐部82から光伝送路3に射出される第1の光信号は、図13(b)に示されるように時間とともに波長が一定比率で階段状に変化することとなる。当該方式により、単一波長光源を用いた場合においても擬似的に図3で説明したようなノコギリ波と類似した階段状の第1の光信号を生成することが可能であり、図1で説明したのと同様の方式にしたがって、第1のパルス信号と第2のパルス信号とのタイミング差Δtを検出することによりタイミング差Δtの変動に基づいて音源からの音波振動の情報を得ることができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4においては、本体部1とは異なる本体部1#の構成について説明する。
図14は、本発明の実施の形態4に従う本体部1#の概略ブロック図である。
図14を参照して、本発明の実施の形態4に従う本体部1#は、図1で説明した本体部1と比較して、信号出力部10を信号出力部10#に置換した点が異なる。その他の点については上記と同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
信号出力部10#は、信号出力部10と比較して、光電気変換部26,30の代わりに、光結合部25および光電気変換部27を設けた点が異なる。具体的には、光フィルタ24から出力された第3の光信号は、光伝送路4から伝送される第2の光信号とともに光結合部25により経路が結合されて光電気変換部27に入力される。すなわち、図1の構成においては、2つの経路を介して光電気変換部26,30にそれぞれ光信号が入力され、パルス検出回路28で検出される構成であったが、信号出力部10#においては、光結合部25により光信号の伝送経路が1つにされて光電気変換部27に入力される構成である。したがって、光電気変換部を1つにすることが可能であり、回路素子を削減して簡易な信号出力部を設計することができる。
(実施の形態4の変形例)
図15は、本発明の実施の形態4の変形例に従う本体部1#aの概略ブロック図である。
図15を参照して、本発明の実施の形態4の変形例に従う本体部1#aは、図1で説明した本体部1と比較して、信号出力部10を信号出力部10#aに置換した点が異なる。
信号出力部10#aは、トリガ回路29と、光電気変換部27と、演算部15#とを含む。演算部15#は、パルス検出回路28#と、出力部31とを含む。
上述した方式においては、第1の光信号が分岐した所定の波長に従う第3の光信号に基づいて基準となる第2のパルス信号を生成する場合について説明してきたが、ここでは、第2のパルス信号を用いずに、第1のパルス信号と基準となるタイミング信号とのタイミング差Δtを検出する構成について説明する。
本実施の形態4においては、基準となるタイミング信号としてトリガ回路29のトリガ信号を基準とする。なお、このトリガ信号は、一定周期のタイミングで生成されるものとする。なお、本例において、トリガ信号の周期は、波長掃引光源20から出射される光信号が波長λ1〜λ3に波長が遷移する期間に設定されているものとする。
光電気変換部27は、光伝送路4から伝送される第2の光信号の入力に応答して第1のパルス信号を生成する。パルス検出回路28#は、トリガ回路29からのトリガ信号の入力に応答して、第1のパルス信号の入力を検出する。すなわち、トリガ信号の入力から第1のパルス信号の入力までのタイミング差Δtを検出する。
パルス検出回路28#は、周期的なタイミング信号であるトリガ信号と波長変化に従って生成タイミングが変化する第1のパルス信号とのタイミング差Δtを検出し、その検出結果を出力部31に出力することにより上述したようにタイミング差Δtの変動に基づいて音源からの音波振動の情報を得ることができる。
(実施の形態5)
上記の実施の形態1〜4に従う方式においては、基準となるタイミング信号として、光フィルタ24を通過する光信号あるいはトリガ回路29のトリガ信号を用いて第1の光信号とのタイミング差Δtを検出する構成について説明してきたが、センサ部2が音声等の連続振動を検出するような場合には、基準となるタイミング信号を設けることなく、音源からの音波振動の情報を得ることが可能である。
図16は、本発明の実施の形態5に従う振動検出装置103の概略構成図である。
図16を参照して、本発明の実施の形態5に従う振動検出装置103は、図1に示すこの発明の実施の形態1に従う振動検出装置101と比較して、本体部1を本体部1bに置換した点が異なる。本体部1bは、本体部1と比較して、信号出力部10を信号出力部10bに代えた点で異なる。なお、波長掃引光源20は、時間に対して波長が正弦波状に周期的に変化する第1の光信号を光伝送路3へ射出するものとする。
信号出力部10bは、光電気変換部27と、演算部15#aとを含む。演算部15#aは、パルス検出回路28#aと、出力部31とを含む。その他の点は同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
光電気変換部27は、光伝送路4から伝送される第2の光信号を受けて、上述したように透過波長に応じてパルス信号を生成する。
演算部15#aのパルス検出回路28#aは、光電気変換部27のパルス信号を検出して、その結果を出力部31に出力する。具体的には、パルス検出回路28#aは、光電気変換部27で生成されたパルス信号の入力を受けて、連続する2つずつのパルス信号のタイミング差を検出して、その結果を出力部31に出力する。
図17は、本発明の実施の形態5に従う信号出力部10bでの処理を説明する図である。
図17(a),(b)は、波長掃引光源20の出力に基づいて、光電気変換部27において、生成されるパルス信号を説明する図である。
図17(a)を参照して、まず、光フィルタ部32が音源からの音波を受けていない場合について考える。ここで、波長掃引光源20の正弦波状の光信号の一周期の間に生成される2つずつのパルス信号に対して1番目の組に対応して「1」を、2番目の組に対応して「2」とそれぞれの組の番号を表記している。
例えば光フィルタ部32が音源からの音波を受けておらず通過させる波長が変化していない場合(一例として波長λ2)、波長掃引光源20の正弦波状の光信号の一周期の間に生成される2つずつのパルス信号のタイミング差は一定である。
一方、例えば光フィルタ部32が音源からの音波を受けて通過させる波長が変化した場合(一例としてλi>λ2)、波長掃引光源20の正弦波状の光信号の一周期の間に生成される2つずつのパルス信号のタイミング差は光フィルタ部32が通過させる波長が変化することにより縮む場合が示されている。
図17(b)を参照して、ここでは、光フィルタ部32が音源からの音波を受けていない場合と、そして、光フィルタ部32が音源からの音波を受けて通過させる波長が変化した場合(一例としてλi<λ2)とが示されている。
この場合は、上記とは逆に、波長掃引光源20の正弦波状の光信号の一周期の間に生成される2つずつのパルス信号のタイミング差は光フィルタ部32が通過させる波長が変化することにより広がる場合が示されている。
この2つのずつのパルス信号のタイミング差を検出して出力部31に出力することにより図17(c)で示されるように光フィルタ部32が受けている音源からの音波振動の波形を得ることができる。
なお、どのタイミングで2つずつのパルス信号のタイミング差を検出するかによりタイミング差が異なることになる。例えば図17(a)において、括弧書きで示したタイミングで2つずつのパルス信号のタイミング差を検出する場合には、例えば光フィルタ部32が音源からの音波を受けて通過させる波長が変化した場合(一例としてλi>λ2)、波長掃引光源20の正弦波状の光信号の一周期の間に生成される2つずつのパルス信号のタイミング差は光フィルタ部32が通過させる波長が変化することにより上記と全く逆に広がる場合となる。また、例えば図17(b)において、括弧書きで示したタイミングで2つずつのパルス信号のタイミング差を検出する場合(一例としてλi<λ2)、波長掃引光源20の正弦波状の光信号の一周期の間に生成される2つずつのパルス信号のタイミング差は光フィルタ部32が通過させる波長が変化することにより縮む場合となる。
したがって、この2つずつのパルス信号のタイミング差を検出して出力部31に出力した場合には、図17(c)に示されるもう一方の極性の反転した音波振動の波形が検出されることになる。ここで示されるように、2つずつのパルス信号の取り方により極性が反転することになるが、音声のような連続信号である場合には、極性が反転した場合であっても位相が異なるのみで、音波振動の振幅および周波数の関係はいずれの波形であっても同じであるため同様の音波振動の情報を検出することが可能である。
したがって、音源が音声等の連続情報である場合、正弦波状の周期的な光信号を射出した場合には、2つずつのパルス信号のタイミング差を検出してタイミング差Δtの変動に基づいて音源からの音波振動の情報を得ることができる。
当該構成により、さらに部品点数を削減して簡易に本体部1bを設計することが可能となる。
(実施の形態6)
上記の実施の形態においては、光源から射出された第1の光信号から所定の波長だけを透過あるいは反射させることで第2の光信号を生成する構成について説明した。一方、光源から射出された第1の光信号から所定の波長だけを遮光してそれ以外の波長を透過あるいは反射させることで第2の光信号を生成する方式においても上記で説明した振動情報の検出が可能である。
図18は、本発明の実施の形態6に従う振動検出装置201の概略構成図である。
図18を参照して、本発明の実施の形態6に従う振動検出装置201は、光伝送路3および4と、本体部6と、センサ部7とからなる。ここで、振動検出装置201では、実施の形態1で説明した振動検出装置101と同様に本体部6から光伝送路3を介してセンサ部7へ第1の光信号が伝送され、センサ部7において外部から受けた振動に応じて、第1の光信号が第2の光信号に変換される。そして、変換された第2の光信号は、光伝送路4を介して本体部6へ伝送され、本体部6で電気信号に変換された後、検出信号として出力される。
本体部6は、実施の形態1で説明した本体部1と比較して、信号出力部10を信号出力部11に置換した点が異なる。その他の点については、同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
信号出力部11は、実施の形態1で説明した信号出力部10と比較して、光フィルタ24を光フィルタ23に置換するとともに演算部15を演算部16に置換した点が異なる。その他の点は、信号出力部10と同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
光フィルタ24は、光分岐部22から受けた第1の光信号のうち所定の波長に対応する第3の光信号を通過させる場合について説明したが、本発明の実施の形態6に従う光フィルタ23は、第1の光信号のうち所定の波長を遮光してそれ以外の波長に対応する第3の光信号を通過させるものとする。具体的には、光フィルタ23は、入力する光信号の波長のうち所定の波長のみを反射させる反射特性を有し、それ以外の波長の第3の光信号が光電気変換部26に与えられることとする。
光電気変換部26は、光フィルタ23から出力される光信号を受け、入力に応答した電気信号(パルス信号)を出力する。同様に、光電気変換部30は、光伝送路4から与えられる第2の光信号を受け、入力に応答した電気信号(パルス信号)を出力する。なお、光電気変換部26および30から出力される電気信号として一例としてパルス信号である場合について以下においては説明するが、デジタル信号でもよく、互いに同一の種類であることが望ましい。
演算部16は、実施の形態1で説明した演算部15と比較して、パルス検出回路28をパルス検出回路29に置換した点が異なる。
パルス検出回路29は、それぞれ光電気変換部26および30から出力された電気信号(パルス信号)を受け、受けた第1および第2の光信号に基づくパルス信号のタイミング差を検出して、検出結果を出力部31に出力する。出力部31は、パルス検出回路29の検出結果に基づいて検出信号を出力する。具体的には、パルス検出回路29は、「H」レベルおよび「L」レベルとなる光電気変換部から入力されるパルス信号の信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングを検出するものとする。
センサ部7は、実施の形態1で説明したセンサ部2と比較して、光フィルタ部32を光フィルタ部33に置換するとともに光サーキュレータ35をさらに設けた点が異なる。
光フィルタ部33は、振動子34から受けた変位に応じて、光伝送路3および光サーキュレータ35を介して入力された第1の光信号のうち、所定の波長成分以外の波長を反射させる。そして、光フィルタ部33により反射された光信号は、第2の光信号として光サーキュレータ35を介して光伝送路4へ射出される。すなわち、光フィルタ部33は、振動子34から与えられた振動の変位に対応付けられた波長成分以外の波長を有する第2の光信号を出力する。
したがって、光源20から射出される第1の光信号は、周期的に波長が連続的に変化する光信号であるのに対して、光フィルタ部33から射出される第2の光信号は、振動子34における振動の変位に対応付けられた一意に定まる波長を遮光した光信号に相当する。
この発明の実施の形態6においては、「光信号供給手段」は、波長掃引光源20により実現され、振動子34が「変位発生部」に相当する。また、光フィルタ部33が「光反射部」に相当し、光サーキュレータ35が「光方向性結合部」に相当する。
図19は、本発明の実施の形態6に従う光フィルタ部33の概略構成図である。
図19を参照して、光フィルタ部33は、図2で説明したのと同様に振動子34と連結され、その垂直断面が台形状の可動誘電体膜36を含む。そして、可動誘電体膜36は、振動子34から紙面横方向の変位を受けて紙面左側または紙面右側に駆動される。一方、光伝送路3を伝搬する第1の光信号は、光サーキュレータ35を介して紙面縦方向に沿って、可動誘電体膜36の可動方向と直交する向きに可動誘電体膜36へ入射する。
上述したように、可動誘電体膜36は、膜厚に依存した波長を透過させ、それ以外の波長を反射させる特性を有する。
したがって、可動誘電体膜36に入射された第1の光信号は、膜厚に依存した波長が透過して、それ以外の透過波長以外の波長が反射されて光サーキュレータ35に第2の光信号として射出される。
ここで、上述したように可動誘電体膜36を透過する波長は膜厚に略比例するので、変位方向に従って可動誘電体膜36の膜厚が変化すれば、それに応じて、透過する波長が変化し、反射される第2の光信号の波長も変化する。
このように、光フィルタ部33は、外部から受けた音波振動の変位に対応付けられた波長成分以外の波長を有する第2の光信号すなわち、外部から受けた音波振動の変位に対応付けられた波長を遮光した第2の光信号を生成する。
上述したように、センサ部7において振動子34の変位に対応付けられた波長を遮光した第2の光信号が生成される。
次に、第2の光信号の波長変化に基づいて、振動子34の変位に応じた検出信号を生成する構成について説明する。
図20は、波長掃引光源20の出力に基づいてパルス信号が生成される場合を説明する図である。
図20(a)には、波長掃引光源20の一例として周期的に波長が変化する光信号の一例が示されている。この波長掃引光源20は、λ1〜λ3まで波長が周期的に変化するノコギリ波の第1の光信号を生成する。
図20(b)には、光フィルタ23を通過する第3の光信号に基づいてパルス信号が生成される場合が示されている。ここでは、光フィルタ23は、波長λ1以外の波長成分の第3の光信号すなわち波長λ1の波長成分を遮光した第3の光信号を通過させるものとする。そして、この波長λ1の波長成分を遮光した第3の光信号に対応した第2のパルス信号が光電気変換部26において生成される。
図20(c)には、光フィルタ部33において射出された第2の光信号に基づいて第1のパルス信号が生成される場合が示されている。
光フィルタ部33は、センサ部7において振動子34の変位に対応付けられた波長λi以外の波長成分の光信号を反射させる。この波長λiは、外部から受けた音波振動の変位に応答して可動誘電体膜36の膜厚が変化することに伴い変化する。
したがって、光フィルタ部33は、音波振動の変位に応答して変化する波長λi以外の波長成分の第2の光信号を反射させるものとするすなわち波長λiの波長成分を遮光した光信号を射出するものとする。そして、この波長λiの波長成分を遮光した第2の光信号に対応した第1のパルス信号が光電気変換部30において生成される。
演算部16のパルス検出回路29は、光電気変換部26,30のパルス信号の入力を受けて入力されたパルス信号のタイミングを検出して、光電気変換部30からの第1のパルス信号と光電気変換部26からの第2のパルス信号とのタイミング差を検知して、その結果を出力部31に出力する。具体的には、パルス検出回路29は、「H」レベルおよび「L」レベルとなる光電気変換部から入力されるパルス信号の信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングを検出する。
図21は、本発明の実施の形態6に従うパルス検出回路29に入力された第1のパルス信号と第2のパルス信号とのタイミングの差を説明する図である。
図21(a)は、光電気変換部26からの第2のパルス信号を説明する図である。
図21(b)は、光電気変換部30からの第1のパルス信号を説明する図である。
図21(b)に示されるように光電気変換部26からの第2のパルス信号の入力が基準となって、光電気変換部30の第1のパルス信号との間のパルス間隔が検出される。
上述したように外部から受けた音波振動の変位に応答してセンサ部7においては、遮光される波長λiが変動するため遮光される波長λiの変動に伴い光電気変換部30にて生成される第1のパルス信号の生成タイミングも異なることになる。
一方、光フィルタ23は、所定の波長以外の波長成分を有する第3の光信号を通過させるあるいは所定の波長を遮光した第3の光信号を出射するため、光電気変換部26にて生成される第2のパルス信号の生成タイミングは周期的である。なお、図21においては、第3の光信号を基準として一例として縦軸を振幅、横軸を時間として、第1周期T〜第4周期4Tまでのパルス信号が示されている。
したがって、周期的なタイミング信号である第2のパルス信号(ここでは、信号ボトム値(「L」レベル))と波長変化に従って生成タイミングが変化する第1のパルス信号(ここでは、信号ボトム値(「L」レベル))とのタイミング差Δtを検出することによりタイミング差Δtの変動に基づいて音源からの音波振動の情報を得ることができる。
すなわち、実施の形態1で説明したようにタイミング差Δtに基づく検出信号波形を出力部31から出力することができ、上述したように精度の高い振動情報の検出を実行することが可能である。
なお、図示しないが光電気変換部26,30の後段に信号反転回路を設けた構成とすれば図4で説明した実施の形態1と同様の信号波形となる。
なお、上記においては、基準となる第2のパルス信号を生成するために用いられる第3の光信号の波長として、波長λ1の第3の光信号が光フィルタ23により遮光される場合について説明したが、基準となる第2のパルス信号が生成される波長であれば光フィルタ23により遮光される波長は、特に波長λ1に限られる必要はなく、波長掃引光源20から射出される第1の光信号の波長λ1〜λ3のうちの任意の波長に設定することも可能である。
(実施の形態6の変形例)
図22は、本発明の実施の形態6の変形例に従う振動検出装置202の概略構成図である。
図22を参照して、本発明の実施の形態6の変形例に従う振動検出装置202は、図18に示すこの発明の実施の形態6に従う振動検出装置201と比較して、センサ部7をセンサ部7#に代えた点で異なる。その他の点は、実施の形態6で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
センサ部7#は、振動子34と、FBG52と、取り付け部材53,54を含む。
取り付け部材53,54は、FBGの両端に取り付けられ、取り付け部材53は、振動子34の変位に連動してFBG52の一端が伸縮するように取り付けられているものとする。取り付け部材54は、FBG52の一端を固定しているものとする。
また、光伝送路3は、FBG52の一端側と接続され、FBG52の他端側は、光伝送路4と接続される。
FBG52は、上述したように軸方向に周期的な屈折率変化が形成された光ファイバであり、特定の波長をもつ光を選択的に反射し、それ以外の波長をもつ光を透過させる性質を有する。
したがって、このFBG52で反射するあるいは遮光される光の波長は、屈折率変化の周期によって定まるため、FBG52は、伸縮されることにより反射するあるいは遮光される光の波長をシフトさせる。
すなわち、光源20から射出された第1の光信号は、光伝送路3を伝搬してFBG52へ導かれる。ここで、FBG52は、振動子34が発生する変位に応じて伸縮されるので、その反射するあるいは遮光される波長もその伸縮量、すなわち振動子34が生じる変位に応じて変化する。したがって、FBG52は、振動子34から与えられた振動の変位に対応付けられた波長成分以外の波長を有する第2の光信号を出力する。
以降の処理等については、実施の形態6で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。すなわち、当該構成においても、上述したように精度の高い振動情報の検出を実行することが可能である。
この発明の実施の形態6の変形例においては、「光信号供給手段」は、波長掃引光源20により実現され、振動子34が「変位発生部」に相当し、FBG52が「光フィルタ部」に相当する。
(実施の形態7)
上記の実施の形態においては、1つの音源からの振動情報の検出を実行する方式について説明したが、本実施の形態7においては、複数の音源からの振動情報の検出を実行する方式について説明する。
図23は、本発明の実施の形態7に従う振動検出装置301の概略構成図である。
図23を参照して、本発明の実施の形態7に従う振動検出装置301は、光伝送路3および4と、本体部6#と、センサ部2,7と、光分岐部55と、光結合部56とからなる。
ここで、センサ部2,7は、それぞれ第1および第2の音源にそれぞれ対応して設けらているものとする。
実施の形態1で説明したのと同様に本体部6#から光伝送路3を介してセンサ部2,7へ第1の光信号が伝送される。光分岐部55は、光伝送路3を介して供給される第1の光信号の一部を抽出して第3の光信号としてセンサ部7に分岐させるものとする。なお、第1の光信号は、センサ部2に入力されるものとする。
センサ部2は、第1の音源に対応して設けられ、実施の形態1で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。すなわち、センサ部2において第1の光信号の入力を受けて第1の音源に対応して設けられた振動子34の変位に対応付けられた波長を透過した第2の光信号が生成される。そして、第2の光信号は、光結合部56に出力される。
センサ部7は、第2の音源に対応して設けられた振動子34#と、光フィルタ部33と、光サーキュレータ35とを有する。振動子34と振動子34#とは同一のものであり、センサ部7の構成については、実施の形態6で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。すなわち、センサ部7において第3の光信号の入力を受けて第2の音源に対応して設けられた振動子34#の変位に対応付けられた波長を遮光した第4の光信号が生成される。そして、第4の光信号は、光結合部56に出力される。
光結合部56は、センサ部2からの第2の光信号と、センサ部7からの第4の光信号との入力を受けて、これらの光信号を結合して光伝送路4に第5の光信号として射出する。
第5の光信号は、光伝送路4を介して本体部6#へ伝送され、本体部6#で電気信号に変換された後、検出信号として出力される。
本体部6#は、波長掃引光源20と、信号出力部11#とを含む。
信号出力部11#は、図15で説明した信号出力部10#aと比較して、演算部15#を演算部16#に置換した点が異なる。その他の点については、同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
演算部16#は、パルス検出回路29#と、出力部31#とを含む。
パルス検出回路29#は、トリガ回路29のトリガ信号と、光電気変換部27からの信号とに基づいて検出結果を出力部31#に出力する。
出力部31#は、光電気変換部29#からの検出結果に基づいて第1および第2の音源にそれぞれ対応して設けられたセンサ部2,7からの第1および第2の振動情報である第1および第2の検出信号をそれぞれ出力する。
ここで、信号出力部11#は、図15で説明したようにトリガ回路29を設けることにより、トリガ回路29のトリガ信号を基準となるタイミング信号として利用する。なお、このトリガ信号は、一定周期のタイミングで生成されるものとする。なお、本例においては、トリガ回路29を用いて基準となるタイミング信号を生成する場合について説明したが実施の形態1で説明した方式に従って基準となるタイミング信号を生成することも当然に可能である。
光電気変換部27は、光伝送路4から伝送される第5の光信号の入力に応答した信号を生成する。
図24は、光電気変換部27において第5の光信号の入力に応答して変換された信号を説明する図である。
図24に示されるように、第5の光信号の入力を受けて光電気変換部27により変換された信号は、センサ部2の光フィルタ部32から射出された第2の光信号を光電気変換部27により変換したパルス信号と、センサ部7の光フィルタ部33から射出された第4の光信号を光電気変換部27により変換したパルス信号とを重ね合わせた信号波形となっている。すなわち、第1の光信号の入力を受けて振動子34の変位に対応付けられた波長を透過した第2の光信号に対応する信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングがセンサ部2からの振動情報に相当する。また、第3の光信号の入力を受けて振動子34#の変位に対応付けられた波長を遮光した第4の光信号に対応する信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングがセンサ部7からの振動情報に相当する。
なお、ここで、トリガ信号のタイミングがT〜4Tとしてそれぞれ示されている。
なお、振幅値は、それぞれの光信号の信号強度に比例しており、光分岐部55における光信号の分岐率に従って定まるものとする。この点で、センサ部2の光フィルタ部32から射出された第2の光信号を光電気変換部27により変換したパルス信号の信号ピーク値は、センサ部7の光フィルタ部33から射出された第4の光信号を光電気変換部27により変換したパルス信号の信号ピーク値よりも大きくなるように光分岐部55における光信号の分岐率は設定されているものとする。
パルス検出回路29#は、トリガ回路29からのトリガ信号の入力に応答して、光電気変換部27からの信号の入力を検出する。具体的には、パルス検出回路29#は、センサ部2,7の振動情報をそれぞれ並列に検出するために光電気変換部27から入力される信号について、信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングおよび信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングをそれぞれ検出する。
パルス検出回路29#は、センサ部2の振動情報を検出するために周期的なタイミング信号であるトリガ信号と波長変化に従ってタイミングが変化する信号ピーク値とのタイミング差を検出し、その検出結果を出力部31#に出力することにより実施の形態1で説明したのと同様にタイミング差の変動に基づいて第1の音源からの音波振動である振動情報を得ることができる。
また、パルス検出回路29#は、センサ部7の振動情報を検出するために周期的なタイミング信号であるトリガ信号と波長変化に従ってタイミングが変化する信号ボトム値とのタイミング差を検出し、その検出結果を出力部31#に出力することにより実施の形態6で説明したのと同様にタイミング差の変動に基づいて第2の音源からの音波振動である振動情報を得ることができる。
なお、第2の光信号に対応する信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングと、第4の光信号に対応する信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングが同じ場合、具体的には、振動子34の変位に対応付けられた透過波長と、振動子34#の変位に対応付けられた遮光波長が同じ場合には、信号ピーク値あるいは信号ボトム値は検出されない。この場合には、光電気変換部27からパルス検出回路29#に入力される信号値は、所定の中間値に設定されることになる。この所定の中間値は、第2の光信号のみを光電気変換部27に入力して変換した場合の信号ピーク値に相当する。
したがって、パルス検出回路29#は、信号ピーク値および信号ボトム値に加え、さらに所定の中間値を検出して、所定の中間値が検出された場合には、信号ピーク値および信号ボトム値がともに同じタイミングで入力されたと判断して、上記のトリガ信号とのタイミング差の変動に基づく第1および第2の音源からの音波振動である振動情報を検出するものとする。
また、第2の光信号に対応する信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングと、第4の光信号に対応する信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングが同じ場合となるのを回避するべく、光フィルタ部32において振動子34の変位に対応付けられる透過波長の範囲と、光フィルタ部33において振動子34#の変位に対応付けられる遮光波長の範囲が重ならないように設定することも可能である。例えば、波長掃引光源20から射出される第1の光信号の波長λ1〜λ3に対して、光フィルタ部32において振動子34の変位に対応付けられる透過波長の範囲を波長λ1以上〜λ2未満(λ1<λ2<λ3)に設定して、光フィルタ部33において振動子34#の変位に対応付けられる遮光波長の範囲をλ2以上〜λ3に設定することにより第2の光信号に対応する信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングと、第4の光信号に対応する信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングが同じ場合となるのを回避することができる。なお、光フィルタ部32,33における透過波長の範囲あるいは遮光波長の範囲を入れ替えることも当然可能である。この場合には、パルス検出回路29#は、信号ピーク値および信号ボトム値のみを検出して、上記のトリガ信号とのタイミング差の変動に基づく第1および第2の音源からの音波振動である振動情報を検出することが可能である。
本発明の実施の形態7に従う振動検出装置301の構成に従えば2つのそれぞれ異なる音源からの振動情報を並列に検出することが可能である。すなわち、2つのセンサ部に対して本体部1つの構成で実現することが可能であり、簡易な振動検出装置を実現することが可能である。
また、複数のセンサ部に対して1本の光伝送路により複数の情報(本例では、2つの情報)を多重伝送することが可能であり、設置面において有用であるとともに簡易な構成で複数の情報たとえばプラントの監視対象物体に対してX軸およびY軸の振動情報を検出することが可能であり、監視状態の精度をさらに高めることが可能である。
(実施の形態7の変形例)
図25は、本発明の実施の形態7の変形例に従う振動検出装置302の概略構成図である。
図25を参照して、本発明の実施の形態7の変形例に従う振動検出装置302は、光伝送路3および4と、本体部6#と、センサ部2,7とを含む。
ここで、センサ部7,2は、第1および第2の音源にそれぞれ対応して設けらているものとする。
まず、本体部6#から光伝送路3を介してセンサ部7へ第1の光信号が伝送される。
センサ部7は、第1の音源に対応して設けられた振動子34#と、光フィルタ部33と、光サーキュレータ35とを有する。振動子34と振動子34#とは同一のものであり、センサ部7の構成については、実施の形態6で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。すなわち、センサ部7において第1の光信号の入力を受けて第1の音源に対応して設けられた振動子34#の変位に対応付けられた波長を遮光した第2の光信号が生成される。
そして、センサ部7により生成された第2の光信号は、センサ部2に伝送される。
センサ部2は、第2の音源に対応して設けられた振動子34と、光フィルタ部32#とを有する。光フィルタ部32#は、実施の形態1の図2で説明した光フィルタ部32と同様の構成であるが、図示しないが可動誘電体膜の透過特性を調整するものとする。
具体的には、実施の形態1の可動誘電体膜36においては、膜厚に依存した一意に定まる波長のみが透過し、それ以外の波長は反射する場合について説明したが本発明の実施の形態7の変形例に従う光フィルタ部32#においては、一意に定まる波長以外の波長についても所定の割合の信号強度で透過するものとする。例えば、可動誘電体膜の透過特性を透過波長以外は、入力光の50%を透過させ、透過波長については入力光の95%を透過させるものに設計する。一例として、一般に可動誘電体膜は、膜の表面に多層の薄膜を蒸着し、透過波長以外については反射特性を高めることが一般的であるが、薄膜の蒸着数を減らしたり、あるいは薄膜の材質等を選択して反射特性を低下させることにより実現可能である。なお、信号強度に関して、一意に定まる所定波長の透過する割合の方が高いものとする。
そして、センサ部2において、センサ部7により生成された第2の光信号の入力を受けて第2の音源に対応して設けられた振動子34の変位に対応付けられた波長を主に透過した第3の光信号が生成される。
そして、第3の光信号は、光伝送路4を介して本体部6#へ伝送され、本体部6#で電気信号に変換された後、検出信号として出力される。
本体部6#の構成は、実施の形態7で説明したのと同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
次に、本体部6#における光信号の検出処理について説明する。
図26は、光電気変換部27において光伝送路4から伝送される第3の光信号の入力に応答して変換された信号を説明する図である。
センサ部7においては、上述したように、第1の光信号の入力を受けて第1の音源に対応して設けられた振動子34#の変位に対応付けられた波長を遮光した第2の光信号が生成される。
図26の点線においては、当該第2の光信号を光電気変換部で変換した場合のパルス信号が示されている。
すなわち、上述したように第1の光信号の入力を受けて振動子34#の変位に対応付けられた波長を遮光した第2の光信号に対応する信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングがセンサ部7からの振動情報に相当する。
そして、センサ部2においては、上述したように第2の光信号の入力を受けて第2の音源に対応して設けられた振動子34の変位に対応付けられた波長を透過させるとともに、それ以外の波長についても所定の割合で透過させた第3の光信号が生成される。
この第3の光信号が光電気変換部27に入力されると、振動子34の変位に対応付けられた波長に対応して「H」レベルとなる信号ピーク値の波形が生成され、それ以外の波長に対応して中間値となる信号波形が生成されることになる。
すなわち、第2の光信号の入力を受けて振動子34の変位に対応付けられた波長を他の波長よりも透過した第3の光信号に対応する信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングがセンサ部2からの振動情報に相当する。
なお、ここで、トリガ信号のタイミングがT〜4Tとしてそれぞれ示されている。
したがって、パルス検出回路29#は、上述したようにトリガ回路29からのトリガ信号の入力に応答して、光電気変換部27からの信号の入力を検出する。具体的には、パルス検出回路29#は、センサ部2,7の振動情報をそれぞれ並列に検出するために光電気変換部27から入力される信号について、信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングおよび信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングをそれぞれ検出する。
また、パルス検出回路29#は、センサ部7の振動情報を検出するために周期的なタイミング信号であるトリガ信号と波長変化に従ってタイミングが変化する信号ボトム値とのタイミング差を検出し、その検出結果を出力部31#に出力することにより実施の形態6で説明したのと同様にタイミング差の変動に基づいて第1の音源からの音波振動である振動情報を得ることができる。
パルス検出回路29#は、センサ部2の振動情報を検出するために周期的なタイミング信号であるトリガ信号と波長変化に従ってタイミングが変化する信号ピーク値とのタイミング差を検出し、その検出結果を出力部31#に出力することにより実施の形態1で説明したのと同様にタイミング差の変動に基づいて第2の音源からの音波振動である振動情報を得ることができる。
なお、第2の光信号に対応する信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングと、第3の光信号に対応する信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングが同じ場合、具体的には、振動子34#の変位に対応付けられた遮光波長と、振動子34の変位に対応付けられた透過波長が同じ場合には、センサ部7において対応する波長成分が遮光されているため信号ボトム値のみが検出され、信号ピーク値は検出されない。この場合には、ある任意の信号ピーク値から所定期間内に次の信号ピーク値が検出されたかどうかを判断し、検出されなかった場合には、当該次の信号ピーク値は、対応するトリガ信号とのタイミング差が検出される信号ボトム値と同じタイミングで入力されたものと判断することができる。なお、所定期間は、波長掃引光源20から出射される光信号が波長λ1〜λ3に波長が遷移する一定周期の期間に相当する。すなわちトリガ信号が入力される期間Tに相当する。なお、上記の判断方式は一例であり信号ピーク値および信号ボトム値のタイミングが一致する場合について検出することができればどのような方式を採用することも可能である。
したがって、パルス検出回路29#は、信号ピーク値および信号ボトム値に加え、さらに信号ピーク値から次の信号ピーク値までの期間を検出して、所定の期間内に検出されなかった場合には、トリガ信号とのタイミング差が検出される信号ボトム値と信号ピーク値とがともに同じタイミングで入力されたと判断して、上記のトリガ信号とのタイミング差の変動に基づく第1および第2の音源からの音波振動である振動情報を検出するものとする。
また、上述したように第2の光信号に対応する信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングと、第3の光信号に対応する信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングが同じ場合となるのを回避するべく、光フィルタ部33において振動子34#の変位に対応付けられる遮光波長の範囲と、光フィルタ部32#において振動子34の変位に対応付けられる透過波長の範囲が重ならないように設定することも可能である。例えば、波長掃引光源20から射出される第1の光信号の波長λ1〜λ3に対して、光フィルタ部33において振動子34#の変位に対応付けられる遮光波長の範囲を波長λ1以上〜λ2未満(λ1<λ2<λ3)に設定して、光フィルタ部32#において振動子34の変位に対応付けられる透過波長の範囲をλ2以上〜λ3に設定することにより第2の光信号に対応する信号ボトム値(「L」レベル)となるタイミングと、第3の光信号に対応する信号ピーク値(「H」レベル)となるタイミングが同じ場合となるのを回避することができる。なお、光フィルタ部33,32#における遮光波長の範囲あるいは透過波長の範囲を入れ替えることも当然可能である。この場合には、パルス検出回路29#は、信号ピーク値および信号ボトム値のみを検出して、上記のトリガ信号とのタイミング差の変動に基づく第1および第2の音源からの音波振動である振動情報を検出することが可能である。
したがって、本発明の実施の形態7の変形例に従う振動検出装置302の構成においても、実施の形態7に従う振動検出装置301と同様に、2つのそれぞれ異なる音源からの振動情報を並列に検出することが可能である。
そして、実施の形態7の変形例に従う振動検出装置302は、振動検出装置301と比較して、光分岐部55、光結合部56を設けない構成であるためさらに簡易な振動検出装置を実現することが可能である。
なお、この発明の実施の形態1〜7においては、本体部が波長掃引光源20を含む構成について説明したが、波長掃引光源20が本体部とは異なる場所に配置することも可能である。
また、この発明の実施の形態1〜7においては、外部の音源から受けた音波の振動を検出する構成について説明したが、機械的・電気的に発生するさまざまな振動の検出に適応できることは言うまでもない。たとえば、発電機やモータなどの回転機の軸受部に生じる振動を検出することで、その寿命や劣化状態を判定することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1#,1#a,1b,6,6# 本体部、2,2#,2#a,5,5#,5#a,7,7# センサ部、3,4,84 光伝送路、10,10#,10#a,10b,11,11# 信号出力部、15,15#a,16,16# 演算部、20,20a,20b 波長掃引光源、22,55 光分岐部、24 光フィルタ、25,56 光結合部、26,27,30 光電気変換部、28,28#,28#a,29,29# パルス検出回路、29 トリガ回路、31,31# 出力部、32,32#,33,44,65,67 光フィルタ部、34,34# 振動子、35,50 光サーキュレータ、36 可動誘電体膜、38,62 圧電素子、52,61,62 FBG、60 半導体光増幅器、63 発振器、64 反射板、101,102 振動検出装置。